特許第6767654号(P6767654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6767654-多層容器 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6767654
(24)【登録日】2020年9月24日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】多層容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20201005BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20201005BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   B65D65/40 DBRH
   B32B27/18 A
   B32B27/00 H
   B32B27/18 G
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-149657(P2016-149657)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-16376(P2018-16376A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年4月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】青木 達郎
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−152788(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/080076(WO,A1)
【文献】 特開2016−107592(JP,A)
【文献】 特開平11−256045(JP,A)
【文献】 特開2015−60124(JP,A)
【文献】 特開平5−139738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造の樹脂層を有する多層容器であって、
前記樹脂層は、前記容器の内側から順に、無機粒子含有層と酸素吸収層を備え、
前記無機粒子含有層は、ベース樹脂内に無機粒子が分散されて構成され、
前記無機粒子は、紫外線散乱機能を有し、
前記無機粒子含有層は、第1無機粒子含有層であり、
前記酸素吸収層よりも外側に第2無機粒子含有層を備え、
第2無機粒子含有層は、ベース樹脂内に無機粒子が分散されて構成され
前記無機粒子は、酸化チタン粒子であ、多層容器。
【請求項2】
第1無機粒子含有層は、前記樹脂層の最内層であり、第2無機粒子含有層は、前記樹脂層の最外層である、請求項1に記載の多層容器。
【請求項3】
第1無機粒子含有層と前記酸素吸収層の間にリプロ層を備える、請求項1又は請求項2に記載の多層容器。
【請求項4】
前記酸素吸収層は、ガスバリア性樹脂と酸素吸収性樹脂を含む、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の多層容器。
【請求項5】
前記ガスバリア性樹脂は、EVOHである、請求項4に記載の多層容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト食品容器として利用可能な多層容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、酸素吸収層の両側をEVOH層で挟んだ多層構造を有する多層容器が開示されている。このような多層容器は、レトルト殺菌のような高温高湿条件下に曝された後にも優れた酸素バリア性及び内応物の香味保持性が維持されるという特性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5582181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の多層容器は、酸素吸収層の両側にEVOH層を配置するという構成のために、EVOHの使用量が多くなり、その分だけ、製造コストが高いという課題を有する。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、EVOHの使用量を低減しつつ、内応物の変質を抑制することができる多層容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、多層構造の樹脂層を有する多層容器であって、前記樹脂層は、前記容器の内側から順に、無機粒子含有層と酸素吸収層を備え、前記無機粒子含有層は、ベース樹脂内に無機粒子が分散されて構成される、多層容器が提供される。
【0007】
本発明の多層容器では、酸素吸収層よりも容器内側に無機粒子含有層が設けられている。無機粒子含有層は、迷路効果によってガスの通過を抑制する効果を備えているために、酸素吸収層よりも容器内側に無機粒子含有層を設けることによって、内容物からの水分が酸素吸収層に到達することを抑制することができ、かつ酸素吸収層で発生する匂いが内容物に移ることを抑制することができる。このように、本発明では、EVOH層の代わりに無機粒子含有層を用いることによってEVOHの使用量を低減しつつ内応物の変質を抑制することができる。なお、迷路効果とは、無機粒子含有層に含まれる無機粒子によって無機粒子含有層内に迷路のような構造が形成され、この構造内に酸素等のガスが入り込むことによって、ガスの通過が抑制されるという効果を意味する。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記無機粒子含有層は、第1無機粒子含有層であり、前記酸素吸収層よりも外側に第2無機粒子含有層を備え、第2無機粒子含有層は、ベース樹脂内に無機粒子が分散されて構成される。
