特許第6767360号(P6767360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

<>
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000002
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000003
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000004
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000005
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000006
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000007
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000008
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000009
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000010
  • 特許6767360-ノイズ生成器を備えた蒸気装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6767360
(24)【登録日】2020年9月23日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】ノイズ生成器を備えた蒸気装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 75/10 20060101AFI20201005BHJP
   D06F 75/38 20060101ALI20201005BHJP
   D06F 87/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   D06F75/10
   D06F75/38
   D06F87/00
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-508986(P2017-508986)
(86)(22)【出願日】2015年8月18日
(65)【公表番号】特表2017-529900(P2017-529900A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】EP2015068881
(87)【国際公開番号】WO2016030224
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2017年2月16日
【審判番号】不服2018-5006(P2018-5006/J1)
【審判請求日】2018年4月12日
(31)【優先権主張番号】14182193.4
(32)【優先日】2014年8月26日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ウィリアム ワイ リック
(72)【発明者】
【氏名】ピン ルック ウィー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァリヤムバス クリシュナン モハンクマル
(72)【発明者】
【氏名】デイト ミリンド ヴィシュワス
【合議体】
【審判長】 堀川 一郎
【審判官】 佐々木 芳枝
【審判官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4067968(JP,B2)
【文献】 特公昭50−13696(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 75/00-87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気装置であって、
蒸気生成器と、
前記蒸気装置から蒸気が発せられる少なくとも1つの蒸気口と、
前記蒸気生成器と前記少なくとも1つの蒸気口との間にある蒸気経路と、
を有する蒸気装置において、前記蒸気装置は、前記蒸気生成器により生成された蒸気の流れによって振動することによりノイズを生成して、前記蒸気装置において蒸気が流れているか否かの示唆をユーザに提供するよう構成されたノイズ生成器を有し、
前記ノイズ生成器は、蒸気の流れを妨害するよう構成された流れ妨害器を有し、
前記ノイズ生成器は、前記蒸気経路と連通する蒸気残響室を有し、前記残響室の端部が前記流れ妨害器を形成する、
蒸気装置。
【請求項2】
前記流れ妨害器は、蒸気の流れを少なくとも2つのストリームに分離するよう構成された、請求項に記載の蒸気装置。
【請求項3】
前記ノイズ生成器は、少なくとも2つの流れ妨害器を有する、請求項又はのいずれか一項に記載の蒸気装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記流れ妨害器の寸法は、他の少なくとも1つの前記流れ妨害器の寸法とは異なる、請求項に記載の蒸気装置。
【請求項5】
前記蒸気残響室は、反響室を形成するよう構成された、請求項に記載の蒸気装置。
【請求項6】
蒸気装置であって、
蒸気生成器と、
前記蒸気装置から蒸気が発せられる少なくとも1つの蒸気口と、
前記蒸気生成器と前記少なくとも1つの蒸気口との間にある蒸気経路と、
を有する蒸気装置において、前記蒸気装置は、前記蒸気生成器により生成された蒸気の流れによって振動することによりノイズを生成して、前記蒸気装置において蒸気が流れているか否かの示唆をユーザに提供するよう構成されたノイズ生成器を有し、
