(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6767958
(24)【登録日】2020年9月24日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20060101AFI20201005BHJP
G02B 7/08 20060101ALI20201005BHJP
G02B 7/02 20060101ALI20201005BHJP
G03B 17/02 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/08 B
G02B7/02 C
G02B7/02 E
G03B17/02
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-196869(P2017-196869)
(22)【出願日】2017年10月10日
(65)【公開番号】特開2019-70735(P2019-70735A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2018年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】316006783
【氏名又は名称】新思考電機有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】萩原 一嘉
【審査官】
三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−226234(JP,A)
【文献】
特開2011−145426(JP,A)
【文献】
特開2016−122044(JP,A)
【文献】
特開2000−275494(JP,A)
【文献】
特開2008−129111(JP,A)
【文献】
特開2015−219410(JP,A)
【文献】
特開2010−204403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを支持するためのレンズ支持体と、
前記レンズ支持体の周囲を囲む外周壁を有するベースと前記ベースの周囲を囲むカバーとを含む枠体と、
前記枠体に対して前記レンズ支持体を前記レンズの光軸方向に移動自在に支持する支持機構と、を有し、
前記支持機構は、前記ベースに一端が支持された支持部と、前記レンズ支持体に設けられた案内部と、を有し、
前記支持部は、前記レンズの光軸方向に延びており、前記レンズの光軸方向と直交する断面において、前記支持部が前記案内部の少なくとも2点で接触し、
さらに前記枠体に設けられたコイルと、
前記コイルに対向し、前記レンズ支持体に設けられた磁石と、
前記コイルを挟んで前記磁石に対向するように前記枠体に設けられた磁性部材と、を有し、
前記磁性部材は、前記磁性部材の内周面が前記ベースの前記外周壁に固定されているとともに、前記カバーの内周面が前記磁性部材の外周面に密着しており、
前記支持部の他端は、前記ベースの前記外周壁と前記カバーの前記内周面によって前記内周面及び前記外周面の両面が挟持された前記磁性部材によって支持されているレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記支持部側へ突出する曲面状の突出部を有し、この突出部が前記支持部に接触する請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記支持部及び案内部は、第1支持部及び第1案内部と、前記第1支持部及び第1案内部から前記レンズの光軸方向と直交する方向に離れて設けられた第2支持部及び第2案内部から構成されている請求項1又は2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記第1支持部及び第1案内部は、前記コイル及び前記磁石の一方側に設けられ、前記第2支持部及び前記第2案内部は、前記コイル及び前記磁石の他方側に設けられている請求項3記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記第1案内部は、前記レンズの光軸方向に離れ、前記第1支持部に接触する第1接触部及び第2接触部を有し、前記第2案内部は、前記レンズの光軸方向において、前記第1接触部と第2接触部との間で前記第2支持部に接触する第3接触部とを有する請求項4記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記磁石は、前記第1接触部、前記第2接触部及び前記第3接触部で構成される三角形の重心を含む位置に配置されている請求項5記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記第1支持部は、前記第1支持部の外面の少なくとも一部が180°以上の少なくも円の一部を有し、前記第1案内部に少なくとも180°以上接触し、前記第2支持部は、前記第2案内部の少なくとも2点で接触する請求項3から6いずれか記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
