(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
伸縮性を有する伸縮基板上に実現された第1の電子回路を、前記伸縮基板の外部に設けられた第2の電子回路に接続するために、前記伸縮基板上に設けられるコネクタであって、
前記第1の電子回路の配線に接続される複数のパッドが設けられた、パッド支持部材を備え、
当該パッド支持部材は、第1の方向に間隔をおいて複数の切り込みを備え、複数の単位パッド支持部が前記複数の切り込みの各々を境に連接するように構成されている、伸縮基板上に設けられるコネクタ。
前記パッド支持部材は、前記伸縮基板の端辺に沿って設けられ、前記複数の切り込みは、前記端辺の延在する方向に間隔をおいて設けられている、請求項1に記載の伸縮基板上に設けられるコネクタ。
前記第2の電子回路においては、前記第1の電子回路に接続される相手側パッドが、前記複数のパッドの配置に対応するように柔軟性を有する相手側基板の端辺に設けられ、
当該相手側基板には、前記複数の切り込みに対応する位置の各々に、前記端辺から前記相手側基板の内部に向けた方向に間隔をおいて複数の切り込みが設けられている、請求項1または2に記載の伸縮基板上に設けられるコネクタ。
前記相手側基板に設けられた前記複数の切り込みの、前記相手側基板の最も内部側の前記切り込みの端部には、切り抜きが設けられている、請求項3に記載の伸縮基板上に設けられるコネクタ。
前記パッド支持部材は、前記伸縮基板に対向する表面が、前記伸縮基板の表面に当接されて接着されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の伸縮基板上に設けられるコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような場合において、伸縮基板の伸縮性を確保するためには、コネクタを、伸縮性を有する材料で形成するか、伸縮基板の伸縮に追従可能な構造とする必要がある。しかし、このようなコネクタにおいては、伸縮基板の伸縮によってコネクタに設けられるパッド間の相対位置が容易に変動する可能性があるため、接続時にパッドの位置を接続先のパッドに合わせて精密に調整し、接合することが容易ではない。特に、上記のように伸縮基板上に表示装置を実現する場合には、パッドの数が膨大となるため、全てのパッドの位置を正確に合わせることは非常に困難である。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、伸縮基板の伸縮に追従可能で、パッドの精密な位置合わせが可能な、伸縮基板上に設けられるコネクタ、及び伸縮表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、伸縮性を有する伸縮基板上に実現された第1の電子回路を、前記伸縮基板の外部に設けられた第2の電子回路に接続するために、前記伸縮基板上に設けられるコネクタであって、前記第1の電子回路の配線に接続される複数のパッドが設けられた、パッド支持部材を備え、当該パッド支持部材は、第1の方向に間隔をおいて複数の切り込みを備え、複数の単位パッド支持部が前記複数の切り込みの各々を境に連接するように構成されている、伸縮基板上に設けられるコネクタを提供する。
上記のような構成によれば、伸縮基板上に実現された第1の電子回路の複数のパッドは、パッド支持部材上に設けられているため、第1の電子回路を、コネクタを介して第2の電子回路に接続する際には、パッド間の相対位置は変動しない。したがって、第2の電子回路に設けられた相手側パッドとの位置合わせが容易である。
また、パッド支持部材は、第1の方向に間隔をおいて複数の切り込みを備え、複数の単位パッド支持部が複数の切り込みの各々を境に連接するように構成されている。すなわち、パッド支持部材には、複数の切り込みにより、脆弱な部分が複数の位置に形成されている。このため、伸縮基板が第1の方向に伸長し、その伸長力がパッド支持部材に作用した場合には、パッド支持部材が複数の切り込みの各々において切断されて複数の単位パッド支持部に分離し、単位パッド支持部間が離間し、伸縮基板の伸長に追従することによって、この伸長力が吸収される。
伸縮基板が伸長した状態から収縮する場合には、分離して離間した単位パッド支持部間の距離が短縮することで、この収縮は吸収される。
このように、伸縮基板の伸縮に追従可能で、パッドの精密な位置合わせが可能な、伸縮基板上に設けられるコネクタを実現可能である。
【0008】
本発明の一態様においては、前記パッド支持部材は、前記伸縮基板の端辺に沿って設けられ、前記複数の切り込みは、前記端辺の延在する方向に間隔をおいて設けられている。
上記のような構成によれば、伸縮基板の端辺に沿ってパッド支持部材を設けた場合においては、パッド支持部材が伸長される方向は概ね、端辺の延在方向となり、この方向が、複数の切り込みが間隔をおいて設けられた方向と一致している。このため、効果的に、伸縮基板の伸縮に追従可能である。
【0009】
本発明の別の態様においては、前記第2の電子回路においては、前記第1の電子回路に接続される相手側パッドが、前記複数のパッドの配置に対応するように柔軟性を有する相手側基板の端辺に設けられ、当該相手側基板には、前記複数の切り込みに対応する位置の各々に、前記端辺から前記相手側基板の内部に向けた方向に間隔をおいて複数の切り込みが設けられている。
上記のような構成によれば、伸縮基板に生じた伸長力は、パッド支持部材を介して、パッド支持部材に接続された相手側基板へと更に作用する。すなわち、伸縮基板が伸長し、伸縮基板上のパッド支持部材が複数の切り込みの各々において分離することで、相手側基板の、相手側パッドが設けられた端辺にも、端辺の延在する方向に伸長力が作用する。
ここで、パッド支持部材の切り込みに対応する位置に、相手側基板の端辺から内部に向けた方向に間隔をおいて複数の切り込みが設けられている。このため、相手側基板の端辺に伸長力が作用し、柔軟性を有する相手側基板の、これら複数の切り込みを挟んだ双方の側に、互いに離れる方向へ向かう力が作用すると、複数の切り込みの各々の間に位置する部分が、複数の切り込みが互いに連続するように裂けて、相手側基板が、連続した切り込みを挟んだ複数の部分へと開裂する。
これにより、パッド支持部材に接続される、第2の電子回路の相手側パッドが設けられた相手側基板が、伸縮基板の伸縮に追従可能である。
【0010】
本発明の別の態様においては、前記相手側基板に設けられた前記複数の切り込みの、前記相手側基板の最も内部側の前記切り込みの端部には、切り抜きが設けられている。
