特許第6767813号(P6767813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧
特許6767813光変調素子、空間光変調器および露光装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6767813
(24)【登録日】2020年9月24日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】光変調素子、空間光変調器および露光装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/03 20060101AFI20201005BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G02F1/03 503
   G03F7/20 501
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-172479(P2016-172479)
(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-40827(P2018-40827A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】馬越 昌一
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−050513(JP,A)
【文献】 特開平04−021828(JP,A)
【文献】 特公昭62−8770(JP,B2)
【文献】 国際公開第2014/122896(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0030885(US,A1)
【文献】 米国特許第5991065(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00−1/125,1/21−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界を受けて発生する分極の向きが互いに反対である第1分極部および第2分極部を交互に配列した周期分極反転構造を有し、所定方向から光が入射される電気光学結晶基板と、
前記電気光学結晶基板の一方主面上で、第1格子電極と第1共通電極とが交互に前記所定方向と直交する電極配列方向に配列された第1電極群と、
前記電気光学結晶基板の他方主面上で、前記電気光学結晶基板を挟んで前記第1格子電極および前記第1共通電極に対して第2共通電極および第2格子電極がそれぞれ対向して前記電極配列方向に配列された第2電極群と、を備え、
前記複数の第1共通電極に第1の電位が与えられた状態で前記第2格子電極毎に外部から与えられる電位を応じて前記第2格子電極と前記第1共通電極の間で電界を発生させるとともに、前記複数の第2共通電極に第2の電位が与えられた状態で前記第1格子電極毎に外部から与えられる電位を応じて前記第2格子電極と前記第1共通電極の間で電界を発生させることで、前記周期分極反転構造内での回折効率を変更させて前記電気光学結晶基板を通過する光を変調する
ことを特徴とする光変調素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調素子であって、
前記電気光学結晶基板は、前記電界の大きさに対する前記周期分極反転構造から出射する0次光の光強度の変化を示す光変調出力特性が前記周期分極反転構造内での電界の向きを問わず同一であり、
前記第1の電位および前記第2の電位が同一に設定される光変調素子。
【請求項3】
請求項1に記載の光変調素子であって、
前記電気光学結晶基板は、前記電界の大きさに対する前記周期分極反転構造から出射する0次光の光強度の変化を示す光変調出力特性が前記周期分極反転構造内での電界の向きに応じて相違し、
前記第2の電位は前記第1の電位よりも高く設定され、
前記第1格子電極に与えられる電位は前記第2の電位以下に設定され、
前記第2格子電極に与えられる電位は前記第1の電位以上に設定される光変調素子。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の光変調素子と、
前記電気光学結晶基板の一方主面に対向する第1対向面に前記第1電極群が形成された第1電極基板と、
前記電気光学結晶基板の他方主面に対向する第2対向面に前記第2電極群が形成された第2電極基板と、
前記複数の第1共通電極に前記第1の電位を与えるとともに、前記複数の第2共通電極に前記第2の電位を与え、前記複数の第1格子電極および前記複数の第2格子電極にそれぞれ独立して駆動電位を与えて前記電気光学結晶基板に入射される光を変調する駆動部と、を備え、
前記第1電極基板は、前記駆動部から与えられる前記第1の電位を前記複数の第1共通電極に給電する第1共通配線パターンと、前記第1格子電極毎に設けられて前記駆動部から与えられる前記駆動電位を前記第1格子電極に給電する複数の第1駆動配線パターンとを有し、前記第1電極群が前記電気光学結晶基板の一方主面に当接するように配置され、
前記第2電極基板は、前記駆動部から与えられる前記第2の電位を前記複数の第2共通電極に給電する第2共通配線パターンと、前記第2格子電極毎に設けられて前記駆動部から与えられる前記駆動電位を前記第2格子電極に給電する複数の第2駆動配線パターンとを有し、前記第2電極群が前記電気光学結晶基板の他方主面に当接するように配置される
