(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る流体圧制御装置100について説明する。以下では、建設機械、特に油圧ショベルに用いられ、流体圧アクチュエータに給排される作動流体の流れを制御する流体圧制御システム101に設けられる流体圧制御装置100を例に説明する。
【0019】
まず、
図1を参照して、流体圧制御装置100を備える流体圧制御システム101の全体構成について説明する。
【0020】
流体圧制御システム101は、ブーム,アーム,又はバケット等の駆動対象(図示省略)を駆動する流体圧アクチュエータとしての油圧シリンダ1の作動を制御する。以下では、駆動対象としてブームを駆動する油圧シリンダ1の作動を制御する流体圧制御装置100を例に説明する。
【0021】
流体圧制御システム101は、
図1に示すように、エンジン(図示省略)又はモータ(図示省略)によって駆動され作動流体としての作動油を吐出する第1ポンプ7及び第2ポンプ8と、作動油を貯留するタンク9と、油圧シリンダ1に給排される作動油の流れを制御して油圧シリンダ1を作動させる流体圧制御装置100と、を備える。
【0022】
油圧シリンダ1は、シリンダチューブ2の内部をそれぞれ流体圧室であるロッド側室5とボトム側室6とに区画するピストン4を有する複動形シリンダである。ピストン4にはピストンロッド3が連結される。
【0023】
ボトム側室6に作動油が供給されロッド側室5から作動油が排出されることにより、油圧シリンダ1は伸長作動してブームが上昇する。反対に、ロッド側室5に作動油が供給されボトム側室6から作動油が排出されることにより、油圧シリンダ1は収縮作動してブームが下降する。
【0024】
流体圧制御装置100は、第1ポンプ7とタンク9とを接続する第1中立通路10と、第2ポンプ8とタンク9とを接続する第2中立通路11と、第1中立通路10に設けられ第1ポンプ7から油圧シリンダ1に供給される作動油の流れを制御する第1スプール弁としての切換弁30と、第2中立通路11に設けられ第2ポンプ8から油圧シリンダ1に供給される作動油の流れを制御する第2スプール弁としての合流制御弁60と、を備える。流体圧制御装置100は、第1ポンプ7及び第2ポンプ8から吐出される作動油を合流させて油圧シリンダ1に供給可能である。
【0025】
第1中立通路10は、切換弁30の上流側の通路であって第1ポンプ7から吐出される作動油を導く第1ポンプ通路10aと、切換弁30の下流側の通路である第1下流通路10bと、により構成される。第2中立通路11は、合流制御弁60の上流側の通路であって第2ポンプ8から吐出される作動油を導く第2ポンプ通路11aと、合流制御弁60の下流側の通路である第2下流通路11bと、により構成される。第1下流通路10bと第2下流通路11bとは、互いに合流してタンク9に連通する。
【0026】
また、流体圧制御装置100は、油圧シリンダ1のロッド側室5に連通するロッド側通路12と、油圧シリンダ1のボトム側室6に連通するボトム側通路13と、それぞれ切換弁30と合流制御弁60とを接続する第1接続通路14及び第2接続通路15と、切換弁30に接続されタンク9に連通する第1タンク通路16と、合流制御弁60に接続されタンク9に連通する第2タンク通路17と、を備える。
【0027】
ロッド側通路12は、切換弁30とロッド側室5とを連通する第1ロッド側通路12aと、合流制御弁60とロッド側室5とを連通する第2ロッド側通路12bと、を有する。第1ロッド側通路12aと第2ロッド側通路12bとは、互いに合流してロッド側室5に連通する。
【0028】
ボトム側通路13は、切換弁30とボトム側室6とを連通する第1ボトム側通路13aと、合流制御弁60とボトム側室6とを連通する第2ボトム側通路13bと、を有する。第1ボトム側通路13aと第2ボトム側通路13bとは、互いに合流してロッド側室5に連通する。
【0029】
切換弁30は、8ポート3ポジションのスプール弁である。切換弁30は、作業者による操作レバー(図示省略)の操作方向及び操作量に応じて、一対の第1パイロット圧室50a,50bにパイロット圧が導かれて、ポジションが切り換わる。具体的には、切換弁30は、一対の第1パイロット圧室50a,50bに外部から供給されるパイロット圧の大きさに応じた位置に後述の第1スプール40(
図2参照)が移動して、第1中立ポジション30A、第1伸長ポジション30B、及び第1収縮ポジション30Cの間でポジションが切り換わる。
【0030】
切換弁30は、一対の第1パイロット圧室50a,50bにパイロット圧が供給されない状態では、センタリングスプリング58a,58bの付勢力によって第1中立ポジション30Aに保たれる。第1中立ポジション30Aでは、第1中立通路10が開放され、第1ポンプ7から吐出される作動油は、第1中立通路10を通じてタンク9に導かれる。第1中立ポジション30Aでは、第1ポンプ通路10a、第1タンク通路16、第1接続通路14、及び第2接続通路15のそれぞれに対して、ロッド側室5及びボトム側室6のいずれも連通が遮断される。これにより、油圧シリンダ1への作動油の給排が遮断され、油圧シリンダ1は負荷保持状態となる。
【0031】
一方の第1パイロット圧室50aにパイロット圧が導かれると、切換弁30は、パイロット圧の大きさに応じて第1伸長ポジション30Bに切り換えられる。第1伸長ポジション30Bでは、第1中立通路10の第1ポンプ通路10aは、第1下流通路10bと遮断されて、第1ボトム側通路13aに連通する。また、第1伸長ポジション30Bでは、第1ロッド側通路12aは、通過する作動油の流れに抵抗を付与する第1ロッド側絞り30dを通じて第1タンク通路16と連通すると共に、第1接続通路14と連通する。これにより、第1ポンプ7から吐出された作動油がボトム側室6に供給され、ロッド側室5の作動油はタンク9に排出されて、油圧シリンダ1が伸長作動する。また、ロッド側室5から第1タンク通路16を通じて排出される作動油の流量が第1ロッド側絞り30dによって制御されることで、油圧シリンダ1の伸長作動が速度制御される。
【0032】
他方の第1パイロット圧室50bにパイロット圧が導かれると、切換弁30は、パイロット圧の大きさに応じて第1収縮ポジション30Cに切り換えられる。第1収縮ポジション30Cでは、第1ポンプ通路10aは、第1下流通路10bと遮断されて、第1ロッド側通路12aに連通する。また、第1収縮ポジション30Cでは、第1ボトム側通路13aは、通過する作動油の流れに抵抗を付与する第1ボトム側絞り30eを通じて第1タンク通路16と連通すると共に、第2接続通路15と連通する。これにより、第1ポンプ7から吐出された作動油がロッド側室5に供給され、ボトム側室6の作動油はタンク9に排出されて、油圧シリンダ1が収縮作動する。また、ボトム側室6から第1タンク通路16を通じて排出される作動油の流量が第1ボトム側絞り30eによって制御されることで、油圧シリンダ1の収縮作動が速度制御される。
【0033】
合流制御弁60は、8ポート3ポジションのスプール弁である。合流制御弁60は、作業者による操作レバーの操作量が所定量以上となると、操作レバーの操作方向に応じて一対の第2パイロット圧室80a,80bにパイロット圧が導かれ、ポジションが切り換わる。具体的には、合流制御弁60は、一対の第2パイロット圧室80a,80bに外部から供給されるパイロット圧の大きさに応じた位置に後述の第2スプール70(
図2参照)が移動して、第2中立ポジション60A、第2伸長ポジション60B、及び第2収縮ポジション60Cの間でポジションが切り換わる。
【0034】
