(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6767230
(24)【登録日】2020年9月23日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】ビデオサーバーシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/926 20060101AFI20201005BHJP
H04N 5/765 20060101ALI20201005BHJP
H04N 5/91 20060101ALI20201005BHJP
H04N 21/231 20110101ALI20201005BHJP
G11B 20/12 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
H04N5/926
H04N5/765
H04N5/91
H04N21/231
G11B20/12
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-201701(P2016-201701)
(22)【出願日】2016年10月13日
(65)【公開番号】特開2018-64200(P2018-64200A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏幸
【審査官】
鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−220405(JP,A)
【文献】
特開2011−199745(JP,A)
【文献】
特開2008−245122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 − 5/956
G11B 20/10 − 20/16
H04N 21/00 − 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダと蓄積サーバーとデコーダがネットワークを介して接続しているビデオサーバーシステムにおいて、
前記エンコーダは、入力された映像信号を所定の映像フォーマットにエンコードする際、ヘッダーと実データとサイズ節約した最低限量のダミーデータの映像データと、映像データサイズとダミーデータ量のフレームテーブルを生成し、前記蓄積サーバーに転送することを特徴とするビデオサーバーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のビデオサーバーシステムにおいて、
前記デコーダは、前記蓄積サーバーから読み出した映像データとフレームテーブルから所定の映像フォーマットの映像信号を生成することを特徴とするビデオサーバーシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のビデオサーバーシステムにおいて、
さらに、変換装置を有し、
前記変換装置は、前記蓄積サーバーから読み出した映像データとフレームテーブルから所定の映像フォーマットの映像信号を生成し、外部へ出力することを特徴とするビデオサーバーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオサーバーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオサーバーシステムでは、一定のビットレートを規定した映像データフォーマット(XDCAM、AVC-intra、MPEG2 Long-GOP等)を取り扱っている。
これらの映像データフォーマットでは、規定されたデータサイズに多少あるいは大幅に満たないサイズの映像データを記録し、残りを全てダミーデータで埋め合わせる(パディングする)ことで規定のデータサイズを達成する手法がとられている。そのため、ダミーデータは映像のデコード結果に関与しない。
【0003】
先行技術文献としては、例えば、特許文献1に、圧縮符号化されたデータを、別ファイルのインデックスファイルを設けることなく、高速にランダムアクセスすることが可能なデータに変換するデータ変換装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−124931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、映像データのフィラーを省き、蓄積容量や伝送の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のビデオサーバーシステムは、エンコーダと蓄積サーバーとデコーダがネットワークを介して接続しているビデオサーバーシステムであって、エンコーダは入力された映像信号を所定の映像フォーマットにエンコードする際、ヘッダーと実データと最低限量のダミーデータの映像データと、映像データサイズとダミーデータ量のフレームテーブルを生成し、蓄積サーバーに転送することを特徴とする。
【0007】
また、デコーダは、蓄積サーバーから読み出した映像データとフレームテーブルから所定の映像フォーマットの映像信号を生成することが好ましい。
【0008】
さらに、ビデオサーバーシステムは、変換装置を有し、変換装置は蓄積サーバーから読み出した映像データとフレームテーブルから所定の映像フォーマットの映像信号を生成し、外部へ出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、映像データのフィラーを省き、蓄積容量や伝送の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムのシステム図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムのエンコーダの動作を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムのデコーダの動作を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムの変換装置の動作を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムの概略を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムのシステム図である。
図1において、ビデオサーバーシステム100は、エンコーダ110、蓄積サーバー120、デコーダ130、変換装置140がネットワーク50を介して接続されている。
映像信号111と映像信号132は、例えば、HD−SDI(High Definition Serial Digital Interface)である。
なお、エンコーダ110、デコーダ130、変換装置140は、CPU(Central Processing Unit)等を用いたソフトウェア処理であっても良い。
また、エンコーダ110、蓄積サーバー120、デコーダ130、変換装置140は、一体構造でも複数の組合せでも良い。
【0012】
次に、本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムの概略について
図5を用いて説明する。