ことを特徴とする空間光変調器。
【請求項5】
請求項4に記載の空間光変調器であって、
前記第1電極基板では、前記複数の第1格子電極と前記複数の第1駆動配線パターンとがそれぞれ1対1の関係で電気的に接続された、複数の第1導電部が互いに離間して形成されるとともに前記第1共通配線パターンが各第1導電部の周囲を取り囲むように形成され、
前記第2電極基板では、前記複数の第2格子電極と前記複数の第2駆動配線パターンとがそれぞれ1対1の関係で電気的に接続された、複数の第2導電部が互いに離間して形成されるとともに前記第2共通配線パターンが各第2導電部の周囲を取り囲むように形成される空間光変調器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の空間光変調器と、
光を出射する光源と、
前記光源から出射された光を前記所定方向から前記電気光学結晶基板に入射する照明光学系と、
前記空間光変調器から出射する光を被露光面に照射する投影光学系と、
を備えることを特徴とする露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気光学結晶基板を用いて光を変調する光変調素子、当該光変調素子を用いた空間光変調器ならび当該空間光変調器を用いて露光処理を行う露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムナイオベート(LiNbO)やリチウムタンタレート(LiTaO)等で構成された電気光学結晶基板の屈折率は、外部から与えられた電界に応じて変化する。そこで、特許文献1では、電気光学結晶基板の一方主面に複数の第1電極(本発明の「格子電極」に相当)を一列に配列するとともに、電気光学結晶基板を挟んで全第1電極と対向する第2電極(本発明の「共通電極」に相当)を電気光学結晶基板の他方主面に配置した光変調素子が提案されている。そして、当該光変調素子を用いた空間光変調器では、第2電極に接地電位を与える一方、第1電極毎に印加する電位を制御することで第1電極の個数と同じ数のチャンネルで光変調している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−39415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した複数の第1電極に対して所望の電位を与えるために配線パターンを設ける必要がある(図1の(a)欄参照)。複数の第1電極は一列に配列されており、配線パターンも互いに平行して設けられることが多い。しかも、マルチチャンネル化に対応するために、互いに隣り合う第1電極の間隔は狭くなる傾向にある。このような技術背景から隣り合う第1電極や配線パターンの間でクロストークが発生し易いという問題があった。もちろん、第1電極(格子電極)の間隔を広げることでクロストークを抑制することは可能であるが、それでは高度なマルチチャンネル化に対応することができず、低解像度となってしまう。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、格子電極の間隔を広げることなく、クロストークの発生を抑制することができる光変調技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の態様は、光変調素子であって、電界を受けて発生する分極の向きが互いに反対である第1分極部および第2分極部を交互に配列した周期分極反転構造を有し、所定方向から光が入射される電気光学結晶基板と、 電気光学結晶基板の一方主面上で、第1格子電極と第1共通電極とが交互に所定方向と直交する電極配列方向に配列された第1電極群と、電気光学結晶基板の他方主面上で、電気光学結晶基板を挟んで第1格子電極および第1共通電極に対して第2共通電極および第2格子電極がそれぞれ対向して電極配列方向に配列された第2電極群と、を備え、複数の第1共通電極に第1の電位が与えられた状態で第2格子電極毎に外部から与えられる電位を応じて第2格子電極と第1共通電極の間で電界を発生させるとともに、複数の第2共通電極に第2の電位が与えられた状態で第1格子電極毎に外部から与えられる電位を応じて第2格子電極と第1共通電極の間で電界を発生させることで、周期分極反転構造内での回折効率を変更させて電気光学結晶基板を通過する光を変調することを特徴としている。
【0007】
また、この発明の第2の態様は、空間光変調器であって、上記光変調素子と、電気光学結晶基板の一方主面に対向する第1対向面に第1電極群が形成された第1電極基板と、電気光学結晶基板の他方主面に対向する第2対向面に第2電極群が形成された第2電極基板と、複数の第1共通電極に第1の電位を与えるとともに、複数の第2共通電極に第2の電位を与え、複数の第1格子電極および複数の第2格子電極にそれぞれ独立して駆動電位を与えて電気光学結晶基板に入射される光を変調する駆動部と、を備え、第1電極基板は、駆動部から与えられる第1の電位を複数の第1共通電極に給電する第1共通配線パターンと、第1格子電極毎に設けられて駆動部から与えられる駆動電位を第1格子電極に給電する複数の第1駆動配線パターンとを有し、第1電極群が電気光学結晶基板の一方主面に当接するように配置され、第2電極基板は、駆動部から与えられる第2の電位を複数の第2共通電極に給電する第2共通配線パターンと、第2格子電極毎に設けられて駆動部から与えられる駆動電位を第2格子電極に給電する複数の第2駆動配線パターンとを有し、第2電極群が電気光学結晶基板の他方主面に当接するように配置されることを特徴としている。