上記のような構成によれば、相手側基板が、連続した切り込みを挟んだ複数の部分へと開裂したとしても、この開裂の更なる内部への進行は、相手側基板の最も内部側の切り込みの端部に設けられた切り抜きにより抑止される。したがって、相手側基板が必要以上に深く開裂することを抑制可能である。
【0011】
本発明の別の態様においては、前記パッド支持部材は前記伸縮基板よりも硬質な材料で形成されている。
上記のような構成によれば、上記のようなコネクタを好適に実現可能である。
【0012】
本発明の別の態様においては、前記パッド支持部材は、前記単位パッド支持部の各々に、前記伸縮基板に向けて突出する脚部を備え、当該脚部は前記伸縮基板に埋設されている。
上記のような構成によれば、パッド支持部材を伸縮基板に強固に固定可能である。
【0013】
本発明の別の態様においては、前記パッド支持部材は、前記伸縮基板に対向する表面が、前記伸縮基板の表面に当接されて接着されている。
上記のような構成によれば、上記のようなコネクタを好適に実現可能である。
【0014】
また、本発明は、上記のような伸縮基板上に設けられる第1のコネクタを備えた伸縮性を有する伸縮表示装置であって、前記第1の電子回路は、少なくとも前記第1の方向に沿って間隔をあけて配列された複数の表示素子を備え、前記単位パッド支持部の各々は、前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記複数の表示素子の各々に対応して配列されている、伸縮表示装置を提供する。
伸縮基板上に複数の表示素子が設けられた伸縮表示装置においては、伸縮基板が伸長した際に、表示素子や単位パッド支持部が接合された部分の近傍は伸長しにくく、表示素子や単位パッド支持部の間の部分が伸長する。
ここで、上記のような構成によれば、複数の単位パッド支持部が、第1の方向に直交する第2の方向において、表示素子に対応するように配列されている。このため、伸縮基板が第1の方向に伸長して、ある表示素子と隣接する表示素子の間の特定の部分が伸長した際には、これに対応する単位パッド支持部と隣接する単位パッド支持部の間の、上記特定の部分に対応する部分が、上記伸長に対応して伸長しやすい構造となっている。このように、伸縮基板に第1の方向に伸長力が作用した際に、第1の方向に直交する第2の方向で伸長しやすい構造の領域が対応付けられて設けられているため、伸縮基板が第1の方向に伸縮した際の局所的な応力集中を抑制し、伸縮基板を略均等に伸縮させることが可能となる。
【0015】
本発明の別の態様においては、前記単位パッド支持部の、前記伸縮基板に対向する対向表面の、前記第1の方向における長さは、前記表示素子の、前記第1の方向における長さに合致し、前記対向表面が前記表示素子の各々に対応して位置するように、前記単位パッド支持部は形成されている。
上記のような構成によれば、伸縮基板が第1の方向に伸長した際に、パッド支持部材が設けられた領域においては、伸縮基板に対向した表面が伸縮基板に接合されるため、この対向表面の部分は、第1の方向に伸長しにくく、したがって、隣接する単位パッド支持部の対向表面の間に位置する部分が伸長する。ここで、第1の方向における対向表面の長さは、表示素子の第1の方向における長さに合致しているため、表示素子が配列して設けられた領域とパッド支持部材が設けられた領域の各々における、伸長しやすい部分と伸長しにくい部分との比率が同等となり、これらが互いに対応付けられて設けられている。したがって、伸縮基板が第1の方向に伸縮した際の局所的な応力集中を、より効果的に抑制し、伸縮基板を略均等に伸縮させることが可能となる。
【0016】
本発明の別の態様においては、前記第1の方向において、前記複数の表示素子は等間隔なピッチで整列して設けられ、これに伴い前記単位パッド支持部の前記対向表面も等間隔なピッチで整列して設けられている。
上記のような構成によれば、伸縮基板が伸縮した際の局所的な応力集中を、より効果的に抑制し、伸縮基板を略均等に伸縮させることが可能となる。
【0017】
本発明の別の態様においては、前記複数の表示素子の各々は、1以上のサブピクセルを備え、前記1以上のサブピクセルの各々に対応する、伸縮性を有する前記配線が、前記複数の表示素子の各々と、対応する前記単位パッド支持部の間に、前記第2の方向に延在して設けられている。
上記のような構成によれば、1以上のサブピクセルの各々に対応する、伸縮性を有する配線が、表示素子と、これに対応する単位パッド支持部の間に、第2の方向に延在して設けられている。この、配線が設けられた部分は、伸縮基板が第1の方向に延在した際において伸縮しにくい部分である、第2の方向において表示素子とこれに対応する単位パッド支持部の間に挟まれた領域である。このため、配線には、伸縮基板の第1の方向の伸縮により生じる応力が作用されにくく、したがって、伸縮基板の伸縮による配線への影響を低減可能である。
【0018】
本発明の別の態様においては、伸縮表示装置は、上記のような第2のコネクタを更に備え、前記複数の表示素子は、前記第2の方向に沿っても間隔をあけて配列されており、前記第2のコネクタの前記単位パッド支持部の各々は、前記第1の方向において、前記複数の表示素子の各々に対応して位置づけられている。
上記のような構成によれば、第1の方向と第2の方向から形成される平面内において、伸縮基板の伸縮に追従可能で、パッドの精密な位置合わせが可能な、伸縮表示装置を実現可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、伸縮基板の伸縮に追従可能で、パッドの精密な位置合わせが可能な、伸縮基板上に設けられるコネクタ、及び伸縮表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態におけるコネクタを用いた伸縮表示装置の模式的な平面図、
図1(b)は
図1(a)のA矢視部分の、後に説明する相手側基板23が設けられていない状態における拡大図である。
本実施形態におけるコネクタは、伸縮基板上に実現された第1の電子回路を、伸縮基板の外部に設けられた第2の電子回路に接続するために用いられる。特に本実施形態においては、伸縮基板及びこの上に実現された第1の電子回路は、伸縮性を有する表示装置1である。
【0022】
伸縮表示装置1は、第1の電子回路3として、伸縮性を有する伸縮基板2上に実現されている。伸縮基板2は、第1の方向Xとこれに直交する第2の方向Yにより形成される平面内に収まるように、平板状に、かつ矩形形状に形成されている。伸縮基板2は、例えばエラストマー等の、伸縮性を備える絶縁体により形成されている。より具体的には、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、シリコーン、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、および、エチレンプロピレンゴムなどの各種合成ゴムなどが適用可能である。また、可視光線に対して少なくとも部分的に透明であることがより好ましく、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、シリコーン、および、ポリ塩化ビニルが例示できる。
