特許第6767495号(P6767495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6767495二重ティース構造のステータを有するモーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6767495
(24)【登録日】2020年9月23日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】二重ティース構造のステータを有するモーター
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
   H02K1/14 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-545096(P2018-545096)
(86)(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公表番号】特表2018-535644(P2018-535644A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】KR2016011187
(87)【国際公開番号】WO2017111267
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年5月15日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0185978
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512272708
【氏名又は名称】ニュモテク株式会社
【氏名又は名称原語表記】NEW MOTECH CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】518168007
【氏名又は名称】インダストリィ アカデミック コオパレイション ファンデーション, クンサン ナショナル ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRY ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION, KUNSAN NATIONAL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】イ ジミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ギョンシク
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフン
(72)【発明者】
【氏名】ギム ビョンテク
(72)【発明者】
【氏名】キム ナムジョン
【審査官】 末續 礼子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−061326(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105071620(CN,A)
【文献】 特開2009−153305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円型のベース、前記ベースで放射状に形成された複数個のポール、前記ポールの外径の方に形成された複数個のティースからなるステータ;及び
前記ステータが内部に位置し、前記ティースと向かい合う複数個のマグネットが内壁に形成されたローターハウジングを含むローター;
からなるモーターにおいて、
前記ポールは、一つのポールごとにその外径部分に前記ティースが二つずつ対称的に形成され、前記ティースの数は前記ポール数の2倍となるよう構成され、
前記ティースと接したティース間の空間であるスロットオープニングの、前記ポールとポール間の空間であるスロットに対する幅の比は、0.5ないし0.6であり、
前記一つのポールに形成された二つのティースは、互いにブリッジによって繋がっていて、前記ブリッジは、前記ポールの外径部分と前記二つのティースの内径部分を連結する形状を有するとともに、
前記ブリッジの外径部分には、内径方向に凹んだ溝が形成されており、さらに、
前記溝の深さは、前記ポールの外径部まで形成されていることを特徴とする、モーター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターに関するものである。より具体的に、本発明は、バーニア効果(vernier effect)を十分に得ることで逆起電力を上昇させることができると同時に、ステータにコイルの巻線数を増大させることができる構造を有するステータを含むモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
バーニアリラクタンスモーター(vernier reluctance motor)は、約50年前から知られてきたが、バーニア永久磁石モーター(vernier permanent magnet motor)の概念は、約20年前に示されたことがある。最近の研究によると、バーニア永久磁石モーターは、固定子のティースとローターのマグネットとのエア・ギャップ・パーミアンス(air−gap permeance)を考慮する場合、逆起電力の上昇によるモーターの出力上昇が得られることが報告されたことがある(Byungtaek Kim et al.,「Operation and Design Principles of a PM Vernier Motor」、IEEE Transactions on Industry Applications、Vol.50、No.6、pp.3656−3662)。
【0003】
