(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化学強化ガラスシートは、前記中間層に隣接する内側表面と、約500MPa〜約950MPaの前記内側表面における表面圧縮応力と、約30μm〜約50μmの前記内側表面における圧縮層深さとを備える、請求項4に記載のガラス積層体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これより、添付の図面に示される例示的実施形態について、詳細に言及する。可能な限り、図面を通して同一の参照番号を使用して、同一の、又は同様の部分について言及する。図面中の構成部品は必ずしも縮尺ではなく、むしろ、例示的実施形態の原理を示すことに重点を置いている。
【0011】
本明細書中で使用される場合、用語「平均熱膨張係数」は、0℃〜300℃の所与の材料又は層の平均線形熱膨張係数を指す。本明細書中で使用される場合、用語「熱膨張係数」及び「CTE」は、別段の指示がない限り、平均熱膨張係数を指す。CTEは例えば、ASTM E228 「押し棒式膨張計を用いた固体材料の線形熱膨張のための標準試験方法(Standard Test Method for Linear Thermal Expansion of Solid Materials With a Push−Rod Dilatometer)」 又はISO 7991:1987 「ガラス−−平均線形熱膨張係数の求め方(Glass −− Determination of coefficient of mean linear thermal expansion)」に記載される手順を用いて決定できる。
【0012】
様々な実施形態では、ガラス積層体は、少なくとも第1のペインと、第2のペインと、上記第1のペインと上記第2のペインとの間に配置された中間層とを備える。上記第1のペイン及び上記第2のペインは、中間層によって互いに積層される。少なくとも上記第1のペインは、ガラス‐ガラス積層構造を備える。上記ガラス‐ガラス積層構造は、少なくとも第1のガラス層、及び上記第1のガラス層に隣接する第2のガラス層を備える。例えば、上記第1のガラス層はコア層を備え、上記第2のガラス層は上記コア層に隣接するクラッド層を備える。いくつかの実施形態では、上記クラッド層は、第1のクラッド層及び第2のクラッド層を備え、上記コア層は上記第1のクラッド層と上記第2のクラッド層との間に配置される。上記第1のガラス層及び上記第2のガラス層はそれぞれ、ガラス材料、ガラスセラミック材料、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記第1のガラス層及び/又は上記第2のガラス層は透明なガラス層である。いくつかの実施形態では、上記クラッド層は、上記コア層とは異なるCTEを有する。上記クラッド層と上記コア層との間のこのようなCTEの不一致により、有意な耐損傷性を有する強化ガラス‐ガラス積層構造が可能となる。上記第2のペインは、ガラスシート(例えば強化若しくは非強化ガラスシート)、ポリマーシート、又は別の好適なシート材料、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記第2のペインは、上記第1のペインのガラス‐ガラス積層構造と同一であっても異なっていてもよい、第2のガラス‐ガラス積層構造を備える。上記中間層は、ポリマー材料を含む。
【0013】
図1は、ガラス積層体10の1つの例示的実施形態の概略断面図である。いくつかの実施形態では、ガラス積層体10は、複数のペインを備える。ガラス積層体10は、
図1に示すように略平坦であってよく、又は(例えば
図4を参照して本明細書中で説明するように)非平坦であってよい。ガラス積層体10は、第1のペイン12と、第2のペイン14と、上記第1のペインと上記第2のペインとの間に配置された中間層16とを備える。よって、第1のペイン12及び第2のペイン14は、中間層16によって互いに積層される。
【0014】
上記ガラス積層体の少なくとも1つのペインは、複数のガラス層を備えるガラス‐ガラス積層構造を備える。例えば、
図1に示す実施形態では、第1のペイン12は、ガラス‐ガラス積層構造100を備える。ガラス積層体の別のペインは、ガラスシート、ポリマーシート、別の好適なシート材料、又はこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、
図1に示す実施形態では、第2のペイン14は、モノリシックな又は単層ガラスシートを含む。上記ガラスシートは、化学強化ガラスシート、熱強化ガラスシート、アニールガラスシート、又は別の好適なガラスシートを含む。
【0015】
中間層16は、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカーボネート、吸音PVB、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、イオノマー、イオノプラスト、キャストインプレイス(CIP)樹脂(例えばアクリル、ポリウレタン若しくはポリエステル系)、熱可塑性材料、別の好適なポリマー材料、又はこれらの組み合わせ等であるがこれらに限定されないポリマー材料を含む。例えば、
図1に示す実施形態では、中間層16はPVBを含む。
【0016】
ガラス積層体1の第2のペイン14はモノリシックな又は単一層ガラスシートを含むものとして記載されているが、本開示には他の実施形態が含まれる。例えば、他の実施形態では、上記第2のペインは、ガラス‐ガラス積層構造(例えば第2のガラス‐ガラス積層構造)を備える。よって、上記ガラス積層体は、間に配置された中間層によって互いに積層された2つのガラス‐ガラス積層構造を備える。上記第1のペインの上記ガラス‐ガラス積層構造及び上記第2のペインの上記第2のガラス‐ガラス積層構造は、同一であっても、異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、上記第1のペインの上記ガラス‐ガラス積層構造は、(例えば車両又は建物の外面用の強力な及び/又は化学的耐久性を有する)外装用途のために構成でき、上記第2のペインの上記第2のガラス‐ガラス積層構造は、(例えば車両又は建物の内面用の、衝撃時に破損しやすい)内装用途のために構成できる。このような差異のある構成により、上記ガラス積層体は、(例えば関連する自動車規制に従うために)上記内面に対する衝撃に応答して破損する能力を維持しながら、上記外面に対する衝撃に応答した破損に対する耐性を得ることができる。他の実施形態では、上記第2のペインはポリマーシートを含む。上記ポリマーシートは、ポリマー材料、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、別の好適なポリマー材料、又はこれらの組み合わせ等であるがこれらに限定されないポリマー材料を含む。
図1に戻ると、ガラス積層体10の第1のペイン12は、ガラス‐ガラス積層構造100を備える。ガラス‐ガラス積層構造100は、第1のクラッド層104と第2のクラッド層106との間に配置されるコア層102を備える。いくつかの実施形態では、第1のクラッド層104及び第2のクラッド層106は、
図1に示すように外層である。他の実施形態では、第1のクラッド層及び/又は第2のクラッド層は、コア層と外層との間に配置される中間層である。
【0017】
コア層102は、第1の主表面と、上記第1の主表面に対向する第2の主表面とを備える。いくつかの実施形態では、第1のクラッド層104は、コア層102の第1の主表面に融着される。更に、又はあるいは、第2のクラッド層106は、コア層102の第2の主表面に融着される。このような実施形態では、第1のクラッド層104とコア層102との間、及び/又は第2のクラッド層106とコア層102との間の境界は、例えば接着剤、コーティング層、又は各クラッド層をコア層に接着するために追加若しくは構成される非ガラス材料といった、いずれの結合材料を備えない。従って、第1のクラッド層104及び/又は第2のクラッド層106は、コア層102に直接融着され、又はコア層102に直接隣接する。いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造は、コア層と第1のクラッド層との間、及び/又はコア層と第2のクラッド層との間に配置される、1つ以上の中間ガラス層を備える。例えば上記中間ガラス層は、コア層とクラッド層との境界に形成された、拡散層を備える。上記拡散層は、上記拡散層に隣接する各層の構成要素を含む融合領域を備えることができる。よって、上記直接隣接するガラス層は、上記拡散層において互いに融着される。いくつかの実施形態では、直接隣接するガラス層間の境界は、ガラス‐ガラス境界である。
【0018】
いくつかの実施形態では、コア層102は第1のガラス組成物を含み、第1のクラッド層104及び/又は第2のクラッド層106は、第1のガラス組成物とは異なる第2のガラス組成物を含む。例えば
図1に示す実施形態では、コア層102は第1のガラス組成物を含み、第1のクラッド層104及び第2のクラッド層106はそれぞれ第2のガラス組成物を含む。他の実施形態では、第1のクラッド層は第2のガラス組成物を含み、第2のクラッド層は、第1のガラス組成物及び/又は第2のガラス組成物とは異なる第3のガラス組成物を含む。
【0019】
ガラス‐ガラス積層構造は、例えばフュージョンドロー、ダウンドロー、スロットドロー、アップドロー又はフロートプロセスといった好適なプロセスを用いて形成できる。上記ガラス‐ガラス積層構造の様々な層は、上記ガラス‐ガラス積層構造の形成中に積層できるか、又は独立して形成してその後積層して上記ガラス‐ガラス積層構造を形成できる。いくつかの実施形態では、上記ガラス‐ガラス積層構造は、フュージョンドロープロセスを用いて形成される。いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造はフュージョンドロープロセスを用いて形成される。
図2は、例えばガラスガラス積層構造100等のガラス‐ガラス積層構造を形成するために使用できる越流分配器200の例示的な一実施形態の断面図である。越流分配器200は、米国特許第4214886号明細書に記載されているように構成でき、上記特許文献はその全体が参照により本出願に援用される。例えば越流分配器200は、下側越流分配器220と、上記下側越流分配器の上方に位置決めされた上側越流分配器240とを備える。下側越流分配器220はトラフ222を備える。第1のガラス組成物224は溶融して、粘性状態でトラフ222へと供給される。第1のガラス組成物224は、以下に更に説明するように、ガラス‐ガラス積層構造100のコア層102を形成する。上側越流分配器240はトラフ242を備える。第2のガラス組成物244は溶融して、粘性状態でトラフ242へと供給される。第2のガラス組成物244は、以下に更に説明するように、ガラス‐ガラス積層構造100の第1のクラッド層104及び第2のクラッド層106を形成する。
【0020】
第1のガラス組成物224はトラフ222を越流して、下側越流分配器220の対向する外側形成表面226及び228へと流れ落ちる。外側形成表面226及び228は、ドローライン230において集束する。下側越流分配器220の各外側形成表面226及び228を流れ落ちる第1のガラス組成物の別個の流れは、ドローライン230において集束し、ここで上記別個の流れは融着して、ガラス‐ガラス積層構造100のコア層102を形成する。
【0021】
第2のガラス組成物244はトラフ242を越流して、上側越流分配器240の対向する外側形成表面246及び248へと流れ落ちる。第2のガラス組成物244は、上記第2のガラス組成物が下側越流分配器220の周りを流れて、下側越流分配器の外側形成表面226及び228を超えて流れる第1のガラス組成物に接触するように、上側越流分配器240によって外向きに偏向される。第2のガラス組成物244の別個の流れは、下側越流分配器220の外側形成表面226及び228それぞれを流れ落ちる第1のガラス組成物224の別個の流れそれぞれと融着する。ドローライン230において第1のガラス組成物224の流れが集束すると、第2のガラス組成物244は、ガラス‐ガラス積層構造100の第1のクラッド層104及び第2のクラッド層106を形成する。
