(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ゼオライトが、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、ZON及びこれらのいずれか2つ以上の混合又は連晶からなる群より選択されるフレームワークタイプを有する小細孔ゼオライトである、請求項1又は2に記載の酸化触媒。
担体材料が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びこれらの2種類以上の混合又は複合酸化物からなる群より選択される耐火性金属酸化物を含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の酸化触媒。
第1のウォッシュコート領域が基材の出口端に配置された第1のウォッシュコート区域であり、第2のウォッシュコート領域が基材の入口端に配置された第2のウォッシュコート区域である、請求項12に記載の酸化触媒。
第2のウォッシュコート領域が第2のウォッシュコート層であり、第1のウォッシュコート領域が第1のウォッシュコート区域であり、第1のウォッシュコート区域が基材の出口端において第2のウォッシュコート層上に配置される、請求項12に記載の酸化触媒。
第2のウォッシュコート領域が第2のウォッシュコート層であり、第1のウォッシュコート領域が第1のウォッシュコート層であり、第2のウォッシュコート層が第1のウォッシュコート層上に配置される、請求項12に記載の酸化触媒。
第2のウォッシュコート領域が、基材の出口端又はその近くで、かつ排気ガスが第1のウォッシュコート領域と接触した後に、排気ガスと接触するように配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載の酸化触媒。
第2のウォッシュコート領域が基材の出口端に配置された第2のウォッシュコート区域であり、第1のウォッシュコート領域が基材の入口端に配置された第1のウォッシュコート区域である、請求項16に記載の酸化触媒。
第1のウォッシュコート領域が第1のウォッシュコート層であり、第2のウォッシュコート領域が第2のウォッシュコート区域であり、第2のウォッシュコート区域が基材の出口端において第1のウォッシュコート層上に配置される、請求項16に記載の酸化触媒。
第1のウォッシュコート領域が第1のウォッシュコート層であり、第2のウォッシュコート領域が第2のウォッシュコート層であり、第2のウォッシュコート層が第1のウォッシュコート層上に配置される、請求項16に記載の酸化触媒。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の酸化触媒は、第1のウォッシュコート領域及び第2のウォッシュコート領域を備える。第1のウォッシュコート領域は、ゼオライト触媒を含むか、又は本質的にゼオライト触媒からなっていてもよい。
【0024】
ゼオライト触媒は、貴金属及びゼオライトを含むか、又は本質的にこれらからなる。ゼオライト触媒は、国際公開第2012/166868号に記載される方法に従って調製することができる。
【0025】
貴金属は、典型的には、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)及びこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択される。好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及びこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択される。さらに好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)からなる群より選択される。さらになお好ましくは、貴金属はパラジウム(Pd)である。ゼオライト触媒はパラジウムを唯一の貴金属として含むことがさらに好ましい。
【0026】
一般に、貴金属は、パラジウム(Pd)及び、任意選択的に、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)及びルテニウム(Ru)からなる群より選択される第2の金属を含むか、又はこれらからなることが好ましい。好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)及び、任意選択的に白金(Pt)及びロジウム(Rh)からなる第2の金属を含むか、又はこれらからなる。さらになお好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)及び任意選択的に白金(Pt)を含むか、又はこれらからなる。貴金属がパラジウム(Pd)及び第2の金属を含むか又はこれらからなる場合には、パラジウム(Pd)の第2の金属に対する質量比は>1:1である。さらに好ましくは、パラジウム(Pd)の第2の金属に対する質量比は>1:1であり、パラジウム(Pd)の第2の金属に対するモル比は>1:1である。
【0027】
ゼオライト触媒はさらに卑金属を含んでいてもよい。よって、ゼオライト触媒は、貴金属、ゼオライト及び任意選択的に卑金属を含みうるか、又は本質的にこれらからなりうる。
【0028】
卑金属は、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及びスズ(Sn)、並びにこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択されうる。卑金属は、鉄、銅及びコバルトからなる群より選択されることが好ましく、さらに好ましくは鉄及び銅である。さらになお好ましくは、卑金属は鉄である。
【0029】
あるいは、ゼオライト触媒は卑金属を実質的に含まなくてもよい。よって、ゼオライト触媒は卑金属を含まないことがありうる。
【0030】
一般に、ゼオライト触媒は卑金属を含まないことが好ましい。
【0031】
ゼオライト触媒はバリウム(Ba)を実質的に含まないことが好ましい場合があり、さらに好ましくはゼオライト触媒はアルカリ土類金属を実質的に含まない。よって、ゼオライト触媒はバリウムを含まなくてもよく、好ましくはゼオライト触媒はアルカリ土類金属を含まなくてもよい。
【0032】
ゼオライトは、典型的には、アルミノシリケートゼオライト、アルミノホスフェートゼオライト及びシリコアルミノホスフェートゼオライトから選択される。例えば、ゼオライトは、典型的には、アルミノシリケートゼオライト及びアルミノホスフェートゼオライトから選択される。ゼオライトは、アルミノシリケートゼオライト及びシリコアルミノホスフェートゼオライトから選択されることが好ましい。さらに好ましくは、ゼオライトはアルミノシリケートゼオライトである。
【0033】
貴金属は、典型的にはゼオライト上にロード又は担持される。例えば、貴金属は、イオン交換によってゼオライト上にロード又は担持されうる。よって、ゼオライト触媒は貴金属及びゼオライトを含むか、又は本質的にこれらからなっていてよく、ここで貴金属はイオン交換によってゼオライト上にロード又は担持される。
【0034】
一般に、ゼオライトは、金属置換されたゼオライト(例えば金属置換されたアルミノシリケートゼオライト又は金属置換されたアルミノホスフェートゼオライト)でありうる。金属置換されたゼオライトの金属は、貴金属でありうる(例えばゼオライトは貴金属置換されたゼオライトである)。ゼオライト触媒が卑金属を含む場合には、ゼオライトは貴金属及び卑金属で置換されたゼオライトでありうる。誤解を避けるために、用語「金属置換された」は、「イオン交換された」と同義である。
【0035】
ゼオライト触媒は、一般に、ゼオライトの細孔の内側に位置する貴金属を(すなわちゼオライト触媒の貴金属の量を)少なくとも1重量%有し、好ましくは少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%、例えば少なくとも25重量%など、さらになお好ましくは少なくとも50重量%有する。
【0036】
ゼオライトは、小細孔ゼオライト(すなわち最大環サイズが8つの四面体原子を有するゼオライト)、中細孔ゼオライト(すなわち最大環サイズが10の四面体原子を有するゼオライト)及び大細孔ゼオライト(すなわち最大環サイズが12の四面体原子を有するゼオライト)から選択されうる。さらに好ましくは、ゼオライトは小細孔ゼオライト及び中細孔ゼオライトから選択される。
【0037】
典型的には、ゼオライトはアルミニウム、ケイ素、及び/又はリンで構成される。ゼオライトは、一般に、酸素原子の共有によって連結された、SiO
4、AlO
4、及び/又はPO
4の三次元的配置を有する。ゼオライトはアニオン型フレームワークを有しうる。アニオン型フレームワークの電荷は、アルカリ及び/又はアルカリ土類元素(例えば、Na、K、Mg、Ca、Sr、及びBa)のカチオン、アンモニウムのカチオン及び/又はプロトンなど、カチオンによって相殺されうる。
【0038】
第1のゼオライト触媒の実施態様では、ゼオライトは小細孔ゼオライトである。小細孔ゼオライトは、好ましくは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらのいずれか2つ以上の混合又は連晶からなる群より選択されるフレームワークタイプを有する。連晶は、好ましくはKFI−SIV、ITE−RTH、AEW−UEI、AEI−CHA、及びAEI−SAVから選択される。さらに好ましくは、小細孔ゼオライトはAEI、CHA又はAEI−CHA連晶のフレームワークタイプを有する。さらになお好ましくは、小細孔ゼオライトは、AEI又はCHAのフレームワークタイプ、特にAEIのフレームワークタイプを有する。
【0039】
好ましくは、小細孔ゼオライトはアルミノシリケートゼオライト又はシリコアルミノホスフェートゼオライトである。さらに好ましくは、とりわけ小細孔ゼオライトがAEI、CHA又はAEI−CHA 連晶のフレームワークタイプ、特にAEI又はCHAのフレームワークタイプを有する場合には、小細孔ゼオライトはアルミノシリケートゼオライトである。
【0040】
第2のゼオライト触媒の実施態様では、ゼオライトは、AEI、MFI、EMT、ERI、MOR、FER、BEA、FAU、CHA、LEV、MWW、CON及びEUO、並びにこれらの2つ以上の混合からなる群より選択されるフレームワークタイプを有する。
【0041】
第3のゼオライト触媒の実施態様では、ゼオライトは中細孔ゼオライトである。中細孔ゼオライトは、好ましくはMFI、FER、MWW及びEUOからなる群より選択されるフレームワークタイプ、さらに好ましくはMFIのフレームワークタイプを有する。
【0042】
第4のゼオライト触媒の実施態様では、ゼオライトは大細孔ゼオライトである。大細孔ゼオライトは、好ましくはCON、BEA、FAU、MOR及びEMTからなる群より選択されるフレームワークタイプを有し、さらに好ましくはBEAのフレームワークタイプを有する。
【0043】
前述の三文字コードの各々は、「IUPAC Commission on Zeolite Nomenclature」及び/又は「Structure Commission of the International Zeolite Association」に準拠したフレームワークタイプを表す。
【0044】
ゼオライトは、典型的には、10から200(例えば10から40)、例えば10から100など、さらに好ましくは15から80(例えば15から30)のシリカのアルミナに対するモル比(SAR)を有する。SARは、一般に、アルミノシリケートゼオライト又はシリコアルミノホスフェートゼオライトに関する。
【0045】
第1、第3及び第4のゼオライト触媒の実施態様(及び、第2のゼオライト触媒の実施態様のフレームワークタイプの一部について)のゼオライト触媒は、750cm
−1から1050cm
−1の範囲の特徴的な吸収ピークを(ゼオライト自体の吸収ピークに加えて)有する赤外線スペクトルを有しうる。好ましくは、特徴的な吸収ピークは、800cm
−1から1000cm
−1の範囲であり、さらに好ましくは850cm
−1から975cm
−1の範囲である。
【0046】
驚くべきことに、第1のゼオライト触媒の実施態様のゼオライト触媒を含むウォッシュコート領域が受動的NO
x吸着体(PNA)活性を有することが見出された。PNA活性を有するウォッシュコート領域は、排ガス温度がディーゼルエンジンのスタート直後などの比較的冷たい場合にNO
xを貯蔵するのに使用することができる。ゼオライト触媒によるNO
xの貯蔵は、第2のウォッシュコート領域の白金成分が一酸化窒素(NO)から二酸化窒素(NO
2)への著しい酸化を行うことができる温度よりも低い温度(例えば200℃未満)で生じる。
【0047】
ディーゼルエンジンが温まる際に、排ガス温度は上昇し、ゼオライト触媒(及びPNA活性を有するウォッシュコート領域)の温度もまた上昇する。ゼオライト触媒は、吸着したNO
xを、より高い温度(例えば200℃以上)で放出する。ゼオライト触媒は、第2のウォッシュコート領域の白金成分がNOを酸化するための有効温度に達したときに、吸着したNO
xを放出することができる、又は、ゼオライト触媒は、有効温度よりわずかに低い温度で、吸着したNO
x放出することができる。ゼオライト触媒は、吸着したNO
xについて、高い放出温度を有することが予想の範囲を超えて見い出された。
【0048】
第2のゼオライト触媒の実施態様のゼオライト触媒を含むウォッシュコート領域は、コールドスタート触媒(CSC
