特許第6767379号(P6767379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6767379ボディ接続を伴うスイッチトランジスタを有するRF回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6767379
(24)【登録日】2020年9月23日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】ボディ接続を伴うスイッチトランジスタを有するRF回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/00 20060101AFI20201005BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20201005BHJP
   H04B 1/44 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   H03K17/00 D
   H03K17/687 G
   H04B1/44
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-545968(P2017-545968)
(86)(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公表番号】特表2018-513582(P2018-513582A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】US2016020908
(87)【国際公開番号】WO2016144762
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2019年2月15日
(31)【優先権主張番号】14/640,377
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/694,707
(32)【優先日】2015年4月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】マックス・サミュエル・アーバイン
(72)【発明者】
【氏名】クリント・ケマーリング
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5689144(US,A)
【文献】 特開2014−138423(JP,A)
【文献】 特開2013−9138(JP,A)
【文献】 特開2010−278110(JP,A)
【文献】 特開2014−155227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K17/00
H03K17/687−17/695
H04B1/38−1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースと、ドレインと、ゲートと、ボディとを有するスイッチトランジスタと、
ゲート制御電圧(Vg)を前記ゲートに印加するように構成される第1の電圧制御源と、
前記スイッチトランジスタがオン状態にあるとき、ボディ制御電圧(Vb)が正のバイアス電圧であるように、前記ボディ制御電圧を前記ボディに印加するように構成される、前記第1の電圧制御源と異なる第2の電圧制御源であって、前記正のバイアス電圧は、前記スイッチトランジスタのpn接合ダイオードの内蔵電位を上回る大きさを有する、第2の電圧制御源と
を備える、RF回路。
【請求項2】
前記第1の電圧制御源が第1のレベルシフタであり、
前記第2の電圧制御源が第2のレベルシフタである、
請求項1に記載のRF回路。
【請求項3】
前記スイッチトランジスタがNチャネルトランジスタである、請求項1に記載のRF回路。
【請求項4】
前記スイッチトランジスタが前記オン状態にあるときの前記正のバイアス電圧(Vb)が0.7ボルトより高い、請求項1に記載のRF回路。
【請求項5】
前記スイッチトランジスタが前記オン状態にあるとき、前記正のバイアス電圧(Vb)が前記RF回路のデバイス線形性を改善する、請求項1に記載のRF回路。
【請求項6】
前記改善されたデバイス線形性が軽減されたハーモニック信号である、請求項5に記載のRF回路。
【請求項7】
前記ハーモニック信号が前記RF回路の基本周波数の3倍にある、請求項6に記載のRF回路。
【請求項8】