【0022】
いくつかの実施形態では、粘性状態のコア層102の第1のガラス組成物224は、粘性状態の第1のクラッド層104及び第2のクラッド層106の第2のガラス組成物244と接触して、ガラス‐ガラス積層シートを形成する。このような実施形態のうちのいくつかにおいて、ガラス‐ガラス積層シートは、
図2に示すように下側越流分配器220のドローライン230から離れるように移動するガラスリボンの一部である。上記ガラスリボンは、例えば重力及び/又は牽引ローラを含む好適な手段によって、下側越流分配器220から引き出すことができる。上記ガラスリボンは、下側越流分配器220から離れるように移動する際に冷却される。上記ガラスリボンは切断され、これによってガラスリボンからガラス‐ガラス積層シートが分離される。従ってガラス‐ガラス積層シートはガラスリボンから切り出される。ガラスリボンは、例えばスコーリング、屈曲、熱衝撃付与及び/又はレーザ切断といった好適な技術を用いて切断できる。いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造100は
図1に示すようなガラス‐ガラス積層シートを含む。他の実施形態では、ガラス‐ガラス積層シートを(例えば切断又は成型によって)更に加工して、ガラス‐ガラス積層構造100を形成できる。
【0023】
図1に示すガラス‐ガラス積層構造100は3つの層を備えるが、本開示には他の実施形態も含まれる。他の実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造は、2つ、4つ又はそれを超える数の層等の、所与の数の層を有することができる。例えば2つの層を備えるガラス‐ガラス積層構造は、これら2つの層が、越流分配器の各ドローラインから離れるように移動する間に接合されるように位置決めされた、2つの越流分配器を用いて、又は2つのガラス組成物が越流分配器の対向する外側形成表面上を流れ、越流分配器のドローラインにおいて集束するように、分割されたトラフを有する、単一の越流分配器を用いて、形成できる。4つ以上の層を備えるガラス‐ガラス積層構造は、追加の越流分配器を用いて、及び/又は分割されたトラフを有する越流分配器を用いて、形成できる。このように、所与の数の層を有するガラス‐ガラス積層構造は、それに対応して越流分配器を改造することによって形成できる。
【0024】
いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造100は、少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.2mm、又は少なくとも約0.3mmの厚さを備える。更に、又はあるいは、ガラス‐ガラス積層構造100は、最大約2mm、最大約1.5mm、最大約1mm、最大約0.7mm、又は最大約0.5mmの厚さを備える。いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造100の厚さに対するコア層102の厚さの比率は、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、又は少なくとも約0.95である。いくつかの実施形態では、第2の層(例えば第1のクラッド層104及び第2のクラッド層106それぞれ)の厚さは、約0.01mm〜約0.3mmである。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のガラス組成物及び/又は第2のガラス組成物は、本明細書に記載されているように、フュージョンドロープロセスを用いてガラス‐ガラス積層構造100を形成するために好適な液相粘度を備える。例えば第1の層(例えばコア層102)の第1のガラス組成物は、少なくとも約100キロポアズ(kP)、少なくとも約200kP、又は少なくとも約300kPの液相粘度を備える。更に、又はあるいは、第1のガラス組成物は、最大約3000kP、最大約2500kP、最大約1000kP、又は最大約800kPの液相粘度を備える。更に、又はあるいは、第2の層(例えば第1のクラッド層104及び/又は第2のクラッド層106)の第2のガラス組成物は、少なくとも約50kP、少なくとも約100kP、又は少なくとも約200kPの液相粘度を備える。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、最大約3000kP、最大約2500kP、最大約1000kP、又は最大約800kPの液相粘度を備える。第1のガラス組成物は、第2の層を形成するために越流分配器を超えて第2のガラス組成物を搬送するのを支援できる。従って第2のガラス組成物は、フュージョンドロープロセスを用いて単層シートを形成するために好適であると一般に考えられる液相粘度よりも低い液相粘度を備えることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造100は、強化ガラス‐ガラス積層構造として構成される。例えばいくつかの実施形態では、第2の層(例えば第1のクラッド層104及び/又は第2のクラッド層106)の第2のガラス組成物は、第1の層(例えばコア層102)の第1のガラス組成物とは異なる平均熱膨張係数(CTE)を備える。例えば、第1のクラッド層104及び第2のクラッド層106は、コア層102より低い平均CTEを有するガラス組成物から形成される。CTEの不一致(即ち第1のクラッド層104及び第2のクラッド層106の平均CTEとコア層102の平均CTEとの間の違い)は、ガラス‐ガラス積層構造100の冷却時の、クラッド層における圧縮応力の形成、及びコア層における引張応力の形成につながる。隣接するガラス層のCTEの不一致によるこのような強化は、機械強化と呼ぶことができる。よって、強化ガラス‐ガラス積層構造は、機械強化ガラスシートと呼ぶことができる。様々な実施形態では、第1及び第2のクラッド層はそれぞれ独立して、コア層より高い平均CTE、低い平均CTE又は略同一の平均CTEを有することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の層(例えばコア層102)の平均CTEと第2の層(例えば第1のクラッド層104及び/又は第2のクラッド層106)の平均CTEとは、少なくとも約5×10
‐7℃
‐1、少なくとも約15×10
‐7℃
‐1、又は少なくとも約25×10
‐7℃
‐1だけ異なる。更に、又はあるいは、第1の層の平均CTEと第2の層の平均CTEとは、最大約55×10
‐7℃
‐1、最大約50×10
‐7℃
‐1、最大約40×10
‐7℃
‐1、最大約30×10
‐7℃
‐1、最大約20×10
‐7℃
‐1、又は最大約10×10
‐7℃
‐1だけ異なる。例えばいくつかの実施形態では、第1の層の平均CTEと第2の層の平均CTEとは、約5×10
‐7℃
‐1〜約30×10
‐7℃
‐1又は約5×10
‐7℃
‐1〜約20×10
‐7℃
‐1だけ異なる。いくつかの実施形態では、第2の層の第2のガラス組成物は、最大約40×10
‐7℃
‐1、又は最大約35×10
‐7℃
‐1の平均CTEを備える。更に、又はあるいは、第2の層の第2のガラス組成物は、少なくとも約25×10
‐7℃
‐1、又は少なくとも約30×10
‐7℃
‐1の平均CTEを備える。更に、又はあるいは、第1の層の第1のガラス組成物は、少なくとも約40×10
‐7℃
‐1、少なくとも約50×10
‐7℃
‐1、又は少なくとも約55×10
‐7℃
‐1の平均CTEを備える。更に、又はあるいは、第1の層の第1のガラス組成物は、最大約90×10
‐7℃
‐1、最大約85×10
‐7℃
‐1、最大約80×10
‐7℃
‐1、最大約70×10
‐7℃
‐1、又は最大約60×10
‐7℃
‐1の平均CTEを備える。
【0028】
いくつかの実施形態では、クラッド層の圧縮応力は、最大約800MPa、最大約500MPa、最大約300MPa、最大約200MPa、最大約150MPa、最大約100MPa、最大約50MPa、又は最大約40MPaである。更に、又はあるいは、クラッド層の圧縮応力は、少なくとも約10MPa、少なくとも約20MPa、少なくとも約30MPa、少なくとも約50MPa、少なくとも約100MPa、又は少なくとも約200MPaである
第1の層(例えばコア層102)の第1のガラス組成物、並びに第2の層(例えば第1のクラッド層104及び/又は第2のクラッド層106)の第2のガラス組成物は、本明細書に記載の所望の特性を有するガラス‐ガラス積層構造を形成できる好適なガラス組成物を含むことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、従来の形成装置(例えばソーダライムガラスと使用するために設計されたサギング又は他の成型装置)を用いて3次元(3D)形状へと形成するのに好適なガラス‐ガラス積層構造を形成できる。3D形成に好適なガラス‐ガラス積層構造の例は、国際特許出願番号PCT/US2015/029671号明細書及びPCT/US2015/029681号明細書に記載されており、これらはそれぞれその全体が参照により本出願に援用される。例えば平均ガラス‐ガラス積層構造は、最大約750℃、最大約725℃、最大約700℃又は最大約675℃の有効10
9.9ポアズ(P)温度を有する。ガラス‐ガラス積層構造100の有効10
9.9P温度T
9.9P,effは、ガラス‐ガラス積層構造の厚さ加重平均10
9.9P温度からなる。例えば、いくつかの実施形態では、コア層102は厚さt
coreを備え、第1のクラッド層104及び第2のクラッド層106はそれぞれ厚さt
cladを備える。第1のガラス組成物は10
9.9P温度T
9.9P,coreを備え、第2のガラス組成物は10
9.9P温度T
9.9P,cladを備える。よって平均ガラス‐ガラス積層構造100の有効10
9.9P温度は、等式1で表される。
【0031】
更に又はあるいは、第2の層は、第1の層より高い10
9.9P温度を備える。よって第2の層の粘度は、ガラス‐ガラス積層構造の3D形状への形成中の第1の層の粘度より高い。10
9.9P温度のこのような差異により、(例えば形成装置と接触するクラッド層の比較的高い粘度により)ガラス‐ガラス積層構造と形成装置との間の相互作用を低減しながら、ガラス‐ガラス積層構造を比較的低い形成温度で3D形状へと形成できる。
【0032】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、屋外用途(例えば自動車又は建築用途)における使用に好適なガラス‐ガラス積層構造を形成できる。例えば、第2の層は、ソーダライムガラスの耐化学性と同様の耐化学性を有する。ガラス組成物の耐化学性は、特定の期間にわたる特定の温度における試薬への曝露に応答するガラス組成物の分解率で表すことができる。分解率は、例えば試料の表面積あたりの試料の質量損失として表すことができる。いくつかの実施形態では、本明細書において「耐久性試験(durability test)」と呼ばれる以下の手順を用いて、耐化学性を決定する。幅約2.5cm及び長さ約2.5cmのガラス‐ガラス積層構造を有する試料を、40℃のOpticlearに浸漬し、IPAですすぐ。試料を、脱イオン水ですすぎながらチーズクロスで拭い、続いて140℃で少なくとも30分乾燥させる。200mLの試薬溶液を、事前に浸出させた250mlFEP瓶に加え、95℃に設定したオーブンの中で約1〜2時間予熱する。上記試料を、上記瓶の側壁に対して真っ直ぐに立て掛け、所定の温度で所定の時間にわたり浸漬する。約15mLの得られた溶液を遠心分離管に流し込み、ICPのために確保する。残りの溶液を処分し、瓶の中にまだ残っている試料を脱イオン水中で即座にクエンチする。クエンチ後、試料を瓶から回収し、脱イオン水中ですすぎ、140℃で少なくとも30分乾燥させる。試料の重量損失を測定し、耐化学性を単位表面積あたりの重量損失として決定する。いくつかの実施形態では、5体積%のHCl水溶液への95℃での6時間にわたる曝露に応答する、第2のガラス組成物の分解率は最大約0.018mg/cm
2、最大約0.009mg/cm
2、又は最大約0.005mg/cm
2である。更に、又はあるいは、1M HNO
3水溶液への95℃での24時間にわたる曝露に応答する、第2のガラス組成物の分解率は、最大約0.08mg/cm