TM)活性を有することも、予想の範囲を超えて見い出された。このような活性は、比較的低い排ガス温度(例えば200℃未満)においてNO
x及び炭化水素(HC)を吸着することにより、コールドスタート期間の間の排気を低減することができる。吸着したNO
x及び/又はHCは、ゼオライト触媒の温度がNO及び/又はHCを酸化するための他の触媒成分の有効温度に近いかそれ以上のときに、ウォッシュコート領域によって放出されうる。
【0049】
一般に、第1のウォッシュコート領域は、典型的には、≧1g ft
−3、好ましくは>1g ft
−3、さらに好ましくは>2g ft
−3の、貴金属(すなわち第1のウォッシュコート領域におけるゼオライト触媒の貴金属)の総ローディングを有する。
【0050】
第1のウォッシュコート領域は、典型的には、1から250g ft
−3、好ましくは5から150g ft
−3、さらに好ましくは10から100g ft
−3の、貴金属(すなわち第1のウォッシュコート領域におけるゼオライト触媒の貴金属)の総ローディングを有する。ゼオライト触媒中の貴金属の量は、NO
x貯蔵活性に影響を与えうる。
【0051】
第1のウォッシュコート領域は、結合剤及び/又は酸素貯蔵成分を含みうる。酸素貯蔵成分は、セリアを含むか、又は本質的にセリアからなりうる。
【0052】
結合剤は耐火性金属酸化物でありうる。耐火性金属酸化物は、第2のウォッシュコート領域における担体材料に関して以下に述べる耐火性金属酸化物、例えばアルミナなどでありうる。
【0053】
第1のウォッシュコート領域が結合剤を含む場合には、結合剤は貴金属を含まないことが好ましい(例えば貴金属は、結合剤の耐火性金属酸化物上に担持されない)。
【0054】
第1のウォッシュコート領域は、セリアを実質的に含まないことが好ましい場合があり、好ましくは酸素貯蔵成分を実質的に含まないことが好ましい場合がある。よって、第1のウォッシュコート領域はセリアを含まなくてもよく、好ましくは第1のウォッシュコート領域は酸素貯蔵成分を含まない。
【0055】
本発明の酸化触媒は、一酸化窒素(NO)を酸化(すなわち二酸化窒素(NO
2)へと酸化)するための第2のウォッシュコート領域を含む。第2のウォッシュコート領域はまた、使用の間に一部の一酸化炭素(CO)及び/又は一部の炭化水素(HC)をも酸化しうる。
【0056】
誤解を避けるために、第1のウォッシュコート領域は、第2のウォッシュコート領域とは異なっている(すなわち異なる組成物)。
【0057】
第2のウォッシュコート領域は、白金及び担体材料を含むか、又は本質的にこれらからなる。
【0058】
第2のウォッシュコート領域はさらにパラジウムを含みうる。よって、第2のウォッシュコート領域は、白金、パラジウム及び担体材料を含むか、又は本質的にこれらからなりうる。
【0059】
第2のウォッシュコート領域が白金及びパラジウムを含む場合には、白金及びパラジウムは白金−パラジウム合金、好ましくは白金−パラジウムのバイメタリック合金でありうる。
【0060】
一般に、第2のウォッシュコート領域は、白金及び白金とパラジウムの組み合わせからなる群より選択される白金族金属(PGM)を含むことが好ましい(すなわち、第2のウォッシュコート領域は、白金又は白金及びパラジウムを唯一の白金族金属として含む)。よって、第2のウォッシュコート領域は、好ましくは、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)及び/又は イリジウム(Ir)など、1種類以上の他の白金族金属を含まない。
【0061】
第2のウォッシュコート領域は、典型的には5から300g ft
−3のPGM総ローディングを有する。第2のウォッシュコート領域は、10から250g ft
−3(例えば75から175g ft
−3)のPGM総ローディングを有することが好ましく、さらに好ましくは15から200g ft
−3(例えば50から150g ft
−3)、さらになお好ましくは20から150g ft
−3のPGM総ローディングを有する。白金が第2のウォッシュコート領域内に存在する唯一のPGMである場合、総ローディングは白金のローディングのことを指す。
【0062】
第2のウォッシュコート領域が白金及びパラジウムを含む場合には、典型的には、第2のウォッシュコート領域は、20:1から1:20(例えば15:1から1:15)、好ましくは10:1から1:10(例えば7.5:1から1:7.5)、さらに好ましくは6:1から1:6(例えば3:1から1:3)、及びさらになお好ましくは2.5:1から1:1の白金のパラジウムに対する比を有しうる。
【0063】
第2のウォッシュコート領域が白金及びパラジウムを含む場合には、第2のウォッシュコート領域は、白金の全重量がパラジウムの全重量以上である(例えばPt:Pdの重量比が≧1:1である)ことが好ましい。
【0064】
よって、第2のウォッシュコート領域は、20:1から1:1(例えば15.1:1から1.1:1)、さらに好ましくは10:1から1.25:1(例えば8:1から1.5:1)、及びさらになお好ましくは6:1から2:1の白金のパラジウムに対する比を有しうる。
【0065】
第2のウォッシュコート領域は、白金の全重量がパラジウムの全重量より大きいことが好ましい(例えばPt:Pdの重量比は>1:1である)。全重量による白金のパラジウムに対する比は、一般に≧2:1(例えばPt:Pd 1:0から2:1)であり、さらに好ましくは≧4:1(例えばPt:Pd 1:0から4:1)である。有利なNO酸化活性は、第1のウォッシュコート領域において、白金の全重量がパラジウムの全重量以上である場合にもたらされうる。
【0066】
第2のウォッシュコート領域は、パラジウムを実質的に含まないことが一般的に好ましく、特に、担体材料上に配置又は担持されたパラジウム(Pd)を実質的に含まないことが好ましい。さらに好ましくは、第2のウォッシュコート領域は、パラジウム、特に担体材料上に配置又は担持されたパラジウムを含まない。
【0067】
第2のウォッシュコート領域におけるパラジウムの存在、特に大量のパラジウムの存在は、NO酸化活性に悪影響をもたらしうる。パラジウムのNO酸化活性は、一般に、ディーゼル酸化触媒のための典型的な使用条件下では乏しい。また、存在するパラジウムは存在する白金の一部と反応して合金を形成しうる。これもまた、白金−パラジウム合金は白金自体のNO酸化に対する活性ほど活性ではないことから、第2のウォッシュコート領域のNO酸化活性に悪影響をもたらしうる。
【0068】
典型的には、白金は担体材料上に配置又は担持される。Ptは、担体材料上に直接配置されうる、又は担体材料に直接担持されうる(例えば、Ptと担体材料の間に介在する担体材料は存在しない)。例えば、白金は担体材料上に分散させることができる。
【0069】
第2のウォッシュコート領域が白金及びパラジウムを含む場合には、白金は担体材料上に配置又は担持されうる、及び/又は、パラジウムは担体材料上に配置又は担持されうる。白金及びパラジウムは両方とも、担体材料上に配置又は担持される(すなわち同一の担体材料が白金とパラジウムの両方に用いられる)ことが好ましい。
【0070】
第2のウォッシュコート領域が白金及びパラジウムを含有する場合には、第2のウォッシュコート領域は、白金担体材料(例えば白金を担持するための担体材料)及びパラジウム担体材料(例えば、パラジウムを担持するための担体材料)を含みうる。したがって、第2のウォッシュコート領域は、白金、パラジウム、白金担体材料及びパラジウム担体材料を含んでいて差し支えなく、又は、本質的にこれらからなっていてもよい。白金は白金担体材料上に配置又は担持されて差し支えなく、パラジウムはパラジウム担体材料上に配置又は担持されて差し支えない。白金担体材料及びパラジウム担体材料は、好ましくは異なっている(例えば異なる組成物)。
【0071】
典型的には、担体材料は、耐火性金属酸化物を含むか、又は本質的に耐火性金属酸化物からなる。 ディーゼルエンジンのための酸化触媒の触媒成分としての使用に適した耐火性金属酸化物は、当技術分野でよく知られている。
【0072】
耐火性金属酸化物は、典型的には、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びこれらの混合又は複合酸化物、例えばこれらの2つ以上の混合又は複合酸化物など、からなる群より選択される。例えば、耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、セリア−アルミナ、チタニア−シリカ、ジルコニア−シリカ、ジルコニア−チタニア、セリア−ジルコニア及びアルミナ−酸化マグネシウムからなる群より選択されうる。
【0073】
担体材料、又はこれらの耐火性金属酸化物は、任意選択的にドープされてもよい(例えばドーパントを用いて)。ドーパントは、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ネオジム(Nd)及びこれらの酸化物からなる群より選択されうる。
【0074】
ドーパントの含有によって、耐火性金属酸化物又は担体材料を熱的に安定化することができる。この文脈において「ドープされた」とは、耐火性金属酸化物のバルク又はホスト格子が、ドーパントでドープされた又はドーパントで格子間ドープされた置換である材料のことを指すものと理解されるべきである。場合によっては、少量の ドーパントが耐火性金属酸化物の表面に存在しうる。しかしながら、ほとんどのドーパントは、一般的には、耐火性金属酸化物の本体内に存在するであろう。耐火性金属酸化物の化学的及び/又は物理的特性は、しばしばドーパントの存在によって影響を受ける。
【0075】
担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物がドープされる場合、ドーパントの全量は、0.25から5重量%、好ましくは0.5から3重量%(例えば約1重量%)である。
【0076】
担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物は、ドーパントをドープされたアルミナを含むか、又は本質的にこれらからなりうる。担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物は、第1のウォッシュコート領域がアルカリ土類金属を含む場合、ドーパントをドープされたアルミナを含むか、又は本質的にこれらからなることが特に好ましい。
【0077】
アルミナは、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、又はジルコニウム(Zr)もしくはこれらの2つ以上の組み合わせを含むドーパントでドープされうる。ドーパントは、ケイ素の酸化物、マグネシウムの酸化物、バリウムの酸化物、ランタンの酸化物、セリウムの酸化物、チタンの酸化物又はジルコニウムの酸化物を含むか、又は本質的にこれらからなりうる。好ましくは、ドーパントは、ケイ素、マグネシウム、バリウム、セリウム、又はこれらの酸化物を含むか、又は本質的にこれらからなり、特に、ケイ素、又はセリウム、もしくはこれらの酸化物である。さらに好ましくは、ドーパントは、ケイ素、マグネシウム、バリウム、又はこれらの酸化物含むか、又は本質的にこれらからなり;特にはケイ素、マグネシウム、又はこれらの酸化物であり;とりわけケイ素又はこれらの酸化物である。
【0078】
ドーパントをドープされたアルミナの例としては、シリカをドープされたアルミナ、マグネシウム酸化物をドープされたアルミナ、バリウム又はバリウム酸化物をドープされたアルミナ、ランタン酸化物をドープされたアルミナ、又はセリアをドープされたアルミナが挙げられ、特に、シリカをドープされたアルミナ、ランタン酸化物をドープされたアルミナ、又はセリアをドープされたアルミナが挙げられる。ドーパントをドープされたアルミナは、シリカをドープされたアルミナ、バリウム又はバリウム酸化物をドープされたアルミナ、又はマグネシウム酸化物をドープされたアルミナであることが好ましい。さらに好ましくは、ドーパントをドープされたアルミナは、シリカをドープされたアルミナ又は酸化マグネシウムをドープされたアルミナである。さらになお好ましくは、ドーパントをドープされたアルミナはシリカをドープされたアルミナである。ドーパントをドープされたアルミナは、当技術分野で知られた方法、又は、例えば、米国特許第5045519号に記載される方法によって調製することができる。
【0079】
アルミナがシリカをドープされたアルミナである場合、このアルミナは、全重量の0.5から45重量%(すなわち重量による%アルミナ)、好ましくは1から40重量%、さらに好ましくは1.5から30重量%(例えば1.5から10重量%)、特に2.5から25重量%、さらに特に3.5から20重量%(例えば5から20重量%)、さらになお好ましくは4.5から15重量%で、シリカをドープされる。
【0080】
アルミナが酸化マグネシウムをドープされたアルミナである場合には、アルミナは、上記定義された量で、又は1から30重量%(すなわち重量によるアルミナの%)、好ましくは5から25重量%の量で、マグネシウムをドープされる。
【0081】
担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物は、マンガンを含むか、又は本質的にマンガンからなるドーパントをドープされないことが好ましい。よって、担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物は、スズ、マンガン、インジウム、第VIII族金属(例えばFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPt、特に Ir)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される促進剤などの促進剤を用いて促進されない。