合流制御弁60は、一対の第2パイロット圧室80a,80bにパイロット圧が供給されない状態では、センタリングスプリング88a,88bの付勢力によって第2中立ポジション60Aに保たれる。第2中立ポジション60Aでは、第2中立通路11が開放され、第2ポンプ8から吐出される作動油は、第2中立通路11を通じてタンク9に導かれる。また、第2中立ポジション60Aでは、第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b、第1接続通路14、及び第2接続通路15は、それぞれ第2タンク通路17との連通が遮断される。
【0035】
一方の第2パイロット圧室80aにパイロット圧が導かれると、合流制御弁60は、パイロット圧の大きさに応じて第2伸長ポジション60Bに切り換えられる。第2伸長ポジション60Bでは、第2中立通路11の第2ポンプ通路11aは、第2下流通路11bと遮断され、第2ボトム側通路13bと連通する。これにより、第2ポンプ8から吐出された作動油は、第1ポンプ7から吐出される作動油と合流して、ボトム側室6に供給される。
【0036】
第2伸長ポジション60Bでは、第1接続通路14と第2タンク通路17とが第2ロッド側絞り60dを通じて連通する。これにより、ロッド側室5から排出される作動油の一部が、切換弁30、第1接続通路14、合流制御弁60、及び第2タンク通路17を通じてタンク9に排出される。ロッド側室5から第2タンク通路17を通じて排出される作動油の流量が第2ロッド側絞り60dによって制御されることで、油圧シリンダ1の伸長作動が速度制御される。また、第2伸長ポジション60Bでは、第2ロッド側通路12bは、第2タンク通路17との連通が遮断される。
【0037】
他方の第2パイロット圧室80bにパイロット圧が導かれると、合流制御弁60は、導かれるパイロット圧の大きさに応じて第2収縮ポジション60Cに切り換えられる。第2収縮ポジション60Cでは、第2ポンプ通路11aは、第2下流通路11bと遮断され、第2ロッド側通路12bと連通する。これにより、第2ポンプ8から吐出された作動油は、第1ポンプ7から吐出され第1ロッド側通路12aに導かれる作動油と合流して、ロッド側室5に供給される。
【0038】
また、第2収縮ポジション60Cでは、第2接続通路15と第2タンク通路17とが第2ボトム側絞り60eを通じて連通する。これにより、ボトム側室6から排出される作動油の一部が、切換弁30、第2接続通路15、合流制御弁60、及び第2タンク通路17を通じてタンク9に排出される。ボトム側室6から第2タンク通路17を通じて排出される作動油の流量が第2ボトム側絞り60eによって制御されることで、油圧シリンダ1の収縮作動が速度制御される。また、第2収縮ポジション60Cでは、第2ボトム側通路13bは、第2タンク通路17との連通が遮断される。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る流体圧制御装置100は、油圧シリンダ1の伸長作動及び収縮作動の両方において、第2ポンプ8から吐出される作動油を第1ポンプ7から吐出される作動油に合流させて、油圧シリンダ1に供給可能に構成される。
【0040】
また、流体圧制御装置100では、合流制御弁60は、第2中立ポジション60Aにおいて、第2タンク通路17と第2ロッド側通路12b及び第2ボトム側通路13bとを遮断する。合流制御弁60は、第2伸長ポジション60Bにおいて第2ロッド側通路12bとタンク9通路との連通を遮断し、第2収縮ポジション60Cにおいて第2ボトム側通路13bとタンク9通路との連通を遮断する。このように、第2流体圧通路としての第2ボトム側通路13b及び第2ロッド側通路12bは、第2ポンプ8から吐出された作動油を油圧シリンダ1に導く一方、油圧シリンダ1から排出される作動油をタンク9に導くものではない。油圧シリンダ1から排出される作動油は、第1接続通路14又は第2接続通路15から第2タンク通路17を通じてタンク9に排出される。
【0041】
なお、流体圧室としてのボトム側室6に第1ポンプ7及び第2ポンプ8から吐出される作動油を合流させて供給する場合では、第1接続通路14が特許請求の範囲における「接続通路」、第1ボトム側通路13aが「第1流体圧通路」、第2ボトム側通路13bが「第2流体圧通路」に相当する。また、この場合、切換弁30の第1伸長ポジション30Bが特許請求の範囲における「第1供給ポジション」、第1収縮ポジション30Cが「第1排出ポジション」、第1ロッド側絞り30dが「第1排出絞り」に相当し、合流制御弁60の第2伸長ポジション60Bが「第2供給ポジション」、第2収縮ポジション60Cが「第2排出ポジション」に相当する。
【0042】
反対に、第1ポンプ7及び第2ポンプ8から吐出される作動油を合流させて流体圧室としてのロッド側室5に供給する場合では、第2接続通路15が特許請求の範囲における「接続通路」、第1ロッド側通路12aが「第1流体圧通路」、第2ロッド側通路12bが「第2流体圧通路」に相当する。また、この場合、切換弁30の第1収縮ポジション30Cが特許請求の範囲における「第1供給ポジション」、第1伸長ポジション30Bが「第1排出ポジション」、第1ボトム側絞り30eが「第1排出絞り」に相当し、合流制御弁60の第2収縮ポジション60Cが「第2供給ポジション」、第2伸長ポジション60Bが「第2排出ポジション」に相当する。
【0043】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る流体圧制御装置100の具体的構成について、説明する。
【0044】
切換弁30は、
図2に示すように、第1スプール孔31が形成される第1ハウジング100aと、第1スプール孔31に移動自在に収容される第1スプール40と、第1スプール40の両端に臨む一対の第1パイロット圧室50a,50bと、第1スプール40に付勢力を付与するセンタリングスプリング58と、を有する。
【0045】
第1スプール孔31は、両端が第1ハウジング100aの端面に開口する貫通孔である。第1ハウジング100aには、第1中立通路10の第1下流通路10bに連通する第1下流側ポート32、第1中立通路10の上流側の第1ポンプ通路10aに連通する一対の第1上流側ポート33a,33b、第1ロッド側通路12aに連通する第1ロッド側ポート35a、第1ボトム側通路13aに連通する第1ボトム側ポート35b、それぞれ第1接続通路14及び第2接続通路15に連通する一対の接続ポート36a,36b、及び第1タンク通路16に連通する一対の第1タンクポート37a,37bが、それぞれ第1スプール孔31の内周に環状に形成されて第1スプール孔31に開口する。
【0046】
また、第1ハウジング100aには、詳細な図示は省略するが、両端が第1スプール孔31に開口する第1ブリッジ通路10cが形成される。第1ブリッジ通路10cの両端は、それぞれ第1スプール孔31の内周に環状に形成される一対の第1ブリッジポート34a,34bを通じて第1スプール孔31に開口する。
【0047】
第1ハウジング100aの両端には、第1スプール孔31の開口を封止する一対の第1キャップ51a,51bが取り付けられる。切換弁30の一対の第1パイロット圧室50a,50bは、それぞれ一対の第1キャップ51a,51b内に形成される。
【0048】
一方の第1キャップ51aには、第1スプール40が進入可能な凹部52aと、凹部52aに連通するパイロットポート54aと、が形成される。凹部52aにより、一方の第1パイロット圧室50aが形成され、パイロットポート54aを通じて凹部52aにパイロット圧が導かれる。
【0049】
他方の第1キャップ51bには、第1スプール40が進入可能な第1大径孔52bと、第1大径孔52bに連通し第1大径孔52bよりも内径が小さい第1小径孔53bと、第1小径孔53bに連通するパイロットポート54bと、が形成される。第1小径孔53b及び第1大径孔52bにより、他方の第1パイロット圧室50bが形成され、パイロットポート54bを通じてパイロット圧が第1パイロット圧室50bに導かれる。
