(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記から選択されたいずれか1のアミノ酸配列、及び1〜10個のアミノ酸長さのリンカー配列、ペプチドタグ、又はそれらの組み合わせからなる付加的なアミノ酸配列、からなるペプチド:
SGSWLRDVWTWLQSKL(配列番号1)、GSSWLRDVWTWLQSKL(配列番号2)、GSSWLRDVWTWLQSAL(配列番号3)、GSSWLRDVWTKLQSWL(配列番号4)、GSSWLRDIWTKLQSWL(配列番号5)、GSSWLRDIWTALQSWL(配列番号6)、GSSWLRDILTALQSLL(配列番号7)、AGSWLRDIWTWLQSAL(配列番号8)、又はAGSWLRDILTLLQSAL(配列番号9)。
a. 前記ペプチドが、1日当たり10mg〜300mgの量で前記対象に投与される;又は
b. 10mg〜300mgの前記ペプチドが、1日に2回前記対象に投与される
ように用いられる、請求項21記載の医薬組成物。
前記細菌が、黄色ブドウ球菌、腸球菌、連鎖球菌、クロストリジウム・ディフィシル、プロピオニバクテリウム・アクネス、又は炭疽菌である、請求項23記載の医薬組成物。
前記細菌が、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン感受性腸球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、ペニシリン感受性肺炎連鎖球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、シプロフロキサシン耐性菌、又はクリンダマイシン耐性菌である、請求項23記載の医薬組成物。
前記ウイルスが、フラビウイルス科、トガウイルス科、フィロウイルス科、アレナウイルス科、ポックスウイルス科、ブニヤウイルス科、又はレトロウイルス科ファミリーに属する請求項28記載の医薬組成物。
前記ウイルスが、デングウイルス、ジカウイルス、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、マールブルグウイルス、チクングニヤウイルス、エボラウイルス、HIV、又はインフルエンザウイルスである、請求項28記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(5.詳細な説明)
デングウイルス(DENV)、チクングニヤウイルス、黄熱病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、及び日本脳炎ウイルスを含む、多くの臨床的に重要なウイルス(例えば、ジカウイルス)に対する、0.5〜3μM又は1〜3μMの範囲のEC50値の、強力な広域スペクトルの抗感染活性を有する、短い両親媒性ペプチドが開発されている。際立つことに、このペプチドは、メリチンに対する同程度の抗細菌活性及びはるかにより魅力的な治療プロファイル(低い細胞毒性;>50μM)とともに、黄色ブドウ球菌皮膚細菌に対する強力な抗細菌活性(例えば、6μM又は1.5μMのMIC値)も示す。これは、他の多くの医学的に重要な細菌に対しても作用する。薬物候補として、このペプチドは、それが、薬物耐性細菌株及びウイルス株の進化に対する高い障壁を伴う膜破壊機構によって作用するので、特に魅力的である。これは、強力な広域スペクトルの抗ウイルス及び抗細菌活性を有する最初の公知のペプチドである。
【0044】
本明細書に記載されるペプチドは、強力な抗ウイルス及び抗細菌活性を有することが知られている唯一のペプチドである。競合相手の抗ウイルスペプチドは、抗細菌活性がほぼゼロである。該ペプチドは、限定されないが、フラビウイルス科、トガウイルス科、フィロウイルス科、レトロウイルス科、及びオルトミクソウイルス科ファミリーのメンバーを含む、医学的及び生体防御的に重要な多くのウイルスを標的とする。例示的なウイルスとしては、デング、チクングンヤ、エボラ、HIV、ジカウイルス、及びインフルエンザが挙げられる。作用機序は、該ペプチドが標準細菌株及び抗生物質耐性細菌株を標的とするのを可能にする。該ペプチドは、古典的な抗微生物ペプチド(多くの場合、1未満)と比較して、優れた治療指数(病原体に応じて、通常10を上回る)を有する。該ペプチドは、診療所のほとんどの治療用ペプチドと比較して、短いアミノ酸配列を有する(例えば、Rocheによって市販されている抗HIV薬エンフュヴィルタイドの36アミノ酸と比べて、16アミノ酸)。該ペプチドは水に非常に溶けやすく、製剤化しやすい。競合相手の抗ウイルスペプチドは難溶性であり、製剤化に有機溶媒を必要とする。細菌及びウイルスは、製品(本明細書に記載される抗感染ペプチド)に対して耐性を持つようになるには非常に高い障壁を有する(事実上、ゼロ)。
【0045】
(5.1 抗感染ペプチド)
本明細書に提供されるのは、抗感染ペプチド(例えば、合成ペプチド)である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、表2Aもしくは表2Bに掲載されているアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、表2A又は表2Bに掲載されているアミノ酸配列から本質的になる。
【0046】
表2A.抗感染ペプチド
【表2】
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【0047】
表2B.抗感染ペプチド
【表3】
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【0048】
当業者であれば理解しているように、アミノ酸は、アミノ酸残基の化学的及び物理的特性に応じて、様々なクラスに分類することができる。例えば、その側鎖に基づいて、親水性又は極性アミノ酸に分類されるアミノ酸残基もあれば、疎水性又は非極性アミノ酸アミノ酸に分類されるアミノ酸残基もある。「極性アミノ酸」という用語は、当業者に公知の用語である。通常、「極性アミノ酸」は、生理的pHで荷電性又は非荷電性であり、かつ通常、親水性である側鎖を有する親水性アミノ酸を指す。つまり、それらは、水性溶液によって引き付けられるアミノ酸側鎖を有する。極性アミノ酸の例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、トレオニン、及びチロシンが挙げられる。疎水性アミノ酸は当業者に公知である。通常、疎水性アミノ酸は、脂肪族側鎖又は芳香族側鎖を有するものにさらに分類することができる。脂肪族アミノ酸及び芳香族アミノ酸は当業者に公知である。通常、脂肪族アミノ酸は、水素原子及び炭素原子を含有する側鎖を有する。脂肪族アミノ酸の例としては、アラニン、イソロイシン、プロリン、及びバリンが挙げられる。通常、芳香族アミノ酸は、芳香環を含有する側鎖を含有する。芳香族アミノ酸の例としては、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、及びトリプトファンが挙げられる。場合により、アミノ酸は、サイズが小さいために、小アミノ酸に分類される。小アミノ酸の例としては、アラニン、システイン、グリシン、プロリン、セリン、及びトレオニンが挙げられる。
【0049】
当業者であれば、アミノ酸を類似の化学的及び物理的特性を有するアミノ酸と置換し得ることを理解しているであろう。これらの置換は、通常、保存的置換と呼ばれる。特定の実施態様において、保存的置換は、ペプチドの構造もしくは機能、又はその両方を変化させない。例えば、疎水性アミノ酸を別の疎水性アミノ酸に置換することができ、中性親水性アミノ酸を別の中性親水性アミノ酸に置換することができ、酸性アミノ酸を別の酸性アミノ酸に置換することができ、塩基性アミノ酸を別の塩基性アミノ酸に置換することができ、芳香族アミノ酸を別の芳香族アミノ酸に置換することができ、などである。保存的アミノ酸置換の例は、以下の表3の通りである。
【0050】
表3
【表4】
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【0051】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、表4に掲載されているアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる。
【0052】
表4.抗感染ペプチドTSG001〜TSG009のアミノ酸配列。
【表5】
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【0053】
具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる
【化65】
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。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる
【化66】
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。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる
【化67】
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。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる
【化68】
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。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる
【化69】
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。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる
【化70】
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。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる
【化71】
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。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むか又は該アミノ酸配列からなる
【化73】
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。
【0054】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、表4に掲載されているアミノ酸配列から本質的になる。別の具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列から本質的になる
【化74】
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。別の具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列から本質的になる
【化75】
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。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列から本質的になる
【化76】
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。別の具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列から本質的になる
【化77】
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。別の具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列から本質的になる
【化78】
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。別の具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列から本質的になる
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
。別の具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列から本質的になる
【化80】
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。別の具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列から本質的になる
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、以下のアミノ酸配列から本質的になる
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0055】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に開示されるペプチド配列、並びに第6節に記載されるペプチドの基本的な構造的及び機能的特徴に対して顕著な影響を与えない追加のアミノ酸残基(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸残基)を含む。例えば、当業者に公知の技法、例えば、第5.8節及び/又は第6節に記載される技法によって評価したとき、該追加のアミノ酸残基は、該ペプチドのEC50及びCC50に対して顕著な影響を与えず、第6節に記載されるペプチドの構造は維持される。特定の実施態様において、該追加のアミノ酸残基は、EC50を5倍を超えては増大させず、かつCC50を5倍を超えては減少させない。
【0056】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが16〜26アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが16アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが17アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが18アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが19アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが20アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが21アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが22アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ23アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが24アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが25アミノ酸残基である。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるペプチドを含み、かつ長さが26アミノ酸残基である。
【0057】
ある実施態様において、抗感染ペプチドは、表2A、表2B、又は表4のアミノ酸配列を含むが、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの連続するアミノ酸がN末端又はC末端から欠失している。いくつかの実施態様において、抗感染ペプチドは、表2A、表2B、又は表4のアミノ酸配列を含むが、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの連続するアミノ酸がN末端から欠失し、かつ1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの連続するアミノ酸がC末端から欠失している。
【0058】
ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは(直接的に又は間接的に)ペプチドタグ(例えば、HISタグ又はFLAGタグ)に連結される。いくつかの実施態様において、リンカー配列(例えば、1〜5、1〜10、又は5〜10アミノ酸リンカー、例えば、グリシンリンカー)は、ペプチドタグを本明細書に記載される抗感染ペプチドに連結するために使用される。他の実施態様において、ペプチドタグは、抗感染ペプチドに直接的に連結される。ペプチドタグと抗感染ペプチドの連結は、共有結合的であっても、非共有結合的であってもよい。
【0059】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドのアミノ酸残基はLアミノ酸である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドのアミノ酸残基はDアミノ酸である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドのアミノ酸残基はDアミノ酸とLアミノ酸の混合物である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドのアミノ酸配列はLアミノ酸を含有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドのアミノ酸配列はDアミノ酸を含有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドのアミノ酸配列はDアミノ酸とLアミノ酸の混合物を含有する。
【0060】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド(第5.1節、第5.2節、及び第6節参照)は、1つ、2つ、又はそれより多くのアミノ酸誘導体を含む。例えば、具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1つ、2つ、又はそれより多くの天然に存在しない又は遺伝的にコードされていないアミノ酸を含む。遺伝的にコードされていないアミノ酸の非限定的な例としては、α-アミノヘキサン酸、α-アミノ吉草酸、1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボン酸、2,3,-ジアミノ酪酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸、2-フルオロフェニルアラニン、3-ベゾチエニル(bezothienyl)アラニン、3-フルオロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-フルオロフェニルアラニン、A-2-チエニルアラニン、A-アラニン、A-アミノイソ酪酸、シトルリン、シクロヘキシルアラニン、ヘニルグリシン(henylglycine)、ホモアルギニン、ホモシステイン、ホモセリン、メチオニンスルホキシド、N-アセチルリジン、N-アミノフェニルアラニン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、N-メチルバリン、ナフチルアラニン、ノルロイシン、オルニチン、ペニシラミン、ピリジルアラニン、t-ブチルアラニン、及びt-ブチルグリシンが挙げられる。
【0061】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1つ、2つ、又はそれより多くの修飾されたペプチド結合を含む。修飾されたペプチド結合の非限定的な例としては、-CH
2NH-、-CH
2S-、-CH
2-CH
2、-CH=CH-(シス及びトランス)、-COCH
2-、-CH(OH)CH
2-、並びに-CH
2SO-が挙げられる。
【0062】
側鎖架橋は、ペプチドらせんを安定化及び/又は模倣することを目的とする数多くの戦略のうちの1つである。ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドはステープル化ペプチドである。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1つ2つ、3つ、又はそれより多くのステープルを含む。ステープル化ペプチド及びステープル化ペプチドを産生する方法の説明については、例えば、その各々が引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開第2010/0093086A1号及びBirdらの文献、「炭化水素二重ステープル化は長いペプチド治療剤のタンパク質分解的不安定化を改善する(Hydrocarbon double-stapling remedies the proteolytic instability of a lengthy peptide therapeutic.)」、PNAS 107(32): 14093-14098(2010)を参照されたい。
【0063】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは脂質化される。具体的な実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くの脂質又は脂肪酸が該ペプチドに付加される。ペプチド脂質化及びペプチドを脂質化する方法の説明については、例えば、その各々が引用により本明細書中に組み込まれる、例えば、Zhang及びBulajの文献、「脂質化によってペプチドを薬物リードに変換する(Converting peptides into drug leads by lipidation)」、Curr. Med. Chem. 19(11): 1602-1618(2012)、並びにWardらの文献、「ペプチド脂質化は構造を安定化して、生体機能を増強する(Peptide lipidation stabilizes structure to enhance biological function.)」、Mol. Metabol. 2(4): 468-479(2013)を参照されたい。
【0064】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドはペグ化される。本明細書に記載されるペプチドのペグ化の説明については、第5.2節及び第6節を参照されたい。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは(直接的に又は間接的に)親水性ポリマーに連結される。親水性ポリマーの説明については、第5.2節を参照されたい。
【0065】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載される微生物のうちの1つ、2つ、又はそれより多くに対して効果がある。例えば、本明細書に記載される抗感染ペプチド又はそのような抗感染ペプチドを含む組成物(第5.4参照)は、以下の結果:(i)第5.7節に記載される微生物のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多くの増殖の阻害;(ii)第5.7節に記載される微生物のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多くの複製の阻害;(iii)第5.7節に記載される微生物のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多くの死滅;(iv)第5.7節に記載される微生物のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多くの感染の治療;(v)第5.7節に記載される微生物のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多くの感染の予防;(vi)第5.7節に記載される微生物のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多くに起因もしくは関連する疾患の治療;(vii)第5.7節に記載される微生物のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多くに起因もしくは関連する疾患の予防;(viii)無生物体表面もしくは生物表面の消毒;及び/又は(viii)無生物体もしくは生物材料の消毒のうちの1つ、2つ、又はそれより多くを達成するのに効果がある。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載されるウイルスファミリーのうちの1つ、2つ、又はそれより多くに対して効果がある。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載されるウイルスのうちの1つ、2つ、又はそれより多くに対して効果がある。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載される細菌ファミリーのうちの1つ、2つ、又はそれより多くに対して効果がある。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載される細菌のうちの1つ、2つ、又はそれより多くに対して効果がある。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載されるウイルスファミリーのうちの1つ、2つ、又はそれより多く及び第5.7節に記載される細菌ファミリーのうちの1つ、2つ、又はそれより多くに対して効果がある。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載されるウイルスファミリーのうちの1つ、2つ、又はそれより多く及び第5.7節に記載される細菌のうちの1つ、2つ、又はそれより多くに対して効果がある。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載されるウイルスのうちの1つ、2つ、又はそれより多く及び第5.7節に記載される細菌ファミリーのうちの1つ、2つ、又はそれより多くに対して効果がある。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載されるウイルスのうちの1つ、2つ、又はそれより多く及び第5.7節に記載される細菌のうちの1つ、2つ、又はそれより多くに対して効果がある。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、膣内微生物叢に対して効果がない。例えば、具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、膣内微生物叢の細菌に対して50μM超のMICを有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、膣内微小環境の1つ、2つ、又はそれより多くの細菌に対して効果がない。具体的な実施態様において、膣内微小環境の細菌は、ラクトバチルス・イエンセニイ(Lactobacillus jensenii)である。具体的な実施態様において、膣内微小環境の細菌は、ラクトバチルス・クリスパトゥス(Lactobacillus crispatus)である。具体的な実施態様において、膣内微小環境の細菌は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)である。
【0066】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは両親媒性らせんである。具体的な実施態様において、該抗感染ペプチドはわずかにらせん状である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、蒸留水中0.1〜0.5及びリン酸緩衝生理食塩水中0.1〜0.6のヘリシティ率を有する。ヘリシティ率は、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の技法を用いて決定することができる。例えば、円二色性を以下のように使用することができる: CD実験を1mm路長の石英キュベット(Hellma)を用いてAVIV Model 420分光計(AVIV Biomedical, Lakewood, NJ, USA)で実施する。スペクトルデータを0.5nmのステップサイズ及び4sの平均化時間で収集する。全てのスペクトルを、1-nmの帯域幅を用いて190〜260nmまで25℃で記録し、3回のスキャンにわたって平均化する。CDスペクトルを50μMのペプチドへの2.5mMのPOPC脂質小胞の添加の前及び後に記録する。バッファーのみ又はリポソームのみでのベースラインスキャンも同じ機器設定を用いて実施し、この寄与をペプチドに関するそれぞれのデータスキャンから差し引いた。補正されたスペクトルは、平均残基モル楕円率(Θ)で表され、ペプチドのヘリシティ率は、以下のように計算される:
fH=([Θ]
222-3,000)/(-36,000-3000)(ここで、[Θ]
222は、222nmでのモル楕円率である)。ヘリシティ率を決定するための技法の説明については、例えば、本明細書中に組み込まれる、J. D. Morrisett、J. S. David、H. J. Pownall、A. M. Gotto Jrの文献、アポリポタンパク質(apoLP-アラニン)とホスファチジルコリンとの相互作用(Interaction of an apolipoprotein (apoLP-alanine) with phosphatidylcholine.)、Biochemistry 12, 1290-1299(1973)を参照されたい。
【0067】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、双性イオン脂質小胞中で顕著ならせん誘起(例えば、20%を超える増加)を受ける。つまり、溶液中の(PBS中の)その二次構造状態から脂質膜に挿入されたときの(PBS中の)その二次構造状態へとヘリシティが増加する。ペプチドのヘリシティが脂質膜中でより大きくなる場合、ペプチドはより安定となるので、会合して脂質膜に入ることを好む。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、双性イオン脂質小胞中で21%〜50%又は21%〜30%増のらせん誘起を受ける。別の具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、双性イオン脂質小胞中で、下の表5に示されるらせん誘起を受ける。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、フォールディングされて、双性イオン脂質小胞中でα-ヘリックス状態になる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、双性イオン脂質小胞中で83%のヘリシティを有する。具体的な実施態様において、らせん誘起は、円二色性によって決定される(例えば、第5.8節を参照)。他の実施態様において、らせん誘起は、タンパク質アルゴリズム又はFTIR分光法を用いて決定される。FTIR分光法の説明については、例えば、Haris、Parvez I.、及びDennis Chapmanの文献、「フーリエ変換IR分光法を用いたペプチドの立体構造解析(The conformational analysis of peptides using Fourier transform IR spectroscopy.)」、Biopolymers 37.4(1995): 251-263を参照されたい。
【0068】
表5
【表6】
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【0069】
任意の特定の理論に束縛されるものではないが、具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、例えば、小さいエンベロープ型ウイルスなどの、高度に湾曲した膜に対して優先的に活性がある膜湾曲センサーとして働く。例えば、具体的な実施態様において、該抗感染ペプチドは、双性イオン脂質二重層中への強い分配を示す。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、直径200nm未満の高湾曲の双性イオン脂質小胞について、約10
5の脂質-水分配係数(別名、分配定数)を有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、より大きい小胞中にごくわずかしか分配されない。ごくわずかな分配は、1×10
4未満の脂質-水分配係数を意味する。具体的な実施態様において、双性イオン1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン脂質二重層中への該ペプチドの分配は、蛍光分光法によって決定される(例えば、第5.8節を参照)。
【0070】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドはカチオン性である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、+1の正味電荷を有する。例えば、TSG001(配列番号1)、TSG002(配列番号2)、TSG004(配列番号4)、及びTSG005(配列番号5)の各々は、+1の正味電荷を有する。他の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、0の正味電荷を有する。例えば、TSG003(配列番号3)、TSG006(配列番号6)、TSG007(配列番号7)、TSG008(配列番号8)、及びTSG009(配列番号9)の各々は、0の正味電荷を有する。具体的な実施態様において、該抗感染ペプチドは、表2A、2B、又は4に記載されているペプチドである。
【0071】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、低い凝集傾向を有する。凝集傾向は、280nmの波長での吸光度測定によって決定することができ、これにより、トリプトファン、チロシン、及びフェニルアラニンの数によって規定されるモル吸光係数に基づくペプチドのモル濃度を決定することができる。低い凝集傾向(つまり、良い分散)は、ペプチドが水性溶液(例えば、蒸留水)中で良好に再構成することを意味し、60%以上と定義される(ここで、%は、吸光度測定によって測定される実験的モル質量/乾燥質量及び分子量に基づく理論的モル質量×100%と定義される)。対照的に、高い凝集傾向(つまり、悪い分散)は、60%未満と定義される(ここで、%は、吸光度測定によって測定される実験的モル質量をペプチドの乾燥質量及び分子量に基づいて計算される理論的モル質量で割ったもの×100%と定義される)。
【0072】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載されるウイルスに対する本明細書に記載されるEC50を有する。当業者であれば、「EC50」が半最大応答をもたらすのに必要とされる活性化合物(例えば、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物)の濃度を指すことを認識しているであろう。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、0.1μM〜20μMのEC50を有する。具体的な実施態様において、EC50は、0.1μM〜2.5μM、0.1μM〜5μM、0.1μM〜10μM、0.1μM〜15μM、0.1μM〜20μM、1μM〜2.5μM、1μM〜5μM、1μM〜15μM、1μM〜15μM、又は1μM〜20μMである。具体的な実施態様において、EC50は、20μM未満、15μM未満、10μM未満、5μM未満、2.5μM未満、1μM未満、又は0.1μM未満である。具体的な実施態様において、EC50は、第5.8節及び/又は第6節に記載されている通りに決定される。
【0073】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載されるウイルスに対する本明細書に記載されるIC50を有する。当業者であれば、「IC50」が所与の生物学的過程又は生物学的過程の構成要素(例えば、細菌又はウイルス感染)を半分阻害するのに必要とされる活性化合物(例えば、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物)の濃度を指すことを認識しているであろう。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、0.1μM〜20μMのIC50を有する。具体的な実施態様において、IC50は、0.1μM〜2.5μM、0.1μM〜5μM、0.1μM〜10μM、0.1μM〜15μM、0.1μM〜20μM、1μM〜2.5μM、1μM〜5μM、1μM〜10μM、1μM〜15μM、又は1μM〜20μMである。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、20μM未満、15μM未満、10μM未満、5μM未満、2.5μM未満、1μM未満、又は0.1μM未満のIC50を有する。具体的な実施態様において、IC50は、第5.8節及び/又は第6節に記載されている通りに決定される。
【0074】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、本明細書に記載されるCC50を有する。当業者であれば、「CC50」が、治療される集団内の細胞の半分にとって細胞毒性となるのに必要とされる活性化合物(例えば、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物)の濃度を指すことを認識しているであろう。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、動物細胞(例えば、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株由来のヒト細胞)で1μM〜200μMのCC50を有する。具体的な実施態様において、CC50は、動物細胞(例えば、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株由来のヒト細胞)で10μM〜25μM、10μM〜50μM、10μM〜100μM、10μM〜150μM、10μM〜200μM、15μM〜25μM、15μM〜50μM、15μM〜100μM、15μM〜150μM、15μM〜200μM、25μM〜50μM、25μM〜100μM、25μM〜150μM、25μM〜200μM、50μM〜75μM、50μM〜100μM、50μM〜125μM、50μM〜150μM、50μM〜200μM、75μM、及び100μM、75μM〜125μM、75μM〜150μM、75μM〜200μM、125μM〜150μM、125μM〜200μM、又は150μM〜200μMμMである。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、動物細胞(例えば、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株由来のヒト細胞)で10μMよりも大きい、25μMよりも大きい、50μMよりも大きい、75μMよりも大きい、100μMよりも大きい、125μMよりも大きい、又は150μMよりも大きいCC50を有する。具体的な実施態様において、CC50は、第5.8節及び/又は第6節に記載されている通りに決定される。
【0075】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、本明細書に記載される治療指数(「TI」)を有する。当業者であれば、治療指数が治療効果を有するのに必要とされる活性化合物(例えば、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物)の量と毒性を生じる活性化合物(例えば、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物)の量との比較を指すことを認識しているであろう。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1〜150のTIを有する。具体的な実施態様において、TIは、2〜5、2〜10、2〜15、2〜20、20〜25、10〜25、10〜50、10〜100、10〜125、10〜150、25〜50、25〜100、25〜125、25〜150、50〜75、50〜100、50〜125、50〜150、75〜100、75〜125、又は75〜150である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、10よりも大きい、25よりも大きい、50よりも大きい、75よりも大きい、100よりも大きい、又は125よりも大きいTIを有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1〜150のTIを有する。具体的な実施態様において、TIは、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、及び日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)に対して、2〜5、2〜10、2〜15、2〜20、20〜25、10〜25、10〜50、10〜100、10〜125、10〜150、25〜50、25〜100、25〜125、25〜150、50〜75、50〜100、50〜125、50〜150、75〜100、75〜125、又は75〜150である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、及び日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)に対して、10よりも大きい、25よりも大きい、50よりも大きい、75よりも大きい、100よりも大きい、又は125よりも大きいTIを有する。具体的な実施態様において、TIは、第5.8節及び/又は第6節に記載されている通りに決定される。
【0076】
ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、オルトミクソウイルス科ファミリーのウイルスの感染に対する抗ウイルス剤として効果がない。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、A型インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤として効果がない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)感染(例えば、Kernらの文献、Antimicrob Agents Chemother. 49(3): 1039-1045(2005)に記載されているHSV-1の感染)に対する抗ウイルス剤として効果がない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、ラクロス脳炎ウイルス(LACV)感染(例えば、GenBankアクセッション番号DQ380208.1に見られるLACV H44-71017の感染)に対する抗ウイルス剤として効果がない。
【0077】
ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、オルトミクソウイルス科ファミリーのウイルスの感染に対する抗ウイルス剤として効果がある。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、A型インフルエンザウイルス感染に対する抗ウイルス剤として効果がある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)感染(例えば、Kernらの文献、Antimicrob Agents Chemother. 49(3): 1039-1045(2005)に記載されているHSV-1の感染)に対する抗ウイルス剤として効果がある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、ラクロス脳炎ウイルス(LACV)感染(例えば、GenBankアクセッション番号DQ380208.1に見られるLACV H44-71017の感染)に対する抗ウイルス剤として効果がある。
【0078】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、本明細書に記載される、血液毒性レベル、例えば、溶血活性を有する。当業者であれば、(例えば、最小溶血濃度(「MHC」)として計算される)溶血活性が赤血球を溶解させるのに必要とされる活性化合物(例えば、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物)の最小濃度を指すことを認識しているであろう。具体的な実施態様において、溶血活性は、最小溶血濃度である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、0.5μM〜100μMのMHCを有する。具体的な実施態様において、MHCは、0.5μM〜10μM、0.5μM〜25μM、0.5μM〜50μM、0.5μM〜100μM、1μM〜5μM、1μM〜10μM、1μM〜25μM、1μM〜50μM、1μM〜100μM、10μM〜15μM、10μM〜25μM、10μM〜50μM、10μM〜100μM、10μM〜15μM、20μM〜30μM、20μM〜50μM、20μM〜100μM、50μM〜75μM、又は50μM〜100μMである。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、2μMよりも大きい、5μMよりも大きい、10μMよりも大きい、25μMよりも大きい、50μMよりも大きい、又は75μMよりも大きいMHCを有する。具体的な実施態様において、MHCは、第5.8節及び/又は第6節に記載されている通りに決定される。
【0079】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、第5.7節に記載される細菌に対する本明細書に記載される最小阻害濃度(「MIC」)を有する。当業者であれば、MICが細菌の目に見える増殖を予防するのに必要とされる活性化合物(例えば、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物)の最小濃度を指すことを認識しているであろう。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、0.1μM〜20μMのMICを有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、0.1μM〜2.5μM、0.1μM〜5μM、0.1μM〜10μM、0.1μM〜15μM、0.1μM〜20μM、1μM〜2.5μM、1μM〜5μM、1μM〜15μM、1μM〜15μM、又は1μM〜20μMのMICを有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、20μM未満、15μM未満、10μM未満、5μM未満、2.5μM未満、又は1μM未満のMICを有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、0.1μg/mL〜64μg/mLのMICを有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、0.1μg/mL〜2.5μg/mL、0.1μg/mL〜5μg/mL、0.1μg/mL〜10μg/mL、0.1μg/mL〜15μg/mL、0.1μg/mL〜20μg/mL、1μg/mL〜2.5μg/mL、1μg/mL〜5μg/mL、1μg/mL〜15μg/mL、1μg/mL〜15μg/mL、又は1μg/mL〜20μg/mLのMICを有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、20μg/mL未満、15μg/mL未満、10μg/mL未満、5μg/mL未満、2.5μg/mL未満、又は1μg/mL未満のMICを有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、20μg/mL〜25μg/mL、20μg/mL〜30μg/mL、20μg/mL〜35μg/mL、20μg/mL〜40μg/mL、20μg/mL〜45μg/mL、20μg/mL〜50μg/mL、20μg/mL〜55μg/mL、20μg/mL〜60μg/mL、又は20μg/mL〜64μg/mLのMICを有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、64μg/mL未満、55μg/mL未満、45μg/mL未満、35μg/mL未満、又は25μg/mL未満のMICを有する。具体的な実施態様において、MICは、第5.8節及び/又は第6節に記載されている通りに決定される。
【0080】
具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、表2A、表2B、又は表4に示されるアミノ酸配列を含み、長さが16〜24アミノ酸残基であり、(i)当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって測定したとき、ヒト細胞(例えば、ヒト細胞株、例えば、Caski、HEC1A、Caco-2、及びME180由来のヒト細胞、又は非ヒト細胞株、例えば、Vero、MDCK、もしくはMCBK細胞由来の非ヒト細胞)で15μM〜200μMのCC50、(ii)当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって測定したとき、ヒト赤血球細胞に対して2μM〜100μMのMHC、並びに(iii)1〜150のTIを示す。具体的な実施態様において、TIは、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、及び日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)に対して、2〜5、2〜10、2〜15、2〜20、20〜25、10〜25、10〜50、10〜100、10〜125、10〜150、25〜50、25〜100、25〜125、25〜150、50〜75、50〜100、50〜125、50〜150、75〜100、75〜125、又は75〜150である。別の具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、表2A、表2B、又は表4に示されるアミノ酸配列からなり、(i)当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって測定したとき、ヒト細胞(例えば、ヒト細胞株、例えば、Caski、HEC1A、Caco-2、及びME180由来のヒト細胞、又は非ヒト細胞株、例えば、Vero、MDCK、もしくはMCBK細胞由来の非ヒト細胞)で15μM〜200μMのCC50、(ii)当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって測定したとき、ヒト赤血球細胞に対して2μM〜100μMのMHC、並びに(iii)1〜150のTIを示す。具体的な実施態様において、TIは、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、及び日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)に対して、2〜5、2〜10、2〜15、2〜20、20〜25、10〜25、10〜50、10〜100、10〜125、10〜150、25〜50、25〜100、25〜125、25〜150、50〜75、50〜100、50〜125、50〜150、75〜100、75〜125、又は75〜150である。これらの実施態様によれば、抗感染ペプチドは、ある実施態様において、黄色ブドウ球菌(例えば、メチシリン感受性及びメチシリン耐性)、腸球菌(例えば、バンコマイシン感受性及びバンコマイシン耐性)、連鎖球菌(例えば、ペニシリン感受性及びペニシリン耐性)、炭疽菌、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌、クロストリジウム・ディフィシル、並びにプロピオニバクテリウム・アクネスに対して、0.1μM〜20μMのMICを示す。これらの実施態様によれば、抗感染ペプチドは、ある実施態様において、黄色ブドウ球菌(例えば、メチシリン感受性及びメチシリン耐性)、腸球菌(例えば、バンコマイシン感受性及びバンコマイシン耐性)、連鎖球菌(例えば、ペニシリン感受性及びペニシリン耐性)、炭疽菌、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌、クロストリジウム・ディフィシル、並びにプロピオニバクテリウム・アクネスに対して、0.1μg/mL〜20μg/mLのMICを示す。
【0081】
具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、表2A、表2B、又は表4に示されるアミノ酸配列を含み、長さが16〜24アミノ酸残基であり、(i)当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって測定したとき、0.1μM〜20μMのMIC、及び(ii)1〜100のTIを示す。具体的な実施態様において、TIは、黄色ブドウ球菌(例えば、メチシリン感受性及びメチシリン耐性)、腸球菌(例えば、バンコマイシン感受性及びバンコマイシン耐性)、連鎖球菌(例えば、ペニシリン感受性及びペニシリン耐性)、炭疽菌、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌、クロストリジウム・ディフィシル、並びにプロピオニバクテリウム・アクネスに対して、2〜5、2〜10、2〜15、2〜20、20〜25、10〜25、10〜50、10〜100、10〜125、10〜150、25〜50、25〜100、25〜125、25〜150、50〜75、又は50〜100である。これらの実施態様によれば、抗感染ペプチドは、ある実施態様において、黄色ブドウ球菌(例えば、メチシリン感受性及びメチシリン耐性)、腸球菌(例えば、バンコマイシン感受性及びバンコマイシン耐性)、連鎖球菌(例えば、ペニシリン感受性及びペニシリン耐性)、炭疽菌、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌、クロストリジウム・ディフィシル、並びにプロピオニバクテリウム・アクネスに対して、0.1μg/mL〜20μg/mLのMICを示す。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、表2A、表2B、又は表4に示されるアミノ酸配列からなり、(i)当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって測定したとき、0.1μM〜20μMのMIC、及び(ii)1〜100のTIを示す。具体的な実施態様において、TIは、黄色ブドウ球菌(例えば、メチシリン感受性及びメチシリン耐性)、腸球菌(例えば、バンコマイシン感受性及びバンコマイシン耐性)、連鎖球菌(例えば、ペニシリン感受性及びペニシリン耐性)、炭疽菌、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌、クロストリジウム・ディフィシル、並びにプロピオニバクテリウム・アクネスに対して、2〜5、2〜10、2〜15、2〜20、20〜25、10〜25、10〜50、10〜100、10〜125、10〜150、25〜50、25〜100、25〜125、25〜150、50〜75、又は50〜100である。これらの実施態様によれば、抗感染ペプチドは、ある実施態様において、黄色ブドウ球菌(例えば、メチシリン感受性及びメチシリン耐性)、腸球菌(例えば、バンコマイシン感受性及びバンコマイシン耐性)、連鎖球菌(例えば、ペニシリン感受性及びペニシリン耐性)、炭疽菌、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌、クロストリジウム・ディフィシル、並びにプロピオニバクテリウム・アクネスに対して、0.1μg/mL〜20μg/mLのMICを示す。これらの実施態様によれば、抗感染ペプチドは、ある実施態様において、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、並びに日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)に対して、2〜5、2〜10、2〜15、2〜20、20〜25、10〜25、10〜50、10〜100、10〜125、10〜150、25〜50、25〜100、25〜125、25〜150、50〜75、50〜100、50〜125、50〜150、75〜100、75〜125、又は75〜150のTIを示す。
【0082】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは蒸留水に溶ける(例えば、よく溶ける)。蒸留水又は別の水性溶液への感染ペプチドの可溶性は、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の技法によって決定することができる(第6節を参照)。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドの少なくとも80%、85%、90%、又はそれより多くは、当業者に公知の又は本明細書に記載される技法を用いて蒸留水中で再構成する。
【0083】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは非免疫原性であるか又は低い免疫原性を有する。当業者に公知の任意の技法を用いて、抗感染ペプチドの免疫原性を評価することができる。
【0084】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは膜破壊機構によって作用する。膜破壊機構の例としては、以下のもの:膜における孔形成、膜可溶化、膜流動性の低下、膜表面のコーティング、及び膜における病原性タンパク質又は糖の膜構造又は機能の形態学的変化をもたらす任意のプロセスのうちの1つ又は複数が挙げられる。これらのプロセスは、物理的及び/又は化学的プロセスによって成立させることができる。
【0085】
具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、第6節に記載される抗感染ペプチドである。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、第5.2節に記載されるようにペグ化されるか又は修飾される。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、第5.3節に記載されるように合成される。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、第5.4節に記載されるような組成物の一部として製剤化される。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、第5.5節に記載される方法で使用される。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、第5.8節に記載されるアッセイで使用される。具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、5.9に記載されるキットの構成要素である。
【0086】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは多量体化される。多量体は、2つ、3つ、又はそれより多くの抗感染ペプチドを含むことができる。
【0087】
一実施態様において、抗感染ペプチドは、表2Aに記載されているペプチドである。一実施態様において、抗感染ペプチドは、表2Bに記載されているペプチドである。一実施態様において、抗感染ペプチドは、表4のペプチドである。
【0088】
一実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは単離されている。別の実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは合成されている。
【0089】
(5.2 ペグ化抗感染ペプチド)
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド(第5.1節及び第6節を参照)は、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーで修飾される(本明細書で使用される「抗感染ペプチド」という用語は、第5.1節及び第6節に記載されるペプチド並びにそのペグ化形態を含む)。例えば、具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーに連結される。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーに連結され、ここで、該ペプチドは、表2Aもしくは表2Bに示されるアミノ酸配列を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーに連結され、ここで、該ペプチドは、表4に示されるアミノ酸配列を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる。ある実施態様において、該PEGポリマーは、該ペプチドと共有結合的に連結される。他の実施態様において、該PEGポリマーは、該ペプチドと非共有結合的に連結される。具体的な実施態様において、該PEGポリマーは、該ペプチドと直接的に連結される。他の実施態様において、該PEGポリマーは、該ペプチドと間接的に連結される。具体的な実施態様において、該PEGポリマーは、500〜1,000ダルトン、500〜2,000ダルトン、500〜3,000ダルトン、500〜4,000ダルトン、又は500〜5,000ダルトンの分子量範囲のものである。具体的な実施態様において、該PEGポリマーは、1,000〜5,000ダルトン、2,000〜5,000ダルトン、3,000〜5,000ダルトン、又は4,000〜5,000ダルトンの分子量範囲のものである。別の実施態様において、該PEGポリマーは、500〜5,000ダルトンの分子量範囲のものである。該PEGポリマーは、分岐状であっても、非分岐状であっても、叉状であってもよい。ある実施態様において、該PEGポリマーの1つ、2つ、又はそれより多くは分岐状である。いくつかの実施態様において、該PEGポリマーの1つ、2つ、又はそれより多くは非分岐状である。ある実施態様において、該PEGポリマーの1つ、2つ、又はそれより多くは叉状である。
【0090】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1つのPEGモノマーを含有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、オリゴマー化PEG(PEGポリマー)を含有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、2個〜数百個のPEGモノマーを含有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、1〜5、5〜10、10〜15、15〜20、10〜20、20〜25、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、又は100〜200個のPEG単位を含有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、24個のPEGモノマーを含有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、2つのPEGポリマーを含有し、ここで、各々のPEGポリマーは、12個のPEGモノマーを含む。
【0091】
本明細書に記載される抗感染ペプチドは、例えば、該ペプチドのN末端、該ペプチドのC末端、該ペプチドのリジン残基、又は該ペプチドのアルギニン残基で、1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーに連結されることができる。具体的な実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーは、ペプチドのN末端に連結される。別の具体的な実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーは、ペプチドのC末端に連結される。別の具体的な実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーは、ペプチドのリジン残基に連結される。別の具体的な実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーは、ペプチドのアルギニン残基に連結される。ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、以下の箇所:該ペプチドのN末端、該ペプチドのC末端、該ペプチドのリジン残基、及び/又は該ペプチドのアルギニン残基のうちの2つ以上で2以上のPEGポリマーに連結される。
【0092】
具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化83】
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を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された24単位のPEGポリマーを含有する。別の具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された24単位のPEGポリマーを含有する。別の具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された24単位のPEGポリマーを含有する。別の具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された24単位のPEGポリマーを含有する。別の具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された24単位のPEGポリマーを含有する。
【0093】
具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化88】
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を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された2つの12単位のPEGポリマーを含有する。別の具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化89】
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を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された2つの12単位のPEGポリマーを含有する。別の具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化90】
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を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された2つの12単位のPEGポリマーを含有する。別の具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された2つの12単位のPEGポリマーを含有する。別の具体的な実施態様において、アミノ酸配列
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、該アミノ酸配列から本質的になるか、又は該アミノ酸配列からなる抗感染ペプチドは、該抗感染ペプチドのN末端に付加された2つの12単位のPEGポリマーを含有する。本明細書で使用される場合、「PEG12」は、12 PEGモノマー単位のPEGポリマーを指す。
【0094】
具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチドを含み、ここで、該ペプチドは、長さが16〜24アミノ酸残基であり、かつ表2A又は表2Bに示されるアミノ酸配列を含む。具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチドを含み、ここで、該ペプチドは、表2A又は表2Bに示されるアミノ酸配列からなる。具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチドを含み、ここで、該ペプチドは、長さが16〜24アミノ酸残基であり、かつ表4に示されるアミノ酸配列を含む。具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチドを含み、ここで、該ペプチドは、表4に示されるアミノ酸配列からなる。ある実施態様において、該ペプチドは、C末端でアミド化されている。
【0095】
具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチド-NH
2を含み、ここで、該ペプチドは、長さが16〜24アミノ酸残基であり、かつ表2A又は表2Bに示されるアミノ酸配列を含む。具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチド-NH
2を含み、ここで、該ペプチドは、表2A又は表2Bに示されるアミノ酸配列からなる。具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチド-NH
2を含み、ここで、該ペプチドは、長さが16〜24アミノ酸残基であり、かつ表4に示されるアミノ酸配列を含む。具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチド-NH
2を含み、ここで、該ペプチドは、表4に示されるアミノ酸配列からなる。ある実施態様において、該ペプチドは、C末端でアミド化されている。
【0096】
具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチド-COOHを含み、ここで、該ペプチドは、長さが16〜24アミノ酸残基であり、かつ表2A又は表2Bに示されるアミノ酸配列を含む。具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチド-COOHを含み、ここで、該ペプチドは、表2A又は表2Bに示されるアミノ酸配列からなる。具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチド-COOHを含み、ここで、該ペプチドは、長さが16〜24アミノ酸残基であり、かつ表4に示されるアミノ酸配列を含む。具体的な実施態様において、ペグ化ペプチドは、以下の構造: NH
2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチド-COOHを含み、ここで、該ペプチドは、表4に示されるアミノ酸配列からなる。
【0097】
ある実施態様において、親水性ポリマーは抗感染ペプチドに付加される。親水性ポリマーは、抗感染ペプチドに(直接的に又は間接的に)連結されることができる。具体的な実施態様において、リンカー(例えば、1〜5、5〜10、又は1〜10アミノ酸リンカー、例えば、グリシンリンカー)は、親水性ポリマーを抗感染ペプチドに連結するために使用される。親水性ポリマーは、抗感染ペプチドに共有結合的に又は非共有結合的に連結されることができる。親水性ポリマーは、PEGの機能性類似体である基本的に構造化されていない親水性アミノ酸ポリマーであってもよい。親水性ポリマーの例としては、XTEN(Amunix;これは864アミノ酸長であり、かつ6つのアミノ酸(A、E、G、P、S、及びT)から構成されている)、PAS(XL-Protein GmbH;さらにより制限されたわずか3つの非荷電小アミノ酸であるプロリン、アラニン、及びセリンの組から構成されたランダムコイルポリマー)、ポリ(メタクリレート)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、ジビニルエーテル-無水マレイン(DIVEMA)、ポリオキサゾリン、ポリホスフェート、ポリホスファゼン、及び従来型PEGの誘導体(例えば、ヒドロキシ-PEG)が挙げられる。ある実施態様において、2つ、3つ、又はそれより多くの親水性ポリマーは抗感染ペプチドに連結される。親水性ポリマーは、C末端、N末端、又はC末端とN末端の両方でペプチドに連結されることができる。
【0098】
具体的な実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の技法によって評価したとき、該ペプチドのインビボでの半減期を増大させる。ペプチドの半減期を評価するための技法の説明については、例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、Bird, Gregory H.らの文献、炭化水素二重ステープル化は長いペプチド治療剤のタンパク質分解による不安定化を改善する(Hydrocarbon double-stapling remedies the proteolytic instability of a lengthy peptide therapeutic.)」、Proceedings of the National Academy of Sciences 107.32(2010): 14093-14098を参照されたい。例えば、ある非ヒト動物(例えば、マウス)に、特定の濃度の抗感染ペプチドを投与することができ、同じ種の別の非ヒト動物(例えば、マウス)に、ペグ化されているか又は親水性ポリマーを含む同じ抗感染ペプチドを投与することができる。該ペプチドの投与後の様々な時点で、血液を各々の動物から採取し、各々の時点での各々の動物由来の血液中のペプチドの濃度を、例えば、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によって評価することができる。
【0099】
ある実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の技法によって評価したとき、該ペプチドのインビボでの半減期を、2〜5倍、2〜10倍、2〜20倍、2〜25倍、2〜50倍、2〜75倍、又は2〜100倍増大させる。いくつかの実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の技法によって評価したとき、該ペプチドのインビボでの半減期を、5〜10倍、5〜20倍、5〜25倍、5〜50倍、5〜75倍、又は5〜100倍増大させる。ある実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の技法によって評価したとき、該ペプチドのインビボでの半減期を、10〜20倍、10〜25倍、10〜50倍、10〜75倍、又は10〜100倍増大させる。いくつかの実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の技法によって評価したとき、該ペプチドのインビボでの半減期を、25倍〜50倍、25〜75倍、又は25〜100倍増大させる。ある実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の技法によって評価したとき、該ペプチドのインビボでの半減期を、50〜75倍又は2〜100倍増大させる。
【0100】
具体的な実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって評価したとき、エンベロープ型ウイルス(例えば、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、並びに日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)、エボラウイルス及び/又はマールブルグウイルス)に対するペプチドのEC50を、2〜5倍、2〜10倍、2〜20倍、2〜25倍、2〜50倍、又は2〜75倍より大きくは増大させない。いくつかの具体的な実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって評価したとき、エンベロープ型ウイルス(例えば、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、並びに日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)、エボラウイルス及び/又はマールブルグウイルス)に対するペプチドのEC50を、5〜10倍、5〜20倍、5〜25倍、5〜50倍、又は5〜75倍より大きくは増大させない。ある具体的な実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって評価したとき、エンベロープ型ウイルス(例えば、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、並びに日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)、エボラウイルス及び/又はマールブルグウイルス)に対するペプチドのEC50を、10〜20倍、2〜25倍、10〜50倍、又は10〜75倍より大きくは増大させない。いくつかの具体的な実施態様において、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドのペグ化又は本明細書に記載される抗感染ペプチドへの親水性ポリマーの付加は、当業者に公知の又は本明細書に記載される技法によって評価したとき、エンベロープ型ウイルス(例えば、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、並びに日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)、エボラウイルス及び/又はマールブルグウイルス)に対するペプチドのEC50を、25〜50倍又は25〜75倍より大きくは増大させない。
【0101】
具体的な実施態様において、
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、これから本質的になるか、又はこれからなるペプチドのペグ化は、本明細書に記載される又は当業者に公知のアッセイを用いて、エンベロープ型ウイルス(例えば、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、並びに日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)、エボラウイルス及び/又はマールブルグウイルス)に対するペプチドのEC50を、第6節に示される近似量だけ増大させる。別の具体的な実施態様において、
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、これから本質的になるか、又はこれからなるペプチドのペグ化は、本明細書に記載される又は当業者に公知のアッセイを用いて、エンベロープ型ウイルス(例えば、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、並びに日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)、エボラウイルス及び/又はマールブルグウイルス)に対するペプチドのEC50を、第6節に示される近似量だけ増大させる。
【0102】
具体的な実施態様において、
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、これから本質的になるか、又はこれからなるペプチドへの親水性ポリマーの付加は、本明細書に記載される又は当業者に公知のアッセイを用いて、エンベロープ型ウイルス(例えば、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、並びに日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)、エボラウイルス及び/又はマールブルグウイルス)に対するペプチドのEC50を、第6節に示される近似量だけ増大させる。別の具体的な実施態様において、
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
を含むか、これから本質的になるか、又はこれからなるペプチドへの親水性ポリマーの付加は、本明細書に記載される又は当業者に公知のアッセイを用いて、エンベロープ型ウイルス(例えば、デング血清型1(例えば、デング血清型1 PRS41393)、デング血清型2(例えば、デング血清型2ニューギニアC)、デング血清型3(例えば、デング血清型3 H87)、デング血清型4(例えば、デング血清型4 H241)、チクングニヤウイルス(例えば、チクングニヤウイルス181/25)、黄熱病ウイルス(例えば、黄熱病ウイルス17D)、並びに日本脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス14-14-2)、エボラウイルス及び/又はマールブルグウイルス)に対するペプチドのEC50を、第6節に示される近似量だけ増大させる。
【0103】
本明細書で使用される場合、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、数と一緒に使用されるとき、言及されている数の1、5、又は10%以内の任意の数を指す。ある実施態様において、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、列挙されている正確な数を指す。
【0104】
本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節及び第6節を参照)は、ペプチドのペグ化のための当技術分野で公知の任意の方法によるか、又は本明細書に記載される任意の方法(例えば、第6節を参照)によって、1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーに連結されることができる。本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節及び第6節を参照)は、当業者に公知の技法を用いて、1つ、2つ、又はそれより多くの親水性ポリマーに連結されることができる。本明細書に記載される方法は、別途示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、並びに当業者の技能の範囲内にある関連分野における従来の技法を包含する。
【0105】
具体的な実施態様において、第5.1節に記載される抗感染ペプチドは、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の技法によってペグ化される。別の具体的な実施態様において、第6節に記載される抗感染ペプチドは、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の技法によってペグ化される。別の具体的な実施態様において、ペグ化された抗感染ペプチドは、第5.3節に記載されている通りに合成される。具体的な実施態様において、ペグ化された抗感染ペプチドは、第5.4節に記載されるような組成物の一部として製剤化される。具体的な実施態様において、ペグ化された抗感染ペプチドは、第5.5節に記載される方法で使用される。具体的な実施態様において、ペグ化された抗感染ペプチドは、第5.8節に記載されるアッセイで使用される。具体的な実施態様において、ペグ化された抗感染ペプチドは、5.9に記載されるキットの構成要素である。
【0106】
具体的な実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くの親水性ポリマーに連結された抗感染ペプチドは、第5.4節に記載されるような組成物の一部として製剤化される。具体的な実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くの親水性ポリマーは、第5.5節に記載される方法で使用される。具体的な実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くの親水性ポリマーに連結された抗感染ペプチドは、第5.8節に記載されるアッセイで使用される。具体的な実施態様において、1つ、2つ、又はそれより多くの親水性ポリマーに連結された抗感染ペプチドは、5.9に記載されるキットの構成要素である。
【0107】