蒸気ヘッド、液体容器を備えた基部ユニット、及び水経路を有し、前記蒸気生成器は、前記蒸気ヘッド内にあり、前記水経路は、前記蒸気生成器を前記液体容器と流体連通させる
気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気装置に関し、特にノイズ生成器を備えた蒸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気アイロンのような蒸気装置は、衣類及び寝具のような布からしわを除去するため用いられる。蒸気アイロンの1つのタイプは、蒸気システムアイロンである。斯かる蒸気システムアイロンは、水容器を備えた基部ユニットと、蒸気が放出される蒸気口を備えた蒸気ヘッドと、を有する。蒸気は一般に、基部ユニットのなかのボイラにより生成され、柔軟なホースを通して蒸気ヘッドに送られる。他のシステムは、蒸気ヘッドのなかに蒸気生成器を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
蒸気ヘッドが処置されるべき布に当てられたとき、ユーザにとって蒸気が蒸気ヘッドから放出されているか否かを決定することは難しく、そのためユーザは蒸気ヘッドの効果的な動作の正確な決定を提供されないこととなり得る。このことは、ユーザが放出された蒸気の量をチェックするため、処置されるべき布から蒸気ヘッドを繰り返し離すこととなることを意味し、処置の時間を長くする。
【0004】
蒸気装置の長くされた使用は、スケール(scale)のような無機物の堆積物が、蒸気生成器において形成され集積することを引き起こす。スケールは、蒸発した水によって残される。これらスケール堆積物の蓄積は、蒸気アイロンの効率を低減させ、ゆるいスケールは蒸気口を閉塞させ得る。スケールの堆積を防止する1つの方法は、水処置カートリッジの利用である。しかしながら、斯かる構成の効率は、時間によって変化し得る。それ故、他の手法は、蒸気経路の基部に沿って、及び蒸気口を通して、蒸気装置からスケールを水で流すことである。しかしながら、何らかの障害物があると、スケールが除去されることを妨げ、蒸気装置の効率を最小化させ得る。
【0005】
英国特許GB2,016,052は、電極を中に持つ内部水タンクを備えた蒸気生成器と、蒸気を分散させるためのチャネルを持つ底板と、を有する蒸気アイロンを開示している。該蒸気生成器から該チャネルへと蒸気を導くための導管が備えられる。
【0006】
本発明の目的は、上述した問題を軽減する又は略克服する蒸気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は独立請求項により定義され、従属請求項は有利な実施例を定義する。
【0008】
本発明の一態様によれば、蒸気装置であって、蒸気生成器と、前記蒸気装置から蒸気が発せられる少なくとも1つの蒸気口と、前記蒸気生成器と前記少なくとも1つの蒸気口との間の、スケールが通過することが可能な基部を持つ蒸気経路と、を有する蒸気装置において、前記蒸気装置は、前記蒸気生成器により生成された蒸気に作用してノイズを生成するよう構成されたノイズ生成器を有し、前記ノイズ生成器は、スケールが前記ノイズ生成器によって妨害されないよう、前記蒸気経路の基部から離隔されたことを特徴とする、蒸気装置が提供される。
【0009】
本構成によって、生成され蒸気装置から放出される蒸気のレベルに関しての示唆をユーザに提供するため、ノイズを生成することが可能となる。それ故、ユーザは、視覚的な示唆なく、蒸気装置の動作を決定することが可能となる。蒸気生成器において形成されるスケールは、蒸気生成器から蒸気装置の外部へと通過するための自由経路を持つため、蒸気装置におけるスケールの蓄積は防止される。
【0010】
上述の構成は、蒸気経路を過度に低減又は制約することなく、蒸気放出の間にノイズを生成するための手段を提供する。
【0011】
前記ノイズ生成器は、前記蒸気経路に沿って配置されても良い。本構成により、前記少なくとも1つの蒸気口へと蒸気が流れているときにのみ、ノイズが生成される。それ故、蒸気の流れのレベルの正確なフィードバックが提供され得る。
【0012】
前記ノイズ生成器は、蒸気の流れを妨害するよう構成された流れ妨害器を有しても良い。このことは、ノイズが直接的で単純な構成により生成されることを意味する。それ故、ノイズ生成器の信頼性が最大化される。
【0013】
前記流れ妨害器は、蒸気の流れを少なくとも2つのストリームに分離するよう構成された、蒸気流れ分離器であっても良い。該蒸気流れ分離器は、前記蒸気経路に延在する部材により形成されても良い。
【0014】
これらの構成によれば可動部がなく、従って構成の信頼性が最大化される。更に、ノイズのハーモニクスが容易に設定されることができる。
【0015】
前記蒸気経路は、前記基部に対向する上側面を有しても良い。前記流れ妨害器は、前記上側面から延在しても良い。
【0016】
本構成により、ノイズ生成構成の配置を許容しつつ、蒸気経路の望ましい最小限の断面プロファイルを維持することが可能となる。
【0017】
前記流れ妨害器は、空洞を定義しても良い。
【0018】
このことは、蒸気が蒸気経路に沿って流れるときに生成されるノイズレベルを最大化することを支援する。
【0019】
前記ノイズ生成器は、少なくとも2つの流れ妨害器を有しても良い。
【0020】
本構成により、流れ妨害器の1つが故障した場合に冗長性を提供することが可能となる。更に、該少なくとも2つの流れ妨害器のそれぞれに異なる特性を備えさせることにより、流れ妨害器のそれぞれが生成するハーモニクス及び周波数が異なるようにすることも可能となる。それ故、ユーザへの刺激を防止するよう、広範なスペクトルの音声が生成されることができる。
【0021】
少なくとも1つの流れ妨害器の寸法は、他の少なくとも1つの流れ妨害器の寸法と異なっていても良い。
【0022】
それ故、広範なスペクトルの音声が容易に生成され得る。
【0023】