【0050】
第1スプール40の端部には、第1スプール40と同軸上に第1支持部材55が取り付けられる。第1支持部材55は、第1スプール40の端部に固定される第1軸部56と、第1軸部56よりも大きな外径を有する第1ヘッド部57と、を有する。
図2に示すように、第1支持部材55の第1ヘッド部57は、第1中立ポジション30Aにおいて第1小径孔53bに挿入される。
【0051】
センタリングスプリング58は、他方の第1キャップ51b内に設けられる。具体的には、センタリングスプリング58は、第1スプール40の端面と第1ヘッド部57との間であって、第1支持部材55の第1軸部56の外周に設けられる。センタリングスプリング58の両端は、切換弁30が第1中立ポジション30Aである際、それぞればね座59a,59bを介して、第1ハウジング100aの端面と、第1キャップ51bにおける第1大径孔52bと第1小径孔53bとの間の段差面52cと、に着座する。なお、
図2に示す単一のセンタリングスプリング58が、
図1に示す油圧回路図における一対のセンタリングスプリング58a,58bとして機能する。
【0052】
一方の第1パイロット圧室50aに導かれるパイロット圧によって、第1スプール40が図中右方向へ移動すると、第1ハウジング100aに着座する一方のばね座59aが第1スプール40に押圧され第1スプール40と共に図中右方向へ移動する。この際、他方のばね座59bは、第1キャップ51bの段差面52cによって図中右方向への移動が規制されるため、センタリングスプリング58が圧縮される。第1パイロット圧室50aへのパイロット圧の供給が遮断されると、第1スプール40は、センタリングスプリング58の復元力により図中左方向へ移動し、切換弁30が第1中立ポジション30Aに保持される。
【0053】
反対に、他方の第1パイロット圧室50bに導かれるパイロット圧によって、第1スプール40が図中左方向へ移動すると、第1キャップ51bの段差面52cに着座する他方のばね座59bが第1ヘッド部57に押圧され第1スプール40と共に図中左方向へ移動する。この際、一方のばね座59aは、第1ハウジング100aによって図中左方向への移動が規制されるため、センタリングスプリング58が圧縮される。第1パイロット圧室50bへのパイロット圧の供給が遮断されると、第1スプール40は、センタリングスプリング58の復元力により図中右方向へ移動し、切換弁30が第1中立ポジション30Aに保持される。
【0054】
第1スプール40は、第1スプール孔31の内周に摺接する第1ランド部41、一対の第2ランド部42a,42b、一対の第3ランド部43a,43b、一対の第4ランド部44a,44b、及び一対の第5ランド部45a,45bを有する。第1スプール40では、軸方向の一端から他端に向けて(
図2中左側から右側に向けて)、一方の第5ランド部45a、一方の第4ランド部44a、一方の第3ランド部43a、一方の第2ランド部42a、第1ランド部41、他方の第2ランド部42b、他方の第3ランド部43b、他方の第4ランド部44b、他方の第5ランド部45bの順で設けられる。
【0055】
第1ランド部41と一対の第2ランド部42a,42bとの間には、一対の第1ポンプ溝46a,46bが環状の溝として形成される。互いに隣接する一対の第2ランド部42a,42bと一対の第3ランド部43a,43bとの間には、それぞれ第1ブリッジ溝47a,47bが形成される。互いに隣接する一対の第3ランド部43a,43bと一対の第4ランド部44a,44bとの間には、それぞれ第1接続溝48a,48bが形成される。互いに隣接する一対の第4ランド部44a,44bと一対の第5ランド部45a,45bとの間には、それぞれ第1タンク溝49a,49bが形成される。
【0056】
第1スプール40の一対の第4ランド部44a,44bの外周には、それぞれ第1スプール40の軸方向に延びて第1タンク溝49a,49bに連通する第1ロッド側絞り30d及び第1ボトム側絞り30e(
図1参照)としてのノッチ40a,40bが形成される。ノッチ40a,40bは、それぞれロッド側室5及びボトム側室6から第1タンク通路16を通じてタンク9に排出される作動油の流れに抵抗を付与する。なお、本実施形態では、ノッチ40a,40bは、それぞれ第1スプール40の周方向に複数(
図2では、それぞれ2つ)形成されるが、これに限らず、1つだけ形成されるものでもよい。複数のノッチ40a,40bが第1スプール40に形成される場合には、複数のノッチ40aの全体が
図1に示す第1ロッド側絞り30dを構成する。同様に、複数のノッチ40bが第1スプール40に形成される場合には、複数のノッチ40bの全体が第1ボトム側絞り30eを構成する。
【0057】
合流制御弁60は、第2スプール孔61が形成される第2ハウジング100bと、第2スプール孔61に移動自在に収容される第2スプール70と、第2スプール70の両端に臨む第2パイロット圧室80a,80bと、第2スプール70に付勢力を付与するセンタリングスプリング88と、を有する。
【0058】
本実施形態では、第2ハウジング100bは、切換弁30の第1ハウジング100aと一体に形成される。言い換えれば、切換弁30と合流制御弁60とは、第1ハウジング100a及び第2ハウジング100bの両方として機能する共通のハウジングに収容される。なお、これに限らず、第1ハウジング100aと第2ハウジング100bとは、互いに別体に形成されてもよい。
【0059】
第2スプール孔61は、両端が第2ハウジング100bの端面に開口する貫通孔である。第2スプール孔61は、中心軸が第1スプール孔31の中心軸と平行となるように形成される。第2ハウジング100bには、第2中立通路11の第2下流通路11bに連通する第2下流側ポート62、第2中立通路11の上流側の通路である第2ポンプ通路11aに連通する一対の第2上流側ポート63a,63b、第2ロッド側通路12bに連通する第2ロッド側ポート65a、第2ボトム側通路13bに連通する第2ボトム側ポート65b、それぞれ第1接続通路14及び第2接続通路15に連通する一対の合流ポート66a,66b、及び第2タンク通路17に連通する一対の第2タンクポート67a,67bが、それぞれ第2スプール孔61の内周に環状に形成されて第2スプール孔61に開口する。
【0060】
また、第2ハウジング100bには、両端が第2スプール孔61に開口する第2ブリッジ通路11cが形成される。第2ブリッジ通路11cの両端は、それぞれ第2スプール孔61の内周に環状に形成される一対の第2ブリッジポート64a,64bを通じて第2スプール孔61に開口する。
【0061】
第2ハウジング100bの両端には、第2スプール孔61の開口を封止する一対の第2キャップ81a,81bが取り付けられる。合流制御弁60の一対の第2パイロット圧室80a,80bは、それぞれ一対の第2キャップ81a,81b内に形成される。センタリングスプリング88は、一方の第2キャップ81a内に設けられる。また、第2スプール70の端部には、第2スプール70と同軸上に第2支持部材85が取り付けられる。
【0062】
一対の第2キャップ81a,81b及び第2支持部材85は、切換弁30における一対の第1キャップ51a,51b及び第1支持部材55と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。一方の第2キャップ81aには、一方の第1キャップ51aにおける凹部52a及びパイロットポート54aに対応して、凹部82a及びパイロットポート84aが形成される。他方の第2キャップ81bには、他方の第1キャップ51bにおける第1大径孔52b、第1小径孔53b、段差面52c、及びパイロットポート54bに対応して、第2大径孔82b、第2小径孔83b、段差面82c、及びパイロットポート84bが形成される。また、第2支持部材85は、第1支持部材55における第1軸部56及び第1ヘッド部57に対応して、第2軸部86及び第2ヘッド部87を有する。