好ましくは、第1無機粒子含有層は、前記樹脂層の最内層であり、第2無機粒子含有層は、前記樹脂層の最外層である。
好ましくは、第1無機粒子含有層と前記酸素吸収層の間にリプロ層を備える。
好ましくは、前記樹脂層は、前記無機粒子含有層よりも内側に第1樹脂層を備え、前記酸素吸収層よりも外側に第2樹脂層を備える。
好ましくは、第1樹脂層に対する第2樹脂層の厚さの比は、3〜6である。
好ましくは、第1樹脂層に対する前記無機粒子含有層の厚さの比は、4〜7である。
好ましくは、前記無機粒子は、紫外線散乱機能を有する。
好ましくは、前記無機粒子含有層は、リプロ層である。
好ましくは、前記酸素吸収層は、ガスバリア性樹脂と酸素吸収性樹脂を含む。
好ましくは、前記ガスバリア性樹脂は、EVOHである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の多層容器の層構成を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態の多層容器の層構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
本発明の多層容器は、主に、レトルト食品容器のような、スチームや熱水による殺菌処理が施される用途に好適に利用されるものであり、このような殺菌処理が施されても、内応物の変質を抑制することができるという効果を奏するものである。
【0012】
1.第1実施形態
図1に示すように、本発明の第1実施形態の多層容器は、多層構造の樹脂層10を有する。樹脂層10は、容器の内側から順に、第1無機粒子含有層1、リプロ層2、酸素吸収層3、及び第2無機粒子含有層4を備える。各層の間には接着層5が設けられる。リプロ層2及び接着層5は、不要な場合には省略可能である。本実施形態の多層容器は、多層パリソンを用いたブロー成形によって製造可能である。
【0013】
<第1無機粒子含有層1>
第1無機粒子含有層1は、ベース樹脂1a内に無機粒子1bが分散されて構成される。このような無機粒子含有層は、迷路効果によってガスの通過を抑制する効果を備えているために、酸素吸収層3よりも容器内側に第1無機粒子含有層1を設けることによって、内容物からの水分が酸素吸収層3に到達することを抑制することができ、かつ酸素吸収層3で発生する匂いが内容物に移ることを抑制することができる。ベース樹脂としては、任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、密度が0.935g/cm未満の低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物など適宜公知の樹脂が挙げられる。
【0014】
無機粒子としては、迷路効果が発揮可能な任意の材質が利用可能であり、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛等の粒子が挙げられ、酸化チタン粒子が好ましい。無機粒子は、紫外線散乱機能を有するもの(紫外線散乱剤)が好ましい。この場合、内容物への紫外線によるダメージを防ぐことができる。また、無機粒子は、白色顔料として利用可能なものが好ましい。この場合、容器を白色にすることができるからである。無機粒子の平均粒子径は、迷路効果が発揮可能であれば特に限定されず、例えば、0.01〜10μmであり、0.1〜1μmが好ましく、0.2〜0.8μmがさらに好ましい。無機粒子の平均粒子径は、具体的には例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、5、10μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。本明細書において、「平均粒子径」は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。無機粒子の添加量は、迷路効果が発揮可能であれば特に限定されず、例えば、ベース樹脂100質量部に対して0.1〜100質量部であり、0.5〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。無機粒子の添加量は、具体的には例えば、ベース樹脂100質量部に対して、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、50、100質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0015】
第1無機粒子含有層1の厚さは、例えば、20〜200μmであり、60〜140μmが好ましい。樹脂層10の厚さに対する第1無機粒子含有層1の厚さの割合は、例えば、3〜20%であり、5〜12%が好ましい。
【0016】
第1無機粒子含有層1は、樹脂層10の最内層であってもよく、第1無機粒子含有層1よりも内側に別の層が存在してもよい。
【0017】