2、最大約0.06mg/cm
2、又は最大約0.03mg/cm
2である。更に、又はあるいは、0.02N H
2SO
4水溶液への95℃での24時間にわたる曝露に応答する、第2のガラス組成物の分解率は、最大約0.04mg/cm
2、最大約0.02mg/cm
2、又は最大約0.005mg/cm
2である。他の実施形態では、ガラス組成物の耐化学性は、ANSI Z26.1、Test 19;RECE R43、Test A3/6;ISO 695;ISO 720;DIN 12116(これらはそれぞれその全体が参照により本出願に援用される);又は同様の規格に記載されるように決定される。
【0033】
いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造の第1の層の第1のガラス組成物は、SiO
2、Al
2O
3、B
2O
3、P
2O
5及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、ガラスネットワーク構成材を含む。例えば第1のガラス組成物は、少なくとも約45モル%のSiO
2、少なくとも約50モル%のSiO
2、少なくとも約60モル%のSiO
2、又は少なくとも約70モル%のSiO
2、少なくとも約75モル%のSiO
2を含む。更に、又はあるいは、第1のガラス組成物は、最大約80モル%のSiO
2、最大約75モル%のSiO
2、最大約60モル%のSiO
2、又は最大約50モル%のSiO
2を含む。更に、又はあるいは、第1のガラス組成物は、少なくとも約5モル%のAl
2O
3、少なくとも約9モル%のAl
2O
3、少なくとも約15モル%のAl
2O
3、又は少なくとも約20モル%のAl
2O
3を含む。更に、又はあるいは、第1のガラス組成物は、最大約25モル%のAl
2O
3、最大約20モル%のAl
2O
3、最大約15モル%のAl
2O
3、又は最大約10モル%のAl
2O
3を含む。更に、又はあるいは、第1のガラス組成物は、少なくとも約1モル%のB
2O
3、少なくとも約4モル%のB
2O
3、又は少なくとも約7モル%のB
2O
3を含む。更に、又はあるいは、第1のガラス組成物は、最大約10モル%のB
2O
3、最大約8モル%のB
2O
3、又は最大約5モル%のB
2O
3を含む。いくつかの実施形態では、第1のガラス組成物はB
2O
3を実質的に含まない。例えば第1のガラス組成物は、最大約0.1モルのB
2O
3を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1のガラス組成物は、Li
2O、Na
2O、K
2O及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカリ金属酸化物を含む。例えば、第1のガラス組成物は、少なくとも約5モル%のNa
2O、少なくとも約9モル%のNa
2O、又は少なくとも約12モル%のNa
2Oを含む。更に、又はあるいは、第1のガラス組成物は、最大約20モル%のNa
2O、最大約16モル%のNa
2O、又は最大約13モル%のNa
2Oを含む。更に、又はあるいは、第1のガラス組成物は、少なくとも約0.01モル%のK
2O、少なくとも約1モル%のK
2O、少なくとも約2モル%のK
2O、又は少なくとも約3モル%のK
2Oを含む。更に、又はあるいは、第1のガラス組成物は、最大約5モル%のK
2O、最大約4モル%のK
2O、最大約3モル%のK
2O、又は最大約1モル%のK
2Oを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1のガラス組成物は、MgO、CaO、SrO、BaO及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカリ土類酸化物を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1のガラス組成物は、例えばSnO
2、Sb
2O
3、As
2O
3、Ce
2O
3、(例えばKCl若しくはNaCl由来の)Cl、ZrO
2、又はFe
2O
3を含む、1つ又は複数の追加の成分を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造の第2の層の第2のガラス組成物はSiO
2、Al
2O
3、B
2O
3及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、ガラスネットワーク構成材を含む。例えば、第2のガラス組成物は、少なくとも約65モル%のSiO
2、少なくとも約68モル%のSiO
2、少なくとも約70モル%のSiO
2、又は少なくとも約70モル%のSiO
2を含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、最大約80モル%のSiO
2、最大約77モル%のSiO
2、最大約75モル%のSiO
2、又は最大約70モル%のSiO
2を含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、少なくとも約1モル%のAl
2O
3、少なくとも約5モル%のAl
2O
3、又は少なくとも約9モル%のAl
2O
3を含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、最大約15モル%のAl
2O
3、最大約11モル%のAl
2O
3、最大約5モル%のAl
2O
3、又は最大約3モル%のAl
2O
3を含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、少なくとも約1モル%のB
2O
3、少なくとも約5モル%のB
2O
3、又は少なくとも約9モル%のB
2O
3を含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、最大約20モル%のB
2O
3、最大約16モル%のB
2O
3、又は最大約10モル%のB
2O
3を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、第2のガラス組成物は、Li
2O、Na
2O、K
2O及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、アルカリ金属酸化物を含む。例えば、第2のガラス組成物は、少なくとも約1モル%のNa
2O、又は少なくとも約2モル%のNa
2Oを含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、最大約15モル%のNa
2O、最大約11モル%のNa
2O、又は最大約5モル%のNa
2Oを含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、約0.1モル%〜約65モル%のK
2O、又は約0.1モル%〜約1モル%のK
2Oを含む。いくつかの実施形態では、第2のガラス組成物はアルカリ金属を実質的に含まない。例えば、第2のガラス組成物は、最大約0.01モル%のアルカリ金属酸化物を含む。他の実施形態では、第2のガラス組成物は、約2モル%〜約15モル%のアルカリ金属酸化物を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、第2のガラス組成物は、MgO、CaO、SrO、BaO及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカリ土類酸化物を含む。例えば、第2のガラス組成物は、少なくとも約0.1モル%のMgO、少なくとも約1モル%のMgO、少なくとも約3モル%のMgO、少なくとも約5モル%のMgO、又は少なくとも約10モル%のMgOを含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、最大約15モル%のMgO、最大約10モル%のMgO、最大約0.5モル%のMgO、又は最大約1モル%のMgOを含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、少なくとも約1モル%のCaO、少なくとも約3モル%のCaO、少なくとも約5モル%のCaO、又は少なくとも約7モル%のCaOを含む。更に、又はあるいは、第2のガラス組成物は、最大約10モル%のCaO、最大約7モル%のCaO、最大約5モル%のCaO、最大約3モル%のCaO、又は最大約1モル%のCaOを含む。いくつかの実施形態では、第2のガラス組成物は、約1モル%の〜約25モル%のアルカリ土類酸化物を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2のガラス組成物は、例えばSnO
2、Sb
2O
3、As
2O
3、Ce
2O
3、(例えばKCl若しくはNaCl由来の)Cl、ZrO
2、又はFe
2O
3を含む、1つ又は複数の追加の成分を含む。
【0041】
ガラス‐ガラス積層構造の1つ以上の層としての使用に好適であり得るガラス組成物の例は、国際特許出願番号PCT/US2015/029671号明細書及びPCT/US2015/029681号明細書(これらはそれぞれその全体が参照により本出願に援用される)に記載されている。例示的なガラス組成物はまた、表1に示されている。様々な成分の量は、表1に酸化物基準のモル%として提供される。
【0049】
いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造100は、その表面上に形成されたあるパターン(例えば装飾パターン)を備える。例えば、上記パターンは、略一様の色、ある設計(例えば1つ以上の線、テクスチャ、若しくは形状)、又はこれらの組み合わせを備える。例えば、上記パターンは、車両の風防用の装飾縁、車両のバックライト用のデフロスターグリッド、アンテナ、車両の内部若しくは外部パネル用のテクスチャ付パターン、又は別のパターンを含む。いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造100は、パターンを形成するために、その表面上に印刷された無機インク又はエナメルを備える。例えば、上記無機インク又はエナメルはフリット材料を含む。ガラス‐ガラス積層構造100を、パターンがその上に印刷された後に、(例えば無機インク若しくはエナメルを焼結若しくは焼成するために、及び/又は本明細書に記載するように、ガラス‐ガラス積層構造を3D形状に形成するために)加熱できる。いくつかの実施形態では、パターンは、略平面状構成でガラス‐ガラス積層構造上に印刷され、ガラス‐ガラス積層構造は、パターンがその上に印刷された後に3D形状に形成される。ガラス‐ガラス積層構造は印刷中は略平坦であるため、従来の印刷プロセス(例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、フォトパターン印刷、パッド印刷、インクジェット印刷、別の好適な印刷プロセス、又はこれらの組み合わせ)を用いてパターンを印刷できる。ガラス‐ガラス積層構造は機械的に強化されるため、熱的に強化される、又は化学的に強化されるのとは対照的に、このような加熱は、ガラス‐ガラス積層構造の圧縮応力に実質的に影響しない。例えば、ガラス‐ガラス積層構造の圧縮応力、圧縮層深さ、及び中心張力は、加熱の前後で略同一である。よって、ガラス‐ガラス積層構造により、無機インク又はエナメルを用いてその上に形成されたパターンを有する強化ガラスシートを可能とすることができる。このような装飾された積層体は、ガラスシートとして単独で、又は本明細書に記載するようにガラス積層体の一部として使用できる。いくつかの実施形態では、印刷パターンは、ガラス‐ガラス積層構造の(例えば中間層に隣接する)内面上に配置される。よって、印刷パターンは、ガラス積層体内に埋め込まれ、これにより印刷パターンを損傷から保護できる。他の実施形態では、印刷パターンは、ガラス‐ガラス積層構造の(例えば中間層から離間した)外面上に配置される。
【0050】