前記改善されたデバイス線形性が軽減された相互変調歪みである、請求項5に記載のRF回路。
【請求項9】
RF回路の中のスイッチトランジスタのゲートにゲート制御電圧(Vg)を印加するステップと、
前記スイッチトランジスタのボディにボディ制御電圧(Vb)を印加するステップであって、前記スイッチトランジスタがオン状態にあるとき、前記ボディ制御電圧(Vb)が正のバイアス電圧であり、前記正のバイアス電圧は、前記スイッチトランジスタのpn接合ダイオードの内蔵電位を上回る大きさを有する、ステップと
を含み、
前記ゲート制御電圧(Vg)は、第1の電圧制御源から前記ゲートに印加され、
前記ボディ制御電圧(Vb)は、第2の電圧制御源から前記ボディに印加され、前記第2の電圧制御源が前記第1の電圧制御源と異なる、
方法。
【請求項10】
前記正のバイアス電圧(Vb)が0.7ボルトより高い、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スイッチトランジスタが前記オン状態にあるとき、前記正のバイアス電圧(Vb)を前記スイッチトランジスタの前記ボディに印加することによって、前記RF回路のデバイス線形性を改善するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記改善されたデバイス線形性が、前記RF回路の基本周波数の3倍の周波数をもつ軽減されたハーモニック信号である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディ接続を伴うスイッチトランジスタを有するRF回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波(RF)回路は通常、その中で生成される望ましくないハーモニック信号を有する。ハーモニック信号は一般に、非線形の物理的な相互作用、すなわち、RF回路の中の部品の静電容量、抵抗、およびインダクタンスにより引き起こされる。ハーモニック信号は一般に、RF回路の、したがってRF回路を組み込むデバイス全体の性能を低下させる。したがって、たとえば、デバイスレイアウトの対称性を向上させること、誘電基板の導入を通じて半導体の静電容量を低減すること、自由キャリアの寿命を短くするためにデバイスの近くでトラップリッチ層を使用することなどの、RC回路内でハーモニック信号および/またはその影響を軽減するための、様々な技法が開発されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの実施形態では、RF回路は、ソースと、ドレインと、ゲートと、ボディとを有する、スイッチトランジスタを備える。ゲート制御電圧がスイッチトランジスタのゲートに印加される。ボディ制御電圧がスイッチトランジスタのボディに印加される。ボディ制御電圧は、スイッチトランジスタがオン状態にあるとき、正のバイアス電圧である。
【0004】
いくつかの実施形態では、方法は、ゲート制御電圧をRF回路の中のスイッチトランジスタのゲートに印加するステップと、ボディ制御電圧をスイッチトランジスタのボディに印加するステップとを備える。ボディ制御電圧は、スイッチトランジスタがオン状態にあるとき、正のバイアス電圧である。
【0005】
いくつかの実施形態では、RF回路は、ソースと、ドレインと、ゲートと、ボディとを有する、スイッチトランジスタを備える。制御電圧が、第1の抵抗を通じてスイッチトランジスタのゲートに印加され、第2の抵抗を通じてスイッチトランジスタのボディに印加される。第1の抵抗は第2の抵抗と異なる。
【0006】
いくつかの実施形態は、ゲート制御電圧を作り出す第1の電圧制御源と、ボディ制御電圧を作り出す第2の電圧制御源とを伴う。いくつかの実施形態では、スイッチトランジスタがオン状態にあるときの正のバイアス電圧は、約0.7ボルトより大きい。いくつかの実施形態では、正のバイアス電圧は、スイッチトランジスタがオン状態にあるとき、ハーモニック信号および/または相互変調歪みなどの、RF回路のデバイス線形性を改善する。いくつかの実施形態では、ハーモニック信号はRF回路の基本周波数の3倍にある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のある実施形態を組み込むRF回路の簡略化された電子的な概略図である。
図2】本発明のある実施形態による、図1に示されるRF回路において使用するためのRFスイッチの簡略化された電子的な概略図である。
図3】本発明のある代替的な実施形態を組み込む別のRF回路の簡略化された電子的な概略図である。