伸縮表示装置1は、表示素子4と配線5を備えている。表示素子4と配線5は、伸縮基板2内に埋設されている。
【0023】
表示素子4は、LED、OLED、電子線や光によって励起される蛍光体を利用した素子等の発光素子、液晶素子やMEMSシャッターなどを利用した透過型光制御素子、並びに例えば電子ペーパーに用いられる各種の反射型光制御素子のいずれか若しくはこれらの組み合わせである。上記の中でも例えばLEDが発光素子として好適であり、本実施形態においては、発光素子はLEDである。LEDは、各々の画素に1以上の発光部を有している。LEDの寸法は特に限定されないが、発光面の一辺の長さは、精細度の点から上限は10mm以下であり、製造の容易さと出力の点から10μm以上であるのが望ましい。またLEDはパッケージ化されていてもよいが、されていなくても良く、反射材を備えていても良いが、備えていなくてもよい。表示素子4は、1つの発光素子に対し、複数のダイを備えることで多色化を実現していても良いし、1つの発光素子当たりのダイは1つであってもよい。表示素子の多色化を実現する方法として、複数種のダイを備えていてもよいし、単一色のダイに対して複数種の蛍光体と組み合わせてもよく、白色発光素子とカラーフィルターを組み合わせても良い。
表示素子4は、第1の方向Xと第2の方向Yの各々に沿って、各方向において略同等のピッチで、互いに間隔をあけて配列されている。
表示素子4は、1以上の、本実施形態においては例えば3個の、第1サブピクセル11、第2サブピクセル12、及び第3サブピクセル13を備えている。第1〜第3サブピクセル11、12、13は、それぞれ、例えば赤色、緑色、及び青色の各々に対応して発光するように形成されている。
【0024】
配線5は、一の方向に延びる軸線の周りに、螺旋状に巻回されて形成されている。配線5は、配線5の螺旋が軸線の周りを一周するときの軸線方向における長さ、すなわちピッチ長が一定となるように形成されている。これにより、配線5は、軸線方向に伸縮基板2が伸縮された際に、これに追従して伸縮する。
配線5の材料は、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、鉄、及びこれらの合金のいずれかであるが、導電性の高い物質であればこれに限られない。また、これらの物質の積層体でもよい。
【0025】
配線5は、第1配線5aと第2配線5bを備えている。第1配線5aは、第1の方向Xに延び、第1の方向Xに隣接する表示素子4間を接続するように設けられている。第2配線5bは、第2の方向Yに延び、第2の方向Yに隣接する表示素子4間を接続するように設けられている。第2の方向Yに隣接する表示素子4間には、表示素子4内のサブピクセル数に応じた数の、例えば本実施形態においては3本の、第2配線5bが接続して設けられている。
このように、第1配線5aと第2配線5bは、伸縮基板2内に格子状に設けられている。
【0026】
図2は、アクティブマトリクス方式の伸縮表示装置1として実現される第1の電子回路3の回路構成を示す説明図である。
図3(a)は、伸縮表示装置1がパッシブマトリクス方式である場合の表示素子4の平面図、
図3(b)は、表示素子4を第2の方向Yから、特に
図3(a)における紙面下方向から視た際の側面図、及び、
図3(c)は、表示素子4を第1の方向Xから、特に
図3(a)における紙面右方向から視た際の側面図である。
図4は、伸縮表示装置1がアクティブマトリクス方式である場合の表示素子4の構成を示す模式的な側面図である。
図3に示される表示素子4は、パッシブマトリクス方式の伸縮表示装置1において使用されるものであり、トランジスタを含まない構成となっている。この場合においては、第1配線5aは走査線に相当し、第2配線5bはデータ線に相当する。各配線5a、5bは、対応する電極16に接続され、電極16は各第1〜第3サブピクセル11、12、13に接続されている。
図4に示される表示素子4は、アクティブマトリクス方式の伸縮表示装置1において使用されるものであり、トランジスタ14を含む構成となっている。この場合においては、第1配線5aはゲート線に相当し、第2配線5bはソース線に相当する。
より詳細には、各表示素子4は、各第1〜第3サブピクセル11、12、13に対応したトランジスタ14を備えている。各トランジスタ14のソース4aには、対応する電極16を介し、第1〜第3サブピクセル11、12、13の各々に対応した第2配線5bが接続されている。各トランジスタ14のゲート4bには、第1配線5aが接続されている。各トランジスタ14のドレイン4cは、各第1〜第3サブピクセル11、12、13に接続されている。
なお、アクティブマトリクス方式において各第1〜第3サブピクセル11、12、13に接続されるコモン電極は、
図4においては省略している。
【0027】
本実施形態における伸縮表示装置1は、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式のいずれであっても構わない。これらのいずれの場合においても、第1配線5aを順次オンにし、このときの表示のレベルに対応した電圧が第2配線5bに供給されると、各第1〜第3サブピクセル11、12、13に当該電圧が伝達されることにより、伸縮表示装置1に画像が表示される。
【0028】
上記のような伸縮表示装置1は、伸縮基板2の外部に設けられた、ドライバIC等の第2の電子回路に接続される。この接続のために、伸縮表示装置1は、伸縮基板2上に、第1コネクタ20と第2コネクタ30を備えている。
図5は、第1コネクタ20の斜視図である。
図6(a)は
図5のB−B部分の断面図であり、
図6(b)は第1コネクタ20の側面図である。
図7は、第1コネクタ20のパッド支持部材21と、これに接続される相手側基板の斜視図である。
【0029】
第1コネクタ20は、パッド支持部材21を備えている。パッド支持部材21は、伸縮基板2よりも硬質な、樹脂などの材料で形成された、断面形状が略矩形状の、長尺の部材である。伸縮基板2を形成する樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラートなどを用いることができるが、これに限られない。第1コネクタ20のパッド支持部材21は、伸縮基板2の、第1の方向Xに延在する第1端辺(端辺)2bに沿って設けられている。