前記流れ妨害器は、補助蒸気チャネルを定義する前記蒸気経路に沿って延在するチャネル分離器を有しても良い。
【0024】
本構成により、蒸気経路において蒸気残響室を容易に形成することが可能となる。前記ノイズ生成器は、前記蒸気経路と連通する蒸気残響室を有しても良い。
【0025】
本構成により、蒸気の流れに応答してノイズを生成する手段を提供しつつ、蒸気経路の最小限の断面プロファイルを最大化することが可能となる。残響室を備えることにより、蒸気の流れが生成することが可能なノイズレベルを最大化することが可能となる。前記ノイズ生成器は、前記蒸気経路から離隔されていても良い。
【0026】
室端部が前記流れ妨害器を形成しても良い。
【0027】
本構成により、付加的な構成なく、流れ妨害器を容易に形成することが可能となる。更に、スケールが集積し得る障害物を生成することなく、望ましいノイズのレベルを生成するのに必要とされる蒸気の流れ経路を簡略化することが可能となる。
【0028】
前記蒸気装置は更に、蒸気の流れを安定化させ、蒸気の流れを前記流れ妨害器へと向けるよう構成された、流れ安定化器を有しても良い。流れ安定化器を備えることにより、蒸気の流れを安定化させガイドすることが可能となる。それ故、安定化された蒸気の流れが、流れ分離器へと向けられ、より効率の良いノイズ生成器をもたらし得る。
【0029】
前記流れ安定化器は、前記基部に対して傾斜させられた面であっても良い。
【0030】
それ故、流れ安定化が容易に得られることができ、更なる構成要素が必要とされない。
【0031】
前記蒸気残響室は、反響室を形成するよう構成される。
【0032】
本構成により、生成されるノイズの音質を最大化することが可能となる。このことは、ノイズがユーザによってより容易に識別され得ることを意味する。
【0033】
前記蒸気残響室は、複数の共振周波数を生成するよう構成されても良い。
【0034】
それ故、ホワイトノイズに近い音声スペクトルを生成するよう、複数の周波数及びハーモニクスが生成されることができる。
【0035】
前記蒸気装置は更に、蒸気ヘッド、液体容器を備えた基部ユニット、及び水経路を有しても良く、ここで前記蒸気生成器は前記蒸気ヘッドのなかにあり、前記水経路は前記蒸気生成器を前記液体容器と流体連通させる。
【0036】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【0037】
本発明の実施例は、添付図面を参照しながら、単に例として、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明による基部ユニット及び蒸気ヘッドを備えた蒸気システムアイロンの斜視図を示す。
図2】本発明による図1に示された蒸気ヘッドの上から見た模式的な断面図を示す。
図3】本発明による図2に示された蒸気ヘッドの一部の模式的な断面図を示す。
図4】本発明による図1に示された蒸気ヘッドの他の実施例の上から見た模式的な断面図を示す。
図5】本発明による図4に示された蒸気ヘッドの実施例の蒸気経路の一部の模式的な断面側面図を示す。
図6】本発明による図4に示された蒸気ヘッドの実施例の蒸気経路の一部の他の実施例の模式的な断面側面図を示す。
図7】本発明による図4に示された蒸気ヘッドの実施例の蒸気経路の一部の他の実施例の模式的な断面側面図を示す。
図8】本発明による図4に示された蒸気ヘッドの実施例の蒸気経路の一部の他の実施例の模式的な断面側面図を示す。
図9】本発明による図1に示された蒸気ヘッドの実施例の蒸気経路の一部の他の実施例の模式的な断面側面図を示す。
図10】本発明による図1に示された蒸気ヘッドの実施例の蒸気経路の一部の他の実施例の模式的な断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
基部ユニット20及び蒸気ヘッド30を有する、蒸気装置として機能する蒸気システムアイロン10が、図1に示される。蒸気システムアイロン10は、処置されるべき布に対して放出されるべき蒸気を生成するよう構成される。本発明はここでは蒸気システムアイロンを参照しながら説明されるが、代替の構成も想到可能であることは理解されるであろう。例えば、蒸気装置はハンドヘルド型蒸気アイロン、衣類用スチーマ又は壁紙スチーマであっても良い。
【0040】
基部ユニット20は、蒸気へと変換されるべき水が受容される水容器21を持つ。水容器21から蒸気ヘッド30へと水を供給するため、ポンプ22が備えられる。基部ユニット20は、ホース23を介して蒸気ヘッド30と流体連通している。ホース23は、基部ユニット20から蒸気ヘッド30への水の流れを可能とするよう構成される。ホース23は、水が沿って流れることが可能な経路を形成する管(図示されていない)を含む。ポンプ22は、蒸気ヘッド30へとホース23に沿って水を流すよう構成される。ホース23は、例えば少なくとも1本の通信ケーブル(図示されていない)を含んでも良く、該通信ケーブルに沿って、電力及び/又は制御信号が、基部ユニット20と蒸気ヘッド30との間で送信されても良い。
【0041】
基部ユニット20はまた、蒸気システムアイロン10の構成要素に電力を供給するための、電源ユニット24を含む。蒸気システムアイロン10の動作を制御するため、基部ユニット20にユーザ入力部25がある。ユーザ入力部25は、代替として、また更に、蒸気ヘッド30にあっても良い。基部ユニット20はまた、蒸気ヘッド30を受容するためのスタンド部26を持つ。コントローラ27は、蒸気システムアイロン10を動作させるよう構成される。
【0042】
図1乃至3を参照すると、蒸気ヘッド30は、筐体31及び底板32を持つ。底板32は、蒸気ヘッド30の下端を定義する。筐体31は、ハンドル部35を有する。ハンドル部35は、ユーザが蒸気ヘッド30を保持して操作することを可能とする。
【0043】