【0082】
代替的に又は追加的に、担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物は、アルミン酸アルカリ土類金属を含むか、又は本質的にこれらからなりうる。用語「アルミン酸アルカリ土類金属」とは、一般に、式MAl
2O
4の化合物のことを指し、ここで「M」は、例えばMg、Ca、Sr又はBaなどのアルカリ土類金属を表す。このような化合物は一般に、スピネル型構造を含む。これらの化合物は、当技術分野で既知の通常の方法を使用して、又は欧州特許第0945165号、米国特許第6217837号又は米国特許第6517795号に記載される方法を使用することによって調製することができる。
【0083】
典型的には、アルミン酸アルカリ土類金属は、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)、アルミン酸カルシウム(CaAl
2O
4)、アルミン酸ストロンチウム(SrAl
2O
4)、アルミン酸バリウム(BaAl
2O
4)、又はこれらの2つ以上の混合物である。好ましくは、アルミン酸アルカリ土類金属はアルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)である。
【0084】
一般に、担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物が、アルミナの混合又は複合酸化物(例えばシリカ−アルミナ、アルミナ−酸化マグネシウム又はアルミナとセリアの混合物)を含むか、又は本質的にこれらからなる場合には、好ましくは、アルミナの混合又は複合酸化物は、少なくとも50から99重量%のアルミナ、さらに好ましくは70から95重量%のアルミナ、さらになお好ましくは75から90重量%のアルミナを含む。
【0085】
担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物がセリア−ジルコニアを含むか又は本質的にセリア−ジルコニアからなる場合には、セリア−ジルコニアは、本質的に、20から95重量%のセリア及び5から80重量%のジルコニア(例えば50から95重量% セリア及び5から50重量%のジルコニア)からなって差し支えなく、好ましくは35から80重量%のセリア及び20から65重量%のジルコニア(例えば55から80重量% セリア及び20から45重量%のジルコニア)からなり、さらになお好ましくは45から75重量%のセリア及び25から55重量%のジルコニアからなりうる。
【0086】
一般に、パラジウム担体材料は、耐火性金属酸化物を含むか、又は本質的にこれらからなる。パラジウム担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物は、上記定義された担体材料又は耐火性金属酸化物でありうる。第2のウォッシュコート領域がパラジウム担体材料を含む場合、パラジウム担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物は、セリア及び/又はセリア−ジルコニアを含むか、又は本質的にこれらからなることが好ましい。
【0087】
典型的には、白金担体材料は、耐火性金属酸化物を含むか、又は本質的にこれらからなる。白金担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物は、上記定義された担体材料又は耐火性金属酸化物でありうる。第2のウォッシュコート領域が白金担体材料を含む場合、白金担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物はアルミナを含むか、又は本質的にアルミナからなることが好ましく、ここで、アルミナは任意選択的に上述のようなドーパントでドープされる。白金担体材料がドーパントをドープされたアルミナを含む場合、ドーパントは、ケイ素、マグネシウム、セリウム、ランタン又はこれらの酸化物、さらに好ましくはケイ素又はこれらの酸化物を含むか、又は本質的にこれらからなることが好ましい。
【0088】
白金担体材料(又はこれらの耐火性金属酸化物)及び/又はパラジウム担体材料(又はこれらの耐火性金属酸化物)は、マンガンを含むか、又は本質的にマンガンからなるドーパントでドープされない。よって、白金担体材料(又はこれらの耐火性金属酸化物)及び/又はパラジウム担体材料(又はこれらの耐火性金属酸化物)は、スズ、マンガン、インジウム、第VIII族金属(例えばFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPt、特にIr)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される促進剤などの促進剤で促進されない。
【0089】
第2のウォッシュコート領域は、担体材料(例えば担体材料及び、存在する場合には、白金担体材料及びパラジウム担体材料の全重量)を、0.1から4.5g in
−3(例えば0.25から4.2g in
−3)、好ましくは0.3から3.8g in
−3、さらになお好ましくは0.5から3.0g in
−3(1から2.75g in
−3又は0.75から1.5g in
−3)、さらになお好ましくは0.6から2.5g in
−3(例えば0.75から2.3g in
−3)の量で含みうる。
【0090】
第2のウォッシュコート領域はさらに、炭化水素吸着剤材料を含みうる。
【0091】
一般に、炭化水素吸着剤材料はゼオライトでありうる。ゼオライトは、中細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが10の四面体原子であるゼオライト)又は大細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが12の四面体原子であるゼオライト)であることが好ましい。ゼオライトは、小細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが8の四面体原子であるゼオライト)ではないことが好ましい場合がありうる。
【0092】
適切なゼオライト又はゼオライトの種類の例としては、フージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、フェリエライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、超安定化Y型ゼオライト、AEIゼオライト、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、ZSM−20ゼオライト、ZSM−34ゼオライト、CHAゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO−5ゼオライト、オフレタイト、ベータゼオライト又は銅CHAゼオライトが挙げられる。ゼオライトは、好ましくはZSM−5、ベータゼオライト又はYゼオライトである。
【0093】
第2のウォッシュコート領域が炭化水素吸着剤を含有する場合、炭化水素吸着剤の全重量は0.05から3.00g in
−3であり、特に0.10から2.00g in
−3、さらに特には0.2から1.0g in
−3である。例えば、炭化水素吸着剤の全重量は、0.8から1.75g in
−3であって差し支えなく、例えば1.0から1.5g in
−3でありうる。
【0094】
一部の用途では、一般に、第2のウォッシュコート領域は、炭化水素吸着剤材料、特にゼオライトを実質的に含まないことが好ましい場合がありうる。よって、第2のウォッシュコート領域は炭化水素吸着剤材料を含まない場合がありうる。
【0095】
第2のウォッシュコート領域はさらに、アルカリ土類金属を含みうる。第2のウォッシュコート領域は、典型的には、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)の酸化を促進するための有効量のアルカリ土類金属を含む。
【0096】
アルカリ土類金属は、特に(i)アルカリ土類金属がある特定の担体材料、例えばドーパントをドープされたアルミナ、とりわけシリカをドープされたアルミナと組み合わせられる場合、及び/又は(ii)ウォッシュコート領域がパラジウムの全重量以上である白金の全重量を含む場合(例えばPt:Pdの重量比は≧1:1である)に、CO及び/又はHCの酸化を促進しうる(例えばCO及び/又はHCの低温酸化活性が改善されうる)。
【0097】
アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)及びこれらの2つ以上の組み合わせから選択されうる。アルカリ土類金属は、好ましくはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、又はバリウム(Ba)であり、さらに好ましくはストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)であり、最も好ましくはアルカリ土類金属はバリウム(Ba)である。
【0098】
一般的に、アルカリ土類金属は担体材料上に配置又は担持されることが好ましい。第2のウォッシュコート領域が白金担体材料を含む場合、アルカリ土類金属は白金担体材料上に配置又は担持されうる。第2のウォッシュコート領域がパラジウム担体材料を含む場合、アルカリ土類金属はパラジウム担体材料上に配置又は担持されうる。
【0099】
典型的には、酸化触媒又は第2のウォッシュコート領域は、アルカリ土類金属の全量を、0.07から3.75モル ft
−3含み、特に0.1から3.0モル ft
−3、さらに特には0.2から2.5モル ft
−3(例えば0.25から1.0モル ft
−3)、例えば0.3から2.25モル ft
−3など、とりわけ0.35から1.85モル ft
−3、好ましくは0.4から1.5モル ft
−3、さらになお好ましくは0.5から1.25モル ft
−3含む。
【0100】
一般に、酸化触媒又は第2のウォッシュコート領域は、アルカリ土類金属の全量を、10から500g ft
−3(例えば60から400g ft
−3又は10から450g ft
−3)含み、特に20から400g ft
−3、さらに特には35から350g ft
−3、例えば50から300g ft
−3など、とりわけ75から250g ft
−3含む。
【0101】
酸化触媒は、一般に、0.1から20重量%、好ましくは0.5から17.5重量%、さらに好ましくは1から15重量%、さらになお好ましくは1.5から12.5重量%のアルカリ土類金属の量を含む。アルカリ土類金属の量は、1.0から8.0重量%、例えば1.5から7.5重量%など、特に2.0から7.0重量%(例えば2.5から6.5重量%又は2.0から5.0重量%)でありうる。アルカリ土類金属の量は、5.0から17.5重量%、例えば7.5から15重量%など、特に8.0から14重量%(例えば8.5から12.5重量%又は9.0から13.5重量%)でありうる。
【0102】
典型的には、第2のウォッシュコート領域は、0.25:1から20:1(例えば0.3:1から20:1)のアルカリ土類金属の白金族金属(PGM)に対する重量比を有する。アルカリ土類金属の全質量の白金族金属(PGM)の全質量に対する比は、0.5:1から17:1であることが好ましく、さらに好ましくは1:1から15:1、特に1.5:1から10:1、さらになお好ましくは2:1から7.5:1、さらになお好ましくは2.5:1から5:1である。
【0103】
第2のウォッシュコート領域が白金(Pt)を唯一の白金族金属(PGM)として含む場合、好ましくは第2のウォッシュコート領域は、白金(Pt)の全重量より大きいアルカリ土類金属の全重量を有する。
【0104】
第2のウォッシュコート領域はさらにマンガン(Mn)を含みうる。マンガンは、元素形態で又は酸化物として存在しうる。第2のウォッシュコート領域は、典型的にはマンガン又はその酸化物を含む。
【0105】
ディーゼルエンジンからの排気ガス中の一酸化窒素(NO)の酸化に向けた優れた活性は、酸化触媒の第2のウォッシュコート領域においてマンガン(Mn)が白金(Pt)と組み合わされた場合に得ることができる。白金は高価であり、しばしば、酸化活性のために、酸化触媒中に比較的大量に含まれる。マンガン(Mn)を白金(Pt)と組み合わせて含有することにより、NO酸化活性の改善を生じうる、又は所定のレベルのNO酸化を達成するためのPtの使用量の低減を可能にしうる。
【0106】
マンガン(Mn)は、典型的には担体材料上に配置又は担持される。マンガン(Mn)は、担体材料上に直接配置されて差し支えなく、又は担体材料によって直接担持されてもよい(例えばMnと担体材料の間には介在する担体材料が存在しない)。第2のウォッシュコート領域が白金担体材料及びパラジウム担体材料を含む場合、マンガンは白金担体材料及び/又はパラジウム担体材料上に配置又は担持されうる。
【0107】
第2のウォッシュコート領域は、典型的には5から500g ft
−3のマンガン(Mn)の総ローディングを有する。第2のウォッシュコート領域は、10から250g ft
−3(例えば75から175g ft
−3)、さらに好ましくは15から200g ft
−3(例えば50から150g ft
−3)、さらになお好ましくは20から150g ft
−3のマンガン(Mn)の総ローディングを有することが好ましい。
【0108】
典型的には、第2のウォッシュコート領域は、≦5:1、さらに好ましくは<5:1のMn:Ptの重量比を有する。