パッド支持部材21は、本体21bと、下側に設けられた脚部21cを備えている。パッド支持部材21は、脚部21cが伸縮基板2内に埋設されることで、伸縮基板2に固定されている。伸縮基板2内を第2の方向Yに延びる、第1〜第3サブピクセルの各々に対応する第2配線5bの各々は、
図6(a)に示されるように、この伸縮基板2に埋設された脚部21cからパッド支持部材21内を上方に向けて延伸し、本体21bの上面21aに、上方に露出するように設けられたパッド6に接続されている。
このように、パッド支持部材21には、第1の電子回路3の配線5に接続される複数のパッド6が設けられている。
【0030】
パッド支持部材21の本体21bは、第1の方向X、すなわち長さ方向に間隔をおいて複数の切り込み21dを備えている。複数の切り込み21dの各々は、パッド支持部材21の本体21bの下面21fから、パッド支持部材21の内部に、すなわち上方に向けて設けられている。各切り込み21dは、第2の方向Yから視たときに、第1の方向Xにおける離間した位置から、上方に向かうにつれて漸次この離間した距離が縮まるように設けられている。より詳細には、切り込み21dの上端である最奥部21gにおいて互いに接続する2つの傾斜面21eにより、本体21bが下側から三角形状に切り欠かれるように、切り込み21dは形成されている。
切り込み21dは、平面視したときに、第1の方向Xに略直交する方向に、すなわち第2の方向Yに沿って、延在して設けられている。
【0031】
このように複数の切り込み21dが第1の方向Xに間隔をあけて形成されることにより、パッド支持部材21は、隣り合う2つの切り込み21dの間の部分として構成された単位パッド支持部22が、第1の方向Xに複数連接するように構成されている。
上記のように、パッド支持部材21が伸縮基板2の第1端辺2bに沿って設けられた結果、複数の切り込み21dは、第1端辺2bの延在する方向に間隔をおいて設けられている。
【0032】
パッド支持部材21の脚部21cは、各単位パッド支持部22の本体21bの下側に、本体21bの下面21fが、本体21bとは逆方向すなわち下方の伸縮基板2に向けて突出するように、略直方体状に形成されて設けられている。
本実施形態においては、パッド支持部材21は、脚部21cが伸縮基板2内に埋設され、本体21bの下面21fよりも上側が伸縮基板2の上面2aより上方に位置づけられて伸縮基板2から露出するように設けられている。
【0033】
上記のように、隣り合う切り込み21dの間に形成された単位パッド支持部22の各々は、第2の方向Yにおいて、表示素子4の各々の列に対応するように、配列されて設けられている。すなわち、単位パッド支持部22の各々は、表示素子4の対応する列が設けられた、第1の方向Xにおける表示素子4の中心位置と、第1の方向Xにおける単位パッド支持部22の中心位置とが略同等となるように設けられている。このため、各単位パッド支持部22には、対応する列の表示素子4に接続された3本の第2配線5bが接続され、結果として各単位パッド支持部22の上面には3つのパッド6が設けられている。
また、単位パッド支持部22の、伸縮基板2に対向する、脚部21cの下面(対向表面)21hや、下面21hと同形状に形成されている本体21bの下面21fの、第1の方向Xにおける長さL1は、表示素子4の、第1の方向Xにおける長さL2に合致するように、単位パッド支持部22は形成されている。
【0034】
このように形成された単位パッド支持部22は、特にその対向表面21hが表示素子4に対応して位置するように、単位パッド支持部22は形成されている。より詳細には、表示素子4の第1の方向Xに延びる端辺4dと、下面21fまたは対向表面21hの第1の方向X方向に延びる端辺21iが、第1の方向Xにおいて略同等の位置となるように、単位パッド支持部22は設けられている。これにより、端辺4dと端辺21i、及びこれら端辺4dと端辺21iの各端点を第2の方向Yに結ぶ2つの辺により形成される領域Rが、略矩形状になるように、単位パッド支持部22は形成されている。
各単位パッド支持部22と表示素子4間に接続される、各第1〜第3サブピクセル11、12、13の各々に対応する3本の第2配線5bは、第2の方向Yに延在するように、かつ領域R内に位置するように設けられている。
【0035】
図8は、上記のような、表示素子4と、第1コネクタ20を構成する単位パッド支持部22との対応を示す平面図である。
図8に示されるように、第1の方向Xにおいて、複数の表示素子4は等間隔なピッチで整列して設けられている。これに伴い、単位パッド支持部22の脚部21cすなわち下面21f、対向表面21hも、等間隔なピッチで整列して設けられている。
このように表示素子4と単位パッド支持部22が配列されることにより、伸縮表示装置1は、表示素子4と単位パッド支持部22の脚部21cが第2の方向Y方向に整列して設けられた領域Sと、第2の方向Yのどの位置にも表示素子4や単位パッド支持部22の脚部21cが設けられていない領域Fが、第1の方向Xに交互に設けられている。
領域Sは、伸縮表示装置1が第1の方向Xに伸縮しようとしたときに、この伸縮に追従しにくい伸縮非追従領域Sである。これに対し、領域Fは、伸縮表示装置1の第1の方向Xの伸縮に容易に追従する、伸縮追従領域Fである。上記の、第2配線5bが設けられた領域Rは、伸縮非追従領域Sに設けられている。
【0036】
上記のようなパッド支持部材21に設けられたパッドに対し、図示されない第2の電子回路が接続されている。本実施形態の第1コネクタ20では、第2の電子回路においては、第1の電子回路3に接続される相手側パッドが、複数のパッド6の配置に対応するように、
図1、
図7等に示される相手側基板23の端辺23aに設けられている。これら各図においては、相手側パッドは相手側基板23の、パッド支持部材21の上面21aに対向する表面に設けられているため、図示されていない。
相手側基板23は、柔軟性を有する基板である。本実施形態においては、相手側基板23は、例えばフレキシブルプリント基板である。相手側基板23の端辺23aは、複数個分の単位パッド支持部22の長さに相当する長さを備えるように形成されており、複数の単位パッド支持部22に対して1つの相手側基板23が対応付けられて設けられている。したがって、全ての単位パッド支持部22に相手側基板23を対応付けるために、
図1に示されるように、複数の相手側基板23が設けられている。なお、
図1は模式的に描かれた平面図であり相手側基板23が伸縮基板2に対して比較的大きく描かれているが、実際には伸縮基板2に対して相手側基板23はより小さく形成され、数もより多く設けられる。