一実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは単離されている。別の実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは合成されている。
【0108】
(5.3 抗感染ペプチドの合成)
本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)は、ペプチドの合成のための当技術分野で公知の任意の方法によって、特に、化学合成もしくは組換え発現技法によるか、又は本明細書に記載される任意の方法(例えば、第6節を参照)によって産生することができる。本明細書に記載される方法は、別途示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、並びに当業者の技能の範囲内にある関連分野における従来の技法を包含する。これらの技法は、本明細書で引用されている参考文献に記載されており、かつ文献中で十分に説明されている。例えば、Maniatisらの文献(1982)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献(1989)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献(2001)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次更新版);免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次更新版)、Gait(編)(1984)、オリゴヌクレオチド合成:実践的アプローチ(Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach)、IRL Press; Eckstein(編)(1991)、オリゴヌクレオチド及び類似体:実践的アプローチ(Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach)、IRL Press; Birrenら(編)(1999)、ゲノム解析:実験マニュアル(Genome Analysis: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0109】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、合成によって産生される。本明細書に記載される抗感染ペプチドは、従来の段階的液相合成又は固相合成を用いて調製することができる(例えば、ペプチド及びタンパク質合成の化学的アプローチ(Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins)、Williamsら編、1997, CRC Press, Boca Raton Fla.、及びその中で引用されている参考文献;固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach)、Atherton及びSheppard編、1989, IRL Press, Oxford, England、及びその中で引用されている参考文献を参照)。
【0110】
或いは、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、例えば、Liuらの文献、1996, Tetrahedron Lett. 37(7):933-936; Bacaらの文献、1995, J. Am. Chem. Soc. 117:1881-1887; Tamらの文献、1995, Int. J. Peptide Protein Res. 45:209-216; Schnolzer及びKentの文献、1992, Science 256:221-225; Liu及びTamの文献、1994, J. Am. Chem. Soc. 116(10):4149-4153; Liu及びTamの文献、1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6584-6588; Yamashiro及びLiの文献、1988, Int. J. Peptide Protein Res. 31:322-334に記載されているセグメント縮合によって調製することができる。本明細書に記載される抗感染ペプチドを合成するのに有用な他の方法は、Nakagawaらの文献、1985, J. Am. Chem. Soc. 107:7087-7092に記載されている。
【0111】
具体的な実施態様において、抗感染ペプチドは、標準的なF-moc固相合成によって生成される。例えば、抗感染ペプチドは、標準的なF-moc固相合成によって生成され、逆相高速液体クロマトグラフィーによって精製される。精製ペプチドの分子量は、MALDI質量分析によって決定される。凍結乾燥ペプチド試料は、長期保存用に-20℃で保持される。アリコートは、該ペプチドを脱イオン水に室温で2mg/mLのストック溶液まで溶解させることにより調製され、その後、使用するまで-20℃で保存される。溶液中の該ペプチドのモル濃度は、280nmでの吸光度測定によって決定される、アミノ酸配列中に存在する各々の芳香族トリプトファン残基のモル吸光係数を考慮することにより推定される。
【0112】
リンカーを含む抗感染ペプチドは、合成の適当な段階でリンカーを抗感染ペプチド鎖に付加することにより合成することができる。好適な保護スキーム及び化学反応は周知であり、当業者には明白であろう。
【0113】
ある実施態様において、抗感染ペプチドは、組換えによって産生される。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に(例えば、第5.1節及び第6節に)記載される抗感染ペプチドをコードする核酸配列である。遺伝暗号の縮重のために、本明細書に記載される抗感染ペプチドをコードする任意の核酸が本明細書に包含される。特定の実施態様において、本明細書に提供されるのは、表2A又は表2Bに掲載されている抗感染ペプチドをコードする核酸配列である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、表4に掲載されている抗感染ペプチドをコードする核酸配列である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、第6節に記載される抗感染ペプチドをコードする核酸配列である。
【0114】
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA)及びRNA分子(例えば、mRNA)及びヌクレオチド類似体を用いて生成されるDNA又はRNAの類似体を含むことが意図される。核酸は、一本鎖又は二本鎖であることができる。
【0115】
また本明細書に提供されるのは、抗感染ペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズすることができる核酸配列である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、抗感染ペプチドをコードする核酸の断片にハイブリダイズすることができる核酸である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、抗感染ペプチドをコードする核酸の全長にハイブリダイズすることができる核酸である。核酸のハイブリダイゼーション条件の一般的パラメータは、Sambrookらの文献、分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)(第2版)、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York(1989)、及びAusubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第2巻、Current Protocols Publishing, New York(1994)に記載されている。ハイブリダイゼーションは、高いストリンジェンシー条件、中間のストリンジェンシー条件、又は低いストリンジェンシー条件の下で実施することができる。当業者は、低いストリンジェンシー条件、中間のストリンジェンシー条件、及び高いストリンジェンシー条件は、その全てが相互作用する複数の因子に左右され、また、当該核酸によっても決まることを理解するであろう。例えば、高いストリンジェンシー条件は、核酸の融解温度の5℃以内の温度、低い塩濃度(例えば、250mM未満)、及び高い共溶媒濃度(例えば、1〜20%の共溶媒、例えば、DMSO)を含むことができる。他方、低いストリンジェンシー条件は、核酸の融解温度より10℃を超えて低い温度、高い塩濃度(例えば、1000mM超)、及び共溶媒の欠如を含むことができる。
【0116】
いくつかの実施態様において、抗感染ペプチドをコードする核酸配列は単離されている。ある実施態様において、「単離された」核酸配列は、核酸の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離されている核酸分子を指す。つまり、単離された核酸配列は、天然ではそれと関連していない異種核酸を含むことができる。他の実施態様において、「単離された」核酸配列、例えば、cDNA分子は、組換え技法によって産生されたとき、他の細胞物質もしくは培養培地を実質的に含まないものであるか、又は化学合成されたとき、化学前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであることができる。「細胞物質を実質的に含まない」という用語には、核酸配列が、それが単離又は組換え産生される細胞の細胞成分から分離されている核酸配列の調製物が含まれる。したがって、細胞物質を実質的に含まない核酸配列には、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、又は5%未満の他の核酸を有する核酸配列の調製物が含まれる。「培養培地を実質的に含まない」という用語には、培養培地が調製物の容量の約50%、20%、10%、又は5%未満に相当する核酸配列の調製物が含まれる。「化学前駆物質又は他の化学物質を実質的に含まない」という用語には、核酸配列が、該核酸配列の合成に関与する化学前駆物質又は他の化学物質から分離されている調製物が含まれる。具体的な実施態様において、そのような核酸配列の調製物は、(乾燥重量で)約50%、30%、20%、10%、5%未満の対象となる核酸配列以外の化学前駆物質又は化合物を有する。
【0117】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗感染ペプチドをコードする核酸配列を含有する、発現ベクターを含む、ベクターである。具体的な実施態様において、該ベクターは、本明細書に記載される抗感染ペプチドをコードする核酸配列の発現を導くことができる発現ベクターである。発現ベクターの非限定的な例としては、プラスミド及びウイルスベクター、例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びバキュロウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。発現ベクターとしては、限定されないが、トランスジェニック動物及び非哺乳動物細胞/生物体、例えば、哺乳動物のN結合型グリコシル化を行うように改変されている哺乳動物細胞/生物体を挙げることもできる。
【0118】
発現ベクターは、本明細書に記載される抗感染ペプチドをコードし、かつ宿主細胞内での核酸の発現に好適な形態の核酸配列を含む。具体的な実施態様において、発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択される、発現される核酸に機能的に連結された、1以上の調節配列を含む。発現ベクターにおいて、「機能的に連結された」とは、対象となる核酸配列が、(例えば、インビトロ転写/翻訳系での、又はベクターが宿主細胞に導入される場合は宿主細胞内での)核酸配列の発現を可能にする様式で調節配列に連結されていることを意味することが意図される。調節配列には、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞で核酸配列の構成的発現を導くもの、特定の宿主細胞でのみ核酸配列の発現を導くもの(例えば、組織特異的調節配列)、及び特定の薬剤による刺激によって核酸配列の発現を導くもの(例えば、誘導可能な調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、タンパク質の所望の発現レベルなどのような因子によって決まり得ることが当業者には理解されるであろう。「宿主細胞」という用語は、核酸配列で形質転換又はトランスフェクトされる特定の対象細胞、及びそのような細胞の子孫又は潜在的子孫を含むことが意図される。そのような細胞の子孫は、後続の世代で起こり得る突然変異もしくは環境的影響又は宿主細胞ゲノムへの核酸配列の組込みのために、核酸配列で形質転換又はトランスフェクトされる親細胞と同一でなくてもよい。具体的な実施態様において、宿主細胞は細胞株である。
【0119】
発現ベクターを、原核生物(例えば、大腸菌(E. coli))細胞又は真核生物細胞(例えば、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Treanorらの文献、2007, JAMA, 297(14):1577-1582)を参照)、酵母細胞、植物細胞、藻類、鳥類、もしくは哺乳動物細胞)を用いた、本明細書に記載される抗感染ペプチドの発現のために設計することができる。酵母宿主細胞の例としては、分裂酵母(S. pombe)及び出芽酵母(S. cerevisiae)が挙げられるが、これらに限定されない。鳥類細胞の例としては、EB66細胞が挙げられるが、これに限定されない。哺乳動物宿主細胞の例としては、Crucell Per.C6細胞、Vero細胞、CHO細胞、VERO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞、MDCK細胞、293細胞、3T3細胞、又はWI38細胞が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、宿主細胞は、骨髄腫細胞、例えば、NS0細胞、45.6 TG1.7細胞、AF-2クローン9B5細胞、AF-2クローン9B5細胞、J558L細胞、MOPC 315細胞、MPC-11細胞、NCI-H929細胞、NP細胞、NS0/1細胞、P3 NS1 Ag4細胞、P3/NS1/1-Ag4-1細胞、P3U1細胞、P3X63Ag8細胞、P3X63Ag8.653細胞、P3X63Ag8U.1細胞、RPMI 8226細胞、Sp20-Ag14細胞、U266B1細胞、X63AG8.653細胞、Y3.Ag.1.2.3細胞、及びYO細胞である。昆虫細胞の非限定的な例としては、Sf9、Sf21、キンウワバ(Trichoplusia ni)、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)、及びカイコガ(Bombyx mori)が挙げられる。特定の実施態様において、哺乳動物細胞培養系(例えば、チャイニーズハムスター卵巣又はベビーハムスター腎臓細胞)が抗感染ペプチドの発現に使用される。別の実施態様において、植物細胞培養系が抗感染ペプチドの発現に使用される。植物細胞培養系を利用するタンパク質の産生のための植物細胞及び方法については、例えば、米国特許第7,504,560号;第6,770,799号;第6,551,820号;第6,136,320号;第6,034,298号;第5,914,935号;第5,612,487号;及び第5,484,719号、並びに米国特許出願公開第2009/0208477号、第2009/0082548号、第2009/0053762号、第2008/0038232号、第2007/0275014号、及び第2006/0204487号を参照されたい。本明細書に記載される抗感染ペプチドをコードする核酸配列を含む宿主細胞は単離されたものであることができる、すなわち、該細胞は、対象の体外にある。ある実施態様において、該宿主細胞は、本明細書に記載される抗感染ペプチドをコードする核酸配列を発現するように改変される。具体的な実施態様において、該宿主細胞は細胞株由来の細胞である。
【0120】
発現ベクターは、従来の形質転換又はトランスフェクション技法によって宿主細胞に導入されることができる。そのような技法としては、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストランによるトランスフェクション、リポフェクション、及びエレクトロポレーションが挙げられるが、これらに限定されない。宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトするための好適な方法は、Sambrookらの文献、1989、分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Press, New York、及び他の実験マニュアルに見出すことができる。ある実施態様において、宿主細胞は、抗感染ペプチドをコードする核酸配列を含有する発現ベクターで一過性にトランスフェクトされる。他の実施態様において、宿主細胞は、抗感染ペプチドをコードする核酸配列を含有する発現ベクターで安定にトランスフェクトされる。
【0121】
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについて、使用される発現ベクター及びトランスフェクション技法によっては、細胞のごく一部しか外来性DNAをそのゲノムに組み込むことができないことが知られている。これらの組込み体を同定及び選択するために、(例えば、抗生物質耐性のための)選択マーカーをコードする核酸配列が、通常、対象となる核酸配列と一緒に宿主細胞に導入される。選択マーカーの例としては、G418、ハイグロマイシン、及びメトトレキセートなどの薬剤に対する耐性を付与するものが挙げられる。導入された核酸配列で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬剤選択によって同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
【0122】
宿主細胞を用いた抗感染ペプチドの組換え発現の代替法として、抗感染ペプチドをコードする核酸配列を含有する発現ベクターを、例えば、T7プロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写及び翻訳することができる。具体的な実施態様において、共役転写/翻訳系、例えば、Promega TNT(登録商標)、又は転写及び翻訳に必要な構成要素を含む細胞溶解物もしくは細胞抽出物を用いて、抗感染ペプチドを産生することができる。
【0123】
ひとたび抗感染ペプチドが産生されると、それを、タンパク質の単離又は精製のための当技術分野で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、特定の抗原に対する親和性、プロテインAによるもの、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度、又はタンパク質の単離もしくは精製のための任意の他の標準的な技法によって単離又は精製することができる。
【0124】
したがって、本明細書に提供されるのは、抗感染ペプチドを産生する方法である。一実施態様において、該方法は、抗感染ペプチドが産生されるように該ペプチドをコードする核酸配列を含有する宿主細胞を好適な培地中で培養することを含む。いくつかの実施態様において、該方法は、該ペプチドを培地又は宿主細胞から単離することをさらに含む。
【0125】
(5.4 組成物)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)の有効量を含む組成物(例えば、医薬組成物)である。また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗感染ペプチド(第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)の有効量と担体又は希釈剤とを含む組成物である。具体的な実施態様において、担体は水性溶液である。具体的な実施態様において、水性溶液は滅菌水である。別の具体的な実施態様において、水性溶液は蒸留水である。具体的な実施態様において、担体は医薬として許容し得る担体である。また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗感染ペプチド(第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)の有効量とビヒクルとを含む組成物である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、抗感染ペプチドの有効量と医薬として許容し得る担体又はビヒクルとを含む組成物であり、ここで、医薬として許容し得る担体又はビヒクルは、賦形剤、希釈剤、又はこれらの混合物を含むことができる。一実施態様において、該組成物は医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該組成物は、2つ、3つ、又はそれより多くの本明細書に記載される抗感染ペプチドを含む。
【0126】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、本明細書に記載される方法(第5.5節を参照)で使用するためのものである。例えば、抗感染ペプチドを対象に投与するか、又はインビトロの細胞培養アッセイ単独でもしくは組成物の成分として使用することができる。対象となる抗感染ペプチドは、ヒト医学もしくは獣医学で使用するための、又は本明細書に記載されるインビボ法、エクスビボ法、もしくはインビトロ法で使用するための任意の好都合な形での投与のために製剤化することができる。
【0127】
医薬組成物の製剤は、対象への投与経路によって異なる。本明細書に記載される抗感染ペプチドは、経口的に、皮内に、筋肉内に、腹腔内に、経皮的(percutaneously)に、静脈内に、皮下に、鼻腔内に、硬膜外に、舌下に、大脳内に、膣内に、経皮的(transdermally)に、経直腸的に、粘膜に、吸入によって、又は局所的に耳、鼻、目、もしくは皮膚に投与することができる。投与の様式は、医療従事者の裁量に委ねられており、身体疾患の部位又は細菌もしくはウイルス感染の種類によって一部決まることがある。
【0128】
例えば、抗感染ペプチドは、従来形態の調製物、例えば、カプセル、錠剤、マイクロカプセル、顆粒、トローチ、粉末、丸薬、注射剤、坐剤、懸濁液、及びシロップ中で、患者に、経口的に又は非経口的に投与することができる。好適な製剤は、従来の有機又は無機添加剤、例えば、賦形剤(例えば、スクロース、グルコース、ラクトース、セルロース、ソルビトール、タルク、マンニトール、リン酸カルシウム、デンプン、又は炭酸カルシウム)、バインダー(例えば、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピルピロリドン、アラビアゴム、ゼラチン、ポリエチレングリコール、デンプン、又はスクロース)、崩壊剤(例えば、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、リン酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、又はクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、又はラウリル硫酸ナトリウム)、香味剤(例えば、クエン酸、グリシン、メントール、又はオレンジパウダー)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、重亜硫酸ナトリウム、又はプロピルパラベン)、安定化剤(例えば、クエン酸、酢酸、又はクエン酸ナトリウム)、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース、ステアリン酸アルミニウム、又はポリビニルピロリクロン(pyrroliclone))、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)、及びベースワックス(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、又は白色ワセリン)を用いて、一般に利用される方法によって調製することができる。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、追加の担体、賦形剤、又はビヒクルなしで抗感染ペプチドを含有するカプセルである。
【0129】
別の例において、局所用途のために、組成物は: 5wt%以下(0.5〜5%)のヒドロキシエチルセルロース、5wt%以下(0.5〜5%)のグリセリン、及び3wt%以下(0.3〜3%)のPEGのうちの1つ、2つ、もしくはそれより多く、又はこれらの組合せを含む水性溶液中に抗感染ペプチドを含むことができる。別の例において、局所用途の組成物は、局所殺微生物剤用の従来のゲル製剤として製剤化される。別の例において、組成物は、ゲル、カプセル、錠剤、フィルム、又は膣内リングとして製剤化される。
【0130】
ある実施態様において、抗感染ペプチドは、懸濁液、例えば、リポソーム、ミセル、ナノ粒子、又は高分子電解質懸濁液中に製剤化される。いくつかの実施態様において、抗感染ペプチドは、リポソーム、ミセル、ナノ粒子、又は高分子電解質の表面に非共有結合的に又は共有結合的に連結される。連結は、直接的なものであっても、柔軟なテザー(例えば、PEGスペーサー鎖)を介するものであってもよい。
【0131】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される組成物は、4〜7.5、4.5〜7.5、5〜7.5、5.5〜7.5、6〜7.5、又は6.5〜7.5のpHを有する。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される組成物は、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、又は約7.5のpHを有する。
【0132】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、微生物増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、微生物増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドと担体とを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下での微生物増殖と比較して、微生物増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、50倍、75倍、100倍、又は1,000倍含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下での微生物増殖と比較して、微生物増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、2倍〜5倍、2倍〜10倍、2倍〜20倍、5倍〜100倍、10倍〜50倍、10倍〜100倍、又は100倍〜1,000倍含む。具体的な実施態様において、阻害される微生物増殖は、第5.7節に記載される微生物増殖である。
【0133】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、ウイルス増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、ウイルス増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドと担体とを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下でのウイルス増殖と比較して、ウイルス増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、50倍、75倍、100倍、又は1,000倍含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下でのウイルス増殖と比較して、ウイルス増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、2倍〜5倍、2倍〜10倍、2倍〜20倍、5倍〜100倍、10倍〜50倍、10倍〜100倍、又は100倍〜1,000倍含む。具体的な実施態様において、阻害されるウイルス増殖は、第5.7節に記載されるウイルス増殖である。
【0134】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、ウイルス複製を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、ウイルス複製を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドと担体とを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下でのウイルス複製と比較して、ウイルス複製を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、50倍、75倍、100倍、又は1,000倍を含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下でのウイルス複製と比較して、ウイルス複製増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、2倍〜5倍、2倍〜10倍、2倍〜20倍、5倍〜100倍、10倍〜50倍、10倍〜100倍、又は100倍〜1,000倍含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下でのウイルス複製と比較して、ウイルス複製を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、少なくとも1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9log含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下でのウイルス複製と比較して、ウイルス複製増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、0.5log〜2.5log、1log〜3log、2log〜4log、3log〜5log、4log〜6log、5log〜7log、6log〜8log、7log〜9log、又は8log〜10log含む。具体的な実施態様において、阻害されるウイルス複製は、第5.7節に記載されるウイルス複製である。
【0135】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、ウイルスを死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、ウイルスを死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドと担体とを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、集団内のウイルスの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%を死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、集団内のウイルスの10%〜20%、10%〜30%、10%〜40%、10%〜50%、10%〜60%、10%〜70%、10%〜80%、10%〜90%、又は10%〜100%を死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、集団内のウイルスの10%〜40%、20%〜60%、30%〜50%、40%〜60%、50%〜70%、60%〜80%、70%〜90%、90%〜95%、90%〜98%、又は90%〜100%を死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、ウイルスは、第5.7節に記載されるウイルスである。
【0136】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、細菌増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、該組成物は、細菌増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドと担体とを含む。具体的な実施態様において、 本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下での細菌増殖と比較して、細菌増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、50倍、75倍、100倍、又は1,000倍含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下での細菌増殖と比較して、細菌増殖を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、2倍〜5倍、2倍〜10倍、2倍〜20倍、5倍〜100倍、10倍〜50倍、10倍〜100倍、又は100倍〜1,000倍含む。具体的な実施態様において、阻害される細菌増殖は、第5.7節に記載される細菌増殖である。
【0137】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、細菌複製を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、細菌複製を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドと担体とを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下での細菌複製と比較して、細菌複製を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、50倍、75倍、100倍、又は1,000倍含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、該組成物の非存在下での細菌複製と比較して、細菌複製を阻害するのに有効な量の抗感染ペプチドを、2倍〜5倍、2倍〜10倍、2倍〜20倍、5倍〜100倍、10倍〜50倍、10倍〜100倍、又は100倍〜1,000倍含む。具体的な実施態様において、阻害される細菌複製は、第5.7節に記載される細菌複製である。
【0138】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、細菌を死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、該組成物は、細菌を死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドと担体とを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、集団内の細菌の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%を死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、集団内の細菌の10%〜20%、10%〜30%、10%〜40%、10%〜50%、10%〜60%、10%〜70%、10%〜80%、10%〜90%、又は10%〜100%を死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、集団内の細菌の10%〜40%、20%〜60%、30%〜50%、40%〜60%、50%〜70%、60%〜80%、70%〜90%、90%〜95%、90%〜98%、又は90%〜100%を死滅させるのに有効な量の抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、細菌は、第5.7節に記載される細菌である。
【0139】
具体的な実施態様において、医薬組成物は、局所投与用に製剤化される。具体的な実施態様において、局所投与用に製剤化される医薬組成物は、ゲル製剤である。具体的な実施態様において、ゲル製剤中の抗感染ペプチドの有効量は、0.1%〜5%である。具体的な実施態様において、膣内リングとしての使用のために製剤化される医薬組成物。具体的な実施態様において、局所投与用に製剤化される医薬組成物は、第5.5節に記載される予防的治療方法で使用される。具体的な実施態様において、局所投与用に製剤化される医薬組成物は、第5.5節に記載される治療的治療方法で使用される。
【0140】
具体的な実施態様において、医薬組成物は、全身投与用に製剤化される。具体的な実施態様において、全身投与用に製剤化される医薬組成物は、凍結乾燥粉末又はケーキである。具体的な実施態様において、凍結乾燥粉末又はケーキは、10mg〜300mgの抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、凍結乾燥粉末又はケーキは、10mg〜100mg、50〜150mg、100〜200mg、150mg〜250mg、又は200mg〜300mgの抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、凍結乾燥粉末又はケーキは、200mg〜300mgの抗感染ペプチドを含む。具体的な実施態様において、凍結乾燥粉末又はケーキは、1mLの水性溶液に再懸濁させられる。具体的な実施態様において、医薬組成物は、1日に1回、対象に投与される。具体的な実施態様において、該組成物は、1日に2回、対象に投与される。具体的な実施態様において、全身投与用に製剤化される抗感染ペプチドは、第5.5節に記載される予防的治療方法で使用される。具体的な実施態様において、全身投与用に製剤化される抗感染ペプチドは、第5.5節に記載される治療的治療方法で使用される。
【0141】
具体的な実施態様において、該組成物は、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)を含む消毒溶液である。具体的な実施態様において、該消毒溶液は、無生物体を消毒するために製剤化される。消毒溶液が無生物体を消毒するために製剤化される場合、該消毒溶液は、ワイプ又はスプレーであることができる。別の実施態様において、該組成物は、生物材料又は非生物材料の消毒で使用するために製剤化される。生物材料としては、生体液(例えば、血液)、血液成分、組織、器官、及び細胞培養物が挙げられるが、これらに限定されない。生物表面としては、皮膚(例えば、手、手術の準備ができている部位など)が挙げられる。生物表面を消毒する場合、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、局所クリーム、軟膏、ローション、ゲル、粉末、液体、固体、洗剤、又は石鹸として製剤化された形態で投与することができる。
【0142】
具体的な実施態様において、消毒溶液は、対象、例えば、第5.6節に記載される対象を消毒するために製剤化される。消毒溶液が対象を消毒するために製剤化される場合、該消毒溶液は、手洗い用もしくは全身用洗浄液、外傷用の膏薬、ゲル、ローション、クリーム、軟膏、手術時の手洗い液、又は皮膚、創傷、もしくは表面に吹き付けることができるスプレーであることができる。具体的な実施態様において、消毒製剤は、水性又はグリセロール性である。
【0143】
消毒用抗感染ペプチド含有組成物は、所望の場合、1以上の追加の化合物を含み得るが、これらの追加の化合物が該ペプチドの抗ウイルス及び/又は抗細菌活性にそれほど悪い影響を及ぼさないことを条件とする。例えば、そのような化合物は、微生物に対する消毒を強化するための抗微生物(例えば、抗細菌、抗真菌)剤であることができる。
【0144】
ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、無生物体表面(例えば、医療用品)又は生物表面の表面にコーティングされる。本明細書に記載される抗感染ペプチドは、共有結合的又は非共有結合的方法によって、該表面に直接的に又は間接的にコーティングすることができる。
【0145】
具体的な実施態様において、消毒溶液は、本明細書に記載される方法(第5.5節を参照)で使用するためのものである。
【0146】
(5.5 使用方法)
一態様において、本明細書に提供されるのは、微生物増殖、複製、又は感染性を阻害する方法であって、該微生物を、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)と接触させることを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、微生物増殖、複製、又は感染性を阻害する方法であって、該微生物を、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量と接触させることを含む、方法である。具体的な実施態様において、微生物は、インビトロ又はエクスビボのものである。他の具体的な実施態様において、微生物はインビボのものである。別の具体的な実施態様において、微生物は、第5.7節又は第6節に記載される微生物である。
【0147】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、細菌増殖を阻害する方法であって、該細菌を、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)と接触させることを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、細菌増殖を阻害する方法であって、該細胞を、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量と接触させることを含む、方法である。具体的な実施態様において、細菌は、インビトロ又はエクスビボのものである。他の具体的な実施態様において、細菌はインビボのものである。別の具体的な実施態様において、細菌は、第5.7節又は第6節に記載される細菌である。ある実施態様において、細菌増殖の阻害は、該細菌を該ペプチド又は組成物と接触させない場合に得られる細菌数と比べて、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、又はそれより大きい細菌数の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、細菌増殖の阻害は、該細菌を該ペプチド又は組成物と接触させない場合に得られる細菌数と比べて、1log、2log、3log、4log、5log、6log、7log、8log、9log、10log、又はそれより大きい細菌数の低下をもたらす。