【0008】
さらに、この発明の第3の態様は、露光装置であって、上記空間光変調器と、光を出射する光源と、光源から出射された光を所定方向から電気光学結晶基板に入射する照明光学系と、空間光変調器から出射する光を被露光面に照射する投影光学系と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1格子電極および第1共通電極に対し、電気光学結晶基板を挟んで第2共通電極および第2格子電極をそれぞれ対向して配列し、第1格子電極と第2共通電極との間を通過する光を変調し、第2格子電極と第1共通電極との間を通過する光を変調するように構成している。このため、電極配列方向における格子電極の間隔を広げることなく、格子電極の間でのクロストークの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかる光変調素子の一実施形態を説明するための図である。
図2A】電気光学結晶基板の光変調出力特性の一例を示すグラフである。
図2B】正電位を格子電極に印加したときの電気光学結晶基板からの出力を模式的に示す図である。
図2C】負電位を格子電極に印加したときの電気光学結晶基板からの出力を模式的に示す図である。
図3】本発明にかかる空間光変調器の第1実施形態を示す斜視図である。
図4図3に示す空間光変調器の構成を示す図である。
図5図3に示す空間光変調器を側方から見た模式図である。
図6】格子電極、共通電極、駆動配線パターンおよび共通配線パターンを担持した電極基板の構成を模式的に示す図である。
図7】本発明にかかる空間光変調器の第2実施形態を示す側面図である。
図8A図7に示す空間光変調器の上方電極基板の構成を示す図である。
図8B図7に示す空間光変調器の下方電極基板の構成を示す図である。
図9】本発明にかかる空間光変調器の第3実施形態を示す側面図である。
図10A図9に示す空間光変調器の上方電極基板の構成を示す図である。
図10B図9に示す空間光変調器の下方電極基板の構成を示す図である。
図11】本発明にかかる空間光変調器の第4実施形態を示す側面図である。
図12A図11に示す空間光変調器の上方電極基板の構成を示す図である。
図12B図11に示す空間光変調器の下方電極基板の構成を示す図である。
図13】本発明にかかる空間光変調器の一実施形態を装備する露光装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図14】電気光学結晶基板の光変調出力特性の他の例を示すグラフである。
図15】本発明にかかる空間光変調器の第5実施形態を示す図である。
図16図15に示す空間光変調器の格子電極、共通電極および配線パターンの接続関係、ならびに電気光学結晶基板に印加される電界を模式的に示す図である。
図17】本発明にかかる空間光変調器の第5実施形態と第6実施形態の相違点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.光変調素子
図1は本発明にかかる光変調素子の一実施形態を説明するための図であり、本実施形態にかかる光変調素子の構成および動作上の特徴を説明するために特許文献1に記載の光変調素子を併記している。同図の上段図面は光変調素子の構成を示す斜視図である。同図の中段図面は光変調素子の構成部品を分解して図示した平面図であり、光変調素子を構成する格子電極および共通電極に外部から電位を与えるための配線パターンを追加して記載している。さらに、同図の下段図面は光変調素子の断面構造および電界の作用する方向を模式的に示す図である。なお、同図の中段図面および下段図面では、格子電極と共通電極とを視覚的に区別するために、共通電極のドットを付している。
【0012】
従来の光変調素子1は、同図中の(a)欄に示すように、薄板状またはスラブ状の電気光学結晶基板3と、電気光学結晶基板3の上方主面3a上で電極配列方向Xに配列された複数の格子電極5と、電気光学結晶基板3を挟んで全格子電極5と対向するように電気光学結晶基板3の下方主面3b上に配置された共通電極7とを備えている。電気光学結晶基板3では、電界を受けて発生する分極の向きが互いに反対である第1分極部および第2分極部が交互に配列されており、電気光学結晶基板3は周期分極反転構造を有している。また、電気光学結晶基板3では、第1分極部および第2分極部の結晶軸は互いに反対の向きを有しており、格子電極5と共通電極7の間で電位差を発生させて電界Eを周期分極反転構造内で生じさせると、周期分極反転構造のうち電界Eが生じた光変調領域11での回折効率が変更される。このため、例えば共通電極7を接地するとともに配線パターン9を通じて格子電極5に与える電位を変化させることで、当該格子電極5と共通電極7とで挟まれた光変調領域11の間を通過する光を変調することが可能となっている。
【0013】
しかしながら、既に説明したように、電気光学結晶基板3の上方主面3a上で複数の格子電極5が互いに隣接して配置されているため、格子電極5や配線パターン9の間でクロストークは発生し易いという問題を従来例は有している。そこで、本実施形態では、次の解析に基づいて格子電極と同数の共通電極を用意し、電気光学結晶基板の上方主面および下方主面で格子電極と共通電極を交互に配置して上記問題を解決している。以下、従来例に対する解析内容および本実施形態にかかる光変調素子の構成を順次図1および図2A図2Cを参照しつつ説明する。