【0063】
また、合流制御弁60のセンタリングスプリング88と一対のばね座89a,89bも、切換弁30のセンタリングスプリング58と一対のばね座59a,59bと同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
図2に示す合流制御弁60の単一のセンタリングスプリング88が、
図1における油圧回路図上のセンタリングスプリング88a,88bの機能を発揮する。
【0064】
第2スプール70は、第2スプール孔61の内周に摺接する第1制御ランド部71、一対の第2制御ランド部72a,72b、一対の第3制御ランド部73a,73b、一対の第4制御ランド部74a,74b、及び一対の第5制御ランド部75a,75bを有する。第2スプール70では、軸方向の一端から他端に向けて(
図2中左側から右側に向けて)、一方の第5制御ランド部75a、一方の第4制御ランド部74a、一方の第3制御ランド部73a、一方の第2制御ランド部72a、第1制御ランド部71、他方の第2制御ランド部72b、他方の第3制御ランド部73b、他方の第4制御ランド部74b、他方の第5制御ランド部75bの順で設けられる。
【0065】
第1制御ランド部71と一対の第2制御ランド部72a,72bとの間には、一対の第2ポンプ溝76a,76bが環状の溝として形成される。互いに隣接する一対の第2制御ランド部72a,72bと一対の第3制御ランド部73a,73bとの間には、それぞれ第2ブリッジ溝77a,77bが形成される。互いに隣接する一対の第3制御ランド部73a,73bと一対の第4制御ランド部74a,74bとの間には、それぞれ合流接続溝78a,78bが形成される。また、互い隣接する一対の第4制御ランド部74a,74bと一対の第5制御ランド部75a,75bとの間には、それぞれ第2タンク溝79a,79bが形成される。
【0066】
第2スプール70の一対の第4制御ランド部74a,74bの外周には、それぞれ第2スプール70の軸方向に延びて第2タンク溝79a,79bに連通する第2ロッド側絞り60d及び第2ボトム側絞り60eとしてのノッチ70a,70bが形成される。ノッチ70a,70bは、それぞれロッド側室5及びボトム側室6から第2タンク通路17を通じてタンク9に排出される作動油の流れに抵抗を付与する。なお、本実施形態では、ノッチ70a,70bは、それぞれ第2スプール70の周方向に複数(
図2では、それぞれ2つ)形成されるが、これに限らず、1つだけ形成されるものでもよい。複数のノッチ70a,70bが第2スプール70に形成される場合には、複数のノッチ70aの全体が
図1に示す第2ロッド側絞り60dを構成する。同様に、複数のノッチ70bが第2スプール70に形成される場合には、複数のノッチ70bの全体が第2ボトム側絞り60eを構成する。
【0067】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0068】
切換弁30では、第1スプール40における第1ランド部41を基準として軸方向の一方側にあるランド部42a,43a,44a,45a及び溝46a,47a,48a,49aと他方側にあるランド部42b,43b,44b,45b及び溝46b,47b,48b,49bとは、油圧シリンダ1の作動方向に応じて対応する構成(対となる構成)と互いに機能が入れ替わる。また、第1下流側ポート32を基準として軸方向の一方側にあるポート33a,34a,35a,36a,37aと他方側にあるポート33b,34b,35b,36b,37bとは、油圧シリンダ1の伸縮に応じて対応する構成と互いに機能が入れ替わる。同様に、合流制御弁60では、第2スプール70における第1制御ランド部71を基準として軸方向の一方側にある制御ランド部72a,73a,74a,75a及び溝76a,77a,78a,79aと他方側にある制御ランド部72b,73b,74b,75b及び溝76b,77b,78b,79bとは、油圧シリンダ1の伸縮に応じて対応する構成と互いに機能が入れ替わる。また、合流制御弁60では、第2下流側ポート62を基準として軸方向の一方側にあるポート63a,64a,65a,66a,67aと他方側にあるポート63b,64b,65b,66b,67bとは、油圧シリンダ1の伸縮に応じて対応する構成と互いに機能が入れ替わる。よって、以下では、油圧シリンダ1が伸長作動する場合を例に説明し、収縮作動する場合については説明を適宜省略する。
【0069】
まず、切換弁30の作動について説明する。
【0070】
作業者からの操作入力がない場合には、切換弁30の一対の第1パイロット圧室50a,50bには、それぞれパイロット圧が導かれない。この場合には、
図2に示すように、切換弁30の一対の第1上流側ポート33a,33bと第1下流側ポート32とが、一対の第1ポンプ溝46a,46bを通じて連通する。これにより、第1中立通路10は開放され、第1ポンプ7から吐出される作動油はタンク9に導かれる。
【0071】
作業者によって油圧シリンダ1を伸長作動させるような操作レバーの操作入力があると、操作入力に応じたパイロット圧が切換弁30の一方の第1パイロット圧室50aに導かれる。パイロット圧の大きさに応じて第1スプール40が移動し、切換弁30は、第1スプール40の移動量に応じて第1伸長ポジション30B(
図1参照)となる。
【0072】
具体的には、
図3に示すように、第1パイロット圧室50aにパイロット圧が導かれると、第1スプール40は、センタリングスプリング58の付勢力に抗して図中右方向へ移動する。これにより、一対の第1上流側ポート33a,33bと第1下流側ポート32との連通が、第1スプール40の第1ランド部41及び第2ランド部42aによって遮断される。また、一方の第1上流側ポート33aと第1ブリッジポート34aとが第1ブリッジ溝47aを通じて連通すると共に、第1ブリッジポート34bと第1ボトム側ポート35bとが第1ブリッジ溝47bを通じて連通する。さらに、第1ロッド側ポート35aが第1接続溝48aを通じて接続ポート36aと連通すると共に、接続ポート36aがノッチ40aと第1タンク溝49aとを通じて第1タンクポート37aに連通する。
【0073】
したがって、第1ポンプ7から吐出される作動油は、第1ポンプ通路10aから第1スプール40の第1ブリッジ溝47aを通じて第1ブリッジ通路10cに導かれ、第1ブリッジ通路10cから第1ブリッジ溝47b及び第1ボトム側通路13aを通じてボトム側室6に導かれる。ロッド側室5の作動油は、第1ロッド側通路12aからノッチ40aを通じて第1タンク通路16に導かれてタンク9に排出される。これにより、油圧シリンダ1は伸長作動する。また、ロッド側室5の作動油の一部は、第1ロッド側ポート35aから接続ポート36a及び第1接続通路14を通じて合流制御弁60の合流ポート66aに導かれる。
【0074】
ノッチ40aは、
図2中右方向への第1スプール40の移動量が大きくなるにつれ、接続ポート36aに対する開口面積が増加し、作動油の流れに付与する抵抗は小さくなる。ノッチ40aは、第1スプール40の軸方向における長さが、
図2中右方向への第1スプール40の移動に伴い、第1タンクポート37aと接続ポート36aとが連通するよりも先に、第1ロッド側ポート35aと接続ポート36aとが連通するように形成される。
【0075】