【0148】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、細胞内での細菌増殖を阻害する方法であって、該細胞を、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)と接触させることを含む、方法である。細胞を、細菌感染の前に又は細菌感染の後に接触させることができる。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、細胞内での細菌増殖を阻害する方法であって、細菌に感染した細胞を、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量と接触させることを含む、方法である。具体的な実施態様において、細胞は、インビトロ又はエクスビボのものである。他の具体的な実施態様において、細胞はインビボのものである。別の具体的な実施態様において、細菌は、第5.7節又は第6節に記載される細菌である。ある実施態様において、細菌増殖の阻害は、該細胞を該ペプチド又は組成物と接触させない場合に得られる細菌数と比べて、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、又はそれより大きい細菌数の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、細菌増殖の阻害は、該細胞を該ペプチド又は組成物と接触させない場合に得られる細菌数と比べて、1log、2log、3log、4log、5log、6log、7log、8log、9log、10log、又はそれより大きい細菌数の低下をもたらす。
【0149】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、細胞内でのウイルス複製を阻害する方法であって、該細胞を、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)と接触させることを含む、方法である。細胞を、ウイルスの感染の前に又はウイルスの感染の後に接触させることができる。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、細胞内でのウイルス複製を阻害する方法であって、ウイルスに感染した細胞を、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量と接触させることを含む、方法である。具体的な実施態様において、細胞は、インビトロ又はエクスビボのものである。他の具体的な実施態様において、細胞はインビボのものである。別の具体的な実施態様において、ウイルスは、第5.7節又は第6節に記載されるウイルスである。ある実施態様において、ウイルス複製の阻害は、該細胞を該ペプチド又は組成物と接触させない場合のウイルス粒子の数と比べて、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、又はそれより大きいウイルス粒子の減少をもたらす。いくつかの実施態様において、ウイルス複製は、該細胞を該ペプチド又はその組成物と接触させない場合のウイルス粒子の数と比べて、1log、2log、3log、4log、5log、6log、7log、8log、9log、10log、又はそれより大きく減少する。別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗感染ペプチド又はその組成物を用いた予防的及び治療的方法である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又はそれを含む組成物は予防的に使用される。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又はそれを含む組成物は治療的に使用される。
【0150】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象内での微生物感染又はそれに起因もしくは関連する疾患を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象内での微生物感染を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象内での微生物感染に起因又は関連する疾患を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、微生物は、第5.7節又は第6節に記載される微生物である。別の具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0151】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せによる微生物感染又はそれに起因もしくは関連する疾患の治療は、有益な効果又は治療的効果をもたらす。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せによる微生物感染又はそれに起因もしくは関連する疾患の治療は、以下の効果:(i)微生物感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の重症度の軽減もしくは改善;(ii)微生物感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の持続期間の減少;(iii)微生物感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の退行;(iv)微生物の粒子/力価の減少;(v)微生物感染又はそれに起因もしくは関連する疾患と関連する器官不全の軽減;(vi)対象の入院の減少;(vii)入院期間の減少;(viii)対象の生存の増大;(ix)微生物感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の消失;(x)微生物感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の進行の阻害;(xi)ある細胞、組織、器官、又は対象から別の細胞、組織、器官、又は対象への微生物の拡大の予防;及び/或いは(xii)別の療法の治療的効果の増強又は改善のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれより多く、又は全てをもたらす。
【0152】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、微生物感染に起因又は関連する対象の疾患を予防する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、微生物感染に起因又は関連する対象の疾患を予防する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、微生物は、第5.7節又は第6節に記載される微生物である。具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0153】
具体的な実施態様において、微生物感染に起因又は関連する疾患を予防するための対象への本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せの投与は、予防的効果/有益な効果のうちの1つ又は複数をもたらす。具体的な実施態様において、微生物感染に起因又は関連する疾患を予防するための対象への本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せの投与は、以下の効果:(i)微生物感染に起因もしくは関連する疾患又はその症状の発生もしくは発症の阻害;(ii)微生物感染に起因もしくは関連する疾患又はそれに関連する症状の再発の阻害;並びに(iii)微生物感染及び/又は複製の低下又は阻害のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多く、又は全てをもたらす。
【0154】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象内での細菌増殖を阻害する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象内での細菌増殖を阻害する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、細菌は、第5.7節又は第6節に記載される細菌である。別の具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0155】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象内での細菌感染を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象内での細菌感染を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、細菌は、第5.7節又は第6節に記載される細菌である。別の具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0156】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、その疾患が細菌感染に起因又は関連する対象の疾患を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、その疾患が細菌感染に起因又は関連する対象の疾患を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、細菌は、第5.7節又は第6節に記載される細菌である。別の具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0157】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せによる細菌感染又はそれに起因もしくは関連する疾患の治療は、有益な効果又は治療的効果をもたらす。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せによる細菌感染又はそれに起因もしくは関連する疾患の治療は、以下の効果:(i)細菌感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の重症度の軽減もしくは改善;(ii)細菌感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の持続期間の減少;(iii)細菌感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の退行;(iv)細菌の数/力価の減少;(v)細菌感染又はそれに起因もしくは関連する疾患と関連する器官不全の軽減;(vi)対象の入院の減少;(vii)入院期間の減少;(viii)対象の生存の増大;(ix)細菌感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の消失;(x)細菌感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の進行の阻害;(xi)ある細胞、組織、器官、又は対象から別の細胞、組織、器官、又は対象への細菌の拡大の予防;及び/或いは(xii)別の療法の治療的効果の増強又は改善のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれより多く、又は全てをもたらす。
【0158】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、その疾患が細菌感染に起因又は関連する対象の疾患を予防する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、その疾患が細菌感染に起因又は関連する対象の疾患を予防する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、細菌は、第5.7節又は第6節に記載される細菌である。別の具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0159】
具体的な実施態様において、細菌感染に起因又は関連する疾患を予防するための対象への本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せの投与は、予防的効果/有益な効果のうちの1つ又は複数をもたらす。具体的な実施態様において、細菌感染に起因又は関連する疾患を予防するための対象への本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せの投与は、以下の効果:(i)細菌感染に起因もしくは関連する疾患又はその症状の発生もしくは発症の阻害;(ii)細菌感染に起因もしくは関連する疾患又はそれに関連する症状の再発の阻害;並びに(iii)細菌感染及び/又は複製の低下又は阻害のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多く、又は全てをもたらす。
【0160】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象内でのウイルス複製を阻害する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象内でのウイルス複製を阻害する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、ウイルスは、第5.7節又は第6節に記載されるウイルスである。別の具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0161】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象内でのウイルス感染を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象内でのウイルス感染を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、ウイルスは、第5.7節又は第6節に記載されるウイルスである。別の具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0162】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、その疾患がウイルス感染に起因又は関連する対象の疾患を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、その疾患がウイルス感染に起因又は関連する対象の疾患を治療する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、ウイルスは、第5.7節又は第6節に記載されるウイルスである。別の具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0163】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せによるウイルス感染又はそれに起因もしくは関連する疾患の治療は、有益な効果又は治療的効果をもたらす。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せによるウイルス感染又はそれに起因もしくは関連する疾患の治療は、以下の効果:(i)ウイルス感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の重症度の軽減もしくは改善;(ii)ウイルス感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の持続期間の減少;(iii)ウイルス感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の退行;(iv)ウイルスの数/力価の減少;(v)ウイルス感染又はそれに起因もしくは関連する疾患と関連する器官不全の軽減;(vi)対象の入院の減少;(vii)入院期間の減少;(viii)対象の生存の増大;(ix)ウイルス感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の消失;(x)ウイルス感染又はそれに起因もしくは関連する疾患もしくは症状の進行の阻害;(xi)ある細胞、組織、器官、又は対象から別の細胞、組織、器官、又は対象へのウイルスの拡大の予防;及び/或いは(xii)別の療法の治療的効果の増強又は改善のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれより多く、又は全てをもたらす。
【0164】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、その疾患がウイルス感染に起因又は関連する対象の疾患を予防する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、その疾患がウイルス感染に起因又は関連する対象の疾患を予防する方法であって、該対象に、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)の有効量を投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、ウイルスは、第5.7節又は第6節に記載されるウイルスである。別の具体的な実施態様において、対象は、第5.6節に記載される対象である。
【0165】
具体的な実施態様において、ウイルス感染に起因又は関連する疾患を予防するための対象への本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せの投与は、予防的効果/有益な効果のうちの1つ又は複数をもたらす。具体的な実施態様において、ウイルス感染に起因又は関連する疾患を予防するための対象への本明細書に記載される抗感染ペプチドもしくはその組成物又は本明細書に記載される抗感染ペプチドと別の療法の組合せの投与は、以下の効果:(i)ウイルス感染に起因もしくは関連する疾患又はその症状の発生もしくは発症の阻害;(ii)ウイルス感染に起因もしくは関連する疾患又はそれに関連する症状の再発の阻害;及び(iii)ウイルス感染及び/又は複製の低下又は阻害のうちの1つ、2つ、もしくはそれより多く、又は全てをもたらす。
【0166】
本明細書に記載される抗感染ペプチド又は本明細書に記載される組成物は、種々の経路で対象に送達することができる。これらには、鼻腔内、気管内、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、経皮、静脈内、結膜、及び皮下経路が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は本明細書に記載される組成物は、対象に局所的に、例えば、対象の皮膚に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は本明細書に記載される組成物は、対象に鼻腔内投与される。ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は本明細書に記載される組成物は、対象に筋肉内投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は本明細書に記載される組成物は、対象に皮下投与される。ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は本明細書に記載される組成物は、対象に腹腔内投与される。
【0167】
本明細書に記載される感染又は疾患の治療及び/又は予防において有効となる本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物の量は、例えば、疾患の性質を含む、いくつかの因子によって決まる。利用される正確な用量は、投与経路、及び該感染又はそれに起因もしくは関連する疾患の重症度によっても決まる。例えば、有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理的状態(年齢、体重、健康を含む)、患者がヒトであるか、動物であるかということ、投与される他の薬物、及び治療が予防的であるか、治療的であるかということによっても異なり得る。
【0168】
具体的な実施態様において、対象に投与される抗感染ペプチド又はその組成物の「有効量」は、以下の効果:(i)微生物、細菌、又はウイルス感染、それに起因又は関連する疾患又は症状の重症度を軽減又は改善すること;(ii)微生物、細菌、又はウイルス感染、それに起因又は関連する疾患又は症状の持続期間を減少させること;(iii)微生物、細菌、又はウイルス感染、それに起因又は関連する疾患又は症状の進行を予防すること;(iv)微生物、細菌、又はウイルス感染、それに起因又は関連する疾患又は症状の退行を引き起こすこと;(v)微生物、細菌、又はウイルス感染、それに起因又は関連する疾患又は症状の発生又は発症を予防すること;(vi)微生物、細菌、又はウイルス感染、それに起因又は関連する疾患又は症状の再発を予防すること;(vii)ある細胞から別の細胞への、ある組織から別の組織への、又はある器官から別の器官への微生物、細菌、又はウイルスの拡大を軽減又は予防すること;(viii)ある対象から別の対象への微生物、細菌、又はウイルスの拡大を予防又は軽減すること;(ix)微生物、細菌、又はウイルス感染と関連する器官不全を軽減すること;(x)対象の入院を減少させること;(xi)入院期間を減少させること;(xii)微生物、細菌、もしくはウイルス感染、又はそれに起因もしくは関連する疾患を有する対象の生存を増大させること;(xiii)微生物、細菌、もしくはウイルス感染、又はそれに起因もしくは関連する疾患を消失させること;(xiv)微生物複製を阻害又は減少させること;(xv)微生物、細菌、又はウイルスの数/力価を減少させること;及び/或いは(xvi)別の療法の予防的又は治療的効果を増強又は改善することのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くを達成するのに十分な抗感染ペプチド又は組成物の量を指す。
【0169】
ある実施態様において、該有効量は、微生物感染に起因又は関連する疾患からの完全な防御をもたらすのではなく、微生物感染を有する未治療の対象と比較した微生物の力価の低下又は数の低下をもたらす。ある実施態様において、該有効量は、微生物感染を有する未治療の対象と比べて、0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍、もしくは1,000倍、又はそれを上回る微生物の力価/数の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該有効量は、微生物感染を有する未治療の対象と比べて、約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9logの微生物の力価/数の低下をもたらす。微生物の力価、数、又は総量の低下の利益としては、あまり重症でない感染の症状、より少ない感染の症状、及び感染に起因又関連する疾患の長さの減少が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
ある実施態様において、該有効量は、細菌感染に起因又は関連する疾患からの完全な防御をもたらすのではなく、細菌感染を有する未治療の対象と比較して、細菌の力価の低下又は数の低下をもたらす。ある実施態様において、該有効量は、細菌感染を有する未治療の対象と比べて、0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍、もしくは1,000倍、又はそれを上回る細菌の力価/数の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該有効量は、細菌感染を有する未治療の対象と比べて、約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9logの細菌の力価/数の低下をもたらす。細菌の力価、数、又は総量の低下の利益としては、あまり重症でない感染の症状、より少ない感染の症状、及び感染に起因又関連する疾患の長さの減少が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
ある実施態様において、該有効量は、ウイルス感染に起因又は関連する疾患からの完全な防御をもたらすのではなく、ウイルス感染を有する未治療の対象と比較して、ウイルスの力価の低下又は数の低下をもたらす。ある実施態様において、該有効量は、ウイルス感染を有する未治療の対象と比べて、0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍、もしくは1,000倍、又はそれを上回るウイルスの力価/数の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該有効量は、ウイルス感染を有する未治療の対象と比べて、約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9logのウイルスの力価/数の低下をもたらす。ウイルスの力価、数、又は総量の低下の利益としては、あまり重症でない感染の症状、より少ない感染の症状、及び感染に起因又関連する疾患の長さの減少が挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
いくつかの実施態様において、対象に、微生物、細菌、もしくはウイルス感染、又は微生物、細菌、もしくはウイルス感染に起因もしくは関連する疾患を治療するために1日に1回、2回、又は3回投与される本明細書に記載される抗感染ペプチドの10mg〜300mgの単位用量を投与する。ある実施態様において、対象に、微生物、細菌、もしくはウイルス感染、又は微生物、細菌、もしくはウイルス感染に起因もしくは関連する疾患を治療するために1日に1回、2回、又は3回投与される本明細書に記載される抗感染ペプチドの10mg〜50mg、10mg〜100mg、10mg〜150mg、10mg〜150mg、10mg〜200mg、又は10mg〜250mgの単位用量を投与する。いくつかの実施態様において、対象に、微生物、細菌、もしくはウイルス感染、又は微生物、細菌、もしくはウイルス感染に起因もしくは関連する疾患を治療するために1日に1回、2回、又は3回投与される本明細書に記載される抗感染ペプチドの50mg〜100mg、50mg〜150mg、50mg〜150mg、50mg〜200mg、50mg〜250mg、又は50mg〜300mgの単位用量を投与する。ある実施態様において、対象に、微生物、細菌、もしくはウイルス感染、又は微生物、細菌、もしくはウイルス感染に起因もしくは関連する疾患を治療するために1日に1回、2回、又は3回投与される本明細書に記載される抗感染ペプチドの100mg〜150mg、100mg〜150mg、100mg〜200mg、100mg〜250mg、又は100mg〜300mgの単位用量を投与する。
【0173】
いくつかの実施態様において、対象に、微生物、細菌、又はウイルス感染に起因又は関連する疾患を予防するために1日に1回、2回、又は3回投与される本明細書に記載される抗感染ペプチドの10mg〜300mgの単位用量を投与する。ある実施態様において、対象に、微生物、細菌、又はウイルス感染に起因又は関連する疾患を予防するために1日に1回、2回、又は3回投与される本明細書に記載される抗感染ペプチドの10mg〜50mg、10mg〜100mg、10mg〜150mg、10mg〜150mg、10mg〜200mg、又は10mg〜250mgの単位用量を投与する。いくつかの実施態様において、対象に、微生物、細菌、又はウイルス感染に起因又は関連する疾患を予防するために1日に1回、2回、又は3回投与される本明細書に記載される抗感染ペプチドの50mg〜100mg、50mg〜150mg、50mg〜150mg、50mg〜200mg、50mg〜250mg、又は50mg〜300mgの単位用量を投与する。ある実施態様において、対象に、微生物、細菌、又はウイルス感染に起因又は関連する疾患を予防するために1日に1回、2回、又は3回投与される本明細書に記載される抗感染ペプチドの100mg〜150mg、100mg〜150mg、100mg〜200mg、100mg〜250mg、又は100mg〜300mgの単位用量を投与する。
【0174】
(5.5.1 滅菌及び消毒の使用)
別の態様において、本明細書に提供されるのは、生物表面又は生物材料を消毒する方法であって、該表面又は材料を、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)と接触させることを含む、方法である。例えば、具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、生物材料を消毒する方法であって、生体液を、本明細書に記載される感染性ペプチド又はその組成物と接触させることを含む、方法である。例示的な生物材料としては:全血;抗凝固処理全血(AWB); AWBから得られた濃厚赤血球; AWBから得られた高血小板血漿(PRP); AWB又はPRPから得られた血小板濃縮物(PC); AWB又はPRPから得られた血漿;血漿から分離され、生理液に再懸濁させられた赤血球(red cell);血漿から分離され、生理液に再懸濁させられた血小板;他の血液製剤;及び非血液細胞が挙げられる。1つの例において、生物材料を消毒する方法は、抗感染ペプチド又はその組成物を、生物材料(例えば、血液製剤)又は生物表面と一定期間接触させる(例えば、組み合わせる又は混合する)ことを含む。いくつかの実施態様において、抗感染ペプチドは、固体支持体又は半固体に固定され、生物材料は、該固体支持体の上又は中を通過する生体液である。ある実施態様において、該方法は、生物材料又は生物表面を洗浄することをさらに含み、例えば、バッファーによるすすぎは、該生物材料又は生物表面が使用される前に、余分な抗感染ペプチドを除去する。
【0175】
ある実施態様において、抗感染ペプチドは、無生物体表面(例えば、医療用品)又は生物表面に固定される。該ペプチドは、共有結合的又は非共有結合的手段によって固定されることができる。固定は、リンカーを介してもよく、直接的であってもよい。
【0176】
一実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドのうちの1つ又複数は、化粧品又は個人衛生用品の添加剤として使用される。別の実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドのうちの1つ又複数は、軟膏又はクリームの添加剤として使用される。別の実施態様において、1以上の本明細書に記載される抗感染ペプチドは、石鹸の添加剤として使用される。
【0177】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又はその組成物は、機能性栄養物(例えば、ドリンクサプリメント)として使用される。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又はその組成物は、フードサプリメント(例えば、ナイシン)として使用される。具体的な実施態様において、該抗感染ペプチド又はそれを含む組成物は、スキンケア製品として使用される。
【0178】
別の実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又はその組成物は、細胞培養又は他の実験技法で使用される。
【0179】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、無生物体(例えば、無生物体表面又は他の非生物表面、例えば、調理台、医療機器(例えば、医療用品など))を消毒する方法であって、該物体を、本明細書に記載される組成物(第5.4節を参照)と接触させることを含む、方法である。例えば、具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、無生物体(例えば、無生物体表面又は他の非生物表面、例えば、調理台、医療機器(例えば、医療用品など))を消毒する方法であって、該物体を、本明細書に記載される感染性ペプチド又はその組成物と一定期間接触させることを含む、方法である。ある実施態様において、該方法は、無生物体を洗浄することをさらに含み、例えば、バッファーによるすすぎは、該物体が使用される前に、余分な抗感染ペプチドを除去する。
【0180】
医療用品の例としては、医師、看護師、医療技術者、例えば、血液もしくは血液製剤を回収する医療技術者、又は歯医者によって利用されるものが挙げられる(したがって、「医療用品」は「歯科用品」を包含することが意図される)。「医療用品」という用語は、動物又はヒトの体の検査、洗浄、及び/或いは動物もしくはヒトの体由来の流体の回収又は動物もしくはヒトの体の医学的介入において利用される任意の道具を意味することが意図される。そのような道具としては、例えば、限定されないが、探針、外科用メス、クランプ、鉗子、針、全てのノズル、シール、チューブ、フィルター、容器、及びリザーバーをその中に含む唾液又は血液を除去するための吸引装置、内視鏡、光ファイバー、変換器、ワイヤー、外科ループ、並びに血液又は血液製剤が個体への送達の前に及び/又は個体からの回収の時点で通されるインライン式及びアウトライン式のチューブ及びフィルターなどの手術器具が挙げられるが、これらに限定されない。そのような医療用品は、上で論じられているように、抗感染ペプチドの固定のための固体支持体としての役割を果たすこともできる。
【0181】
一実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドのうちの1つ又複数は、家庭用又は工業用洗浄製品の添加剤として使用される。
【0182】
また企図されるのは、スイミングプール、温水浴槽、ジャグジー、風呂、及び泡風呂、エアコン、並びに加湿器中に見られるような水又は水容器の微生物汚染を減少させる方法であって、該水又は水容器を、本明細書に開示される抗感染ペプチドを含む組成物と一定期間接触させることを含む、方法である。
【0183】
本明細書に開示される抗感染ペプチドを用いて消毒を達成するのに十分な期間は、ペプチドの選択及び消毒される材料に依存する。有用な抗感染ペプチド濃度及び消毒の期間が相互依存するということも理解することができる。ある実施態様において、消毒に使用される組成物は、対象への、例えば、ヒト対象への投与に好適ではない。該組成物が対象に投与されることになっていない場合、組成物は、対象における使用に許容し得ないほど高い濃度である抗感染ペプチドの濃度を含み得、該抗感染ペプチドの製剤は、対象における使用に好適ではない製剤であり得る。例えば、対象への投与が意図されていない状況で消毒剤として使用される組成物は、界面活性剤(例えば、洗剤)、防腐剤、溶媒(例えば、DMSO)、消毒剤、芳香を提供する化合物、又はいかなる経路でも、対象、例えば、ヒトへの投与に好適ではない他の化合物を含むことができる。
【0184】
ある実施態様において、消毒に使用される組成物中に存在する抗感染ペプチドの量は、細菌培養物中の第5.7節又は第6節に記載される細菌の膜の少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を破壊するのに十分な量である。いくつかの実施態様において、消毒に使用される組成物中に存在する抗感染ペプチドの量は、細胞培養物中の第5.7節又は第6節に記載されるウイルスのエンベロープの少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を破壊するのに十分な量である。ある実施態様において、消毒に使用される組成物中に存在する抗感染ペプチドの量は、細菌培養物中の第5.7節又は第6節に記載される細菌の膜の少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を破壊し、かつ細胞培養物中の第5.7節に記載されるウイルスのエンベロープの少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を破壊するのに十分な量である。
【0185】
ある実施態様において、消毒に使用される組成物中に存在する抗感染ペプチドの量は、細菌培養物中の第5.7節又は第6節に記載される細菌の少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を死滅させるのに十分な量である。いくつかの実施態様において、消毒に使用される組成物中に存在する抗感染ペプチドの量は、細胞培養物中の第5.7節又は第6節に記載されるウイルスの少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を死滅させるのに十分な量である。ある実施態様において、消毒に使用される組成物中に存在する抗感染ペプチドの量は、細菌培養物中の第5.7節又は第6節に記載される細菌の少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を死滅させ、かつ細胞培養物中の第5.7節に記載されるウイルスの少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を死滅させるのに十分な量である。
【0186】
使用される好適な温度は、消毒/滅菌される材料と適合するように選択される。例えば、該材料が、血液又はその成分などの生物材料である場合、該血液又はその成分を、20℃以上、25℃以上、又は30℃以上の温度の下で、抗感染ペプチドと接触させることができる。pH及び浸透圧も、これらの条件が消毒/滅菌される材料の生存能力を維持することと合致するという条件で、本明細書で先に論じられているように調整することができる。
【0187】
(5.5.2 組合せ療法)
様々な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又はそのような抗感染ペプチドを含む本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)は、1以上の他の療法(例えば、抗ウイルス療法、抗細菌療法、又は免疫調節療法)と組み合わせて、対象に投与することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物(例えば、医薬組成物)は、1以上の療法と組み合わせて、対象に投与することができる。1以上の他の療法は、感染性疾患(例えば、ウイルスもしくは細菌感染に起因もしくは関連する疾患)の治療もしくは予防において有益であることができるか、又は感染性疾患(例えば、ウイルスもしくは細菌感染に起因もしくは関連する疾患)と関連する症状もしくは状態を改善することができる。いくつかの実施態様において、1以上の他の療法は、鎮痛薬、抗発熱薬、又は呼吸を楽にするかもしくは呼吸を助ける療法である。2以上の療法の投与との関連で使用される「組合せ」という用語は、ある療法が別の療法に対して投与される順序を制限しない。例えば、本明細書に記載される抗感染ペプチド又はその組成物は、対象への別の療法の投与の前に、該投与と同時に、又は該投与の後に投与することができる。ある実施態様において、該療法は、5分未満の間隔、30分未満の間隔、1時間の間隔、約1時間の間隔、約1〜約2時間の間隔、約2時間〜約3時間の間隔、約3時間〜約4時間の間隔、約4時間〜約5時間の間隔、約5時間〜約6時間の間隔、約6時間〜約7時間の間隔、約7時間〜約8時間の間隔、約8時間〜約9時間の間隔、約9時間〜約10時間の間隔、約10時間〜約11時間の間隔、約11時間〜約12時間の間隔、約12時間〜18時間の間隔、18時間〜24時間の間隔、24時間〜36時間の間隔、36時間〜48時間の間隔、48時間〜52時間の間隔、52時間〜60時間の間隔、60時間〜72時間の間隔、72時間〜84時間の間隔、84時間〜96時間の間隔、又は96時間〜120時間の間隔で投与される。具体的な実施態様において、2以上の療法は、同じ患者診察時に投与される。
【0188】
いくつかの実施態様において、組合せ療法は、本明細書に記載される2以上の異なる抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節)の投与を含む。
【0189】
(5.6 患者集団)
本明細書で使用される場合、本明細書に記載される抗感染ペプチド又はその組成物の投与との関連で使用されるときの「対象」及び「患者」という用語は、動物を指すために互換的に使用される。ある実施態様において、対象は鳥である。いくつかの実施態様において、対象は、非霊長類(例えば、ラクダ、ロバ、シマウマ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、及びマウス)並びに霊長類(例えば、サル、チンパンジー、及びヒト)を含む哺乳動物である。ある実施態様において、対象は非ヒト動物である。いくつかの実施態様において、対象は、家畜(例えば、ロバ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、もしくはヒツジ)又はペット(例えば、ネコもしくはイヌ)である。いくつかの実施態様において、対象はイヌである。ある実施態様において、対象はネコである。いくつかの実施態様において、対象はウマである。ある実施態様において、動物対象はウシである。具体的な実施態様において、対象はヒトである。
【0190】
ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び第6節を参照)又は本明細書に記載される組成物(例えば、第5.4節を参照)は、未感作の対象、すなわち、第5.7節もしくは第6節に記載される感染体に起因する疾患を有していないか、又は第5.7節に記載される感染体に感染したことがなく、かつ現在それに感染していない対象に投与することができる。一実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物は、第5.7節又は第6節に記載される感染体を獲得する危険のある未感作の対象に投与される。本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物は、第5.7節もしくは第6節に記載される感染体に感染していない及び/又は該感染体に感染したことがない対象に投与することもできる。