本実施形態においては、相手側基板23の端辺23aは、例えば3つの単位パッド支持部22の長さに相当するように形成されているが、これに限られず他の数に対応するように形成されていてもよい。
【0037】
相手側基板23は、その相手側パッドが設けられた表面がパッド支持部材21の上面21aと、及び各相手側パッドが対応して接続されるパッド6の各々と、それぞれ対向するように設けられて、パッド6と相手側パッドが接続されている。パッド6と相手側パッドは、異方性導電膜や異方性導電フィルム、はんだ等により接続される。
上記のように、相手側基板23の端辺23aは、複数個分の単位パッド支持部22の長さに相当する長さを備えるように形成されているため、相手側基板23は、複数の単位パッド支持部22を跨るように、パッド支持部材21に接合されている。このような、相手側基板23の、単位パッド支持部22を跨る部分、すなわちパッド支持部材21において複数の切り込み21dに対応する位置の各々には、端辺23aから相手側基板23の内部に向けた方向Iに間隔Gをおいて、複数の切り込み23dが設けられている。この複数の切り込み23dによって区画されるように、相手側基板23の端辺23a近傍には、単位パッド支持部22の各々に対応する、複数の先端枝部23fが形成されている。
相手側基板23に設けられた複数の切り込み23dの、方向Iにおいて相手側基板23の最も内部側の切り込み23dの端部は、円形に切り抜かれて切り抜き23eが形成されている。
【0038】
第2コネクタ30は、
図1に示されるように、伸縮基板2の、第2の方向Yに延在する第2端辺(端辺)2cに沿って設けられている。第2コネクタ30も、第1コネクタ20と略同等な構成となっている。すなわち、第2コネクタ30においても、パッド支持部材は第2端辺2cに沿って設けられ、単位パッド支持部の各々は、第1の方向Xにおいて、複数の表示素子4の各々に対応して位置づけられる。このように、第1コネクタ20に関する説明において、第1の方向Xと第2の方向Yを入れ替えたものがほぼ第2コネクタ30の説明となるため、詳細な説明を割愛する。
第2コネクタ30の第1コネクタ20との相違は、各単位パッド支持部に設けられるパッドの数が1であることである。これは、各表示素子4に対して第1の方向X方向に延在して設けられるのは第1配線5aであり、表示素子4の各行に対して第1配線5aが設けられる数は1本であることに起因する。
【0039】
次に、
図1〜
図8、及び
図9を用いて、上記の伸縮基板2上に設けられるコネクタ20、30、及び伸縮表示装置1の作用を説明する。
図9は、伸縮表示装置1が伸長した状態における第1コネクタ20の平面図である。
伸縮基板2が第1の方向Xに伸長し、その伸長力Pがパッド支持部材21に作用した場合には、パッド支持部材21が、第1の方向Xにおいて最も脆弱な部分である複数の切り込み21dの各々において切断されて複数の単位パッド支持部22に分離し、単位パッド支持部22間が離間し、伸縮基板2の伸長に追従することによって、この伸長力Pが吸収される。
伸縮基板2上のパッド支持部材21が複数の切り込み21dの各々において分離することで、相手側基板23の、相手側パッドが設けられた端辺23aにも、端辺23aの延在する方向Xに伸長力Pが作用する。
相手側基板23の端辺23aに伸長力Pが作用し、相手側基板23の、これら複数の切り込み23dを挟んだ2つの先端枝部23fに、互いに離れる方向へ向かう力が作用すると、複数の切り込み23dの各々の間に位置する部分が、複数の切り込み23dが互いに連続するように裂けて、2つの先端枝部23fが互いに離間する。
このように2つの先端枝部23fが互いに離間したとしても、この開裂の、相手側基板23の更なる内部への進行は、切り抜き23eにより抑止される。
【0040】
次に、上記の伸縮基板2上に設けられるコネクタ20、30、及び伸縮表示装置1の効果について説明する。
【0041】
本実施形態の第1及び第2のコネクタ20、30は、伸縮性を有する伸縮基板2上に実現された第1の電子回路3を、伸縮基板2の外部に設けられた第2の電子回路に接続するために、伸縮基板2上に設けられるものであって、第1の電子回路3の配線5に接続される複数のパッド6が設けられた、パッド支持部材21を備え、パッド支持部材21は、第1の方向Xに間隔をおいて複数の切り込み21dを備え、複数の単位パッド支持部22が複数の切り込み21dの各々を境に連接するように構成されている。
上記のような構成によれば、伸縮基板2上に実現された第1の電子回路3の複数のパッド6は、パッド支持部材21上に設けられているため、第1の電子回路3を、コネクタ20、30を介して第2の電子回路に接続する際には、パッド6間の相対位置は変動しない。したがって、第2の電子回路に設けられた相手側パッドとの位置合わせが容易である。
また、パッド支持部材21は、第1の方向Xに間隔をおいて複数の切り込み21dを備え、複数の単位パッド支持部21が複数の切り込み21dの各々を境に連接するように構成されている。すなわち、パッド支持部材21には、複数の切り込み21dにより、脆弱な部分が複数の位置に形成されている。このため、伸縮基板2が第1の方向Xに伸長し、その伸長力Pがパッド支持部材21に作用した場合には、パッド支持部材21が複数の切り込み21dの各々において切断されて複数の単位パッド支持部22に分離し、単位パッド支持部22間が離間し、伸縮基板2の伸長に追従することによって、この伸長力Pが吸収される。
伸縮基板2が伸長した状態から収縮する場合には、分離して離間した単位パッド支持部22間の距離が短縮することで、この収縮は吸収される。
このように、伸縮基板2の伸縮に追従可能で、パッド6の精密な位置合わせが可能な、伸縮基板2上に設けられるコネクタ20、30を実現可能である。
【0042】
また、パッド支持部材21は、伸縮基板2の端辺2b、2cに沿って設けられ、複数の切り込み21dは、端辺2b、2cの延在する方向X、Yに間隔をおいて設けられている。
上記のような構成によれば、伸縮基板2の端辺2b、2cに沿ってパッド支持部材21を設けた場合においては、パッド支持部材21が伸長される方向は概ね、端辺2b、2cの延在方向となり、この方向が、複数の切り込み21dが間隔をおいて設けられた方向と一致している。このため、効果的に、伸縮基板2の伸縮に追従可能である。
【0043】
また、第2の電子回路においては、第1の電子回路3に接続される相手側パッドが、複数のパッド6の配置に対応するように柔軟性を有する相手側基板23の端辺23aに設けられ、相手側基板23には、複数の切り込み21dに対応する位置の各々に、端辺23aから相手側基板23の内部に向けた方向Iに間隔Gをおいて複数の切り込み23dが設けられている。