蒸気ヘッド30は水入口36を有し、該水入口36を通して水が蒸気ヘッド30に供給される。水供給部(図示されていない)は、水入口36から底板32へと送られる水の質量流を調整するよう構成される。
【0044】
底板32は、底板パネル39を持つ。蒸気ヘッド30は蒸気口37を持ち(図3参照)、該蒸気口37を通して蒸気が蒸気ヘッド30から流れる。蒸気口37は、底板32にある。水入口36から蒸気口37へと流体経路が定義される。蒸気生成器41が、該流体経路に沿って配置される。蒸気ヘッド30は、布接触面38を持つ。布接触面38は、底板パネル39のアイロンがけプレート33により形成される。布接触面38は、処置されるべき布に当てられるよう構成される。蒸気口37は、アイロンがけプレート33に形成され、布接触面38へと通じる。布接触面38は平坦である。
【0045】
底板パネル39のアイロンがけプレート33の下側は、布接触面38を定義する。底板パネル39は、例えばアルミニウムのような熱伝導材料から形成される。底板パネル39は、複数の層から形成され、例えば本実施例においては、底板パネル39のアイロンがけプレート33は、焦げ付き防止層(図示されていない)を持つ。底板パネル39は、単一の層から形成されても良い。底板パネル39は、該パネル内に定義された少なくとも1つの室又は通路を持っても良い。
【0046】
蒸気口37は、底板パネル32に形成される。3つの蒸気口37が図示されているが、蒸気口37の数は変更されても良いことは理解されるであろう。1つの蒸気口が存在しても良いし、又は複数の蒸気口37が布接触面38に亘って分布させられても良い。
【0047】
加熱器40は、底板パネル39に受容される。加熱器40は、底板パネル39に沿って長手方向に延在する。加熱器40は、蒸気ヘッドの前端に近接して配置された加熱器40の先端を伴うU字型の構成を持つ。加熱器40は、底板パネル39において略内部的に受容されている。加熱器40は、動作させられたときに、底板パネル39に熱を伝達する。加熱器40の構成はこれと異なっていても良いことは、理解されるであろう。
【0048】
本実施例においては、蒸気生成器41は、蒸気ヘッド30内にある。蒸気生成器41は、水を蒸気へと蒸発させるよう構成される。水入口36に供給された水は、蒸気に変換されるため蒸気生成器41に送られる。蒸気生成器41により生成された蒸気は、蒸気口37へと送られ、蒸気ヘッド30から出る。蒸気経路50が、蒸気生成器41と蒸気口37との間に定義される。蒸気経路50は、蒸気が沿って流れることができる通路を定義する。
【0049】
蒸気生成器41は、蒸気生成室42を持つ。蒸気生成室42は、蒸気ヘッド30のなかにある。底板32は、蒸気生成室42を定義する。蒸気生成室42は、底板パネル39の上側面43及び側壁44により形成される。カバー壁62(図3参照)が、蒸気生成室42を囲む。側壁44は、底板パネル39の上側面43から起立する。側壁44は、左周縁壁44a、右周縁壁44b、後壁44c、及び内側壁44dを有する。蒸気生成室42は、右周縁壁44b、後壁44c、及び内側壁44dの間に定義される。これらの壁44b、44c、44dにより包囲される底板パネル39の上側面43の第1の部分は、蒸気生成面45を定義する。
【0050】
蒸気生成器41は、水が水入口36から供給されるときに通る水供給部(図示されていない)を有する。該水供給部は、カバー壁62上にある。カバー壁62は、例えばアルミニウムのような熱伝導性材料から形成されるが、代替の構成も想到可能である。側壁44は、カバー壁62まで延在する。
【0051】
供給部(図示されていない)は、蒸気生成面45に水を供給するよう構成される。該水供給部は、蒸気ヘッドの前端の近くに配置される。蒸気生成面45の水供給領域46は、水供給部の反対側に定義される。水供給領域46は、加熱器40の先端に対応する。加熱器の先端は、蒸気生成面45の最も熱い部分を形成することとなることは、理解されるであろう。水供給部(図示されていない)は、供給領域46への水の供給量を制御するよう調節可能に構成される。水供給部(図示されていない)の調節は、弁(図示されていない)により動作させられる。該弁(図示されていない)は、基部ユニット20にあっても良い。
【0052】
底板32は、蒸気経路50を定義する。蒸気経路50は、蒸気生成室42において生成された蒸気が沿って流れることができる、蒸気生成室42からの通路を定義する。蒸気経路50は、蒸気生成室42と連通する蒸気経路入口51を持つ。蒸気経路入口51は、底板32の後端34において、蒸気生成室42と連通する。即ち、蒸気経路入口51は、供給領域46に対して遠位で蒸気生成室42と連通する。
【0053】
蒸気経路50は、蒸気経路出口52を持つ。蒸気は、蒸気経路出口52を通って蒸気口37へと流れる。蒸気経路50はチャネルである。蒸気経路50は、底板32によって形成される。蒸気経路50は、蒸気経路入口51と蒸気経路出口52との間に延在する。
【0054】
蒸気経路50は、底板パネル39の上側面43と、底板32の側壁44と、により形成される。蒸気経路50は、左周縁側壁44aと内側壁44dとの間に定義される。底板パネル39の上側面43の第2の部分は、蒸気経路50の基部53を定義する。基部53は、蒸気経路入口51と蒸気経路出口52との間に延在する。基部53は底板パネル39の上側面により形成されるため、基部53は加熱器40により加熱されることとなり、二次的な蒸気生成面を形成することは、理解されるであろう。このことは、蒸気経路出口52へと通過する凝縮を防止することを支援する。内側壁44dは、後壁44cから離隔され、蒸気経路入口51を形成する開口をもたらす。一代替例においては、内側壁44dに開口が形成され、蒸気経路入口51を形成する。
【0055】