【0191】
ある実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物は、第5.7節又は第6節に記載される感染体に感染していると診断された患者に投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチド又は組成物は、症状が現れるか又は症状が重くなる前に(例えば、患者が入院を必要とする前に)、第5.7節又は第6節に記載される感染体に感染している患者に投与される。
【0192】
(5.7 微生物)
具体的な実施態様において、本明細書に記載される微生物は細菌である。具体的な実施態様において、細菌はグラム陽性である。具体的な実施態様において、グラム陽性細菌は、黄色ブドウ球菌(例えば、ATCC 29213)、腸球菌、連鎖球菌、炭疽菌(例えば、ATCC 14575)、クロストリドゥム・ディフィシル(Clostridum difficile)(例えば、ATCC 700057)、又はプロピオニバクテリウム・アクネス(例えば、ATCC 11827)である。具体的な実施態様において、腸球菌はエンテロコッカス・フェカーリス(例えば、ATCC 29212)である。具体的な実施態様において、連鎖球菌は肺炎連鎖球菌(例えば、ATCC 49619)である。具体的な実施態様において、細菌はグラム陰性である。具体的な実施態様において、グラム陰性細菌は、緑膿菌(例えば、ATCC 27853)、モラクセラ・カタラーリス(例えば、ATCC 25238)、又はインフルエンザ菌(例えば、ATCC 10211)である。具体的な実施態様において、細菌は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン感受性腸球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、ペニシリン感受性肺炎連鎖球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、シプロフロキサシン耐性細菌、又はクリンダマイシン耐性細菌である。
【0193】
具体的な実施態様において、細菌は、50nm〜1,200nmの平均粒子直径を有する。具体的な実施態様において、細菌は、50nm〜200nm、50nm〜300nm、50nm〜400nm、50nm〜500nm、50nm〜600nm、50nm〜700nm、50nm〜800nm、50nm〜900nm、50nm〜1,000nm、50nm〜1,100nm、又は50nm〜1,200nmの平均粒子直径を有する。具体的な実施態様において、細菌は、50nm〜1,200nm、100nm〜1,200nm、200nm〜1,200nm、300nm〜1,200nm、400nm〜1,200nm、500nm〜1,200nm、600nm〜1,200nm、700nm〜1,200nm、800nm〜1,200nm、900nm〜1,200nm、又は1,000nm〜1,200nmの平均粒子直径を有する。具体的な実施態様において、細菌は、50nm〜300nm、100nm〜500nm、300nm〜700nm、500nm〜900nm、又は700nm〜1,200nmの平均粒子直径を有する。具体的な実施態様において、細菌は、50nm〜2,000nm、100nm〜2,000nm、200nm〜2,000nm、300nm〜2,000nm、400nm〜2,000nm、500nm〜2,000nm、600nm〜2,000nm、700nm〜2,000nm、800nm〜2,000nm、900nm〜2,000nm、1,000nm〜2,000nm、1,200nm〜2,000nm、1,500nm〜2,000nm、又は1,750nm〜2,000nmの平均粒子直径を有する。具体的な実施態様において、細菌は、50nm〜300nm、100nm〜500nm、300nm〜700nm、500nm〜900nm、又は700nm〜1,200nmの平均粒子直径を有する。具体的な実施態様において、該平均粒子直径は主軸の平均直径である。
【0194】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される微生物はウイルスである。具体的な実施態様において、ウイルスは、フラビウイルス科、トガウイルス科、フィロウイルス科、レトロウイルス科、ブニヤウイルス科、ポックスウイルス科、又はアレナウイルス科ファミリーに属するウイルスである。具体的な実施態様において、ウイルスは、デングウイルス(DENV)、チクングニヤウイルス(CHIKV)、エボラウイルス(EBOV)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、又はインフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、フラビウイルス科ファミリーに属するウイルスはDENVである。具体的な実施態様において、DENVは血清型1(DENV-1)である。具体的な実施態様において、DENV-1はDENV-1 PRS41393である(このウイルスの説明については、例えば、Warfield, Kelly L.らの文献、「小胞体グリコシダーゼの阻害はイミノ糖uv-4によるインビトロ及びインビボのデング抗ウイルス活性を必要とする(Inhibition of endoplasmic reticulum glucosidases is required for in vitro and in vivo dengue antiviral activity by the iminosugar uv-4)」、Antiviral research 129(2016): 93-98を参照)。具体的な実施態様において、DENVは血清型2(DENV-2)である。具体的な実施態様において、DENV-2はDENV-2ニューギニアCである(例えば、ATCC番号VR-1584を参照)。具体的な実施態様において、DENVは血清型3(DENV-3)である。具体的な実施態様において、DENV-3はDENV-3 H37である(例えば、GenBankアクセッション番号M93130を参照)。具体的な実施態様において、DENVは血清型4(DENV-4)である。具体的な実施態様において、DENV-4はDENV-4 H24である(例えば、GenBankアクセッション番号AY947539を参照)。具体的な実施態様において、フラビウイルス科ファミリーに属するウイルスは黄熱病ウイルス(YFV)である。具体的な実施態様において、YFVはYFV 17Dである(例えば、GenBankアクセッション番号X03700及びRice, Charles M.らの文献、「黄熱病ウイルスのヌクレオチド配列:フラビウイルス遺伝子の発現及び進化に関する示唆(Nucleotide sequence of yellow fever virus: implications for flavivirus gene expression and evolution)」、Science 229.4715(1985): 726-733を参照)。具体的な実施態様において、フラビウイルス科ファミリーに属するウイルスは日本脳炎ウイルス(JEV)である。具体的な実施態様において、JEVはJEV 14-14-2である(例えば、GenBankアクセッション番号JN604986を参照)。具体的な実施態様において、フラビウイルス科ファミリーに属するウイルスはジカウイルス(ZIKV)である。具体的な実施態様において、ZIKVはZIKV FSS 13025である(例えば、GenBankアクセッション番号JN860885及びHaddow, Andrew D.らの文献、「ジカウイルス株の遺伝子特徴解析: アジア系統の地理的拡大(Genetic characterization of Zika virus strains: geographic expansion of the Asian lineage)」、PLoS Negl Trop Dis 6.2(2012): e1477を参照)。具体的な実施態様において、トガウイルス科ファミリーに属するウイルスはCHIKVである。具体的な実施態様において、CHIKVはCHIKV 181/25である(例えば、GenBankアクセッション番号L37661を参照)。具体的な実施態様において、トガウイルス科ファミリーに属するウイルスはベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)である。具体的な実施態様において、VEEVはVEEV TC-83である(例えば、GenBankアクセッション番号L01443を参照)。
【0195】
具体的な実施態様において、フィロウイルス科ファミリーに属するウイルスはEBOV又はマールブルグウイルス(MARV)である。具体的な実施態様において、レトロウイルス科ファミリーに属するウイルスはHIV-1である。具体的な実施態様において、HIV-1はHIV-1
BaLである(例えば、GenBankアクセッション番号: DQ318211を参照)。具体的な実施態様において、HIV-1はHIV-1 RFである(例えば、Otto MJ、Garber S、Winslow D、Reid CD、Aldrich P、Jadhav PK、Patterson CE、Hoge CN、Cheng YSの文献、HIV-1プロテアーゼのC-2対称性阻害剤に対する感受性が低下したHIV変異体のインビトロ単離及び同定(In vitro isolation and identification of HIV variants with reduced sensitivity to C-2 symmetrical inhibitors of HIV-1 protease.)、Proc Natl Acad Sci USA 90:7543-7547, 1993を参照)。具体的な実施態様において、アレナウイルス科ファミリーに属するウイルスはフニンウイルスである。具体的な実施態様において、JUNVはJUNV Candid #1である。フニンウイルスの説明については、例えば、Emonet, Sebastien F.らの文献、「アルゼンチン出血熱疾患の原因病原体であるフニンウイルスの組換え病原性Romero及び弱毒化生Candid# 1株のクローン化cDNAからのレスキュー及びインビボ特徴解析(Rescue from cloned cDNAs and in vivo characterization of recombinant pathogenic Romero and live-attenuated Candid# 1 strains of Junin virus, the causative agent of Argentine hemorrhagic fever disease.)」、Journal of virology 85.4(2011): 1473-1483を参照されたい。具体的な実施態様において、ブニヤウイルス科ファミリーに属するウイルスはリフトバレー熱ウイルス(RVFV)である。具体的な実施態様において、RVFVはRVFV MP12である(例えば、GenBankアクセッション番号DQ380208.1を参照)。具体的な実施態様において、ポックスウイルス科ファミリーに属するウイルスはワクシニアウイルス(VACV)である。具体的な実施態様において、VACVはVACV NYCBHである(例えば、Monath, Thomas P.らの文献、「ACAM2000クローン性Vero細胞培養ワクシニアウイルス(ニューヨーク市衛生委員会株)−生体防御用の第二世代天然痘ワクチン(ACAM2000 clonal Vero cell culture vaccinia virus (New York City Board of Health strain) - a second-generation smallpox vaccine for biological defense.)」、International journal of infectious diseases 8(2004): 31-44を参照)。
【0196】
具体的な実施態様において、ウイルスは、25nm〜200nmの平均粒子直径を有するエンベロープ型ウイルスである。具体的な実施態様において、ウイルスは、25nm〜75nm、50nm〜100nm、75nm〜125nm、100nm〜150nm、125nm〜175nm、又は150nm〜200nmの平均粒子直径を有するエンベロープ型ウイルスである。具体的な実施態様において、ウイルスは、25nm〜75nm、25nm〜100nm、25nm〜125nm、25nm〜150nm、25nm〜175nm、又は25nm〜200nmの平均粒子直径を有するエンベロープ型ウイルスである。具体的な実施態様において、ウイルスは、25nm〜200nm、50nm〜200nm、75nm〜200nm、100nm〜200nm、125nm〜200nm、150nm〜200nm、又は175nm〜200nmの平均粒子直径を有するエンベロープ型ウイルスである。具体的な実施態様において、ウイルスは、25nm未満、50nm未満、75nm未満、100nm未満、125nm未満、150nm未満、又は175nm未満の平均粒子直径を有するエンベロープ型ウイルスである。
【0197】
具体的な実施態様において、細菌は、第6節に記載される細菌である。
【0198】
具体的な実施態様において、ウイルスは、第6節に記載されるウイルスである。
【0199】
(5.8 アッセイ)
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び/もしくは第6節を参照)並びに/又は本明細書に記載される該抗感染ペプチドの使用方法(例えば、第5.5節を参照)と組み合わせて使用されるアッセイである。本明細書に記載される抗感染ペプチドとの関連で利用することができるアッセイについては、第6節も参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、低いEC50、IC50、及びMIC、並びに高いCC50及びMHCを有する。
【0200】
(5.8.1 EC50)
本明細書に記載される抗感染ペプチドのEC50は、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の技法(例えば、第6節を参照)を用いて決定することができる。未処理の感染細胞を0%有効性として、未感染の細胞を100%有効性として用いる50%有効性濃度(EC50)(XLfit 5.4;方程式205)。これは、4-PL曲線フィットである。
【0201】
(5.8.2 MIC)
本明細書に記載される抗感染ペプチドのMICは、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の技法(例えば、第6節を参照)を用いて決定することができる。MICは、生物体の目に見える増殖を阻害した薬物の最低濃度として記録される。これは、視覚的に(例えば、インキュベーション期間後の寒天プレート上でのコロニー増殖)又は吸光度測定によって決定することができる。
【0202】
(5.8.3 治療指数)
本明細書に記載される抗感染ペプチドの治療指数は、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の技法(例えば、第6節を参照)を用いて決定することができる。本明細書に記載される抗感染ペプチドの治療指数は、CC50/EC50比という比率によって計算することができる。例えば、CC50/EC50比を計算するための方法については、第6節を参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書に記載される抗感染ペプチドは、10を超えるTIを有する。
【0203】
(5.8.4 円二色性分光法)
本明細書に記載される抗感染ペプチドのヘリシティは、円二色性(CD)分光法によって評価することができる。円二色性分光法は、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の技法(例えば、第6節を参照)を用いて実施することができる。
【0204】
CD実験は、1mm路長のキュベット(例えば、石英キュベット)(例えば、Hellma製)を用いて、分光計(例えば、AVIV Model 420分光計(AVIV Biomedical, Lakewood, NJ, USA))で実施することができる。スペクトルデータは、例えば、0.5nmのステップサイズ及び例えば、4sの平均化時間で収集される。全てのスペクトルは、例えば、1-nmの帯域幅を用いて190〜260nmまで25℃で記録され、3回のスキャンにわたって平均化される。CDスペクトルは、50μMのペプチドへの2.5mMのPOPC脂質小胞の添加の前及び後に記録することができる。バッファーのみ又はリポソームのみでのベースラインスキャンも同じ機器設定を用いて実施することができ、この寄与をペプチドに関するそれぞれのデータスキャンから差し引くことができる。補正されたスペクトルは、平均残基モル楕円率(Θ)で表すことができ、ペプチドのヘリシティ率は、以下のように計算される(J. D. Morrisett、J. S. David、H. J. Pownall、A. M. Gotto Jrの文献、アポリポタンパク質(apoLP-アラニン)とホスファチジルコリンとの相互作用(Interaction of an apolipoprotein (apoLP-alanine) with phosphatidylcholine)、Biochemistry 12, 1290-1299(1973)): fH=([Θ]222-3,000)/(-36,000-3000)(ここで、[Θ]222は、222nmでのモル楕円率である)。
【0205】
CDは、第6節に記載されている通りに実施することができる。
【0206】
(5.8.5 細胞変性効果(CPE)アッセイ)
本明細書に記載される抗感染ペプチドの抗ウイルス活性は、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の方法(例えば、第6節を参照)に従って決定することができる。
【0207】
例えば、CPEは、細胞(例えば、Vero細胞)を一定濃度(例えば、1ウェル当たり10,000細胞)でプレート(例えば、96ウェルプレート)に播種し、一定期間(例えば、一晩)インキュベートすることにより決定することができる。ペプチドを無血清培地(例えば、MEM)に連続希釈(例えば、2倍連続希釈)し、ウイルスを0.1の最終感染多重度(MOI)になるように調製する。ペプチド希釈物をウイルスとともに一定期間(例えば、37℃で1時間)インキュベートした後、細胞に感染させる。1%の最終FBS濃度になるように2%FBS(及びPen/Strep及びL-gln)が補充された培地(例えば、MEM)を添加する。一定期間(例えば、5日)後、細胞を固定し、5%グルタルアルデヒド溶液中の0.1%クリスタルバイオレットで染色する。光学密度を540nmで決定し、未処理の感染細胞を0%有効性として、未感染の細胞を100%有効性として用いて計算するために50%有効性濃度(EC50)を使用する(XLfit 5.4;方程式205)。
【0208】
CPEアッセイは、第6節に記載されている通りに実施することができる。
【0209】
(5.8.6 IC50)
本明細書に記載される抗感染ペプチドのIC50は、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の方法によって決定することができる。
【0210】
例えば、細胞(例えば、Vero細胞)を一定濃度(例えば、当たり1×10
5細胞)でプレートに(例えば、24ウェルプレートに)播種し、一晩インキュベートする。翌日、ペプチドの連続希釈物(例えば、6つの2倍連続希釈物)を調製する。ペプチド希釈物をウイルスとともに一定期間(例えば、37℃で1時間)インキュベートする。細胞を一定期間(例えば、1時間)インキュベートし、その後、接種材料を除去する。新鮮な培地を添加し、細胞を、例えば、37℃で3日間インキュベートする。上清を採取し、細胞残渣を除去し、-80℃で保存することができる。細胞を1ウェル当たり一定濃度(例えば、1×10
5細胞)でプレート(例えば、24ウェルプレート)に播種し、一晩インキュベートする。翌日、上清の連続希釈物(例えば、4つの10倍連続希釈物)を調製する。細胞に該希釈物を一定期間(例えば、37℃で1時間)感染させる。接種材料を除去し、0.8%メチルセルロースを添加する。ウイルスに応じて、4〜10日後、クリスタルバイオレットを用いて、プレートをプラークについて解析する。4-PL曲線フィットを用いて、ウイルスのみに対するプラークの数に基づいて、IC50を計算する。
【0211】
IC50は、第6節に記載されている通りに決定することができる。
【0212】
(5.8.7 細胞毒性アッセイ)
CC50は、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の方法によって決定することができる。例えば、細胞毒性アッセイを、以下のようにCellTiter-Gloキット(Promega #G7570)を用いて、Vero細胞で実施することができる:(i)抗感染ペプチドの連続希釈物を培地(例えば、MEM)(1%FBS、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、1×L-glnを補充したもの)中に調製する;(ii)一定量の細胞(例えば、1×10
4個のVero細胞(ATCC #CCL-81))をプレート(例えば、黒壁の96ウェルプレート)に播種し、該希釈物とともに一定期間(例えば、最終濃度の2倍で1時間)、無血清培地(例えば、MEM)中でインキュベートする;(iii)その後、栄養補助培地(例えば、MEM)を最終濃度まで添加し、細胞を一定期間(例えば、3、6、又は9日間)インキュベートする;及び(iv)細胞生存をメーカーのプロトコルに記載されている通りにルシフェラーゼ活性によって決定する。
【0213】
細胞毒性アッセイを膣内及び直腸区画に関連がある細胞で実施することができ、かつ当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の方法によって実施することができる。例えば、Ca Ski、HEC1A、及びCaco-2細胞を、ウェル(例えば、96ウェル平底プレート)に、一定期間(例えば、化合物を添加する前の24時間)、一定の細胞濃縮物の密度(例えば、5×10
4細胞/ウェル)で、一定の総容量(例えば、200μL)で添加し;ペプチドの濃縮物を(例えば、2倍連続希釈濃度で)連続希釈し、培地の除去後、播種された細胞に、一定容量(例えば、200μL)で、3連で添加し;プレートを一定期間(例えば、37℃/5%CO
2で24時間)インキュベートし;インキュベーション後、細胞を添加剤なしの培地(例えば、RPMI-1640)で3回洗浄し;その後、各々の指定の細胞株用の一定容量(例えば、200マイクロリットル(200μL))の完全培地をプレートに添加し、37℃/5%CO
2で一定期間(例えば、さらに24時間)インキュベートしておき;細胞毒性をテトラゾリウム色素XTTを用いて評価する。
【0214】
CC50値(細胞生存能力の50%低下)は、線形回帰解析を用いて決定される。
【0215】
具体的な実施態様において、CC50はヒト細胞又は細胞株で決定される。本明細書に記載される抗感染ペプチドのCC50を評価するために利用することができるヒト細胞株の非限定的な例は、CaSki細胞(ATCC CRL-1550)、HEC1A細胞(ATCC HTB-112)、ME180細胞(ATCC HTB-33)、及びCaco-2細胞(ATCCHTB-37)である。具体的な実施態様において、CC50はヒト末梢血単核細胞で決定される。具体的な実施態様において、CC50は、正常ヒト臍帯白血球と白血病性T細胞とを共培養することにより調製され得るMT-2細胞で決定される。具体的な実施態様において、CC50は非ヒト細胞で決定される。本明細書に記載される抗感染ペプチドのCC50を評価するために使用することができる非ヒト細胞株の非限定的な例は、Vero細胞(例えば、Vero E6細胞、ATTC CRL-1586)、メイディン・ダービー・イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL-34)、及びC6/36細胞(ATCC CRL-1660)である。
【0216】
CC50は、第6節に記載されている通りに決定することができる。
【0217】
(5.8.8 溶血アッセイ)
本明細書に記載される抗感染ペプチドの溶血活性を当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の方法に従って実施することができる。溶血活性は、第6節に記載されている通りに決定することができる。
【0218】
例えば、ヒト赤血球に対する溶解活性は、Orenらの文献(Z. Oren、Y. Shaiの文献、メリチンのジアステレオマーによる、哺乳動物細胞ではなく、細菌の選択的溶解:構造-機能研究(Selective lysis of bacteria but not mammalian cells by diastereomers of melittin: structure-function study.)、Biochemistry 36, 1826-1835(1997))から抜粋した方法を用いて測定することができる。特に、新鮮なヒト赤血球(hRBC)をすすぎ、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液で3回洗浄し、900gで10分間遠心分離し、8.0%(v/v)の赤血球濃度でPBSバッファーに再懸濁させる。100μLの総容量で4%(v/v)の最終濃度のhRBCを達成するために、10mM PBSバッファーに再懸濁させた等容量のペプチドをhRBCに添加し、穏やかに撹拌しながら、37℃で1時間インキュベートする。インキュベーション後、試料を1500gで5分間遠心分離する。ヘモグロビン放出を540nmでの上清の吸光度測定によって測定する。hRBCを、それぞれ、PBS及び1wt%Triton Xに懸濁させることにより、0%溶血及び100%溶血の対照を得る。溶血のパーセンテージを以下の式に従って計算する:溶血率=[Abs
pept-Abs
陰性対照]/[Abs
陽性対照-Abs
陰性対照]×100%(式中、Absは、吸光度値(a.u.)である)。CC50値は50%溶血と定義される。
【0219】
(5.8.9 細菌生存能力試験)
本明細書に記載される抗感染ペプチドで処理された細菌の生存能力は、当業者に公知の又は本明細書に記載される任意の方法によって決定することができる。細菌生存能力は、第6節に記載されている通りに決定することができる。
【0220】
例えば、細菌をその増殖を可能にする培地(例えば、MRS培地(Becton Dickinsonカタログ#288130))中で増殖させることができる。異なる細菌は異なる増殖要件を有し、これは、細菌生存能力を評価するときに考慮されるべきである。細菌ストックを調製し、溶液(例えば、15%グリセロール)中、-80℃で保存することができる。ブロス(例えば、MRSブロス)を、一定重量(例えば、55グラム)の適当な粉末を一定容量(例えば、1L)の脱イオン水に溶解させることにより調製することができる。ブロスを沸騰させて、粉末を完全に溶解させ、特定の温度(例えば、121℃/17.5psi)で一定期間(例えば、15分間)滅菌する。滅菌後、ブロスを使用の前に特定の温度(例えば、4℃)で保存することができる。ブロス(例えば、MRSブロス)に、ストック(例えば、グリセロールストック)由来の各々の細菌株のループ(例えば、10μLループ)を用いて接種し、培養物を(例えば、好気的に又は嫌気的に(例えば、GasPak EZ好気性容器システムポーチ(BD、カタログ# 260678)を用いて、好気性ジャーの中で)、一定期間(例えば、37℃で24時間)インキュベートする。得られた培養物を用いて、同じ手順を用いて、新たに増殖した液体ストックを調製することができる。最後のインキュベーションの後、細菌密度をブロス(例えば、MRSブロス)中で一定レベル(例えば、0.06)のOD625に調整する。試験薬剤の連続希釈物(例えば、6つの連続半対数希釈物)を調製し、ウェル(例えば、96ウェル丸底プレート)に、一定容量(例えば、100μL)で、3連で添加する。アッセイ対照として、最大試験濃度(例えば、1.25U/mL/1.25μg/mL)の対照薬剤(例えば、ペニシリン/ストレプトマイシン溶液)の連続希釈物(例えば、6つの連続2倍希釈物)を調製し、ウェル(例えば、96ウェル丸底プレート)に、3連で添加する。調整された密度(例えば、上記の通り)を有する各々の細菌培養物をプレートの適切なウェルに添加する。この培養物を、上記の通り、(例えば、好気的又は嫌気的に)、一定期間(例えば、24時間)インキュベートし、細菌増殖を、分光光度計(例えば、Spectramax 340 PC384(Molecular Devices))を用いて、特定の波長(例えば、490nm)で、分光光度法により評価する。
【0221】
(5.8.10 生菌計数アッセイ及びコロニー形成単位決定)
抗感染ペプチドが細菌増殖を阻害する能力を生菌計数アッセイを用いて決定し、コロニー形成単位(CFU)を決定することができる。CFUの数を当業者に公知の又は本明細書に記載される任意のアッセイによって決定することができる。例えば、生菌計数アッセイを実施し、コロニー形成単位を決定するために、終夜培養物から接種された細菌を培地(例えば、LB培地)中で中間対数期まで増殖させる。10mMリン酸バッファー(PB)に再懸濁させた一定濃度の細菌(例えば、一定容量(例えば、100μLの細菌(1.9×10
7CFU/mL))を等容量のペプチド(例えば、10μM)とともに特定の温度(例えば、37℃)で一定期間(例えば、3時間)インキュベートする。インキュベーション混合物の連続希釈物を寒天プレート(例えば、MH寒天プレート)にプレーティングし、その後、特定の温度(例えば、37℃)で一定期間(例えば、一晩)インキュベートし、CFUを決定する。細菌及びペプチドを10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁させることにより、生理学的塩(150mM NaCl)の効果を解析することができる。
【0222】
(5.9 キット)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組成物(例えば、医薬組成物)の成分のうちの1つ又は複数、例えば、本明細書に提供される1以上の本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び/又は第6節を参照)が充填された1以上の容器を含む医薬パック又はキットである。一実施態様において、キットは、1以上の容器中に、1以上の本明細書に記載される抗感染ペプチド(例えば、第5.1節、第5.2節、及び/もしくは第6節を参照)又はその組成物(例えば、第5.4節を参照)を含む。具体的な実施態様において、キットは、抗感染ペプチド又はその組成物の使用説明書を含む。別の具体的な実施態様において、医薬品又は生物製剤の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって規定された形式での通知がキットに含まれ、その通知は、この機関による、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の承認を示している。
【0223】
具体的な実施態様において、キットは、200mg〜300mgの本明細書に記載される抗感染ペプチドを含む凍結乾燥組成物を含有する第一のバイアルを含む。
【0224】
具体的な実施態様において、キットは、200mg〜300mgの本明細書に記載される抗感染ペプチドを含む凍結乾燥組成物を含有する第一のバイアル及び1mLの水性溶液を含有する第二のバイアルを含む。具体的な実施態様において、該水性溶液は滅菌水である。
【0225】
具体的な実施態様において、キットは、200mg〜300mgの本明細書に記載される抗感染ペプチドを含む医薬組成物を含有する第一のバイアル及び1mLの水性溶液を含有する第二のバイアルを含む。具体的な実施態様において、該水性溶液は滅菌水である。
【0226】
本明細書に包含されるキットは、上記の方法(例えば、第5.5節、第5.7節、及び第6節を参照)で使用することができる。
【実施例】
【0227】
(6.実施例)
(6.1 実施例1:広域スペクトル抗感染ペプチド)
表6.抗感染ペプチドのアミノ酸配列。
【表7】
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【0228】
表7.抗感染ペプチドP1(別名、TSG001)(配列番号1)の抗細菌スペクトル。MICは最小阻害濃度を意味する。
【表8】
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【0229】
表8. BSL-4レベルのウイルスに対する抗ウイルス活性。エボラウイルス及びマールブルグウイルスを試験した。TSG1及びTSG2は、それぞれ、TSG001ペプチド(配列番号1)及びTSG002ペプチド(配列番号2)を指す。値はEC50値(μM)である。X...Xという表記は、ペグ化バージョンを指す。TSG001ペプチドのペグ化バージョンは、許容可能なレベルの高い抗ウイルス活性を保持していた。
【表9】
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【0230】
表9.標準的なヒト細胞株に対する細胞毒性。値はCC50値(μM)である。N/D=未決定。
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0231】
表10. BSL-2レベルのウイルスに対する抗ウイルス活性。値はEC50値(μM)である。1hは、ウイルスが表示ペプチドとともに1時間プレインキュベートされた試料を指す。0hは、ペプチド/対照が、感染後、細胞に直接添加された試料を指す。
【表11】
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1h:ウイルスとペプチドとの1時間のプレインキュベーション
0h:感染後のペプチド/対照の直接添加
【0232】
表11. BSL-2レベルのウイルスに対する抗ウイルス活性。値はEC50値(μM)である。
【表12】
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1h:ウイルスとペプチドとの1時間のプレインキュベーション
0h:感染後のペプチド/対照の直接添加
【0233】
(6.1.1 抗感染ペプチドの毒性)
3、6、及び8日目のVero細胞におけるペプチドの毒性(表9)を決定するために、細胞を黒壁の96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、試験物の連続希釈物を調製した。増殖培地を細胞から吸引し、化合物希釈物を添加した。培地のみとともにインキュベートした細胞は、対照としての役割を果たした。3、6、及び8日後、培地を吸引し(1日にプレート1組)、ATP含有量の評価のために、PromegaのCelltiterGloキットを用いて、細胞を溶解させた。得られたルシフェラーゼ発光を定量し、4-PL曲線フィットを用いてCC50を計算するために使用した。対照として使用されるAHペプチドは、以下のアミノ酸配列
【化97】
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を有する。対照として使用されるC5Aペプチドは、以下のアミノ酸配列
【化98】
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を有する。
【0234】
(6.1.2 抗感染ペプチドの抗ウイルス活性)
ペプチドの抗ウイルス活性(表10及び表11)を決定するために、Vero細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、試験物の連続希釈物を培地中に調製した。2つの条件を全てのペプチドについて評価した:(1)ウイルスとペプチド希釈物とのプレインキュベーション;及び(2)感染直後のペプチド希釈物の添加。プレインキュベーション条件を以下のように実施した:(i)ペプチド希釈物を培地中に調製し、ウイルスとともに37℃で1時間インキュベートし;(ii)対照阻害剤及び培地のみを同時にインキュベートし;かつ(iii)Vero細胞にプレインキュベーションミックスを感染させ、ウイルスに固有の時間インキュベートした。プレインキュベーションなしの条件を以下のように実施した:(i)Vero細胞にウイルスを1時間感染させ;(ii)ペプチド希釈物を培地中に調製し、感染細胞に添加し;(iii)対照阻害剤及び培地のみを同時にインキュベートし;かつ(iv)細胞を、ウイルスに固有の時間、37℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞を固定し、クリスタルバイオレット/グルタル酸ジアルデヒド溶液で染色した。光学密度を決定し、未感染(細胞のみ)の対照を0%CPEとして、化合物なし(ウイルスのみ)の対照を100%CPEとして用いて、ODの4-PL曲線フィットを用いて、EC50を決定した。インキュベーション時間は、以下の通りであった: CHIKV 181/25: 3日; DENV-1 PRS41393: 5日; DENV-2ニューギニアC: 5日; DENV-3 H87: 5日; DENV-4 H241: 5日; JEV 14-14-2: 10日; JUNV Candid #1: 8日; LACV H44-71017: 4日; RVFV MP12: 4日; VACV NYCBH: 4日; VEEV TC-83: 3日;及びYFV 17D: 6日。細胞毒性を測定した日は、以下の通りである: CHIKV 181/25: 3日; DENV-1 PRS41393: 6日; DENV-2ニューギニアC: 6日; DENV-3 H87: 6日; DENV-4 H241: 6日; JEV 14-14-2: 8日; JUNV Candid #1: 8日; LACV H44-71017: 3日; RVFV MP12: 3日; VACV NYCBH: 3日; VEEV TC-83: 3日;及びYFV 17D: 6日。
【0235】
(6.1.3 抗感染ペプチドの抗細菌活性)
表7は、抗感染ペプチドP1(配列番号1)の抗細菌スペクトルのまとめを提供している。要約すると、抗感染ペプチドP1(本明細書では「TSG001」とも呼ばれる)は、耐性分離株を含むグラム陽性好気性菌(黄色ブドウ球菌、腸球菌、連鎖球菌、及び炭疽菌)、偏好性グラム陰性呼吸器病原体(インフルエンザ菌及びM.カタラーリス)、M.スメグマチス、並びに評価されるグラム陰性嫌気性菌(C.ディフィシル及びP.アクネス)に対して活性があった。抗感染ペプチドP1(配列番号1)は、グラム陰性好気性菌(大腸菌、肺炎桿菌(K. pneumoniae)、及び緑膿菌)に対して活性がなかった。
【0236】
抗感染ペプチドP1を乾燥粉末として提供し、-20℃で保存した。アッセイ当日に、ストック溶液を水中2,560μg/mLで作製した。適切な溶媒を比較薬に添加したら、ストック溶液を室温で約1時間静置して、自己滅菌させておき、その後、分注し、-80℃で凍結させた。アッセイ当日に、試験プレート中の最大濃度の40倍の比較薬の凍結ストック溶液の新鮮なアリコートを-80℃から取り出し、解凍し、試験に用いた。試験生物体は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)及び臨床検査室から以前に取得した。受け取ったとき、これらの分離株を、好適な条件下で、各々の生物体に適した寒天培地上にストリークした。嫌気性生物体を含むプレートは、Bactron II嫌気性チャンバー(Sheldon Manufacturing社、Cornelius, OR)で、嫌気的に35℃で48時間インキュベートした。好気性生物体は35℃で18〜24時間インキュベートした。これらの増殖プレートから採取されたコロニーを凍結防止剤を含む適切な培地に再懸濁させた。その後、各々の懸濁液のアリコートを-80℃で凍結させた。アッセイの前に、生物体を解凍し、適切な寒天プレート上で二次培養し、上記の通りにインキュベートした。
【0237】
以下の品質管理分離株を被験分離株の一部として含めた:クロストリジウム・ディフィシルATCC 700057、大腸菌ATCC 25922、黄色ブドウ球菌ATCC 29213、エンテロコッカス・フェカーリスATCC 29212、緑膿菌ATCC 27853、及び肺炎連鎖球菌ATCC 49619。嫌気性生物体の場合、感受性試験をBBLブルセラ菌ブロス(BRU; Becton Dickinson; Sparks, MD;ロット番号2311123)中で実施した。BRUブロスに、ビタミンK1(Sigma-Aldrich; St. Louis, MO;ロット番号MKBNS958V)、ヘミン(Sigma-Aldrich;ロット番号SLBD8813V)、及び5%溶血ウマ血液(Cleveland Scientific; Bath, OH;ロット番号222808)を補充した。嫌気性生物体用の寒天プレートは、栄養補助ブルセラ菌寒天プレート(Remel, Lenexa, KS;ロット番号484569)であった。
【0238】
好気性生物体の場合、MICアッセイに利用される培地は、インフルエンザ菌を除いて、ミュラー・ヒントンブロス(MHB II-Becton Dickinson;ロット番号4293655)であった。インフルエンザ菌は、ヘモフィルス試験培地(HTM; Teknova; Hollister, CA;ロット番号H580025K1401)中で試験した。連鎖球菌の場合、MHB IIに、3%溶血ウマ血液(Cleveland Scientific;ロット番号222808)を補充した。好気性生物体に使用される寒天プレートは、インフルエンザ菌を除いて、トリプチカーゼ大豆寒天+5%ヒツジ血液(Remel;ロット番号629110)であった。インフルエンザ菌は、チョコレート寒天(Becton Dickinson、ロット番号4260888)上にストリークした。
【0239】
MICアッセイプレートをCLSIブロス微量希釈手順を用いて調製した(例えば、Jorgensen, James H.及びJohn D. Turnidgeの文献、「感受性試験法:希釈及びディスク拡散法(Susceptibility test methods: dilution and disk diffusion methods)」、臨床微生物学のマニュアル(Manual of Clinical Microbiology)、第11版。American Society of Microbiology, 2015. 1253-1273を参照)。自動リキッドハンドラー(Biomek 2000及びBiomek FX, Beckman Coulter, Fullerton CA)を用いて、連続希釈及び液体移動を実施した。標準的な96ウェル微量希釈プレート(Costar 3795)の2〜12列目の全てのウェルに150μLの適切な溶媒を充填した。300μLの各々の試験薬(40×)をプレートの1列目の各々のウェルに添加した。このプレートを用いて、レプリカ「ドータープレート」の連続薬物希釈物を提供する薬物「マザープレート」を用意した。Biomek 2000を用いて、マザープレートの11列目までの連続移動を完了した。12列目のウェルは薬物を含まず、生物体増殖の対照ウェルに相当した。ドータープレートに、Multidrop 384を用いて、1ウェル当たり185μLの上記の試験培地を充填した。ドータープレートは、Biomek FX機器で完了した。この機器によって、5μLの薬物溶液がマザープレートの各々のウェルから各々のドータープレートの各々の対応するウェルに1工程で移された。