レンズを支持するためのレンズ支持体と、
前記レンズ支持体の周囲を囲む枠体と、
前記枠体に対して前記レンズ支持体を前記レンズの光軸方向に移動自在に支持する支持機構と、を有し、
前記支持機構は、前記枠体に設けられた支持部と、前記レンズ支持体に設けられた案内部と、を有し、
前記支持部は、前記レンズの光軸方向に延びており、前記レンズの光軸方向と直交する断面において、前記支持部が前記案内部の少なくとも2点で接触しており、
前記支持部は、前記枠体から延びるリブを介して支持され、前記リブは、複数の支持部に設けられ、該複数のリブは、前記レンズの光軸方向と直交する方向で異なる方向に向けられているレンズ駆動装置。
【請求項9】
前記支持部及びリブは、前記枠体と一体に形成されている請求項8記載のレンズ駆動装置。
【請求項10】
請求項1から9いずれか記載のレンズ駆動装置と、前記レンズ支持体に支持されたレンズとを有するカメラ装置。
【請求項11】
請求項10に記載の前記カメラ装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォン等の電子機器には、小型カメラが搭載されている。この種の小型カメラとして、例えば特許文献1〜3に示すように、オートフォーカス機能を備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−86949号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0053784号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0253003号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜3においては、レンズを支持するためのレンズ支持体と、このレンズ支持体の周囲に設けられた枠体とを有し、レンズ支持体を枠体に対して移動自在に支持するため、複数のボールが用いられている。また、従来のレンズ駆動装置は、磁石と、この磁石に対向して磁性部材が設けられ、磁石と磁性部材との間の吸引力により、ボールをレンズ支持体と枠体との間に挟むようにしてある。
【0005】
しかしながら、例えば落下等により、磁石と磁性部材との間に吸引力以上の力がかかると、レンズ支持体がボールから離れ、その後再びレンズ支持体がボールに当たり、ボールが点接触する枠体は衝撃を受け、ボールが当たった部分が凹んだり、亀裂が生じたりし、レンズ支持体のスムーズな移動が確保できなくなるおそれがあるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、レンズ支持体のスムーズな移動を確保することができるレンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様はレンズ駆動装置であり、このレンズ駆動装置は、レンズを支持するためのレンズ支持体と、前記レンズ支持体の周囲を囲む
外周壁を有するベースと前記ベースの周囲を囲むカバーとを含む枠体と、前記枠体に対して前記レンズ支持体を前記レンズの光軸方向に移動自在に支持する支持機構と、を有し、前記支持機構は、前記
ベースに一端が支持された支持部と、前記レンズ支持体に設けられた案内部と、を有し、前記支持部は、前記レンズの光軸方向に延びており、前記レンズの光軸方向と直交する断面において、前記支持部が前記案内部の少なくとも2点で接触
し、さらに前記枠体に設けられたコイルと、前記コイルに対向し、前記レンズ支持体に設けられた磁石と、前記コイルを挟んで前記磁石に対向するように前記枠体に設けられた磁性部材と、を有し、前記磁性部材は、前記磁性部材の内周面が前記ベースの前記外周壁に固定されているとともに、前記カバーの内周面が前記磁性部材の外周面に密着しており、前記支持部の他端は、前記ベースの前記外周壁と前記カバーの前記内周面によって前記内周面及び前記外周面の両面が挟持された前記磁性部材によって支持されている。
【0008】
好適には、前記案内部は、前記支持部側へ突出する曲面状の突出部を有し、この突出部が前記支持部に接触する。
【0009】
また、好適には、前記支持部及び案内部は、第1支持部及び第1案内部と、前記第1支持部及び第1案内部から前記レンズの光軸方向と直交する方向に離れて設けられた第2支持部及び第2案内部から構成されている。
【0010】
また、好適には
