(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6767910
(24)【登録日】2020年9月24日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】容器入り飲料の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
B65B 31/04 20060101AFI20201005BHJP
B67C 3/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
B65B31/04 E
B67C3/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-63237(P2017-63237)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-165168(P2018-165168A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2019年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨士 峰雄
(72)【発明者】
【氏名】道添 豪仁
(72)【発明者】
【氏名】緒方 智史
【審査官】
蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−147614(JP,A)
【文献】
特開2005−47536(JP,A)
【文献】
特開2003−267314(JP,A)
【文献】
特開平5−77810(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0014949(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/04
B67C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に飲料を充填する充填工程と、不活性ガスと蒸気とを混合して不活性ガス混合蒸気を生成するミックス工程と、ミックス工程で得た不活性ガス混合蒸気を充填工程で飲料を充填した容器の空寸部分に噴射して空寸部分の空気と置換する混合蒸気噴射工程と、混合蒸気噴射工程後の容器に封をする封止工程とを備える容器入り飲料の製造方法であって、
前記ミックス工程は、充填工程で充填する飲料温度に応じて不活性ガス混合蒸気の温度を制御することを特徴とする容器入り飲料の製造方法。
【請求項2】
前記ミックス工程は、充填工程で充填する飲料温度と不活性ガス混合蒸気温度と封止後の容器内圧力との関係を求めた実験に基づいて、不活性ガス混合蒸気温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の容器入り飲料の製造方法。
【請求項3】
前記ミックス工程は、蒸気の混合量を制御することで、不活性ガス混合蒸気の温度を制御していることを特徴とする請求項2に記載の容器入り飲料の製造方法。
【請求項4】
所定範囲の容器内圧力に対して、充填する飲料温度と不活性ガス混合蒸気温度とを比例関数として求め、前記ミックス工程は、この比例関数に基づいて蒸気の混合量を制御することを特徴とする請求項3に記載の容器入り飲料の製造方法。
【請求項5】
前記ミックス工程で、充填する飲料温度に対する蒸気の混合量の制御は、PID制御であることを特徴とする請求項4に記載の容器入り飲料の製造方法。
【請求項6】
前記飲料は、非炭酸飲料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器入り飲料の製造方法。
【請求項7】
前記容器は缶であり、前記封止工程は缶の蓋を巻き締める工程であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器入り飲料の製造方法。
【請求項8】
容器に飲料を充填するフィラーと、不活性ガスと蒸気とを混合して不活性ガス混合蒸気を生成する混合器と、混合器で得た不活性ガス混合蒸気を、飲料を充填した容器の空寸部分に噴射する混合蒸気噴射部と、不活性ガス混合蒸気噴射後の容器に封をする封止部と、制御部とを備える容器入り飲料の製造装置であって、
前記制御部は、充填部で充填する飲料温度に応じて不活性ガス混合蒸気の温度を制御することを特徴とする容器入り飲料の製造装置。
【請求項9】
前記制御部は、充填部で充填する飲料の温度に対して混合器における蒸気の混合量を制御することで、不活性ガス混合蒸気の温度を制御していることを特徴とする請求項8に記載の容器入り飲料の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
容器入り飲料の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器入り非炭酸飲料の製造方法において、加熱した飲料を容器に充填後、容器の空寸部分に不活性ガスと蒸気とを混合した不活性ガス混合蒸気を噴射することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−47536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、加熱した飲料を容器に充填する充填工程において、装置のトラブル等により充填工程が停止することがある。かかる充填工程の停止があると、時間経過と共に充填する飲料温度が低下し、飲料が充填された製品(容器入り飲料)の内圧(真空度)が所定の値に確保できないおそれがある。