【0014】
図2Aは電気光学結晶基板の光変調出力特性の一例を示すグラフであり、図2Bは正電位を格子電極に印加したときの電気光学結晶基板からの出力を模式的に示す図であり、図2Cは負電位を格子電極に印加したときの電気光学結晶基板からの出力を模式的に示す図である。従来より光変調素子に用いられている電気光学結晶基板3の多くは、例えば図2Aに示すように印加電圧に対して対称な光変調出力特性を持っている。ここでは、共通電極7に対して接地電位Vcomを与える一方、格子電極5に印加する電圧を変動させることで格子電極5と共通電極7とに挟まれた光変調領域11を通過してくる0次光の強度が変化する。より具体的には、印加電圧がゼロ、つまり格子電極5の電位が共通電極7と同電位であるときには、光変調領域11に入射した光はそのまま光変調領域11から出射するため、光変調出力は最大となる。一方、印加電圧が電圧VaまたはVbの場合、光変調出力は最小となる。これらの印加電圧Va、Vbは共通電極7の電位Vcomから見て、逆極性で同一の電圧値である。つまり、次の関係、
Va=−Vb
|Ea|=|Eb|
Ea=Va-Vcom
Eb=Vb-Vcom
が成立している。
【0015】
ここで、配線パターン9を介して格子電極5に与える変調信号として、例えば図2Bの上段グラフに示すように矩形波の印加電圧を与えた場合、光変調出力がゼロと最大強度C1との間で時間的に変化する。つまり、格子電極5の電位がゼロである間、光変調領域11から最大強度の0次光が出射してくる。逆に、格子電極5の電位がVaであるときに、光変調領域11内で電界Eaが発生し、光変調領域11からは回折光(図示省略)が出射し、0次光の光強度はゼロとなる。一方、逆極性の矩形波電圧を格子電極5に印加すると、図2B図2Cとの対比から明らかなように、印加電圧波形は極性が異なっているが、得られる光変調出力は同じであり、光変調特性の対称性を示している。したがって、光変調領域11毎に極性が交互に入れ替わったとしても、電気光学結晶基板3が対称な光変調出力特性を有する場合には、同じ光変調出力が得られる。
【0016】
そこで、本願発明者は、図1中の(b)欄に示すような構成を有する光変調素子2を創作した。この光変調素子2は、対称な光変調特性を有する電気光学結晶基板4を用いている点で従来例と共通するが、電気光学結晶基板4に対して電界を与えるための具体的な電極構造が大きく相違している。すなわち、本実施形態にかかる光変調素子2では、電気光学結晶基板4の上方主面4a上で格子電極6aと共通電極8aとが交互に電極配列方向Xに配列され、これらによって第1電極群10aが構成されている。また、電気光学結晶基板4の下方主面4b上で格子電極6bと共通電極8bとが電気光学結晶基板4を挟んでそれぞれ格子電極6aおよび共通電極8aと対向するように配置され、これらによって第2電極群10bが構成されている。このように、本実施形態では、電気光学結晶基板4の上方主面4a、格子電極6aおよび共通電極8aがそれぞれ本発明の「電気光学結晶基板の一方主面」、「第1格子電極」および「第1共通電極」の一例に相当している。また、電気光学結晶基板4の下方主面4b、格子電極6bおよび共通電極8bがそれぞれ本発明の「電気光学結晶基板の他方主面」、「第2格子電極」および「第2共通電極」の一例に相当している。
【0017】
また、本実施形態では、電気光学結晶基板4の上方主面4a上で複数の格子電極6aが配置されているが、それらは1対1で対応するように駆動配線パターン12aと接続されており、外部(後で説明する空間光変調器の駆動部)から駆動配線パターン12aを介して格子電極6aに駆動電位が給電される。このように、駆動配線パターン12aと格子電極6aとで構成された導電部14aを介して上記駆動電位を反映した変調信号が印加されるように構成されている。この点については、電気光学結晶基板4の下方主面4b側でも同様である。つまり、複数の格子電極6bは1対1で対応するように駆動配線パターン12bと接続されており、駆動配線パターン12bと格子電極6bとで構成された導電部14bを介して外部から変調信号が印加されるように構成されている。一方、共通電極8(8a、8b)は共通配線パターン16によって相互に電気的に接続されるとともに接地され、接地電位Vcomが与えられている。このように、本実施形態では、駆動配線パターン12aおよび導電部14aがそれぞれ本発明の「第1駆動配線パターン」および「第1導電部」の一例に相当し、駆動配線パターン12bおよび導電部14bがそれぞれ本発明の「第2駆動配線パターン」および「第2導電部」の一例に相当している。また、共通電極8aを上方電極基板24で接続する共通配線パターン16が本発明の「第1共通配線パターン」の一例に相当し、共通電極8bを下方電極基板26で接続する共通配線パターン16が本発明の「第2共通配線パターン」の一例に相当している。
【0018】