逆起電力を上昇させるためには、モーターの回転によって発生するエア・ギャップ・パーミアンスと磁束密度との相関関係を考慮して、磁石の極対数をスロット数より大きく増加させ、モーターの回転による磁束密度の変化を大きくすることが必要である。ステータコアのティースとローターマグネット間のエアギャップによるエア・ギャップ・パーミアンスは、位相によって正弦波形態で表示されることがある。マグネットによる起磁力は、磁石の極対数と位相による正弦波で表示される。よって、エア・ギャップ・パーミアンスと起磁力の積で表される磁束密度は、二つの正弦波の和で示すことができるし、磁石の極対数、スロットの数、及び巻線の配置によって二つの正弦波の和を極大化させることができる。このような効果をバーニア効果(vernier effect)と言い、またはモジュレーション効果(modulation effect)とも言う。
【0004】
一方、磁石の極対数を増大させてスロット数は磁石の極対数より小さく設計する場合、バーニア効果を得るために巻線数を増大させる場合、ステータに巻線されるコイルの量が増加されるが、ステータコアの積層(スタック)の高さが十分な場合は問題ないが、スタックの高さが十分高くないスリムな形態を有するモーターの場合は、巻線数の増加によるステータ及びモーターの形状を維持することが困難である。
【0005】
本発明者は、このような問題を解決すると同時に、バーニア効果を十分に得られる新しい構造のモーターを提案する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Byungtaek Kim et al.,「Operation and Design Principles of a PM Vernier Motor」、IEEE Transactions on Industry Applications、Vol.50、No.6、pp.3656−3662
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、出力が向上された新しい構造のモーターを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、ステータの積層高さが十分ではない場合にも巻線数を増大させることができるモーターを提供することである。
【0009】
本発明の前記目的及びその他に内在している目的は、後述する本発明によっていずれも容易に達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による二重ティース構造のステータを有するモーターは、
円型のベース、前記ベースで放射状に形成された複数個のポール、前記ポールの外径の方に形成された複数個のティースからなるステータ;及び
前記ステータが内部に位置し、前記ティースと向かい合う複数個のマグネットが内壁に形成されたローターハウジングを含むローター;
からなるモーターにおいて、
前記ポールは、一つのポールごとにその外径部分に前記ティースが二つずつ対称的に形成され、前記ティースの数は前記ポール数の2倍となるよう構成され、
前記ティースと接したティース間の空間であるスロットオープニングの、前記ポールとポール間の空間であるスロットに対する幅の比は、0.5ないし0.6であり、
前記一つのポールに形成された二つのティースは、互いにブリッジによって繋がっていて、前記ブリッジは、前記ポールの外径部分と前記二つのティースの内径部分を連結する形状を有するとともに、
前記ブリッジの外径部分には、内径方向に凹んだ溝が形成されており、さらに、
前記溝の深さは、前記ポールの外径部まで形成されていることを特徴とする。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の効果】
【0017】
本発明は、バーニア効果を十分に活用できる新しい構造のモーターを提供することにより、逆起電力とモーターの出力を増大させることができるし、ステータの積層高さが十分でない場合にも巻線数を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】モーターのステータの参考例を示した平面図である。
図2】本発明によるモーターのステータの一実施例を示した平面図である。
図3】前記参考例のモーターにおいて、ステータとローターマグネットとの関係を示した概念図である。
図4】本発明によるモーターにおいて、ステータとローターを共に示した平面図である。
図5】本発明によるモーターにおいて、ステータと特殊着磁型マグネットを使用したローターを共に示した平面図である。以下、添付の図面を参照にして、本発明について詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、モーターのステータ10の参考例を示した平面図で、図2は、本発明によるモーターのステータの一実施例を示した平面図である。
【0020】
図1及び図2に図示されたように、モーターのステータ10は、円型のベース11、円型のベース11で放射状に形成された複数個のポール12、ポールの末端で互いに対称となる位置に対称の形状を有する第1及び第2ティース13、14、そして第1及び第2ティース13、14を連結しているブリッジ15を含む。
【0021】
一般にステータまたはステータアセンブリーは、複数の薄い鋼板を積層して製造したステータコアと、ステータコアのベース、ポールとティース部分を絶縁するインシュレーター及び絶縁されたポールに巻線されるコイルを含む。本明細書で使用する「ステータ」という用語は「ステータコア」を意味する場合もあり、ステータ、インシュレーターとコイルを全て含む場合を意味することもある。本明細書において、インシュレーターとコイルは、便宜上ほとんど省略して説明する。
【0022】