【0109】
一般に、第2のウォッシュコート領域は、≧0.2:1(例えば≧0.5:1)、さらに好ましくは>0.2:1(例えば>0.5:1)のMn:Ptの重量比を有する。
【0110】
第2のウォッシュコート領域は、5:1から0.2:1(例えば5:1から1:2)、好ましくは4.5:1から1:1(例えば4:1から1.1:1)、さらに好ましくは4:1から1.5:1のマンガン(Mn)の白金に対する総重量の比を有しうる。
【0111】
第2のウォッシュコート領域がマンガンを含む場合には、好ましくは担体材料又はこれらの耐火性金属酸化物は、任意選択的にドーパントをドープされた(例えばシリカをドープされた)、アルミナを含むか、又は本質的にこれらからなりうる。第2のウォッシュコート領域が白金担体材料及びパラジウム担体材料を含む場合には、白金担体材料及び/又はパラジウム担体材料は、任意選択的にドーパントをドープされた(例えばシリカをドープされた)アルミナを含むか、又は本質的にこれらからなりうる。マンガン(Mn)、白金(Pt)及びドープされたアルミナ担体材料、特にシリカをドープされたアルミナ担体材料の組み合わせが優れたNO酸化活性をもたらし、その寿命に亘って酸化触媒のNO酸化活性を安定化することができることが見出された。
【0112】
排気ガスのNO
2含量を「ブースト」するために酸化触媒を使用することの問題点は、酸化触媒のNO酸化活性が、通常は、その寿命に亘って変化することである。一般に、触媒が「劣化」する(すなわち触媒が長期間にわたって使用される)と、触媒のNO酸化活性は低下する。「劣化した」酸化触媒を出る排気ガス中のNO
2の量は、下流の排出制御装置(例えばSCR触媒)の最適な性能にとって十分でありうる一方で、この生成されるNO
2の量の変化は、活性SCRを実施するための窒素性還元剤の分量の較正にとって問題である。第2のウォッシュコート領域がマンガン及び白金を含む場合、本発明の酸化触媒は、その寿命に亘って比較的安定なNO酸化活性を示しうる。よって、未使用の状態(すなわち「新しく」、繰り返し長期の使用に供されていない場合)及び劣化した状態における酸化触媒のNO酸化活性の差異は、典型的には小さい。
【0113】
第2のウォッシュコート領域は、アルカリ土類金属及びマンガンの両方を含まないことが一般的に好ましい。よって、第2のウォッシュコート領域がマンガンを含む場合には、第2のウォッシュコート領域はアルカリ土類金属を含まないことが好ましい。第2のウォッシュコート領域がアルカリ土類金属を含む場合には、第2のウォッシュコート領域はマンガンを含まないことが好ましい。
【0114】
さらに、第2のウォッシュコート領域は、上述のゼオライト触媒のようなゼオライト触媒を実質的に含まないことも好ましい場合がありうる。よって、第2のウォッシュコート領域はゼオライト触媒を含まない場合がありうる。
【0115】
第2のウォッシュコート領域がマンガンを含む場合には、第2のウォッシュコート領域は、典型的には、インジウム 及び/又はイリジウムを含まず、好ましくは第2のウォッシュコート領域はインジウム、イリジウム及び/又はマグネシウムを含まない。
【0116】
追加的に又は代替的に、第2のウォッシュコート領域はロジウム及び/又はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、特に、担体材料上に配置又は担持されたアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を実質的に含まない場合がありうる。よって、第2のウォッシュコートは、ロジウム及び/又はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、特に担体材料上に配置又は担持されたアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含まない場合がありうる。
【0117】
第1のウォッシュコート領域及び/又は第2のウォッシュコート領域は、基材上に配置又は担持されうる。
【0118】
第1のウォッシュコート領域は、基材上に直接配置されうる(すなわち第1のウォッシュコート領域は基材の表面と接触している;
図1から4参照)。第2のウォッシュコート領域は、
(a)第1のウォッシュコート領域上に配置又は担持されうる(例えば
図2から4参照);及び/又は
(b)基材上に直接配置 されうる[すなわち第2のウォッシュコート領域は基材の表面と接触している](例えば
図1から3参照);及び/又は
(c)第1のウォッシュコート領域と接触しうる[すなわち第2のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート領域に隣接又は当接している]。
【0119】
第2のウォッシュコート領域が基材上に直接配置される場合には、第2のウォッシュコート領域の一部又は部分は第1のウォッシュコート領域と接触しうるか、又は第1のウォッシュコート領域と第2のウォッシュコート領域は分離されうる(例えば隔たりによって)。
【0120】
第2のウォッシュコート領域が第1のウォッシュコート領域上に配置又は担持される場合、第2のウォッシュコート領域のすべて又は一部は、好ましくは第1のウォッシュコート領域上に直接配置される(すなわち第2のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート領域の表面にと接触している)。第2のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート層であって差し支えなく、第1のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート層でありうる。
【0121】
第2のウォッシュコート領域の部分又は一部のみが第1のウォッシュコート領域上に配置又は担持されることが好ましい場合がありうる。よって、第2のウォッシュコート領域は、完全には第1のウォッシュコート領域と重ならない、又は第1のウォッシュコート領域を覆わない。
【0122】
加えて又は代替として、第2のウォッシュコート領域は基材上に直接配置されうる(すなわち第2のウォッシュコート領域は基材の表面と接触している;
図1から3及び5参照)。第1のウォッシュコート領域は、
(i)第2のウォッシュコート領域上に配置又は担持されうる(例えば
図2、3及び5参照);及び/又は
(ii)基材上に直接配置されうる[すなわち第1のウォッシュコート領域は基材の表面と接触している](例えば
図1から3参照);及び/又は
(iii)第2のウォッシュコート領域と接触しうる[すなわち第1のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート領域に隣接又は当接している]。
【0123】
第1のウォッシュコート領域が基材上に直接配置される場合には、第1のウォッシュコート領域の一部又は部分は第2のウォッシュコート領域と接触しうるか、又は第1のウォッシュコート領域と第2のウォッシュコート領域は分離されうる(例えば隔たりによって)。
【0124】
第1のウォッシュコート領域が第2のウォッシュコート領域上に配置又は担持される場合、第1のウォッシュコート領域のすべて又は一部は、好ましくは第2のウォッシュコート領域上に直接配置される(すなわち第1のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート領域の表面と接触している)。第1のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート層であって差し支えなく、第2のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート層でありうる。
【0125】
一般に、第1のウォッシュコート領域は、第1のウォッシュコート層又は第1のウォッシュコート区域でありうる。第1のウォッシュコート領域が第1のウォッシュコート層である場合には、第1のウォッシュコート層は、基材の全長(すなわち実質的に全長)にわたって、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びることが好ましい。第1のウォッシュコート領域が第1のウォッシュコート区域である場合には、典型的には、第1のウォッシュコート区域は、基材の長さの10から90%の長さ(例えば10から45%)、好ましくは基材の長さの15から75%(例えば15から40%)、さらに好ましくは基材の長さの20から70%(例えば30から65%、例えば25から45%など)、さらになお好ましくは25から65%(例えば35から50%)の長さを有する。
【0126】
第2のウォッシュコート領域は、一般に第2のウォッシュコート層又は第2のウォッシュコート区域でありうる。第2のウォッシュコート領域が第2のウォッシュコート層である場合には、第2のウォッシュコート層は、基材の全長(すなわち実質的に全長)にわたって、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びることが好ましい。第2のウォッシュコート領域が第2のウォッシュコート区域である場合には、典型的には、第2のウォッシュコート区域は、基材の長さの10から90%の長さ(例えば10から45%)、好ましくは基材の長さの15から75%(例えば15から40%)、さらに好ましくは基材の長さの20から70%(例えば30から65%、例えば25から45%など)、さらになお好ましくは25から65%(例えば35から50%)の長さを有する。
【0127】
第1の酸化触媒の実施態様では、第1のウォッシュコート領域は、基材の出口端又はその近くで、かつ排気ガスが第2のウォッシュコート領域に接触した後に、排気ガスと接触するように配置される。このような配置は、第1のウォッシュコート領域がCO及び/又はHCのための低い着火温度を有する場合に有利な場合があり、発熱を生じるのに用いることができる。
【0128】
基材の出口端で、かつ排気ガスが第2のウォッシュコート領域と接触した後に、排気ガスと第1のウォッシュコート領域との接触を促進する幾つかの酸化触媒配置が存在する。第1のウォッシュコート領域は、第1から第3の酸化触媒配置のいずれか1つを有する場合に、第2のウォッシュコート領域と接触した後に、排気と接触するように配置又は配向される。
【0129】
典型的には、第2のウォッシュコート領域は、第1のウォッシュコート領域の前に排気ガスと接触するように配置又は配向される。よって、第2のウォッシュコート領域は、排気ガスが酸化触媒に入る際に排気ガスと接触するように配置されて差し支えなく、第1のウォッシュコート領域は、排気ガスが 酸化触媒を離れる際に排気ガスと接触するように配置されうる。第1の酸化触媒配置の区域化された配置は、この点において特に有利である。
【0130】
第1の酸化触媒配置では、第2のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート区域の上流に配置又は担持される。好ましくは、第1のウォッシュコート領域は、基材の出口端又はその近くに配置された第1のウォッシュコート区域であり、第2のウォッシュコート領域は、基材の入口端又はその近くに配置された第2のウォッシュコート区域である。
【0131】
第2の酸化触媒配置では、第2のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート層であり、第1のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート区域である。第1のウォッシュコート区域は、基材の出口端又はその近くで第2のウォッシュコート層上に配置される。
【0132】
第3の酸化触媒配置では、第2のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート層であり、第1のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート層である。第2のウォッシュコート層は、第1のウォッシュコート層上に配置される。
【0133】
第2の酸化触媒の実施態様では、第2のウォッシュコート領域は、基材の出口端又はその近くで、かつ排気ガスが第1のウォッシュコート領域と接触した後に、排気ガスと接触するように配置される。
【0134】
第2の酸化触媒の実施態様の酸化触媒は、排気ガスが触媒を出る直前かつゼオライト触媒を含むウォッシュコート領域と接触した後に、排気ガスと、白金(Pt)を含むウォッシュコート領域との接触を促進する配置を有する場合、特にNOに対し、有利な酸化活性を示しうる。このような酸化触媒の配置では、排気ガスは、触媒に入る際に、NO
xを吸着するための第1のウォッシュコート領域と最初に接触する。これは、コールドスタート期間の間などの比較的低い排ガス温度において特に有利である。排気ガスは、第1のウォッシュコート領域内又は上を通過した後、酸化触媒の出口を最終的に通過する前に、NOを酸化するための第2のウォッシュコート領域と接触する。第2のウォッシュコート領域がNOをNO
2に酸化するための有効温度に達すると、第1のウォッシュコート領域から放出されたNOは第2のウォッシュコート領域を通過し、NO
2へと酸化される。
【0135】
基材の出口端で、かつ排気ガスが第1のウォッシュコート領域と接触した後に、排気ガスと第2のウォッシュコート領域との接触を促進する幾つかの酸化触媒配置が存在する。第2のウォッシュコート領域は、第4から第6の酸化触媒配置のいずれか1つを有する場合に、第1のウォッシュコート領域と接触した後に、排気と接触するように配置又は配向される。