図4】本発明のある実施形態による、図3に示されるRF回路において使用するための別のRFスイッチの簡略化された電子的な概略図である。
図5】本発明のある実施形態を組み込む例示的なRFスイッチの機能を示す、ハーモニック電力対入力電力の簡略化されたグラフである。
図6】本発明のある実施形態を組み込む例示的なRFスイッチの機能を示す、ボディ電流対入力電力の簡略化されたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のある実施形態を組み込むRF回路100の一部分が図1に示されている。RF回路100は一般に、デコーダ101と、電圧制御源102および103の2つのセットと、RFスイッチコア104とを含む。RFスイッチコア104は一般に、ノードRFC、RF1、およびRF2の間で示されるように接続されたRFスイッチ105〜108を含む。RFスイッチ105〜108は、図2に関して以下でより詳細に説明されるが、一般に、ソースと、ドレインと、ゲートと、ボディとを有するスイッチ電界効果トランジスタ(SWFET)(すなわち、4端子SWFET構成)を含む。RF回路100の動作の間、RFスイッチ105〜108のSWFETはオンおよびオフし、ノードRFCと他のノード(RF1およびRF2)との間に(オンであるとき)RF搬送波信号を通す。ハーモニックおよび相互変調歪みなどのデバイス線形性の改善は、ボディのつながりにより、SWFETの「オン」状態と「オフ」状態との両方において実施されることが可能である。具体的には、オン状態の間、SWFET105〜108のボディは、正にバイアスされたボディ制御電圧Vbを受ける。この正のボディ制御バイアス電圧という特徴は、ボディバイアス電圧が0ボルトに保たれる、またはほぼ0ボルトでフローティング状態となることが許容される従来のRF回路技法とは対照的であり、それは、正のボディ制御バイアス電圧が、従来の技法と比較して、ハーモニック信号のより強い軽減、相互変調歪みの改善、およびRF回路100の性能の改善などの、線形性の改善に関する予想外の結果を生み出したからである。線形性の改善は一般に、ボディ制御電圧Vbが、約0.7〜1ボルトより大きな、または約0.7〜1ボルトと約5ボルトの間にある、相対的に高い正の値または「実質的に」正の値であるときに発生する。(ボディ制御電圧Vbは、SWFET105〜108のボディに印加されるものとして本明細書において説明されることがあるが、本明細書において別段規定されない限り、いくつかの実施形態では、ボディ制御電圧Vbは実際には、SWFET105〜108のボディに達する前に適切な抵抗を通じて印加されることがある。抵抗を通じて適用されるとき、ボディにおける実際のバイアス電圧は、SWFET105〜108の通常の内蔵pn接合ダイオードによって制限されることがある。)
【0009】
ノードRFCは一般に、RF搬送波信号を受信して送信するために、RF回路100の中のアンテナに接続する。ノードRF1およびRF2は一般に、RF回路100の「下流の(downstream)」回路構成要素に接続する。(「下流」という用語は、RF搬送波信号の伝播の方向を必ずしも完全に表すものではなく、それは、RF搬送波信号が、両方向に受信および/または送信されることが可能であるからである。したがって、ノードRFCは、「上流(upstream)ノード」または「アンテナ側ノード」または他の適切な呼称で呼ばれることがある。加えて、ノードRF1およびRF2は、「下流ノード」または「内部ノード」または他の適切な呼称で呼ばれることがある。)RFスイッチコア104は一般に、下流もしくは内部の回路構成要素へ、またはそれらからRF搬送波信号をルーティングするための経路を提供する。例示される実施形態では、2つの下流ノード(RF1およびRF2)への2つの経路のみが示されている。しかしながら、他の実施形態は、任意の数の経路および下流ノードを有してもよい。
【0010】
