(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デューティ制御部は、前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数との比に基づいて、ゲート駆動回路から前記複数の画素回路に出力されるゲート信号の波形を生成するゲート波形生成パラメータを生成するデューティ演算部を有する、
請求項1に記載の表示パネルの制御装置。
前記デューティ制御部は、前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数との比に基づいて、ゲート駆動回路から前記複数の画素回路に出力されるゲート信号の波形を生成するゲート波形生成パラメータを生成するデューティ演算部を有する、
請求項9に記載の表示装置。
前記垂直同期信号を受信または映像期間信号の開始タイミングを検出した後に通知された前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数との比に基づいて、ゲート駆動回路から前記複数の画素回路に出力されるゲート信号の波形を生成するゲート波形生成パラメータを生成するパラメータ導出工程を含み、
前記消光期間調整工程において、前記最低垂直ライン数の映像表示を行うときの前記消光期間に前記パラメータ導出工程で生成された前記ゲート波形生成パラメータが演算されることで、前記消光期間が調整される、
請求項17に記載の表示パネルの駆動方法。
前記パラメータ導出工程において、前記ゲート波形生成パラメータは、前記最低垂直ライン数と前記現フレームの垂直ライン数とからあらかじめ算出された前記ゲート波形生成パラメータを記憶している記憶部から選択され、
前記消光期間調整工程において、前記最低垂直ライン数の映像表示を行うときの前記消光期間に、前記パラメータ導出工程において選択された前記ゲート波形生成パラメータを演算することで、前記消光期間の長さを調整する、
請求項18に記載の表示パネルの駆動方法。
前記消光期間調整工程においてデューティ制御部により前記消光期間の長さを調整した後、調整した前記消光期間を前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数とに応じて複数の期間に分割する分割工程と、
分割した複数の前記消光期間を、前記現フレームの垂直ライン数の映像を表示する前記フレーム期間に所定の期間ごとに配置する消光期間配置工程とを含む、
請求項18に記載の表示パネルの駆動方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術にかかる表示装置では、1画面分の表示を行う時間(フレーム期間)は一定であったため、想定される垂直ライン数に基づいて、フレーム期間に対する発光期間の比であるデューティが定められていた。そして、表示装置は、当該デューティに基づいた発光を行うように、予め定められた発光タイミングおよび消光タイミングで表示を行うように、映像信号および同期信号により制御されていた。
【0007】
しかし、フレーム期間はGPUが処理する内容次第で変動するものであるため、GPUの処理能力等により、フレーム期間が大きく変動する場合がある。フレーム期間が変動すると、フレーム期間に対する発光期間の比であるデューティも変動する。これにより、予め定められた発光タイミングと実際の表示タイミングとが一致せず、画面に細かいちらつきが表示されるフリッカー現象が生じるという課題があった。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、フリッカー現象を抑制することができる表示パネルの制御装置、表示装置および表示パネルの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる表示パネルの制御装置の一態様は、行列状に配置された複数の画素回路を有する表示パネルの表示を制御する制御装置であって、外部から受信した映像信号を一時的に保持するデータ保持部と、外部から受信した垂直同期信号または前記映像信号の開始タイミングに基づいて、前記映像信号を前記データ保持部から前記表示パネルへ供給する同期制御部と、前記表示パネルを消光させる消光信号を出力して前記表示パネルの発光および消光を制御するデューティ制御部とを備え、前記同期制御部は、前記垂直同期信号を受信または映像信号の開始タイミングを検出したときにフレーム期間を開始し、前記フレーム期間は、前記表示パネルを発光させる発光期間と、前記表示パネルを消光させる消光期間とからなり、前記デューティ制御部は、前記フレーム期間に前記表示パネルに表示される映像の、現フレームの垂直ライン数とあらかじめ定められた最低垂直ライン数との比に基づいて、前記現フレームの垂直ライン数の映像の表示を行うときの前記フレーム期間における前記発光期間の長さと前記消光期間の長さの比が一定となるように、前記消光期間の長さを制御する。
【0010】
これにより、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合のオンデューティと現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合のオンデューティとが等しくなるように消光期間および発光期間を調整することができる。したがって、表示パネルにおいてフリッカー現象を抑制することができる。
【0011】
また、前記デューティ制御部は、前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数との比に基づいて、ゲート駆動回路から前記複数の画素回路に出力されるゲート信号の波形を生成するゲート波形生成パラメータを生成するデューティ演算部を有してもよい。
【0012】
これにより、現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数との比に基づいてゲート波形生成パラメータを算出し、最低垂直ライン数の表示を行うときの消光期間に、当該ゲート波形生成パラメータを乗算して重み付けをすることができる。これにより、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光期間と消光期間との比と現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光期間と消光期間との比を等しくすることができる。したがって、制御装置は、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、表示パネルに発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0013】
また、前記ゲート波形生成パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数をV
nowとすると、V
now/V
minで表されてもよい。
【0014】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が通知された場合に、制御装置は、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数とによりゲート波形生成パラメータを容易に算出することができる。これにより、制御装置は、発光素子の発光輝度を簡便に調整し、表示パネルに発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0015】
また、前記ゲート波形生成パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数の前記最低垂直ライン数に対する差分をV
diffとすると、1+V
diff/V
minで表されてもよい。
【0016】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が供給されなくても、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数との差分が供給されれば、制御装置は、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の消光期間を調整することができる。また、複雑な除算を用いることなく簡便にゲート波形生成パラメータを算出し、消光期間を調整することができる。
【0017】
また、前記デューティ制御部は、前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数とからあらかじめ算出された前記ゲート波形生成パラメータを記憶している記憶部を備え、前記デューティ制御部は、前記記憶部から、前記最低垂直ライン数および前記現フレームの垂直ライン数に対応する前記ゲート波形生成パラメータを選択し、前記デューティ制御部は、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うと前記最低垂直ライン数のフレーム期間の前記消光期間に、選択された前記ゲート波形生成パラメータを演算することで、前記消光期間の長さを調整してもよい。
【0018】
これにより、制御装置は、既に演算されたゲート波形生成パラメータから最適なゲート波形生成パラメータを選択して、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光素子の発光輝度を容易に調整することができる。
【0019】
また、前記デューティ制御部は、前記表示パネルの発光および消光のシーケンスを出力するシーケンサと、前記シーケンサから出力されるシーケンスに基づいて、前記表示パネルの発光および消光を制御する発光制御部とを有し、前記シーケンサは、前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数とに応じて前記消光期間を複数の期間に分割し、分割した複数の前記消光期間を、前記現フレームの垂直ライン数の映像を表示する前記フレーム期間に所定の期間ごとに配置し、前記発光制御部は、分割した複数の前記消光期間のそれぞれに対応して、前記表示パネルを消光する消光信号を出力してもよい。
【0020】
これにより、現フレームの垂直ライン数の映像表示を、疑似的に最低垂直ライン数の映像表示を行う場合と同等のフレームレートで映像表示しているように見せることができる。これにより、フレームレートが変更されても画面にちらつきは生じず、フリッカー現象の発生を抑制することができる。
【0021】
また、分割した複数の前記消光期間のうち前記フレーム期間の最後に配置された前記消光期間は、前記複数の画素回路を初期化するための初期化期間を含んでもよい。
【0022】
これにより、フレーム期間の最後に配置された消光期間に、複数の画素回路を初期化するための初期化期間を含めることにより、次のフレーム期間における映像表示を適切に行うことができる。
【0023】
また、前記シーケンサは、前記消光期間の長さをカウントする消光期間カウンタと、垂直ライン数をカウントするラインカウンタと、前記消光期間カウンタおよび前記ラインカウンタでのカウント値に基づいて、前記消光期間の分割および位置を制御するシーケンスを生成するシーケンス制御部とを有してもよい。
【0024】
これにより、消光期間カウンタおよびラインカウンタのカウント値に基づいて新たにシーケンスを生成することができるので、その都度最適な表示を行うことができる。
【0025】
また、上記目的を達成するために、本発明にかかる表示装置の一態様は、発光素子を有する画素回路が複数個行列状に配置されたパネル部と、前記パネル部に表示される映像信号を前記画素回路に供給するソース駆動回路と、前記パネル部に表示される前記映像信号の表示タイミングを制御する同期信号を、前記画素回路に供給するゲート駆動回路と、前記ゲート駆動回路および前記ソース駆動回路を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、外部から受信した映像信号を一時的に保持するデータ保持部と、外部から受信した垂直同期信号または前記映像信号の開始タイミングに基づいて、前記映像信号を前記データ保持部から前記表示パネルへ供給する同期制御部と、前記表示パネルを消光させる消光信号を出力して前記表示パネルの発光および消光を制御するデューティ制御部とを備え、前記同期制御部は、前記垂直同期信号を受信したときにフレーム期間を開始し、前記フレーム期間は、前記表示パネルを発光させる発光期間と、前記表示パネルを消光させる消光期間とからなり、前記デューティ制御部は、前記フレーム期間に前記表示パネルに表示される映像の、現フレームの垂直ライン数とあらかじめ定められた最低垂直ライン数との比に基づいて、前記現フレームの垂直ライン数の映像の表示を行うときの前記フレーム期間における前記発光期間の長さと前記消光期間の長さの比が一定となるように、前記消光期間の長さを制御する。