図1に戻ると、ガラス積層体10の第2のペイン14はガラスシートを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第2のペイン14は化学強化ガラスシートを含む。上記化学強化ガラスシートは、好適な化学強化プロセスを用いて形成できる。上記化学強化ガラスシートは、比較的薄型(例えば約2mm以下)とすることができ、圧縮応力(CS)、比較的高い圧縮層深さ(DOL)、及び/又は適度な中心張力(CT)といった、1つ以上の特性を有し得る。
図3は、例えば第2のペイン14等の化学強化ガラスシートを形成するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。上記プロセスは国際特許出願公開番号第2015/031594号明細書に記載されるように実施でき、上記国際特許出願はその全体が参照により本出願に援用される。例えば、いくつかの実施形態では、上記プロセスは、イオン交換できるガラスシートを準備するステップ(ステップ300)を含む。上記ガラスシートをイオン交換プロセスに供して(ステップ302)、化学強化ガラスシートを形成する。いくつかの実施形態では、上記化学強化ガラスシートを更に、アニーリングプロセス(ステップ304)、酸エッチングプロセス(ステップ305)、又はその両方に供する。
【0051】
CS及びDOLは、例えば株式会社ルケオ(東京、日本)製のFSM−6000等といった、市販の機器を用いる表面応力計によって決定できる。CS及びDOLを測定する方法は、例えばASTM C1422/C1422M「化学強化フラットガラスの標準仕様(Standard Specification for Chemically Strengthened Flat Glass)」、ASTM 1279.19779 「アニールガラス、熱強化ガラス及び完全強化フラットガラスにおける縁部及び表面応力の非破壊光弾性測定のための標準試験方法(Standard Test Method for Non Destructive Photoelastic Measurement of Edge and Surface Stresses in Annealed, Heat−Strengthened, and Fully−Tempered Flat Glass)」、及びASTM F218「ガラスの応力を分析するための標準方法(Standard Method for Analyzing Stress in Glass)」(これらはその全体が参照により本出願に援用される)に記載されている。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光係数(SOC)の正確な測定に依存する。SOCは、ファイバ法又は四点曲げ法(これらは両方とも、その全体が参照により本出願に援用される、ASTM C770−98(2008)「ガラス応力‐光学係数の測定のための標準試験方法(Standard Test Method for Measurement of Glass Stress−Optical Coefficient)」に記載される)、及びバルクシリンダ法といった、当該技術分野で公知の方法により測定される。CS及びDOLを測定するための他の技術としては、例えば米国特許第8957374号明細書及び米国特許第9140543号明細書に記載されているものが挙げられ、上記特許はその全体が参照により本出願に援用される。
【0052】
いくつかの実施形態では、上記ガラスシートをイオン交換プロセスに供するステップ(ステップ302)は、(例えばガラスシートを比較的純粋なKNO
3等のKNO
3含む溶融塩浴に浸すことにより)ガラスシートを、約400℃〜約500℃の1つ以上の第1の温度で、及び/又は約1時間〜約24時間の第1の期間(限定するものではないが約8時間等)にわたり、溶融塩と接触させるステップを含む。このような例示的なイオン交換プロセスにより、ガラスシートの表面の初期圧縮応力(iCS)、ガラスシートの内部へ向かう方向の初期圧縮層深さ(iDOL)、及びガラスシート内の初期中心張力(iCT)を有する、化学強化ガラスシートを製造できる。
【0053】
いくつかの実施形態では、iCSは、少なくとも約500MPa、少なくとも約600MPa、又は少なくとも約1000Mpaである。いくつかの実施形態では、iCSは、所定の(又は所望の)値を超える。よって、いくつかの用途に関して、ガラスシートの圧縮応力をiCSから低減することは有益であり得る。更に又はあるいは、iDOLは最大約75μmである。更に又はあるいは、iCTは、少なくとも約40MPa又は少なくとも約48MPaである。いくつかの実施形態では、iCTは所定の(又は所望の)値、例えばガラスシートの所定の粉砕性限界を超える。よって、いくつかの用途に関して、ガラスシートの中心張力をiCTから低減することは有益であり得る。
【0054】
iCSが所定値を超え、iDOLが所定値を下回り、及び/又はiCTが所定値を超える場合、ガラスシートを備えるガラス積層体は、望ましくない特性を呈し得る。例えば、iCSが所定値(例えば1000MPa)を超える場合、ガラスシートは、破砕が望ましい特定の状況下で破砕しない場合がある。例えば、ガラス積層体又はその一部分が特定の衝撃負荷において破損することにより怪我を防ぐ自動車用ガラス用途等において、特定の条件下で破損することはガラスシートにとって有益であり得る。
【0055】
iDOLが所定値を下回る場合、ガラスシートは予想外に及び/又は望ましくない状況下で破損し得る。いくつかの実施形態では、iDOLは、使用中にガラスシートに生じる擦傷、ピット等の深さ未満(例えば約60μm未満又は約40μm未満)である。例えば、設置された(イオン交換ガラスを用いた)自動車用板ガラスは、約75μm以上もの深さに達する外側擦傷を生じ得ることが分かっている。このような擦傷は、自動車用板ガラスの、当該自動車用板ガラスが使用される環境内の摩擦性物質(例えばけい砂、飛散破片等)への曝露から生じ得る。このような擦傷の深さはiDOLを超える場合があり、これはガラスシートの使用中の予想外の破砕につながり得る。
【0056】
iCTが所定値(例えばガラスシートの粉砕性限界)を超える場合、ガラスシートは予想外に及び/又は望ましくない状況下で破損し得る。例えば、コーニングゴリラ(登録商標)ガラスの4インチ(10.16cm)×4インチ(10.16cm)×0.7mmシートは、長時間の、単一ステップイオン交換プロセス(475℃で8時間)を純粋なKNO
3中で実施した場合に、望ましくない断片化(破損時の、多数の小片への勢いの良い破壊)が起こる性能特性を呈することが分かっている。このようなイオン交換プロセスでは約101μmのDOLが達成されるが、対象となるガラスシートの粉砕性限界(48MPa)より高い65Mpaの比較的高いCTが生じる。
【0057】
ガラスシートをイオン交換に供した後にアニーリングを実施する実施形態では、化学強化ガラスシートを第2の期間にわたり1つ以上の第2の温度まで加熱することにより、化学強化ガラスシートをアニーリングプロセスに供することができる(ステップ304)。例えば、アニーリングプロセス304は、空気環境において実施でき、約400℃〜約500℃である第2の温度で実施でき、約4時間〜約24時間である第2の期間(限定するものではないが約8時間等)にわたり実施できる。アニーリングプロセス304により、化学強化ガラスシートの圧縮応力、圧縮層深さ、又は中心張力のうちの少なくとも1つを、初期値から修正できる。
【0058】
例えば、アニーリングプロセス304の後、化学強化ガラスシートの圧縮応力は、iCSから、所定値の又は所定値未満の最終圧縮応力(fCS)まで低下し得る。例として、iCSは少なくとも約500Mpaとすることができ、fCSは最大約400Mpa、最大約350MPa、又は最大約300MPaとすることができる。fCSの標的はガラス厚さに依存し得ることに留意されたい。例えば、比較的厚い化学強化ガラスシートに対しては、比較的低いfCSが望ましい。反対に、比較的薄い化学強化ガラスシートに対しては、比較的高いfCSを許容できる。
【0059】
更に又はあるいは、アニーリングプロセス304の後、化学強化ガラスシートの圧縮層深さは、iDOLから所定値の又は所定値超の最終圧縮層深さ(fDOL)まで増大し得る。例として、iDOLは最大約75μmとすることができ、fDOLは少なくとも約80μm、少なくとも約90μm、又は少なくとも約100μmとすることができる。
【0060】
更に又はあるいは、アニーリングプロセス304の後、化学強化ガラスシートの中心張力は、iCTから所定値の又は所定値未満の最終中心張力(fCT)まで低下し得る。例として、iCTは少なくとも化学強化ガラスシートの所定の粉砕性限界(約40MPa〜約48Mpa等)とすることができ、fCTはガラスシートの所定の粉砕性限界未満とすることができる。
【0061】
例示的なイオン交換性ガラス構造を生成するための例は、米国特許出願公開第2014/0087193号明細書及び2014/0087159号明細書に記載されており、これらはそれぞれその全体が参照により本出願に援用される。
【0062】
本明細書において説明するように、イオン交換ステップ及びアニーリングステップの条件は、所望のガラス表面における圧縮応力(CS)、圧縮層深さ(DOL)、及び中心張力(CT)を達成するよう調整できる。イオン交換ステップは、ガラスシートを所定の期間にわたって溶融塩浴に浸漬することにより実施でき、ここでガラスシートの表面に又はその表面付近にあるガラスシート中のイオンは、例えば塩浴からの比較的大きい金属イオンと交換される。例として、溶融塩浴はKNO
3を含むことができ、溶融塩浴の温度は約400℃〜約500℃とすることができ、上記所定の期間は約1時間〜約24時間、例えば約2時間〜約8時間とすることができる。ガラスシートへの比較的大きいイオンの取り込みは、表面付近の領域に圧縮応力を生成することによりガラスシートを強化する。対応する引張応力をガラスシートの中心領域内で誘発でき、これにより圧縮応力を平衡させる。
【0063】
更なる例として、ガラスシート中のナトリウムイオンを溶融塩浴からのカリウムイオンで置換できるが、ルビジウム又はセシウム等の、比較的大きい原子半径を有する他のアルカリ金属イオンも、ガラス中の比較的小さいアルカリ金属イオンを置換できる。いくつかの実施形態では、ガラス中の比較的小さいアルカリ金属イオンをAg+イオンで置換できる。同様に、限定するものではないが硫酸塩、ハライド等の他のアルカリ金属塩を、イオン交換プロセスで使用できる。
【0064】
その温度未満においてガラスネットワークが弛緩し得る温度における、比較的大きいイオンによる比較的小さいイオンの置換は、ガラスシートの表面にわたるイオンの分配をもたらし、これはある応力プロファイルをもたらす。大きな体積流入イオンは、表面上の圧縮応力(CS)、及びガラスシートの中心領域における張力(中心張力又はCT)を生成する。圧縮応力は、以下の近似関係:
【0066】
により中心張力に関連し、ここでtはガラスシートの総厚を表し、DOLは圧縮層深さとも呼ばれる交換深さを表す。
【0067】
化学強化ガラスシートの製造に際して、様々なイオン交換性ガラス組成物を採用できる。例えば、本明細書に記載の実施形態における使用に好適なイオン交換性ガラス組成物としては、アルミノケイ酸ガラス又はアルカリアルミノホウケイ酸ガラスが挙げられる。本明細書中で使用される場合、「イオン交換性(ion exchangeable)」は、ガラスシートの表面に又はガラスシートの表面付近に位置するカチオンを、サイズがより大きい又はより小さい同価数のカチオンと交換できる、ガラス組成物を意味する。
【0068】
例えば、好適なガラス組成物は、SiO
2、B
2O
3及びNa
2Oを含み、ここで(SiO
2+B
2O
3)≧66モル%、及びNa
2O≧9モル%である。いくつかの実施形態では、ガラスシートは、少なくとも4重量%の酸化アルミニウム又は4重量%の酸化ジルコニウムを含む。更に又はあるいは、ガラスシートは1つ以上のアルカリ土類酸化物を、アルカリ土類酸化物の含有量が少なくとも5重量%となるように含む。更に又はあるいは、ガラスシートは、K
2O、MgO、又はCaOのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、ガラスシートは、61〜75モル%のSiO
2;7〜15モル%のAl
2O
3;0〜12モル%のB
2O
3;9〜21モル%のNa
2O;0〜4モル%のK