このように、所定の内圧が確保できない製品は、その後の検査工程で不良品として廃棄される。このため、製品歩留まりが低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、製品歩留まりの向上を図ることができる容器入り飲料の製造方法及び製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、容器に飲料を充填する充填工程と、不活性ガスと蒸気とを混合して不活性ガス混合蒸気を生成するミックス工程と、ミックス工程で得た不活性ガス混合蒸気を充填工程で飲料を充填した容器の空寸部分に噴射して空寸部分の空気と置換する混合蒸気噴射工程と、混合蒸気噴射工程後の容器に封をする封止工程とを備える容器入り飲料の製造方法であって、前記ミックス工程は、充填工程で充填する飲料温度に応じて不活性ガス混合蒸気の温度を制御することを特徴とする容器入り飲料の製造方法である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ミックス工程は、充填工程で充填する飲料温度と不活性ガス混合蒸気温度と封止後の容器内圧力との関係を求めた実験に基づいて、不活性ガス混合蒸気温度を制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ミックス工程は、蒸気の混合量を制御することで、不活性ガス混合蒸気の温度を制御していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明おいて、所定範囲の容器内圧力に対して、充填する飲料温度と不活性ガス混合蒸気温度とを比例関数として求め、前記ミックス工程は、この比例関数に基づいて蒸気の混合量を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記ミックス工程で、充填する飲料温度に対する蒸気の混合量の制御は、PID制御であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記飲料は、非炭酸飲料であることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、前記容器は缶であり、前記封止工程は缶の蓋を巻き締める工程であることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、容器に飲料を充填するフィラーと、不活性ガスと蒸気とを混合して不活性ガス混合蒸気を生成する混合器と、混合器で得た不活性ガス混合蒸気を、飲料を充填した容器の空寸部分に噴射する混合蒸気噴射部と、不活性ガス混合蒸気噴射後の容器に封をする封止部と、制御部とを備える容器入り飲料の製造装置であって、前記制御部は、充填部で充填する飲料温度に応じて不活性ガス混合蒸気の温度を制御することを特徴とする容器入り飲料の製造装置である。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記制御部は、充填部で充填する飲料の温度に対して混合器における蒸気の混合量を制御することで、不活性ガス混合蒸気の温度を制御していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び8に記載の発明によれば、容器に充填する飲料の温度に基づいて、不活性ガス混合蒸気の温度を制御しているので、製造時のトラブル等により容器に充填する飲料の温度が低下した場合でも、製造後の製品における真空度(内圧)を適正な範囲に保持でき、製品の真空度不備による歩留り低下を防止できる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、実験から求めた相関関係から不活性ガス混合蒸気の温度を制御するので、実測値に沿った不活性ガス混合蒸気の温度制御ができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、蒸気の混合量のみを制御するので、不活性ガス混合蒸気の温度制御が容易にできる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、充填する飲料温度と不活性ガス混合蒸気温度とを比例関数として求め、比例関数に基づいて制御するので、簡易な関数で制御が容易である。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、不活性ガス混合蒸気の温度管理が迅速に且つ小さな変動幅で制御できる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、自動販売機や製品販売時における加温による容器の変形を防止できる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、特に蓋の巻き締めを行う缶製品の歩留まりを高めることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、蒸気の混合量のみを制御するので、不活性ガス混合蒸気の温度制御が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる容器入り飲料の製造方法を概念的に示す断面図であり、(a)は混合蒸気噴射工程であり、(b)は封止工程である。