【0026】
これにより、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合のオンデューティと現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合のオンデューティとが等しくなるように消光期間および発光期間を調整することができる。したがって、表示パネルにおいてフリッカー現象を抑制することができる。
【0027】
また、前記デューティ制御部は、前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数との比に基づいて、ゲート駆動回路から前記複数の画素回路に出力されるゲート信号の波形を生成するゲート波形生成パラメータを生成するデューティ演算部を有してもよい。
【0028】
これにより、現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数との比に基づいてゲート波形生成パラメータを算出し、最低垂直ライン数の表示を行うときの消光期間に、当該ゲート波形生成パラメータを乗算して重み付けをすることができる。これにより、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光期間と消光期間との比と現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光期間と消光期間との比を等しくすることができる。したがって、制御装置は、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、表示パネルに発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0029】
また、前記ゲート波形生成パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数をV
nowとすると、V
now/V
minで表されてもよい。
【0030】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が通知された場合に、制御装置は、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数とによりゲート波形生成パラメータを容易に算出することができる。これにより、制御装置は、発光素子の発光輝度を簡便に調整し、表示パネルに発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0031】
また、前記ゲート波形生成パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数の前記最低垂直ライン数に対する差分をV
diffとすると、1+V
diff/V
minで表されてもよい。
【0032】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が供給されなくても、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数との差分が供給されれば、制御装置は、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の消光期間を調整することができる。また、複雑な除算を用いることなく簡便にゲート波形生成パラメータを算出し、消光期間を調整することができる。
【0033】
また、前記デューティ制御部は、前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数とからあらかじめ算出された前記ゲート波形生成パラメータを記憶している記憶部を備え、前記デューティ制御部は、前記記憶部から、前記最低垂直ライン数および前記現フレームの垂直ライン数に対応する前記ゲート波形生成パラメータを選択し、前記デューティ制御部は、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときに、前記最低垂直ライン数のフレーム期間の前記消光期間に、前記発光制御部により選択された前記ゲート波形生成パラメータを演算することで、前記消光期間の長さを調整してもよい。
【0034】
これにより、制御装置は、既に演算されたゲート波形生成パラメータから最適なゲート波形生成パラメータを選択して、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光素子の発光輝度を容易に調整することができる。
【0035】
また、前記デューティ制御部は、前記表示パネルの発光および消光のシーケンスを出力するシーケンサと、前記シーケンサから出力されるシーケンスに基づいて、前記表示パネルの発光および消光を制御する発光制御部とを有し、前記シーケンサは、前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数とに応じて前記消光期間を複数の期間に分割し、分割した複数の前記消光期間を、前記現フレームの垂直ライン数の映像を表示する前記フレーム期間に所定の期間ごとに配置し、前記発光制御部は、分割した複数の前記消光期間のそれぞれに対応して、前記表示パネルを消光する消光信号を出力してもよい。
【0036】
これにより、現フレームの垂直ライン数の映像表示を、疑似的に最低垂直ライン数の映像表示を行う場合と同等のフレームレートで映像表示しているように見せることができる。これにより、フレームレートが変更されても画面にちらつきは生じず、フリッカー現象の発生を抑制することができる。
【0037】
また、分割した複数の前記消光期間のうち前記フレーム期間の最後に配置された前記消光期間は、前記複数の画素回路を初期化するための初期化期間を含んでもよい。
【0038】
これにより、フレーム期間の最後に配置された消光期間に、複数の画素回路を初期化するための初期化期間を含めることにより、次のフレーム期間における映像表示を適切に行うことができる。
【0039】
また、前記シーケンサは、前記消光期間の長さをカウントする消光期間カウンタと、垂直ライン数をカウントするラインカウンタと、前記消光期間カウンタおよび前記ラインカウンタでのカウント値に基づいて、前記消光期間の分割および位置を制御するシーケンスを生成するシーケンス制御部とを有してもよい。
【0040】
これにより、消光期間カウンタおよびラインカウンタのカウント値に基づいて新たにシーケンスを生成することができるので、その都度最適な表示を行うことができる。
【0041】
また、上記目的を達成するために、本発明にかかる表示パネルの駆動方法の一態様は、行列状に配置された複数の画素回路を有する表示パネルの駆動方法であって、垂直同期信号を受信または映像信号の開始タイミングを検出したときにフレーム期間を開始し、前記フレーム期間は、前記表示パネルを発光させる発光期間と、前記表示パネルを消光させる消光期間とからなり、前記垂直同期信号を受信または映像期間信号の開始タイミングに基づいて前記画素回路を初期化する初期化工程と、前記垂直同期信号を受信または映像期間信号の開始タイミングを検出した後、前記映像信号をデータ保持部に一時的に保持する書き込み工程と、デューティ制御部により、前記フレーム期間に前記表示パネルに表示される映像の、現フレームの垂直ライン数とあらかじめ定められた最低垂直ライン数との比に基づいて、前記現フレームの垂直ライン数の映像の表示を行うときの前記フレーム期間における前記発光期間の長さと前記消光期間の長さの比が一定となるように前記消光期間の長さを調整する消光期間調整工程と、調整された前記消光期間に前記発光素子を消光し、前記フレーム期間の前記消光期間以外の前記発光期間に前記発光素子を発光させることにより、前記映像信号を表示させる映像表示工程とを含む。
【0042】
これにより、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合のオンデューティと現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合のオンデューティとが等しくなるように消光期間および発光期間を調整することができる。したがって、表示パネルにおいてフリッカー現象を抑制することができる。
【0043】
また、前記垂直同期信号を受信または映像期間信号の開始タイミングを検出した後に通知された前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数との比に基づいて、ゲート駆動回路から前記複数の画素回路に出力されるゲート信号の波形を生成するゲート波形生成パラメータを生成するパラメータ導出工程を含み、前記消光期間調整工程において、前記最低垂直ライン数の映像表示を行うときの前記消光期間に前記パラメータ導出工程で生成された前記ゲート波形生成パラメータが演算されることで、前記消光期間が調整されてもよい。
【0044】
これにより、現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数との比に基づいてゲート波形生成パラメータを算出し、最低垂直ライン数の表示を行うときの消光期間に、当該ゲート波形生成パラメータを乗算して重み付けをすることができる。これにより、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光期間と消光期間との比と現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光期間と消光期間との比を等しくすることができる。したがって、制御装置は、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、表示パネルに発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0045】
また、前記ゲート波形生成パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数をV
nowとすると、V
now/V
minで表されてもよい。
【0046】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が通知された場合に、制御装置は、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数とによりゲート波形生成パラメータを容易に算出することができる。これにより、制御装置は、発光素子の発光輝度を簡便に調整し、表示パネルに発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0047】
また、前記ゲート波形生成パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数の前記最低垂直ライン数に対する差分をV
diffとすると、1+V
diff/V
minで表されてもよい。
【0048】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が供給されなくても、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数との差分が供給されれば、制御装置は、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の消光期間を調整することができる。また、複雑な除算を用いることなく簡便にゲート波形生成パラメータを算出し、消光期間を調整することができる。
