(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768103
(24)【登録日】2020年9月24日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】角度調整装置
(51)【国際特許分類】
A47C 7/54 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
A47C7/54 F
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-41643(P2019-41643)
(22)【出願日】2019年3月7日
(65)【公開番号】特開2020-141897(P2020-141897A)
(43)【公開日】2020年9月10日
【審査請求日】2019年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】514027539
【氏名又は名称】及樺實業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】朱 家田
(72)【発明者】
【氏名】潘 冬春
【審査官】
野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−014711(JP,A)
【文献】
特開2013−233166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C7/54
B60N2/00−2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェアーのアームレストの支持パッドの角度調整装置であって、
下方がチェアー本体と接合され、頂端は下接合面を備え、前記下接合面は収容溝、回動溝、少なくとも1つのリミット溝を備え、前記回動溝は中央に接合孔を備えている接合シャフトと、
弾性を有する材料で製造され、前記接合シャフトの収容溝内に設置され、さらに上下に可撓性移動動作が可能な弾性片部が設けられ、前記弾性片部の上方には位置決め体が凸設されている位置決めピースと、
台座を備え、前記台座の下方には前記接合シャフトの前記下接合面に対応する位置に上接合面が設けられ、前記上接合面には前記接合シャフトの前記回動溝に対応する位置に回動軸が設けられ、前記回動軸の中央には連通孔が設けられ、且つ前記支持パッドと前記接合シャフトの接合孔に接合部材が挿通されることで前記支持パッドと前記接合シャフトを組み合わせることができ、また前記上接合面には前記位置決め体に対応する位置に、異なる角度の位置に分布し且つ前記位置決め体と接合することができる複数の位置決め溝が設けられ、また前記上接合面には前記リミット溝に対応する位置に前記リミット溝において動作することができるリミット体が設けられている支持パッドと、を含むことを特徴とする角度調整装置。
【請求項2】
前記接合シャフトの前記回動溝は前記収容溝の後方位置に設けられ、また前記回動溝の前方に設けられた弧形の後リミット溝と、前記収容溝の前方に設けられた弧形の前リミット溝とを含み、
また前記支持パッドは、前記上接合面の前記回動軸の前方に前記後リミット溝において動作することができる後リミット体が設けられ、また前記上接合面の前方には前記接合シャフトの前記前リミット溝に対応する位置に前記前リミット溝内において移動することができる前リミット体が設けられ、
また前記前リミット体及び前記後リミット体はそれぞれ前記前リミット溝及び前記後リミット溝の側壁と当接することで前記支持パッドの最大回動角度を制限することを特徴とする、請求項1に記載の角度調整装置。
【請求項3】
前記支持パッドは、
上蓋と、
前記台座上方において前記連通孔に対応する位置に設けられた、前記接合部材を挿通することができる貫通孔と、
前記台座上方に設けられた複数の挿入ピンと、をさらに含み、
前記上蓋下方には前記挿入ピンと接合することができる挿入溝が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の角度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチェアーのアームレスト支持パッドの角度調整装置に関し、主にアームレスト支持パッドの角度調整に安定性を備えた角度調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のチェアーは、一般的に両側にアームレストが設けられ、且つアームレストが前腕を支持することで座り心地を高めており、アームレストの下方にチェアー本体と接合できる接合シャフトを備え、接合シャフトの上方には前・後方向の支持パッドが固定接続され、且つ支持パッドは前腕の凭れ掛けに供することができる。
しかし、使用者の着座姿勢は様々であり、また着座者が休んだり、タイピングしたり、その他の作業を行ったりする際の前腕の角度がそれぞれ異なるため、角度が固定された支持パッドでは状況に応じて前腕の方向にフィットすることができず、前腕支持の適用性の低さが周知のチェアーの欠点となっていた。
【0003】