【0240】
培地及び薬物を含む嫌気性菌ドータープレートをBactron II嫌気性菌チャンバーに移し、接種前の1時間、還元しておいた。各々の生物体の標準化接種材料をCLSI法に従って調製した(例えば、例えば、Jorgensen, James H.及びJohn D. Turnidgeの文献、「感受性試験法:希釈及びディスク拡散法(Susceptibility test methods: dilution and disk diffusion methods)」、臨床微生物学のマニュアル(Manual of Clinical Microbiology)、第11版。American Society of Microbiology, 2015. 1253-1273を参照)。懸濁液を0.5マクファーランド標準に等しくなるように調製した。懸濁液を生物体に適したブロスにさらに希釈した。嫌気性プレートに、10μLの標準化接種材料を、嫌気性条件下、低い薬物濃度から高い薬物濃度へと手作業で接種し、約1×10
5コロニー形成単位/mLが得られた。ドータープレートのウェルは、最終的に、185μLのブロス、5μLの薬物溶液、及び10μLの細菌接種材料を含んでいた。各々のアッセイについて、試験培地中での薬物の可溶性を評価する目的で、薬物溶液を含む(接種材料なしの)培地を含む1つの追加のプレートを用意した。嫌気性菌プレートを3枚の高さに積み重ね、最上部のプレートに蓋をかぶせ、BD GasPak EZ嫌気性菌容器システムに入れ、35℃で46〜48時間インキュベートした。
【0241】
好気性生物体用の接種材料を幅で分類された滅菌リザーバー(Beckman Coulter)に分配し、Biomek 2000を用いて、プレートに接種した。接種が低い薬物濃度から高い薬物濃度へと行われるように逆に向けたBiomek 2000の作業面にドータープレートを配置した。Biomek 2000は、10μLの好気性培養標準化接種材料を各々のウェルに供給した。これらの接種によって、ドータープレート中、約5×10
5コロニー形成単位/mLの最終細胞濃度が得られた。ドータープレートのウェルは、最終的に、185μLのブロス、5μLの薬物溶液、及び10μLの細菌接種材料を含んでいた。各々の試験培地について、試験培地中での薬物の可溶性を評価する目的で、薬物溶液を含む1つの追加のプレートを用意した(未接種の可溶性対照プレート)。好気性菌プレートを3〜4枚の高さに積み重ね、最上部のプレートに蓋をかぶせ、プラスチックの袋に入れ、マイコバクテリウム・スメグマチスを除いて、35℃で約20時間インキュベートした。マイコバクテリウム・スメグマチスは、48時間インキュベートした。プレートビューアーを用いてマイクロプレートを底から検分し、MICを、生物体の目に見える増殖を阻害する薬物の最低濃度として読み取り、記録した。未接種の可溶性対照プレートを薬物沈殿の証拠について観察した。
【0242】
(6.2 実施例2:抗感染ペプチド)
(6.2.1 抗感染ペプチドの溶血プロファイルの解析)
ヒト赤血球に対するペプチドの溶血活性をShaiらの文献(Oren, Z.; Shai, Y. Biochemistry 1997, 36, 1826-1835)から抜粋した方法を用いて測定した。新鮮なヒト赤血球細胞(hRBC)をすすぎ、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、900gで10分間遠心分離し、得られた濃厚血液細胞を8.0%(v/v)の赤血球濃度までPBSに再懸濁させた。100μLの総容量で4%(v/v) hRBCの最終濃度を達成するために、10mMリン酸バッファーに再懸濁させた等容量のペプチドをhRBCに添加し、穏やかに撹拌しながら、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、試料を1500gで5分間遠心分離した。ヘモグロビン放出を540nmでの上清の吸光度測定によって測定した。hRBCを、それぞれ、PBS及び1wt%Triton Xに懸濁させることにより、0%溶血及び100%溶血の対照を得た。溶血のパーセンテージを以下の式に従って計算した:%溶血=[Abs
pept-Abs
陰性対照]/[Abs
陽性対照-Abs
陰性対照]×100。
【0243】
最小溶血濃度(MHC)を10%溶血をもたらすのに必要とされる最低ペプチド濃度と定義した。
【0244】
表12.抗感染ペプチドTSG001〜TSG009(配列番号1〜9)並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の溶血データ。抗感染ペプチドは、最も好ましい溶血プロファイルに従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最大のMHC値を有するので、溶血プロファイルに関して最も好ましいペプチドである)。
【表13】
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【0245】
表12に提示されているデータは、抗感染ペプチドTSG001〜TSG005(配列番号1〜5)が良好な溶血活性プロファイルを有することを示している。
【0246】
(6.2.2 抗感染ペプチドの抗ウイルス活性の解析)
(a)材料及び方法
被験ウイルスに対するペプチドの抗ウイルス活性を、ウイルスによって引き起こされるVero細胞における細胞変性効果(CPE)の細胞ベースの阻害アッセイで試験した。細胞を1ウェル当たり10,000細胞で96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。ペプチドを無血清MEMに2倍連続希釈し、ウイルスを0.1の最終感染多重度(MOI)になるように調製した。ペプチド希釈物をウイルスとともに37℃で1時間インキュベートした後、細胞に感染させた。1%の最終FBS濃度になるように2%FBS(及びPen/Strep及びL-gln)が補充されたMEMを添加した。5日後、細胞を固定し、5%グルタルアルデヒド溶液中の0.1%クリスタルバイオレットで染色した。光学密度を540nmで決定し、未処理の感染細胞を0%有効性として、未感染の細胞を100%有効性(XLfit 5.4;方程式205)として用いて、50%有効性濃度(EC50)を計算するために使用した。
【0247】
DENVについては、DENV(DENV-1(PRS41393)、DENV-2(ニューギニアC)、DENV-3(H87)、又はDENV-4(H241))を昆虫細胞(C6/36; ATCC #CRL-1660)とVero細胞の間で連続して行き来させ;実験に使用されるDENVは、33℃で増殖させたC6/36細胞に由来するものであった。
【0248】
実験に使用されるJEV(14-14-2)、CHIKV(181/25)、及びYFV(17D)は、Vero細胞内で、37℃で増殖させた。
【0249】
(b)結果
抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006は、DENV-1、DENV-2、DENV-3、DENV-4、CHIKV、及びYFV感染に対する抗感染活性を示した(下の表13〜19を参照)。TSG001、TSG002、TSG004、及びTSG006は、JEVに対する抗感染活性を示した(下の表19を参照)。
【0250】
表13. DENV-1に対する抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006、並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の抗ウイルス活性。抗感染ペプチドは、最も好ましい抗DENV-1活性に従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最小のEC50値を有するので、抗DENV-1活性に関して最も好ましいペプチドである)。
【表14】
[この文献は図面を表示できません]
【0251】
表14. DENV-2に対する抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006、並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の抗ウイルス活性。抗感染ペプチドは、最も好ましい抗DENV-2活性に従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最小のEC50値を有するので、抗DENV-1活性に関して最も好ましいペプチドである)。
【表15】
[この文献は図面を表示できません]
【0252】
表15. DENV-3に対する抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006、並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の抗ウイルス活性。抗感染ペプチドは、最も好ましい抗DENV-3活性に従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最小のEC50値を有するので、抗DENV-3活性に関して最も好ましいペプチドである)。
【表16】
[この文献は図面を表示できません]
【0253】
表16. DENV-4に対する抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006、並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の抗ウイルス活性。抗感染ペプチドは、最も好ましい抗DENV-4活性に従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最小のEC50値を有するので、抗DENV-4活性に関して最も好ましいペプチドである)。
【表17】
[この文献は図面を表示できません]
【0254】
表17. CHIKVに対する抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006、並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の抗ウイルス活性。抗感染ペプチドは、最も好ましい抗CHIKV活性に従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最小のEC50値を有するので、抗CHIKV活性に関して最も好ましいペプチドである)。
【表18】
[この文献は図面を表示できません]
【0255】
表18. YFVに対する抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006、並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の抗ウイルス活性。抗感染ペプチドは、最も好ましい抗YFV活性に従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最小のEC50値を有するので、抗YFV活性に関して最も好ましいペプチドである)。
【表19】
[この文献は図面を表示できません]
【0256】
表19. JEVに対する抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006、並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の抗ウイルス活性。抗感染ペプチドは、最も好ましい抗JEV活性に従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最小のEC50値を有するので、抗JEV活性に関して最も好ましいペプチドである)。
【表20】
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【0257】
(6.2.3 抗感染ペプチドの細胞毒性プロファイルの解析)
ペプチドの細胞毒性効果をCellTiter-Gloキット(Promega #G7570)を用いてVero細胞で決定した。ペプチドの連続希釈物をMEM(1%FBS、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、1×L-glnを補充したもの)中に調製した。黒壁の96ウェルプレートに播種された1×10
4個のVero細胞(ATCC #CCL-81)を、無血清MEM中、最終濃度の2倍で、該希釈物とともに1時間インキュベートした。その後、栄養補助MEMを最終濃度まで添加し、細胞を、それぞれ、3、6、及び9日間インキュベートした。細胞生存をメーカーのプロトコルに記載されている通りにルシフェラーゼ活性によって決定した。
【0258】
表20. Vero細胞における抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の細胞毒性データ。抗感染ペプチドは、最も好ましい細胞毒性プロファイルに従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最大のCC50値を有するので、細胞毒性に関して最も好ましいペプチドである)。
【表21】
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【0259】
表20に提示されているデータは、抗感染ペプチドTSG001、TSG003、及びTSG004が良好な細胞毒性プロファイルを有することを示している。
【0260】
(6.2.4 抗感染ペプチドの治療指数の解析)
各々のペプチドの治療指数を、CC50/EC50比に基づいて、各々のウイルス株について決定した。ペプチドを順位付けるために、平均治療指数を7つのウイルス株のパネルにわたって計算した。どの場合も、TSG001(配列番号1)が最良の治療指数を有していた。
【0261】
表21.表示ウイルスに対する抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の治療指数。
【表22】
[この文献は図面を表示できません]
【0262】
表22.抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006並びに比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)の平均治療指数。抗感染ペプチドは、最も好ましい治療指数に従って順位付けられている(すなわち、第1位のものは、最大の治療指数を有するので、治療指数に関して最も好ましいペプチドである)。
【表23】
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*AHペプチドの治療指数は、異なるフラビウイルスにわたってばらつきが大きい。対照的に、TSG001(配列番号1)ははるかにより確実性があり、試験された全てのフラビウイルスにわたって安定した活性を有する。
【0263】
表21及び22に提示されているデータは、抗感染ペプチドTSG001、TSG002、TSG003、TSG004、及びTSG006が良好な治療プロファイルを有することを示している。
【0264】
(6.2.5 ペプチド修飾)
上記の方法(第6.2.3節(a)を参照)と同じ方法を用いて、同じウイルスパネルに対するTSG001及びTSG002のペグ化バージョン(それぞれ、TSGX1X及びTSGX2Xと表示されている)の抗ウイルス活性を評価した。
【0265】
TSGX1Xは、
【化99】
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である。
【0266】
TSGX2Xは、
【化100】
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である。
【0267】
2つのPEG12構成要素[Fmoc-PEG12-OH]を、従来の固相ペプチド合成を用いて、N末端に順次付加した。これらのペプチドの分子質量は、各々、3160.7Daであり、そのうち、PEG鎖は1217.44Daである。
【0268】
EC50値は、下の表23に報告されており、TSG00X1X及びTSG00X2Xは、DENV及びJEV株に対する強い抗ウイルス活性を維持するが、CHKV及びYFVに対する抗ウイルス活性は低下することを示している。
【0269】
表23.抗感染ペプチドのEC50値。
【表24】
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【0270】
(6.2.6 フィロウイルスに対する抗ウイルス活性)
エボラウイルス(EBOV)及びマールブルグウイルス(MARV)は、疾病管理センター(Center for Disease Control)の分類システムにおけるカテゴリーAの生物兵器病原体(bio-warfare agent)である。これらのウイルスが生物テロ目的で単離及び培養されるかも知れないという懸念が残っている。TSG001及びTSG002ペグ化及び非ペグ化バージョンの抗ウイルス活性をこれら2つのウイルスに対して試験した。特に、Vero E6細胞を96ウェルプレートに40,000細胞/ウェルの密度でプレーティングした。試験薬剤をウイルスとともに37℃で1時間インキュベートした(最終MOI=0.1〜0.5)。ウイルスと化合物の混合物を細胞に移し、インキュベーター内に48時間置いた。その後、感染細胞を10%緩衝ホルマリンで固定し、Pierce Super Signal ELISAピコ化学発光基質キット(Thermo Scientific, Rockford, Il)を用いて、ウイルス阻害のパーセントを決定するために、細胞ベースのELISAアッセイを実施した。細胞をPBSで3回洗浄し、1時間ブロッキングした。その後、ブロック液中の希釈された一次抗体を2時間添加し、細胞をPBSで再び3回洗浄した。次に、ブロック液中の希釈された二次抗体(HRPコンジュゲートヤギ抗マウス)を1時間添加した。従来のプレートリーダーで発光を読み取ることにより、ウイルスの量を測定した。
【0271】
EC50値は下の表24に報告されており、非ペグ化ペプチドが強力な抗ウイルス活性を有することを示している。
【0272】
表24.フィロウイルスに対する抗感染ペプチドの抗ウイルス活性
【表25】
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【0273】
(6.3 実施例3.複数のウイルスに対するペグ化抗感染ペプチドの阻害効果)
本実施例は、以下のウイルス: YFV 17D、VACV NYCBH、VEEV TC-83、LACV H44-71017、RVFV MP12、DENV血清型1〜4、JEV 14-14-2、A型インフルエンザ/カリフォルニア/07/2009ウイルス(H1N1)、及びCHIKV 181/25に対する細胞変性効果(CPE)ベースのEC50アッセイを用いた、2つの抗感染ペプチドの抗ウイルス活性を記載している。
【0274】
CPEベースのEC50アッセイを実施するために、細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、試験物の連続希釈物を培地中に調製した。2つの条件を評価した:(1)ウイルスとペプチド希釈物(TSGX1X及びTSGX2X)とのプレインキュベーション;並びに(2)感染直後のペプチド希釈物(TSGX1Xのみ)の添加。TSGX1Xは、
【化101】
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を指す。TSGX2Xは、
【化102】
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を指す。プレインキュベーション条件の場合:(i)抗感染ペプチド希釈物を培地中に調製し、ウイルスとともに37℃(インフルエンザウイルスの場合、35℃)で1時間インキュベートし;(ii)対照阻害剤及び培地のみを同時にインキュベートし;かつ(iii)細胞にプレインキュベーションミックスを感染させ、ウイルスに固有の時間インキュベートした。プレインキュベーションなしの条件の場合:(i)細胞にウイルスを1時間感染させ;(ii)ペプチド希釈物を培地中に調製し、感染細胞に添加し;(iii)対照阻害剤及び培地のみを同時にインキュベートし;かつ(iv)細胞を、ウイルスに固有の時間、37℃(MDCK細胞の場合、35℃)でインキュベートした。その後、インキュベーションの後に、細胞を固定し、クリスタルバイオレット/グルタル酸ジアルデヒド溶液で染色した。光学密度を決定し、未感染(細胞のみ)の対照を0%CPEとして、化合物なし(ウイルスのみ)の対照を100%CPEとして用いて、ODの4-PL曲線フィットを用いて、EC50を決定した。
【0275】
細胞毒性アッセイ(CC50)を実施するために、細胞を黒壁の96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、抗感染ペプチドの連続希釈物を調製した。増殖培地を細胞から吸引し、化合物希釈物を添加した。培地のみとともにインキュベートした細胞は対照としての役割を果たした。3、6、及び8日後(MDCKの場合、7日目)に、培地を吸引し(1日にプレート1組)、ATP含有量の評価のために、PromegaのCelltiterGloキットを用いて、細胞を溶解させた。得られたルシフェラーゼ発光を定量し、4-PL曲線フィットを用いてCC50を計算するために使用した。全てのインキュベーション時間を細胞毒性について評価したわけではなかった。表25及び26は、細胞毒性を評価した日のまとめを提供している。CC50データは表27に提示されている。表28は、プレインキュベーション条件での各々のウイルスに対する各々のペプチドの効力のまとめを提供している。表29は、プレインキュベーション条件での各々のウイルスに対する各々のペプチドの効力のまとめを提供している。
【0276】
表25.インキュベーション及び細胞毒性の時点。
【表26】
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【0277】
表26.インキュベーション時間(日)及び細胞毒性が決定された対応する日。
【表27】
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【0278】
表27.様々な時点で、表示細胞株で試験された各々のペプチドの細胞毒性。値はCC50(μM)に関するものである。
【表28】
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【0279】
表28.プレインキュベーション条件での各々のウイルスに対する各々のペプチドの効力のまとめ。提示されている値はEC50(μM)である。N/D=実施されず。
【表29】
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【0280】
総合すると、TSGX1X及びTSGX2Xは、CHIKV、DENV、JEV、RVFV、VACV、及びYFVの感染に対して効果がある。
【0281】
表29.プレインキュベーションなしの条件での各々のウイルスに対する各々のペプチドの効力のまとめ。提示されている値はEC50(μM)である。N/D=実施されず。
【表30】
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【0282】
総合すると、TSGX1Xは、CHIKV、DENV、JEV、RVFV、VACV、及びYFVの感染に対して効果がある。
【0283】
(6.4 実施例4. HSV-1並びにA型インフルエンザウイルス(H1N1及びH3N2)に対する試験物TSG001の抗ウイルス活性の決定)
本実施例は、以下のウイルス: HSV-1、A型インフルエンザ/香港/1/1968ウイルス(H3N2)、A型インフルエンザ/カリフォルニア/07/2009ウイルス(H1N1)に対するCPEアッセイにおける抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)の抗ウイルス活性を記載し、かつインキュベーション後3日目のVero細胞及び6日目のMDCK細胞におけるペプチドの細胞毒性を記載している。
【0284】
CPEベースのEC50アッセイを実施するために、細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、試験物の連続希釈物を培地中に調製し、ウイルスとともに、37℃(HSV-1)又は35℃(H3N2及びH1N1)で、1時間インキュベートした。対照阻害剤及び培地のみを同時にインキュベートした。Vero細胞にプレインキュベーションミックスを感染させ、ウイルスに固有の時間インキュベートした(HSV-1: 3日; H3N2及びH1N1: 6日)。その後、インキュベーションの後に、細胞を固定し、クリスタルバイオレット/グルタル酸ジアルデヒド溶液で染色した。光学密度を決定し、未感染(細胞のみ)の対照を0%CPEとして、化合物なし(ウイルスのみ)の対照を100%CPEとして用いて、ODをフィットさせるために4-PL曲線を用いて、EC50を決定した。
【0285】
細胞毒性アッセイを実施するために、細胞を黒壁の96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、試験物の連続希釈物を調製した。増殖培地を細胞から吸引し、化合物希釈物を添加した。培地のみとともにインキュベートした細胞は、対照としての役割を果たした。3日(Vero)及び7日(MDCK)後、培地を吸引し、細胞をATP含有量の評価のために、PromegaのCelltiterGloキットを用いて、溶解させた。得られたルシフェラーゼ発光を定量し、4-PL曲線フィットを用いてCC50を計算するために使用した。
【0286】
結果は下の表30に提示されている。EC50及びCC50を得るために各々のウイルスについて利用された出発濃度は200μMであった。抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、HSV-1及びA型インフルエンザウイルス感染に対する高いEC50を有していた。
【0287】
表30. HSV-1及びA型インフルエンザウイルスに対する抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)の有効性及び細胞毒性データ。ND=未決定
【表31】
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【0288】
(6.5 実施例5: ZIKVに対する抗感染ペプチドの抗ウイルス活性)
(6.5.1 4日目にプラーク減少中和アッセイによって決定されたZIKVに対する抗感染ペプチドの抗ウイルス活性)
本実施例は、ZIKVに対するプラーク減少中和アッセイにおける、2つの抗感染ペプチドの抗ウイルス活性を記載している。本実施例は、4日目のVero細胞におけるペプチドの細胞毒性も記載している。
【0289】
Vero細胞を1ウェル当たり1×10
5細胞で24ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、ペプチドの11の2倍連続希釈物を20μMから調製した。ZIKV FSS 13025を〜150PFUまで希釈した。ペプチド希釈物をウイルスとともに37℃で1時間インキュベートした。
【0290】
細胞にペプチド-ウイルス混合物を37℃で1時間感染させた。接種材料を除去し、1%FBSが補充された培地中の2mLの0.8%(w/v)メチルセルロース(Fisher Scientific)を添加した。4日後、プレートを固定し、プラークについて、クリスタルバイオレット染色により解析した。簡潔に説明すると、細胞を固定溶液(DPBS中の5%グルタル酸ジアルデヒド(Sigma Aldrich))で固定し、その後、固定溶液中の0.1%クリスタルバイオレット(Sigma Aldrich)で染色した。IC
50を、ウイルスのみの試料と比べたプラークの数に基づいて、4-PL曲線フィットを用いて計算した。
【0291】
各々の試験された抗感染ペプチド、とりわけ、L-異性体は、試験された細胞で抗ZIKV活性及び良好な細胞毒性を示した(表31)。
【0292】
表31. ZIKVに対する抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)のL及びD-異性体バージョンのIC50及びCC50データ
【表32】
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【0293】
(6.5.2 3日目に収量減少アッセイによって決定されたZIKVに対する抗感染ペプチドの抗ウイルス活性)
Vero細胞を24ウェルプレートに播種し、それを一晩インキュベートすることにより、収量減少中和アッセイを実施した。翌日、抗感染ペプチドの6つの2倍連続希釈物を20μMから調製した。ZIKV FSS 13025を〜150プラーク形成単位(PFU)まで希釈した。試験希釈物をウイルスとともに37℃で1時間インキュベートした。細胞に1時間感染させ、その後、接種材料を除去した。新鮮な培地を添加し、細胞を37℃で3日間インキュベートした。上清を回収し、細胞残渣を除去し、-80℃で保存した。
【0294】
ウイルス力価を決定するために、細胞に該混合物を37℃で1時間感染させた。接種材料を除去し、0.8%メチルセルロースを添加した。4日後、プレートをプラークについて解析した。IC50を、ウイルスのみと比べたプラークの数に基づいて、4-PL曲線フィットを用いて計算した。
【0295】
各々の試験された抗感染ペプチド、とりわけ、L-異性体は、試験された細胞で抗ZIKV活性及び良好な細胞毒性を示した(表32)。
【0296】
表32. ZIKVに対する抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)のL及びD-異性体バージョンのIC50及びCC50データ。
【表33】
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【0297】
(6.5.3 抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)の抗ZIKV活性)
ジカウイルス(ZIKV)の流行は世界規模の公衆衛生非常事態であり、現在承認されている治療法はない。ZIKV感染性を強く無効化する膜湾曲検知ペプチドが設計された。阻害濃度は、ヒトの健康にとって重要な哺乳動物細胞株又は細菌細胞株の生存能力に影響を及ぼさなかった。これらの結果は、ウイルスエンベロープターゲッティングがZIKVに対する有効な抗ウイルス戦略であり、かつ予防的及び治療的用途で利用され得ることを示唆している。
【0298】
ウイルスエンベロープターゲッティングに基づいてZIKVに対する強力な抗ウイルス活性を保有する新たに設計された短い両親媒性ペプチドが本実施例に記載されている。膜湾曲検知特性を付与する、ウイルスにコードされたより長いアミノ酸配列(Choらの文献、ACS Chemical Biology 4, 1061(2009); Jackmanらの文献、Small 11, 2372(2015); Jackmanらの文献、Journal of the American Chemical Society, (2016))から発想を得て、本明細書で設計された推定上の配列
【化103】
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は、16アミノ酸しか有さず、臨床的に承認されている37アミノ酸長のHIV侵入阻害剤T-20/エンフビルチド(Lalezariらの文献、New England Journal of Medicine 348, 2175(2003))よりもかなり短い(
図1A)。円二色性分光法実験は、膜結合ペプチドが顕著ならせん誘起を受け(27%増加)、双性イオン脂質小胞中でより活性のあるα-ヘリックス状態(83%ヘリシティ)にフォールディングすることを示した(
図1B)。蛍光分光法実験は、200nm未満の直径の高湾曲小胞について10
5のオーダーの脂質-水分配係数を有するトリプトファン含有ペプチドの双性イオン脂質二重層中への強い分配を示し(Meloらの文献、Nature Reviews Microbiology 7, 245(2009))、したがって、この領域内での結合−フォールディング平衡は、活性型の結合状態に有利に働く(Krausonらの文献、Journal of the American Chemical Society 137, 16144(2015))(
図1C)。他方、このペプチドは、より大きい小胞中へのごくわずかな分配を示し、このペプチドが膜湾曲センサーとして挙動し、小さいエンベロープ型ウイルスなどの、高度に湾曲した膜に対して優先的に活性があることを示している。重要なことに、細胞変性効果アッセイにおける蚊媒介性エンベロープ型ウイルスのパネルに対するこのペプチドの抗ウイルス能の機能的スクリーニングは、強い阻害を明らかにした。細胞変性効果の50%阻害をもたらすペプチド濃度(EC50)は、デングウイルスの4つ全ての血清型、並びに日本脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、及びチクングニヤウイルスに対して3μM未満であった(表33)。まとめると、エンベロープ型ウイルスに対するこのペプチドの広範な阻害活性及びその膜湾曲選択性は、ZIKVに対するその抗ウイルス活性及び対応する作用機序を評価する動機付けを提供した。
【0299】
表33.抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)の抗ウイルス活性
【表34】
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【0300】
アジア系統に属し、2010年のカンボジアでの大流行からの小児患者から単離されたZIKV株FSS13025を用いて、抗ウイルス試験を実施した(Haddowらの文献、PLoS Negl Trop Dis 6, e1477(2012))。アフリカミドリザル腎臓細胞に由来するVero細胞におけるZIKV感染に対するペプチドの中和活性を決定するために、プラーク減少アッセイ(PRNT)を実施した。ペプチド(TSG001、配列番号1)は、ZIKVに対して阻害性が強く、濃度依存的に挙動し、50%プラーク減少中和力価(PRNT50)値は1.0μMであった(
図2A)。収量減少実験は、抗ウイルス活性をさらに立証し、ウイルス収量を50%減少させるペプチド濃度(IC50)は、1.1μMであると決定された(
図2B)。Vero細胞並びに赤血球細胞株、上皮細胞株、及び子宮内膜細胞株を含むいくつかの哺乳動物細胞株に対する細胞毒性実験も実施した(
図2C)。50μMの最大試験濃度で試験された全ての細胞株に対する最小細胞毒性が認められた。これは、膜湾曲選択性と一致しており、高い治療指数を示すものである。さらに、膣内微小環境の自然防御に寄与するいくつかの重要な乳酸菌(Lactobacillus)細菌種の生存能力に対するペプチド処理の効果も調べた(Fernandez-Romeroらの文献、Advanced Drug Delivery Reviews 92, 27(2015))(
図2D)。この場合も、試験された細菌種に対する最小毒性が見られ、このペプチドが殺微生物用途によく適していることを裏付けている。まとめると、これらの結果は、このペプチドが関連哺乳動物細胞株及び細菌細胞株にわたってZIKV粒子を選択的に標的とすることを示している。
【0301】
この研究における発見は、膜作用性薬剤がZIKV粒子の感染性を減少させることができ、かつこの抗ウイルス活性が極めて標的を絞った形で生じ、ヒトの健康にとって重要な関連哺乳動物細胞株及び細菌細胞株に対する毒性が低いという最初の証拠を提示している。ヒト化抗体及びワクチンの開発は、長期的なZIKV治療選択肢の開発における重要な目標であり続けているが、エンベロープターゲッティング剤は、薬物カクテル中で相乗的に作用し得る補完的なアプローチであり、ウイルスエンベロープが宿主細胞膜に由来するので、このクラスの薬物に対する耐性ウイルス株の出現に対するより高い障壁となる可能性がある。24単位のポリエチレングリコール(PEG)鎖がN末端に付加されたペプチド類似体は、中和活性を保持し、それにより、より長い半減期及びタンパク質分解に対するより大きい耐性を有する治療的に有効な製剤を開発する可能性を支持している(Robertsらの文献、Advanced Drug Delivery Reviews 64, 116(2012))。さらに、膜作用性ペプチドは、長期耐久性を伴う局所的な殺微生物用途及びHIV防御に対する強いエクスビボ性能についてますます関心を集めており(Dentonらの文献、Journal of virology 85, 7582(2011); Maskiewiczらの文献、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 56, 3336(2012); Veazeyらの文献、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 60, 693(2016))、ZIKVエンベロープを破壊する本研究におけるペプチドの立証された能力は、そのような用途に有用であろう。
【0302】
まとめると、本実施例は、ウイルスエンベロープを標的とすることによるZIKV粒子の破壊がZIKV感染に対する有効な阻害戦略であることを示している。ZIKV粒子は、他のフラビウイルスの熱安定性よりも大きい熱安定性及び他のフラビウイルスの構造よりもコンパクトな構造を有すると考えられているが、そのウイルスエンベロープは膜作用性化合物による処理に対して脆弱なままであることが確認された。選択的ターゲッティング(例えば、膜湾曲選択性)を伴う膜作用性侵入阻害剤であれば、ZIKV対策の重要な部分となるだけでなく、他の新興及び再興エンベロープ型ウイルスに対する幅広い迅速な応答を提供することもできるであろう。
【0303】
(6.6 実施例6:インビトロの細胞ベースのアッセイにおけるTSG001による抗HIV活性及び細胞毒性の評価)
本実施例は、化合物TSG001によるヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるHIV-1
BaLの阻害、HIV-1殺ウイルス活性、並びに膣内及び直腸環境に関連がある細胞並びに正常膣内叢の乳酸菌に対する毒性を評価したことを記載している。
【0304】
(6.6.1 材料及び方法)
(ヒトPBMC:)
HIV及びHBVについて血清反応陰性であることが決定された新鮮なPBMCを、バイオロジカルスペシャルティ社(Biological Specialty Corporation)(Colmar, PA)から入手した血液から単離した。
【0305】
(細胞株:)
毒性評価で使用されるCa Ski(ATCC CRL-1550)、HEC1A(ATCC HTB-112)、ME180(ATCC HTB-33)、及びCaco-2(ATCC HTB-37)細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC), Manassas, VAから入手した。HIV-1殺ウイルスアッセイで使用されるMT-2細胞は、AIDS研究及び照会プログラム(AIDS Research and Reference Program)(Rockville, MD)から入手した。細胞を供給業者によって推奨されている通りに増殖させ、液体窒素中で保存した。
【0306】
(細菌:)
ラクトバチルス・イエンセニイ(ATCC 25258)、ラクトバチルス・クリスパトゥス(ATCC 33820)、及びラクトバチルス・アシドフィルス(ATCC 11975)は、ATCCから入手した。各々の株をMRS培地(Becton Dickinsonカタログ#288130)で増殖させた。この培地は、ATCCによって示されているように、通性嫌気性増殖条件を可能にする。細菌ストックを調製し、15%グリセロール中、-80℃で保存した。
【0307】
(ウイルス:)
HIV-1阻害アッセイで使用されるHIV-1
BaL及びHIV-1
RFは、AIDS研究及び照会プログラム(Rockville, MD)から入手した。ウイルスを-80℃で保存した。濃縮されたHIV-1
RFを調製するために、ウイルスプールを、1000RPMで15分間、4℃で遠心分離した。上清を適切なプラスチックチューブに移し、32,500×g(15,000+/-200RPM)で90分間、4℃で遠心分離した。上清をデカントで捨て、ウイルスペレットを、フェノールレッドを含まないわずかな(例えば、1/200)の容量の完全RPMI 1640に再懸濁させた。全ての再懸濁ペレットを混合し、分注してクライオバイアルに入れ、使用するまで-80℃で保存した。
【0308】
(組織培養培地:)
使用された組織培養培地の内容は、表34に提供されている。
【0309】
表34.培地成分
【表35】
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【0310】
(ヒトPBMC単離:)
白血球を除去したヒトドナー血液は、バイオロジカルスペシャルティ社(Colmar, PA)から入手した。白血球を除去した血液細胞をダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS, Lonza, カタログ#17-512F)で2回洗浄した。洗浄後、細胞をDPBSで1:1希釈し、50mLの円錐遠心チューブ中の15mLのFicoll-Hypaque密度勾配の上に重層した。このチューブを600×gで30分間遠心分離した。PBMCを含有する勾配内のバンドを、生じた界面から穏やかに吸引した。単離された細胞を低速遠心分離によりDPBSで3回洗浄した。最後の洗浄の後、細胞をトリパンブルー色素排除によって数え上げ、組織培養培地(15%FBS、2mmol/LのL-グルタミン、2μg/mLのPHA-P(Sigma Aldrich, カタログ#L1932)、100単位/mLのペニシリン、及び100μg/mLのストレプトマイシンが補充されたRPMI 1640)に1×10
6細胞/mLで再懸濁させ、37℃/5%CO