【0049】
また、前記パラメータ導出工程において、前記ゲート波形生成パラメータは、前記最低垂直ライン数と前記現フレームの垂直ライン数とからあらかじめ算出された前記ゲート波形生成パラメータを記憶している記憶部から選択され、前記消光期間調整工程において、前記最低垂直ライン数の映像表示を行うときの前記消光期間に、前記発光制御部により選択された前記ゲート波形生成パラメータを演算することで、前記消光期間の長さを調整してもよい。
【0050】
これにより、制御装置は、既に演算されたゲート波形生成パラメータから最適なゲート波形生成パラメータを選択して、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光素子の発光輝度を容易に調整することができる。
【0051】
また、前記消光期間調整工程においてデューティ制御部により前記消光期間の長さを調整した後、調整した前記消光期間を前記現フレームの垂直ライン数と前記最低垂直ライン数とに応じて複数の期間に分割する分割工程と、分割した複数の前記消光期間を、前記現フレームの垂直ライン数の映像を表示する前記フレーム期間に所定の期間ごとに配置する消光期間配置工程とを含んでもよい。
【0052】
これにより、現フレームの垂直ライン数の映像表示を、疑似的に最低垂直ライン数の映像表示を行う場合と同等のフレームレートで映像表示しているように見せることができる。これにより、フレームレートが変更されても画面にちらつきは生じず、フリッカー現象の発生を抑制することができる。
【0053】
また、分割した複数の前記消光期間のうち前記フレーム期間の最後に配置された前記消光期間は、前記複数の画素回路を初期化するための初期化期間を含んでもよい。
【0054】
これにより、フレーム期間の最後に配置された消光期間に、複数の画素回路を初期化するための初期化期間を含めることにより、次のフレーム期間における映像表示を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明にかかる表示パネルの制御装置、表示装置および表示パネルの駆動方法によれば、フリッカー現象を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、接続形態、ステップおよびステップの順序などは一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0058】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0059】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1について、
図1〜
図8を用いて説明する。本実施の形態では、表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子を用いた表示装置1を例として説明する。
【0060】
[1.表示装置の構成]
はじめに、表示装置1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る表示装置1の構成例を示す概略図である。
図2は、本実施の形態に係る画素回路30の構成を示す回路図である。
図3は、本実施の形態に係る表示装置1の構成を示すブロック図である。
【0061】
図1に示すように、表示装置1は、表示パネル10と、制御装置20とで構成されている。表示パネル10は、パネル部12と、ゲート駆動回路14と、ソース駆動回路16と、走査線40と、信号線42とを有している。パネル部12と、ゲート駆動回路14と、ソース駆動回路16と、走査線40と、信号線42とは、例えば、パネル基板12aに実装されている。
【0062】
パネル部12は、パネル基板12aと、パネル基板12a上に行列状に配置された複数の画素回路30と、走査線40と、信号線42とを有している。より詳細には、パネル部12は、行状の走査線40と、列状の信号線42と、両者が交差する部分に配置された発光素子32を有する画素回路30とを有している。パネル基板12aは、例えば、ガラスまたはアクリル等の樹脂により形成されている。
【0063】
複数の画素回路30は、例えば、半導体プロセスによってパネル基板12aに形成されている。複数の画素回路30は、例えばN行M列に配置されている。N、Mは、表示画面のサイズおよび解像度により異なる。例えば、FHD(Full High Definition)と呼ばれる解像度で、行内にRGB3原色に対応する画素回路30が隣接する場合、Nは少なくとも1080行であり、Mは少なくとも1920×3列である。各画素回路30は、有機EL素子を発光素子として有し、RGB三原色のいずれかの色の発光画素を構成する。
【0064】
図2に示すように、画素回路30は、発光素子32と、駆動トランジスタ33と、選択トランジスタ35と、スイッチトランジスタ34、36および37と、画素容量38とを有している。なお、画素回路30の構成および動作については、後に詳述する。
【0065】
走査線40は、行列状に配列された複数の画素回路30に行ごとに配線されている。走査線40の一端は、ゲート駆動回路14の各段の出力端に接続されている。
【0066】
信号線42は、行列状に配列された複数の画素回路30に列ごとに配線されている。信号線42の一端は、ソース駆動回路16の各段の出力端に接続されている。
【0067】
ゲート駆動回路14は、行駆動回路とも呼ばれ、画素回路30の行単位にゲート駆動信号を走査する駆動回路である。ゲート駆動信号とは、画素回路30内の駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ34、36および37のゲートに入力されて各トランジスタのオンおよびオフを制御する信号である。ゲート駆動回路14は、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ34、36および37を制御する信号として、例えば制御信号WS、消光信号EN、制御信号REFおよび制御信号INIを出力する。また、ゲート駆動回路14は、
図1に示すように、パネル部12の短辺の一辺に配置されている。
【0068】
ゲート駆動回路14は、例えばシフトレジスタ等によって構成されている。ゲート駆動回路14は、制御装置20から映像期間信号DEが与えられることにより、同じく制御装置20から与えられる垂直同期信号VSに同期してゲート駆動信号を出力し、走査線40を駆動する。これにより、フレーム毎に画素回路30が線順次選択され、映像信号に応じた輝度で各画素回路30の発光素子32が発光する。
【0069】
なお、ゲート駆動回路14は、
図1に示すように、パネル部12の短辺の一辺に配置されてもよいし、パネル部12の対向する短辺の二辺に配置されてもよい。ゲート駆動回路14がパネル部12の対向する二辺に配置されることにより、パネル部12に配置された複数の画素回路30に同じゲート駆動信号を同じタイミングで供給することができる。これにより、例えばパネル部12が大型である場合には、各走査線40の配線容量による信号劣化を抑制することができる。
【0070】
ソース駆動回路16は、列駆動回路とも呼ばれ、制御装置20からフレーム単位で供給される映像信号を各画素回路30に供給する駆動回路である。ソース駆動回路16は、パネル部12の長辺の一辺に配置されている。
【0071】
ソース駆動回路16は、信号線42を通して、画素回路30の各々に対して映像信号に基づく輝度情報を電流値または電圧値の形で書き込む、電流書き込み型または電圧書き込み型の駆動回路である。本実施の形態に係るソース駆動回路16は、例えば電圧書き込み型の駆動回路を使用している。ソース駆動回路16は、制御装置20から入力される映像信号に基づいて、信号線42にそれぞれの画素回路30に設けられた発光素子32の明るさを表す電圧を供給する。
【0072】
制御装置20からソース駆動回路16に入力される映像信号は、例えば、RGB三原色の色毎のデジタルシリアルデータ(映像信号R、G、B)である。ソース駆動回路16に入力された映像信号R、G、Bは、ソース駆動回路16の内部で行単位のパラレルデータに変換される。さらに、行単位のパラレルデータは、ソース駆動回路16の内部で行単位のアナログデータに変換され、信号線42に出力される。信号線42に出力された電圧は、ゲート駆動回路14の走査において選択された行に属する画素回路30の画素容量38に書き込まれる。つまり、信号線42に出力された電圧に対応する電荷が、画素容量38に蓄積される。
【0073】
なお、ソース駆動回路16は、
図1に示すように、パネル部12の長辺の一辺に配置されてもよいし、パネル部12の対向する長辺の二辺に配置されてもよい。これにより、例えばパネル部12が大型の場合には、同列の各画素回路30に同じタイミングで電圧を出力することができる。
【0074】
[2.画素回路の構成]
画素回路30は、
図2に示すように、発光素子32と、駆動トランジスタ33と、選択トランジスタ35と、スイッチトランジスタ34、36および37と、画素容量38とを有している。
【0075】
発光素子32は、例えばアノードおよびカソードを備えたダイオード形の有機EL素子である。なお、発光素子32は有機EL素子に限らず、他の発光素子であってもよい。例えば、発光素子32は、一般的に電流駆動で発光する全ての素子を含む。
【0076】
発光素子32は、例えば透明導電膜で構成される複数の第一電極層と、第一電極層上に正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層をこの順に堆積した有機層と、有機層の上に金属膜で構成される第二電極層とを有している。なお、
図2では、発光素子32はシンボルとして模式的に表示している。発光素子32の第一電極層と第二電極層との間に直流電圧が印加されると、発光層において電子と正孔とが再結合する。これにより、発光素子32は、駆動トランジスタ33から供給される、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光する。
【0077】
駆動トランジスタ33は、発光素子32を発光駆動する能動素子である。駆動トランジスタ33は、オン状態となることで、ゲート−ソース間電圧に応じたドレイン−ソース間電流を発光素子32に供給する。
【0078】
スイッチトランジスタ34は、走査線40から供給される消光信号ENに応じてオン状態またはオフ状態となる。スイッチトランジスタ34は、オン状態となることで駆動トランジスタ33を電源Vccに接続し、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流を発光素子32に供給する。
【0079】
選択トランジスタ35は、走査線40から供給される制御信号WSに応じてオン状態となり、信号線42から供給される映像信号の信号電位に応じた電荷を画素容量38に蓄積する。
【0080】
スイッチトランジスタ36は、走査線40から供給される制御信号REFに応じてオン状態となり、駆動トランジスタ33のゲートを基準電圧Vrefに設定する。
【0081】
スイッチトランジスタ37は、走査線40から供給される制御信号INIに応じてオン状態となり、駆動トランジスタ33のソースを基準電圧Viniに設定する。
【0082】
画素容量38は、蓄積された電荷による信号電位に応じて、駆動トランジスタ33のゲートに電圧を印加する。
【0083】
なお、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ36およびスイッチトランジスタ37は、例えばNチャネル型のポリシリコンTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)で構成されている。また、スイッチトランジスタ34は、例えばPチャネル型のポリシリコンTFTで構成されている。なお、各トランジスタの導電型は上記したものに限られず、Nチャネル型とPチャネル型のTFTを適宜混在させてもよい。また、各トランジスタは、ポリシリコンTFTに限らず、アモルファスシリコンTFT等で構成されていてもよい。
【0084】