上記の欠点を解決し、アームレストの適用性を向上させるため、現在は角度調整が可能な支持パッドがある。その支持パッドは、底部が接合シャフトに枢設され、且つ支持パッドが接合シャフトに対応して回動することで角度調整を可能にしている。
しかし、支持パッドと接合シャフトを組み合わせた時の安定性が良くないため、回動する力が大きい場合には接合シャフトへの支持パッドの据え付けを安定させることができず、また支持パッドの角度を安定して組み合わせることができないことが、常に欠点となっていた。周知のチェアーに関する先行技術文献としては、例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開第2010−89557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アームレスト支持パッドの角度調整に良好な安定性を備えた装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明は、接合シャフト、位置決めピース、支持パッドを含む、チェアーのアームレスト支持パッドの角度調整装置である。
接合シャフトは、下方がチェアー本体に接合され、頂端は下接合面を備え、下接合面は収容溝、回動溝、少なくとも1つのリミット溝を備え、回動溝の中央は接合孔を備える。
また位置決めピースは、弾性を有する材料で製造され、接合シャフトの収容溝内に設置され、また上下に可撓性移動動作が可能な弾性片部が設けられ、弾性片部の上方には位置決め体が凸設される。
また支持パッドは台座を備え、台座の下方には接合シャフトの下接合面に対応する位置に上接合面が設けられ、上接合面には接合シャフトの回動溝に対応する位置に回動軸が設けられ、回動軸は中央に接合孔が設けられ、且つ支持パッドと接合シャフトの接合孔に接合部材が挿通されることで支持パッドと接合シャフトを組み合わせることができ、また上接合面は位置決め体に対応する位置に、異なる角度の位置に分布し且つ位置決め体と接合することができる複数の位置決め溝が設けられ、また上接合面にはリミット溝に対応する位置にリミット溝において動作することができるリミット体が設けられている。
【0007】
好ましくは、接合シャフトの回動溝は収容溝の後方位置に設けられ、また回動溝の前方に設けられた弧形の後リミット溝と、収容溝の前方に設けられた弧形の前リミット溝とをさらに含む。
また支持パッドは、上接合面の回動軸の前方に後リミット溝において動作することができる後リミット体が設けられ、また上接合面の前方には接合シャフトの前リミット溝に対応する位置に前リミット溝内において移動することができる前リミット体が設けられる。
また前リミット体及び後リミット体はそれぞれ前リミット体及び後リミット溝の側壁と当接することで支持パッドの最大回動角度を制限することができる。
【0008】
さらに好ましくは、支持パッドは、
上蓋と、
台座上方において接合孔に対応する位置に設けられた、接合部材を挿通することができる貫通孔と、
台座上方に設けられた複数の挿入ピンと、をさらに含む。
上蓋下方には挿入ピンと接合することができる挿入溝が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、各部品を組み合わせた後に、接合シャフトと支持パッドとの間を広い面積の下上接合面が接合することで、良好な組み合せの安定性を備えることができる。
またアームレストが回動軸と回動溝により枢設され、前後方向は前リミット体及び後リミット体によりそれぞれ前リミット溝及び後リミット溝と接合され、中央位置は位置決め体により位置決め溝と接合されて、荷重を平均して支持することで良好な組み合せの安定性を備えることができる。
また位置決めピースが良好な可撓性材料で製造されるため、位置決め体と位置決め溝に良好な位置決め安定性を備えさせることができる。
また前リミット溝及び後リミット溝の側壁を前リミット体及び後リミット体の当接に供することができるため、支持パッドを回転操作する際に回転が過度にずれないよう担保することができ、良好な動作の安定性及び使用寿命を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】本発明の支持パッドを角度調整する様子を示した概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例)
図1〜4を参照する。
本発明は、接合シャフト1、位置決めピース2、支持パッド3を含む。
接合シャフト1の下方はチェアー本体(図示しない)と接合され、上方は下接合面11を備え、下接合面11は中央に収容溝12を備え、収容溝12の後方は回動溝13を備え、回動溝13は中央に接合孔14を備え、また回動溝13の前方には弧形の後リミット溝15が設けられ、また収容溝12の前方には弧形の前リミット溝16が設けられている。
【0012】
位置決めピース2は弾性を有する材料で製造され、且つ接合シャフト1の収容溝12内に設置され、さらに上下に可撓性移動動作が可能な弾性片部21が設けられ、弾性片部21の上方には位置決め体22が凸設されている。
【0013】
支持パッド3は、台座31、上蓋32を備える。