電圧制御源102および103は、本明細書において説明されるような制御電圧を作り出すことができる任意の適切な構成要素であってもよい。たとえば、例示される実施形態では、電圧制御源102および103は、ゲート制御電圧Vgおよびボディ制御電圧Vbを作り出すための、正電圧生成器109および110ならびに負電圧生成器111および112の制御下で動作する電圧レベルシフタであってもよい。第1の電圧制御源102はRFスイッチ105〜108のためのゲート制御電圧Vgを生成し、第2の電圧制御源103はRFスイッチ105〜108のためのボディ制御電圧Vbを生成する。したがって、RFスイッチ105〜108は、ゲート制御電圧Vgおよびボディ制御電圧Vbの制御下で動作する。たとえば、ゲート制御電圧Vgは一般に、RFスイッチ105〜108をオンおよびオフする。オンであるとき、RFスイッチ105〜108は、たとえば約900MHzの基本周波数を伴う、RF周波数範囲中の搬送波信号を通す。オン状態の間、ゲート制御電圧Vgは、閾値電圧Vtより大きいことがあり、または約+2.5ボルトと5ボルトの間にあることがある。加えて、ボディ制御電圧Vbは一般に、必要に応じてRFスイッチ105〜108のSWFETのボディにバイアスを与え、このバイアスは、RFスイッチ105〜108のオン状態の間にRF回路100においてハーモニック信号を軽減するための、およびRF回路100の性能を改善するための上で言及された正のボディ制御バイアス電圧を含む。いくつかの実施形態では、オフ状態の間、SWFET105〜108のボディは、負にバイアスされたボディ制御電圧Vbを受ける。
【0011】
デコーダ101は、一般に制御信号CTRL1およびCTRL2を受信し復号された信号113を作り出す、任意の適切な構成要素(または複数の構成要素)であってもよい。制御信号CTRL1およびCTRL2は一般に、RF回路100の外部にある適切な制御回路によって作り出される。復号された信号113は、電圧制御源102および103に与えられる。正および負電圧生成器109〜112によって電力供給されるレベルシフタのような、例示される実施形態では、電圧制御源102および103は一般に、復号された信号113をレベルシフトして、ゲート制御電圧Vgおよびボディ制御電圧Vbを作り出す。
【0012】
RFスイッチ108のある例示的な実施形態が図2に示されている。これと同じ設計がスイッチ105〜107にも適用されることが可能である。RFスイッチ108は一般にSWFET114〜116を含む。SWFET114〜116は、RF2からグラウンドへ直列に(ソースからドレインに)接続される。電圧制御源102のうちの対応する1つからのゲート制御電圧Vgが、上で述べられたようにオン状態とオフ状態との間でSWFET114〜116を切り替えるために、SWFET114〜116のゲートへ抵抗117を通じて接続される。加えて、電圧制御源103のうちの対応する1つからのボディ制御電圧Vbが、上で述べられたように所望のボディバイアスをもたらすために、SWFET114〜116のボディへ抵抗118を通じて接続される。いくつかの実施形態では、抵抗117および118は、RFスイッチ108の一部であると見なされないが、任意選択であってもよく、またはRF回路100の別の部分に位置してもよく、たとえば電圧制御源102および103とRFスイッチ108との間の任意の位置にあってもよい。加えて、RFスイッチ108は3つのSWFET114〜116を有するものとして示されているが、他の実施形態は、任意の適切な数のSWFETを使用してもよい。例示される実施形態では、SWFET114〜116はNチャネルトランジスタである。
【0013】
本発明のある代替的な実施形態を組み込むRF回路300の一部分が図3に示されている。RF回路300は一般に、デコーダ301と、電圧制御源302のセットと、RFスイッチコア304とを含む。RFスイッチコア304は一般に、ノードRFCと、RF1と、RF2との間に示されているように接続されたRFスイッチ305〜308を含む。RFスイッチ305〜308は、図4に関して以下でより詳細に説明されるが、一般に、ソースと、ドレインと、ゲートと、ボディとを有するスイッチ電界効果トランジスタ(SWFET)を含む。RF回路300の動作の間、RFスイッチ305〜308のSWFETは、オンおよびオフし、(オンであるとき)ノードRFCと他のノード(RF1およびRF2)との間にRF搬送波信号を通す。「オン」状態の間、SWFET305〜308のボディは、正にバイアスされたボディ制御電圧を受ける。この正のボディ制御バイアス電圧という特徴は、ボディバイアス電圧が0ボルトに保たれる、またはほぼ0ボルトでフローティング状態となることが許容される従来のRF回路技法とは対照的であり、それは、正のボディ制御バイアス電圧が、従来の技法と比較して、ハーモニック信号のより強い軽減、RF回路300の性能の改善に関する予想外の結果を生み出したからである。
【0014】