2O;0〜7モル%のMgO;及び0〜3モル%のCaOを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、ガラスシートは:60〜70モル%のSiO
2;6〜14モル%のAl
2O
3;0〜15モル%のB
2O
3;0〜15モル%のLi
2O;0〜20モル%のNa
2O;0〜10モル%のK
2O;0〜8モル%のMgO;0〜10モル%のCaO;0〜5モル%のZrO
2;0〜1モル%のSnO
2;0〜1モル%のCeO
2;50ppm未満のAs
2O
3;及び50ppm未満のSb
2O
3を含み;ここで12モル%≦(Li
2O+Na
2O+K
2O)≦20モル%及び0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0070】
いくつかの実施形態では、ガラスシートは:63.5〜66.5モル%のSiO
2;8〜12モル%のAl
2O
3;0〜3モル%のB
2O
3;0〜5モル%のLi
2O;8〜18モル%のNa
2O;0〜5モル%のK
2O;1〜7モル%のMgO;0〜2.5モル%のCaO;0〜3モル%のZrO
2;0.05〜0.25モル%のSnO
2;0.05〜0.5モル%のCeO
2;50ppm未満のAs
2O
3;及び50ppm未満のSb
2O
3を含み;ここで14モル%≦(Li
2O+Na
2O+K
2O)≦18モル%及び2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0071】
いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸ガラスは:61〜75モル%のSiO
2;7〜15モル%のAl
2O
3;0〜12モル%のB
2O
3;9〜21モル%のNa
2O;0〜4モル%のK
2O;0〜7モル%のMgO;及び0〜3モル%のCaOを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。
【0072】
いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸ガラスはアルミナ、少なくとも1つのアルカリ金属と、いくつかの実施形態では50モル%超のSiO
2、他の実施形態では少なくとも58モル%のSiO
2、更に他の実施形態では少なくとも60モル%のSiO
2とを含み、ここで比
【0074】
であり、この比において成分はモル%で表現され、改質剤はアルカリ金属酸化物である。特定の実施形態では、このガラスは:58〜72モル%のSiO
2;9〜17モル%のAl
2O
3;2〜12モル%のB
2O
3;8〜16モル%のNa
2O;及び0〜4モル%のK
2Oを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなり、ここで比
【0077】
いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸ガラスは:60〜70モル%のSiO
2;6〜14モル%のAl
2O
3;0〜15モル%のB
2O
3;0〜15モル%のLi
2O;0〜20モル%のNa
2O;0〜10モル%のK
2O;0〜8モル%のMgO;0〜10モル%のCaO;0〜5モル%のZrO
2;0〜1モル%のSnO
2;0〜1モル%のCeO
2;50ppm未満のAs
2O
3;及び50ppm未満のSb
2O
3を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなり;ここで12モル%≦Li
2O+Na
2O+K
2O≦20モル%及び0モル%≦MgO+CaO≦10モル%である。
【0078】
いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸ガラスは:64〜68モル%のSiO
2;12〜16モル%のNa
2O;8〜12モル%のAl
2O
3;0〜3モル%のB
2O
3;2〜5モル%のK
2O;4〜6モル%のMgO;及び0〜5モル%のCaOを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなり、ここで:66モル%≦SiO
2+B
2O
3+CaO≦69モル%;Na
2O+K
2O+B
2O
3+MgO+CaO+SrO>10モル%;5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%;(Na
2O+B
2O
3)≦Al
2O
3≦2モル%;2モル%≦Na
2O≦Al
2O
3≦6モル%;及び4モル%≦(Na
2O+K
2O)≦Al
2O
3≦10モル%である。
【0079】
イオン交換性ガラス組成物の更なる例は、米国特許出願公開第2014/0087193号明細書及び2014/0087159号明細書に記載されており、これらはそれぞれその全体が参照により本出願に援用される。
【0080】
いくつかの実施形態では、第2のペイン14の化学強化ガラスシートは、約0.1mm〜約2mm、例えば約0.4mm、約0.5mm、約0.55mm、約0.7mm、又は約1mmの厚さを備える。更に又はあるいは、化学強化ガラスシートは、約600MPa〜約800MPa、例えば約700Mpaの表面CS、及び/又は少なくとも約40マイクロメートルのDOLを備える。更に又はあるいは、ガラスシートは、最大約1mmの厚さ、約500MPa〜約950Mpaの残留表面CS、及び/又は少なくとも約35マイクロメートルのDOLを備える。
【0081】
いくつかの実施形態では、第2のペイン14のガラスシートの表面の一方又は両方を酸エッチングして、外部衝撃イベントに対する耐久性を改善できる。ガラスシートの表面の酸エッチングは、表面の傷の数、サイズ、及び/又は深刻度を低減できる。表面の傷は、ガラスシート中の破砕部位として作用する。これらの表面における傷の数、サイズ、及び深刻度を低減することにより、これらの表面における潜在的な破砕開始部位を除去でき、またそのサイズを最小化できる。
【0082】
いくつかの実施形態では、ガラスシートを酸エッチングプロセスに供するステップは、ガラスシートの表面を酸性ガラスエッチング媒体と接触させるステップを含む。このような酸エッチングプロセスは多用途であり得、大半のガラスに容易に適合させることができ、平面状ジオメトリ及び複雑な3Dジオメトリの両方に容易に適用できる。更に、例示的な酸エッチングは、製造中又は製造後加工中に導入される表面の傷がほとんどないと従来より考えられているアップドロー法により製造された又はダウンドロー法によって製造された(例えばフュージョンドロー法によって製造された)ガラスシートを含む、表面の傷の発生率が低いガラスにおいてでさえ、強度の変動性を低下させるのに効果的であることが分かっている。いくつかの実施形態では、酸エッチングプロセスは、ガラスシート表面の化学的研磨を提供し、これは、サイズを変更でき、表面の傷のジオメトリを変更でき、並びに/又は表面の傷のサイズ及び数を低減できるものの、処理された表面の全体的なトポグラフィに対する影響は最小である。一般に、酸エッチング処理を採用して、約4μm以下の表面ガラス、又はいくつかの実施形態では2μm以下の表面ガラス、又は1μm以下の表面ガラスを除去できる。酸エッチング処理を積層の前に実施して、各表面をいずれの新しい傷の生成から保護できる。
【0083】
化学強化ガラスシートから所定の厚さを超える表面ガラスを酸によって除去することによって、表面圧縮層の厚さ及び上記層によって提供される表面圧縮応力のレベルが許容できないほど低下しないことを保証しなければならない。というのは、このような低下は、ガラス積層体の耐衝撃及び曲げ損傷性に対して有害であり得るためである。更に、ガラス表面の過度のエッチングは、ガラスの表面ヘイズを不快なレベルまで増大させ得る。窓、自動車用板ガラス、及び大衆消費電子製品のディスプレイの用途に関して、典型的には、ガラスシート中の視覚的に発見できる表面ヘイズは、全く容認されないか、又は極めてわずかしか容認されない。
【0084】
様々な実施形態では、エッチングプロセス中に所望のレベルの表面処理及び強化を達成するために、様々なエッチング液の化学物質、濃度及び処理時間を使用できる。エッチングプロセスステップを実施するのに有用な例示的な化学物質としては、限定するものではないがHF、HFとHCl、HNO
3及びH
2SO
4のうちの1つ以上との組み合わせ、酸性フッ化アンモニウム、フッ化水素ナトリウム及び他の好適な化合物を含む少なくとも1つの活性ガラスエッチング化合物を含有する、フッ化物含有水性処理媒体が挙げられる。例えば、水中に5体積%のHF(48%)及び5体積%のH
2SO
4(98%)を有する酸性水溶液は、わずか1分の短いエッチング時間を用いて、厚さ約0.1mm〜約1.5mmの化学強化アルカリアルミノケイ酸ガラスガラスシートの球落下性能を改善できる。酸エッチングの前か後かにかかわらず、化学強化又は熱強化を受けていない例示的なガラス層は、球落下試験の結果において大きな改善を達成するためには、エッチング媒体の異なる組み合わせを必要とし得ることに留意されたい。
【0085】
上記溶液中のHF及び溶解したガラスの構成成分の濃度が入念に制御されている場合、HF含有溶液中でのエッチングにより除去されたガラス層の厚さに対する適切な制御の維持は、容易となり得る。許容可能なエッチング速度を回復させるためのエッチング浴全体の定期的な交換は、この目的のためには効果的であるが、浴の交換は費用がかかる場合があり、また消耗したエッチング溶液の処理及び処分のコストは高額となり得る。ガラス層をエッチングするための例示的な方法は、同時係属国際特許出願第PCT/US2013/043561号明細書に記載されており、これはその全体が参照により本出願に援用される。
【0086】
いくつかの実施形態では、第2のペイン14のガラスシートは、表面エッチング後の少なくとも約30μm又は少なくとも約40μmのDOL、及び少なくとも約500MPa又は少なくとも約650Mpaのピーク圧縮応力を有する、圧縮表面層を備える。期間が制限されたエッチング処理により、複数の性質のこの組み合わせを提供する薄いアルカリアルミノケイ酸ガラスシートを可能とすることができる。特に、ガラスシートの表面をエッチング媒体と接触させるステップは、2μmの表面ガラスの効果的な除去に必要な時間を超えない期間にわたり、又はいくつかの実施形態では1μmの表面ガラスの効果的な除去に必要な時間を超えない期間にわたり、実施できる。当然のことながら、いずれの特定の場合においてガラスの除去を制限するのに必要な実際のエッチング時間は、エッチング媒体の組成及び温度、並びに溶液及び処理されるガラスの組成に依存し得る。しかしながら、選択されたガラスシートの表面から約1μm以下又は約2μm以下のガラスを除去するのに効果的なエッチング処理は、慣例的実験により決定できる。
【0087】
ガラスシートの強度及び表面圧縮層の深さが適切であることを保証するための代替的方法は、エッチングが進むに従って表面圧縮応力のレベルの低下を追跡するステップを伴うことができる。すると、エッチング時間を制御することにより、エッチング処理によって必然的に引き起こされる表面圧縮応力の低下を制限できる。よって、いくつかの実施形態では、強化アルカリアルミノケイ酸ガラスシートの表面をエッチング媒体と接触させるステップは、ガラスシート表面の圧縮応力レベルを約3%又は別の許容可能な量だけ低下させるのに効果的な時間を超えない時間にわたり、実施できる。ここでもやはり、所定量のガラスの除去を達成するのに好適な期間は、エッチング媒体の組成及び温度並びにガラスシートの組成に依存し得るが、これもまた慣例的実験により容易に決定できる。ガラス表面の酸処理又はエッチング処理に関する更なる詳細は、米国特許第8889254号明細書において確認でき、これはその全体が参照により本出願に援用される。
【0088】
更なるエッチング処理は本質的に、局所的に実施できる。例えば、表面装飾又はマスクをガラスシート又は物品の1つ以上の部分に配置できる。続いてガラスシートをエッチングすることにより、上記表面装飾又はマスクの下層の部分の元の表面圧縮応力(例えば元のイオン交換ガラスの表面圧縮応力)を維持しながら、エッチングに曝露された領域の表面圧縮応力を増大させることができる。当然のことながら、このようなプロセスステップの条件は、ガラス表面における所望の圧縮応力、所望の圧縮層深さ及び所望の中心張力に基づいて調整できる。