【
図2】本発明の実施の形態における混合蒸気噴射工程前の容器と蓋の状態を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態における不活性ガス混合蒸気噴射工程を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態における封止工程前の状態を示す正面図である。
【
図5】本発明の実施の形態における封止工程後の状態を示す正面図である。
【
図6】フィラーで飲料を充填後の容器の流れを示す平面図である。
【
図8】ファイラー充填液温度と不活性ガス混合蒸気温度(混合ガス温度)との関係を示すグラフである。
【
図9】不活性ガス混合蒸気を温度制御した場合のフィラー充填液温度と真空度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施の形態にかかる容器入り飲料の製造装置1は、蒸気導入管3と不活性ガス導入管5と、混合器7と、混合ガス噴射部12と、容器9に飲料を充填するフィラー11(
図6参照)と、フィラー11における飲料(充填液)の温度検知部13と、制御部15と、容器に封をする封止部17とを備えている。
飲料は、加熱して容器に充填する種類の飲料であり、いわゆる陰圧充填製品の飲料である。例えば、乳入りコーヒー飲料である。
【0025】
容器9は、缶容器であり、缶本体9aに蓋9bが巻き締められている。
蒸気導入管3には、流量コントロールバルブ21が設けてあり、混合器7に導入する蒸気の流入量を制御している。
不活性ガスは窒素ガス(N
2)が用いられており、不活性ガス導入管5にも流量コントロールバルブ23が設けてある。
混合器7は蒸気導入管3と不活性ガス導入管5とに接続されており、導入された窒素ガス(不活性ガス)と蒸気とを混合して、混合ガス噴射部12に供給する。混合器7は本実施の形態ではエジェクターである。
【0026】
混合ガス噴射部12は、缶蓋9bの巻き締め工程前に、飲料が充填された缶本体9aの空寸部分Sに向けて窒素ガス(不活性ガス)と蒸気との混合ガス(以下単に、「混合ガス」という)を噴射する。尚、
図1では、説明の為に、混合ガス噴射部12は缶本体9aの上方から下方に向けて混合ガスを噴射しているが、実際には缶本体9aと缶蓋9bとの間に側方から混合ガスを噴射する(
図2〜4参照)。
制御部15は、フィラーチャンバ(図示せず)に設けてフィラー11の充填液温度を検知する温度検知部13と、蒸気の流量コントロールバルブ21とに接続されており、温度検知部13で検知した温度に基づいて流量コントロールバルブ21を制御している。
封止部17では、缶本体9aに蓋9bを巻き締める。
【0027】
ここで、
図6を参照して、フィラー11で缶本体9aに飲料を充填してから製品までの概略的な流れを説明する。
フィラー11で缶本体9aに飲料を充填した後、缶本体9aは混合ガス噴射部12へ搬送される。
一方、缶蓋9bは、缶蓋スタック29からキャンフィードターレット31に供給される。混合ガス噴射部12では、本体9aの空寸部分Sに混合ガスを噴射(
図1(a)参照)した後、封止部17で缶本体9aに缶蓋9bが巻き締められた後(
図1(b)参照)、センターターレット33及びディスチャージターレット35を経由して、下流側の次工程へ搬送される。尚、
図6では缶蓋9bにハッチを付している。
【0028】
次に、混合ガス噴射部12及び封止部17の工程について説明する。
図2及び
図6に示すように、飲料が充填された缶本体9a及び缶蓋9bが、混合ガス噴射部12に搬送されてくる。
次に、
図3及び
図4に示すように、缶本体9a及び缶蓋9bの搬送中に、缶本体9aと缶蓋9bとの間の空間にキャンフィードターレット31の下方に位置するガスターレット30の混合ガス噴射部12から混合ガスが噴射されて、缶本体9aの空寸部分Sにある空気が混合ガスと置換される。尚、混合ガスは、缶本体9aと缶蓋9bとの間の空間に側方から噴射される。
その後、
図4に示すように、缶蓋9bが缶本体9aの上方位置から、缶蓋9bを押し下げて後、
図5に示すように、封止部17で缶蓋9bを缶本体9aに巻き締める(
図1(b)参照)。
【0029】
次に、混合ガス噴射部12で噴射する混合ガスについて説明する。
図7はミックス工程における混合ガスの回路図を示している。
図7に示すように、蒸気導入管3には、蒸気供給部41と混合器7との間で蒸気供給部41側から順に、開閉弁43、圧力計45、流量コントロールバルブ21、圧力計45、電磁弁49、ニードル弁51及び圧力計45がこの順序で設けてある。また、開閉弁43と流量コントロールバルブ21との間の圧力計45の位置には、スチームトラップ46が設けてある。流量コントロールバルブ21には制御部15が接続されており、フィラー充填液の温度を検知する温度検知部13の検知温度に基づいて制御部15により蒸気の流量が制御されている。
【0030】
窒素ガス導入管5には、窒素ガス供給部53と混合器7との間に窒素ガス供給部53側から順に、開閉弁43、圧力計45、開閉弁43、流量コントロールバルブ23、圧力計45、流量計48、電磁弁49、ニードル弁51がこの順序で設けてある。尚、流量コントロールバルブ23の上流側にはカバーガッシング経路54が分岐されているが、カバーガッシング経路54の説明は省略する。
混合器7と混合ガス噴射部12との間には、混合器7側から分離器55、ニードル弁51が設けてあり、分離器55にはスチームトラップ46及び圧力計45が設けてある。
【0031】
次に、