ノッチ40aによって第1タンクポート37aと接続ポート36aが先に連通し、その後で第1ロッド側ポート35aと接続ポート36aとが連通する場合には、その間の第1スプール40の移動に応じて接続ポート36aに対するノッチ40aの開口面積は大きくなる。よって、ノッチ40aが作動油の流れに付与する抵抗が小さくなり、第1ロッド側ポート35aと接続ポート36aとが連通してロッド側室5とタンク9とが連通することによる圧力変動を効果的に抑制しにくくなる。これに対し、本実施形態のように、第1ロッド側ポート35aと接続ポート36aとが先に連通する構成とすることで、ノッチ40aが接続ポート36aに連通すれば、接続ポート36aに対する開口面積が比較的小さい状態のノッチ40aを通じてロッド側室5の作動油を速やかにタンク9に排出することができる。これにより、ロッド側室5とタンク9とが連通することによる圧力変動がノッチ40aによって効果的に緩和され、油圧シリンダ1を安定して伸長作動させることができる。
【0076】
次に、合流制御弁60の作動について説明する。
【0077】
作業者による操作入力がない場合及び油圧シリンダ1を伸長作動させる操作レバーの操作量が所定量よりも小さい場合には、合流制御弁60の第2パイロット圧室80a,80bにはパイロット圧が供給されず、合流制御弁60はセンタリングスプリング88の付勢力によって第2中立ポジション60A(
図1参照)に保持される。この状態では、
図2に示すように、合流制御弁60の一対の第2上流側ポート63a,63bと第2下流側ポート62とが、一対の第2ポンプ溝76a,76bを通じて連通する。これにより、第2中立通路11は開放され、第2ポンプ8から吐出される作動油はタンク9に導かれる。
【0078】
したがって、油圧シリンダ1を伸長作動させる操作レバーの操作量が所定量よりも小さい場合には、切換弁30のみが第1伸長ポジション30B(
図1参照)に切り換わり、油圧シリンダ1は、第1ポンプ7から供給される作動油のみによって伸長作動する。
【0079】
油圧シリンダ1を伸長作動させる操作レバーの操作量が所定量以上となると、合流制御弁60の一方の第2パイロット圧室80aにもパイロット圧が導かれる。これにより、パイロット圧の大きさに応じて第2スプール70が移動し、合流制御弁60は、第2スプール70の移動量に応じて第2伸長ポジション60B(
図1参照)となる。
【0080】
具体的には、合流制御弁60の第2パイロット圧室80aにパイロット圧が導かれると、第2スプール70は、センタリングスプリング88の付勢力に抗して図中右方向へ移動する。これにより、一対の第2上流側ポート63a,63bと第2下流側ポート62との連通が、第1制御ランド部71及び第2制御ランド部72aによって遮断される。また、一方の第2上流側ポート63aと第2ブリッジポート64aとが第2ブリッジ溝77aを通じて連通すると共に、第2ブリッジポート64bと第2ボトム側ポート65bとが第2ブリッジ溝77bを通じて連通する。よって、第2ポンプ8から吐出される作動油は、第2ポンプ通路11aから第2スプール70の第2ブリッジ溝77aを通じて第2ブリッジ通路11cに導かれ、第2ブリッジ通路11cから第2ブリッジ溝77bを通じて第2ボトム側通路13bに導かれる。これにより、第2ポンプ8から吐出される作動油は、第1ポンプ7から吐出される作動油と合流して、ボトム側室6に導かれる。
【0081】
また、合流ポート66aは、ノッチ70aと第2タンク溝79aを通じて第2タンクポート67aに連通する。よって、ロッド側室5の作動油の一部は、切換弁30から第1接続通路14を通じて合流制御弁60に導かれ、第2タンク通路17を通じてタンク9に排出される。
【0082】
このように、第1ポンプ7と第2ポンプ8とから吐出される作動油を合流させる場合、油圧シリンダ1から排出される作動油は、切換弁30を通じてタンク9に排出されると共に、合流制御弁60を通じてもタンク9に排出される。よって、油圧シリンダ1から排出される作動油は、切換弁30のノッチ40a(第1ボトム側絞り30e)を通じてタンク9に排出されると共に、合流制御弁60のノッチ70a(第2ボトム側絞り60e)を通じてタンク9に排出される。したがって、ロッド側室5から排出される作動油は、切換弁30のノッチ40aと合流制御弁60のノッチ70aとによって付与される抵抗に応じた速度により伸長作動する。
【0083】
ここで、本発明の理解を容易にするために、
図5及び
図6を参照して本発明の比較例に係る流体圧制御装置300について説明する。なお、本実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0084】
比較例に係る流体圧制御装置300では、
図5及び
図6に示すように、本実施形態の様な第1接続通路14及び第2接続通路15が設けられない。
図5に示すように、比較例に係る切換弁230は、第1伸長ポジション230Bにおいて第1ロッド側通路12aと第1接続通路14を連通せず、第1収縮ポジション230Cにおいて、第1ボトム側通路13aと第2接続通路15とを連通しない点で上記実施形態とは相違する。
【0085】
また、比較例に係る合流制御弁260は、第2伸長ポジション260Bにおいて、第2ロッド側通路12bと第2タンク通路17とを連通する。ロッド側室5の作動油の一部は、第2ロッド側通路12bから合流制御弁260及び第2タンク通路17を通じてタンク9に排出される。また、合流制御弁260は、第2収縮ポジション260Cにおいて、第2ボトム側通路13bと第2タンク通路17とを連通する。ボトム側室6の作動油の一部は、第2ボトム側通路13bから合流制御弁260及び第2タンク通路17を通じてタンク9に排出される。
【0086】
なお、上記実施形態と同様に、切換弁230は、第1中立ポジション230Aにおいて、第1中立通路10を開放し、第1ポンプ通路10a及び第1タンク通路16に対する第1ロッド側通路12a及び第1ボトム側通路13aの連通をそれぞれ遮断する。また、合流制御弁260は、第2中立ポジション260Aにおいて、第2中立通路11を開放し、第2ポンプ通路11a及び第2タンク通路17に対する第2ロッド側通路12b及び第2ボトム側通路13bの連通をそれぞれ遮断する。
【0087】
油圧シリンダ1が伸長作動する場合を例に
図6に示す拡大断面図で説明すると、流体圧制御装置300では、切換弁230における第1ロッド側ポート35aと第1タンクポート37aとは、互いに軸方向に隣接しており、両者の間に上記実施形態における接続ポート36aのようなその他のポートは設けられない。切換弁230が第1中立ポジション230Aに切り換えられた状態で第1ロッド側ポート35aを閉塞する第1スプール240の第3ランド部243aには、第1タンク溝49aと連通するノッチ40aが形成される。同様に、合流制御弁260における第2ロッド側ポート65aと第2タンクポート67aとは、互いに軸方向に隣接する。合流制御弁260が第2中立ポジション260Aに切り換えられた状態で第2ロッド側ポート65aを閉塞する第2スプール270の第3制御ランド部273aには、第2タンク溝79aに連通するノッチ70aが形成される。
【0088】
このように、比較例に係る流体圧制御装置300では、第2ポンプ8から吐出される作動油は、第2ボトム側通路13b又は第2ロッド側通路12bを通じてボトム側室6又はロッド側室5に供給される。ボトム側室6又はロッド側室5の作動油の一部は、第2ボトム側通路13b又は第2ロッド側通路12bから合流制御弁260を通じてタンク9に排出される。
【0089】
ここで、一般に、スプール弁では、スプールの摺動性の確保のため、スプールの外周とバルブハウジングの内周との間にわずかなクリアランスが存在する。このため、スプール弁によってロッド側室やボトム側室とタンクとの連通を制御する場合には、タンクとの連通を遮断した状態であっても、スプールの外周のクリアランスを通じて作動油がタンクに漏れ出すおそれがある。
【0090】