【0089】
車両の乗員に対する衝撃による怪我の損傷レベルに関する懸念は、自動車用板ガラス製品に対して比較的容易に破損することを要求する規制を促した。例えば、ECE R43改正2では、ガラス積層体が内部の物体から(例えば衝突時の乗員の頭部により)衝撃を受けた場合、ガラス積層体は破損することにより、このイベント中のエネルギを放散して、乗員に対する怪我のリスクを最小化しなければならない、という要件がある。この要件は、自動車用板ガラス用途に関するガラス積層体のいずれの側における高強度ガラスシートの直接の使用も制限している。よって、いくつかの実施形態では、ガラス積層体10は、第1のペイン12及び/又は第2のペイン14の1つ以上の表面上にコーティング済み透明層を備え、これにより、各ペイン及び/又ガラス積層体に、制御された許容可能な破損強度を提供する。例えば、ガラス積層体は、中間層16に隣接する化学強化ガラスシートの第2のペイン14の表面上に、コーティング済み透明層(例えば多孔質コーティング)を備える。内部衝撃イベント中、化学強化ガラスシートの酸エッチング済み表面は張力下となり、コーティング済み透明層の存在は、化学強化ガラスシートの破損をトリガできる。例えば低温ゾルゲルプロセスを用いて、例示的なコーティング済み透明層又は弱化コーティングを提供できる。例示的なコーティングは、透明であってよく:最大約10%のヘイズ;少なくとも約20%、少なくとも約50%若しくは少なくとも約80%の可視波長における光透過;及び/又は偏光眼鏡を装用したユーザが歪みなく視認できるようにする、若しくは特定の透明ディスプレイ構造体の使用を可能とする、低い複屈折を有する。
【0090】
ガラス積層体10は、ガラス‐ガラス積層構造100を備える第1のペイン12と、化学強化ガラスシートを備える第2のペイン14とを有するものとして記載されているが、本開示には他の実施形態が含まれる。例えば他の実施形態では、第2のペインは、(例えば化学強化された若しくは化学強化されていない)ソーダライムガラスシート、熱強化ガラスシート、アニールガラスシート、ガラス‐ガラス積層構造、ポリマーシート、又は別の好適な材料若しくは構造を備える。様々な実施形態では、第2のペインは約0.1mm〜約3mmの厚さを備える。例えば、第2のペインがアニールガラスシート又は熱強化ガラスシートを備えるいくつかの実施形態では、第2のペインは、約2mm〜約3mm、例えば約2.5mmの厚さを備える。第1のペイン及び第2のペインの厚さは、同一であっても異なっていてもよい。例示的なガラスシートは、例えば米国特許第7666511号明細書、第4483700号明細書及び第5674790号明細書(これらはそれぞれその全体が参照により本出願に援用される)に記載されているように、フュージョンドローによって形成できる。いくつかの実施形態では、ドロー成形されたガラスを化学強化して、本明細書に記載の化学強化ガラスシートを形成する。従ってガラスシートは、DOLが大きいCS層を備えることができ、これは、高い曲げ強度、耐擦傷性及び耐衝撃性を可能とすることができる。例示的な実施形態はまた、酸エッチングされた、又はフレア状の表面を含むことができ、これにより、本明細書に記載されるように表面上の傷のサイズ及び深刻度を低減することによって、このような表面の耐衝撃性及び/又は強度を増大させることができる。
【0091】
図4は、ガラス積層体10の別の例示的な実施形態の斜視図である。
図4に示す実施形態では、第1のペイン12はガラス積層体10の外層として構成され、第2のペイン14はガラス積層体の内層として構成される。他の実施形態では、第1のペインを内層として構成でき、第2のペインを外層として構成できる。よって、上記外層、上記内層、又は上記外層及び上記内層の両方は、本明細書に記載のガラス‐ガラス積層構造を備えることができる。いくつかの実施形態では、第2のペイン14の化学強化ガラスシートは、1mm以下の厚さ、約500MPa〜約950Mpaの残留表面CS、及び/又は少なくとも約35マイクロメートルのDOLを備える。
図4に示す実施形態では、ガラス積層体10は湾曲した3D形状を備える。他の実施形態では、ガラス積層体を、特定の用途に適合できる様々な異なる3D形状に形成できる。いくつかの実施形態では、ガラス積層体10は、ガラス積層体を曲げることにより3D形状へと(例えば車両で使用するための風防、コンソール又は他の構成物へと)形成される。ガラス積層体10は、本明細書に記載の1つ以上の酸エッチング済み表面又は弱化表面を備えることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、3D形状を有するガラス積層体10は、冷間成形プロセスを用いて形成できる。例えば、第1のペイン12のガラス‐ガラス積層構造100は、例えばリング成型プロセス、プレス成型プロセス、真空成型プロセス又は別の好適な成型プロセスといった好適な成型プロセスを用いて、3D形状に形成できる。第2のペイン14の強化ガラスシートは、3D形状を備える第1のペイン12に対して、冷間成形できる。例示的な冷間成形プロセスでは、化学強化ガラスシートは、成形された又は湾曲した第1のペイン12に対して積層できる。このような冷間成形プロセスにより、中間層16に隣接する化学強化ガラスシートの表面におけるCSを低減でき、これにより化学強化ガラスシートを、物体による衝撃(例えば車両の乗員による内部衝撃)に応答してより破砕しやすくすることができる。更に又はあるいは、このような冷間成形プロセスにより、化学強化ガラスシートの、中間層16から離間した対向する表面に、高いCSをもたらすことができ、これにより、摩擦による破砕に対するこの表面の耐性をより高めることができる。いくつかの実施形態では、例示的な冷間成形プロセスは、中間層材料の軟化温度(例えば約100℃〜約120℃)で、又はそのすぐ上の温度で、即ちガラス積層体の各ペインの軟化温度未満の温度で、実施できる。このような冷間成形プロセスは、真空バッグ又はオートクレーブ内のリング又は別の好適な装置を用いて実施できる。
【0093】
いくつかの実施形態では、3D形状を有するガラス積層体10は、積層の前に、第1のペイン12及び第2のペイン14を3D形状に成型し、その後、成型した上記第1のペインと第2のペインとを中間層16によって互いに積層することにより、形成できる。このような形成プロセスは、その間の中間層によって互いに積層された2つのガラス‐ガラス積層構造を備えるガラス積層体にとって好適であり得る。大きな薄いガラスシートを、連続して配設された複数の炉を備える徐冷窯内で成型でき、上記徐冷窯内では、ガラスシートの温度が徐々に上昇して、重力下でサギングが達成される。しかしながら、薄いガラスシートの所望の形状を達成するための温度差は、ガラスシートの中央及び縁部の両方に対する炉壁の高温ゾーン及び低温ゾーンからの放射形状係数のせいで、炉内の単純な可変性加熱では達成できない。放射、(例えば炉の高温ゾーンからガラスシート縁部への、及び炉の低温ゾーンからガラスシートの中央への放射)を阻害することにより、所望の温度差の達成を補助できる。いくつかの実施形態では、ガラスシートを成型するためのシステムは、成型用型、熱源(例えば放射源)、及びシールド(例えば放射シールド)を備える。シールドは、熱源とガラスシートとの略間に配置できる。更に又はあるいは、シールドは、ガラスシートに対面するよう配置された第1の開口と、熱源に対面するよう配置された第2の開口とを有するキャビティを画定する外壁を備える。いくつかの実施形態では、熱源は複数の放射加熱素子を備える。シールドは、成型用型又は炉によって支持され、また成型用型又は炉に取り付けることができる。シールドの外壁は、いずれの断面形状(例えば円形、卵形、三角形、正方形、長方形、ひし形、又は多角形)を有するキャビティを形成できる。いくつかの実施形態では、シールドは複数のシールドを含む。例えば、第2のキャビティを備える第2の放射シールドは、第1の放射シールドの外壁によって画定されるキャビティ内に同心円状に配置できる。
【0094】
いくつかの実施形態では、ガラスシートを成型するための方法は、ガラスシートを成型用型上に位置決めするステップ、熱源(例えば放射熱源)を備える炉に成型用型及びガラスシートを導入するステップ、及びガラスシートを加熱するステップを含む。シールド(例えば放射シールド)は、熱源とガラスシートとの略間に配置できる。シールドは、ガラスシートに対面するよう配置された第1の開口と、熱源に対面するよう配置された第2の開口とを有する、キャビティを画定する外壁を備えることができる。いくつかの実施形態では、上記方法は、ガラスシートを約400℃〜約1000℃の温度まで加熱し、滞留時間を約1分〜約60分以上とするステップを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1のペイン12はガラス‐ガラス積層構造100を備え、第2のペイン14は強化ガラスシートを備える。強化ガラスシートは、熱強化、化学強化、又は機械強化できる(例えば第2のガラス‐ガラス積層構造)。中間層16に隣接する第1のペイン12の内側表面及び/又は上記中間層から離間した第2のペイン14の外側表面は、化学的に研磨できる。用語「内側表面(inner surface)」及び「外側表面(outer surface)」は、中間層に対する表面の位置を指し、当該表面が車両又は建物の外面又は内面を形成することを含意するものではないことに留意されたい。化学研磨した表面を酸エッチングしてよい。更に又はあるいは、中間層16に隣接する第2のペイン14の内側表面は、その上に形成された略透明なコーティングを備えることができる。いくつかの実施形態では、第1のペイン12及び/又は第2のペイン14の一方又は両方の表面は、約500MPa〜約950MPaの表面CS及び/又は約30μm〜約50μmのDOLを備える。いくつかの実施形態では、第1のペイン12の内側表面及び/又は第2のペイン14の外側表面は、第1のペインの外側表面及び/又は第2のペインの内側表面より高い表面CSを有する。更に又はあるいは、第1のペイン12の内側表面及び/又は第2のペイン14の外側表面は、第1のペインの外側表面及び/又は第2のペインの内側表面より低いDOLを有する。第1のペイン及び第2のペインの例示的な厚さは、最大約1.5mm、最大約1mm、最大約0.7mm、最大約0.5mm、約0.5mm〜約1mm、又は約0.5mm〜約0.7mmの厚さとすることができるが、これらに限定されない。当然のことながら、第1及び第2のペインの厚さ、組成、及び/又は構造は異なり得る。
いくつかの実施形態では、略透明なコーティングは、化学強化ガラスシートの1つ以上の表面の表面CSの低減に寄与する。例えば、略透明なコーティングは、イオン交換の前にガラスシートの1つ以上の表面上にコーティング又は配置された、多孔質ゾルゲルコーティングを含むことができる。コーティングの多孔性により、コーティングを通したイオン交換を、ガラスシート中へのイオンの拡散がコーティングにより部分的に阻害されるような方法で、可能とすることができる。これは、化学強化ガラスシートのコーティング済み表面において、非コーティング表面に比べて、低いCS及び/又は低いDOLをもたらし得る。コーティングは、化学強化ガラスシートのコーティング済み表面に定められたCSを提供するために、定められた多孔性を有することができる。化学強化ガラスシートの2つの対向する表面間の圧縮応力の有意な不均衡は、ガラスシートの若干の曲がりをもたらし得る。このような曲がりは、本明細書に記載されるような、第2のペインの化学強化ガラスシートの第1のペインに対する冷間成形を補助できる。いくつかの実施形態では、イオン交換により誘発される曲がりは、冷間成形後の最終的な積層体において望ましい量の曲がり又は屈曲よりわずかに小さい。イオン交換前に透明なコーティングが塗布されるいくつかの実施形態では、透明なコーティングを加工する又は硬化させる温度は、他の実施形態におけるものより高くてよく、例えば500℃又は600℃もの高さである。
【0096】