、前記第1支持部及び第1案内部は、前記コイル及び前記磁石の一方側に設けられ、前記第2支持部及び前記第2案内部は、前記コイル及び前記磁石の他方側に設けられている。
【0011】
また、好適には、前記第1案内部は、前記レンズの光軸方向に離れ、前記支持部に接触する第1接触部及び第2接触部を有し、前記第2案内部は、前記レンズの光軸方向において、前記第1接触部と第2接触部との間で前記第2支持部に接触する第3接触部とを有する。
【0012】
また、好適には、前記磁石は、前記第1接触部、前記第2接触部及び前記第3接触部で構成される三角形の重心を含む位置に配置されている。
【0013】
また、好適には、前記第1支持部は、前記第1支持部の外面の少なくとも一部が180°以上の少なくも円の一部を有し、前記第1案内部に少なくとも180°以上接触し、前記第2支持部は、前記第2案内部の少なくとも2点で接触する。
【0015】
本発明の別の態様はレンズ駆動装置であり、このレンズ駆動装置は、レンズを支持するためのレンズ支持体と、前記レンズ支持体の周囲を囲む枠体と、前記枠体に対して前記レンズ支持体を前記レンズの光軸方向に移動自在に支持する支持機構と、を有し、前記支持機構は、前記枠体に設けられた支持部と、前記レンズ支持体に設けられた案内部と、を有し、前記支持部は、前記レンズの光軸方向に延びており、前記レンズの光軸方向と直交する断面において、前記支持部が前記案内部の少なくとも2点で接触しており、前記支持部は、前記枠体から延びるリブを介して支持され
、前記リブは、複数の支持部に設けられ、該複数のリブは、前記レンズの光軸方向と直交する方向で異なる方向に向けられている。
【0016】
また、好適には、前記支持部及びリブは、前記枠体と一体に形成されている。
【0024】
本発明の他の態様はカメラ装置であり、このカメラ装置は、前記レンズ駆動装置と、前記レンズ支持体に支持されたレンズとを有する。
【0025】
本発明の他の態様は電子機器であり、この電子機器は、前記カメラ装置を有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、支持部をレンズの光軸方向に延びるように構成し、支持体の光軸方向と直交する断面において、支持部が案内部の少なくとも2点で接触するようにしたので、レンズの光軸方向と直交する方向のレンズ支持体が受ける衝撃を少なくし、レンズ支持体のスムーズな移動を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るカメラ装置を示し、斜め上方から見た分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るカメラ装置を示し、斜め下方から見た分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るカメラ装置を示し、平面で切った断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るカメラ装置を示し、
図3のA−A線断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るカメラ装置を示し、
図3のB−B線断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るカメラ装置を示し、
図3のC−C線断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るカメラ装置を示し、
図3のD−D線断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るカメラ装置を示し、枠体を除いた側面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るカメラ装置を示し、平面で切った断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るカメラ装置を示し、
図9のE−E線断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るカメラ装置を示し、
図9のF−F線断面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係るカメラ装置を示し、
図9のG−G線断面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係るカメラ装置に用いたベースを示す斜視図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係るカメラ装置を示し、斜め上方から見た分解斜視図である。
【
図15】本発明の第3実施形態に係るカメラ装置を示し、斜め下方から見た分解斜視図である。
【