2で48〜72時間インキュベートした。このインキュベーションの後、PBMCを遠心分離によって回収し、組織培養培地(15%FBS、2mmol/LのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、及び3.6ng/mLの組換えヒトIL-2が補充されたRPMI 1640)に再懸濁させた。その後、培養物を、半分の培地容量を新鮮なIL-2含有組織培養培地と3日毎に交換することにより、使用するまで維持した。
【0311】
((a)ヒトPBMCにおけるHIV-1
US/92/727活性の評価)
増殖するようにPHA-Pで72時間誘導されていたPBMCを用いて、アッセイを実施した。3人のドナー由来のPHA-P刺激されたPBMCをまとめてプールして、個々のドナー由来の細胞を使用するときに生じるばらつきを最小限に抑えた。PBMCを遠心分離によって回収し、新鮮な組織培養培地に1×10
6細胞/mLで再懸濁させ、96ウェル丸底マイクロタイタープレートの内部ウェルに50μL/ウェルでプレーティングした。試験化合物を半対数ずつ希釈し、100μLの各々の濃度の化合物含有培地を3連の細胞を含む丸底96ウェルプレートの指定のウェルに移した。化合物をウェルを添加した直後に、50μLの所定のウイルス希釈物を添加した。5%CO
2/37℃で培養して7日後、HIV-1複製を、下記のように、組織培養上清中での無細胞HIV-1 RT活性の測定によって定量した。細胞毒性を、下記のように、テトラゾリウム色素XTTを用いて評価した。
【0312】
(逆転写酵素(RT)活性アッセイ:)
逆転写酵素活性を、標準的な放射性標識取込み重合アッセイを用いて、細胞上清中で測定した。トリチウム化チミジン三リン酸(TTP)を1Ci/mLで購入し、酵素反応当たり1μLを使用した。ポリrA及びオリゴdTを、-20℃で保存されたストック溶液から、それぞれ、0.5mg/mL及び1.7単位/mLの濃度で調製した。RT反応バッファーを毎日新たに調製した。これは、125μLの1M EGTA、125μLのdH
2O、125μLの20%Triton X-100、50μLの1M Tris(pH 7.4)、50μLの1M DTT、及び40μLの1M MgCl
2からなる。各々の反応のために、1μLのTTP、4μLのdH
2O、2.5μLのrAdT、及び2.5μLの反応バッファーを混合した。10マイクロリットル(10μL)のこの反応混合物を、15μLのウイルス含有上清を含む丸底マイクロタイタープレートに入れた。プレートを、加湿インキュベーター中、37℃で60〜90分間インキュベートした。インキュベーション後、10μLの反応容量をDEAEフィルターマット(Perkin Elmer, カタログ# 1450-522)上に適切なプレートフォーマットでスポットし、クエン酸(15mM)ナトリウム(150mM)バッファー(Invitrogen, カタログ#15557-036)中で、各々5分間、5回、脱イオン水(ImQuest)中で、各々1分間2回、70%試薬アルコール(Fisher, カタログ# L-7168)中で、各々1分間2回洗浄し、その後、風乾させた。乾燥したフィルターマットをプラスチック製の筒に入れ、4mLのOpti-Fluor O(Perkin Elmer, カタログ#1205-440)シンチレーション液を各々の筒に添加した。取り込まれた放射能をWallac 1450 Microbeta Trilux液体シンチレーションカウンターを用いて定量した。
【0313】
(細胞生存能力及び化合物細胞毒性についてのXTT染色:)
試験材料のTC50値として報告される細胞毒性は、テトラゾリウム色素XTT((2,3-ビス(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-5-[(フェニルアミノ)カルボニル]-2H-テトラゾリウムヒドロキシド)の還元を測定することにより得られた。XTT(Sigma-Aldrich、カタログ# X4626-500mg)は、ミトコンドリア酵素NADPHオキシダーゼにより、代謝の活発な細胞で可溶性のホルマザン産物に代謝される。XTT溶液を、添加剤を含まないRPMI-1640中の1mg/mLのストックとして毎日調製した。フェナジンメトスルフェート(PMS、Sigma-Aldrich、カタログ#P9625-1G)溶液をDPBS中に0.15mg/mLで調製し、遮光容器中、-20℃で物理的に保存した。XTT溶液1mL当たり40μLのPMSを添加することにより、XTT/PMSストックを使用直前に調製した。50μL(50μL)のXTT/PMSをプレートの各々のウェルに添加し、プレートを5%CO
2にて37℃で4時間インキュベートした。4時間のインキュベーションは、各々のアッセイについて表示された数の細胞でXTT色素還元の線形応答範囲内にあることが実験的に決定されている。プレートを粘着性プレートカバーで密閉し、数回ひっくり返して、可溶性のホルマザン産物を混合し、Molecular Devices SpectraMax Plus 384 96ウェルプレートフォーマットの分光光度計を用いて、吸光度を450nm(650nm参照波長)で決定した。
【0314】
(データ解析:)
Microsoft Excel 2010を用いてデータを解析し、グラフ化した。EC50(ウイルス複製の50%阻害)、TC50(細胞生存能力の50%低下)、及び治療指数(TI、TC50/EC50)が提供されている。EC値及びTC値は、線形回帰解析を用いて決定した。
【0315】
((b)正常膣内叢乳酸菌の阻害)
55グラムの粉末を1リットルの脱イオン水に溶解させることにより、MRSブロスを調製した。このブロスを沸騰させて、粉末を完全に溶解させ、121℃/17.5psiで15分間滅菌した。滅菌後、このブロスを使用の前に4℃で保存した。MRSブロスに、グリセロールストック由来の各々の細菌株(ラクトバチルス・イエンセニイ、ラクトバチルス・クリスパトゥス、又はラクトバチルス・アシドフィルス)の10μLのループを用いて接種し、培養物を、GasPak EZ嫌気性容器システムポーチ(BD、カタログ# 260678)を用いて、嫌気性ジャーで嫌気的に37℃で24時間インキュベートした。得られた培養物を用いて、同じ手順を用いて、新たに増殖した液体ストックを調製した。最後のインキュベーションの後、細菌密度をMRSブロス中0.06のOD625に調整した。化合物の6つの連続半対数希釈物を調製し、100μLの容量で96ウェル丸底プレートに3連で添加した。アッセイ対照として、それぞれ、1.25U/mL及び1.25μg/mLの高品質(high test)のペニシリン/ストレプトマイシン溶液の6つの連続2倍希釈物を調製し、96ウェル丸底プレートに3連で添加した。上記の調整密度を有する乳酸菌の各々の培養物をプレートの適切なウェルに添加した。この培養物を上記のように24時間嫌気的にインキュベートし、細菌増殖を、Spectramax 340 PC384(Molecular Devices)を用いて、分光光度法により、490nMで評価した。
【0316】
(データ解析:)
Spectramaxプレートリーダーによって生成された生データをスプレッドシート(Microsoft Excel)に移し、そこで、線形回帰解析を用いて、細菌増殖の50%低下をもたらす試験化合物の濃度を決定した。
【0317】
((c)膣内及び直腸区画に関連のある細胞に対する細胞毒性の評価)
ME180、Ca Ski、HEC1A、及びCaco-2細胞を96ウェル平底プレートに24時間添加した後、化合物を200μLの総容量中に5.0×10
4細胞/ウェルの密度で添加した。各々の化合物の6つの濃縮物を1/2対数(ノノキシノール-9対照(本明細書で「N9」と呼ばれる))又は1:2(TSG001)で連続希釈し、培地の除去後、200μLの容量で、播種した細胞に、3連で添加した。プレートを37℃/5%CO
2で24時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を添加剤を含まないRPMI-1640で3回洗浄した。その後、各々の特定の細胞株用の200マイクロリットル(200μL)の完全培地をプレートに添加し、37℃/5%CO
2でさらに24時間インキュベートしておいた。細胞毒性を、上記のように、テトラゾリウム色素XTTを用いて評価した。
【0318】
(データ解析:)
Microsoft Excel 2010を用いてデータを解析し、グラフ化した。TC50(細胞生存能力の50%低下)が提供されている。TC50値は、線形回帰解析を用いて決定した。データのグラフ表示を含む毒性の生データは、個々の化合物毒性をまとめた別表に提供されている。
【0319】
MT-2細胞を100μLの容量中に1×10
4細胞/ウェルの密度で96ウェル平底プレートに添加した。化合物TSG001の6つの濃縮物及び対照化合物ノノキシノール-9(N-9)をRPMI-1640アッセイ培地中に調製し、95μLの各々の濃縮物を、6〜7logのウイルス活性(5μLの100×ウイルスストック)を生じるように、濃縮HIV-1
RFウイルスストックと37℃/5%CO
2で1時間混合した。毒性の評価のために、95μLの化合物を5μLのRPMI-1640アッセイ培地と混合した。ウイルス対照については、95μLの培地を5μLの100×ウイルスストックと混合した。1時間の曝露期間の最後に、6つの連続10倍希釈を実施した。100マイクロリットル(100μL)の連続希釈物を、予め播種されたMT2細胞を含むプレートに移した。各々の希釈物を4連でプレーティングした。化合物毒性について評価されている試料を2連でプレーティングした。プレートを37℃/5%CO
2で7日間インキュベートした。これらを顕微鏡で観察し、3日目及び6日目にウイルス誘導性の細胞変性効果及び薬剤誘導性の細胞毒性についてスコアリングした。
【0320】
(6.6.2 結果)
((a)ヒトPBMCにおけるHIV-1に対する有効性及び毒性についてのTSG001の評価)
抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)をヒトPBMCにおける抗HIV-1活性について評価し、CCR-5指向性HIV-1
US/92/727に対する3.47μMのEC50を有することが明らかになった。TSG001は、PBMCに対して毒性があり、8.93の治療指数(TI)をもたらす31.0μMのTC50を有していた。AZTを同時に評価し、0.0029μMのEC50を有していた。これらのデータは、表35に提示されている。
【0321】
表35. HIV-1
US/92/727に対するヒトPBMCにおけるTSG001(配列番号1)の有効性及び毒性。
【表36】
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【0322】
((b)膣内及び直腸環境を表す細胞株の評価)
抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)を膣内及び直腸環境を表す細胞株に対する毒性について評価した。化合物を細胞に24時間曝露させ、その後、細胞を添加から48時間後の細胞変性効果(CPE)について評価した。抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、評価した最大濃度(50μM)まで、Ca Ski、HEC1A、及びCaco-2細胞に対して毒性がないことが分かった。抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、ME180細胞に対して毒性があり、37.0μMのTC50値を有していた。ノノキシノール-9(N-9)を同時に評価し、これらの細胞株の各々において予想された濃度で毒性があった。これらのデータは、表36に提示されている。
【0323】
表36.膣内及び直腸環境を表す細胞におけるTSG001(配列番号1)による細胞毒性の評価
【表37】
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【0324】
((c)TSG001による正常膣内叢乳酸菌に対する毒性の評価)
抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)を、L.アシドフィルス、L.イエンセニイ、及びL.クリスパトゥスを含む3つの乳酸菌株に対する毒性について評価し、評価した最大濃度(50μM)まで、3つ全ての株に対して毒性がないことが分かった。ペニシリン/ストレプトマイシン溶液を陽性対照として同時に評価し、予想された濃度で活性があった。脱イオン水を陰性対照として使用した。これらのデータは、表37に提示されている。
【0325】
表37. TSG001(配列番号1)による正常叢乳酸菌に対する毒性の評価
【表38】
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【0326】
((d)MT-2細胞におけるHIV-1RFに対するTSG001の殺ウイルス活性の評価)
6つの濃度の抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)をHIV-1
RFとともに1時間インキュベートし、その後、連続10倍ずつ希釈し、MT-2細胞に曝露させた。ウイルスへの曝露から3日目及び6日目に、細胞を合胞体の存在について、「+」又は「-」でスコアリングした。TCID50を評価した各々の濃度で決定した。3日目に、ウイルス対照は、5.3のTCID50を有していた。TSG001(配列番号1)は、50μM〜0.15μMの濃度で3.9〜5.8の範囲のTCID50を有していた。ウイルス力価の最大log低下は、50μMで1.4であった。6日目に、ウイルス対照は、6.5のTCID50を有していた。TSG001(配列番号1)は、50μM〜0.15μMの濃度で5.0〜>6.6の範囲のTCID50を有していた。ウイルス力価の最大log低下は、50μMで1.5log低下であった。N-9を同時に評価し、予想された通りのウイルス力価の低下のレベルを有していた。これらのデータは、表38に提示されている。
【0327】
表38. MT-2細胞におけるTSG001(配列番号1)のHIV-1
RF殺ウイルス活性の評価
【表39】
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【0328】
(6.6.3 結論)
抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、3.47μMのEC50値で、ヒトPBMCで活性があることが分かり、殺ウイルスアッセイでHIV-1
RFに対して評価したとき、50μMでウイルス力価の1.5log低下をもたらした。抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、PBMC及びME180細胞に対して、規定のEC50値よりも約10倍高い濃度で毒性があった。TSG001は、上皮細胞Ca Ski、HEC1A、及びCaco-2に対しても、正常膣内叢乳酸菌に対しても、評価した50μMの最大濃度まで毒性がなかった。
【0329】
(6.7 実施例7:評価された細菌に対するTSG001、シプロフロキサシン、及びクリンダマイシンのインビトロ活性)
本実施例は、様々な細菌種及び細菌株に対する抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)の抗細菌活性を記載している。
【0330】
(6.7.1 材料及び方法)
個々の薬物ロットに対する具体的な情報は以下に示されている。適切な溶媒を比較薬に加えたら、ストック溶液を室温で約1時間静置して、自動滅菌させておき、その後、分注し、-80℃で凍結させた。アッセイ当日に、試験プレート中の最大濃度の40倍の比較薬の凍結ストック溶液の新鮮なアリコートを-80℃から取り出し、解凍し、試験に用いた。
【0331】
表39.本実施例で使用された化合物。
【表40】
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【0332】
((a)生物体)
試験生物体をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)及び臨床検査室から取得した。受け取ったとき、これらの分離株を、好適な条件下で、各々の生物体に適した寒天培地上にストリークした。嫌気性生物体を含むプレートは、Bactron II嫌気性チャンバー(Sheldon Manufacturing社、Cornelius, OR)にて、嫌気的に35℃で48時間インキュベートした。好気性生物体は35℃で18〜24時間インキュベートした。これらの増殖プレートから採取されたコロニーを凍結防止剤を含む適切な培地に再懸濁させた。その後、各々の懸濁液のアリコートを-80℃で凍結させた。アッセイの前に、生物体を解凍し、適切な寒天プレート上で二次培養し、上記の通りにインキュベートした。
【0333】
以下の品質管理分離株を被験分離株の一部として含めた:クロストリジウム・ディフィシルATCC 700057、大腸菌ATCC 25922、黄色ブドウ球菌ATCC 29213、エンテロコッカス・フェカーリスATCC 29212、緑膿菌ATCC 27853、及び肺炎連鎖球菌ATCC 49619。
【0334】
((b)試験培地)
嫌気性生物体の場合、感受性試験をBBLブルセラ菌ブロス(BRU; Becton Dickinson; Sparks, MD;ロット番号2311123)中で実施した。BRUブロスに、ビタミンK1(Sigma-Aldrich; St. Louis, MO;ロット番号MKBNS958V)、ヘミン(Sigma-Aldrich;ロット番号SLBD8813V)、及び5%溶血ウマ血液(Cleveland Scientific; Bath, OH;ロット番号222808)を補充した。嫌気性生物体用の寒天プレートは、栄養補助ブルセラ菌寒天プレート(Remel, Lenexa, KS;ロット番号484569)であった。
【0335】
好気性生物体の場合、MICアッセイに利用される培地は、インフルエンザ菌を除いて、ミュラー・ヒントンブロス(MHB II-Becton Dickinson;ロット番号4293655)であった。インフルエンザ菌は、ヘモフィルス試験培地(HTM; Teknova; Hollister, CA;ロット番号H580025K1401)中で試験した。連鎖球菌の場合、MHB IIに、3%溶血ウマ血液(Cleveland Scientific;ロット番号222808)を補充した。好気性生物体に使用される寒天プレートは、インフルエンザ菌を除いて、トリプチカーゼ大豆寒天+5%ヒツジ血液(Remel;ロット番号629110)であった。インフルエンザ菌は、チョコレート寒天(Becton Dickinson、ロット番号4260888)にストリークした。
【0336】
((c)MICアッセイ法)
MICアッセイプレートをCLSIブロス微量希釈手順を用いて調製した(例えば、Jorgensen, James H.及びJohn D. Turnidgeの文献、「感受性試験法:希釈及びディスク拡散法(Susceptibility test methods: dilution and disk diffusion methods)」、臨床微生物学のマニュアル(Manual of Clinical Microbiology)、第11版。American Society of Microbiology, 2015. 1253-1273を参照)。自動リキッドハンドラー(Biomek 2000及びBiomek FX, Beckman Coulter, Fullerton CA)を用いて、連続希釈及び液体移動を実施した。標準的な96ウェル微量希釈プレート(Costar 3795)の2〜12列目の全てのウェルに150μLの適切な溶媒を充填した。300μLの各々の試験薬(40×)をプレートの1列目の各々のウェルに添加した。このプレートを用いて、レプリカ「ドータープレート」の連続薬物希釈物を提供する薬物「マザープレート」を調製した。Biomek 2000を用いて、マザープレートの11列目までの連続移動を完了した。12列目のウェルは薬物を含まず、生物体増殖の対照ウェルに相当した。
【0337】
ドータープレートに、Multidrop 384を用いて、1ウェル当たり185μLの上記の試験培地を充填した。ドータープレートは、Biomek FX機器で完了した。この機器によって、5μLの薬物溶液がマザープレートの各々のウェルから各々のドータープレートの各々の対応するウェルに1工程で移された。
【0338】
培地及び薬物を含む嫌気性菌ドータープレートをBactron II嫌気性菌チャンバーに移し、接種前の1時間、還元しておいた。
【0339】
各々の生物体の標準化接種材料をCLSI法に従って調製した(例えば、Jorgensen, James H.及びJohn D. Turnidgeの文献、「感受性試験法:希釈及びディスク拡散法(Susceptibility test methods: dilution and disk diffusion methods)」、臨床微生物学のマニュアル(Manual of Clinical Microbiology)、第11版。American Society of Microbiology, 2015. 1253-1273を参照)。懸濁液を0.5マクファーランド標準に等しくなるように調製した。懸濁液を生物体に適したブロスにさらに希釈した。嫌気性プレートに、10μLの標準化接種材料を、嫌気性条件下、低い薬物濃度から高い薬物濃度へと手作業で接種し、約1×10
5コロニー形成単位/mLが得られた。ドータープレートのウェルは、最終的に、185μLのブロス、5μLの薬物溶液、及び10μLの細菌接種材料を含んでいた。各々のアッセイについて、試験培地中での薬物の可溶性を評価する目的で、薬物溶液を含む(接種材料なしの)培地を含む1つの追加のプレートを用意した。嫌気性菌プレートを3枚の高さに積み重ね、最上部のプレートに蓋をかぶせ、BD GasPak EZ嫌気性菌容器システムに入れ、35℃で46〜48時間インキュベートした。
【0340】
好気性生物体用の接種材料を幅で分類された滅菌リザーバー(Beckman Coulter)に分配し、Biomek 2000を用いて、プレートに接種した。接種が低い薬物濃度から高い薬物濃度へと行われるように逆に向けたBiomek 2000の作業面にドータープレートを配置した。Biomek 2000は、10μLの好気性培養標準化接種材料を各々のウェルに供給した。これらの接種によって、ドータープレート中、約5×10
5コロニー形成単位/mLの最終細胞濃度が得られた。ドータープレートのウェルは、最終的に、185μLのブロス、5μLの薬物溶液、及び10μLの細菌接種材料を含んでいた。各々の試験培地について、試験培地中での薬物の可溶性を評価する目的で、薬物溶液を含む1つの追加のプレートを用意した(未接種の可溶性対照プレート)。好気性菌プレートを3〜4枚の高さに積み重ね、最上部のプレートに蓋をかぶせ、プラスチックの袋に入れ、マイコバクテリウム・スメグマチスを除いて、35℃で約20時間インキュベートした。マイコバクテリウム・スメグマチスは、48時間インキュベートした。黄色ブドウ球菌ATCC 29213の同じ接種材料を用いて、MHB II、及び10%ヒト血清が補充されたMHB IIを含むパネルに接種したことに留意すべきである。
【0341】
プレートビューアーを用いてマイクロプレートを底から検分し、MICを、生物体の目に見える増殖を阻害する薬物の最低濃度として読み取り、記録した。未接種の可溶性対照プレートを薬物沈殿の証拠について観察した。
【0342】
(6.7.2 結果)
インビトロ感受性試験の結果は表40〜42に示されている。品質管理生物体及びそのそれぞれの品質管理抗生物質について得られたMIC値の評価から、全てがCLSIによって規定された範囲内にあることが明らかになった(例えば、Jorgensen, James H.及びJohn D. Turnidgeの文献、「感受性試験法:希釈及びディスク拡散法(Susceptibility test methods: dilution and disk diffusion methods)」、臨床微生物学のマニュアル(Manual of Clinical Microbiology)、第11版。American Society of Microbiology, 2015. 1253-1273を参照)。クリンダマイシン及びC.ディフィシルATCC 700057について、ブロス微量希釈MICは、寒天希釈試験の許容範囲を希釈1回分下回った。この降下は、MICエンドポイントの解釈を妨げなかったが、降下が観察された場合、これらのウェルにおける薬物の溶解濃度は、影響を受ける可能性があった。
【0343】
抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、評価された好気性グラム陽性細菌分離株(黄色ブドウ球菌、腸球菌、連鎖球菌、及び炭疽菌)に対して活性があり、MICは2〜16μg/mLの範囲であった。この活性は、MRSA、VRE、PRSP、並びにシプロフロキサシン及びクリンダマイシン耐性分離株に対して維持された。
【0344】
評価された好気性グラム陰性分離株(大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌、M.カタラーリス、及びインフルエンザ菌)に対しては、抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、偏好性分離株に対してのみ活性があり、M.カタラーリスに対しては1μg/mLのMIC、インフルエンザ菌に対しては8μg/mLのMICであった。抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、大腸菌、肺炎桿菌、及び緑膿菌に対して活性がなかった(>64μg/mLのMIC)。
【0345】
試験された唯一のマイコバクテリウム分離株(M.スメグマチス)に対しては、いくらかの活性が抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)について観察され、MICは32μg/mLであった。抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、評価されたグラム陽性嫌気性分離株のC.ディフィシル(32μg/mLのMIC)及びP.アクネス(16μg/mLのMIC)に対しても活性があった。
【0346】
表40.評価された細菌に対する抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)、シプロフロキサシン、及びクリンダマイシンのインビトロ活性。MSSAはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌を指す。MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を指す。VSEはバンコマイシン感受性腸球菌を指す。VREはバンコマイシン耐性腸球菌を指す。PSSPはペニシリン感受性肺炎連鎖球菌を指す。
【表41】
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【0347】
表41.評価された細菌に対する抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)、シプロフロキサシン、及びクリンダマイシンのインビトロ活性。PRSPはペニシリン耐性肺炎連鎖球菌を指す。
【表42】
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148時間のインキュベーションの後に決定されたMIC
【0348】
表42.評価された細菌に対する抗感染ペプチドP1(配列番号1)、シプロフロキサシン、及びクリンダマイシンのインビトロ活性。
【表43】
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148時間のインキュベーションの後に決定されたMIC
2括弧内に示されたクリンダマイシンの寒天希釈CLSI QC範囲
【0349】
要約すると、抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、耐性分離株を含むグラム陽性好気性菌(黄色ブドウ球菌、腸球菌、連鎖球菌、及び炭疽菌)、偏好性グラム陰性呼吸器病原体(インフルエンザ菌及びM.カタラーリス)、M.スメグマチス、並びに評価されたグラム陰性嫌気性菌(C.ディフィシル及びP.アクネス)に対して活性があった。抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、グラム陰性好気性菌(大腸菌、肺炎桿菌、及び緑膿菌)に対して活性がなかった。
【0350】
(6.8 実施例8:黄色ブドウ球菌に対する抗感染ペプチドの抗細菌活性)
抗感染ペプチドTSG001〜TSG009(配列番号1〜9)の抗細菌活性を、比較ペプチドAH(配列番号10)及びC5A(配列番号11)とともに、様々な黄色ブドウ球菌に対して試験した(表43)。この目的のために、黄色ブドウ球菌(ATCC 25923)(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Manassas, VA)を、LBブロス中、37℃で一晩培養した。終夜培養物の懸濁液を新鮮なLBブロス中に接種し、約0.5のOD600値(対数増殖期)に達するまで好気的条件下で培養した。細菌細胞を1,500×gで10分間の遠心分離によって回収し、PB又はPBSで3回洗浄し、実験用の適切な溶液に再懸濁させた。細菌細胞懸濁液を0.1のOD600値まで希釈した。これは、黄色ブドウ球菌の場合、1×10
7CFU/mLに相当する。その後、実験前に、細菌細胞をPB又はPBSで1:10希釈した。試験化合物の最小阻害濃度(MIC)値をPB又はPBS溶液中で決定した。PB及びPBSの場合、MIC決定は、MH寒天プレート法によって行われた。PB又はPBS中の試験化合物溶液の2倍連続希釈物を96ウェルマイクロタイタープレート中でまず作製した。試験化合物濃度は、50μLの容量で0.3μM〜100μMの範囲であった。その後、PB又はPBSに懸濁させた50μLの黄色ブドウ球菌(1×10
6CFU/mL)を、5×10
5CFU/mLの最終細胞密度になるように各々のウェルに添加した。試料を37℃で3時間インキュベートし、その後、MH寒天プレート上にストリークした。プレートを37℃で一晩インキュベートし、MIC値をコロニー増殖を阻害する最低試験化合物濃度に基づいて記録した。PBを10mMリン酸カリウムバッファー、pH 7.2と定義し、PBSは従来のリン酸緩衝生理食塩水である。
【0351】
MIC値に基づくと、抗感染ペプチドは有効な抗菌剤であるのに対し、AH及びC5Aペプチドは、抗細菌活性を示さない。ほとんどの膜作用性ペプチドは塩条件に感受性があるが、抗感染ペプチドは、PB条件とPBS条件で同一のMIC値を有していた。
【0352】
表43.黄色ブドウ球菌に対する抗細菌活性。MICは平均阻害濃度(μM)を指す。
【表44】
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【0353】
(6.9 実施例9:抗感染ペプチドの円二色性スペクトル)
抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)に対する円二色性分光法実験は、膜結合ペプチドが顕著ならせん誘起を受け(27%増加)、双性イオン脂質小胞中でより活性のあるα-ヘリックス状態(83%ヘリシティ)にフォールディングすることを示した(
図1B)。対照的に、AH(配列番号10)ペプチドとC5A(配列番号11)ペプチドの両方に対するCD測定は、膜結合状態でのらせん誘起を欠いている。AH(配列番号10)ペプチドとC5A(配列番号11)ペプチドはどちらも、バッファー及び50%TFE中で高いヘリシティ率を有する(どちらの環境でも≒87%)。抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)とは対照的に、AH(配列番号10)ペプチドが同様に高いらせん性を保持する(≒84%)のに対し、C5A(配列番号11)ペプチドは、ヘリシティの著しい低下(≒64%)を示す。C5A(配列番号11)ペプチドの構造変化は、脂質膜がC5Aペプチドの二次構造を調節することを示す、以前の蛍光分光法測定と一致している。重要なのは、本研究におけるCD測定により、膜結合が、抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)、AH(配列番号10)、及びC5A(配列番号11)ペプチドの二次構造に対して、はっきりと異なる効果を有することが明確に示されていることである。最も望ましいらせん誘起挙動は、これら3つのペプチドのうち、抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)だけで観察される。
【0354】
らせん誘起の順位(より大きい正のらせん誘起が膜活性に好ましい):(1)抗感染ペプチドTSG001(配列番号1):+27%のらせん誘起;(2)AH(配列番号10):-3%のらせん誘起;及び(3)C5A(配列番号11):-23%のらせん誘起。
【0355】
(方法:)
CD実験を1mm路長の石英キュベット(Hellma)を用いてAVIV Model 420分光計(AVIV Biomedical, Lakewood, NJ, USA)で実施した。スペクトルデータを0.5nmのステップサイズ及び4sの平均化時間で収集した。全てのスペクトルを、1-nmの帯域幅を用いて190〜260nmまで25℃で記録し、3回のスキャンにわたって平均化した。CDスペクトルを50μMのペプチドへの2.5mMの1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)脂質小胞の添加の前及び後に記録した。バッファーのみ又はリポソームのみでのベースラインスキャンも同じ機器設定を用いて実施し、この寄与をペプチドに関するそれぞれのデータスキャンから差し引いた。補正されたスペクトルを平均残基モル楕円率(Θ)で表し、ペプチドのヘリシティ率を以下のように計算した:fH=([Θ]222-3,000)/(-36,000-3000)(ここで、[Θ]222は、222nmでのモル楕円率である)。
【0356】
(6.10 実施例10:抗感染ペプチドの膜分配データ)
膜分配に対する小胞サイズの影響を決定するために、小胞サイズの関数としての各々のペプチドのモル分率分配係数を計算するために、内部トリプトファン蛍光分光法実験を実施した。モル分率分配係数K
xは、各々のペプチドの小胞サイズの関数(n=3の独立した実験についての平均±標準偏差)として提示されている。NDは、分配が最小限であるために分配係数を決定することができなかった場合の未決定を意味する。小胞サイズは、小胞懸濁液に対する従来の動的光散乱測定によって決定された平均小胞直径(dia.)として報告されている。
【0357】
表44.膜分配係数(K
x×10
5)
【表45】
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【0358】
(方法:)
蛍光分光法実験をCary Eclipse蛍光分光光度計(Varian社、Australia)で実施した。測定は全て、0.1cm路長のキュベット及び5mmのスリット幅を用いて実施した。トリプトファン蛍光を、280nmでの励起及び300〜400nmでのスキャン放射を用いて測定した。放射スペクトルを、10mMリン酸カリウムバッファー、pH 7.2中の5μMペプチドを用いて、単層POPC脂質小胞を150μMまで漸増させて(10μMの段階的増量)測定した。各々の漸増点について、ペプチドの放射最大値(λmax)における蛍光強度(I)をバッファー中のペプチドの蛍光強度(I
0)によって正規化した。モル分率分配係数(K
x)は、以下の等式: I/I
0=1+(I
max-1)(K
x[L]/K
x[L]+[W])(式中、I
maxは、ペプチド-脂質結合の飽和後の強度であり、[L]は、モル脂質濃度であり、かつ[W]は、水のモル濃度(55.3M)である)への実験データのフィッティングに基づいて決定した。
【0359】
抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)、TSG002(配列番号2)、TSG004(配列番号4)、及びTSG005(配列番号5)は、AH(配列番号10)ペプチドと同様、膜湾曲に感受性があった。
【0360】
抗感染ペプチドTSG003(配列番号3)及びTSG006(配列番号6)は、C5A(配列番号11)ペプチドと同様、膜湾曲に感受性がなかった。
【0361】
定量的値に基づくと、抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)は、AH(配列番号10)ペプチドと最もよく似た膜湾曲感受性を保持している。特に、蛍光分光法実験は、200nm未満の直径の高湾曲小胞について10
5のオーダーの脂質-水分配定数を伴う、トリプトファン含有抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)ペプチドの双性イオン脂質二重層中への強い分配を示し、したがって、この領域内での結合フォールディング平衡は、活性型の結合状態に有利に働く。他方、このペプチドは、より大きい小胞中へのごくわずかな分配を示し、このペプチドが膜湾曲センサーとして挙動し、小さいエンベロープ型ウイルスなどの、高度に湾曲した膜に対して優先的に活性があることを示している。
【0362】
(6.11 実施例11:抗感染ペプチドの水晶振動子マイクロバランス-散逸(qcm-d)測定)
ペプチドの小胞破壊能力を特徴付けるために、金表面の吸着脂質小胞の層を含む表面感受性測定アプローチを利用した。制御された膜組成(50mol%の1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン及び50mol%のコレステロール)並びにサイズ(動的光散乱測定によって決定したとき、≒80nm直径)を有する小胞を押出法によって調製し、その後、基板に堆積させた(
図3A及び
図3B)。この小胞は吸着し、最密層を形成する。QCM-D技法は、振動する酸化チタン被覆水晶振動子の共振周波数及びエネルギー散逸を測定する音響センサー技法である。吸着質が金被覆センサー表面に付着すると、水晶振動子の周波数の変化(Δf)及びエネルギー散逸の変化(ΔD)が見られ、これらの変化は、時間の関数として追跡することができ、それぞれ、吸着質の音響質量及び粘弾性特性に対応する。
【0363】
抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)、AH(配列番号10)、及びC5A(配列番号11)と、DOPC脂質及びコレステロールから構成される表面吸着小胞との相互作用をまず調べた。押し出された小胞(≒80nm直径)をほぼ飽和するまで金基板に堆積させた。対応するQCM-D吸着反応速度は、最密吸着小胞層の形成と一致した(Δf≒-180Hz及びΔD≒10×10
-6)。その後、ペプチドをt=40分で添加し(
図3A及び
図3Bの矢印を参照)、小胞の破裂が生じた。小胞破裂の程度を、正味のプラスのΔf変化及びマイナスのΔD変化により明らかになるような、吸着小胞層の構造変化によって解釈した。
【0364】
破裂時間は、最初のペプチド付着から大部分の吸着小胞が破裂するまでの期間と定義した(ベースラインと比較して、Δf>-70Hz)。破裂時間は、n=3の独立した実験についての平均±標準偏差として報告されている。破裂時間に基づいて、小胞破裂の速さに従って、ペプチドを順位付け、抗感染ペプチドTSG001(配列番号1)が、そのらせん誘起と一致する最も速い小胞破裂を明確に示した
【0365】
ペプチドをその小胞破裂の速さの順位に関して順位付けた(1は、ウイルスエンベロープ組成を模倣する小さい脂質小胞のより速やかな破裂のために、最も好ましい):(1)抗感染ペプチドTSG001(配列番号1): 5.9±2.3分;(2)AH(配列番号10): 14.7±3.5分;及び(3)C5A(配列番号11): 15.9±2.8分。
【0366】
(方法:)
QCM-D実験をQ-Sense E4機器(Biolin Scientific, Gothenburg, Sweden)で実施した。実験データをいくつかの倍音(n=3、5、7、9)で回収し、周波数の変化(Δf)及びエネルギー散逸の変化(ΔD)を時間の関数としてモニタリングした。報告された測定値は、第3倍音(n=3)からのものであり、これを相応に正規化した(Δfn=3/3)。測定は全て、金を被覆したQCM-Dセンサー結晶(Biolin Scientific)で実施した。基板を1%w/wのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液で洗浄し、その後、水及びエタノールで順次すすいだ。窒素空気流で軽く乾燥させた後、結晶を、実験直前に〜1分間、酸素プラズマ処理(Harrick Plasma, Ithaca, NY, USA)に供した。
【0367】
(6.12 ペプチドの可溶性)
蒸留水中でのペプチドの可溶性を評価した。凍結乾燥ペプチドを2mg/mLの濃度で蒸留水中で再構成させた。理論的モル質量をペプチドの質量濃度及びモル質量によって決定した。実験的モル質量を280nmでの吸光度測定によって決定した。TSG001、AH、及びC5Aについての結果は、表45に記載されている。基本的に、C5Aはすぐには水に溶けず、可溶化にDMSOを必要とする。
【0368】
表45
【表46】
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【0369】
本明細書で引用されている全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各々の個々の刊行物又は特許出願が引用により組み込まれることが具体的にかつ個別に示されているかのように、引用により本明細書中に組み込まれている。上述の発明は理解を明快にするために例説及び実施例によって少し詳細に記載されているが、本発明の教示に照らして、付随する特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、一定の変更及び改変をそれに加えることができることが、当業者には容易に明らかであろう。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
以下のアミノ酸配列を含む、長さが16〜26アミノ酸残基のペプチド:
(化1)
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(ここで、X1は、S、G、又はAであり; X2は、S又はGであり; X3は、V又はIであり、X4は、W又はLであり; X5は、W、K、A、又はLであり;かつX6は、W、K、L、又はAである)(配列番号12)。
(構成2)
以下のアミノ酸配列を含む、構成1記載のペプチド:
a.