台座31の下方には接合シャフト1の下接合面11に対応する位置に上接合面311が設けられ、上接合面311には接合シャフト1の回動溝13に対応する位置に回動軸312が設けられ、回動軸312の中央には
連通孔313が設けられ、また台座31の上方には
連通孔313に対応する位置に貫通孔314が設けられ、且つ支持パッド3の貫通孔314及び
連通孔313と接合シャフト1の接合孔14に接合部材315が挿通されることで支持パッド3と接合シャフト1を組み合わせることができる。
また回動軸312の前方に後リミット溝15において動作することができる後リミット体316が設けられ、また上接合面311の前方には接合シャフト1の前リミット溝16に対応する位置に前リミット溝16内において移動することができる前リミット体317が設けられる。
前・後リミット体317、316はそれぞれ前・後リミット溝16、15の側壁と当接することで支持パッド3の最大回動角度を制限することができ、また上接合面311には位置決め体22に対応する位置に、異なる角度の位置に分布させた複数の位置決め溝318が設けられ、また台座31の上方には複数の挿入ピン319が設けられ、また上蓋32の底面には挿入ピン319と接合することができる複数の挿入溝321が設けられている。
【0014】
本発明を組み立てる際には、位置決めピース2が接合シャフト1の収容溝12内に置かれ、且つ位置決め体22は上向きにされる。
また支持パッド3の台座31と上蓋32を分離させ、且つ下接合面11を上接合面311に当て、同時に回動軸312が回動溝13に嵌入できるようにし、前・後リミット体317、316をそれぞれ前・後リミット溝16、15内に嵌入させることができる。
また台座31の貫通孔314及び
連通孔313と接合シャフト1の接合孔14に接合部材315を挿通させて結合し、この時に位置決め体22を中央位置に対応する位置決め溝318と結合させることができる。
また上蓋32を台座31に被せて挿入溝321を挿入ピン319と接合させれば組み合わせを完了することができ、組立が簡便であるとともに、アームレストの組み合わせに良好な総合的質感を備えさせることができる。
本発明の位置決めピース2はコンパクトな独立した構成部材であるため、コストを削減することができ、且つ弾性が良好で断裂しにくい材料を用いて製造することで良好な使用寿命を備えることができる。
【0015】
本発明は、組み合わせた後に、接合シャフト1と支持パッド3との間を広い面積の下・上接合面11、311が接合することで、良好な組み合せの安定性を備えることができる。
また回動軸312と回動溝13により接合され、またアームレストの前後方向は前・後リミット体317、316によりそれぞれ前・後リミット溝16、15と接合され、且つ中央位置は位置決め体22により位置決め溝318と接合することができる。これにより、荷重を平均して支持することで良好な組み合せの安定性を備えることができ、且つ腕を支持パッド3の上に置いた時に支持パッド3がずれてしまう状況を防ぐことができる。
【0016】
図3〜5を参照する。
本発明の支持パッド3は着座者の前腕位置に合わせて角度を調整することができる。
本発明は、支持パッド3が接合シャフト1に対応して回動する際に、位置決めピース2の弾性片部21がフレキシブルに上下動作し、且つ位置決め体22を異なる角度の位置決め溝318と接合させることができる。
また支持パッド3が回動する際に回動軸312が回動溝13内で回動することができ、同時に接合部材315が枢設位置の強度をより良好に向上させることができる。
また支持パッド3の回動動作時に、枢設位置の前後方向では同時に前・後リミット体317、316が前・後リミット溝16、15と接合され、良好な動作安定性を備えることができる。
【0017】
本発明は、位置決めピース2が良好な可撓性材料で製造されるため、位置決め体22と位置決め溝318に良好な位置決めの安定性を備えさせることができる。
また前・後リミット溝16、15の側壁は前・後リミット体317、316の当接に供することができるため、支持パッド3の回転が過度にずれないよう担保することができ、良好な動作の安定性及び使用寿命を備えることができる。
【0018】
以上をまとめると、本発明は良好な組立信頼性及び支持の位置決めにおける安定性を備えており、また上述の実施例は本発明を例示するものであり、決して本発明を限定するものではなく、本発明の精神に基づく同等の効果が得られる改変はすべて本発明の範囲に属する。
【0019】
具体的な実施例により詳細な説明を行ったが、本発明の技術範囲を逸脱せずに多くの修正及び変更を行うことが可能であり、本発明の範囲は特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0020】
1 接合シャフト
11 下接合面
12 収容溝
13 回動溝
14 接合孔
15 後リミット溝
16 前リミット溝
2 位置決めピース
21 弾性片部
22 位置決め体
3 支持パッド
31 台座
311 上接合面
312 回動軸
313
連通孔
314 貫通孔
315 接合部材
316 後リミット体
317 前リミット体
318 位置決め溝
319 挿入ピン
32 上蓋
321 挿入溝