図16】本発明の第3実施形態に係るカメラ装置を示し、平面で切った断面図である。
【
図17】本発明の第3実施形態に係るカメラ装置を示し、
図16のH−H線断面図である。
【
図18】本発明の第3実施形態に係るカメラ装置を示し、
図16のI−I線断面図である。
【
図19】本発明の第3実施形態に係るカメラ装置を示し、
図16のJ−J線断面図である。
【
図20】本発明の第3実施形態に係るカメラ装置を示し、レンズ及びカバーを除いた斜視図である。
【
図21】本発明の第3実施形態に係るカメラ装置を示し、
図20のK部分を示す拡大斜視図である。
【
図22】本発明の第3実施形態に係るカメラ装置に用いた調整手段を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1乃至
図8は、本発明の第1実施形態に係るカメラ装置10を示す。カメラ装置10は、レンズ駆動装置12と、このレンズ駆動装置12に装着されたレンズ14とを有する。
【0030】
レンズ駆動装置12は、移動部材であるレンズ支持体16と、固定部材である枠体18を有する。枠体18は、ベース20と、カバー22とを有する。ベース20及びカバー22はそれぞれ樹脂又は非磁性の金属から構成され、上方から見て方形状であり、ベース20の外側にカバー22が嵌め込まれて枠体18が構成されている。また、ベース20及びカバー22には、光を通過させ、或はレンズ14を挿入するための通孔24,26が形成されている。
なお、この明細書においては、便宜上、レンズ14の光軸方向をZ方向、光軸方向と直交する方向をX方向、並びにZ方向及びX方向と直交する方向をY方向と称する。また、光軸の被写体側を上側、その反対側で図示しない画像センサが配置される側を下側と称する。
【0031】
レンズ支持体16は樹脂製で、このレンズ支持体16の周囲が枠体18に囲まれている。このレンズ支持体16の内側にはZ方向から見て円形のレンズ取付け用孔28が形成され、このレンズ取付け用孔28にレンズ14が取り付けられている。
【0032】
また、ベース20の一つの側面には開口30が形成されている。この開口30を囲むようにフレキシブルプリント基板32がベース20の外側に配置されている。フレキシブルプリント基板32の内面には、中央にコイル34が、該コイル34の左右いずれか一方に位置検出器36がそれぞれ固定されている。コイル34は、フレキシブルプリント基板32を介して電流が供給されるように接続されている。また、コイル34は、+X方向と−X方向に電流が流れるように、直線部と半円部から構成されている。位置検出器36は、例えばホール素子とこのホール素子を駆動する駆動回路とから構成されている、この位置検出器36は、後述する磁石42からの磁束密度の変化によりレンズ支持体16のZ方向の位置を検出する。コイル34及び位置検出器36は、開口30を介してベース20の内側に臨むようになっている。
【0033】
また、フレキシブルブルプリント基板32の外側には、磁性体からなる磁性部材38が配置されている。この磁性部材38がフレキシブルプリント基板32を挟んでベース20に固定されている。
【0034】
一方、開口30に対向するレンズ支持体12の側面には、磁石固定用溝40が形成されている。この磁石固定用溝40に磁石42が挿入固定されている。この磁石42は、X方向に長い長方形状に形成され、Z方向にN極とS極が配置されている。この磁石42にコイル34及び位置検出器36がY方向で対向している。さらに磁石42は、フレキシブルプリント基板32及びコイル34を挟んで磁性部材38に対向している。磁石42と磁性部材38のY方向の吸引力により、磁石42を固定しているレンズ支持体12は、磁性部材32を固定しているベース20にY方向で引き寄せられる。
【0035】
レンズ支持体16は、枠体18に対してZ方向に移動自在であるように支持機構44により支持されている。支持機構44は、枠体18に設けられた第1支持部46と第2支持部48、及びレンズ支持体16に設けられた第1案内部50と第2案内部52とから構成されている。第1支持部46と第1案内部50が組み合わされ、第2支持部48と第2案内部52が組み合わされる。
【0036】
第1支持部46及び第2支持部48は、例えばセラミック、金属又は樹脂から成り、この第1実施形態にあっては、Z方向へ延びる円柱として構成されている。また、第1支持部46及び第2支持部48は、磁石42側の側面内側にあって、X方向に隔ててそれぞれベース20の角部近傍に設けられている。
なお、第1支持部46及び第2支持部48は、XY方向断面において、円形としたが、円形の一部であってもよいし、円形以外に楕円や多角形状であってもよい。
【0037】
即ち、
図5乃至