さらに、油圧シリンダでは、駆動対象の負荷(自重)がロッド側室及びボトム側室のいずれかに作用することがある。このような場合には、作動油の給排を停止して油圧シリンダを停止状態に維持する負荷保持状態においては、負荷圧が作用するロッド側室又はボトム側室の作動油は、負荷圧の影響によりスプール外周のクリアランスを通じて漏れ出しやすい。例えば、油圧シリンダがブームを駆動するものである場合、負荷保持状態では、ボトム側室にブームの自重(負荷)が作用する。
【0091】
よって、比較例に係る流体圧制御装置300では、切換弁230を第1中立ポジション230Aに切り換えて油圧シリンダ1を停止状態に維持する(負荷保持状態)とすると、ボトム側室6に作用する負荷圧が、切換弁230と合流制御弁260とのそれぞれに作用する。このため、比較例に係る流体圧制御装置300では、ボトム側室6の作動油が切換弁230及び合流制御弁260のそれぞれにおけるスプール(第1スプール240、第2スプール270)とスプール孔(第1スプール孔31、第2スプール孔61)との間のクリアランスを通じて、漏れ出すおそれがある。負荷圧が作用するボトム側室6の作動油がこのクリアランスを通じて漏れ出すと、油圧シリンダ1が漏れ量に応じて収縮し、負荷を保持できなくなる。
【0092】
また、流体圧制御装置300では、第3制御ランド部273aは、合流制御弁260が第2中立ポジション260Aに切り換えられた状態において第2ロッド側ポート65aを閉塞し、この第3制御ランド部273aにノッチ70aが形成される。このため、第2ロッド側ポート65aと第2タンクポート67aとの間の壁部Wに対向するノッチ70aの長さ分だけ、第3制御ランド部273aと壁部Wの内側の第2スプール孔61とのラップ量が小さい。よって、ロッド側室5の作動油が、第2スプール270の外周のクリアランスを通じてタンク9により一層漏れやすい。
【0093】
これに対し、本実施形態では、上述のように、合流制御弁60が第2伸長ポジション60Bに切り換えられても、第2ロッド側通路12bは、タンク9と連通せずに遮断される。また、合流制御弁60が第2収縮ポジション60Cに切り換えられても、第2ボトム側通路13bは、タンク9と連通せずに遮断される。つまり、ロッド側室5及びボトム側室6の作動油は、それぞれ第2ロッド側通路12b及び第2ボトム側通路13bを通じてはタンク9に排出されない。このように、第2ロッド側通路12b及び第2ボトム側通路13bは、合流制御弁60(第2スプール70)を介してはタンク9と連通しないため、ロッド側室5及びボトム側室6の作動油が、合流制御弁60の第2スプール70の外周のクリアランスからタンク9へ漏れ出すことが抑制される。
【0094】
また、
図2に示すように、合流制御弁60が第2中立ポジション60Aに切り換えられた状態では、第2ロッド側ポート65aは、第2スプール70の第3制御ランド部73aによって閉塞される。
図3に示すように、合流制御弁60が第2伸長ポジション60Bに切り換えられた状態、より具体的には、合流制御弁60が第2伸長ポジション60Bに切り換わる方向へ第2スプール70がフルストロークした状態であっても、第2ロッド側ポート65aは、第2スプール70の第3制御ランド部73aによって完全に閉塞される。なお、本実施形態では、第2伸長ポジション60Bに切り換わる方向へ第2スプール70がフルストロークした状態とは、第2スプール70の端部に設けられる第2支持部材85の第2ヘッド部87が第2キャップ81bに当接する状態(
図3に示す状態)である。
【0095】
このように、合流制御弁60では、第2中立ポジション60Aにある状態から、第2伸長ポジション60Bとなるように第2スプール70がフルストロークする状態まで、第2ロッド側ポート65aが第3制御ランド部73aによって完全に閉塞される。つまり、合流制御弁60は、第2伸長ポジション60Bの状態で、第2ロッド側通路12bと第2タンク通路17とを遮断する構成であるため、第3制御ランド部73aの第2タンクポート67a側には、ノッチを形成する必要がない。これにより、第2スプール70の軸方向における第3制御ランド部73aと第2スプール孔61とのラップ長さを大きくすることができる。したがって、第3制御ランド部73aと第2スプール孔61との間のクリアランスを通じて、作動油が第2ロッド側ポート65aから第2タンクポート67aへ漏れ出すことが抑制される。
【0096】
また、合流制御弁60では、第2ロッド側ポート65a及び第2ボトム側ポート65bと第2タンクポート67a,67bとの間には、合流ポート66a,66bが設けられる。合流制御弁60では、第2中立ポジション60Aにおいて、第2ロッド側ポート65a及び第2ボトム側ポート65bと合流ポート66a,66bとは、第3制御ランド部73a,73bによって遮断される。このため、第2ロッド側ポート65aや第2ボトム側ポート65bに負荷圧が作用しても、負荷圧は第3制御ランド部73a,73bによって遮断され、合流ポート66aには直接作用しない。よって、負荷保持状態において、負荷圧の作用により合流ポート66aの作動油が第2タンクポート67aへ漏れ出すことも抑制される。したがって、第2ロッド側ポート65aの作動油が第2タンクポート67aへ漏れ出すことがより一層抑制される。
【0097】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0098】
流体圧制御装置100では、合流制御弁60は、第2伸長ポジション60Bにおいて第2ロッド側通路12bと第2タンク通路17とを遮断し、第2収縮ポジション60Cにおいて第2ボトム側通路13bと第2タンク通路17とを遮断する。合流制御弁60は、第2ロッド側通路12b及び第2ボトム側通路13bと、第2タンク通路17とを常時遮断するように構成される。より具体的には、ロッド側室5に常時連通する第2ロッド側ポート65aは、第2伸長ポジション60Bとなる方向へ第2スプール70がフルストロークした状態であっても、第3制御ランド部73aによって閉塞される。また、ボトム側室6に常時連通する第2ボトム側ポート65bは、第2収縮ポジション60Cとなる方向へ第2スプール70がフルストロークした状態であっても、第3制御ランド部73bによって閉塞される。よって、ロッド側室5及びボトム側室6の作動油が第2スプール70の外周のクリアランスからタンク9に漏れ出すことが抑制される。
【0099】
次に、本発明の変形例について説明する。
【0100】
まず、
図4に示す変形例について説明する。
【0101】
上記実施形態では、第2ロッド側通路12bは、合流制御弁60が第2伸長ポジション60Bの状態で第2タンク通路17と遮断され、第2ボトム側通路13bは、合流制御弁60が第2収縮ポジション60Cの状態で第2タンク通路17と遮断される。つまり、上記実施形態では、ロッド側室5及びボトム側室6のそれぞれが、特許請求の範囲における「流体圧室」に相当するものであり、ロッド側室5に給排される作動油の制御と、ボトム側室6に給排される作動油の制御と、の両方に対して本発明が適用される。これに対し、ロッド側室5に給排される作動油の制御と、ボトム側室6に給排される作動油の制御と、のいずれかのみに対して本発明が適用されものでもよい。以下、
図4を参照して具体的に説明する。
【0102】
図4に示す変形例は、本発明が、ボトム側室6に給排される作動油の流れの制御に対してのみ適用される形態を示す例である。
図4に示す変形例に係る流体圧制御装置100は、上記実施形態と同様に、第1中立通路10、第2中立通路11、第1ロッド側通路12a、第2ロッド側通路12b、第1ボトム側通路13a(第1流体圧通路)、第2ボトム側通路13b(第2流体圧通路)、第2接続通路15(接続通路)、第1タンク通路16、及び第2タンク通路17を備える。一方、変形例に係る流体圧制御装置100は、上記実施形態における第1接続通路14を備えていない。
【0103】