【0136】
典型的には、第1のウォッシュコート領域は、第2のウォッシュコート領域の前に排気ガスと接触するように配置又は配向される。よって、第1のウォッシュコート領域は、排気ガスが酸化触媒に入る際に排気ガスと接触するように配置されて差し支えなく、第2のウォッシュコート領域は、排気ガスが酸化触媒を離れる際に排気ガスと接触するように配置されて差し支えない。第4の酸化触媒配置の区域化された配置は、この点において特に有利である。
【0137】
第4の酸化触媒配置では、第1のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート区域の上流に配置又は担持される。好ましくは、第2のウォッシュコート領域は、基材の出口端又はその近くに配置された第2のウォッシュコート区域であり、第1のウォッシュコート領域は、基材の入口端又はその近くに配置された第1のウォッシュコート区域である。第2のウォッシュコート領域がマンガンを含む場合には、この配置の酸化触媒は硫黄に対する良好な耐性を示しうる。
【0138】
第5の酸化触媒配置では、第1のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート層であり、第2のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート区域である。第2のウォッシュコート区域は、基材の出口端又はその近くで第1のウォッシュコート層上に配置される。
【0139】
第6の酸化触媒配置では、第1のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート層であり、第2のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート層である。第2のウォッシュコート層は、第1のウォッシュコート層上に配置される。
【0140】
第1及び第4の酸化触媒配置では、第1のウォッシュコート区域は第2のウォッシュコート区域に隣接しうる。好ましくは、第1のウォッシュコート区域は第2のウォッシュコート区域と接触する。第1のウォッシュコート区域が第2のウォッシュコート区域と隣接するか、又は第1のウォッシュコート区域が第2のウォッシュコート区域と接触している場合には、第1のウォッシュコート区域と第2のウォッシュコート区域は、層(例えば単層)として基材上に配置又は担持されうる。よって、層(例えば単層)は、第1及び第2のウォッシュコート区域が互いに隣接するか、又は互いに接触している場合に、基材上に形成されうる。このような配置は背圧の問題を回避しうる。
【0141】
第1のウォッシュコート区域は、第2のウォッシュコート区域と離間していてもよい。第1のウォッシュコート区域と第2のウォッシュコート区域の間には 隔たり(例えば空間)が存在しうる。
【0142】
第1のウォッシュコート区域は第2のウォッシュコート区域と重なり合っていてもよい。よって、第1のウォッシュコート区域の終端又は一部は、第2のウォッシュコート区域上に配置又は担持されうる。第1のウォッシュコート区域は、第2のウォッシュコート区域と完全に又は部分的に重なり合っていてもよい。第1のウォッシュコート区域が第2のウォッシュコート区域と重なり合う場合、第1のウォッシュコート区域は、第2のウォッシュコート区域と部分的にのみ、重なり合うことが好ましい(すなわち第2のウォッシュコート区域の最外表面は、第1のウォッシュコート区域によって完全には覆われていない)。
【0143】
あるいは、第2のウォッシュコート区域は第1のウォッシュコート区域と重なり合っていてもよい。よって、第2のウォッシュコート区域の終端又は一部は第1のウォッシュコート区域上に配置又は担持されうる。第2のウォッシュコート区域は、一般に、第1のウォッシュコート区域と部分的にのみ重なり合う。
【0144】
第1のウォッシュコート区域と第2のウォッシュコート区域は、実質的に重なり合わないことが好ましい。
【0145】
第2及び第5の酸化触媒配置において、ウォッシュコート区域(すなわち第1又は第2のウォッシュコート区域)は、典型的には、ウォッシュコート層(すなわち第1又は第2のウォッシュコート層)上に配置又は担持される。好ましくは、ウォッシュコート区域は、ウォッシュコート層上に直接配置される(すなわちウォッシュコート区域はウォッシュコート層の表面と接触している)。
【0146】
ウォッシュコート区域(すなわち第1又は第2のウォッシュコート区域)がウォッシュコート層(すなわち第1又は第2のウォッシュコート層)上に配置又は担持される場合、ウォッシュコート区域の全長は、ウォッシュコート層上に配置又は担持されることが好ましい。ウォッシュコート区域の長さはウォッシュコート層の長さより短い。
【0147】
一般に、第1のウォッシュコート領域及び第2のウォッシュコート領域は、いずれも基材上に直接配置されない(すなわち第1のウォッシュコート領域、第2のウォッシュコート領域のどちらも基材の表面と接触していない)ことが可能である。
【0148】
酸化触媒はさらに、第3のウォッシュコート領域を含みうる。
【0149】
第3のウォッシュコート領域は、典型的には、白金族金属(PGM)及びPGM用の担体材料を含むか、又は本質的にこれらからなる。
【0150】
典型的には、PGMは、白金、パラジウム、及び白金とパラジウムの組み合わせからなる群より選択される。PGMは白金でありうる。PGMは本質的に白金からなりうる(例えばPGMは白金のみである)。PGMはパラジウムでありうる。PGMは本質的にパラジウムからなりうる(例えばPGMはパラジウムのみである)。PGMは白金とパラジウムの組み合わせでありうる。PGMは本質的に白金及びパラジウムからなりうる(例えばPGMは白金及びパラジウムのみである)。PGMは、白金及び白金とパラジウムの組み合わせからなる群より選択されることが好ましい。
【0151】
PGMが白金とパラジウムの組み合わせである場合には、PGMは、合金、好ましくはバイメタリック合金の形態でありうる。よって、PGMは、白金とパラジウムの合金を含むか、又は本質的に白金とパラジウムの合金からなりうる。
【0152】
PGMがパラジウム又は白金とパラジウムの組み合わせである場合には、第3のウォッシュコート領域はさらに、金を含みうる。第3のウォッシュコート領域はパラジウム−金合金を含みうる(例えば第1の白金族金属のパラジウムが金との合金として存在しうる)。金(Au)を含む触媒は、国際公開第2012/120292号に記載される方法を使用して調製することができる。
【0153】
第3のウォッシュコート領域が、パラジウム−金合金のように金を含む場合には、一般に、第3のウォッシュコート領域は、9:1から1:9、好ましくは5:1から1:5、及びさらに好ましくは2:1から1:2のパラジウム(Pd)全質量の金(Au)全質量に対する比を有する。
【0154】
第3のウォッシュコート領域の主要機能は一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化することであることが意図されている。しかしながら、場合によっては、特に白金族金属(PGM)のかなりの割合が白金である場合には、第3のウォッシュコート領域はまた、一部のNOをNO
2へと酸化しうることも認識される。
【0155】
PGMのための担体材料は、第2のウォッシュコート領域の担体材料に関して上記定義された担体材料でありうる。
【0156】
第3のウォッシュコート領域はさらに、上記定義されるような炭化水素吸着剤材料を含みうる。炭化水素吸着剤材料は好ましくはゼオライトである。
【0157】
第3のウォッシュコート領域はさらに、特に次の場合には、アルカリ土類金属をさらに含みうる:
(i)PGMが(a)白金又は(b)白金及びパラジウムのいずれかであり、かつ、第3のウォッシュコート領域がパラジウムの全重量以上の白金の全重量を含む(例えばPt:Pdの重量比は≧1:1である)場合;及び/又は
(ii)PGMのための担体材料がドーパントをドープされたアルミナ、とりわけケイ素をドープされたアルミナである場合。
【0158】
第3のウォッシュコート領域はさらに、特に次の場合には、マンガンをさらに含みうる:
(i)PGMが(a)白金又は(b)白金及びパラジウムのいずれかであり、かつ、第3のウォッシュコート領域がパラジウムの全重量以上の白金の全重量を含む(例えばPt:Pdの重量比は≧1:1である)場合;及び/又は
(ii)PGMのための担体材料が任意選択的にドーパントでドープされたアルミナ、例えば任意選択的にケイ素をドープされたアルミナである場合。
【0159】
第3のウォッシュコート領域は、一般に、第3のウォッシュコート層又は第3のウォッシュコート区域でありうる。第3のウォッシュコート領域が第3のウォッシュコート層である場合には、第3のウォッシュコート層は、基材の全長(すなわち実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びることが好ましい。第3のウォッシュコート領域が第3のウォッシュコート区域である場合には、典型的には、第3のウォッシュコート区域は、基材の長さの10から90%(例えば10から45%)の長さ、好ましくは基材の長さの15から75%(例えば15から40%)、さらに好ましくは基材の長さの20から70%(例えば30から65%、例えば25から45%など)、さらになお好ましくは25から65%(例えば35から50%)の長さを有する。
【0160】
酸化触媒が第3のウォッシュコート領域を含む場合には、第1のウォッシュコート領域及び第2のウォッシュコート領域のうちの少なくとも一方は第3のウォッシュコート領域上に配置又は担持されうる。
【0161】
第3のウォッシュコート領域は、基材上に直接配置されうる(すなわち第3のウォッシュコート領域は基材の表面と接触している)。
【0162】
第3のウォッシュコート領域が基材上に直接配置される場合、第2のウォッシュコート領域は、
(a)第3のウォッシュコート領域上に配置又は担持されうる;及び/又は
(b)基材上に直接配置されうる[すなわち第2のウォッシュコート領域は基材の表面と接触する];及び/又は
(c)第3のウォッシュコート領域と接触されうる[すなわち第2のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート領域に隣接又は当接する]。
【0163】
追加的に又は代替的に、第3のウォッシュコート領域が基材上に直接配置される場合、第1のウォッシュコート領域は、
(a)第3のウォッシュコート領域上に配置又は担持されうる;及び/又は
(b)基材上に直接配置されうる[すなわち第1のウォッシュコート領域は基材の表面と接触する];及び/又は
(c)第3のウォッシュコート領域と接触されうる[すなわち第1のウォッシュコート領域は、第1のウォッシュコート領域に隣接又は当接する]。
【0164】
基材上に直接配置された第3のウォッシュコート領域に加えて又はその代替として、第3のウォッシュコート領域は、第1のウォッシュコート領域及び/又は第2のウォッシュコート領域上に配置又は担持されてもよい。
【0165】
第3の酸化触媒の実施態様では、酸化触媒は第3のウォッシュコート領域を含む。第1のウォッシュコート領域は第1のウォッシュコート層であり、第2のウォッシュコート領域は第2のウォッシュコート区域であり、第3のウォッシュコート領域は第3のウォッシュコート区域である。第2のウォッシュコート区域は第1のウォッシュコート層上に配置され、第3のウォッシュコート区域は第1のウォッシュコート層上に配置される。
【0166】
第2のウォッシュコート区域は、基材の出口端又はその近くで第1のウォッシュコート層上に配置され、かつ、第3のウォッシュコート区域は基材の入口端又はその近くで第1のウォッシュコート層上に配置されることが好ましい。
【0167】
第3のウォッシュコート区域は第2のウォッシュコート区域に隣接しうる。好ましくは、第3のウォッシュコート区域は第2のウォッシュコート区域と接触する。第3のウォッシュコート区域が第2のウォッシュコート区域に隣接するか、又は第3のウォッシュコート区域が第2のウォッシュコート区域に接触する場合には、第3のウォッシュコート区域及び第2のウォッシュコート区域は、層(例えば単層)として基材上に配置又は担持されうる。よって、層(例えば単層)は、第3及び第2のウォッシュコート区域が互いに隣接するか、又は互いに接触している場合に基材上に形成されうる。
【0168】
第3のウォッシュコート区域は、第2のウォッシュコート区域と離間していてもよい。第3のウォッシュコート区域と第2のウォッシュコート区域の間には 隔たり(例えば空間)が存在しうる。
【0169】
第3のウォッシュコート区域は、第2のウォッシュコート区域と重なり合っていてもよい。よって、第3のウォッシュコート区域の終端又は一部は、第2のウォッシュコート区域上に配置又は担持されうる。第3のウォッシュコート区域は、第2のウォッシュコート区域と完全に又は部分的に重なり合っていてもよい。第3のウォッシュコート区域が第2のウォッシュコート区域と重なり合う場合、第3のウォッシュコート区域は、第2のウォッシュコート区域と部分的にのみ、重なり合うことが好ましい(すなわち第2のウォッシュコート区域の最外表面は、第1のウォッシュコート区域によって完全には覆われていない)。
【0170】
あるいは、第2のウォッシュコート区域は、第3のウォッシュコート区域と重なり合っていてもよい。よって、第2のウォッシュコート区域の終端又は一部は第3のウォッシュコート区域上に配置又は担持されうる。第2のウォッシュコート区域は、一般に、第3のウォッシュコート区域と部分的にのみ重なり合う。