<リプロ層2>
リプロ層2は、容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用した層であり、リプロ層2を設けることによって、新たな樹脂の使用量を低減することができる。本実施形態では、第1及び第2無機粒子含有層1,4に無機粒子が含有されているので、リプロ層2にも必然的にベース樹脂2aに無機粒子2bが含有される。このため、リプロ層2は、無機粒子を別途添加することなく、無機粒子含有層となり、迷路効果によってガスの通過が抑制される。なお、リプロ層2にも無機粒子を別途添加してもよい。
【0018】
リプロ層2の厚さは、例えば、100〜1000μmであり、300〜700μmが好ましい。樹脂層10の厚さに対するリプロ層2の厚さの割合は、例えば、20〜60%であり、30〜50%が好ましい。第1無機粒子含有層1の厚さに対するリプロ層2の厚さの比は、例えば2〜8であり、4〜7が好ましい。
【0019】
<酸素吸収層3>
酸素吸収層3は、酸素吸収性能を有する層である。酸素吸収層3は、容器外の酸素が容器内に到達して内容物を酸化することを抑制する機能を有する。酸素吸収層3は、ガスバリア性樹脂と酸素吸収性樹脂を含有することが好ましい。ガスバリア性樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)が好ましい。酸素吸収性樹脂としては、公知の酸素吸収性樹脂を用いることができ、例えば、還元鉄、共役ジエン重合体環化物、炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂などを用いることができる。本実施形態の酸素吸収層3は、酸素吸収性樹脂を好ましくは5〜50wt%、より好ましくは、5〜15wt%の範囲で配合する。
【0020】
酸素吸収層3は、酸素吸収性樹脂の酸素吸収性能を向上させる観点から酸化触媒として遷移金属塩を添加することが好ましい。遷移金属塩は、金属原子重量で5000ppm以下の範囲で添加することが好ましい。遷移金属塩は、コバルト、鉄、ニッケル、さらには銅、チタン、クロム、マンガン、ルテニウムなどの遷移金属の無機塩、有機塩、または錯塩であり、特にコバルト塩が好ましい。
【0021】
ところで、ガスバリア性樹脂(特にEVOH)は、水分にさらされるとガスバリア機能が一時的に失われる。このため、容器内に内容物を充填した後にレトルト殺菌処理を施すと酸素吸収層3に含まれるガスバリア性樹脂の機能が一時的に失われる場合がある。しかし、本実施形態の酸素吸収層3は、酸素吸収性樹脂を含むので、ガスバリア性樹脂の機能が失われている間にも、酸素の透過を抑制することが可能になっている。また、本実施形態では、酸素吸収層3が無機粒子含有層1,4で挟まれているために容器内及び容器外の水分が酸素吸収層3に到達しにくい。このため、ガスバリア性樹脂が殺菌処理の際にその機能を喪失しても、殺菌処理後にその機能が速やかに回復される。
【0022】
酸素吸収層3の厚さは、例えば、20〜200μmであり、50〜100μmが好ましい。樹脂層10の厚さに対する酸素吸収層3の厚さの割合は、例えば、2〜15%であり、3〜10%が好ましい。
第1無機粒子含有層1の厚さに対する酸素吸収層3の厚さの比は、例えば0.3〜1.5であり、0.5〜1.2が好ましい。
【0023】
<第2無機粒子含有層4>
第2無機粒子含有層4は、ベース樹脂4a内に無機粒子4bが分散されて構成される。このような無機粒子含有層は、迷路効果によってガスの通過を抑制する効果を備えているために、酸素吸収層3よりも容器外側に第2無機粒子含有層4を設けることによって、容器外の酸素や水分が酸素吸収層3に到達することを抑制することができる。ベース樹脂4a及び無機粒子4bの詳細は、第1無機粒子含有層1と同様である。また、第2無機粒子含有層4を備えない容器において、油分が多い内容物を容器内に充填した状態でレトルト殺菌処理を施すと、容器が黒みを帯びるという現状が生じる場合があるが、第2無機粒子含有層4を設けることによって、このような現象の発生を抑制することができる。
【0024】
第2無機粒子含有層4の厚さは、例えば、100〜1000μmであり、300〜700μmが好ましい。樹脂層10の厚さに対する第2無機粒子含有層4の厚さの割合は、例えば、20〜60%であり、30〜50%が好ましい。第1無機粒子含有層1の厚さに対する第2無機粒子含有層4の厚さの比は、例えば2〜8であり、3〜6が好ましい。
【0025】
第2無機粒子含有層4は、樹脂層10の最外層であってもよく、第2無機粒子含有層4よりも外側に別の層が存在してもよい。
【0026】
<接着層5>
接着層5は、隣接する層を接着する機能を有する層であり、例えば上述したポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層の一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
【0027】
2.第2実施形態
図2に示すように、本発明の第2実施形態の多層容器は、多層構造の樹脂層10を有する。樹脂層10は、容器の内側から順に、第1樹脂層11、無機粒子含有層12、酸素吸収層3、及び第2樹脂層13を備える。各層の間には接着層5が設けられる。接着層5は、不要な場合には省略可能である。本実施形態の多層容器は、多層パリソンを用いたブロー成形によって製造可能である。
【0028】
<第1樹脂層11>