いくつかの実施形態では、ガラス積層体を形成する方法は、第1のペイン及び第2のペインの一方又は両方を強化するステップ、並びに上記第1のペインと上記第2のペインとを、上記第1のペインと上記第2のペインとの間のポリマー中間層を用いて、互いに積層するステップを含む。少なくとも上記第1のペインは、ガラス‐ガラス積層構造を備える。いくつかの実施形態では、上記方法は、上記中間層に隣接する上記第1のペインの内側表面を化学研磨(例えば酸エッチング)するステップ、上記中間層から離間した上記第2のペインの外側表面を化学研磨するステップ、及び/又は上記中間層に隣接する第2のペインの内側表面上に略透明なコーティングを形成するステップを含む。いくつかの実施形態では、上記方法は、上記第2のペインを強化(例えば化学強化、熱強化又は機械強化)するステップを含む。更に又はあるいは、上記第1のペイン又は上記第2のペインの表面を化学研磨するステップは、上記表面を酸エッチングして、上記ペインのうち最大約4μm、最大約2μm、又は最大約1μmを除去するステップを含む。上記化学研磨するステップは、上記第1のペインと上記第2のペインとを積層するステップの前に実施できる。いくつかの実施形態では、上記第1のペイン又は上記第2のペインの表面を化学研磨するステップは、上記表面をエッチングして、表面における約500MPa〜約950Mpaの表面CS及び/又は上記表面から約30μm〜約50μmのDOLを提供するステップを含む。いくつかの実施形態では、略透明なコーティングを形成するステップは、最大約400℃又は最大約350℃の温度でゾルゲルプロセスを用いて表面をコーティングするステップを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、ガラス積層体を冷間成形するための方法は、湾曲した第1のペインと略平面状の第2のペインとを、上記第1のペインと上記第2のペインとの間のポリマー中間層を用いて、上記第1のペイン及び上記第2のペインのそれぞれの軟化温度未満の温度で、一体に積層するステップを含む。上記第1のペインは、ガラス‐ガラス積層構造を備える。いくつかの実施形態では、上記第2のペインは、熱強化、化学強化、及び/又は機械強化ガラスシートといった、ガラスシートを備える。積層後、上記第2のペインは、第1のペインの湾曲と略同様の曲率半径を含む。いくつかの実施形態では、積層後、上記第2のペインは、上記ガラスシートの対向する第1の及び第2の表面において、表面圧縮応力の差を有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、ガラス積層体の1つ以上のペインは、特定の範囲の波長にわたる電磁放射を吸収するよう構成された材料を含む。例えば、ガラス‐ガラス積層構造の1つ以上の層は、吸収性又は着色ガラス材料を含む。上記吸収性ガラス材料は、例えば赤外(IR)波長範囲(例えば約750nm〜約1mm)、紫外(UV)波長範囲(例えば約100nm〜約400nm)、可視波長範囲(例えば約380nm〜約760nm)、別の好適な波長範囲、又はこれらの組み合わせの放射線を吸収するよう構成できる。他の実施形態では、ガラス積層体のペインとして使用するための、本明細書に記載のガラスシートのうちのいずれは、吸収性ガラス材料を含むことができる。更に又はあるいは、ガラス積層体のペイン及び/又は中間層として使用するための、本明細書に記載のポリマーシートのいずれは、吸収性ポリマー材料を含むことができる。更に又はあるいは、本明細書に記載の中間層は、吸収性材料を含む。いくつかの実施形態では、ガラス積層体の1つ以上のペインは、低い放射率(低E)を有する材料を含む。例えば、ガラス‐ガラス積層構造の1つ以上の層、ガラスシート、ポリマーシート、及び/又は中間層は、低E材料を含む。自動車又は建築用途では、このような吸収性又は低E材料は、自動車又は建物の内部を、過剰な熱又は特定の波長の放射に曝露されることによって引き起こされる損傷から保護するのを補助できる。ディスプレイ用途では、このような吸収性又は低E材料は、ディスプレイ内の材料を、特定の波長の放射(例えばUV放射)に曝露されることによって引き起こされる損傷から保護するのを補助できる。いくつかの実施形態では、吸収又は着色は、ガラス積層体の表面上に配置された吸収性コーティング又は吸収性フィルムによって提供される。
【0099】
いくつかの実施形態では、ガラス積層体は透明なディスプレイを備える。例えば、ガラス積層体の1つ以上のペインは光散乱特徴部分を備え、これにより、視聴者が見るために、画像をガラス積層体上に投影できる。更に又はあるいは、ガラス積層体の1つ以上のペインは、視聴者が見るための表示画像を生成するよう構成された、光放出素子(例えばLED、マイクロLED、OLED、プラズマセル、電子蛍光発光(EL)セル)を備える。いくつかの実施形態では、ガラス‐ガラス積層構造は、その1つ以上の層(例えばコア層、第1のクラッド層、及び/又は第2のクラッド層)に、光散乱特徴部分又は光放出素子を備える。いくつかの例では、上記透明なディスプレイは、可視光に対して少なくとも部分的に透過性である。表示画像は、このようなディスプレイの表面上に投影された場合、及び/又はこのようなディスプレイの表面によって生成された場合に、環境光(例えば日光)によって見にくくなる、又は見えなくなる場合がある。いくつかの実施形態では、上記透明なディスプレイ、又は上記ディスプレイの、表示画像が投影される若しくは表示画像が生成される部分は、例えば無機若しくは有機ホトクロミック若しくはエレクトロクロミック材料といったオペーキング材料、浮遊粒子デバイス、及び/又は高分子分散型液晶を含んでよい。このようにして上記透明なディスプレイの透明度を調整することにより、表示画像のコントラストを高めることができる。例えば、明るい日光の下では、上記ディスプレイをオペーキングして上記透明なディスプレイの透明度を低下させることにより、表示画像のコントラストを高めることができる。この調整は、(例えば紫外光等の特定の波長の光に対する透明なディスプレイの曝露に応答して、若しくは光電感知器等の光検出器によって生成される信号に応答して)自動的に、又は(例えば視聴者によって)手動で制御できる。
【0100】
いくつかの実施形態では、ガラス積層体の1つ以上のペインは、例えば、無機若しくは有機ホトクロミック若しくはエレクトロクロミック材料といったオペーキング材料、浮遊粒子デバイス、及び/又は高分子分散型液晶を含んでよい。このようにして、ガラス積層体の透明度を調整できる。板ガラス用途(例えば自動車用又は建築用板ガラス用途)では、ガラス積層体の透明度を調整することにより、当該ガラス積層体を通過できる環境光の量を増加又は減少させることができる。ディスプレイ用途(例えば透明なディスプレイ用途)では、ガラス積層体の透明度を調整することにより、上記ガラス積層体上に投影される、又は上記ガラス積層体から生成される表示画像のコントラストを高めることができる。例えば、明るい日光の下では、上記ガラス積層体をオペーキングして上記ガラス積層体の透明度を低下させることにより、表示画像のコントラストを高めることができる。様々な実施形態では、この調整は、(例えばガラス積層体の、紫外光等の特定の波長の光に対するガラス積層体の曝露に応答して、又は光電感知器等の光検出器によって生成される信号に応答して)自動的に、又は(例えば乗り手によって)手動で制御できる。
【0101】
本明細書に記載の様々な実施形態により、従来のガラス積層体に比べて耐外部衝撃性における優れた性能を有し、かつ(例えば車両用途に関して)内部衝撃時の制御された破損挙動を有する、軽量ガラス積層体を可能とすることができる。
【0102】
本明細書に記載のガラス‐ガラス積層構造及び/又はガラス積層体は、ある範囲の用途に好適であり得る。特に関心対象となる一用途は、限定するものではないが、自動車用板ガラス用途(例えば風防、サイドライト、サンルーフ、ムーンルーフ又はバックライト)であってよく、ここで当該ガラス‐ガラス積層体及び/又はガラス積層は、自動車衝撃の安全基準に合格できる。別の用途は、限定するものではないが、自動車のコンソール、ダッシュボード、ドアパネル、ランプカバー、機器カバー、ミラー、又は(例えば支柱若しくは他の装飾物のための)内装若しくは外装パネルとすることができる。別の用途は、限定するものではないが、(例えば壁、柱、エレベータのカゴ、台所家電、又は他の用途のための)装飾パネル又はカバーとすることができる。他の用途は、当業者によって同定できる。
【0103】
本明細書に記載のガラス‐ガラス積層構造及び/又はガラス積層体に関して関心対象となる別の用途は、限定するものではないが、ディスプレイ(例えばカバーガラス若しくはガラス背面)及び/又はタッチパネル用途であってよく、ここでガラス‐ガラス積層構造及び/又はガラス積層体は、湾曲した形状、機械的強度等といったガラス積層体の所望の属性を有するディスプレイ及び/又はタッチパネルを可能とすることができる。このようなディスプレイ及び/又はタッチパネルは、自動車又は車両用途における使用に好適となり得る。
【0104】
様々な実施形態では、本明細書に記載のガラス‐ガラス積層構造及び/又はガラス積層体は、自動車、ボート及び/又は航空機といった車両(例えば車両の風防、窓若しくはサイドライト等の板ガラス、ミラー、支柱、ドアのサイドパネル、ヘッドレスト、ダッシュボード、コンソール、又は座席、又はこれらのいずれの部分) 建築用備品又は構造(例えばビルの内壁又は外壁、及びフローリング)、家電(例えば冷蔵庫、オーブン、コンロ、洗濯機、ドライヤー又は他の家電)、大衆消費用電子製品(例えばテレビ、ラップトップ、コンピュータモニタ、並びに携帯電話、タブレット及び音楽プレーヤといったハンドヘルド電子製品)、家具、情報キオスク端末、小売キオスク端末等に組み込むことができる。
【0105】
本明細書に記載のガラス物品は、例えば:LCD、LED、マイクロLED、OLED、量子ドット、プラズマ及び電子蛍光発光ディスプレイ、コンピュータモニタ並びに現金自動預払機(ATM)を含む、消費者用若しくは市販の電子デバイスにおけるカバーガラス若しくはガラス背面用途;例えば携帯電話、パーソナルメディアプレーヤ及びタブレットコンピュータを含む、携帯用電子デバイスのためのタッチスクリーン若しくはタッチセンサ用途;例えば半導体ウエハを含む集積回路用途;光電池用途;建築用ガラス用途;例えば板ガラス及びディスプレイを含む、自動車若しくは車両用ガラス用途;市販の若しくは家庭用電気製品用途;照明若しくはサイネージ(例えば静的若しくは動的サイネージ)用途;又は例えば鉄道及び航空宇宙用途を含む輸送用途を含む、広範な用途に使用できる。
【実施例】
【0106】
以下の実施例によって、様々な実施形態を更に明らかにする。
【0107】
実施例1
図1に示されているものと同様のガラス積層体を形成した。第1のペインは、厚さ約1mmのガラス‐ガラス積層構造であった。クラッド層の厚さ(両方のクラッド層の厚さの合計)に対するコア層の厚さの比は、約6であった。クラッド層の圧縮応力は約150MPaであり、コア層の中心張力は約25MPaであった。中間層はPVBから形成され、約0.8mmの厚さを有していた。第2のペインは、厚さ約0.4mmの化学強化ガラスシートであった。
【0108】
このガラス積層体を、垂直方向から約30°の角度に位置決めし、ガラス積層体の第1のペインに、約6フィート(182.88cm)の高さから一度に数片落下させた12オンス(340.194g)のSAE G699の砂利を当てた。試験したガラス積層体の8つの試料のうち8つが、衝撃に耐えた。
【0109】
実施例2
図1に示されているものと同様のガラス積層体を形成した。第1のペインは、厚さ約1mmのガラス‐ガラス積層構造であった。クラッド層の厚さ(両方のクラッド層の厚さの合計)に対するコア層の厚さの比は、約9であった。クラッド層の圧縮応力は約190MPaであり、コア層の中心張力は約21MPaであった。中間層はPVBから形成され、約0.8mmの厚さを有していた。第2のペインは、厚さ約0.4mmの化学強化ガラスシートであった。
【0110】
このガラス積層体を、垂直方向から約30°の角度に位置決めし、ガラス積層体の第1のペインに、約6フィート(182.88cm)の高さから一度に数片落下させた12オンス(340.194g)のSAE G699の砂利を当てた。試験したガラス積層体の8つの試料のうち8つが、衝撃に耐えた。
【0111】
実施例3
ガラス積層体を形成する。第1のペインは、厚さ約1mmのガラス‐ガラス積層構造であった。中間層はPVBから形成され、約0.8mmの厚さを有していた。第2のペインは、厚さ約0.5mmのガラス‐ガラス積層構造であった。