【0171】
第3のウォッシュコート区域と第2のウォッシュコート区域は、実質的に重なり合わないことが好ましい。
【0172】
第3の酸化触媒の実施態様の好ましい配置では、第2のウォッシュコート区域は、例えば上記定義されるような白金及びマンガンを含む。
【0173】
第3のウォッシュコート区域は、好ましくは、白金族金属(PGM)及び、任意選択的にアルカリ土類金属、例えば上記定義されたものなどを含む。PGMは好ましくは白金である。さらに好ましくは、PGMは白金のみである(すなわち第3のウォッシュコート区域には白金以外に、他のPGMは存在しない)。
【0174】
第3のウォッシュコート区域はさらに、ゼオライトなどの炭化水素吸着剤を含むことが好ましい場合がありうる。
【0175】
ディーゼルエンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒を担持する基材は、当技術分野でよく知られている。ウォッシュコートの作製方法及びウォッシュコートを基材上に施用する方法もまた、当技術分野で知られている(例えば、我々の国際公開第99/47260号、国際公開第2007/077462号及び国際公開第2011/080525号を参照)。
【0176】
基材は、典型的には複数のチャネル(例えば内部に排気ガスを流すためのチャネル)を有する。一般的に、基材はセラミック材料又は金属材料である。
【0177】
基材は、コーディエライト(SiO
2−Al
2O
3−MgO)、炭化ケイ素(SiC)、Fe−Cr−Al合金、Ni−Cr−Al合金、又はステンレス鋼合金でできているか、又はこれらで構成されることが好ましい。
【0178】
典型的には、基材はモノリスである(本明細書では基材モノリスとも称される)。このようなモノリスは当技術分野でよく知られている。基材モノリスはフロースルーモノリス又はフィルターモノリスでありうる。
【0179】
フロースルーモノリスは、典型的には、両端が開口し、それを通って延びる複数のチャネルを有するハニカム型モノリス(例えば、金属製又はセラミック製のハニカム型モノリス)を備える。基材がフロースルーモノリスである場合には、本発明の酸化触媒は、典型的にはディーゼル酸化触媒(DOC)であるか又はディーゼル酸化触媒(DOC)としての使用のためのものである。
【0180】
フィルターモノリスは、一般に、複数の入口チャネルと複数の出口チャネルを含み、入口チャネルは、上流端(すなわち、排気ガスの入口側)で開口し、下流端(すなわち、排気ガスの出口側)で塞栓されるか封止され、出口チャネルは、上流端で塞栓されるか封止され、下流端で開口されており、各入口チャネルは、多孔質構造により出口チャネルとは離間している。基材がフィルターモノリスである場合、本発明の酸化触媒は、典型的には触媒化スートフィルター(CSF)であるか又は触媒化スートフィルター(CSF)として使用されるものである。
【0181】
モノリスがフィルターモノリスである場合、フィルターモノリスはウォールフロー型フィルターであることが好ましい。ウォールフロー型フィルターでは、各入口チャネルが、多孔質構造の壁により出口チャネルと交互に分離されており、逆もまた同じである。入口チャネルと出口チャネルはハニカム型の配置で配置されていることが好ましい。ハニカム型の配置が存在する場合、入口チャネルに垂直方向及び横方向に隣接するチャネルが上流端で塞栓され、逆もまた同じである(すなわち、出口チャネルに垂直方向及び横方向に隣接するチャネルは下流端で塞栓される)ことが好ましい。何れの端部から見ても、チャネルの交互に塞栓及び開口される端部は、チェス盤の外観を呈する。
【0182】
原理上は、基材は、如何なる形状又は大きさであってもよい。しかしながら、基材の形状及び大きさは、通常、触媒中の触媒活性材料の排気ガスへの曝露を最適化するように選択される。基材は、例えば、管状、繊維状、又は粒子状の形状を有しうる。適切な担持基材の例としては、モノリスハニカムコーディエライト型の基材、モノリスハニカムSiC型の基材、層状の繊維又は編地型の基材、発泡体型の基材、クロスフロー型の基材、金属ワイヤーメッシュ型の基材、金属多孔体型の基材、及びセラミック粒子型の基材が挙げられる。
【0183】
基材は電気加熱可能な基材でありうる(すなわち電気加熱可能な基材は、使用の際に電気加熱式の基材である)。基材が電気加熱可能な基材である場合、本発明の酸化触媒は、電力接続、好ましくは少なくとも2つの電力接続、さらに好ましくは2つのみの電力接続を有する。各電力接続は、電気加熱可能な基材及び電源に電気的に接続されうる。酸化触媒は、抵抗器を通った電流が電気エネルギーを熱エネルギーに変換する、ジュール加熱によって加熱されうる。
【0184】
電気加熱可能な基材は、第1のウォッシュコート領域から貯蔵NO
xを放出するのに用いることができる。よって、電気加熱可能な基材のスイッチをオンにすると、酸化触媒は加熱され、第1のウォッシュコート領域の温度はNO
x放出温度まで上昇させることができる。適切な電気加熱可能な基材の例は、米国特許第4300956号、米国特許第5146743号及び米国特許第6513324号に記載されている。
【0185】
一般に、電気加熱可能な基材は金属を含む。金属は、電力接続又は電力接続に電気的に接続されうる。
【0186】
典型的には、電気加熱可能な基材は、電気加熱可能なハニカム基材である。電気加熱可能な基材は、使用の際に、電気加熱式のハニカム基材でありうる。
【0187】
電気加熱可能な基材は、電気加熱可能な基材モノリス(例えば金属モノリス)を含みうる。モノリスは波形の金属板又は金属箔を含みうる。波形の金属板又は金属箔は、圧延、巻回又は積層されうる。波形金属板が圧延又は巻回される場合には、波形金属板は、コイル、らせん形状又は同心円パターンへと圧延又は巻回されうる。
【0188】
電気加熱可能な基材の金属、金属モノリス、及び/又は波形の金属板又は金属箔は、Fecralloy
TMなどのアルミニウムフェライト鋼を含みうる。
【0189】
一般に、本発明の酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒(DOC)又は触媒化スートフィルター(CSF)としての使用のためのものである。実際には、DOC及びCSFに用いられる触媒配合は似ている。一般的に、DOCとCSFの原理的な違いは、触媒配合物がコーティングされる基材及び、基材上にコーティングされる白金、パラジウム及び他の触媒的に活性な金属の全量である。
【0190】
本発明はまた、酸化触媒及び排出制御装置を備えた排気システムも提供する。排出制御装置の例としては、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、リーンNO
Xトラップ(LNT)、リーンNO
X触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)及びこれらの2以上の組合せが挙げられる。このような排出制御装置は当技術分野でよく知られている。
【0191】
前述の排出制御装置の幾つかは濾過基材を備える。濾過基材を備えた排出制御装置は、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、触媒化スートフィルター(CSF)、及び選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒からなる群より選択されうる。
【0192】
排気システムは、リーンNO
xトラップ(LNT)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される排出制御装置を備えることが好ましい。さらに好ましくは、排出制御装置は、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される。さらになお好ましくは、排出制御装置は、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒である。
【0193】
本発明の排気システムがSCR触媒又はSCRF
TM触媒を備える場合には、排気システムはさらに、窒素性還元剤、例えばアンモニア又は尿素又はギ酸アンモニウムなどのアンモニア前駆体、好ましくは尿素などを、酸化触媒の下流及びSCR触媒又はSCRF
TM触媒の上流で排気ガス内に注入するためのインジェクタを備えていてもよい。このようなインジェクタは、窒素性還元剤前駆体の供給源(例えばタンク)に流体連結されうる。排気ガス中への前駆体のバルブ制御された投与量は、適切にプログラミングされたエンジン管理手段及び排気ガスの組成をモニタリングするセンサによって供給される閉ループ又は開ループフィードバックによって調整されうる。アンモニアはまた、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって生成されてもよく、生成されたアンモニアは排気ガス中に注入することができる。
【0194】
インジェクタの代わりに、又はインジェクタに加えて、アンモニアはインサイチュで(例えばSCR触媒又はSCRF
TM触媒の上流に配置されたLNTのリッチ再生の間に)生成されうる。よって、排気システムはさらに、排気ガスを炭化水素豊富にするためのエンジン管理手段を備えていてもよい。
【0195】
SCR触媒又はSCRF
TM触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド系及び第VIII族遷移金属(例えばFe)のうち少なくとも1種類からなる群より選択される金属を含んでいてもよく、この金属は耐火性酸化物又はモレキュラーシーブ上に担持される。金属は、好ましくはCe、Fe、Cu及びこれらのいずれか2種類以上の組み合わせから選択され、さらに好ましくは金属はFe又はCuである。
【0196】
SCR触媒又はSCRF
TM触媒のための耐火性酸化物は、Al
2O
3、TiO
2、CeO
2、SiO
2、ZrO
2及びこれらの2つ以上を含む混合酸化物からなる群より選択されうる。非ゼオライト触媒はまた、酸化タングステン(例えばV
2O
5/WO
3/TiO
2、WO
x/CeZrO
2、WO
x/ZrO
2又はFe/WO
x/ZrO
2)も含みうる。
【0197】
SCR触媒、SCRF
TM触媒又はこれらのウォッシュコートが、アルミノシリケートゼオライト又はSAPOなどの少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む場合が特に好ましい。少なくとも1つのモレキュラーシーブは、小細孔、中細孔又は大細孔のモレキュラーシーブでありうる。「小細孔モレキュラーシーブ」とは、本明細書では、最大環サイズ8を含む、CHAなどのモレキュラーシーブを意味し;「中細孔モレキュラーシーブ」とは、本明細書では、最大環サイズ10を含む、ZSM−5などのモレキュラーシーブを意味し;「大細孔のモレキュラーシーブ」とは、本明細書では、最大環サイズ12を有する、ベータなどのモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブはSCR触媒における使用にとって潜在的に有利である。
【0198】
本発明の排気システムにおいて、SCR触媒又はSCRF
TM触媒にとって好ましいモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデナイト、フェリエライト、ベータを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22及びEU−1からなる群より選択される合成アルミノシリケートゼオライトモレキュラーシーブであり、好ましくはAEI又はCHAであり、シリカのアルミナに対する比が約10から約50、例えば約15から約40などである。
【0199】
第1の排気システムの実施態様では、排気システムは、本発明の酸化触媒を、好ましくはDOC及び触媒化スートフィルター(CSF)として、備える。このような配置は、DOC/SCRと称されうる。典型的には、酸化触媒の後に触媒化スートフィルター(CSF)が続く(例えば酸化触媒はCSFの上流にある)。よって、例えば、酸化触媒の出口は触媒化スートフィルターの入口に接続される。
【0200】
第2の排気システムの実施態様では、排気システムは、ディーゼル酸化触媒と、本発明の酸化触媒を、好ましくは触媒化スートフィルター(CSF)として、備える。この配置は、DOC/CSF配置とも称されうる。典型的には、ディーゼル酸化触媒(DOC)の後に、本発明の酸化触媒が続く(例えば、DOCは本発明の酸化触媒の上流にある)。よって、ディーゼル酸化触媒の出口は本発明の酸化触媒の入口に接続される。
【0201】
第3の排気システムの実施態様は、本発明の酸化触媒を、好ましくはDOC、触媒化スートフィルター(CSF)及び選択的触媒還元(SCR)触媒として備える排気システムに関する。このような配置は、DOC/CSF/SCRと称される場合があり、軽量ディーゼル車両用の好ましい排気システムである。典型的には、酸化触媒の後に触媒化スートフィルター(CSF)が続く(例えば酸化触媒はCSFの上流にある)。典型的には、触媒化スートフィルターの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、触媒化スートフィルターはSCRの上流にある)。窒素系還元剤のインジェクタは、触媒化スートフィルター(CSF)と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置されうる。よって、触媒化スートフィルター(CSF)の後に、窒素系還元剤のインジェクタが続いて差し支えなく(例えば、CSFはインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に、選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクタはSCRの上流にある)。