第1樹脂層11は、任意の熱可塑性樹脂で形成可能である。熱可塑性樹脂の詳細は、第1無機粒子含有層1で説明した通りである。第1樹脂層11の厚さは、例えば、20〜200μmであり、60〜140μmが好ましい。樹脂層10の厚さに対する第1樹脂層11の厚さの割合は、例えば、3〜20%であり、5〜12%が好ましい。第1樹脂層11は、樹脂層10の最内層であってもよく、第1樹脂層11よりも内側に別の層が存在してもよい。
【0029】
<無機粒子含有層12>
無機粒子含有層12は、ベース樹脂12a内に無機粒子12bが分散されて構成される。無機粒子含有層12は、第1無機粒子含有層1と同様の機能を有する。ベース樹脂12a及び無機粒子12bの詳細は、第1無機粒子含有層1と同様である。無機粒子含有層12は、リプロ層であってもよい。
【0030】
無機粒子含有層12の厚さは、例えば、100〜1000μmであり、300〜700μmが好ましい。樹脂層10の厚さに対する無機粒子含有層12の厚さの割合は、例えば、20〜60%であり、30〜50%が好ましい。第1樹脂層11の厚さに対する無機粒子含有層12の厚さの比は、例えば2〜8であり、4〜7が好ましい。
【0031】
無機粒子含有層12が迷路効果によってガスの通過を抑制する効果を備えているために、第1樹脂層11を比較的薄くすることができ、その結果、樹脂層10の厚さに対する第2樹脂層13の厚さの割合を比較的大きくすることができ、容器外からの水分や酸素が酸素吸収層3に到達することを抑制することができる。
【0032】
<酸素吸収層3>
酸素吸収層3は、第1実施形態と同様である。第2樹脂層13が無機粒子を含有しない場合には紫外線が酸素吸収層3に到達し、この紫外線によって、酸素吸収層3の酸素吸収性能が活性化される。
【0033】
<第2樹脂層13>
第2樹脂層13は、任意の熱可塑性樹脂で形成可能である。熱可塑性樹脂の詳細は、第1無機粒子含有層1で説明した通りである。第2樹脂層13の厚さは、例えば、例えば、100〜1000μmであり、300〜700μmが好ましい。樹脂層10の厚さに対する第2樹脂層13の厚さの割合は、例えば、20〜60%であり、30〜50%が好ましい。第1樹脂層11の厚さに対する第2樹脂層13の厚さの比は、例えば2〜8であり、3〜6が好ましい。第2樹脂層13は、樹脂層10の最外層であってもよく、第2樹脂層13よりも外側に別の層が存在してもよい。
【実施例】
【0034】
(匂い及び外観評価)
表1に示す構成の樹脂層を有する容器(内容量85cc)を作成し、オイル漬けのツナフレークを容器内に充填し、アルミ箔で封止した。この状態で、120℃30分間のシャワーレトルト殺菌処理を行った後に、内容物の匂いの官能評価及び容器の外観評価を行った。
【0035】
内層及び外層は、ポリプロピレンで形成した。リプロ層は、容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用して形成した。酸素吸収層は、EVOHと酸素吸収性樹脂の混合樹脂にコバルト塩を添加したものを用いて形成した。「無機粒子含有」と表記している層には、平均粒子径0.5μmの酸化チタン粒子を2.5質量%含有させた。
【0036】
<内容物の匂いの官能評価>
評価者がシャワーレトルト殺菌処理後の容器の内容物の匂いを嗅ぎ、酸素吸収層で発生する特有の匂いを感じた場合に「匂い移り有り」と判断した。
10人の評価者が10本ずつの評価を行い、以下の基準に従って判定した。
◎:「匂い移り有り」と判断されたサンプル数が0
○:「匂い移り有り」と判断されたサンプル数が3以下
×:「匂い移り有り」と判断されたサンプル数が4以上
【0037】
<容器の外観評価>
評価者がシャワーレトルト殺菌処理後の容器の外観を観察し、外観が黒っぽくなっていると感じた場合に「変色有り」と判断した。
10人の評価者が10本ずつの評価を行い、以下の基準に従って判定した。
◎:「変色有り」と判断されたサンプル数が0
○:「変色有り」と判断されたサンプル数が3以下
×:「変色有り」と判断されたサンプル数が4以上
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示すように、酸素吸収層よりも内側に無機粒子含有層を設けることによって、内容物への匂い移りを防ぐことができた。また、酸素吸収層よりも外側に無機粒子含有層を設けることによって、容器の外観が黒っぽくなることを防ぐことができた。
【0040】
(水蒸気バリア評価)
表1に示す実施例1及び比較例1の層構成を有する容器を3つずつ作成し、各容器に120ccの水を入れ、口をアルミシールで密閉した後に、60℃の恒温槽に1週間入れた。空容器の重量、水充填直後の重量、恒温槽に1週間入れた後の重量を測定し、1週間での水の減少量を算出した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1の容器では、比較例1よりも水の減少量が小さかった。これは、無機粒子含有層の迷路効果によって水の透過が抑制されたためであると考えられる。
【0041】
【表2】
【符号の説明】
【0042】
1 :第1無機粒子含有層
1a :ベース樹脂
1b :無機粒子
2 :リプロ層
2a :ベース樹脂
2b :無機粒子
3 :酸素吸収層
4 :第2無機粒子含有層
4a :ベース樹脂
4b :無機粒子
5 :接着層
10 :樹脂層
11 :第1樹脂層
12 :無機粒子含有層
12a :ベース樹脂
12b :無機粒子
13 :第2樹脂層
図1
図2