上記のような構成によれば、伸縮基板2に生じた伸長力Pは、パッド支持部材21を介して、パッド支持部材21に接続された相手側基板23へと更に作用する。すなわち、伸縮基板2が伸長し、伸縮基板2上のパッド支持部材21が複数の切り込み21dの各々において分離することで、相手側基板23の、相手側パッドが設けられた端辺23aにも、端辺23aの延在する方向に伸長力Pが作用する。
ここで、パッド支持部材21の切り込み21dに対応する位置に、相手側基板23の端辺23aから内部に向けた方向Iに間隔Gをおいて複数の切り込み23dが設けられている。このため、相手側基板23の端辺23aに伸長力Pが作用し、柔軟性を有する相手側基板23の、これら複数の切り込み23dを挟んだ双方の側23fに、互いに離れる方向へ向かう力が作用すると、複数の切り込み23dの各々の間に位置する部分が、複数の切り込み23dが互いに連続するように裂けて、相手側基板23が、連続した切り込み23dを挟んだ複数の部分23fへと開裂する。
これにより、パッド支持部材21に接続される、第2の電子回路の相手側パッドが設けられた相手側基板23が、伸縮基板2の伸縮に追従可能である。
【0044】
また、相手側基板23に設けられた複数の切り込み23dの、相手側基板23の最も内部側の切り込み23dの端部には、切り抜きが設けられている。
上記のような構成によれば、相手側基板23が、連続した切り込み23dを挟んだ複数の部分23fへと開裂したとしても、この開裂の更なる内部への進行は、相手側基板23の最も内部側の切り込み23dの端部に設けられた切り抜き23eにより抑止される。したがって、相手側基板23が必要以上に深く開裂することを抑制可能である。
【0045】
また、パッド支持部材21は伸縮基板2よりも硬質な材料で形成されている。
上記のような構成によれば、上記のようなコネクタ20、30を好適に実現可能である。
【0046】
また、パッド支持部材21は、単位パッド支持部22の各々に、伸縮基板2に向けて突出する脚部21cを備え、脚部21cは伸縮基板2に埋設されている。
上記のような構成によれば、パッド支持部材22を伸縮基板2に強固に固定可能である。
特に本実施形態においては、単位パッド支持部22に脚部21cを設けることで、長さ方向における単位パッド支持部22の長さと独立して、脚部21cの長さ、すなわち単位パッド支持部22に接合される部分の長さを決定可能である。このため、パッド支持部材21が設けられた部分における、伸縮基板2の伸縮非追従領域Sと伸縮追従領域Fの区分け、設計を容易に行うことができる。
【0047】
また、本実施形態の伸縮表示装置1は、伸縮基板2上に設けられる第1のコネクタ20を備えた伸縮性を有する伸縮表示装置1であって、第1の電子回路3は、少なくとも第1の方向Xに沿って間隔をあけて配列された複数の表示素子4を備え、単位パッド支持部22の各々は、第1の方向Xに直交する第2の方向Yにおいて、複数の表示素子4の各々に対応して配列されている。
伸縮基板2上に複数の表示素子4が設けられた伸縮表示装置1においては、伸縮基板2が伸長した際に、表示素子4や単位パッド支持部22が接合された部分の近傍は伸長しにくく、表示素子4や単位パッド支持部22の間の部分が伸長する。
ここで、上記のような構成によれば、複数の単位パッド支持部22が、第1の方向Xに直交する第2の方向Yにおいて、表示素子4に対応するように配列されている。すなわち、伸縮基板2が第1の方向Xに伸長した際に表示素子4が設けられた伸長しない部分と、単位パッド支持部22が、対応して設けられている。このため、伸縮基板2が第1の方向Xに伸長して、
図8に示されるような、ある表示素子4Aと隣接する表示素子4Bの間の特定の部分F1が伸長した際には、これに対応する単位パッド支持部22Aと隣接する単位パッド支持部22Bの間の、上記特定の部分F1に対応する部分F2が、上記伸長に対応して伸長しやすい構造となっている。このように、伸縮基板2に第1の方向Xに伸長力が作用した際に、第1の方向Xに直交する第2の方向Yで伸長しやすい構造の領域Fが対応付けられて設けられているため、伸縮基板2が第1の方向Xに伸縮した際の局所的な応力集中を抑制し、伸縮基板2を略均等に伸縮させることが可能となる。
【0048】
また、単位パッド支持部22の、伸縮基板2に対向する対向表面21hの、第1の方向Xにおける長さL1は、表示素子4の、第1の方向Xにおける長さL2に合致し、対向表面21hが表示素子4の各々に対応して位置するように、単位パッド支持部22は形成されている。
上記のような構成によれば、伸縮基板2が第1の方向Xに伸長した際に、パッド支持部材21が設けられた領域においては、伸縮基板2に対向した表面が伸縮基板2に接合されるため、この対向表面21hの部分は、第1の方向Xに伸長しにくく、したがって、隣接する単位パッド支持部22の対向表面21hの間に位置する部分が伸長する。ここで、第1の方向Xにおける対向表面21hの長さL1は、表示素子4の第1の方向Xにおける長さL2に合致しているため、表示素子4が配列して設けられた領域とパッド支持部材22が設けられた領域の各々における、伸長しやすい部分Fと伸長しにくい部分Sとの比率が同等となり、これらが互いに対応付けられて設けられている。したがって、伸縮基板2が第1の方向Xに伸縮した際の局所的な応力集中を、より効果的に抑制し、伸縮基板2を略均等に伸縮させることが可能となる。
【0049】
また、第1の方向Xにおいて、複数の表示素子4は等間隔なピッチで整列して設けられ、これに伴い単位パッド支持部22の対向表面21hも等間隔なピッチで整列して設けられている。
上記のような構成によれば、伸縮基板2が伸縮した際の局所的な応力集中を、より効果的に抑制し、伸縮基板2を略均等に伸縮させることが可能となる。
【0050】
また、複数の表示素子4の各々は、1以上のサブピクセル11、12、13を備え、1以上のサブピクセル11、12、13の各々に対応する、伸縮性を有する配線5bが、複数の表示素子4の各々と、対応する単位パッド支持部22の間に、第2の方向Yに延在して設けられている。
上記のような構成によれば、1以上のサブピクセル11、12、13の各々に対応する、伸縮性を有する配線5bが、表示素子4と、これに対応する単位パッド支持部22の間に、第2の方向Yに延在して設けられている。この、配線5bが設けられた部分Rは、伸縮基板2が第1の方向Xに延在した際において伸縮しにくい部分である、第2の方向Yにおいて表示素子4とこれに対応する単位パッド支持部22の間に挟まれた領域Sである。このため、配線5bには、伸縮基板2の第1の方向Xの伸縮により生じる応力が作用されにくく、したがって、伸縮基板2の伸縮による配線5bへの影響を低減可能である。
【0051】