【0202】
第4の排気システムの実施態様は、ディーゼル酸化触媒(DOC)と、好ましくは触媒化スートフィルター(CSF)としての本発明の酸化触媒と、選択的触媒還元(SCR)触媒とを備える排気システムに関する。これは、DOC/CSF/SCR配置でもある。典型的には、ディーゼル酸化触媒(DOC)の後に本発明の酸化触媒が続く(例えば、DOCは本発明の酸化触媒の上流にある)。典型的には、本発明の酸化触媒の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、酸化触媒はSCRの上流にある)。窒素系還元剤のインジェクタは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置されうる。よって、酸化触媒の後に窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、酸化触媒はインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、窒素系還元剤のインジェクタはSCRの上流にある)。
【0203】
第5の排気システムの実施態様では、排気システムは、好ましくはDOCとしての本発明の酸化触媒、選択的触媒還元(SCR)触媒、及び触媒化スートフィルター(CSF)又はディーゼル微粒子フィルター(DPF)のいずれかを備える。この配置は、DOC/SCR/CSF又はDOC/SCR/DPFのいずれかである。
【0204】
第5の排気システムの実施態様では、典型的には、本発明の酸化触媒の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、酸化触媒はSCRの上流にある)。窒素系還元剤のインジェクタは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置されうる。よって、酸化触媒の後に窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、酸化触媒はインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、窒素系還元剤のインジェクタはSCRの上流にある)。選択的触媒還元(SCR)触媒の後に、触媒化スートフィルター(CSF)又はディーゼル微粒子フィルター(DPF)が続く。
【0205】
第6の排気システムの実施態様は、好ましくはDOCとしての本発明の酸化触媒と、選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒とを備える。このような構成は、DOC/SCRF
TMと呼ばれることがある。典型的には、本発明の酸化触媒の後に選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒が続く(例えば、酸化触媒はSCRF
TMの上流にある)。窒素系還元剤のインジェクタは、酸化触媒と選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒の間に配置されうる。よって、酸化触媒の後に窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、酸化触媒はインジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に、選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒が続いてもよい(例えば、窒素系還元剤のインジェクタはSCRF
TMの上流にある)。
【0206】
上述の第3から第6の排気システムの実施態様の各々において、ASC触媒は、SCR触媒又はSCRF
TM触媒の下流に(すなわち別個の基材モノリスとして)配置することができる、又は、さらに好ましくはSCR触媒を備えた基材モノリスの下流の区域又は終端はASCのための担体として使用することができる。
【0207】
本発明の排気システム(第1から第6の排気システムの実施態様を含む)はさらに、炭化水素(例えば燃料)を排気ガス内に導入するための手段も備えうる。炭化水素を排気ガス内に導入するための手段は炭化水素インジェクタでありうる。排気システムが炭化水素インジェクタを備える場合、炭化水素インジェクタは本発明の酸化触媒の下流にあることが好ましい。
【0208】
一般には、本発明の酸化触媒のリッチ排ガス組成への曝露を回避することが好ましい。ゼオライト触媒の活性は、リッチ排ガス組成への曝露によって劣化しうる。
【0209】
本発明の排気システムは、リーンNO
xトラップ(LNT)、特に、例えば酸化触媒のすぐ上流など(例えば介在する排出制御装置なしに)、酸化触媒の上流のリーンNO
xトラップ(LNT)を具備しないことが好ましいであろう。
【0210】
ディーゼルエンジンからの直接の排気ガスのNO
x含量は、例えばエンジンの動作モード、エンジン温度及びエンジンが駆動する速度など、多くの要因に応じて決まる。しかしながら、通常は、エンジンは、NO
x含量が85から95%(体積による)の一酸化窒素(NO)と5から15%(体積による)の二酸化窒素(NO
2)である、排気ガスを生成する。NO:NO
2比は、典型的には19:1から17:3である。しかしながら、NO
xを低減するため、又は粒子状物質を燃焼させることによって濾過基材を備えた排出制御装置を再生するためには、NO
2含量が選択的触媒還元(SCR)触媒についてはるかに高いことが一般に好ましい。酸化触媒のPNA活性は、圧縮点火エンジンからの排気ガスのNO
x含量を調節するために使用することができる。
【0211】
本発明の酸化触媒のPNA活性は、NO
x、特にNOを、低い排気温度で貯蔵可能にする。より高い排気ガス温度では、酸化触媒はNOからNO
2に酸化することができる。したがって、本発明の酸化触媒を、排気システムの一部としてある特定の種類の排出制御装置と組み合わせることは有利である。
【0212】
本発明の別の態様は車両又は装置に関する。車両又は装置はディーゼルエンジンを備える。ディーゼルエンジンは、均質混合圧縮着火(HCCI)エンジン、予混合圧縮着火(PCCI)エンジン又は低温燃焼(LTC)エンジンでありうる。ディーゼルエンジンは、通常の(すなわち従来からの)ディーゼルエンジンであることが好ましい。
【0213】
車両は、米国又は欧州の法律で規定されるような軽量ディーゼル車両(LDV)でありうる。軽量ディーゼル車両は、典型的には<2840kgの重量を有し、さらに好ましくは<2610kgの重量を有する。
【0214】
米国では、軽量ディーゼル車両(LDV)とは、≦8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車両のことを指す。欧州では、軽量ディーゼル車両(LDV)という用語は、(i)運転者の座席以外に8席以下の座席を含み、5トンを超えない最大質量を有する乗用車、及び(ii)12トンを超えない最大質量を有する、物品運送のための車両のことを指す。
【0215】
あるいは、車両は、米国の法律で規定されるような、例えば>8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車両などの大型ディーゼル車両(HDV)でありうる。
【0216】
本発明はまた、排出制御装置のためのディーゼルエンジンからの排気ガス中のNO
x含量を調節する方法も提供する。処理された排気ガスを排出制御装置に通過させる工程(b)は、典型的には、処理された排気ガスを排出制御装置に直接通過させることを包含する。よって、酸化触媒の出口は、排出制御装置の入口に直接的に(例えば中継なしに)接続される。
【0217】
典型的には、排出制御装置は、選択的触媒還元(SCR)触媒、選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、又は触媒化スートフィルター(CSF)である。排出制御装置は、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒であることが好ましい。
【0218】
本明細書における、特に本発明の方法又は使用態様に関する「NO
x含量を調節」することについての言及は、NO:NO
2の比(典型的には排気ガスの温度及び圧力でのppm又は体積%での比)を、特定の排ガス温度又は温度範囲での予め規定された比の範囲内になるように、変化させる(すなわち調整する)又は維持することを指し、好ましくは、変化させることを指す。予め規定された比は、典型的には17:3未満であり、好ましくは5:1から1:5であり、さらに好ましくは2.5:1から1:2.5、さらになお好ましくは2:1から1:2(例えば1.5:1から1:1.5又は約1:1)である。NO:NO
2の比は、温度が第1の温度範囲(すなわちNO
xが貯蔵又は吸収される温度)にある場合、第2の温度範囲(すなわちNO
xが放出される温度)での比よりも低くなりうる。
【0219】
酸化触媒が受動的NO
x吸収体(PNA)として使用される場合、酸化触媒は、第1の温度範囲において排気ガスからのNO
xを吸収又は貯蔵し、第2の温度範囲においてNO
xを放出し、ここで第2の温度範囲は第1の温度範囲よりも高い(例えば第2の温度範囲の中間点は第1の温度範囲の中間点より高い)。第2の温度範囲は、第1の温度範囲とは重複しないことが好ましい。第1の温度範囲の上限と第2の温度範囲の下限との間には隔たりが存在しうる。
【0220】
典型的には、酸化触媒は200℃を超える温度でNO
xを放出する。これは第2の温度範囲の下限である。好ましくは、酸化触媒は、220℃以上の温度、例えば230℃以上、240℃以上、250℃以上、又は260℃以上の温度でNO
xを放出する。
【0221】
酸化触媒は、200℃以下の温度でNO
xを吸収又は貯蔵する。これは、第1の温度範囲の上限である。好ましくは、酸化触媒は、195℃以下の温度、例えば190℃以下、185℃以下、180℃以下、又は175℃以下などの温度においてNO
xを吸収又は貯蔵する。
【0222】
酸化触媒は、一酸化窒素(NO)を優先的に吸収又は貯蔵しうる。よって、この文脈においてNO
xを吸収、貯蔵、又は放出することについての言及は一酸化窒素(NO)を吸収、貯蔵、又は放出することを指すことがある。NOの優先的な吸収又は貯蔵は、排気ガス中のNO:NO
2比を低下させる。
【0223】
本発明の第2の方法の態様では、「(a)排気ガスを酸化触媒と接触させることによって排気ガスのNO
x含量を制御して…」という工程はさらに、(i)第1の温度範囲において排気ガスからのNO
xを吸収又は貯蔵する工程、及び(ii)第2の温度範囲においてNO
xを放出し、それによって処理された排気ガスを生成する工程を含みうる。好ましくは、第2の温度範囲は第1の温度範囲より高い(例えば第2の温度範囲の中間点は第1の温度範囲の中間点より高い)。さらに好ましくは、第2の温度範囲は第1の温度範囲と重複しない。第1の温度範囲の上限と第2の温度範囲の下限との間には隔たりが存在しうる。
【0224】
典型的には、第2の温度範囲は、200℃を超える温度であり、好ましくは、220℃以上の温度、例えば230℃以上、240℃以上、250℃以上、又は260℃以上の温度である。
【0225】
第1の温度範囲は、典型的には200℃以下の温度であり、好ましくは195℃以下の温度、例えば190℃以下、185℃以下、180℃以下、又は175℃以下の温度である。
【0226】
一般に、(b)処理された排気ガスを排出制御装置に通過させる工程は、典型的には、処理された排気ガスを排出制御装置に直接通過させることを包含する。よって、酸化触媒の出口は、排出制御装置の入口に直接的に(例えば中継なしに)接続される。
【0227】
本発明はまた、濾過基材を有する排出制御装置(例えば濾過基材を有する下流の排出制御装置)の再生における酸化触媒の使用にも関する。
【0228】
濾過基材を有する排出制御装置は、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRF
TM)触媒及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択されうる。
【0229】
本発明の酸化触媒が濾過基材を有する排出制御装置の再生に使用される場合、この酸化触媒は、排出制御装置の能動的又は受動的再生、好ましくは能動的再生に使用されうる。
【0230】
酸化触媒は、少なくとも220℃の温度で、好ましくは少なくとも240℃、さらに好ましくは少なくとも260℃、さらになお好ましくは少なくとも280℃の温度で、一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO
2)へと酸化することによる、濾過基材を有する排出制御装置の再生に使用されうる。
【0231】
定義
「ウォッシュコート」という用語は、当該技術分野ではよく知られており、通常は触媒の製造の間に、基材に塗布される接着性コーティングを指す。
【0232】
ここで用いられる「ウォッシュコート領域」という用語は、基材上のウォッシュコートのエリアを指す。例えば、「ウォッシュコート領域」は、基材上に「層」又は「区域」として配置又は担持されうる。基材上のウォッシュコートのエリア又は配置は、基材にウォッシュコートを塗布する工程の間、一般に制御される。「ウォッシュコート領域」は、典型的には明確な境界又は縁を有する(すなわち、一般的な分析技術を用いて、一のウォッシュコート領域を別のウォッシュコート領域と区別することが可能である)。