ここで、画素回路30の動作について説明する。フレーム期間が始まる直前では、全ての制御信号WS、REF、INIおよび消光信号ENがローレベルとなっている。この状態では、Nチャネル型のトランジスタである選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ36、スイッチトランジスタ37はオフ状態となっている。一方、Pチャネル型のトランジスタであるスイッチトランジスタ34は、オン状態となっている。
【0085】
したがって、駆動トランジスタ33は、オン状態のスイッチトランジスタ34を介して電源Vccに接続される。これにより、駆動トランジスタ33は、駆動トランジスタ33のゲート−ソース間電圧に応じて、ドレイン−ソース間電流を発光素子32に供給する。このとき、発光素子32は発光している。
【0086】
フレーム期間の開始時には、消光信号ENがローレベルからハイレベルに切り替わる。これにより、スイッチトランジスタ34がオフ状態となり、駆動トランジスタ33は電源Vccから切り離される。したがって、発光素子32の発光は停止し、消光期間となる。また、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ36、スイッチトランジスタ37、スイッチトランジスタ34の全てがオフ状態となる。
【0087】
初期化期間では、まず、基準電圧Vrefは、制御信号REFがハイレベルになったときに駆動トランジスタ33がオフ状態になる電圧に変更されている。次に、制御信号REFがハイレベルになり、スイッチトランジスタ36がオン状態になる。これにより、駆動トランジスタ33のゲートは、基準電圧Vrefに接続され、駆動トランジスタ33はオフ状態になる。駆動トランジスタ33がオフ状態になると、制御信号REFは再びローレベルになりスイッチトランジスタ36はオフ状態になる。さらに、基準電圧Vrefは元の電圧に戻る。
【0088】
次に、制御信号INIがハイレベルになり、スイッチトランジスタ37がオン状態となる。これにより、駆動トランジスタ33のソースは基準電圧Viniに初期化される。続いて、制御信号REFがハイレベルになると、スイッチトランジスタ36がオン状態となる。これにより、駆動トランジスタ33のゲートが基準電圧Vrefに初期化される。この結果、駆動トランジスタ33のゲートは基準電圧Vrefに接続され、ソースは基準電圧Viniに接続される。
【0089】
ここで、基準電圧Vref、基準電圧Viniおよび駆動トランジスタ33の閾値電圧Vthの関係は、Vref−Vini>Vthとすることが好ましい。これにより、この後に駆動トランジスタ33の閾値電圧Vthの補正を行うことができる。また、発光素子32の閾値電圧を基準電圧Viniより大きくすることにより、発光素子32にはマイナスバイアスが印加され、発光素子32はいわゆる逆バイアス状態となる。
【0090】
初期化期間が終了すると、駆動トランジスタ33の閾値電圧Vthが検出され、必要に応じて閾値電圧Vthの補正が行われる(Vth補正期間)。制御信号INIがローレベルになった後、消光信号ENがローレベルになる。これにより、スイッチトランジスタ37がオフ状態となり、スイッチトランジスタ34はオン状態となる。これにより、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流が画素容量38に流れ込み、閾値電圧Vthの補正が行われる。
【0091】
このとき、駆動トランジスタ33のゲートは、基準電圧Vrefに保持されており、駆動トランジスタ33がカットオフするまで、駆動トランジスタ33には駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流が流れる。駆動トランジスタ33がカットオフすると、駆動トランジスタ33のソースの電位はVref−Vthとなる。
【0092】
続いて、消光信号ENが再びハイレベルになり、スイッチトランジスタ34がオフ状態となる。さらに、制御信号REFがローレベルになり、スイッチトランジスタ36がオフ状態となる。これにより、画素容量38に閾値電圧Vthが保持される。
【0093】
続けて、制御信号WSがローレベルからハイレベルになる。これにより、映像信号の信号電位が画素容量38に書き込まれる。さらに、消光信号ENがハイレベルからローレベルになる。これにより、発光素子32の発光が開始する。
【0094】
以上のフレーム期間を繰り返すことで、映像信号の信号電位に応じて行列状に配置された発光素子32が順次発光し、パネル部12に映像が表示される。
【0095】
[3.制御装置の構成]
次に、制御装置20の構成について説明する。
【0096】
制御装置20は、表示パネル10の外部に配置される外部システム回路基板(図示せず)上に形成されている。制御装置20は、例えばTCON(Timing Controller)としての機能を有し、表示装置1の全体の動作を制御する。具体的には、制御装置20は、外部から供給される垂直同期信号VS、水平同期信号HS、映像期間信号DEにしたがって、ゲート駆動回路14に対して走査を指示する。また、制御装置20は、ソース駆動回路16に対して、映像信号R、G、Bのデジタルシリアルデータを供給する。
【0097】
図3に示すように、制御装置20は、データ保持部26と、同期制御部28と、デューティ制御部50とを有している。なお、制御装置20は、外部から供給される信号を受信してデータ保持部26、同期制御部28およびデューティ制御部50へ供給するレシーバー(図示せず)を備えていてもよい。
【0098】
データ保持部26は、映像信号R、G、Bを一時的に保持するバッファである。データ保持部26は、例えば100ラインのラインバッファを有している。データ保持部26は、外部から受信した一ラインごとの映像信号R、G、Bを順に保持し、所定のタイミングでソース駆動回路16に出力する。
【0099】
同期制御部28は、映像信号R、G、Bがパネル部12に表示されるタイミングを制御する制御部である。同期制御部28は、外部から垂直同期信号VS、水平同期信号HSおよび映像期間信号DEを受信し、ゲート駆動回路14およびソース駆動回路16に出力する。また、同期制御部28は、デューティ制御部50に、後述する消光期間の演算を開始するためのカウントトリガを出力する。このとき、同期制御部28は、デューティ制御部50に、映像期間、消光期間、発光期間およびその他の期間のカウントを開始するためのカウントトリガも出力してもよい。
【0100】
図4は、本実施の形態に係るデューティ制御部50の構成を示すブロック図である。デューティ制御部50は、映像信号R、G、Bが所望のタイミングでパネル部12に表示されるように、ゲート駆動回路14およびソース駆動回路16を制御する制御部である。
【0101】
図4に示すように、デューティ制御部50は、発光制御部52と、シーケンサ54とを備えている。デューティ制御部50は、シーケンサ54により、映像期間信号DEに応じて1フレーム内における発光期間と消光期間とのデューティを設定し、発光制御部52により、設定したデューティに応じて各発光素子32を発光または消光させる。
【0102】
発光制御部52は、発光素子32の発光および消光を制御する制御部である。発光制御部52は、シーケンサ54のシーケンス制御部54aから出力されるシーケンスおよびデューティ演算部54bで計算されたゲート波形生成パラメータに基づいて消光信号ENを生成し、ゲート駆動回路14に供給する。これにより、ゲート駆動回路14は、シーケンサ54から出力されるシーケンスに基づいて画素回路30のスイッチトランジスタ34に消光信号ENの供給または供給の停止を行い、各発光素子32の発光および消光を制御する。
【0103】
シーケンサ54は、シーケンス制御部54aと、デューティ演算部54bとを有している。
【0104】
シーケンス制御部54aは、外部から供給される垂直同期信号VS、水平同期信号HS、映像期間信号DEに基づいて、映像信号R、G、Bの表示タイミングを制御するシーケンスを生成する。なお、シーケンサ54には、シーケンス制御部54aおよびデューティ演算部54b以外に、例えば映像期間、消光期間、発光期間およびその他の期間の長さをカウント値として取得するカウンタが備えられていてもよい。この場合のカウンタは、例えばタイマーであり、同期制御部28から供給されたカウントトリガによりカウントを開始する。
【0105】
デューティ演算部54bは、フレームレートすなわち1フレーム期間における垂直ライン数に応じて、各フレーム期間における発光期間の長さと消光期間の長さを調整するためのゲート波形生成パラメータを算出する演算部である。デューティ演算部54bは、各フレームにおける発光期間の長さと消光期間の長さの比が一定となるように、ゲート波形生成パラメータを算出する。具体的には、デューティ演算部54bは、外部から供給される、1フレームの描画に要する最低垂直ライン数V
minおよび現フレームの垂直ライン数V
nowに基づいて、現フレームでの発光期間の長さと消光期間の長さの比を調整するためのゲート波形生成パラメータを算出する。デューティ演算部54bで算出されたゲート波形生成パラメータは、デューティ演算部54bから発光制御部52に供給される。なお、ゲート波形生成パラメータの具体的な算出については、後に詳述する。
【0106】
なお、シーケンス制御部54aで生成されるシーケンス(タイミングチャート)については、後に詳述する。
【0107】
[4.制御装置の動作]
ここで、本実施の形態に係る制御装置20の動作について説明する。
【0108】
本実施の形態に係る表示装置1は、例えば、有機EL発光パネルのプログレッシブ駆動方式により駆動される。詳細には、制御装置20は、複数の画素回路30が行列状に配置されたパネル部12に対して、初期化動作、書き込み動作、および発光動作を行順次に実行させるように制御を行う。すなわち、制御装置20の制御により、パネル部12の第1行目から最終行目まで、初期化動作、書き込み動作、および発光動作が順に行われる。この期間をフレーム期間と呼ぶ。なお、フレーム期間には、初期化動作、書き込み動作、および発光動作以外に、駆動トランジスタ33の閾値電圧Vthの検出動作等が含まれていてもよい。
【0109】
ここで、本実施の形態に係る制御装置20の動作の特徴について説明する。
図5は、本実施の形態に係る制御装置20の1フレーム期間の動作を示すフローチャートである。
図6は、本実施の形態に係る制御装置20の動作の概略を示すタイミングチャートである。なお、
図6では、パネル部12の1ライン分の画素回路30の動作を示している。
【0110】
以下の例では、オンデューティが90%である場合の動作について説明する。また、以下では、1フレーム期間(映像期間)が100パルスの水平同期信号の期間、消光期間(初期化期間)が10パルスの水平同期信号の期間、発光期間が90パルスの水平同期信号の期間であるフレーム期間を比較例として掲げ、比較例に係るフレーム期間の長さが10%延長された場合を実施例として説明する。
【0111】
図5および
図6に示すように、まず、制御装置20において、外部から垂直同期信号VSが入力されたか否かが検出される(ステップS10)。垂直同期信号VSは、外部から制御装置20の同期制御部28に供給される。同期制御部28に供給された垂直同期信号VSは、同期制御部28からデューティ制御部50に入力される。これにより(ステップS10においてYes)、映像期間が開始される。同期制御部28からデューティ制御部50に垂直同期信号VSが入力されなければ(ステップS10においてNo)、映像期間は開始されず、再度外部から制御装置20に垂直同期信号VSが入力されたか否かが検出される。
【0112】
続けて、デューティ制御部50には、外部から、各フレーム期間に含まれる垂直ライン数が通知される(ステップS11)。垂直ライン数は、垂直同期信号VSが同期制御部28に供給された直後にデューティ制御部50に通知される。通知される垂直ライン数は、1フレームの描画に要する最低垂直ライン数V
minと、現フレームの垂直ライン数V
nowである。最低垂直ライン数V
minは、例えば、FHD解像度であれば1080ライン、4KUHD解像度であれば2160ラインである。最低垂直ライン数V
minは、各フレームで共通している。