このように構成された光変調素子2では、複数の格子電極が電気光学結晶基板4の上方主面4aと下方主面4bとに交互に振り分けて配置されている点で従来例と相違するものの、電極配列方向(図1の中段図面における上下方向)における格子電極の数は従来例と同一となっている。そして、電気光学結晶基板4を挟んで格子電極6aと共通電極8bとが互いに対向し、それらの電極6a、8bに挟まれた光変調領域18aの間を通過する光を格子電極6aに印加する電圧に応じて変調することが可能となっている。また、電気光学結晶基板4を挟んで格子電極6bと共通電極8aとが互いに対向し、それらの電極6b、8aに挟まれた光変調領域18bの間を通過する光を格子電極6bに印加する電圧に応じて変調することが可能となっている。したがって、電気光学結晶基板4の上方主面4a側では、導電部14a(=格子電極6a+駆動配線パターン12a)が電極配列方向に複数本配列されているが、各導電部14a(=格子電極6a+駆動配線パターン12a)は共通電極8aや共通配線パターン16で挟まれるように配置されている。この点については、電気光学結晶基板4の下方主面4b側でも同様である。つまり、各導電部14b(=格子電極6b+駆動配線パターン12b)は共通電極8bや共通配線パターン16で挟まれるように配置されている。その結果、電極配列方向Xにおける格子電極6a、6bの間隔を広げることなく、クロストークの発生を効果的に抑制することができる。
【0019】
B.空間光変調器
次に、上記のように構成された光変調素子を用いた空間光変調器について説明する。図3は本発明にかかる空間光変調器の第1実施形態を示す斜視図である。また、図4図3に示す空間光変調器の構成を示す図である。さらに、図5図3に示す空間光変調器を側方から見た模式図である。この空間光変調器20Aは、光変調素子22(図5)と、上方電極基板24と、下方電極基板26と、光変調素子22の格子電極に変調信号を与えて光変調を行う駆動部28とを備えている。この空間光変調器20Aは、図3および図5に示すように、Y方向から入射される光LをX方向において空間的に8チャンネルに分けて光変調する装置であり、チャンネル数が多くなっている点を除き、図1中の(b)欄に記載された光変調素子2と基本的に同一な構成を有する光変調素子22を用いている。したがって、当該光変調素子22を構成する各部については、先に説明した光変調素子2のそれらと同一の符号を付し、具体的な構成説明については省略する。この点については、後で説明する実施形態においても同様である。
【0020】
光変調素子22は8つの格子電極を有しており、それらを4つの格子電極6aと4つの格子電極6bとに分け、それぞれを電気光学結晶基板4の上方主面4aおよび下方主面4bに配置している。このような構成を達成するために、本実施形態では、2つの電極基板24、26が設けられている。すなわち、電気光学結晶基板4の上方主面4aに対して格子電極6aと共通電極8aとを接続するために上方電極基板24が設けられるとともに、下方主面4bに対して格子電極6bと共通電極8bとを接続するために下方電極基板26が設けられている。
【0021】
図6は、格子電極、共通電極、駆動配線パターンおよび共通配線パターンを担持した電極基板の構成を模式的に示す図である。同図の中段図面は上方電極基板24および下方電極基板26の断面図であり、同図面における符号30a、30bはそれぞれ上方電極基板24および下方電極基板26に取り付けられる雄コネクタを示している。また、上段図面は上方電極基板24および下方電極基板26の上面図を示し、同図面における符号34は下方電極基板26の上方主面26aに当接するスペーサを示している。さらに、下段図面は上方電極基板24および下方電極基板26の下面図を示し、同図面における符号34は上方電極基板24の下方主面24bに当接するスペーサを示している。
【0022】
上方電極基板24は、図6の(a)欄に示すように、格子電極6aと共通電極8aとを交互にX方向に配列した状態で電極群10a(=電極6a、8a、6a、8a、6a、8a、6a、8a)を下方主面24bに担持している。また、各格子電極6aは駆動配線パターン12aによってコネクタ取付端子32aと電気的に接続されて導電部14aを構成している。本実施形態では、上方電極基板24において4つの導電部14aが共通電極8aの配置スペースを空けて互いに離間して形成されている。なお、この実施形態では、上方電極基板24の上方主面24aに雄コネクタ30aを取り付けているため、駆動配線パターン12aは上方電極基板24に設けられたスルーホールやビアなどを介して下方主面24bから上方主面24aにかけて延設されている。
【0023】
また、上方電極基板24では、共通配線パターン16が駆動配線パターン12aと同様にして設けられ、共通電極8aを相互に電気的に接続している。しかも、図6の(a)欄の下段図面に示すように、共通電極8a、8bおよび共通配線パターン16が各導電部14a(=格子電極6a+駆動配線パターン12a)の周囲を取り囲んでいる。
【0024】
下方電極基板26は、図6の(b)欄に示すように、格子電極6bと共通電極8bとの配列順序が上方電極基板24のそれに対してX方向に1つシフトしている点を除き、基本的に上方電極基板24と同様の構成を有している。すなわち、下方電極基板26は、格子電極6bと共通電極8bとを交互にX方向に配列した状態で電極群10b(=電極8b、6b、8b、6b、8b、6b、8b、6b)を上方主面26aに担持している。このため、次に説明するように電気光学結晶基板4を上方電極基板24の下方主面24bと下方電極基板26の上方主面26aとで挟み込むと、電気光学結晶基板4を挟んで格子電極6aと共通電極8bとが対向するとともに格子電極6bと共通電極8aとが対向する。
【0025】