蒸気経路50は長細である。蒸気経路出口52は、蒸気経路入口51とは反対側の、蒸気経路50の側に配置される。蒸気経路出口52は、放出室54を持つ。放出室54は、蒸気を蒸気口37に分配する。蒸気口37は、放出室54から蒸気ヘッド30の外まで延在する。放出室54は、蒸気経路50と流体連通しており、そのため蒸気経路50に沿って流れる蒸気が、放出室54を通って蒸気口37へと通過する。通路55は、蒸気経路50を放出室54と連通させる。本実施例においては、通路55の断面積は、蒸気経路50の断面積と概ね対応するか又は蒸気経路50の断面積よりも大きい。それ故、蒸気経路50に沿って通過するスケールが、通路55において制限を引き起こすことが防止される。放出室54は、例えば1つの蒸気口37を持つ実施例においては、省略されても良い。
【0056】
ノイズ生成器60が、蒸気経路出口52にある。ノイズ生成器60は、蒸気経路50に沿って蒸気口37へと流れる蒸気に対して作用するよう構成される。ノイズ生成器60は、蒸気経路50に沿って流れる蒸気に対して作用して、ノイズを生成するよう構成される。
【0057】
ノイズ生成器60は、蒸気残響室61を有する。蒸気残響室61は、蒸気経路出口52にある。蒸気残響室61は、蒸気経路50から延在する。本実施例においては、蒸気残響室61は、蒸気残響室61の端壁を定義する前壁44e(図2参照)を含む側壁44、カバー壁62及び底板パネル39により形成される。しかしながら、他の構成も可能であることは、理解されるであろう。
【0058】
蒸気残響室61の形状は、単一の共振周波数の形成を避けるよう構成される。本実施例においては、蒸気残響室61の隅部63が面取りされる。しかしながら、代替の構成が、その代わりに、又はそれに加えて用いられても良い。例えば、残響室61を形成する側壁44の部分が湾曲させられても良く、及び/又は、側壁44の部分が互いに非垂直な角度だけ傾けられても良い。
【0059】
蒸気残響室61のサイズ及び形状を変化させることにより、異なる周波数及びハーモニクスを決定することが可能である。それ故、蒸気残響室61を用いて、所望のノイズの周波数を決定することが可能である。例えば、前壁44eが、湾曲した構成を持っていても良い。
【0060】
蒸気残響室61の室入口64は、蒸気経路50と連通する。本実施例においては、蒸気残響室61への蒸気入口64の断面積は、蒸気経路50の断面積に略対応するか、又は蒸気経路50の断面積よりも大きい。このことは、蒸気経路50に沿って通過するスケールが、室入口64において制約を引き起こすことを制限する。室入口64は、蒸気残響室61の室端65により部分的に定義される。室端65は、蒸気経路50のなかに延在する。本実施例においては、室端65は、蒸気残響室61の下側に沿って延在するが、他の構成も可能である。室端65は、弓型である。代替としては、該室端は直線状であり、所望のハーモニクス及び/又は周波数を実現するよう他の輪郭形状を持つ。本実施例においては、室端65は傾斜したリップ部66により形成されるが、該傾斜したリップ部は省略されても良い。室端65は、蒸気経路50を放出室54に連通させる経路に延在する。
【0061】
室端65は、流れ妨害器として機能する。即ち、室端65は、蒸気の流れを妨害するよう構成される。室端65は、蒸気流れ分離器である。室端65は、蒸気の流れを2つのストリームに分離するよう機能する。蒸気経路50及び室端65は、蒸気経路50に沿って流れる蒸気が、室端65と交差するよう構成される。即ち、蒸気経路50に沿って流れる蒸気は、室端65によって、2つの別個の流れのストリームへと分離させられる。該室端上の第1の流れストリームは、蒸気残響室61へと流入させられ、第2の流れストリームは、放出室54に直接に流入させられる。
【0062】
蒸気経路出口52における蒸気の流れを安定化させるため、流れ安定化器67が配置される。本実施例における流れ安定化器67は、傾斜した面である。該傾斜した面は、平坦な斜面として構成される。流れ安定化器67は、省略されても良い。本実施例においては、流れ安定化器67は、基部53の端部にある。
【0063】
流れ安定化器67はまた、蒸気経路出口52における蒸気の流れを室端65へと向け、流れ妨害器として機能するよう構成される。それ故、流れ安定化器67は、安定化された蒸気の流れを流れ妨害器に向けるよう構成される。
【0064】
蒸気システムアイロン10の動作が、図1乃至3を参照しながら以下に説明される。蒸気装置として機能する蒸気システムアイロン10を動作させるため、ユーザは水容器21を水又はその他の適切な流体で満たす。コントローラ27は、蒸気システムアイロン10を制御するよう構成される。即ち、コントローラ27は、例えば水ポンプ22、加熱器40及び水供給部(図示されていない)を制御するよう構成される。コントローラ27は、ユーザ入力部25の操作に応答して、蒸気システムアイロン10を動作させる。
【0065】
水は水ポンプ22によって水容器21からホース23に沿って供給される。水は、蒸気ヘッド30の水入口36に送られる。加熱器40が動作させられ、底板パネル39に熱エネルギーを供給する。それ故、底板パネル39が加熱される。底板パネル39、及び従って蒸気生成面45の温度は、サーモスタット(図示されていない)を参照しながらコントローラ27により制御される。蒸気生成面45の温度が予め定義されたレベルに等しいか該レベルよりも高くなると、コントローラ27は水供給部(図示されていない)を動作させる。水が、蒸気生成室41に送られる。蒸気生成室41に送られた水は、蒸気生成面45の供給領域46と接触し、蒸発させられる。それ故、蒸気生成室41において、水が蒸気へと変換される。
【0066】
蒸気が生成されると、蒸気生成室41における水の蒸発により引き起こされる増大せられた圧力により、蒸気の流れが生成される。蒸気生成室41から蒸気口37への経路、及び従って蒸気ヘッド30の外部への経路が開かれるため、蒸気が蒸気経路50に沿って流される。蒸気生成室41のなかの蒸気は、蒸気経路入口51を通り、蒸気経路50に沿って流れる。蒸気は次いで、蒸気経路出口52へと流れる。蒸気の流れの速さは、蒸気が生成される速さに依存する。
【0067】