また、伸縮表示装置1は、第2のコネクタ30を更に備え、複数の表示素子4は、第2の方向Yに沿っても間隔をあけて配列されており、第2のコネクタ30の単位パッド支持部の各々は、第1の方向Xにおいて、複数の表示素子4の各々に対応して位置づけられている。
上記のような構成によれば、第1の方向Xと第2の方向Yから形成される平面内において、伸縮基板2の伸縮に追従可能で、パッド6の精密な位置合わせが可能な、伸縮表示装置1を実現可能である。
【0052】
なお、本発明の伸縮基板2上に設けられるコネクタ20、30、及び伸縮表示装置1は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
【0053】
例えば、上記実施形態において、パッド支持部材21は脚部21cを備え、脚部21cが伸縮基板2に埋設されることで、パッド支持部材21は伸縮基板2に固定されていたが、これに限られない。
例えば、
図10(a)に示されるコネクタ40においては、パッド支持部材41が脚部を備えておらず、下面41fが、伸縮基板2に対向する対向表面として、伸縮基板2の上面2aに当接されて接着されている。このような構成においても、コネクタ40を好適に実現可能である。
また、
図10(b)に示されるコネクタ50においては、パッド支持部材41の複数の切り込み41dの切り込みの各々が、伸縮基板2に対向する下面41f側からパッド支持部材41の内部に向けて形成され、パッド支持部材41は、複数の切り込み41dの各々に、伸縮基板2を形成する材料が密に充填されている。このような構成によれば、パッド支持部材41を伸縮基板2に密着させて、強固に固定可能である。
更に、
図10(c)に示されるコネクタ60においては、本図及び
図10(c)のC−C部分断面図である
図10(d)に示されるように、パッド支持部材41と、これに接合される相手側基板23の端辺23a近傍が、伸縮基板2内に埋設されている。相手側基板23は、伸縮基板2の端辺2b、2cから外部へ引き出されるように設けられている。このようなコネクタ60は、パッド支持部材41と相手側基板23を接合した後に、コネクタ60全体に伸縮基板2を被覆して埋設するように製造され得る。このような構成によれば、パッド支持部材41全体を伸縮基板2に密着させて、強固に固定可能である。
【0054】
また、上記実施形態においては、伸縮基板2の第1端辺2b、第2端辺2cの各々に、複数の相手側基板23が、これら第1端辺2b、第2端辺2cの全長にわたって設けられていたが、このような構成に限られない。
例えば、
図11(a)に示されるコネクタ70においては、第1端辺2b、第2端辺2cと略同一長の端辺73a、74aを備えた相手側基板73、74が、第1端辺2b、第2端辺2cの各々に設けられている。
また、
図11(b)に示されるコネクタ80においては、伸縮基板2の第1端辺2b、第2端辺2cの一部にパッドが集中している場合であり、これに対応して、相手側基板83が、伸縮基板2の第1端辺2b、第2端辺2cの一部にのみ設けられている。
これら相手側基板73、74、83の各々には、適切に切り込み73d、74d、83dが設けられている。
【0055】
また、上記実施形態においては、パッド支持部材21の切り込み21dは、パッド支持部材21の下面21fから、パッド支持部材21の内部に向けて設けられていたが、これに限られない。例えば
図12(a)に示されるコネクタ90のパッド支持部材91のように、切り込み91dは、パッド支持部材91の上面91aから下方すなわち伸縮基板2に向けて設けられていてもよい。このような場合においても、
図12(b)に示されるように、相手側基板23は上記実施形態と同様に、パッド支持部材91の上面91aに接合される。
伸縮基板2に、端辺2bの方向の伸長力Pが作用した際には、コネクタ90は、
図12(c)に示されるように、上記実施形態度同様に作用する。すなわち、パッド支持部材91は切り込み91dにおいて切断されて複数の単位パッド支持部92に分離するとともに、相手側基板23の複数の切り込み23dが互いに連続するように裂けて、複数の先端枝部23fが互いに離間する。
【0056】
また、上記実施形態においては、各単位パッド支持部22は、表示素子4に対応して設けられ、伸縮基板2の第1端辺2bに沿って設けられたパッド支持部材21の単位パッド支持部22においては3本の第2配線5bが、及び第2端辺2cに沿って設けられたパッド支持部材21の単位パッド支持部22においては1本の第1配線5aが、各単位パッド支持部22に接続されていたが、このような構成に限られない。
例えば、第1端辺2bに沿って設けられたパッド支持部材21の単位パッド支持部22に接続される第2配線5bの数は、表示素子4のサブピクセル数に応じて変更され得る。すなわち、例えば表示素子4が単色を表現する、サブピクセルを1つのみ有する構成である場合には、単位パッド支持部22に接続される第2配線5bの数は1となる。あるいは、例えば表示素子4が赤色、緑色、青色、及び白色の各々に対応して発光するように形成された、4つのサブピクセルを有する構成である場合には、単位パッド支持部22に接続される第2配線5bの数は4となり得る。
【0057】
また、上記実施形態においては、例えば第1及び第2の方向X、Yに並んだ表示素子4の各行及び各列に対し、単位パッド支持部22を1対1に対応して設けることで、伸縮基板2の伸縮による配線5a、5bへの影響を低減していた。
しかし、例えば伸縮基板の角部等のような、伸縮時の伸縮度合いが高くない部分においては、伸縮基板の伸縮による配線への影響は、伸縮時の伸縮度合いが高い中央近傍よりも低いと考えられる。あるいは、伸縮基板の伸縮による配線への影響を低減するよりも、配線を微細化し1つの単位パッド支持部により多くの配線を接続することをより重要視するような設計判断が行われることもある。
例えばこれらのような場合においては、伸縮基板の全面にわたり、あるいは部分的に、複数の表示素子の行または列に1つの単位パッド支持部を対応付け、複数の表示素子に関する配線が、1つの単位パッド支持部に接続されるように構成されてもよい。例えば上記実施形態のような、表示素子4が3つのサブピクセルを有するような場合においては、第1端辺2bに沿って設けられたパッド支持部材21の単位パッド支持部22に、2つの表示素子4に対応する6本の第2配線5bが接合され得る。
【0058】
また、上記実施形態においては、相手側基板23に設けられた切り抜き23eの形状は円形であったが、伸長力が作用して相手側基板23が開裂した際に相手側基板23の開裂が抑制される形状であれば、楕円形や多角形等の他の形状であっても構わない。
【0059】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0060】