【0113】
次に、デューティ演算部54bにおいて、1フレーム期間における消光期間が計算され(ステップS12)、計算された消光期間に発光素子32を消光させるためのゲート波形生成パラメータが導出される(パラメータ導出工程)。後述するように、ゲート波形生成パラメータは、通知された1フレームの描画に要する最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとから導出される。導出されたゲート波形生成パラメータは、発光制御部52に出力される。そして、後述するステップS13〜S22において、発光制御部52は、シーケンス制御部54aで生成されたシーケンスについて、最低垂直ライン数V
minを表示する場合の消光期間および発光期間にゲート波形生成パラメータを乗算する。そして、ゲート波形生成パラメータが乗算された消光期間および発光期間に基づいて、消光信号ENが生成される(消光期間調整工程)。なお、ゲート波形生成パラメータの導出については、後に詳述する。
【0114】
また、同期制御部28から垂直同期信号VSが出力され、デューティ制御部50が垂直同期信号VSを受信すると、デューティ制御部50からゲート駆動回路14に消光信号ENが供給される。消光信号ENは、ゲート駆動回路14から画素回路30のスイッチトランジスタ34のゲートに供給される。これにより、スイッチトランジスタ34はオフ状態となり、発光素子32は消光状態となる。
【0115】
続いて、初期化期間が開始される(ステップS13)。初期化期間は、デューティ制御部50が受信する垂直同期信号VSまたは映像期間信号DEの開始タイミングに基づいて行われる。なお、初期化期間の開始タイミングは、デューティ制御部50が垂直同期信号VSを受信したときに限らず、デューティ制御部50が映像期間信号DEの入力が開始されるタイミングを検出したときであってもよい。また、デューティ制御部50が垂直同期信号VSを受信したときから所定期間が経過した後に開始してもよいし、デューティ制御部50が映像期間信号DEの入力が開始されるタイミングを検出したときから所定期間が経過した後に開始してもよい。また、初期化期間は、連続する2つのフレームに亘って設けられてもよい。
【0116】
初期化期間には、ゲート駆動回路14からパネル部12の各画素回路30に初期化のためのゲート信号が供給される。これにより、上述したように画素回路30の各トランジスタが動作し、画素回路30の初期化が行われる(初期化工程)。初期化期間では、発光素子32は消光状態となっているが、後述する
図7に示すように、ゲート信号の供給が停止されて初期化期間が終了した後次の垂直同期信号VSが供給されるまでの所定期間、発光素子32を消光状態としてもよい。
【0117】
また、制御装置20の同期制御部28には、外部から映像期間信号DEが入力される(ステップS14)。なお、映像期間信号DEの入力は、初期化期間中であってもよいし、初期化期間終了後であってもよい。ここでは、映像期間信号DEは初期化期間中に入力されるものとする。
【0118】
同期制御部28に映像期間信号DEが入力されると、映像信号の書き込みが開始される(ステップS15)。ソース駆動回路16から出力される映像信号は、映像期間信号DEが入力されると、一時的にデータ保持部26に書き込まれる(書き込み工程)。映像信号の書き込みは、映像期間信号DEが供給される期間中継続される。なお、書き込み工程が開始されるタイミングは、同期制御部28に映像期間信号DEの入力が開始されるタイミングを検出したときに限らず、デューティ制御部50が垂直同期信号VSを受信したときであってもよい。
【0119】
初期化開始から所定期間が経過し、1ライン分の画素回路30が初期化されると、初期化期間が終了する。なお、初期化期間は、初期化の際の消光期間があらかじめ設定された期間に達した時に終了するとしてもよい。このとき、デューティ演算部54bで計算された消光期間が経過しているか否かが検知される(ステップS16)。デューティ演算部54bで計算された消光期間が経過していなければ(ステップS16においてNo)、消光期間は継続される(ステップS17)。また、デューティ演算部54bで計算された消光期間が経過していれば、消光期間は終了され(ステップS16においてYes)、発光期間が開始される(ステップS18)。なお、消光期間が終了時に達しているか否かは、シーケンサ54に設けられたカウンタ(図示せず)が所定のカウント値をカウントしたか否かにより判断してもよい。
【0120】
発光期間が開始されると、データ保持部26から映像信号の読み出しが開始される(読み出し工程)。また、ゲート駆動回路14から画素回路30への消光信号ENの供給が停止されるため、スイッチトランジスタ34のゲートへの消光信号ENの供給は停止され、スイッチトランジスタ34はオン状態となる。これにより、発光素子32が発光する。
【0121】
発光素子32は、データ保持部26から読み出された映像信号に応じて、発光する。データ保持部26から読み出された映像信号は、ソース駆動回路16に供給される。ソース駆動回路16は、供給された映像信号に基づいて、パネル部12の各画素回路30の発光素子32を発光させる。これにより、パネル部12に映像信号が表示される(映像表示工程)。
【0122】
また、映像期間信号DEの供給が停止すると、データ保持部26への映像信号の書き込みは終了する(ステップS19)。
【0123】
ここで、外部から通知された現フレームの垂直ライン数が最低垂直ライン数よりも多く、延長期間が設けられている場合には(ステップS20においてYes)、発光素子32の発光は継続される(ステップS21)。
【0124】
また、延長期間が設けられていない場合には(ステップS20においてNo)、再びゲート駆動回路14から画素回路30へ消光信号ENが供給される。これにより、1フレーム期間における発光素子32の発光は終了する(ステップS22)。
【0125】
ここで、オンデューティが90%のときに、例えば、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間(映像期間)を100パルスの水平同期信号の期間、消光期間(初期化期間)を10パルスの水平同期信号の期間、発光期間を90パルスの水平同期信号の期間とする。このとき、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間が、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間の10%の期間延長されるとすると、1フレーム期間は110パルスの水平同期信号の期間となり、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合に比べて1フレーム期間は10パルスの水平同期期間分、延長されることになる。
【0126】
1フレーム期間が最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間よりも長い場合、一般的な表示装置では、延長期間は発光期間または消光期間とされるため、1フレーム期間におけるオンデューティが最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合のオンデューティと異なってしまうこととなる。例えば、
図6のゲート波形(比較例)に示すように、110パルスの1フレーム期間うちの10パルス(最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間の10%)が消光期間、100パルス(最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間の100%)が発光期間となる。この場合、1フレーム期間におけるオンデューティは、100/110=90.9%となる。これにより、1フレーム期間における発光時間が長くなるため、フリッカー現象が発生することとなる。
【0127】
これに対し、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合、本実施の形態に係る制御装置20では、上述したように、最低垂直ライン数V
minを表示する場合の消光期間および発光期間にゲート波形生成パラメータを乗算することにより、
図6のゲート波形(実施例)に示すように、110パルスの1フレーム期間うちの11パルス(最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間の11%)が消光期間、99パルス(最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間の99%)が発光期間となる。したがって、1フレーム期間におけるオンデューティは、99/110=90%となる。よって、本実施の形態に係る制御装置20によると、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合と同様のオンデューティで映像表示を行うことができるので、フリッカー現象が発生するのを抑制することができる。
【0128】
[5.ゲート波形生成パラメータの演算]
以下、ゲート波形生成パラメータの演算方法について説明する。
図7は、本実施の形態に係る制御装置20の消光期間の計算を説明するための図であり、(a)は最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合、(b)は現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合を示している。
図8は、本実施の形態に係る制御装置20において初期化期間を一定とする場合の動作の特徴を説明するための図であり、(a)は最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合、(b)は現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合を示している。なお、
図7および
図8では、パネル部12の1ライン分の画素回路30の動作を示している。
【0129】
また、
図7の(a)に示すX
min1、X
min2およびX
min3は、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の初期化期間、消光期間および発光期間を示している。また、
図7の(b)に示すX
now1、X
now2およびX
now3は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の初期化期間、消光期間および発光期間を示している。また、以下では、X
min1、X
min2およびX
min3をまとめてX
min、X
now1、X
now2およびX
now3をまとめてX
nowと示している。
【0130】
上述したように、デューティ制御部50では、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間におけるオンデューティが最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間におけるオンデューティと等しくなるように発光期間および消光期間の調整を行う。
【0131】
具体的には、発光制御部52は、最低垂直ライン数V
minの表示を行うときの消光または発光の期間(X
min)に、最低垂直ライン数V
minを表示する場合の消光期間および発光期間にゲート波形生成パラメータを乗算して重み付けをする。そして、重み付けがされた消光または発光の期間(X
now)により、発光素子32を発光させる。つまり、ゲート波形生成パラメータをP
1とすると、
X
now=P
1×X
min ・・・(式1)
により、発光素子32を発光させる。
【0132】
ここで、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合のオンデューティと現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合のオンデューティとを等しくするには、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の消光期間X