蒸気は、蒸気経路出口52へと流れる。蒸気経路50は、蒸気経路50から流れる蒸気が、流れ安定化器67上を流れるように構成される。蒸気の流れは、流れ安定化器67の傾けられた面の上を流れ、向きを変化させられる流れにより調整される。このことは、安定した高速の蒸気の流れをもたらす。流れ安定化器67は、流れ妨害器として機能する室端65の方へ蒸気の流れを向ける。即ち、室端65は、蒸気の流れと交差するよう構成される。蒸気の流れは次いで、室端65により分離させられる。室端65は、流れ分離器として構成される。生成される第1の流れストリームは、室端65上を流れる。該第1の流れストリームは、蒸気残響室61へと向けられる。生成される第2の流れストリームは、室端65の下を流れる。該第2のストリームは、放出室54へと直接に流れるよう向けられる。
【0068】
室端65により蒸気の流れが分離されると、流れは不安定になり、室端65の各側において振動する。このことは、音波として広がる圧力パルスの列を生成する。このことは、ノイズの生成を支援する。第1の流れストリームは、蒸気残響室61に向けられ、該蒸気残響室61において、振動する第1の流れストリームによって定在波が励起される。それ故、振動の周波数は安定化され、生成されるノイズが増幅される。蒸気残響室61の構成により、単一の共振周波数の形成が防止され、従って複数の共振周波数及びそれらの高調波が生成される。単一の共振周波数を防ぐことにより、ユーザに不快感を引き起こすノイズの生成を制限することが可能となる。
【0069】
蒸気残響室61を出た蒸気の流れは、室入口64を通って流れ戻り、蒸気経路50から流れる蒸気と結合する。このストリームは次いで、蒸気残響室61に流れ戻るか、又は放出室54へと入り蒸気口37を通って流れ得る。
【0070】
第2の蒸気の流れストリームは、通路55を通り、放出室54へと向けられる。該第2の流れストリームは、室端65の下側において振動する。それ故、ノイズが生成される。該第2の流れストリームは、放出室54を通り流れる。放出室54における二次的な流れ妨害器(図示されていない)が、結合された流れを安定化させることを支援しても良いことは、理解されるであろう。該ストリームは次いで、蒸気口37から出て流れ、蒸気ヘッド30から出る。それ故、該ストリームは、布接触面38が押し当てられることができる布へと向けられる。
【0071】
本構成により、蒸気の流れが、ユーザによって明確に聞かれることができるノイズを生成する。それ故、視覚的なインジケータなく、蒸気ヘッド30がいつ動作しているかをユーザが容易に決定することが可能である。処置されるべき布に蒸気ヘッド30が押し当てられているときには、蒸気口37からの蒸気の流れを見ることは困難であるので、このことは特に有用である。それ故、ユーザに対する好適なレベルのフィードバックを提供することが可能である。
【0072】
装置の使用の間、蒸気生成面45において、水が蒸発させられる。水が蒸発させられると、蒸気生成面45において無機物の堆積物が形成され得る。これら無機物の堆積物は、スケールとして知られる。スケールは、面上に蓄積し、次いで剥がれ落ちてスケール粒子を形成する傾向がある。閉塞を制限するため、蒸気生成室42から蒸気口37へのスケール粒子の通過を可能とするため、妨害されない経路が提供される。室により形成されるノイズ生成器を備えることにより、妨害なくスケール粒子を除去することが可能となる。更に、蒸気残響室61において受容されるいずれのスケール粒子もが除去されることが可能となる。当該構成はまた、蒸気経路50の基部53が平坦であり、蒸気経路50に沿ったスケール粒子の流れを引き起こし得る、いずれの直立障害物もないことを意味する。このことは、スケール及び液体が、制約なく蒸気経路50の基部53に沿って自由に流れることを意味する。
【0073】
以上に説明された実施例においては、ノイズ生成器60は蒸気経路出口52にあるが、ノイズ生成器は、供給領域46から蒸気口37への蒸気経路上の他のどこにでも配置されても良いことは、理解されるであろう。更に、蒸気生成器41により生成される蒸気に作用するよう構成されたノイズ生成器のための代替の構成が想到され得ることは、理解されるであろう。例えば、蒸気生成システムアイロン10のための蒸気ヘッドの更なる実施例80が、図4乃至7に示されている。一実施例が、図4及び5に示される。これらの図は、蒸気ヘッド80の断面図を示す。当該実施例の特徴及び構成要素は、図1乃至3を参照しながら以上に説明された蒸気ヘッドの実施例のものと概ね同じであり、従って詳細な説明は省略される。更に、用語及び参照番号は維持される。しかしながら、本実施例においては、ノイズ生成器90は、蒸気経路50に沿って配置される。
【0074】
図4及び5を参照すると、蒸気ヘッド80の断面平面図、及び蒸気経路50の断面側面図が示されている。蒸気経路50の構成は、以上に説明された実施例の蒸気経路50と概ね同一であり、従って詳細な説明は省略される。
【0075】
本実施例の蒸気経路50は、蒸気経路入口51及び蒸気経路出口52を有する。蒸気は、蒸気経路出口52を通り、蒸気口(図4及び5には示されていない)へと流れる。蒸気経路出口52は、放出室54を介して蒸気口37と連通する。放出室54は省略されても良いことは、理解されるであろう。
【0076】
蒸気経路50は、長細である。蒸気経路出口52は、蒸気経路50の、蒸気経路入口51とは反対側に配置される。蒸気経路50は、底板パネル39の上側面43及び底板32の側壁44により形成される。蒸気経路50は、左周縁側壁44aと内側壁44dとの間に定義される。底板パネル39の上側面43の第2の部分は、蒸気経路50の基部53を定義する。基部53は、蒸気経路入口51と蒸気経路出口52との間に延在する。基部53は底板パネル39の上側面43により形成されるため、基部53は、加熱器(図4及び5には示されていない)により加熱され、従って二次的な蒸気生成面を形成することは、理解されるであろう。このことは、凝縮物が蒸気経路出口52を通過することを防止することを支援する。内側壁44dは、蒸気経路入口51を形成する開口を提供するため、後壁44cから離隔される。一代替例においては、内側壁44dに開口が形成されて、蒸気経路入口51を形成する。