(化2)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり; X4はWであり; X5は、WもしくはKであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号13);
b.
(化3)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり、X4はWであり; X5はWであり;かつX6は、KもしくはAである)(配列番号14);
c.
(化4)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号15);
d.
(化5)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号16);
e.
(化6)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号17);又は
f.
(化7)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号19)。
(構成3)
以下のアミノ酸配列を含む、構成1記載のペプチド:
(化8)
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。
(構成4)
以下のアミノ酸配列を含む、構成1記載のペプチド:
(化9)
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。
(構成5)
以下のアミノ酸配列を含む、構成1記載のペプチド:
(化10)
[この文献は図面を表示できません]
。
(構成6)
以下のアミノ酸配列からなるペプチド:
(化11)
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(ここで、X1は、S、G、又はAであり; X2は、S又はGであり; X3は、V又はIであり、X4は、W又はLであり; X5は、W、K、A、又はLであり;かつX6は、W、K、L、又はAである)(配列番号12)
。
(構成7)
以下のアミノ酸配列からなる、構成6記載のペプチド:
a.
(化12)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり; X4はWであり; X5は、WもしくはKであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号13);
b.
(化13)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり、X4はWであり; X5はWであり;かつX6は、KもしくはAである)(配列番号14);
c.
(化14)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号15);
d.
(化15)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号16);
e.
(化16)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号17);又は
f.
(化17)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号19)
。
(構成8)
以下のアミノ酸配列からなる、構成6記載のペプチド:
(化18)
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。
(構成9)
以下のアミノ酸配列からなる、構成6記載のペプチド:
(化19)
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。
(構成10)
以下のアミノ酸配列からなる、構成6記載のペプチド:
(化20)
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。
(構成11)
前記アミノ酸残基がLアミノ酸である、構成1〜5のいずれか一項記載のペプチド。
(構成12)
前記アミノ酸残基がDアミノ酸である、構成1〜5のいずれか一項記載のペプチド。
(構成13)
前記アミノ酸残基がDアミノ酸とLアミノ酸の混合物である、構成1〜5のいずれか一項記載のペプチド。
(構成14)
前記アミノ酸配列がLアミノ酸を含有する、構成6〜10のいずれか一項記載のペプチド。
(構成15)
前記アミノ酸配列がDアミノ酸を含有する、構成6〜10のいずれか一項記載のペプチド。
(構成16)
前記アミノ酸配列がDアミノ酸とLアミノ酸の混合物を含有する、構成6〜10のいずれか一項記載のペプチド。
(構成17)
以下のアミノ酸配列を含む、長さが16〜26アミノ酸残基のペプチド:
a.
(化21)
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(ここで、X1は、A、C、G、P、S、Tであり; X2は、A、C、G、P、S、Tであり; X3は、A、I、L、P、もしくはVであり; X4は、W、F、Y、H、A、I、L、P、もしくはVであり; X5は、W、F、Y、もしくはHであり;かつX6は、W、F、Y、もしくはHである)(配列番号27);
b.
(化22)
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(ここで、X1は、A、C、G、P、S、Tであり; X2は、A、C、G、P、S、Tであり; X3は、A、I、L、P、もしくはVであり; X4は、W、F、Y、H、A、I、L、P、もしくはVであり; X5は、W、F、Y、もしくはHであり;かつX6は、K、Y、R、H、N、Q、S、もしくはTである)(配列番号28);
c.
(化23)
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(ここで、X1は、A、C、G、P、S、Tであり; X2は、A、C、G、P、S、Tであり; X3は、A、I、L、P、もしくはVであり; X4は、W、F、Y、H、A、I、L、P、もしくはVであり; X5は、W、F、Y、もしくはHであり;かつX6は、A、C、G、P、S、I、L、V、もしくはTである)(配列番号29);
d.
(化24)
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(ここで、X1は、A、C、G、P、S、Tであり; X2は、A、C、G、P、S、Tであり; X3は、A、I、L、P、もしくはVであり; X4は、W、F、Y、H、A、I、L、P、もしくはVであり; X5は、K、Y、R、H、N、Q、S、もしくはTであり;かつX6は、W、F、Y、もしくはHである)(配列番号30);
e.
(化25)
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(ここで、X1は、A、C、G、P、S、Tであり; X2は、A、C、G、P、S、Tであり; X3は、A、I、L、P、もしくはVであり; X4は、W、F、Y、H、A、I、L、P、もしくはVであり; X5は、K、Y、R、H、N、Q、S、もしくはTであり;かつX6は、K、Y、R、H、N、Q、S、もしくはTである)(配列番号31);
f.
(化26)
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(ここで、X1は、A、C、G、P、S、Tであり; X2は、A、C、G、P、S、Tであり; X3は、A、I、L、P、もしくはVであり; X4は、W、F、Y、H、A、I、L、P、もしくはVであり; X5は、K、Y、R、H、N、Q、S、もしくはTであり;かつX6は、A、C、G、P、S、I、L、V、もしくはTである)(配列番号32);
g.
(化27)
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(ここで、X1は、A、C、G、P、S、Tであり; X2は、A、C、G、P、S、Tであり; X3は、A、I、L、P、もしくはVであり; X4は、W、F、Y、H、A、I、L、P、もしくはVであり; X5は、A、C、G、P、S、I、L、V、もしくはTであり;かつX6は、W、F、Y、もしくはHである)(配列番号33);
h.
(化28)
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(ここで、X1は、A、C、G、P、S、Tであり; X2は、A、C、G、P、S、Tであり; X3は、A、I、L、P、もしくはVであり; X4は、W、F、Y、H、A、I、L、P、もしくはVであり; X5は、A、C、G、P、S、I、L、V、もしくはTであり;かつX6は、K、Y、R、H、N、Q、S、もしくはTである)(配列番号34);
i.
(化29)
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(ここで、X1は、A、C、G、P、S、Tであり; X2は、A、C、G、P、S、Tであり; X3は、A、I、L、P、もしくはVであり; X4は、W、F、Y、H、A、I、L、P、もしくはVであり; X5は、A、C、G、P、S、I、L、V、もしくはTであり;かつX6は、A、C、G、P、S、I、L、V、もしくはTである)(配列番号35);
j.
(化30)
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(ここで、X1は、G、P、もしくはAであり; X2は、G、P、もしくはAであり; X3は、V、I、L、もしくはMであり; X4は、W、F、Y、もしくはHであり; X5は、W、Y、もしくはFであり; X6は、K、R、Q、E、もしくはNである)(配列番号36);
k.
(化31)
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(ここで、X1は、S、T、A、もしくはQであり; X2は、G、P、もしくはAであり; X3は、V、I、L、もしくはMであり; X4は、W、F、Y、もしくはHであり; X5は、W、Y、もしくはFであり;かつX6は、K、R、Q、E、もしくはNである)(配列番号37);
l.
(化32)
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(ここで、X1は、G、P、もしくはAであり; X2は、G、P、もしくはAであり; X3は、V、I、L、もしくはMであり; X4は、W、F、Y、もしくはHであり; X5は、K、R、Q、E、もしくはNであり;かつX6は、W、Y、もしくはFである)(配列番号38);
m.
(化33)
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(ここで、X1は、S、T、A、もしくはQであり; X2は、G、P、もしくはAであり;かつX3は、V、I、L、もしくはMであり; X4は、W、F、Y、もしくはHであり; X5は、K、R、Q、E、もしくはNであり;かつX6は、W、Y、もしくはFである)(配列番号39);
n.
(化34)
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(ここで、X1は、S、T、A、もしくはQであり; X2は、G、P、もしくはAであり; X3は、V、I、L、もしくはMであり; X4は、W、F、Y、もしくはHであり; X5は、A、S、G、もしくはTであり;かつX6は、W、Y、もしくはFである)(配列番号40);又は
o.
(化35)
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(ここで、X1は、G、P、もしくはAであり; X2は、G、P、もしくはAであり; X3は、V、I、L、もしくはMであり; X4は、W、F、Y、もしくはHであり; X5は、A、S、G、もしくはTであり;かつX6は、W、Y、もしくはFである)(配列番号18)
。
(構成18)
1つ、2つ、又はそれより多くのポリエチレングリコール(PEG)ポリマーに連結された、長さが16〜26アミノ酸残基のペプチドを含むペグ化ペプチドであって、該ペプチドが以下のアミノ酸配列を含む、前記ペグ化ペプチド:
(化36)
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(ここで、X1は、S、G、又はAであり; X2は、S又はGであり; X3は、V又はIであり、X4は、W又はLであり; X5は、W、K、A、又はLであり;かつX6は、W、K、L、又はAである)(配列番号12)。
(構成19)
以下のアミノ酸配列を含む、構成18記載のペグ化ペプチド:
a.
(化37)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり; X4はWであり; X5は、WもしくはKであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号13);
b.
(化38)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり、X4はWであり; X5はWであり;かつX6は、KもしくはAである)(配列番号14);
c.
(化39)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号15);
d.
(化40)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号16);
e.
(化41)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号17);又は
f.
(化42)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号19)
。
(構成20)
以下のアミノ酸配列を含む、構成18記載のペグ化ペプチド:
(化43)
[この文献は図面を表示できません]
。
(構成21)
以下のアミノ酸配列を含む、構成18記載のペグ化ペプチド:
(化44)
[この文献は図面を表示できません]
。
(構成22)
以下のアミノ酸配列を含む、構成18記載のペグ化ペプチド:
(化45)
[この文献は図面を表示できません]
。
(構成23)
1つ、2つ、又はそれより多くのポリエチレングリコール(PEG)ポリマーに連結されたペプチドを含むペグ化ペプチドであって、該ペプチドが以下のアミノ酸配列からなる、前記ペグ化ペプチド:
(化46)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、S、G、又はAであり; X2は、S又はGであり; X3は、V又はIであり、X4は、W又はLであり; X5は、W、K、A、又はLであり;かつX6は、W、K、L、又はAである)(配列番号12)。
(構成24)
以下のアミノ酸配列からなる、構成23記載のペグ化ペプチド:
a.
(化47)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり; X4はWであり; X5は、WもしくはKであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号13);
b.
(化48)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり、X4はWであり; X5はWであり;かつX6は、KもしくはAである)(配列番号14);
c.
(化49)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号15);
d.
(化50)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号16);
e.
(化51)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号17);又は
f.
(化52)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号19)
。
(構成25)
以下のアミノ酸配列からなる、構成23記載のペグ化ペプチド:
(化53)
[この文献は図面を表示できません]
。
(構成26)
以下のアミノ酸配列からなる、構成23記載のペグ化ペプチド:
(化54)
[この文献は図面を表示できません]
。
(構成27)
以下のアミノ酸配列からなる、構成23記載のペグ化ペプチド:
(化55)
[この文献は図面を表示できません]
。
(構成28)
前記1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーが前記ペプチドのN末端に連結されている、構成18〜22のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成29)
前記1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーが前記ペプチドのC末端に連結されている、構成18〜22のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成30)
前記1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーが前記ペプチドのN末端に連結されている、構成23〜27のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成31)
前記1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーが前記ペプチドのC末端に連結されている、構成23〜27のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成32)
以下の構造: NH2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチドを含むペグ化ペプチドであって、該ペプチドが、長さが16〜26アミノ酸残基であり、かつアミノ酸配列:
(化56)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、S、G、又はAであり; X2は、S又はGであり; X3は、V又はIであり、X4は、W又はLであり; X5は、W、K、A、又はLであり;かつX6は、W、K、L、又はAである)(配列番号12)を含む、前記ペグ化ペプチド。
(構成33)
そのペプチドが以下のアミノ酸配列を含む、構成32記載のペグ化ペプチド:
a.
(化57)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり; X4はWであり; X5は、WもしくはKであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号13);
b.
(化58)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり、X4はWであり; X5はWであり;かつX6は、KもしくはAである)(配列番号14);
c.
(化59)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号15);
d.
(化60)
[この文献は図面を表示できません]
(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号16);
e.
(化61)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号17);又は
f.
(化62)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号19)。
(構成34)
そのペプチドが以下のアミノ酸配列を含む、構成32記載のペグ化ペプチド:
(化63)
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。
(構成35)
そのペプチドが以下のアミノ酸配列を含む、構成32記載のペグ化ペプチド:
(化64)
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。
(構成36)
そのペプチドが以下のアミノ酸配列を含む、構成32記載のペグ化ペプチド:
(化65)
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。
(構成37)
以下の構造: NH2-PEG12-アミド-PEG12-ペプチドを含むペグ化ペプチドであって、該ペプチドが、アミノ酸配列:
(化66)
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(ここで、X1は、S、G、又はAであり; X2は、S又はGであり; X3は、V又はIであり、X4は、W又はLであり; X5は、W、K、A、又はLであり;かつX6は、W、K、L、又はAである)(配列番号12)からなる、前記ペグ化ペプチド。
(構成38)
そのペプチドが以下のアミノ酸配列からなる、構成37記載のペグ化ペプチド:
a.
(化67)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり; X4はWであり; X5は、WもしくはKであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号13);
b.
(化68)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3はVであり、X4はWであり; X5はWであり;かつX6は、KもしくはAである)(配列番号14);
c.
(化69)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号15);
d.
(化70)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号16);
e.
(化71)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、WもしくはAであり;かつX6は、W、K、もしくはAである)(配列番号17);又は
f.
(化72)
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(ここで、X1は、SもしくはGであり; X2は、SもしくはGであり; X3は、VもしくはIであり、X4はWであり; X5は、W、K、もしくはAであり;かつX6は、WもしくはKである)(配列番号19)。
(構成39)
そのペプチドが以下のアミノ酸配列からなる、構成37記載のペグ化ペプチド:
(化73)
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。
(構成40)
そのペプチドが以下のアミノ酸配列からなる、構成37記載のペグ化ペプチド:
(化74)
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。
(構成41)
そのペプチドが以下のアミノ酸配列からなる、構成37記載のペグ化ペプチド:
(化75)
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。
(構成42)
前記アミノ酸残基がLアミノ酸である、構成18〜22、28、29、又は32〜36のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成43)
前記アミノ酸残基がDアミノ酸である、構成18〜22、28、29、又は32〜36のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成44)
前記アミノ酸残基がDアミノ酸とLアミノ酸の混合物である、構成18〜22、28、29、又は32〜36のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成45)
前記アミノ酸配列がLアミノ酸を含有する、構成23〜27、30、31、又は37〜41のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成46)
前記アミノ酸配列がDアミノ酸を含有する、構成23〜27、30、31、又は37〜41のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成47)
前記アミノ酸配列がDアミノ酸とLアミノ酸の混合物を含有する、構成23〜27、30、31、又は37〜41のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成48)
各々のPEGポリマーが500〜5000ダルトンの分子量範囲のものである、構成18〜47のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成49)
前記1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーが分岐状である、構成18〜48のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成50)
前記1つ、2つ、又はそれより多くのPEGポリマーが非分岐状である、構成18〜48のいずれか一項記載のペグ化ペプチド。
(構成51)
1つ、2つ、又はそれより多くのポリエチレングリコール(PEG)ポリマーに連結された、構成17記載のペプチドを含むペグ化ペプチド。
(構成52)
構成1〜17のいずれか一項記載のペプチドと担体とを含む組成物。
(構成53)
構成18〜51のいずれか一項記載のペグ化ペプチドと担体とを含む組成物。
(構成54)
微生物増殖を阻害するのに有効な量の構成1〜17のいずれか一項記載のペプチドと担体とを含む組成物。
(構成55)
ウイルス複製を阻害するのに有効な量の構成1〜17のいずれか一項記載のペプチドと担体とを含む組成物。
(構成56)
微生物増殖を阻害するのに有効な量の構成18〜51のいずれか一項記載のペグ化ペプチドと担体とを含む組成物。
(構成57)
ウイルス複製を阻害するのに有効な量の構成18〜51のいずれか一項記載のペグ化ペプチドと担体とを含む組成物。
(構成58)
前記担体が水性溶液である、構成52〜57のいずれか一項記載の組成物。
(構成59)
前記水性溶液が滅菌水である、構成58記載の組成物。
(構成60)
構成1〜17のいずれか一項記載のペプチドの有効量と医薬として許容し得る担体とを含む医薬組成物。
(構成61)
構成18〜51のいずれか一項記載のペグ化ペプチドの有効量と医薬として許容し得る担体とを含む医薬組成物。
(構成62)
前記医薬として許容し得る担体が水性溶液である、構成60又は61記載の医薬組成物。
(構成63)
前記水性溶液が滅菌水である、構成62記載の医薬組成物。
(構成64)
前記組成物が局所投与用に製剤化されている、構成60又は61記載の医薬組成物。
(構成65)
前記組成物がゲル製剤である、構成64記載の医薬組成物。
(構成66)
前記有効量が、前記ゲル製剤中、0.1%〜5%のペプチドである、構成65記載の医薬組成物。
(構成67)
前記組成物が、皮下、静脈内、又は腹腔内投与用に製剤化されている、構成60又は61記載の医薬組成物。
(構成68)
200mg〜300mgの構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドを含む凍結乾燥組成物を含有するバイアル。
(構成69)
医薬組成物を含有するバイアルであって、該医薬組成物が、1mlの水性溶液中に、200mg〜300mgの構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドを含む、前記バイアル。
(構成70)
前記水性溶液が滅菌水である、構成69記載のバイアル。
(構成71)
構成1〜17のいずれか一項記載のペプチドを含む消毒溶液。
(構成72)
構成18〜51のいずれか一項記載のペグ化ペプチドを含む消毒溶液。
(構成73)
微生物の増殖、複製、又は感染性を阻害する方法であって、該微生物を、構成1〜17のいずれか一項記載のペプチドの有効量と接触させることを含む、前記方法。
(構成74)
微生物の増殖、複製、又は感染性を阻害する方法であって、該微生物を、構成18〜51のいずれか一項記載のペグ化ペプチドの有効量と接触させることを含む、前記方法。
(構成75)
細菌増殖を阻害する方法であって、該細菌を、構成1〜17のいずれか一項記載のペプチドの有効量と接触させることを含む、前記方法。
(構成76)
細菌増殖を阻害する方法であって、該細菌を、構成18〜51のいずれか一項記載のペグ化ペプチドの有効量と接触させることを含む、前記方法。
(構成77)
細胞内でのウイルス複製を阻害する方法であって、ウイルスに感染した細胞を、構成1〜17のいずれか一項記載のペプチドの有効量と接触させることを含む、前記方法。
(構成78)
細胞内でのウイルス複製を阻害する方法であって、該細胞を、構成18〜51のいずれか一項記載のペグ化ペプチドの有効量と接触させることを含む、前記方法。
(構成79)
前記細胞が、インビボ、インビトロ、又はエクスビボのものである、構成77又は78記載の方法。
(構成80)
対象の微生物感染を治療する方法であって、該対象に、構成60〜67のいずれか一項記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成81)
微生物感染に起因又は関連する対象の疾患を予防する方法であって、該対象に、構成60〜67のいずれか一項記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成82)
前記微生物が細菌である、構成74、80、又は81記載の方法。
(構成83)
前記細菌がグラム陽性である、構成82記載の方法。
(構成84)
前記グラム陽性細菌が、黄色ブドウ球菌、腸球菌、連鎖球菌、クロストリジウム・ディフィシル、プロピオニバクテリウム・アクネス、又は炭疽菌である、構成83記載の方法。
(構成85)
前記細菌がグラム陰性である、構成82記載の方法。
(構成86)
前記グラム陰性細菌が、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、又はインフルエンザ菌である、構成85記載の方法。
(構成87)
前記細菌が、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン感受性腸球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、ペニシリン感受性肺炎連鎖球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、シプロフロキサシン耐性菌、又はクリンダマイシン耐性菌である、構成82記載の方法。
(構成88)
前記阻害される細菌増殖がグラム陽性細菌増殖である、構成75又は76記載の方法。
(構成89)
前記グラム陽性細菌増殖が、黄色ブドウ球菌、腸球菌、連鎖球菌、クロストリジウム・ディフィシル、プロピオニバクテリウム・アクネス、又は炭疽菌の増殖である、構成88記載の方法。
(構成90)
前記阻害される細菌増殖がグラム陰性細菌増殖である、構成75又は76記載の方法。
(構成91)
前記グラム陰性細菌増殖が、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、又はインフルエンザ菌の細菌増殖である、構成90記載の方法。
(構成92)
前記阻害される細菌増殖が、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン感受性腸球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、ペニシリン感受性肺炎連鎖球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、シプロフロキサシン耐性菌、又はクリンダマイシン耐性菌の増殖である、構成75又は76記載の方法。
(構成93)
前記腸球菌がエンテロコッカス・フェカーリスである、構成84又は89記載の方法。
(構成94)
前記連鎖球菌が肺炎連鎖球菌である、構成84又は89記載の方法。
(構成95)
前記阻害されるウイルス複製が、フラビウイルス科、トガウイルス科、フィロウイルス科、アレナウイルス科、ポックスウイルス科、ブニヤウイルス科、又はレトロウイルス科ファミリーに属するウイルスによる複製である、構成77又は78記載の方法。
(構成96)
前記阻害されるウイルス複製が、デングウイルス、チクングニヤウイルス、エボラウイルス、HIV、又はインフルエンザウイルスによる複製である、構成77又は78記載の方法。
(構成97)
対象内での細菌増殖を阻害する方法であって、該対象に、構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成98)
対象の細菌感染を治療する方法であって、該対象に、構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成99)
その疾患が細菌感染に起因又は関連する、対象の疾患を治療する方法であって、該対象に、構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成100)
その疾患が細菌感染に起因又は関連する、対象の疾患を予防する方法であって、該対象に、構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成101)
前記細菌感染がグラム陽性感染である、構成97、98、99、又は100記載の方法。
(構成102)
前記グラム陽性感染が、黄色ブドウ球菌、腸球菌、連鎖球菌、クロストリジウム・ディフィシル、プロピオニバクテリウム・アクネス、又は炭疽菌感染である、構成101記載の方法。
(構成103)
前記細菌感染がグラム陰性感染である、構成97、98、99、又は100記載の方法。
(構成104)
前記グラム陰性感染が、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、又はインフルエンザ菌感染である、構成103記載の方法。
(構成105)
前記細菌感染が、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン感受性腸球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、ペニシリン感受性肺炎連鎖球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、シプロフロキサシン耐性菌、又はクリンダマイシン耐性菌感染である、構成97、98、99、又は100記載の方法。
(構成106)
前記腸球菌がエンテロコッカス・フェカーリスである、構成102記載の方法。
(構成107)
前記連鎖球菌が肺炎連鎖球菌である、構成102記載の方法。
(構成108)
対象内でのウイルス複製を阻害する方法であって、該対象に、構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成109)
対象のウイルス感染を治療する方法であって、該対象に、構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成110)
その疾患がウイルス感染に起因又は関連する、対象の疾患を治療する方法であって、該対象に、構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成111)
その疾患がウイルス感染に起因又は関連する、対象の疾患を予防する方法であって、該対象に、構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドの有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
(構成112)
前記ウイルス感染が、フラビウイルス科、トガウイルス科、フィロウイルス科、ポックスウイルス科、アレナウイルス科、ブニヤウイルス科、又はレトロウイルス科ファミリーに属するウイルスによる感染である、構成108、109、110、又は111記載の方法。
(構成113)
前記ウイルス感染が、デングウイルス、チクングニヤウイルス、エボラウイルス、HIV、又はインフルエンザウイルスによる感染である、構成108、109、110、又は111記載の方法。
(構成114)
前記有効量が、1日に10mg〜300mgのペプチドの用量である、構成97〜113のいずれか一項記載の方法。
(構成115)
前記有効量が、1日2回の10mg〜300mgのペプチドの用量である、構成97〜113のいずれか一項記載の方法。
(構成116)
前記組成物が前記対象に皮下投与される、構成97〜115のいずれか一項記載の方法。
(構成117)
前記組成物が前記対象に静脈内又は腹腔内投与される、構成97〜115のいずれか一項記載の方法。
(構成118)
前記組成物が前記対象に局所投与される、構成97〜115のいずれか一項記載の方法。
(構成119)
前記対象がヒトである、構成80〜118のいずれか一項記載の方法。
(構成120)
無生物体又は生物材料を消毒する方法であって、該物体を、構成52〜59記載の組成物と接触させることを含む、前記方法。
(構成121)
無生物体又は生物材料を消毒する方法であって、該物体を、構成1〜51のいずれか一項記載のペプチドを含有するワイプと接触させることを含む、前記方法。
(構成122)
構成1〜51のいずれか一項記載の抗感染ペプチドとの結合又は該ペプチドによるコーティングを含む、無生物表面又は生物表面。