ノードRFCは一般に、RF搬送波信号を受信して送信するために、RF回路300の中のアンテナに接続する。ノードRF1およびRF2は一般に、RF回路300の「下流の」回路構成要素に接続する。(「下流」という用語は、RF搬送波信号の伝播の方向を必ずしも完全に表すものではなく、それは、RF搬送波信号が、両方向に受信および/または送信されることが可能であるからである。したがって、ノードRFCは、「上流ノード」または「アンテナ側ノード」または他の適切な呼称で呼ばれることがある。加えて、ノードRF1およびRF2は、「下流ノード」または「内部ノード」または他の適切な呼称で呼ばれることがある。)RFスイッチコア304は一般に、下流もしくは内部の回路構成要素へ、またはそれらからRF搬送波信号をルーティングするための経路を提供する。例示される実施形態では、2つの下流ノード(RF1およびRF2)への2つの経路のみが示されている。しかしながら、他の実施形態は、任意の数の経路および下流ノードを有してもよい。
【0015】
電圧制御源302は、本明細書において説明されるような制御電圧を作り出すことができる任意の適切な構成要素であってもよい。たとえば、例示される実施形態では、電圧制御源302は、制御電圧Veを作り出すための、正電圧生成器309および負電圧生成器311の制御下で動作する電圧レベルシフタであってもよい。制御電圧Veは、上で説明されたゲート制御電圧Vgおよびボディ制御電圧VbとしてRFスイッチ305〜308に与えられる。したがって、RFスイッチ305〜308は、制御電圧Veの制御下で動作する。RFスイッチ305〜308のゲートに印加される直接ゲート制御電圧およびそれらのボディに印加される直接ボディ制御電圧はともに、図4に関して以下で説明されるように、制御電圧Veから導出され、またはそれに基づく。たとえば、直接ゲート制御電圧は一般に、RFスイッチ305〜308をオンおよびオフする。オンであるとき、RFスイッチ305〜308は、たとえば約900MHzの基本周波数を伴う、RF周波数範囲中の搬送波信号を通す。加えて、直接ボディ制御電圧は一般に、RFスイッチ305〜308のオン状態の間にRF回路300においてハーモニック信号を軽減するために、およびRF回路300の性能を改善するために必要とされるように、RFスイッチ305〜308のSWFETのボディにバイアスを与える。さらに、オフ状態の間、SWFET305〜308のボディは負にバイアスされたボディ制御電圧を受け、それは、ゲート制御電圧がオフ状態の間は負であり、ボディ制御電圧がゲート制御電圧に直接関連するからである。
【0016】
デコーダ301は、一般に制御信号CTRL1およびCTRL2を受信し復号された信号313を作り出す、任意の適切な構成要素(または複数の構成要素)であってもよい。復号された信号313は電圧制御源302に与えられる。正電圧生成器309および負電圧生成器311によって電力供給されるレベルシフタのような、例示される実施形態では、電圧制御源302は一般に、復号された信号313をレベルシフトして、制御電圧Veを作り出す。
【0017】
RFスイッチ308のある例示的な実施形態が図4に示されている。これと同じ設計がスイッチ305〜307にも適用されることが可能である。RFスイッチ308は一般にSWFET314〜316を含む。SWFET314〜316は、RF2からグラウンドへ直列に(ソースからドレインに)接続される。電圧制御源302のうちの対応する1つからの単一の制御電圧Veが、上で述べられたようにオン状態とオフ状態との間でSWFET314〜316を切り替えるためにSWFET314〜316のゲートへ印加される直接ゲート制御電圧Vg'を形成するために、抵抗317を通じて接続される。加えて、制御電圧Veも、上で述べられたようにハーモニック信号を軽減するための所望のボディバイアスをもたらす直接ボディ制御電圧Vb'を形成するために、SWFET314〜316のボディへ抵抗318を通じて接続される。いくつかの実施形態では、抵抗317および318は異なる値を有するので、直接ゲート制御電圧Vg'およびボディ制御電圧Vb'は、抵抗317および318が共通の回路ノード319を共有するとしても、異なる値を有する。オン状態の間、直接ゲート制御Vg'は、閾値電圧Vtより大きいことがあり、または約+2.5ボルトから+5ボルトの間にあることがある。加えて、RFスイッチ308はSWFET314〜316の3つを有するものとして示されているが、他の実施形態は、任意の適切な数のSWFETを使用してもよい。さらに、例示される実施形態では、SWFET314〜316はNチャネルトランジスタである。
【0018】