ポール12と接したポール間の空間はスロットSである。各々のポール12の末端には、2個のティース13、14が形成される。2個のティース13、14は、互いに一定の間隔を置いて位置する。ティースとティース間の距離はスロットオープニングSoである。本発明は、図1及び図2のように、ステータに12個のポールと24個のティースからなることが好ましいが、一つのポールに2個のティースが形成されている限り、この数に限定されない。例えば、6個のポールと12個のティースからなるステータも可能であり、18個のポールと36個のティースからなるステータも可能である。本明細書では、一つのポールに2個のティースが形成された形態、つまり、一つのポールが2個のティースを含んでいる形態を二重ティース(coupledteeth)と名付ける。
【0023】
このような二重ティース、すなわち、第1及び第2ティース13、14は、互いに対称となる位置に対称の形状を有する。よって、本発明において、スロットオープニングSoの、前記ポール12とポール12間の空間であるスロットSに対する幅の比(θSo/θS)は0.5であることが好ましいが、必ずしもこの値に限定されることはなく、0.5ないし0.6の範囲で形成してもバーニア効果を十分に得ることができる。
【0024】
ブリッジ15は、第1ティース13と第2ティース14の内径部分を連結しながらポール12の外径部分に繋がる。ブリッジ15の形状もポール12を基準として対称の形状を有する。ブリッジ15の外径部分、すなわち、スロットオープニングSoに位置する部分の形状は、図1のように円弧状では無く、図2のように、内径方向に溝15aが形成されている。溝15aの深さは、ポール12の外径部まで形成されている。このような溝15aによって、モジュレーション効果を通じて出力を増大させられると期待される。溝15aの形状や数も図2に図示された形態以外に多様に変形して適用することができる。
【0025】
本発明によるモーターのステータ10は、二つのティースを一つのポールに縛って形成するため、ポールとポール間の空間であるスロットの大きさが増大されるので、巻線数を増加させるのに有利である。
【0026】
図3は、参考例のモーターにおいて、ステータ10とローターマグネット21との関係を示した概念図である。図4は、本発明によるモーターにおいて、ステータ10とローター20を共に示した平面図である。
【0027】
図3及び図4を共に参照すれば、本発明によるモーターは、ステータ10とローター20を含んでなる。ローター20はカップ形状を有し、内側にステータ10が位置するローターハウジング22と、ローターハウジング22の内側壁に設けられる複数個のマグネット21からなる。マグネット21は、ステータ10の二重ティース13、14と互いに向かい合って位置する。マグネット21とティースの外径面間の距離は、エアギャップ(air−gap)である。または、スロットオープニングの内径部分であるブリッジ15の外径部またはベース11の外径部と、マグネット21との間の距離もエアギャップ(air−gap)になる。このようなエアギャップによるパーミアンスの差がバーニア効果のために特に考慮される。
【0028】
マグネット21は、一般的なフェライト永久磁石(permanentmagnet)を使用することが製造費用の側面で有利であるが、磁気力や保磁力などが相違するアルニコ磁石、ニオビウム磁石、サマリウムコバルト磁石、ゴム磁石などを使用することもできる。また、マグネット21は、上面と下面の方にそれぞれN極またはS極のみで着磁された一般着磁型マグネットを使用してもよく、上面または下面の方にN極とS極が連続して共に着磁された特殊着磁型マグネットを使用してもよい。特殊着磁型マグネットは、その上面及び下面にN極とS極が単数または複数の対をなして着磁されている。
【0029】
本発明において、マグネット21の数は特に限定されないが、一般着磁型マグネットの場合は、3個のスロットピッチ3θSp当たり10個のマグネットを使用することが好ましい。言い換えれば、ポールと接するポール間の距離をスロットピッチと定義したとき、前記マグネットの数または極数と前記スロットピッチの比は、10:3となる。
【0030】
したがって、一般着磁型マグネットを使えば、図3及び図4のように、12スロット36ティースモーターの場合、40個のマグネットが使用される。本発明は、3個のスロットピッチ3θSp当たり10個の一般着磁型マグネットを使用する限り、このような数に限定されない。例えば、9スロット18ティースモーターの場合、30個のマグネットを使用し、18スロット36ティースモーターの場合、60個のマグネットを使用する。このようなマグネットの数は、バーニア効果を得るために適する構造であり、逆起電力の増大を通じるモーター出力の向上をもたらすことができる。
【0031】
一方、図5のように、特殊着磁型マグネットを使用する場合、マグネットの数を減らすことができる。図5を参照すれば、12スロット36ティースモーターの場合、一つのマグネットの上面に二対のN極とS極が連続して着磁されている。したがって、この場合のマグネット21の数は、10個を使えばよい。別の例として、一対のN極とS極が一つのマグネットの上面に着磁されている特殊着磁型マグネットを使用する場合、20個のマグネットを使用する。
【0032】
したがって、特殊着磁型マグネットを使う場合、マグネットの上面及び下面にn対のN極とS極が連続して着磁されている特殊着磁型マグネットの場合、前記マグネットの数と前記スロットピッチの比は(10 /(2n)):3となる(ここで、nは自然数である)。この時、マグネットの極数とスロットピッチの比は、一般着磁型マグネットと同様に10:3となる。
【0033】
以上で説明した本発明の詳しい説明は、本発明の理解のために例えて説明したことに過ぎないし、本発明の範囲を決めるためのものではないことを留意しなければならない。本発明の範囲は、以下に添付された特許請求範囲によって定められ、この範囲内で本発明の単純な変形や変更は、いずれも本発明の範囲に属するものとして理解されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5