このように構成された上方電極基板24および下方電極基板26は、それぞれ電気光学結晶基板4の上方側および下方側に配置され、スペーサ34を介して相互に一体化され、これによって電気光学結晶基板4の上方主面4aおよび下方主面4bに電極群10a、10bがそれぞれ配置される。また、上方電極基板24および下方電極基板26にそれぞれ設けられたコネクタ取付端子32a、32bに雄コネクタ30a、30bが取り付けられ、さらに雄コネクタ30a、30bに雌コネクタ36a、36bを取り付けることで電極群10a、10bが駆動部28と電気的に接続される。この駆動部28は、共通電極8a、8bに接地電位Vcomを与え、各格子電極6a、6bに対して独立して変調信号を与えることで格子電極の電位を制御する。これによって、入射光Lを空間的に光変調することが可能となっている。このように、本実施形態では、上方電極基板24の下方主面24bおよび下方電極基板26の上方主面26aがそれぞれ本発明の「第1対向面」および「第2向面」の一例に相当している。また、共通電極8aに与えられる接地電位Vcomが本発明の「第1の電位」に相当し、共通電極8bに与えられる接地電位Vcomが本発明の「第2の電位」に相当しており、両者は同一の値となっている。
【0026】
以上のように、空間光変調器20Aでは、図1の(b)欄に記載された光変調素子2と同一な構成を有する光変調素子22を用いているため、電極配列方向Xにおける格子電極6a、6bの間隔を広げることなく、つまり高い解像度を維持しながらクロストークの発生を抑制して安定した空間光変調を行うことができる。また、図6に示すように、共通電極8a、8bおよび共通配線パターン16が導電部14a(=格子電極6a+駆動配線パターン12a)および導電部14b(=格子電極6b+駆動配線パターン12b)の各々の周囲を取り囲んでいるため、クロストークをさらに良好に抑制することが可能となっている。
【0027】
図7は本発明にかかる空間光変調器の第2実施形態を示す側面図である。また、図8A図7に示す空間光変調器の上方電極基板の構成を示す図であり、図8B図7に示す空間光変調器の下方電極基板の構成を示す図である。この空間光変調器20Bが空間光変調器20Aと大きく相違する点は、チャンネル数が倍増している点と、光Lが上方から空間光変調器20Bに入射される点とであり、その他の構成は基本的に第1実施形態と同一である。
【0028】
この空間光変調器20Bでは、上方電極基板24の中央部に貫通孔24cが上下方向に設けられており、当該貫通孔24cを介して光Lが空間光変調器20Bに入射する。また、下方電極基板26の上方主面26aのうち貫通孔24cの鉛直直下領域に折り返しミラー38が配置されており、貫通孔24cを介して入射してきた光Lを電気光学結晶基板4に案内する。この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。つまり、高い解像度を維持しながらクロストークの発生を抑制して安定した空間光変調を行うことができる。また、共通電極8a、8bおよび共通配線パターン16による導電部14a、14bの囲い込みによってクロストークをさらに良好に抑制することが可能となっている。
【0029】
また、第2実施形態では上方電極基板24の貫通孔24cを介して光Lを入射させているため、第1実施形態よりも有利な作用効果が得られる。すなわち、第1実施形態にかかる空間光変調器20Aでは、上方電極基板24と下方電極基板26との間に介挿されたスペーサ34により規定される隙間を介して光Lを入射している。このため、光Lの入射経路が設定から少し外れただけで光Lが上方電極基板24や下方電極基板26に入射してしまい、いわゆるケラレが発生して良好な空間光変調を行うことが困難となることがある。また、入射経路の調整も容易ではない。これに対し、第2実施形態では、貫通孔24cの位置、形状および大きさなどに特段の制約がなく、折り返しミラー38の位置調整によって光Lの入射経路を比較的容易に調整することができる。したがって、第2実施形態にかかる空間光変調器20Bは第1実施形態よりも組立性やメンテナンス性に優れているといえる。
【0030】
図9は本発明にかかる空間光変調器の第3実施形態を示す側面図である。また、図10A図9に示す空間光変調器の上方電極基板の構成を示す図であり、図10B図9に示す空間光変調器の下方電極基板の構成を示す図である。この空間光変調器20Cが空間光変調器20Aと大きく相違する点は、チャンネル数が倍増している点と、上方電極基板24の入射側端部24dが上方に跳ね上がるとともに下方電極基板26の入射側端部26dが下方に跳ね下がることで空間光変調器20Cの入射側が大きく開口している点とであり、その他の構成は基本的に第1実施形態と同一である。
【0031】
この空間光変調器20Cでは、入射側が大きく開口しているため、上方電極基板24の入射側端部24dや下方電極基板26の入射側端部26dでの入射光Lのケラレが発生するのを効果的に防止することができる。そのため、第2実施形態と同様に、第3実施形態にかかる空間光変調器20Cは第1実施形態よりも組立性やメンテナンス性に優れているといえる。
【0032】
図11は本発明にかかる空間光変調器の第4実施形態を示す側面図である。また、図12A図11に示す空間光変調器の上方電極基板の構成を示す図であり、図12B図11に示す空間光変調器の下方電極基板の構成を示す図である。この空間光変調器20Dが空間光変調器20Aと大きく相違する点は、チャンネル数が倍増している点と、上方電極基板24の(−Y)方向端部と下方電極基板26の(+Y)方向端部とで電気光学結晶基板4を挟み込んで保持している点と、光Lを上方から入射するとともに0次光を下方に取り出すように構成している点とである。なお、その他の構成は基本的に第1実施形態と同一である。
【0033】