変形例に係る切換弁130は、第1中立通路10を開放する第1中立ポジション130Aと、第1ボトム側通路13aと第1ポンプ通路10aとを連通すると共に第1ロッド側通路12aと第1タンク通路16とを連通する第1伸長ポジション130Bと、第1ロッド側通路12aと第1ポンプ通路10aとを連通すると共に、第1ボトム側通路13aと第1タンク通路16とを連通し、第1ボトム側通路13aと第2接続通路15とを連通する第1収縮ポジション130Cと、を有する。この変形例では、第1伸長ポジション130Bが特許請求の範囲における「第1供給ポジション」、第1収縮ポジション130Cが「第1排出ポジション」に相当する。
【0104】
変形例に係る合流制御弁160は、第2中立通路11を開放する第2中立ポジション160Aと、第2ボトム側通路13bと第2ポンプ通路11aとを連通すると共に第2ロッド側通路12bと第2タンク通路17とを連通する第2伸長ポジション160Bと、第2ロッド側通路12bと第2ポンプ通路11aとを連通すると共に第2接続通路15と第2タンク通路17とを連通する第2収縮ポジション160Cと、を有する。第2中立ポジション160Aでは、上記実施形態と同様に、第2ポンプ通路11a及び第2タンク通路17のそれぞれに対する、第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b、及び第2接続通路15の連通が遮断される。また、第2収縮ポジション160Cでは、第2ボトム側通路13bは、第2タンク通路17と遮断される。この変形例では、第2伸長ポジション160Bが特許請求の範囲における「第2供給ポジション」、第2収縮ポジション160Cが「第2排出ポジション」に相当する。
【0105】
油圧シリンダ1が伸長作動する場合、合流制御弁160が第2伸長ポジション160Bに切り換えられると、上記実施形態と同様に、第2ポンプ8から吐出される作動油が、第2ボトム側通路13bを通じてボトム側室6に導かれる。一方、
図4の変形例において油圧シリンダ1が伸長作動する場合には、ロッド側室5の作動油の一部は、第2ロッド側通路12bから合流制御弁160を通じて、第2タンク通路17に導かれる。
【0106】
油圧シリンダ1が収縮作動する場合、合流制御弁160が第2収縮ポジション160Cに切り換えられると、上記実施形態と同様に、第2ポンプ8から吐出される作動油が、第2ロッド側通路12bを通じてロッド側室5に導かれる。また、上記実施形態と同様に、ボトム側室6から排出される作動油の一部は、切換弁130から第2接続通路15及び合流制御弁160を通じて第2タンク通路17に導かれ、タンク9に排出される。
【0107】
以上のように、変形例に係る流体圧制御装置100では、油圧シリンダ1のボトム側室6と常時連通する第2ボトム側通路13bは、第2中立ポジション160A及び第2収縮ポジション160Cのいずれにおいても、タンク9と遮断される。油圧シリンダ1が収縮作動する場合、合流制御弁160が第2収縮ポジション160Cに切り換わっても、ボトム側室6の作動油の一部は、第2ボトム側通路13bを通じてはタンク9に排出されず、切換弁130、第2接続通路15、及び合流制御弁160を通じてタンク9に排出される。よって、上記実施形態と同様に、ボトム側室6の作動油が、合流制御弁160の第2スプール70の外周のクリアランスからタンク9へ漏れ出すことが抑制される。
【0108】
なお、
図4に示す変形例では、ブームを駆動する油圧シリンダ1において負荷側圧力室であるボトム側室6に給排される作動油の制御に対して、本発明が適用される。これに対し、反負荷側圧力室(ブームを駆動する油圧シリンダ1においては、ロッド側室5)に給排される作動油の流れの制御に対し、本発明を適用してもよい。
【0109】
次に、その他の変形例について説明する。
【0110】
上記実施形態では、駆動対象としてブームを駆動する油圧シリンダ1への作動油の流れを制御する流体圧制御装置100について説明した。これに対し、流体圧制御装置100は、アームやバケット等他の駆動対象を駆動する油圧シリンダ1への作動油の流れを制御するものでもよい。
【0111】
また、流体圧制御装置100では、負荷保持状態においてタンク通路(第1タンク通路16,第2タンク通路17)を遮断して、負荷圧が作用する負荷側圧力室から作動油がタンク9へ排出されることを防止するポペット弁としてのアンチドリフト弁を設けてもよい。これによれば、負荷側圧力室からの作動油の漏れはアンチドリフト弁によって確実に防止し、本発明に係る流体圧制御装置100の作用によって反負荷側圧力室からの作動油の漏れを抑制することができる。
【0112】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0113】
第1ポンプ7及び第2ポンプ8から吐出された作動油を合流させて油圧シリンダ1の流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)に供給可能に構成される流体圧制御装置100は、第1ポンプ7から吐出される作動油を導く第1ポンプ通路10aと、第2ポンプ8から吐出される作動油を導く第2ポンプ通路11aと、第1ポンプ7から油圧シリンダ1に供給される作動油の流れを制御する切換弁30,130と、第2ポンプ8から油圧シリンダ1に供給される作動油の流れを制御する合流制御弁60,160と、切換弁30,130と合流制御弁60,160とを接続する接続通路(第1接続通路14、第2接続通路15)と、切換弁30,130と油圧シリンダ1の流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)とを連通する第1流体圧通路(第1ロッド側通路12a、第1ボトム側通路13a)と、合流制御弁60,160と油圧シリンダ1の流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)とを連通する第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)と、切換弁30,130に接続されタンク9に連通する第1タンク通路16と、合流制御弁60,160に接続されタンク9に連通する第2タンク通路17と、を備え、切換弁30,130は、第1流体圧通路(第1ロッド側通路12a、第1ボトム側通路13a)と第1ポンプ通路10aとを連通する第1供給ポジション(第1伸長ポジション30B,130B、第1収縮ポジション30C)と、第1流体圧通路(第1ロッド側通路12a、第1ボトム側通路13a)と第1タンク通路16とを連通すると共に第1流体圧通路(第1ロッド側通路12a、第1ボトム側通路13a)と接続通路(第1接続通路14、第2接続通路15)とを連通する第1排出ポジション(第1収縮ポジション30C,130C、第1伸長ポジション30B)と、を有し、合流制御弁60,160は、第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)と第2ポンプ通路11aとを連通する第2供給ポジション(第2伸長ポジション60B,160B、第2収縮ポジション60C)と、接続通路(第1接続通路14、第2接続通路15)と第2タンク通路17とを連通すると共に第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)と第2タンク通路17とを遮断する第2排出ポジション(第2収縮ポジション60C,160C、第2伸長ポジション60B)と、を有する。
【0114】