図7に示すように、ベース20の通孔24の周囲には底面部54が形成され、この底面部54の内側に円筒状の溝として形成された下側固定部56,56が両側に設けられ、この下側固定部56,56に第1支持部46及び第2支持部48の下端が挿入固定されている。また、前述した磁性部材38の上端はX方向両端でY方向に折り曲げられて上側固定部58,58が形成され、この上側固定部58,58に形成された挿入孔60,60に第1支持部46及び第2支持部48の上端が挿入固定されて、第1支持部46及び第2支持部48が枠体18に固定されている。この第1実施形態においては、磁性部材38が第1支持部46及び第2支持部48の支持機能を兼ねており、別体に支持する部品を設ける場合と比較して部品点数を少なくすることができ、また第1支持部46及び第2支持部48を安定して支持することができる。
【0038】
なお、上記実施形態においては、第1支持部46及び第2支持部48を下側固定部56,56及び磁性部材38の挿入孔60,60に挿入固定するようにしたが、下側固定部56,56又は挿入孔60,60を若干大きく形成し、第1支持部46及び第2支持部48の少なくとも一方を下側固定部56,56又は挿入孔60,60に対して若干の隙間を設け、第1支持部46又は第2支持部48の位置ずれが生じた場合に対応できるようにしてもよい。また、下側固定部56,56又は上側固定部58,58に弾性を持たせるようにしてもよい。
【0039】
第1案内部50は、
図5及び
図6に示すように、Z方向に隔てられた第1接触部62と第2接触部64とを有する。この第1実施形態においては、
図3に示すように、第1接触部62と第2接触部64とは円形の孔として形成され、第1支持部46の外面とは、第1支持部46のXY方向の断面において、360度周方向に接触するようになっている。
【0040】
第2案内部52は、
図3に示すように、XY方向の断面において、Y方向で対向する2つの壁面から構成されている。この第2案内部52は、
図7に示すように、両側の壁面が第2支持部48側へ曲面状に突出する突出部66,66が形成されている。この突出部66,66の中央が第2支持部48に接触する第3接触部68となっており、この第3接触部68が第2支持部48にY方向2点で接触し、摩擦抵抗を小さくしてある。
図8に示すように、この第3接触部68は、Z方向において第1接触部62と第2接触部64の間(この実施形態においては、第1接触部62と第2接触部64の中央)に位置している。
【0041】
第1接触部62、第2接触部64及び第3接触部68の3点でレンズ支持体16を支持している。このため、第1支持部46及び第2支持部48に若干位置ずれが生じた場合でも対応しやすい。また、
図8において、2点鎖線で示しように、第1接触部62、第2接触部64及び第3接触部68は、仮想の三角形70(この実施形態においては2等辺三角形)を構成している。この三角形70の重心のZ方向の位置は、磁石42のZ方向の中心近傍にある。後述するように、コイル34に電流を流した場合のローレンツ力は磁石42に作用するので、磁石42が第1接触部62、第2接触部64及び第3接触部68で構成する三角形の重心位置を含むように配置することにより、第1支持部46と第2支持部48に傾かせる方向の力がかかるのを小さくし、レンズ支持体16をスムーズに移動させることができる。
【0042】
レンズ支持体16は、
図1及び
図3に示すように、Y方向で反磁石側に2つの噛合い部72,72がZ方向へ直線状に延びるように形成されている。また、ベース20には、噛合い部72,72の間で噛み合うように被噛合い部74がZ方向へ直線状に延びるように形成されている。噛合い部72,72と被噛合い部74によって、光軸回りの不要な回転を防止できる。噛合い部72,72の間のベース20の端面と被噛合い部74との間は、Y方向において、若干の隙間が設けられている。第1支持部46及び第2支持部48は、第1案内部50及び第2案内部52にY方向で少なくとも2点での接触を維持するので、レンズ支持体16は外部から衝撃を受けてもほとんど移動しない。また、第1支持部46及び第2支持部48はZ方向へ延びているので、レンズ支持体16が枠体18側へ戻るように移動しても局所的な力によってダメージを受けるのを防止することができる。
【0043】
上記構成において、Y方向の磁束が介在する磁石42と磁性部材38の間に配置されているコイル34に通電すると、コイル34にはX方向の電流が流れ、フレミングの左手の法則によりコイル34にはZ方向へのローレンツ力が作用する。コイル34はベース20に固定されているので、磁石42に働くその反作用がレンズ支持体16に対する駆動力となってレンズ支持体16は、支持機構44に支持されながらZ方向へ移動する。
【0044】
なお、駆動力Fとすると、駆動力Fは、F>(μ1×N1+μ2×N2)+Wとすることで対応することができる。ここで、N:磁石による吸着力(N=N1+N2) 、μ1:第1支持部と第1案内部との摩擦係数、μ2:第2支持部と第2案内部との摩擦係数W:移動部材(レンズ及びレンズ支持体)の総重量とする。