【0077】
カバー壁62は、蒸気経路50の上側面68を定義する。カバー壁62は、例えばアルミニウムのような熱伝導性材料から形成されるが、代替の構成も想到可能である。側壁44は、カバー壁62まで延在する。
【0078】
本実施例においては、ノイズ生成器90が蒸気経路50内にある。ノイズ生成器90は、反響部材構成91を有する。反響部材構成91は、複数の(3つが図示されている)反響部材92を有する。反響部材92の数、ピッチ及び位置は、所望のハーモニクス及び/又は周波数を実現するよう変更されても良いことは、理解されるであろう。
【0079】
各反響部材92は、蒸気の流れに垂直に、蒸気経路50を横切って延在する。即ち、各反響部材92は、蒸気経路50の長軸に垂直に延在する。各反響部材92は、側壁44aと44dとの間に延在する。反響部材92は、一体的に形成されても良い。各反響部材92は、蒸気経路50の上側面68から離隔される。上側面68と各反響部材92との間に、空間93が定義される。各反響部材92は、それぞれの隣接する反響部材92から離隔される。
【0080】
各反響部材92は、蒸気経路50の基部53から離隔される。即ち、各反響部材92と基部53との間に、障害物のない通路が定義される。それ故、蒸気経路50の基部53が平坦であり、蒸気経路50に沿ったスケール粒子の流れを引き起こし得る、いずれの直立障害物もないこととなり得る。このことは、スケール及び液体が、制約なく蒸気経路50の基部53に沿って自由に流れることを意味する。
【0081】
各反響部材92は、先行端94を持つ。各反響部材92の先行端94は、蒸気経路入口51の近位端である。本実施例においては、先行端94は平坦である。先行端94は、蒸気の流れに垂直に延在する。各反響部材92は、長方形の輪郭を持つ。
【0082】
しかしながら、反響部材92の形状は変更されても良いことは、理解されるであろう。例えば、ノイズ生成器100の代替の反響部材構成101が、図6に示されている。本構成においては、円形の輪郭を持つ3つの反響部材102が示されている。即ち、各反響部材102は、円筒形である。各反響部材102は、空間103により、蒸気経路50の上側面68から離隔される。本実施例の各反響部材102は、先行端104を持つ。先行端104は、弓型である。各反響部材102の先行端104は、蒸気経路入口51の近位端である。
【0083】
蒸気装置80が動作させられると、以上に説明されたように蒸気生成器41において蒸気が生成される。蒸気は蒸気経路入口51を通って蒸気経路50へと流れ、蒸気経路50に沿って流れる。蒸気は、反響部材構成91を通過して、蒸気経路出口52へと流れる。蒸気が蒸気経路50に沿って流れるため、反響部材92は蒸気の流れと交差する。各反響部材92は、蒸気経路50に沿った略層流状のストリームの流れにおいて、流れ乱流を生成する。それ故、蒸気経路50に沿って流れる高速の蒸気が、反響部材92の先行端94を通過して動き、流れにより引き起こされる音声が生成される。先行端94は、流れ妨害器として機能する。即ち、先行端94は、蒸気の流れを乱すよう構成される。先行端94は、蒸気流れ分離器である。先行端94は、蒸気の流れを2つのストリームに分割するよう機能する。周波数及びその高調波は、ストローハル(Strouhal)の式を用いて算出され得る。蒸気経路50の上側面68からの反響部材92の離隔は、ストリーム流における分割が、反響部材92の上下の2本の流れストリームを引き起こすようにする。
【0084】
図7を参照すると、以上に説明された実施例においては、反響部材は蒸気経路50の上側面68から離隔されていたが、代替の実施例においては、ノイズ生成器110が、反響部材構成111を持つ蒸気経路50にあり、反響部材112が、上側面68から突出している。斯かる実施例においては、各反響部材112は蒸気経路50へと延在し、それ故蒸気経路50を通る蒸気の流れにまで延在する。各反響部材112の自由端114は、蒸気経路50に沿った略層流状の流れに流れ乱流を生成するよう機能する。それ故、蒸気経路50に沿って流れる高速の蒸気が、反響部材112の自由端114を過ぎて、流れにより引き起こされる音声が生成される。自由端114は、流れ妨害器として機能する。即ち、自由端114は、蒸気の流れを乱すよう構成される。自由端114の下流にある各反響部材112により、空洞115が形成される。このことは、自由端114からの振動波が広がって入る空間を生成する。該空洞は、生成されるノイズレベルを最大化することを支援する。各反響部材112は、蒸気経路50の基部53から離隔される。即ち、各反響部材112と基部53との間に、障害物のない通路が定義される。それ故、蒸気経路50の基部53が平坦であり、蒸気経路50に沿ったスケール粒子の流れを引き起こし得る、いずれの直立障害物もないこととなり得る。このことは、スケール及び液体が、制約なく蒸気経路50の基部53に沿って自由に流れることを意味する。
【0085】
以上に説明された実施例においては、各反響部材112は等しい長さを持つが、隣接する反響部材112の長さは異なっていても良いことは、理解されるであろう。同様に、各反響部材112の形状、及び/又は反響部材112のアレイの隣接する反響部材112間の距離は、変更されても良い。
【0086】
以上に説明された実施例においては、反響部材は上側面68から突出する梁であるが、代替の構成も可能であることは理解されるべきである。例えば、一構成においては、上側面68から突出する反響部材は、上側面68に形成された隆線である。上側面68は、反響部材を形成する波形の構成を持っても良い。
【0087】