この空間光変調器20Dでは、上方電極基板24の下方主面24bの(−Y)方向端に電極群10aが設けられ、電気光学結晶基板4の上方主面4aと電気的に接続されるとともに、下方電極基板26の上方主面26aの(+Y)方向端に電極群10bが設けられ、電気光学結晶基板4の下方主面4bと電気的に接続されている。また、上方電極基板24の下方主面24bの中央部に折り返しミラー40が設けられ、上方から照射される光Lを電気光学結晶基板4に案内する。さらに、下方電極基板26の下方主面26bの中央部に折り返しミラー42が設けられ、電気光学結晶基板4から出射してきた0次光を下方に案内して空間光変調器20Dから取り出す。
【0034】
このように構成された空間光変調器20Dによれば、第1実施形態に比べてY方向におけるサイズは大きくなるものに、入射側および出射側がともに大きく開口しているため、入射光Lのケラレを確実に防止することができる。また、メンテナンスや組立性にも優れている。
【0035】
C.露光装置
次に、上記のように構成された空間光変調器を用いて露光処理を行う露光装置の一実施形態について図13を参照しつつ説明する。
【0036】
図13は、本発明にかかる空間光変調器の一実施形態を装備する露光装置の一例を模式的に示す斜視図である。同図では、露光装置102の光軸OAが一点鎖線で示され、光の経路が破線で示され、光の断面が梨地で示されている。同図に示すように、露光装置102は、本発明にかかる空間光変調器の一実施形態である空間光変調器20Aにより変調した光を露光対象である基板Wに照射する。この露光装置102では、光源106からの光が照明光学系108を介して空間光変調器20Aに入射する。そして、空間光変調器20Aが光変調を行い、変調光を出射する。さらに、この変調光は投影光学系110を介して基板Wに照射される。
【0037】
光源106は、所定の波長(例えば、830、635、405、あるいは、355ナノメートル(nm))のレーザ光を出射する半導体レーザなどにより構成されている。例えば、355nmのレーザ光を用いる場合は、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザの3倍高調波を用いる固体レーザ光源を使用することができる。
【0038】
照明光学系108は、光源106から出射された光を空間光変調器20Aの電気光学結晶基板4(図5参照)の形状に合わせてX方向に伸びる光Lを形成する。そして、この光Lが空間光変調器20Aの電気光学結晶基板4に入射する。一方、空間光変調器20Aの駆動部28(図4図5参照)は画像データなどに基づいて変調信号を作成し、空間光変調器20Aの格子電極6a、6b(図6参照)に与える。このため、変調信号により光Lが変調され、変調光が空間光変調器20Aから出射される。
【0039】
この空間光変調器20Aの出射側に設けられた投影光学系110では、レンズ112、アパーチャ114およびレンズ116がこの順番で配置されている。レンズ112の前側焦点は、空間光変調器20Aの出射面(電気光学結晶基板4の(+Y)方向側の端面)の位置に設定され、レンズ112の後側焦点にアパーチャ114が設けられており、空間光変調器20Aの出射面から光軸OA(光進行方向Y)に平行に出射された変調光はアパーチャ114を通過してレンズ116に入射する。さらに、レンズ116の前側焦点はアパーチャ114の位置に設定され、レンズ116の後側焦点はステージ(図示省略)に保持された基板Wの表面上に設定されており、変調光はレンズ116を介して基板Wの表面上に照射される。これに対して、空間光変調器20Aから出射された回折光は、光軸OAに対して傾いた状態で空間光変調器20Aから出射されるため、アパーチャ114を通過できずに遮蔽される。このため、上記画像データに対応した画像が本発明の「被露光面」の一例に相当する基板Wの表面に露光される。
【0040】
このように図13に示す露光装置102では、上記空間光変調器20Aを用いて露光処理を行うため、画像データに対応する変調信号が空間光変調器20Aの格子電極6a、6bに確実に与えられ、画像データを正確に反映した画像を基板Wの表面に良好に描画することが可能となっている。
【0041】
D.その他
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、例えば図2Aに示すような対称な光変調特性を有する電気光学結晶基板4を用いて光変調素子2および空間光変調器20A〜20Dを構成しているが、例えば図14に示すように非対称な光変調特性を有する電気光学結晶基板を用いて光変調素子や空間光変調器を構成してもよい。以下、図14ないし図16を参照しつつ光変調素子の構成および動作について説明する。
【0042】
図14は電気光学結晶基板の光変調出力特性の他の例を示すグラフである。この電気光学結晶基板は同図に示すように非対称な光変調特性を有している。この場合、共通電極に与える電位を2種類に分けるとともに格子電極6a、6bに与える電位を後述するように制御することでクロストークを抑制しながら光変調を行うことができる。以下、図14に示す光変調出力特性を有する電気光学結晶基板を用いた光変調素子、ならびに当該光変調素子によって16チャンネルの光変調を行う空間光変調器を例示して説明する。
【0043】