図8を参照して、フィラー充填液温度と混合ガス温度との関係について説明する。
図8のグラフにおいて、黒四角はフィラー充填液温度の変化に関係なく混合ガスの温度を一定にした場合である(追従制御無)。
黒丸はフィラー充填液温度の変化に対して、製品内圧力(真空度)が36〜40kPa(キロパスカル)の範囲内になるように制御部15で制御したときの混合ガスの温度である(追従制御有)。制御した混合ガスの温度は、蒸気の混合量を変えることにより調整した。
混合ガスの温度は、各フィラー充填液温度に対して3個の検体についておこなった測定値の平均をグラフにプロットした。
【0032】
この実験では、フィラーを停止し、10分、20分、30分、40分、50分後の各再稼働時にその時の各フィラー充填液温度で、フィラー充填液の充填、混合ガスの噴射及び缶蓋の巻き締めを行った。更に、50分経過後にフィラーを含むライン全体を再稼働したときのフィラー充填液温度と混合ガス温度を測定した。
【0033】
図8に示すグラフから、黒丸のプロットの相関関係を求めると、一点鎖線で示すように、フィラー充填液温度に対する混合ガス温度との関係は比例関係(線形)にあることが分かった。
図8に示すように実験結果から、下記(制御式1)を求めた。
y=−0.2254x+112.53 (制御式1)
ここでxはフィラー充填液温度、yは混合ガス温度である。
更に、求めた制御式1の確認実験を行ったので、
図9を参照して、その内容について説明する。フィラー充填液温度に対する混合ガス温度との関係で得た(制御式1)に対して、混合ガス温度を、制御式1をそのまま(破線)、制御式1+0.2℃(実線)、制御式1+0.4℃(一点鎖線)、制御式1+0.6℃(二点鎖線)に混合ガスの温度を制御して、混合ガスの噴射を行い、得られた製品について真空度を測定した。その結果を
図9に示す。この実験についても、フィラーを停止後、10分、20分、30分、40分、50分後の経過時間に伴って温度が低下したフィラー充填液について、各温度で3個の検体について測定した真空度の平均値を、グラフにプロットした。
【0034】
図9には、真空度36〜40KPaの管理領域Pをドッド領域で示している。真空度36〜40KPaの管理領域Pは、製品内圧として良好としている範囲であり、この範囲からずれた真空度は、不良品として排斥している。
図9から明らかなように、
図8で求めた制御式1のまま(破線)では、フィラー充填液温度の低下に伴って真空度は低下し、フィラー充填液温度が72°以下では、真空度は32KPa付近まで低下した。また、制御式1+0.4、制御式1+0.6では真空度40を越えて、41〜44KPa付近となり、管理領域Pよりも上方にずれた不良品となった。
これに対して、制御式1+0.2(実線)は、フィラー充填液温度が78℃から68℃に低下した場合でも、真空度36〜40KPaの範囲内にあり管理領域P内である良品であった。
したがって、混合ガスの温度が、制御式1+0.2℃ になるように蒸気の混合量を制御することで、ファイラー充填液温度が低下した場合でも真空度に関して不良品の発生を防止できる。
【0035】
上記のようにして得た下記式2を用いて混合ガス温度を制御した場合(実験1)と、温度制御することなく停止前と同じ混合ガス温度で混合ガスの噴射を行った場合(比較実験1)について実験をおこなったのでその結果について説明する。
(実験1)
制御部15では、混合ガス温度が下記式2で求めた目標温度になるように、流量コントロールバルブ21をPID制御した。
混合ガス温度=制御式1+0.2℃ (式2)
y=−0.2254x+112.53 (制御式1)
実験は、フィラーを50分停止した後、再稼働して、充填、混合ガス噴射及び巻き締めを行い、検体を製造した。その後、各検体について真空度を測定した。真空度は打鍵器で測定し、良品か不良品かを判定した。
尚、フィラー停止後のファイラー充填液の温度は、停止後、10分が76.2℃、20分が74.7、30分が73.0℃、40分が71.2℃、50分が70.2℃であった。
実験1において、検体数18、706本に対して不良は65本であり、不良率は0.330%であった。
【0036】
(比較実験1)
実験1と同様に、フィラーを50分停止した後、再稼働して、充填、混合ガス噴射及び巻き締めを行い、検体を製造した。比較実験1では混合ガス温度の制御を行わないで、停止前と同じ混合ガス温度で混合ガス噴射を行った。フィラー充填液温度は、停止後の時間10分が76.2℃、20分が74.4、30分が72.9℃、40分が71.5℃、50分が69.9℃であった。
検体数は22350本に対して不良は230本であり、不良率は1.029%であった。
以上のように、比較実験1の不良率が1.029%であるのに対して、本実施の形態にかかる実験1では不良率は0.330%であり、混合ガスの温度制御をすることで、不良率を大幅に低減できた。
【0037】
本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、容器入り飲料の容器は、缶の蓋を巻き締めすることに限らず、ボトル状の缶容器であっても良く、この場合に封止工程では、キャップをボトルの口部に回して閉め付ける。
飲料は、コーヒー飲料に限らず、乳入り紅茶やお茶、果汁飲料等であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 容器入り飲料の製造装置
7 混合器
9 容器
12 混合ガス噴射部
13 充填液温度検知部
15 制御部
17 封止部
21 流量コントロールバルブ
S 空寸部分