【0045】
コイル34への通電を中止すると、磁石42の吸引力及び第1支持部46と第1案内部50、及び第2支持部48と第2案内部52の摩擦により、レンズ支持体16は通電を中止した位置に止まる。
【0046】
ここで、カメラ装置10が例えば−Y方向に衝撃を受けたとする。−Y方向の衝撃を受けると、レンズ支持体16は、磁石42の吸引力に抗して+Y方向に移動しようとする。しかしながら、レンズ支持体16は、第1案内部50及び第2案内部52が第1支持部46及び第2支持部48から離れずにY方向での接触を維持するので、外部から衝撃を受けてもほとんど移動しない。衝撃を受けた後、レンズ支持体16は、磁石42による吸引力により−Y方向へ戻ろうとする力が働く。ここでもレンズ支持体16は、第1案内部50及び第2案内部52が第1支持部46及び第2支持部48とのY方向での接触を維持するので、外部から衝撃を受けてもほとんど移動しない。
【0047】
ここで、第1案内部50又は第2案内部52に微小変形が起こったとしても、第1支持部46及び第2支持部48がZ方向に延びている形状となっているので、第1支持部46及び第2支持部48には、局部的ではなくZ方向に沿って連続的な力が作用することになるので、レンズ支持体16の往復動作等での急激な動作変化が起きない。
【0048】
図9乃至
図13は、本発明の第2実施形態に係るカメラ装置10を示す。
【0049】
この第2実施形態は、前述した第1実施形態と比較すると、第1支持部46及び第2支持部48をベース20と一体に形成し、さらにリブ76,76により補強した点が異なる。
【0050】
即ち、第1支持部46及び第2支持部48は、該第1支持部46及び第2支持部48の下端がベース20底面部54からベース20と一体にZ方向に延びている。また、第1支持部46は、ベース20の側面部からベース20と一体にY方向に延びるリブ76により接続固定されている。第2支持部48は、ベース20の側面部からベース20と一体にX方向へ延びるリブ76により接続固定されている。第1支持部46と第2支持部48とは、それぞれ方向が異なるリブ76,76に接続固定されているので、外部からの衝撃に対して強い。
【0051】
第1支持部46及び第2支持部48の上端は、前述した第1実施形態と同様に、磁性部材38の上側固定部58に形成された挿入孔60に挿入固定されている。
【0052】
この第2実施形態においては、ベース20と一体に第1支持部46及び第2支持部48が形成され、しかもベース20を樹脂製とし、金型で形成する場合、金型をZ方向に抜くことができる。但し、開口30を切り欠き状に形成する等の他の工夫は必要である。
【0053】
第1実施形態において、第1案内部50は断面円形の貫通孔であったが、リブ76を避けるために、第1案内部50は前記貫通孔のY方向端からY方向に延びて開口している切り欠きが設けられている。そして、リブ76の幅を円柱状の第1支持部46の直径よりも小さくすることが望ましい。即ち、これにより第1支持部46は、その外面の少なくとも一部が180°以上の少なくとも円の一部を有することになる。そして、第1案内部50は、少なくとも180°以上第1支持部46に接触する。これによって、外部から衝撃を受けても第1案内部50が第1支持部46から外れて離れてしまうことがない。また、第2案内部52については、リブ76がX方向に延びるように形成されているので、第1実施形態の第2案内部52と同じ形状とすることができる。この場合も、リブ76の幅は第2支持部48の直径以下の寸法としている。このような構成により、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第1実施形態と同様な部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
図14乃至
図22は、本発明の第3実施形態に係るカメラ装置10を示す。
【0055】
この第3実施形態は、前述した第1実施形態と比較すると、第1支持部46及び第2支持部48の枠体18に対する傾斜角度を調整する調整手段78が設けられている点が異なる。また、調整手段78を設けたことに伴い、磁性部材38は支持機能を有する必要が無くなり、第3実施形態では単なる平板としている。
【0056】
即ち、調整手段78は、ガイドプレート80、押圧支持部材82及び押圧部材84を有する。ガイドプレート80は、ベース20の外側に嵌る形状となっており、ベース20に固定されている。また、押圧支持部材82は、磁石42側にあって、ベース20に固定されている。この押圧支持部材82は、X方向に延びる第1プレート部86と、この第1プレート部86の両端にあって、Y方向へ折り曲げられた第2プレート部88,88とを有する。第1プレート部86の両端付近及び第2プレート部88,88の4か所には、ねじ穴90がそれぞれ形成されている。