【0112】
実施例4
図1に示されているものと同様のガラス積層体を形成した。第1のペインは、表2に示すように実施例4A〜4D間で変動する特性を有する、ガラス‐ガラス積層構造又は機械強化ガラスシートであった。各実施例4A〜4Dにおいて、第2のペインは、厚さ約0.7mm、CS約700MPa、及びDOL45μm(FSMで測定)の化学強化ガラスシートであった。中間層は、第1のペインと第2のペインとの間に配置された接着テープであった。
【0113】
【表2】
【0114】
各実施例4A〜4Dの10個の試料を、以下の石衝撃試験に供した。
図5〜6を参照すると、各試料500は、(
図5に具体的に示されているように)垂線510から30°に位置決めされ、機械強化ガラスシートはチューブ550に対面させられた。各試料を、
図6に示すように、デュロメータ硬さ70、幅1インチ(2.54cm)、及び厚さ1/8インチ(0.3175cm)のネオプレンインサートを含むポリ塩化ビニルフレーム520で支持した。各試料をこのように上記フレーム内に位置決めした後、12オンス(340.194g)のSAE G699グレードの砂利560を、試料500上に懸架されたPlexiglass(登録商標)製のチューブ550を通して一度に数片注いだ。砂利は機械強化ガラスシートの表面に、落下高さ570から衝突した(即ち砂利560と機械強化ガラスシートの上面との間の距離は6フィート(182.88cm)であった。(各実施例4A〜4Dに関して試験した10個の試料のうち)破砕又は破損せずに残った試料の数を表2に示す。
【0115】
実施例4A〜4Dの試料を石衝撃試験に供した後、機械強化ガラスシートを化学強化シート及び接着テープから分離して、ASTM C1499「環境温度におけるファインセラミックスの単調等軸曲げ強度のための標準試験方法(Standard Test Method for Monotonic Equibiaxial Flexural Strength of Advanced Ceramics at Ambient Temperature)」に従ったリング・オン・リング破壊荷重試験に個別に供して、機械強化ガラスシートの平均曲げ強度の保持を実証した。リング・オン・リング破壊荷重試験パラメータは、接触半径1.6mm、クロスヘッド速度1.2mm/分、荷重リング直径0.5インチ(1.27cm)、及び支持リング直径1インチ(2.54cm)を含んでいた。砂利が衝突した機械強化ガラスシートの表面を、張力下に置いた。試験前に、破損したガラスの破片を内包するために、接着フィルムを試験対象のシートの両側に配置した。
【0116】
各比較例4E〜4Hは、表3に示す厚さを有する、アニール又は熱強化ソーダライムケイ酸ガラスを含んでいた。各比較例4E〜4Hの試験試料を、実施例4A〜4Dと同一の石衝撃試験に供した。続いて各比較例4E〜4Hの10個の試料を、実施例4A〜4Dの機械強化シートと同一の方法のリング・オン・リング試験にも供した。
【0117】
【表3】
【0118】
残留強度の結果を
図7に示す。この
図7は、極めて薄い機械強化ガラスシートが石衝撃試験で損傷した場合でさえ、このようなシートが、同一の方法で(即ち石衝撃試験で)損傷した遥かに厚いソーダライムケイ酸ガラスよりも大幅に高い破壊荷重を呈したことを示している。具体的には、CTが30MPa以上である実施例4C及び4Dの機械強化シートは、比較例4E〜4Hよりも遥かに高い破壊荷重を呈した。
【0119】
理論によって束縛されるものではないが、本明細書に記載の機械強化ペインを含む積層体は、個々のペインの強度により、このようなペインの厚さが約1mm以下(例えば0.7mm)である場合でさえ、石衝撃試験における残存が改善されたと考えられる。また、強化ガラスペインと組み合わせた場合に残存が改善されると考えられる。
【0120】
比較例4Eの残留強度を、6mm厚の化学強化ソーダライムガラス基板(比較例4I)及び2mm厚の機械強化ガラス基板(実施例4J)の残留強度と比較した。比較例4E及び4I並びに実施例4Jを、(単一の基板として)石衝撃試験に供し、その後リング・オン・リング試験で試験した。石衝撃試験及びリング・オン・リング破壊荷重試験は、実施例4A〜4Dと同一の方法で実施した。
【0121】
図8は、比較例4E、比較例4I及び実施例4Jそれぞれに関する残留強度を示す。
図8に示すように、実施例4Jは、(実施例4Jと同等の厚さを有する)比較例4E及び(実施例4Jの3倍の厚さを有する)比較例4Iよりも大幅に高い破壊荷重を呈した。
【0122】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変形を実施できることは、当業者には明らかであろう。従って本発明は、添付の請求項及びその均等物以外に照らして制限されることはないものとする。
【0123】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0124】
実施形態1
ガラス積層体であって、
ガラス‐ガラス積層構造を備える第1のペインと、
第2のペインと、
上記第1のペインと上記第2のペインとの間に配置されたポリマー材料を含む中間層と
を備える、ガラス積層体。
【0125】
実施形態2
上記ガラス‐ガラス積層構造は、約0.5mm〜約3mmの厚さを備える、実施形態1に記載のガラス積層体。
【0126】
実施形態3
上記ガラス‐ガラス積層構造は、最大約750℃の有効10
9.9P温度を有する、実施形態1又は実施形態2に記載のガラス積層体。
【0127】
実施形態4
上記ガラス‐ガラス積層構造は、第1のガラス層と、上記第1のガラス層に融着された第2の層とを備える、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のガラス積層体。
【0128】
実施形態5
上記第1のガラス層はコア層を備え、
上記第2のガラス層は第1のクラッド層及び第2のクラッド層を備え、
上記コア層は上記第1のクラッド層と上記第2のクラッド層との間に配置される、
実施形態4に記載のガラス積層体。
【0129】
実施形態6
上記第2のクラッド層は、約10MPa〜約800MPaの圧縮応力を含む、実施形態4又は実施形態5に記載のガラス積層体。
【0130】
実施形態7
上記第2のペインは第2のガラス‐ガラス積層構造を備える、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のガラス積層体。
【0131】
実施形態8
上記第2のペインは強化ガラスシートを備える、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のガラス積層体。
【0132】
実施形態9
上記強化ガラスシートは熱強化ガラスシートを含む、実施形態8に記載のガラス積層体。
【0133】
実施形態10
上記強化ガラスシートは化学強化ガラスシートを含む、実施形態8に記載のガラス積層体。
【0134】
実施形態11
上記化学強化ガラスシートは、約0.1mm〜約2mmの厚さを備える、実施形態10に記載のガラス積層体。
【0135】
実施形態12
上記化学強化ガラスシートは、上記中間層に隣接する内側表面と、約500MPa〜約950MPaの上記内側表面における表面圧縮応力と、約30μm〜約50μmの上記内側表面における圧縮層深さとを備える、実施形態10又は11に記載のガラス積層体。
【0136】
実施形態13
上記強化ガラスシートは機械強化ガラスシートを含む、実施形態8に記載のガラス積層体。
【0137】
実施形態14
上記第2のペインはガラスシートを備える、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のガラス積層体。
【0138】
実施形態15
上記第2のペインはポリマーシートを備える、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のガラス積層体。
【0139】
実施形態16
上記ポリマー材料は、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカーボネート、吸音PVB、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、イオノマー、イオノプラスト、キャストインプレイス(CIP)樹脂、熱可塑性材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1〜15のいずれか1つに記載のガラス積層体。
【0140】
実施形態17
a.耐久性試験を用いて決定された、5体積%のHCl水溶液への95℃での6時間にわたる曝露に応じた上記第1のペインの分解率は、最大約0.018mg/cm
2である;又は
b.上記耐久性試験を用いて決定された、1M HNO
3水溶液への95℃での24時間にわたる曝露に応じた上記第1のペインの分解率は、最大約0.08mg/cm
2である;又は
c.上記耐久性試験を用いて決定された、0.02N H
2SO
4水溶液への95℃での24時間にわたる曝露に応じた上記第1のペインの分解率は、最大約0.04mg/cm
2である、
のうちの少なくとも1つを満たす、実施形態1〜16のいずれか1つに記載のガラス積層体。
【0141】
実施形態18
石衝撃試験に供された後、少なくとも約200MPaの残留強度を備え、ここで:
上記第1のペインは0.7mmの厚さを備え;
上記第2のペインは、厚さ0.7mmの化学強化ガラスシート、約700MPaのCS、及び約45μmのDOLを備え;
上記中間層は接着テープを備える、
実施形態1〜17のいずれか1つに記載のガラス積層体。
【0142】
実施形態19
上記ガラス‐ガラス積層構造の表面上に形成された、無機インク又はエナメルからなるパターンを備える、実施形態1〜18のいずれか1つに記載のガラス積層体。
【0143】
実施形態20
上記パターンは、上記中間層に隣接する上記ガラス‐ガラス積層構造の内面上に配置される、実施形態19に記載のガラス積層体。
【0144】
実施形態21
上記パターンは、上記中間層から離間した上記ガラス‐ガラス積層構造の外面上に配置される、実施形態19に記載のガラス積層体。
【0145】
実施形態22
実施形態1〜21のいずれか1つに記載のガラス積層体を備える、自動車用板ガラス。
【0146】
実施形態23
実施形態1〜21のいずれか1つに記載のガラス積層体を備える、車両。
【0147】
実施形態24
実施形態1〜21のいずれか1つに記載のガラス積層体を備える、建築パネル。
【0148】
実施形態25
実施形態1〜21のいずれか1つに記載のガラス積層体を形成する方法であって、
上記方法は、中間層によって第1のペインを第2のペインに積層して、上記ガラス積層体を形成するステップを含む、方法。
【0149】
実施形態26
上記積層するステップは、湾曲状態の上記第1のペインを、略平面状状態の上記第2のペインに、上記第1のペインの軟化温度及び上記第2のペインの軟化温度未満の温度で、積層することを含む冷間成形プロセスを含み、
上記積層するステップの後、上記ガラス積層体は湾曲状態である、実施形態25に記載の方法。
【0150】
実施形態27
コア層;
上記コア層に隣接する第1のクラッド層及び上記コア層に隣接する第2のクラッド層であって、上記コア層は上記第1のクラッド層と上記第2のクラッド層との間に配置される、第1のクラッド層及び第2のクラッド層;並びに
上記ガラス‐ガラス積層構造の表面上に形成され、無機インク又はエナメルからなるパターン
を備える、ガラス‐ガラス積層構造であって、
上記第1のクラッド層及び上記第2のクラッド層は、約10MPa〜約800Mpaの圧縮応力を備える、ガラス‐ガラス積層構造。
【0151】
実施形態28
実施形態27に記載のガラス‐ガラス積層構造を備える第1のペイン;
第2のペイン;
上記第1のペインと上記第2のペインとの間に配置された、ポリマー材料を含む中間層
を備える、ガラス積層体。
【0152】
実施形態29
上記パターンは、上記中間層に隣接する上記ガラス‐ガラス積層構造の内面上に配置される、実施形態28のガラス積層体。
【0153】
実施形態30
上記パターンは、上記中間層に対向する上記ガラス‐ガラス積層構造の外面上に配置される、実施形態28のガラス積層体。