この構成では、切換弁30,130が第1供給ポジション(第1伸長ポジション30B,130B、第1収縮ポジション30C)に切り換えられると共に合流制御弁60,160が第2供給ポジション(第2伸長ポジション60B,160B、第2収縮ポジション60C)に切り換えられると、第1ポンプ7から吐出される作動油が第1流体圧通路(第1ロッド側通路12a、第1ボトム側通路13a)に導かれ、第2ポンプ8から吐出される作動油が第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)に導かれる。このようにして、第1ポンプ7及び第2ポンプ8から吐出される作動油が合流して、油圧シリンダ1に導かれる。また、切換弁30,130が第1排出ポジション(第1収縮ポジション30C,130C、第1伸長ポジション30B)に切り換えられると、油圧シリンダ1の流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)の作動油が、第1タンク通路16を通じてタンク9に排出される。さらに、切換弁30,130が第1排出ポジション(第1収縮ポジション30C,130C、第1伸長ポジション30B)に切り換えられた状態で、合流制御弁60,160が第2排出ポジション(第2収縮ポジション60C,160C、第2伸長ポジション60B)に切り換えられると、流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)の作動油は、切換弁30,130及び接続通路(第1接続通路14、第2接続通路15)を通じて合流制御弁60,160に導かれて第2タンク通路17を通じてもタンク9に排出される。一方、第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)は、合流制御弁60,160が第2排出ポジション(第2収縮ポジション60C,160C、第2伸長ポジション60B)に切り換えられても、タンク9とは連通せずに遮断される。つまり、流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)の作動油は、第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)を通じてはタンク9に排出されない。このように、油圧シリンダ1の流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)と常時連通する第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)は、合流制御弁60,160によってタンク9と連通する構成ではないため、流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)の作動油が、第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)から合流制御弁60,160のスプール(第2スプール70)の外周のクリアランスからタンク9へ漏れ出すことが抑制される。
【0115】
また、流体圧制御装置100では、切換弁30,130は、第1ハウジング100aと、第1ハウジング100aに形成される第1スプール孔31に移動自在に収容される第1スプール40と、第1流体圧通路(第1ロッド側通路12a、第1ボトム側通路13a)に連通し第1スプール孔31に開口する第1流体圧ポート(第1ロッド側ポート35a、第1ボトム側ポート35b)と、第1タンク通路16に連通し第1スプール孔31に開口する第1タンクポート37a,37bと、接続通路(第1接続通路14、第2接続通路15)に連通し第1スプール孔31に開口する接続ポート36a,36bと、第1スプール40に設けられ第1排出ポジション(第1収縮ポジション30C,130C、第1伸長ポジション30B)に切り換わった状態で流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)から第1流体圧通路(第1ロッド側通路12a、第1ボトム側通路13a)を通じてタンク9に排出される作動油の流れに抵抗を付与する第1ロッド側絞り30d,第1ボトム側絞り30e(ノッチ40a,40b)と、を有し、合流制御弁60,160は、第2スプール70に設けられ第2排出ポジション(第2収縮ポジション60C,160C、第2伸長ポジション60B)に切り換わった状態で流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)から第1流体圧通路(第1ロッド側通路12a、第1ボトム側通路13a)及び接続通路(第1接続通路14、第2接続通路15)を通じてタンク9に排出される作動油の流れに抵抗を付与する第2ロッド側絞り60d,第2ボトム側絞り60e(ノッチ70a,ノッチ70b)を有し、切換弁30,130が第1排出ポジション(第1収縮ポジション30C,130C、第1伸長ポジション30B)に切り換わる方向に第1スプール40が移動する際、第1タンクポート37a,37bと接続ポート36a,36bとが連通するよりも先に、第1流体圧ポート(第1ロッド側ポート35a、第1ボトム側ポート35b)と接続ポート36a,36bとが連通する。
【0116】
この構成では、第1スプール40の移動に伴い、第1流体圧ポート(第1ロッド側ポート35a、第1ボトム側ポート35b)と接続ポート36a,36bとが先に連通し、その後第1タンクポート37a,37bと接続ポート36a,36bとが第1ロッド側絞り30d,第1ボトム側絞り30e(ノッチ40a,40b)を通じて連通する。よって、流体圧室(ロッド側室5、ボトム側室6)とタンク9とが連通することによる圧力変動が第1ロッド側絞り30d,第1ボトム側絞り30e(ノッチ40a,40b)によって緩和され、油圧シリンダ1を所望の速度で安定して作動させることができる。
【0117】
また、流体圧制御装置100では、合流制御弁60,160は、第2ハウジング100bと、第2ハウジング100bに形成される第2スプール孔61に移動自在に収容される第2スプール70と、第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)に連通し第2スプール孔61に開口する第2流体圧ポート(第2ロッド側ポート65a,第2ボトム側ポート65b)と、を有すると共に、第2タンク通路17と接続通路(第1接続通路14、第2接続通路15)との連通及び第2タンク通路17と第2流体圧通路(第2ロッド側通路12b、第2ボトム側通路13b)との連通をそれぞれ遮断する第2中立ポジション60A,160Aを有し、第2スプール70は、第2流体圧ポート(第2ロッド側ポート65a,第2ボトム側ポート65b)に臨み第2スプール孔61に摺動する第3制御ランド部73a,73bを有し、第2流体圧ポート(第2ロッド側ポート65a,第2ボトム側ポート65b)は、合流制御弁60,160が第2中立ポジション60A,160Aにある状態から、第2排出ポジション(第2収縮ポジション60C,160C、第2伸長ポジション60B)に切り換えられる方向へ第2スプール70がフルストロークした状態まで、第2スプール70の第3制御ランド部73a,73bによって閉塞される。
【0118】
この構成では、合流制御弁60,160は、第2中立ポジション60A,160Aの状態で第2流体圧ポート(第2ロッド側ポート65a,第2ボトム側ポート65b)が第3制御ランド部73a,73bによって閉塞されると共に、第2排出ポジション(第2収縮ポジション60C,160C、第2伸長ポジション60B)に切り換えられ、第2スプール70がフルストロークした状態であっても、第2流体圧ポート(第2ロッド側ポート65a,第2ボトム側ポート65b)が第3制御ランド部73a,73bによって閉塞される。これにより、第2スプール70と第2スプール孔61とのラップ量が確保される。よって、第2スプール70の外周のクリアランスを通じて第2流体圧ポート(第2ロッド側ポート65a,第2ボトム側ポート65b)の作動油がタンク9へ漏れ出すことをより一層抑制することができる。
【0119】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。