図3および図4の実施形態において、直接ゲート制御電圧Vg'およびボディ制御電圧Vb'は互いに独立ではなく、それは、それらがともに、同じ電圧制御源302によって生成された同じ制御電圧Veに基づいており、したがって、制御電圧Veの値ならびに抵抗317および318の値(またはそれらの比)によって互いに関連するからである。(抵抗317および318の抵抗値は一般に、約100kオームから約1Mオームにわたり、約1対1から約1対10までの間にある任意の適切な比の値を有してもよく、これによって、直接ゲート制御電圧Vg'およびボディ制御電圧Vb'の任意の適切な値、またはそれらの任意の適切な比がもたらされる。)一方、図1および図2の実施形態では、ゲート制御電圧Vgおよびボディ制御電圧Vbは互いに独立であり、それは、それらが異なる電圧生成器102および103によって生成され、したがって場合によっては互いに全く関連しないことがあるからである。したがって、図1および図2の実施形態は一般に、ボディとゲートが異なる電圧制御源102および103によって独立に制御されるように、ボディのバイアス接続とゲートのバイアス接続との分離を伴う。
【0019】
図3および図4の実施形態は一般に、構成要素がより少ないこと、たとえば、電圧制御源302の1つのセットしか有しないことにより、図1および図2の実施形態よりも物理的に小さいことがある(したがって、半導体ダイ上でより小さい空間を占有する)。一方、図1および図2の実施形態は一般に、ゲート制御電圧Vgおよびボディ制御電圧Vbが異なる電圧制御源102および103によって独立に生成されることにより、より柔軟であることがあり、図3および図4の実施形態が可能であるものよりも広範な制御の選択肢を可能にすることがある。
【0020】
本発明のある実施形態による、例示的なRFスイッチの基本周波数の3倍のハーモニック(すなわち、3次ハーモニック、3foまたはH3)に対するハーモニック電力対入力電力の簡略化されたグラフ501、502、および503が、図5に示されている。(3次ハーモニック以外の追加のハーモニック信号も本発明の実施形態によって改善されることがある。)たとえばRFスイッチ108または308に類似する、例示的なRFスイッチの機能が、グラフ501、502、および503を生成するために試験回路において評価された。例示的なRFスイッチのSWFETでは、ゲート長(Lg)は約0.19μmであり、ゲート制御電圧Vgは約+3ボルトであった。グラフ501は0ボルトに設定されたボディ制御電圧Vbにより得られ、グラフ502は+3ボルトに設定されたボディ制御電圧Vbにより得られ、グラフ503は+5ボルトに設定されたボディ制御電圧Vbにより得られた。
【0021】
グラフ501〜503によって示されるように、一般に、約5〜35dBmの入力電力範囲の全体で3次ハーモニックに改善が見られ、0付近を除き、より低い入力電力値においてより改善が大きい。たとえば、入力電力が約25dBmより小さいとき、ボディ制御電圧Vbが+3ボルトに設定されたとき(グラフ502)と比較して、ボディ制御電圧Vbが+5ボルトに設定された場合(グラフ503)の3次ハーモニックには、ほぼ-10dBの改善(矢印A-Aによって示される)がある。加えて、ボディ制御電圧Vbが0ボルトにある場合の例(グラフ501)は全般に、ボディがフローティング状態である、またはボディが0ボルトに保たれる従来の技法と同様の形状を表している。この場合、入力電力が約5〜15dBmであるときの+5ボルトのボディ制御電圧Vb(グラフ503)と0ボルトのボディ制御電圧Vb(グラフ501)との間で、-15dBより大きな3次ハーモニックの改善(矢印B-Bによって示される)が見られる。したがって、グラフ501〜503は全般に高い入力電力レベルでは収束するが、グラフ501〜503は、本発明の実装が原因の、例示的なRFスイッチの性能における3次ハーモニックの改善を示している。
【0022】
図5のグラフ501〜503の情報を提供した例示的なRFスイッチは、ボディダイオードと直列の約500kオームという比較的高い抵抗値を有していた。この方式では、ダイオードが順方向にバイアスされるとボディ電流が制限され、これは概ね、ボディ制御電圧Vbが約0.7ボルトより大きくなると発生した。図6は、本発明のある実施形態による、例示的なRFスイッチの機能をさらに示す、ボディ電流対入力電力のグラフを示す。グラフ600〜605はそれぞれ、0〜5ボルトからのボディ制御電圧Vbの各整数値に対するものである。
【0023】