図5は本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムの概略を説明するための図である。
図5において、エンコーダ110は、入力された映像信号111からフレームテーブル520と映像データ510を生成し、蓄積サーバー120に出力する。
【0013】
エンコーダ110は、入力された映像信号111から映像データのサイズ情報531と、所定のフォーマットに合わせるために挿入するダミーデータ情報532と、実データ533を生成する。
フレームテーブル520は、映像データサイズ5201と、所定のフォーマットに合わせるために挿入するダミーデータのサイズである「ダミーは***バイト」5202である。
【0014】
コーデック後の映像データ510は、ヘッダー5101と、実データ5102と、サイズ節約した最低限量のダミーデータ5103である。
このため、映像データ510は、所定のフォーマットに合わせるために挿入するダミーデータ534が不要となる。
【0015】
本発明の一実施例であるビデオサーバーシステム100で使用するフォーマットは、システム外との互換性を維持すれば良く、システム内における扱い方に制約はない。
また、システム内のサーバー間のデータ通信はTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信手段を用いているため、通信維持のために所定のビットレートを常に維持しなければならない、といった必要性はない。
つまり、システム内ではダミーデータを省いたデータを扱っても構わない。
【0016】
本発明の一実施例であるビデオサーバーシステム100は、ダミーデータの代わりに、映像データのフレームテーブル(素材先頭からのフレーム番号と収録素材データ上のバイト位置の関係を示したデータ)、あるいは付加データ等に、ダミーデータ省略後のバイト位置情報、ダミーデータのサイズ情報、ダミーデータ復元後のバイト位置情報を蓄積サーバー120に記録する。
可変長のフォーマットは、各フレームのバイト位置を特定するために使用するフレームテーブルが適している。
固定長のフォーマットは、ダミーデータを省くことにより可変長データとなるため、フレームテーブルを用いるようにする。
本発明の一実施例であるビデオサーバーシステム100は、ダミーデータよりもフレームテーブルのサイズの方が小さく済むため、フォーマットが可変長であっても良い。
【0017】
次に、本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムのエンコーダの動作について、
図2を用いて説明する。
図2において、エンコーダ110は、入力された映像信号111に対してコーデック200を行う。
コーデック200は、規定フォーマットを満たす素材データとするため、エンコード210して、映像データ221と、フレームテーブル222を生成する。
【0018】
映像データ221は、ヘッダー、Fフレームが実データ“Xバイト”、最低限量のダミーデータ、F2フレームが実データ“Yバイト”、 最低限量のダミーデータ、・・・、である。
なお、最低限量のダミーデータは、実際に“Nバイト”や“Mバイト”のダミーデータではなく、必要最低限の情報量とする。
フレームのバイト位置やデータサイズ、当該フレームの付加情報を記録するためのフレームテーブル222は、映像データサイズ、「ダミーはNバイト」、映像データサイズ、「ダミーはMバイト」、・・・である。
【0019】
エンコーダ110は、生成した映像データ221とフレームテーブル222を、蓄積サーバー120にNW転送(ネットワークを利用したデータ転送(ファイル転送))112する。
【0020】
蓄積サーバー120は、エンコーダ110からNW転送112(121)されてきた映像データ221とフレームテーブル222を映像データ記憶領域123とフレームテーブル記憶領域124に各々記憶する。
【0021】
本発明の一実施例であるエンコーダ110は、ダミーデータを極力記録しないよう省略を図る。ダミーデータの省略にあたり、規定のフォーマットの可変ビットレート形式互換としても良いし、独自のヘッダー等によってシステム内のデコーダのみが解釈できる仕組みとしても良い。
【0022】
次に、本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムのデコーダの動作について、
図3を用いて説明する。
デコーダ130は、蓄積サーバーからNW転送131された映像データ123とフレームデータ124を映像データ311とフレームデータ312としてコーデック300を行い、映像信号132を出力する。
デコーダ130は、デコードに必要な実データ3112、実データ3114、・・・をコーデック300に伝送し、コーデック300が映像信号132を生成する。
【0023】
本発明の一実施例であるデコーダ130は、ダミーデータ無しの状態でも不都合なくデコード処理可能である場合には、ダミーデータ無しの状態でデコード処理を行う。
また、本発明の一実施例であるデコーダ130は、デコーダの必要性によって、デコード処理を行う前にフレームテーブルのダミーデータ省略前後のデータサイズ情報を参照し、ダミーデータを復元したうえで、デコード処理しても良い。
【0024】
次に、本発明の一実施例に係るビデオサーバーシステムの変換装置の動作について、
図4を用いて説明する。
本発明の一実施例である変換装置140は、蓄積サーバー120に記憶してある収録素材をシステム外に書き出す際、ダミーデータ省略前後のバイト位置、データサイズ情報を突き合わせ、ダミーデータ部分を省略していない状態にするものである。これにより規定フォーマットを復元でき、ビデオサーバーシステム100外との素材フォーマット互換性を維持することが出来る。
【0025】
図4において、変換装置140は、蓄積サーバーからNW転送141された映像データ123とフレームデータ124を映像データ411とフレームデータ412として変換ライブラリ420を行う。
【0026】
変換ライブラリ420は、フレームテーブル412の「ダミーは***バイト」の情報から映像データ431に実際量のダミーデータを復元する。
この処理により、映像データ431は、ヘッダー、実データ、実際量のダミーデータ、実データ、実際量のダミーデータ、・・・となる。
【0027】
変換装置140は、映像データ431を外部機器に対応した映像データ生成し、映像データ出力142として出力する。
映像データ出力142は、実際量のダミーデータを含んだ規定通りの映像データとなっているため、他システム、外部メディア等に使用できる。
【0028】
なお、変換装置140がシステム外から取り込んだ素材を入力した場合は、ダミーデータを探索してデータの省略やフレームテーブルへの情報書き出しを行っても良い。
【0029】
本発明の実施形態であるビデオサーバーシステムは、映像データのフィラーを省き、蓄積容量や伝送の効率化を図ることができる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
映像データのフィラーを省くことによって、蓄積容量や伝送の効率化を図る用途に適用できる。
【符号の説明】
【0032】
100:ビデオサーバーシステム、110:エンコーダ、120:蓄積サーバー、130:デコーダ、140:変換装置、150:ネットワーク。