now2および発光期間X
now3を、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの比に応じて大きくすればよい。
【0133】
そこで、デューティ演算部54bは、ゲート波形生成パラメータP
1を、
P
1=X
now/X
min
=X
now2/X
min2=X
now3/X
min3
=V
now/V
min ・・・(式2)
と演算する。
【0134】
したがって、デューティ制御部50は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の消光期間X
now2を、
X
now2=P
1×X
min2
=V
now/V
min×X
min2 ・・・(式3)
と調整する。同様に、デューティ制御部50は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の発光期間X
now3を、
X
now3=P
1×X
min3
=V
now/V
min×X
min3 ・・・(式4)
と調整する。
【0135】
これにより、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合のオンデューティと現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合のオンデューティとを等しくすることができる。よって、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合と同様のオンデューティで映像表示を行うことができるので、フリッカー現象が発生するのを抑制することができる。
【0136】
具体的には、本実施の形態における制御装置20では、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の映像期間は100パルスの水平同期信号の期間、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の映像期間は110パルスの水平同期信号の期間であるので、ゲート波形生成パラメータP
1は、発光制御部52において、P
1=110/100=1.1と演算される。これにより、デューティ制御部50において、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間における発光素子32の消光または発光の期間(X
now)は、X
now=1.1×X
minにより調整される。
【0137】
以上により、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合のオンデューティと現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合のオンデューティとを等しくすることができる。
【0138】
なお、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の初期化期間X
now1は、
図8の(a)および(b)に示すように、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の初期化期間X
min1と同一(X
now1=X
min1)であってもよい。この場合でも、上述したように、消光期間X
min2および発光期間X
min3にゲート波形生成パラメータP
1を乗算した消光期間X
now2および発光期間X
now3により、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合のオンデューティと現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合のオンデューティとを等しくすることができる。また、上述した消光期間X
now2および発光期間X
now3と同様、初期化期間X
min1にもゲート波形生成パラメータP
1を乗算して重み付けをすることにより、
X
now1=P
1×X
min1
=V
now/V
min×X
min1 ・・・(式5)
としてもよい。
【0139】
また、(式2)において、ゲート波形生成パラメータP
1は、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの差分をV
diffとすると、
P
1=V
now/V
min
=(V
min+V
diff)/V
min
=1+V
diff/V
min ・・・(式6)
と表すことができる。
【0140】
したがって、デューティ制御部50は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の消光または発光の期間(X
now)を、
X
now=(V
min+V
diff)/V
min×X
min
=(1+V
diff/V
min)×X
min
=X
min+V
diff/V
min×X
min・・・(式7)
と調整することができる。
【0141】
具体的には、本実施の形態における制御装置20では、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の映像期間と最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の映像期間との差分V
diffは10パルスの水平同期信号の期間であるので、デューティ制御部50において、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間における消光または発光の期間(X
now)は、X
now=X
min+10/100×X
min=X
min+0.1×X
minと調整される。
【0142】
このように、本実施の形態にかかる制御装置20では、外部からデューティ制御部50に現フレームの垂直ライン数V
nowが供給されなくても、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの差分V
diffが供給されれば、制御装置20は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の消光または発光の期間(X
now)を調整することができる。
【0143】
なお、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の初期化期間X
now1についても、
図8の(a)および(b)に示したように、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の初期化期間X
min1と同一(X
now1=X
min1)としてもよいし、上述した消光期間X
now2および発光期間X
now3と同様、初期化期間X
min1にもゲート波形生成パラメータP
1を乗算して重み付けをすることにより、
X
now1=P
1×X
min1
=(V
min+V
diff)/V
min×X
min
=(1+V
diff/V
min)×X
min1
=X
min1+V
diff/V
min×X
min1・・・(式8)
としてもよい。
【0144】
また、映像期間は100パルスの水平同期信号の期間、消光期間(初期化期間)は10パルスの水平同期信号の期間、発光期間は90パルスの水平同期信号の期間とすることに限らず、映像期間、消光期間および発光期間は適宜変更してもよい。
【0145】
[6.効果等]
このように、本実施の形態に係る制御装置20および表示装置1によると、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合のオンデューティと現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合のオンデューティとが等しくなるように消光期間および発光期間を調整することができる。これにより、制御装置20の制御による表示装置1では、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、フリッカー現象を抑制することができる。
【0146】
なお、上述した実施の形態では、発光素子32の発光および消光の制御信号として、消光を指示する消光信号ENを用いたが、スイッチトランジスタ34の特性に応じて、発光を指示する発光信号を用いてもよい。
【0147】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について、
図9および
図10を用いて説明する。
図9は、本実施の形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図10は、本実施の形態に係る表示装置が有する発光輝度テーブルの一例を示す図である。
【0148】
本実施の形態に係る表示装置が実施の形態1に係る表示装置1と異なる点は、制御装置が備えるシーケンサ54が、あらかじめゲート波形生成パラメータが記憶されているゲート波形生成テーブルに基づいて消光および発光の期間(X
now)を制御する点である。
【0149】
図9に示すように、本実施の形態にかかる表示装置1のデューティ制御部50において、シーケンサ54は、シーケンス制御部54aと、記憶部54cとを備えている。つまり、シーケンサ54は、実施の形態1に示したシーケンサ54と比べて、デューティ演算部54bに代えて記憶部54cを備えている。なお、シーケンス制御部54aは、実施の形態1に示したシーケンス制御部54aと同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0150】
記憶部54cは、発光素子32の消光および発光の期間を制御するための制御パラメータおよび制御プログラム等が記憶されたメモリである。記憶部54cは、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の発光素子32の消光および発光の期間(X
now)を制御するときにシーケンサ54により参照されるゲート波形生成テーブル70を有している。
【0151】
図10に示すように、ゲート波形生成テーブル70には、最低垂直ライン数V
min、現フレームの垂直ライン数V
now、および、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffの組み合わせが記憶されている。また、当該組み合わせとともに、あらかじめ演算された各組み合わせに対するゲート波形生成パラメータが記憶されている。
【0152】
記憶部54cは、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowに対応するゲート波形生成パラメータをゲート波形生成テーブル70から選択し発光制御部52に出力する。発光制御部52は、記憶部54cから供給されたゲート波形生成パラメータにより、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の発光素子32の消光および発光の期間(X
now)を調整する。
【0153】
これにより、制御装置20は、既に演算されたゲート波形生成パラメータから最適なゲート波形生成パラメータを選択して、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の発光素子32の消光および発光の期間(X
now)を容易に調整することができる。
【0154】
なお、記憶部54cは、ゲート波形生成テーブル70から最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowに対応するゲート波形生成パラメータを選択してもよいし、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffに対応するゲート波形生成パラメータを選択してもよい。記憶部54cは、外部から現フレームの垂直ライン数V
nowが通知されたときには最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowに対応するゲート波形生成パラメータを選択し、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffが通知されたときには、当該差分V