【0057】
押圧部材84は、この第3実施形態にあっては、調整ねじとして構成されている。この押圧部材84は、前述した押圧支持部材82のねじ穴90にねじ込まれている。この押圧部材84の先端が第1支持部46及び第2支持部48の上端やや手前でX方向及びY方向にそれぞれ当接している。
なお、押圧部材84は、ねじとして構成するばかりではなく、例えばカム等の他の手段によっても構成することができる。
【0058】
また、調整手段78は、X方向に延びる押圧受プレート92を有する。この押圧受プレート92は、該押圧受プレート92の中央部分がガイドプレート80と一体に形成されている。押圧受部94,94は、押圧受プレート92の両端に形成されている。この押圧受部94,94は、X方向及びY方向に対して略45度をなし、弾性を有するようになっている。この押圧受部94,94は、押圧部材84の反対側で、各押圧部材84とは略45度となるように、第1支持部46及び第2支持部48に当接し、第1支持部46及び第2支持部48を押圧部材84に押し付けている。
【0059】
また、調整手段78は、
図17乃至
図19に示すように、傾斜受部96,96を有する。傾斜受部96,96は、前述したベース22の底面部54の内面に半球状に窪むように形成されている。一方、第1支持部46及び第2支持部48の下端には、半球状に形成された被傾斜受部98,98が形成されている。この被傾斜受部98,98が傾斜受部96,96に嵌るようにして接触している。したがって、第1支持部46及び第2支持部48は、被傾斜受部98,98を支点としてXθ、Yθ方向に傾斜可能となっている。
【0060】
また、調整手段78は、第1支持部46及び第2支持部48の上端を支持する支持ばね部100,100を有する。支持ばね部100,100は、この第3実施形態にあっては、前述したガイドプレート80と一体に形成されている。この支持ばね部100,100は、X方向及びY方向に曲げられるように形成され、該支持ばね部100,100に第1支持部46及び第2支持部48の上端が固定されている。このため、第1支持部46及び第2支持部48は、支持ばね部100,100の弾性を以って360度移動自在に支持されていることになる。
【0061】
上記構成において、押圧部材84を回転させると、押圧部材84が押圧受部94,94に抗して、第1支持部46及び第2支持部48が被傾斜受部98,98を支点としてXθ、Yθに押圧受部94,94に抗して傾斜する。第1支持部46及び第2支持部48が被傾斜受部98,98を支点として傾斜すると、第1支持部46及び第2支持部48は、押圧部材84、押圧受部94,94及び支持ばね部100,100により支持されているので、傾斜が維持される。
【0062】
このような第1支持部46及び第2支持部48の傾斜調整は、例えばレンズ駆動装置の出荷前に行われ、レンズ支持体16の枠体18に対する傾斜を調整し、レンズの光軸方向の傾斜のずれを少なくすることができる。調整終了後は、傾斜受部96と被傾斜受部98は、接着剤等で固定することが望ましい。さらに第1支持部46及び第2支持部48は押圧部材84,84、押圧受け部94,94、及び支持ばね部100,100との接触部分についても接着剤等で固定することが望ましい。
なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様な部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0063】
なお、コイル34と磁石42は位置を入れ替えて配置してもよい。その場合、他の部材は適宜最適になるように再度配置される。また、このレンズ駆動装置12はフォーカス調整機能を有するものであるが、さらにズーム機能や手振れ補正機能を有するものに適用することができる。また、この明細書では、カメラ装置に用いられるレンズ駆動装置について説明したが、本発明は、他の装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 カメラ装置
12 レンズ駆動装置
14 レンズ
16 レンズ支持体
18 枠体
20 ベース
22 カバー
32 フレキシブルプリント基板
34 コイル
36 位置検出器
38 磁性部材
42 磁石
44 支持機構
46 第1支持部
48 第2支持部
50 第1案内部
52 第2案内部
62 第1接触部
64 第2接触部
66 突出部
68 第3接触部
70 仮想三角形
76 リブ
78 調整手段
80 ガイドプレート
82 押圧支持部材
84 押圧部材
94 押圧受部
96 傾斜受部
98 被傾斜受部
100 支持ばね部