図8に示されたノイズ生成器116の代替の反響部材構成115を参照すると、ノイズ生成器における各隣接する反響部材117の構成が異なっていても良いことが理解されるであろう。このことは、各反響部材117が、蒸気経路を通る蒸気の流れに対して異なる効果を持つことをもたらす。斯かる構成によれば、各反響部材117により生成される周波数及びその高調波は異なることとなる。このことは、大きなスペクトルの音声を生成することを支援する。それ故、ユーザに対する不快感は最小化され得る。例えば、反響部材117の断面形状、上側面68からの離隔、寸法及び/又は剛性は、異なっても良い。
【0088】
一実施例においては、隣接する反響部材117は、異なる距離だけ上側面68から離隔される。例えば、上側面68と或る反響部材との間の空間の高さは、上側面68と隣接する反響部材との間の空間の高さの半分であっても良い。斯かる構成は、図8に示されている。
【0089】
以上に説明された実施例においては、各反響部材92、102、112は等しい長さを持つが、隣接する反響部材117の長さは異なっていても良いことは理解されるものであり、その例は図8に示されている。同様に、隣接する反響部材117の形状、及び/又は、反響部材117のアレイの隣接する反響部材117間の距離は異なっていても良く、その例は図8に示されている。斯かる構成により、各反響部材により生成される周波数及びその高調波は異なることとなる。
【0090】
図9を参照すると、ノイズ生成器120の代替の反響部材構成121の更なる実施例が示されている。当該実施例の特徴及び構成要素は、以上に説明された蒸気ヘッドの実施例のものと概ね同じであり、従って詳細な説明は省略される。本実施例においては、チャネル分離器122が、蒸気経路50に配置される。
【0091】
チャネル分離器122は、長細である。チャネル分離器122は、蒸気経路50に沿って延在する。チャネル分離器122は、蒸気経路50を主蒸気チャネル123と副蒸気チャネル124とに分割する。チャネル分離器122は、上側面68から離隔されて副蒸気チャネル124を定義する。チャネル分離器122は、基部53から離隔されて主蒸気チャネル123を定義する。チャネル分離器122は、側壁間に延在する。チャネル分離器122は、ノイズ生成器120を形成する。チャネル分離器122は、流れ妨害器として機能する。チャネル分離器122の端部127は、流れ分離器として機能する。副蒸気チャネル124は、(図3に示されたような)蒸気残響室61に類似する残響室として機能する。
【0092】
更なる実施例においては、図10に示されるように、チャネル分離器122に沿って連通開口125が形成される。連通開口125は、主蒸気チャネル123と副蒸気チャネル124との間を流体連通させる。連通開口125の数は変更されても良い。更に、連通開口125間の間隔、隣接する連通開口125のサイズ、及び/又は隣接する連通開口125の形状は、異なっていても良い。本実施例においては、タブ126が、各連通開口125の上流端から、主蒸気チャネル123へと下降している。タブ126の少なくとも1つは、副蒸気チャネル124へと延在していても良い。各タブ126は省略されても良い。各タブ126の長さは、異なっていても良い。各タブ126は、ノイズの生成を最大化させるための乱流を促進することを支援する。各タブ126は、基部53から離隔される。各タブ126の自由端128は、蒸気経路50における上流方向に延在する。各タブ126の構成は、所望されるノイズタイプに応じて変更されても良いことは、理解されるであろう。
【0093】
ノイズ生成器の実施例は、以上において別個に説明されたが、例えば、種々のノイズ効果を生成するため、又はノイズレベルの音量を増大させるために、2つ以上の実施例、又は2つ以上の実施例の特徴が、互いと組み合わせられて使用されても良いことは、理解されるであろう。一実施例においては、蒸気穴から放出される前に、ノイズ生成器を通過して流れた蒸気の流れを安定化させるために、流れ経路に配置されたノイズ生成器と組み合わせて、流れ安定化器が用いられる。
【0094】
以上に説明された実施例においては、蒸気生成器は蒸気ヘッド内にあるが、蒸気生成器は基部ユニットにあっても良いことは、理解されるであろう。斯かる構成においては、蒸気は、ホース23により定義される蒸気経路に沿って、基部ユニットから流れる。
【0095】
ここで説明された実施例においては、ポンプは基部ユニット内にあるが、代替の実施例においては、ポンプは蒸気ヘッドにあることは、理解されるであろう。
【0096】
一実施例においては、水容器は蒸気ヘッド内にある。斯かる構成においては、基部ユニットは省略されても良い。斯かる構成においては、水容器、ポンプ及び蒸気生成器は、蒸気ヘッド内にある。斯かる構成は、ハンドヘルド型蒸気アイロンである。
【0097】
「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではないことは、理解されるであろう。単一のプロセッサが、請求項に列記された幾つかのアイテムの機能を実行しても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0098】
請求項は特徴の特定の組み合わせに向けたものであるが、本発明の開示の範囲は、いずれかの請求項において現在請求されているものと同一の発明に関するものであろうとなかろうと、また本発明が軽減するものと同一の技術的課題のいずれか又は全てを軽減するものであろうとなかろうと、明示的若しくは暗黙的にここで開示されたいずれの新規な特徴若しくは特徴の新規な組み合わせ、又はその一般化をも含むことは、理解されるべきである。本出願人はここで、本出願又は本出願から導かれるいずれかの更なる出願の手続きの間に、斯かる特徴及び/又は斯かる特徴の組み合わせに対して、新たな請求項が作成され得ることを注記しておく。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10