diffに対応するゲート波形生成パラメータを選択してもよい。
【0155】
また、ゲート波形生成テーブル70には、
図10に示したように、最低垂直ライン数V
min、現フレームの垂直ライン数V
now、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffおよびゲート波形生成パラメータの4つのパラメータの全てが記憶されていなくてもよい。例えば、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffとゲート波形生成パラメータの3つのパラメータが記憶されているとしてもよい。
【0156】
また、記憶部54cは、最低垂直ライン数V
minごとに異なるゲート波形生成テーブルを有していてもよいし、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffの値ごとに異なるゲート波形生成テーブルを有していてもよい。
【0157】
また、ゲート波形生成テーブル70のゲート波形生成パラメータは、適宜変更されてもよい。
【0158】
また、シーケンサ54は、デューティ演算部54bに代えて記憶部54cを備えていてもよいし、デューティ演算部54bと記憶部54cの両方を備えていてもよい。この場合、シーケンサ54は、前回の発光素子32の消光および発光の期間(X
now)の調整で演算された最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowに対するゲート波形生成パラメータをゲート波形生成テーブル70に新たに記憶し、次回の発光素子32の消光および発光の期間(X
now)の調整のときに当該ゲート波形生成テーブル70からゲート波形生成パラメータを選択してもよい。
【0159】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について
図11〜
図16を用いて説明する。
【0160】
本実施の形態に係る制御装置が実施の形態1に係る制御装置と異なる点は、1フレーム期間において垂直ライン数に応じて調整された消光期間が、1フレーム期間中に分割されて映像表示が行われる点である。
【0161】
図11は、本実施の形態に係るデューティ制御部150の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、本実施の形態に係るデューティ制御部150は、シーケンサ154と、発光制御部52とを備えている。シーケンサ154は、シーケンス制御部154aと、ラインカウンタ154bと、消光期間カウンタ154cとを有している。発光制御部52およびシーケンス制御部154aの構成は、実施の形態1に示した発光制御部52と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0162】
ラインカウンタ154bは、映像表示された実際の垂直ラインの数を、1フレーム期間の開始からカウントするカウンタである。
【0163】
消光期間カウンタ154cは、発光素子32が実際に消光している期間をカウントするためのカウンタである。消光期間カウンタ154cは、例えばタイマーであり、同期制御部28から供給されたカウントトリガによりカウントを開始する。
【0164】
図12は、本実施の形態に係る制御装置20の1フレーム期間の動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1および2に係る制御装置20と同一の構成および動作については、詳細な説明を省略する。
【0165】
図12に示すように、まず、制御装置20において、外部から垂直同期信号VSが入力されたか否かが検出される(ステップS110)。同期制御部28からデューティ制御部50に垂直同期信号VSが入力されると(ステップS110においてYes)、映像期間が開始される。同期制御部28からデューティ制御部50に垂直同期信号VSが入力されなければ(ステップS110においてNo)、映像期間は開始されず、再度外部から制御装置20に垂直同期信号VSが入力されたか否かが検出される。
【0166】
続けて、デューティ制御部50には、外部から、各フレーム期間に含まれる垂直ライン数が通知される(ステップS111)。通知される垂直ライン数は、1フレームの描画に要する最低垂直ライン数V
minと、現フレームの垂直ライン数V
nowである。
【0167】
次に、シーケンス制御部154aにおいて、現フレームにおける消光期間が計算される(ステップS112)。シーケンス制御部154aは、通知された最低垂直ライン数V
minと、現フレームの垂直ライン数V
nowとオンデューティとから、現フレームにおける消光期間の長さを計算する。
【0168】
続いて、シーケンス制御部154aは、計算された現フレームの消光期間を、複数の期間に分割する計算を行う(分割工程)(ステップS113)。さらに、シーケンス制御部154aは、分割した複数の消光期間を、現フレーム内のどの位置(時間)に配置するか、配置位置の計算を行う(消光期間配置工程)(ステップS114)。ここでいう配置位置とは、時間的な配置位置である。消光期間の配置位置および長さは、垂直ライン数で設定される。つまり、1フレーム期間の開始から垂直ライン数をカウントし、消光位置として設定された垂直ライン数がカウントされた時間に消光期間を開始する。また、消光期間の開始から所定の垂直ライン数がカウントされた時間に消光期間を終了し、発光期間を開始する。
【0169】
シーケンス制御部154aは、分割した複数の消光期間の配置位置および長さに基づいて、上述したように垂直ライン数で設定されるシーケンスを生成する。さらにシーケンサ154は、生成したシーケンスを発光制御部52に出力する(消光期間調整工程)。
【0170】
発光制御部52は、シーケンス制御部54aで生成されたシーケンスに基づいて、消光信号ENを生成する。消光信号ENは、消光期間を開始するための信号である。
【0171】
ここで、上述したようにデューティ制御部50が垂直同期信号VSを受信し1フレーム期間が開始されると、シーケンサ154のラインカウンタ154bは、1フレーム期間の開始からの垂直ライン数をカウントする(ステップS115)。そして、カウントした垂直ライン数がシーケンサ154で設定された消光位置に達すると(ステップS116においてYes)、消光信号ENがデューティ制御部50からゲート駆動回路14を介して画素回路30に供給される。これにより、画素回路30のスイッチトランジスタ34はオフ状態となるため、発光素子32は消光状態となり、消光期間が開始する(ステップS117)。
【0172】
また、カウントした垂直ライン数がシーケンサ154で設定された消光位置に達していなければ(ステップS116においてNo)、消光信号ENは画素回路30に供給されず、ラインカウンタ154bは再び垂直ライン数をカウントする(ステップS115)。
【0173】
消光期間には、画素回路30の初期化が行われる。また、同期制御部28に映像期間信号DEが入力されると、映像信号が一時的にデータ保持部26に書き込まれ、読み出される。なお、映像期間信号DEの入力は、消光期間中であってもよいし、初期化期間の終了後にも継続して行われてもよい。また、データ保持部26に映像信号の書き込みを開始するタイミングは、同期制御部28に映像期間信号DEが入力されたときに限らず、デューティ制御部50が垂直同期信号VSを受信したときであってもよい。
【0174】
また、消光期間が開始すると、消光期間カウンタ154cにより、実際の消光期間がカウントされる(ステップS118)。カウントされた消光期間が設定された消光期間に達していなければ(ステップS119においてNo)、消光期間は継続される(ステップS120)。
【0175】
また、カウントされた消光期間が設定された消光期間に達すると(S119)、消光期間は終了し、発光期間が開始される(ステップS121)。つまり、画素回路30への消光信号ENの供給が停止されるため、画素回路30のスイッチトランジスタ34はオン状態となる。これにより、発光素子32が発光する。
【0176】
発光素子32は、データ保持部26から読み出された映像信号に応じて、発光する。データ保持部26から読み出された映像信号は、ソース駆動回路16に供給される。ソース駆動回路16は、供給された映像信号に基づいて、パネル部12の各画素回路30の発光素子32を発光させる。これにより、パネル部12に映像信号が表示される。
【0177】
さらに、分割された全ての消光期間が終了するまで以上の工程が繰り返され(映像表示工程)(ステップS122においてNo)、分割された全ての消光期間が終了すると(ステップS122においてYes)、1フレーム期間が終了する。
【0178】
ここで、本実施の形態に係る制御装置20の動作の特徴について説明する。
図13は、本実施の形態に係る制御装置20の動作の特徴を説明するための図である。
図13の(a)は、比較例1に係る制御装置により映像表示を行う場合であり、フレームレートすなわち1フレーム期間における垂直ライン数が変更されても消光期間の長さを一定とする場合の映像表示状態(発光または消光)を示している。
図13の(b)は、比較例2に係る制御装置により映像表示を行う場合であり、フレームレートが変更されると消光期間の長さを変更する場合の映像表示状態を示している。
【0179】
一般に、1フレーム期間における消光期間は、例えばフレームの先頭または末尾等の1か所に統合して配置される。この場合、
図13の(a)に比較例1として示すように、フレームレートが変更されても消光期間の長さを一定とする場合、フレームレートが遅くなると発光期間が長くなるため、画面にちらつきが生じるフリッカー現象が発生することとなる。
【0180】
また、
図13の(b)に比較例2として示すように、フレームレートが変更されると消光期間の長さを変更する場合、1フレーム期間に合わせて消光期間を長くすることにより、フレームごとのオンデューティを一定にすることができる。しかし、
図13の(b)に示すように、例えばフレームレートが30Hzと低くなると、消光期間が長くなるため、これにより、画面にちらつきが生じるフリッカー現象が発生することとなる。
【0181】
これに対し、本実施の形態に係る制御装置20では、消光期間は、1フレーム期間において複数の期間に分割され、1フレーム期間の先頭または末尾に限らず1フレーム期間内の複数の配置位置に分散して配置される。ここで、1フレーム期間における消光期間の位置を、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間における消光期間の位置と同一の位置に配置することで、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を、疑似的に最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合と同等のフレームレートで映像表示しているように見せることができる。これにより、フレームレートが変更されても画面にちらつきは生じず、フリッカー現象の発生を抑制することができる。
【0182】
以下、消光期間の分割について、詳細に説明する。
図14は、本実施の形態に係る制御装置20における消光期間の分割を説明するための図であり、(a)は最低垂直ライン数の映像表示、(b)は消光期間の計算、(c)は消光期間の分割の計算、(d)は消光期間の配置位置の計算、(e)はゲート信号の波形の説明である。
【0183】
図14の(a)は、フレームレートが120Hz(最低垂直ライン数)の映像表示を行う場合の発光期間と消光期間を示している。このときの消光期間を標準消光期間とすると、フレームレートが50Hzの映像表示を行う場合に、フレームレートに合わせて消光期間を長くするように消光期間を計算すると(
図12におけるステップS112)、消光期間は、
図14の(b)に示すように、標準消光期間の2.4倍(=120/50)と計算される。したがって、消光期間の長さが標準消光期間に対して大幅に長くなるため、フリッカー現象が発生する。
【0184】
そこで、