図15は本発明にかかる空間光変調器の第5実施形態を示す図である。また、図16図15に示す空間光変調器の格子電極、共通電極および配線パターンの接続関係、ならびに電気光学結晶基板に印加される電界を模式的に示す図である。この空間光変調器20Eは、共通電極8a、8bに対して互いに異なる第1共通電位Vcom1(接地電位)、第2共通電位Vcom2(>Vcom1)をそれぞれ与えるように構成している点と、駆動部28が上方電極基板24に設けられる格子電極6aに与える信号を生成する第1駆動回路281と下方電極基板26に設けられる格子電極6bに与える信号を生成する第2駆動回路282とを有している点とで第1実施形態にかかる空間光変調器20Aと相違している。ただし、その他の構成は空間光変調器20Aと基本的に同一である。
【0044】
このように構成された空間光変調器20Eでは、駆動部28が、共通配線パターン16aを介して共通電極8aに第1共通電位Vcom1を与えるとともに、共通配線パターン16bを介して共通電極8bに第2共通電位Vcom2を与えている。また、第1駆動回路281が第1共通電位Vcom1以上かつ第2共通電位Vcom2以下の範囲内で各格子電極6aに与える電位を決定し、その電位レベルの変調信号を生成する。第2駆動回路282が第1共通電位Vcom1以上かつ第2共通電位Vcom2以下の範囲内で各格子電極6bに与える電位を決定し、その電位レベルの変調信号を生成する。そして、第1駆動回路281および第2駆動回路282から変調信号が出力されて光変調が行われる。
【0045】
例えば図16の右欄の最上部に示すように、電位Vcom1が与えられている共通電極8aに対向する格子電極6bに、第2駆動回路282から電位Vbが与えられると、当該共通電極8aと格子電極6bとで挟まれた光変調領域18bに印加される電界E1は、
E1=Vb−Vcom1
となる。また、同欄の最下部に示すように、電位Vcom2が与えられている共通電極8bに対向する格子電極6aに、第1駆動回路281から電位Vaが与えられると、当該共通電極8bと格子電極6aとで挟まれた光変調領域18aに印加される電界E2は、
E2=Vcom2−Va
となる。これによって、例えば図14に示すように電界E1、E2に応じた強度P1、P2を有する0次光がそれぞれ光変調領域18b、18aから出射される。
【0046】
また、上記第5実施形態では、図17の左欄に示すように、第1共通電位Vcom1と第2共通電位Vcom2とを相違させているが、第1共通電位Vcom1と第2共通電位Vcom2とを同一、例えば接地電位とし、第1駆動回路281および第2駆動回路282から与える変調信号を制御して光変調するように構成してもよい(第6実施形態)。例えば図17の右欄に示すように、電位Vcom1が与えられている共通電極8aに対向する格子電極6bに第2駆動回路282から電位Vb(例えば0V〜+50V)を与えるとともに、電位Vcom2が与えられている共通電極8bに対向する格子電極6aに第1駆動回路281から電位Vbと逆電位の電位Va(−50V〜0V)を与えてもよい。特に、|Va|=|Vb|に設定することで各光変調領域18b、18aから同じ変調出力が得られる。
【0047】
ここでは、空間光変調器20Aの電気光学結晶基板4が非対称な光変調出力特性を有する場合を例示して説明したが、非対称な光変調出力特性を有する電気光学結晶基板4を用いて光変調を行う技術全般に対して本実施形態を適用することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、5チャンネル(図1)、8チャンネル(図6)、16チャンネル(図8A、8B、10A、10B、12A、12B、16)で光変調する光変調技術に本発明を適用しているが、チャンネル数はこれらに限定されるものではなく、マルチチャンネルの光変調技術全般に本発明を適用することができる。
【0049】
また、本発明にかかる光変調素子や空間光変調器については種々の装置に適用可能であるが、上記したように光源から出射する光を変調して基板表面などの被露光部を照射する露光装置102に好適に適用可能となっている。さらに、当該露光装置102についても、種々の装置に適用することができる、例えば当該露光装置を描画装置(例えば特開2016−51104号公報に記載の装置)に適用してもよく、この適用によって高精度なパターン描画が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明は、電気光学結晶を用いて光を変調する光変調素子、当該光変調素子を用いた空間光変調器ならび当該空間光変調器を用いて露光処理を行う露光装置全般に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
2、22…光変調素子
4…電気光学結晶基板
4a…(電気光学結晶基板の)上方主面
4b…(電気光学結晶基板の)下方主面
6a…(第1)格子電極
8a…(第1)共通電極
8b…(第2)共通電極
10a…第1電極群
10b…第2電極群
18a、18b…光変調領域
12a…(第1)駆動配線パターン
12b…(第2)駆動配線パターン
14a…(第1)導電部
14b…(第2)導電部
16a…(第1)共通配線パターン
16b…(第2)共通配線パターン
20A〜20E…空間光変調器
24…上方電極基板(第1電極基板)
24b…(上方電極基板の)下方主面(第1対向面)
26…下方電極基板(第2電極基板)
26a…(下方電極基板の)上方主面(第2対向面)
28…駆動部
102…露光装置
108…照明光学系
110…投影光学系
E、E1、E2…電界
L…光
W…基板
X…電極配列方向
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17