ボディ制御電圧Vbが約0.7ボルトより大きいとき、すなわち、SWFETの内蔵pn接合ダイオードを上回るとき、ボディ電流は一般に、ボディ制御電圧Vbに線形に依存し、これは、電流がボディ抵抗によって制限され、オームの法則V=IRにより規定されることを示唆する。ボディ抵抗値をゲート抵抗値に対して独立なままにする設計には利点があり、それは、ゲート抵抗値が、ゲートのスイッチングの充電/放電時間と、充電ポンプ(図示されていない)とのRFスイッチの相互作用を決定するからである。
【0024】
より高い入力電力(たとえば、概ね25〜30dBmを超える)において、グラフ601〜605の各々における急上昇によって示されるように、追加のトランジスタ効果(場合によってはチャネルにおけるホットキャリアの生成)がボディ電流を増大させる。このボディ電流の増大は一般に、比較的高い入力電力レベルにおけるハーモニック電力振幅の収束と相関しているので、独立したボディ制御電圧Vbによる全体的なハーモニックの改善の目減りを示す。
【0025】
開示された発明の実施形態に対して参照が行われ、その1つまたは複数の例が添付の図面において示された。各例は、本技術の限定としてではなく本技術の説明を目的に与えられた。実際には、本技術の趣旨および範囲から逸脱することなく、本技術において修正および変形を行うことができることが、当業者には明らかであろう。たとえば、一実施形態の一部として例示または説明される特徴は、別の実施形態とともに、さらなる実施形態を生み出すために使用されてもよい。したがって、本主題は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内のすべてのそのような修正および変形をカバーすることが意図されている。
【0026】
本発明の実施形態は、その特定の実施形態に関して主に論じられたが、他の変形も可能である。説明される構造またはプロセスの様々な構成が、本明細書において提示される構成の代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。
【0027】
前述の説明は例として与えられるだけであり、本発明を限定することは意図されていないことを、当業者は理解するだろう。本開示のいずれの内容も、本発明が単一のウェハ上で実装されるシステムに限定されることを示すものではない。本開示のいずれ内容も、ある特定の形態の半導体プロセスまたは集積回路を必要とするシステムに本発明が限定されることを示すものではない。本開示のいずれの内容も、シリコンに基づく半導体デバイスに本発明を限定するものではない。一般に、提示されるいずれの図解も、1つの可能な構成を示すことのみが意図されており、多くの変形が可能である。本発明と一貫性のある方法およびシステムが、半導体構造または電子回路を包含する広範囲の適用において使用するのに適していることも、当業者は理解するであろう。
【0028】
本明細書は、本発明の特定の実施形態に関して詳細に説明されたが、上記を理解すれば、当業者がこれらの実施形態の代替、変形、および均等物を容易に想起することがあることが理解されるであろう。本発明へのこれらのおよび他の修正と変形は、添付の特許請求の範囲においてより具体的に記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実践されることがある。
【符号の説明】
【0029】
100 RF回路
101 デコーダ
102 電圧制御源
103 電圧制御源
104 RFスイッチコア
105 RFスイッチ
106 RFスイッチ
107 RFスイッチ
108 RFスイッチ
109 正電圧生成器
110 正電圧生成器
111 負電圧生成器
112 負電圧生成器
113 復号された信号
114 SWFET
115 SWFET
116 SWFET
117 抵抗
118 抵抗
300 RF回路
301 デコーダ
302 電圧制御源
304 RFスイッチコア
305 RFスイッチ
306 RFスイッチ
307 RFスイッチ
308 RFスイッチ
309 正電圧生成器
311 負電圧生成器
313 復号された信号
314 SWFET
315 SWFET
316 SWFET
317 抵抗
318 抵抗
319 共通の回路ノード
501 グラフ
502 グラフ
503 グラフ
600 グラフ
601 グラフ
602 グラフ
603 グラフ
604 グラフ
605 グラフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6