図14の(c)に示すように、消光期間を複数の期間に分割する計算を行う(
図12におけるステップS113)。例えば、標準消光期間の2.4倍の消光期間を、標準消光期間と同一の長さの2つの期間と残りの期間(標準消光期間の0.4倍)との3つの期間に分割するように計算する。
【0185】
また、
図14の(d)に示すように、分割した3つの期間を1フレーム期間の複数の位置に配置する。例えば、
図14の(d)に示すように、標準消光期間と同一の長さの期間の1つを、フレームレートが120Hzの場合の消光期間と同一の位置に配置するように、配置位置を計算する(
図12におけるステップS114)。また、標準消光期間と同一の長さのもう1つの消光期間を、フレームレートの最後に配置する。また、標準消光期間の0.4倍の長さの消光期間を、最初の消光期間の終了時からさらにフレームレートが120Hzの場合の消光期間と同一の位置に配置する。なお、フレーム期間の最後に配置された消光期間では画素回路30の初期化を行うため、一定の消光期間を確保する必要があり、標準消光期間の長さの消光期間を配置している。フレーム期間の最後に配置された消光期間に初期化期間を含めることにより、次のフレーム期間における映像表示を適切に行うことができる。なお、画素回路30の初期化を行う消光期間は、フレーム期間の最後に限らず、他の位置であってもよい。この場合、フレーム期間において、初期化を行う位置に標準消光期間の長さの消光期間を配置するとよい。
【0186】
さらに、
図14の(e)に示すように、分割および配置された消光期間に合わせて、デューティ制御部50においてゲート波形を生成する。
【0187】
これにより、50Hzのフレームレートの映像表示を、疑似的に120Hzのフレームレートで映像表示しているように見せかけることができる。
【0188】
また、
図15は、本実施の形態に係る制御装置20の動作の特徴を説明するための図であり、(a)は最低垂直ライン数(フレームレート120Hz)の映像表示を行う場合、(b)は現フレームの垂直ライン数(フレームレート30Hz)の映像表示を行う場合である。
図15の(a)および(b)に示すように、フレームレート30Hzの映像表示を行う場合、フレームレート120Hzの映像表示を4回行っているように見せかけることができる。
【0189】
このように、最低垂直ライン数が現フレームの垂直ライン数の倍数である場合には、消光期間を標準消光期間で等分割することができるので、現フレームの垂直ライン数の映像表示を、違和感なく最低垂直ライン数で映像表示しているように見せかけることができる。
【0190】
図16は、本実施の形態に係る制御装置において、フレームレートを変更したときの映像表示を説明するための図である。
図16に示すように、消光期間の分割は、上述したように、フレームレート30Hzおよび50Hzの場合に限らず、他のフレームレートのときに行ってもよい。また、最低垂直ライン数が現フレームの垂直ライン数の倍数である場合に限らず、最低垂直ライン数が現フレームの垂直ライン数の倍数でない場合であっても、フレーム期間において消光期間を分割して配置し、例えば消光期間を標準消光期間よりも短くすることにより、フリッカー現象を抑制することができる。
【0191】
(変形例1)
図17は、実施の形態1の変形例1に係る画素回路130の構成を示す回路図である。本変形例にかかる画素回路130が実施の形態に示した画素回路30と異なる点は、スイッチトランジスタ34および36を備えていない点である。
【0192】
図17に示すように、画素回路130は、発光素子32と、駆動トランジスタ33と、選択トランジスタ35と、スイッチトランジスタ37と、画素容量38とを有している。発光素子32、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ37、画素容量38の構成は、実施の形態に示した画素回路30の発光素子32、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ37、画素容量38と同様である。
【0193】
ここで、画素回路130は、スイッチトランジスタ34を備えていないので、発光素子32の発光は、消光信号ENにより一括で行われるのではなく、スイッチトランジスタ37により行われる。
【0194】
このとき、ゲート駆動回路14からスイッチトランジスタ37のゲートに制御信号AZが印加され、スイッチトランジスタ37がオン状態になると、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流は、スイッチトランジスタ37へ流れ、発光素子32には流れない。よって、発光素子32は消光する。また、スイッチトランジスタ37のゲートへの制御信号AZの印加が停止され、スイッチトランジスタ37がオフ状態になると、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流は発光素子32に流れる。これにより、発光素子32は発光する。
【0195】
また、画素回路130は、スイッチトランジスタ36を備えていないので、初期化動作は、スイッチトランジスタ35とスイッチトランジスタ37により行われる。
【0196】
このような構成を有する画素回路130を備える表示パネルであっても、実施の形態に示した表示装置1と同様、フリッカー現象を抑制することができる。
【0197】
(変形例2)
図18は、実施の形態1の変形例2に係る画素回路230の構成を示す回路図である。本変形例に係る画素回路230が実施の形態に示した画素回路30と異なる点は、スイッチトランジスタ34を備えていない点である。
【0198】
図18に示すように、画素回路230は、発光素子32と、駆動トランジスタ33と、選択トランジスタ35と、スイッチトランジスタ36および37と、画素容量38とを有している。発光素子32、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ36および37、画素容量38の構成は、実施の形態に示した画素回路30の発光素子32、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ37、画素容量38と同様である。
【0199】
ここで、画素回路230は、スイッチトランジスタ34を備えていないので、発光素子32の発光は、消光信号ENにより一括で行われるのではなく、スイッチトランジスタ37により行われる。
【0200】
このとき、ゲート駆動回路14からスイッチトランジスタ37のゲートに制御信号INIが印加され、スイッチトランジスタ37がオン状態になると、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流は、スイッチトランジスタ37へ流れ、発光素子32には流れない。よって、発光素子32は消光する。また、スイッチトランジスタ37のゲートへの制御信号INIの印加が停止され、スイッチトランジスタ37がオフ状態になると、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流は発光素子32に流れる。これにより、発光素子32は発光する。
【0201】
このような構成を有する画素回路230を備える表示パネルであっても、実施の形態に示した表示装置1と同様、フリッカー現象を抑制することができる。
【0202】
(その他の実施の形態)
なお、本発明は、上述した実施の形態および変形例に記載した構成に限定されるものではなく、適宜変更を加えてもよい。
【0203】
例えば、ゲート波形生成パラメータは、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間と現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間との比としてもよいし、最低垂直ライン数V
minのときの発光期間と現フレームの垂直ライン数V
nowのときの発光期間との比としてもよい。
【0204】
また、消光期間の調整は、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowを用いて調整してもよいし、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの差分V
diffを用いて調整してもよい。
【0205】
また、ゲート波形生成パラメータは、演算により求めてもよいし、あらかじめパラメータが演算され記憶されたゲート波形生成テーブルから選択してもよい。
【0206】
また、シーケンサの構成は、上述した構成に限らず、例えば、消光期間をカウントするカウンタのみに限らず、映像期間をカウントするカウンタ、発光期間をカウントするカウンタ等を有していてもよい。また、これらのカウンタを1つのカウンタで兼用してもよい。また、シーケンサは、上述した実施の形態に示したデューティ演算部、記憶部、ラインカウンタ、消光カウンタの全てを有していてもよいし、これらの一部を有していてもよい。
【0207】
また、最低垂直ライン数が現フレームの垂直ライン数の倍数である場合に限らず、最低垂直ライン数が現フレームの垂直ライン数の倍数でない場合であっても行ってもよい。
【0208】
また、分割された消光期間の配置位置は、上述したように最低垂直ライン数の映像表示の場合の消光期間の位置に合わせなくても、他の位置に配置してもよい。
【0209】
また、ゲート駆動回路は、パネル部の短辺の一辺に配置されてもよいし、パネル部の対向する短辺の二辺に配置されてもよい。同様に、ソース駆動回路は、パネル部の長辺の一辺に配置されてもよいし、パネル部の対向する長辺の二辺に配置されてもよい。
【0210】
また、制御装置20におけるフレーム期間の開始は、垂直同期信号VSの供給にもとづいてもよいし、映像期間信号DEの入力開始タイミング、すなわち、垂直同期信号VSの供給以降に入力される映像期間信号DEの入力が開始されるタイミングを基準にしてもよい。
【0211】
また、初期化期間において、発光素子32を消光させるためのEN信号は、スイッチトランジスタ34に必ずしも供給されなくてもよい。つまり、初期化期間において、スイッチトランジスタ34は必ずしもON状態(非導通状態)およびOFF状態(導通状態)を繰り返さなくてもよく、常にOFF状態であってもよい。また、スイッチトランジスタ34は、Dutyを生成するためにのみ、ON状態またはOFF状態に変更されてもよい。
【0212】
また、データ保持部は、上述したように、ラインバッファであってもよいし、他のバッファまたは記憶装置等であってもよい。
【0213】
また、発光素子は、有機EL素子に限らず、LED等の他の発光素子であってもよい。発光素子のオンデューティは上述した90%に限らず、適宜変更してもよい。
【0214】
また、発光素子の発光および消光の制御信号には、消光を指示する消光信号ENを用いてもよいし、各トランジスタの特性に応じて、発光を指示する発光信号を用いてもよい。
【0215】
また、表示装置において、画素回路の構成は、上述した実施の形態および変形例に示した構成に限らず、変更してもよい。例えば、駆動トランジスタ、選択トランジスタおよび画素容量を備える構成であれば、他のスイッチトランジスタの配置は適宜変更してもよい。また、画素回路に設けられる複数のトランジスタは、ポリシリコンTFTであってもよいし、アモルファスシリコンTFT等他のトランジスタで構成されていてもよい。また、トランジスタの導電型はNチャネル型であってもよいしPチャネル型であってもよいし、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0216】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上述の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上述の実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。例えば、本発明にかかる制御装置を備えた表示装置の一例として、
図12に示すような薄型のフラットテレビシステム100、表示パネルが搭載されたゲーム機、PC用モニタシステムも本発明に含まれる。