【0233】
典型的には、「ウォッシュコート領域」は実質的に均一な長さを有する。この文脈において「実質的に均一な長さ」についての言及は、平均値から10%を超えて逸脱しない長さ(例えば最長の長さと最短の長さの差)のことを指し、好ましくは5%を超えて逸脱しない長さ、さらに好ましくは1%を超えて逸脱しない長さのことを指す。
【0234】
各「ウォッシュコート領域」は、実質的に均一な組成物を有する(すなわち、ウォッシュコート領域の一部をウォッシュコート領域の別の一部と比較する場合に、ウォッシュコートの組成物には実質的な差がない)ことが好ましい。この文脈において実質的に均一な組成物とは、ウォッシュコート領域の一部をウォッシュコート領域の別の一部と比較する場合に、組成物の差が5%以下、通常は2.5%以下、最も一般的には1%以下である物質(例えばウォッシュコート領域)のことを指す。
【0235】
本明細書では用語「ウォッシュコート区域」とは、基材の全長未満の長さ、例えば基材の全長の≦75%などの長さを有するウォッシュコート領域のことをいう。「ウォッシュコート区域」は、典型的には、基材の全長の少なくとも5%(例えば≧5%)の長さ(すなわち実質的に均一な長さ)を有する。
【0236】
基材の全長とは、入口端及び出口端(例えば基材の対向する両端)の間の距離である。
【0237】
本明細書では「基材の入口端に配置されたウォッシュコート区域」についての言及は、ウォッシュコート区域が基材の出口端に対するよりも基材の入口端に近い、基材上に配置又は担持されたウォッシュコート区域のことを指す。よって、ウォッシュコート区域の中間点(すなわちその長さの半分の地点)は、基材の出口端に対するよりも基材の入口端に近い。同様に、本明細書では「基材の出口端に配置されたウォッシュコート区域」についての言及は、ウォッシュコート区域が基材の入口端に対するよりも基材の出口端に近い、基材上に配置又は担持されたウォッシュコート区域のことを指す。よって、ウォッシュコート区域の中間点(すなわちその長さの半分の地点)は、基材の入口端に対するよりも基材の出口端に近い。
【0238】
基材がウォールフロー型フィルターの場合には、一般的に「基材の入口端に配置されたウォッシュコート区域」についての言及は、次の基材上に配置又は担持されたウォッシュコート区域のことを指す:
(a)基材の入口チャネルの閉塞端(例えばブロック端又は塞栓端)に対するよりも、基材の入口チャネルの入口端(例えば開放端)に近いウォッシュコート区域、及び/又は
(b)基材の出口チャネルの出口端(例えば開放端)に対するよりも、基材の出口チャネルの閉塞端(例えばブロック端又は塞栓端)に近いウォッシュコート区域。
【0239】
よって、ウォッシュコート区域の中間点(すなわちその長さの半分の地点)は、(a)基材の入口チャネルの閉塞端に対するよりも入口チャネルの入口端に近い、及び/又は(b)基材の出口チャネルの出口端に対するよりも出口チャネルの閉塞端に近い。
【0240】
同様に、基材が ウォールフロー型フィルターである場合の「基材の出口端に配置されたウォッシュコート区域」についての言及は、次の基材上に配置又は担持されたウォッシュコート区域のことを指す:
(a)基材の出口チャネルの閉塞端(例えばブロックされた又は塞栓された)に対するよりも、基材の出口チャネルの出口端(例えば開放端)に近いウォッシュコート区域、及び/又は
(b)基材の入口チャネルの入口端(例えば開放端)に対するよりも、基材の入口チャネルの閉塞端(例えばブロック端又は塞栓端)に近いウォッシュコート区域。
【0241】
よって、ウォッシュコート区域の中間点(すなわちその長さの半分の地点)は、(a)基材の出口チャネルの閉塞端に対するよりも出口チャネルの出口端に近い、及び/又は(b)基材の入口チャネルの入口端に対するよりも入口チャネルの閉塞端に近い。
【0242】
ウォッシュコートがウォールフロー型フィルターの壁に存在する(すなわちウォッシュコート区域がインウォールである)場合、ウォッシュコート区域は(a)及び(b)の両方を満たしうる。
【0243】
本明細書で用いられる頭字語「PGM」とは「白金族金属」のことを指す。用語「白金族金属」とは、一般的に、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群より選択される金属、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir及びPtからなる群より選択される金属のことを指す。一般に、用語「PGM」とは、好ましくは、Rh、Pt及びPdからなる群より選択される金属のことを指す。
【0244】
本明細書で用いられる用語「吸着体」は、特にNO
x吸着体の文脈において、貯蔵に限られる、又は吸着によってのみ化学物質(例えばNO
x)を捕捉するように解釈されるべきではない。本明細書で用いられる用語「吸着体」は「吸収体」と同義である。
【0245】
ここで用いられる「混合酸化物」という用語は、当該技術分野で従来から知られているように、一般的に、単一相の酸化物の混合物を指す。ここで用いられる「複合酸化物」という用語は、当該技術分野で従来から知られているように、一般的に、二相以上の相を有する酸化物の組成物を指す。
【0246】
本明細書で用いられる「実質的に重なり合」わないウォッシュコート区域についての言及は、基材の長さの10%未満の重なり(すなわち基材上の隣接する区域の末端間)のことを指し、好ましくは基材の長さの7.5%未満、さらに好ましくは基材の長さの5%未満、特に基材の長さの2.5%未満、さらになお好ましくは基材の長さの1%未満、最も好ましくは重なりが存在しないことを指す。
【0247】
本明細書で用いられる表現「本質的になる」は、例えば少量の不純物.など、その技術的特徴の基本的特徴に物質的影響を及ぼさない、特定の材料、及び任意の他の材料又は工程を含むように技術的特徴の範囲を限定する。表現「本質的に〜からなる」は、表現「〜からなる」を包含する。
【0248】
材料に関して、典型的にはウォッシュコート領域、ウォッシュコート層又はウォッシュコート区域の含量の文脈において、本明細書で用いられる表現「実質的に含まない」とは、例えば≦5重量%、好ましくは≦2重量%、さらに好ましくは≦1重量%など、少量の材料を意味する。表現「〜を実質的に含まない」は、表現「〜を含まない」を包含する。
【0249】
本明細書で用いられる重量%で表されるドーパントの量、特に全量についての言及は、担体材料又はその耐火性金属酸化物の重量のことを指す。
【実施例】
【0250】
本発明は、次の非限定的な実施例によって例証される。
【0251】
実施例1
CHA構造を有する小細孔ゼオライトのスラリーに硝酸Pdを加え、攪拌した。確立されたコーティング技術を用いて、構造1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。Pd交換ゼオライトを含むコーティングが得られた。このコーティングのPdローディングは80g ft
−3であった。
【0252】
d
90<20ミクロンまで粉砕したシリカ−アルミナ粉末を使用して、第2のスラリーを調製した。可溶性の白金塩を加え、混合物を攪拌して均質化した。確立されたコーティング技術を用いて、フロースルーモノリスの出口端にスラリーを塗布した。次に、コーティングを乾燥させた。
【0253】
d
90<20ミクロンまで粉砕したシリカ−アルミナ粉末を使用して第3のスラリーを調製した。適量の可溶性の白金とパラジウムの塩を加え、その後、スラリーが質量で75%のシリカ−アルミナ及び25%のゼオライトを含有するようにベータゼオライトを加えた。スラリーを攪拌して均質化した。確立されたコーティング技術を用いて、得られたウォッシュコートをフロースルーモノリスの入口チャネルに塗布した。次に部品を乾燥させて500℃で焼成した。完成部品のPtローディングは45g ft
−3であり、Pdローディングは95g ft
−3であった。
【0254】
実施例2
硝酸PdをMFI構造を有する中細孔ゼオライトのスラリーに加え、攪拌した。確立されたコーティング技術を用いて、構造1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。Pd交換ゼオライトを含有するコーティングが得られた。このコーティングのPdローディングは80g ft
−3であった。
【0255】
d
90<20ミクロンまで粉砕したシリカ−アルミナ粉末を使用して第2のスラリーを調製した。可溶性の白金塩を加え、混合物を均質化するまで攪拌した。確立されたコーティング技術を用いて、フロースルーモノリスの出口端にスラリーを塗布した。次に、コーティングを乾燥させた。
【0256】
d
90<20ミクロンまで粉砕したシリカ−アルミナ粉末を使用して第3のスラリーを調製した。適量の可溶性の白金とパラジウムの塩を加え、その後、スラリーが質量で75%のシリカ−アルミナ及び25%のゼオライトを含有するようにベータゼオライトを加えた。次に、スラリーを攪拌して均質化した。確立されたコーティング技術を用いて、得られたウォッシュコートをフロースルーモノリスの入口チャネルに塗布した。次に部品を乾燥させて500℃で焼成した。完成部品のPtローディングは45g ft
−3であり、Pdローディングは95g ft
−3であった。
【0257】
実験結果
触媒実施例1及び2を、10%水中、750℃で16時間、水熱劣化させた。1.6リットルのベンチを取り付けたディーゼルエンジンを使用して、模擬的MVEG−B排出サイクルについてこれらの性能を試験した。排出は、触媒の前後に測定した。蓄積されたNO
x汚染物質排出を
図6に示す。エンジンアウト(触媒前)のNO
x排出と触媒後のNO
x排出との差異は、触媒上に貯蔵されたNO
xの量を示している。貯蔵されたNO
xの量は、800から850秒の間に最大に達している。排気ガス温度は850秒後に上昇し、エンジンアウトと触媒後のNO
xの差異は低下する。この温度領域では、NO
xは触媒から熱的に放出されている。小細孔のCHA構造化ゼオライトを含む実施例1は、中細孔のMFI構造化ゼオライトを含む実施例2よりもNO
xを貯蔵する能力が大きい。
【0258】
実施例3
CHA構造を有する小細孔ゼオライトのスラリーに硝酸Pdを加え、攪拌した。確立されたコーティング技術を用いて、構造1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。Pd交換ゼオライトを含有するコーティングが得られた。このコーティングのPdローディングは60g ft
−3であった。
【0259】
d
90<20ミクロンまで粉砕したシリカ−アルミナ粉末を使用して第2のスラリーを調製した。可溶性の白金塩を加え、混合物を均質化するまで攪拌した。確立されたコーティング技術を用いて、フロースルーモノリスの出口端にスラリーを塗布した。次に、コーティングを乾燥させた。
【0260】
d
90<20ミクロンまで粉砕したシリカ−アルミナ粉末を使用して第3のスラリーを調製した。酢酸バリウムをスラリーに加え、その後、適量の可溶性の白金とパラジウムの塩を加えた。スラリーが質量で71%のシリカをドープしたアルミナ及び29%のゼオライトを含有するように、ベータゼオライトを加えた。次に、スラリーを攪拌して均質化した。確立されたコーティング技術を用いて、得られたウォッシュコートをフロースルーモノリスの入口チャネルに塗布した。次に部品を乾燥させて500℃で焼成した。完成部品のPtローディングは40g ft
−3であり、Pdローディングは70g ft
−3であった。
【0261】
実施例4
硝酸パラジウムを、水中、セリアのスラリーに加えた。硝酸パラジウムを含有するスラリーを攪拌して均質化し、次いで、確立されたコーティング技術を用いて、構造1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスに塗布した。コーティングを乾燥させて500℃で焼成した。このコーティングのPdローディングは60g ft
−3であった。
【0262】
d
90<20ミクロンまで粉砕したアルミナ粉末を用いて、第2のスラリーを調製した。適量の可溶性の白金とパラジウムの塩を加え、その後、スラリーが質量で77%のアルミナ及び23%のゼオライトを含有するようにベータゼオライトを加えた。得られたスラリーを攪拌して均質化させた。確立されたコーティング技術を用いて、この第2のスラリーをフロースルーモノリスに塗布して、第2の層を形成した。部品を乾燥させて500℃で焼成した。完成部品のPtローディングは42g ft
−3であり、Pdローディングは66g ft
−3であった。
【0263】
実験結果
NO酸化の測定
触媒実施例3及び4からコア試料を採取した。両コアを、炉内において800℃で16時間、10%水中で水熱劣化させた。
【0264】
合成ガスベンチ活性試験(SCAT)を使用して触媒活性を決定した。表1の入口ガス混合物を使用して、模擬的な触媒活性試験(SCAT)ガス装置内で、劣化させたコアを試験した。各事例において、残部は窒素である。
【0265】
結果:
SCATの結果を下記表2に示す。
【0266】
表2の結果は、250℃における実施例3及び4のNO酸化性能を示している。実施例4は、セリア担体上にPdを含む比較PNAコーティングである。本発明に従った実施例3は、250℃において、実施例4よりも高いNO酸化レベルを示す。
【0267】
いかなる疑問も回避するために、本明細書で引用したすべての文献の全内容は、参照により本願に組み込まれる。