次に、他の第1及び第2の形態について説明する。
(他の第1の形態)
図13の各図は、本形態におけるコネクタ100の説明図である。コネクタ100は、パッド支持部材101を備えている。
図13(a)に示されるように、パッド支持部材101は、長尺の枠体として形成されており、第1の電子回路3が形成された伸縮基板2の端辺2bに沿って設けられている。パッド支持部材101の枠体の内部には、伸縮基板2と同じ材質の支持部材内伸縮部102が設けられている。支持部材内伸縮部102は、伸縮基板2と接触し、または一体となるように形成されている。伸縮基板2内に設けられた配線5は、パッド支持部材101の内部へと導かれて、支持部材内伸縮部102の上面102aに設けられたパッド6に接続されている。
【0061】
後に説明に用いる
図13(c)に示されるように、パッド支持部材101は、複数の単位パッド支持部103により形成されている。より詳細には、パッド支持部材101は、複数の単位パッド支持部103が長さ方向に、単位パッド支持部103の端辺である接合部101aにおいて連結されて形成されている。互いに対向する単位パッド支持部103の、一方の端部には突部103aが、及び他方の端部には凹部103bが形成されている。これら突部103aが凹部103bに挿入されて嵌合することにより、複数の単位パッド支持部103は互いに接続されている。
各単位パッド支持部103の、伸縮基板2とは反対側、すなわち
図13における上側には、凹部101bが設けられている。
【0062】
本形態においては、第1の電子回路3に接続される第2の電子回路側においても、配線121が伸縮部材120に埋設されて設けられて、伸縮自在な構造となっている。コネクタ100は、第2の電子回路側に、相手側パッド支持部材111を備えている。相手側パッド支持部材111は、パッド支持部材101と略同等の形状の枠体の一方が
図13(b)に示されるように平板111cにより塞がれたような、内側に凹部が形成された直方体形状を成している。相手側パッド支持部材111の内部には、伸縮基板2と同じ材質の支持部材内伸縮部112が設けられている。相手側パッド支持部材111は、平板111cの外側に第2の電子回路が接続されるように設けられている。第2の電子回路の配線121は、平板111cと、及び相手側パッド支持部材111内に設けられた支持部材内伸縮部112を貫通して、支持部材内伸縮部112の平板111cとは反対側の表面に設けられた相手側パッド122に接続されている。
【0063】
相手側パッド支持部材111も、パッド支持部材101と同様に、複数の単位パッド支持部113により形成されている。より詳細には、相手側パッド支持部材111は、複数の単位パッド支持部113が長さ方向に、単位パッド支持部113の端辺である接合部111aにおいて連結されて形成されている。互いに対向する単位パッド支持部113の、一方の端部には突部113aが、及び他方の端部には凹部113bが形成されている。これら突部113aが凹部113bに挿入されて嵌合することにより、複数の単位パッド支持部113は互いに接続されている。
各単位パッド支持部113の、伸縮部材120とは反対側、すなわち
図13における下側には、突部111bが設けられている。
【0064】
上記のような相手側パッド支持部材111は、
図13(b)に示されるように、相手側パッド122が対応するパッド6に対向するように位置づけられたうえで、相手側パッド122がパッド6に接続され、かつ相手側パッド支持部材111の突部111bがパッド支持部材101の凹部101bに挿入されて嵌合することにより、互いに接続される。相手側パッド122とパッド6は、はんだにより接合するのが望ましい。
【0065】
上記のように構成されたコネクタ100は、
図13(c)のように伸縮基板2に、コネクタ100の長さ方向に伸長する力Pが作用すると、パッド支持部材101及び相手側パッド支持部材111の各接合部101a、111aにおいて、パッド支持部材101と相手側パッド支持部材111がそれぞれ複数の単位パッド支持部103と単位パッド支持部113に分離することで、伸縮基板2の変形に追従する。
このとき、パッド支持部材101と相手側パッド支持部材111の内部に設けられた支持部材内伸縮部102、112も伸長するが、これら支持部材内伸縮部102、112は伸長により断面積が小さくなるため表面がパッド支持部材101、相手側パッド支持部材111の内側表面から離間する。これにより、支持部材内伸縮部102、112が単位パッド支持部103、単位パッド支持部113の方向Xにおける移動に干渉せず、コネクタ100が効果的に伸縮基板2の変形に追従可能である。
【0066】
このように、本形態のコネクタ100は、伸縮性を有する伸縮基板2上に実現された第1の電子回路3を、伸縮基板2の外部に設けられた第2の電子回路に接続するために、伸縮基板2上に設けられるものであって、第1の電子回路3の配線5に接続される複数のパッド6が設けられた、パッド支持部材101を備え、パッド支持部材101は複数の単位パッド支持部103を備え、複数の単位パッド支持部103が第1の方向Xに、互いに離接自在に設けられて形成されている。
上記のような構成によれば、伸縮基板2の伸縮に追従可能で、パッド6の精密な位置合わせが可能な、伸縮基板2上に設けられるコネクタ100を実現可能である。
【0067】
(他の第2の形態)
図14の各図は、本形態におけるコネクタ200及びその製造方法の説明図である。
図14(c)の下側に示されるように、コネクタ200は、伸縮基板2と同じ材質の第1伸縮部204と第2伸縮部214を備えている。第1伸縮部204と第2伸縮部214は、長尺の直方体状に形成されている。第1伸縮部204は、伸縮基板2の第1端辺2bに沿って、伸縮基板2と接触し、または一体となるように形成されている。伸縮基板2内に設けられた配線5は、第1伸縮部204を貫通して、
図14(a)に示される第1伸縮部204の上面204aに設けられたパッド6に接続されている。
【0068】
パッド6には、はんだ等により第2の電子回路を構成する相手側パッド222が接合されている。相手側パッド222には、第2の電子回路を構成する配線221が接続されている。第2伸縮部214は、これら第2の電子回路の相手側パッド222と、配線221の相手側パッド222近傍を覆うように、第1伸縮部204の上面204aに接触して設けられている。配線221は、厚さ方向Zに第2伸縮部214を貫通し、第2伸縮部214の上面214aから突出するように設けられている。配線221の第2伸縮部214から突出した部分は、伸縮基板2と同じ材質の伸縮部材220内に埋設されている。
【0069】
上記のような伸縮部材220は、次のように製造される。
まず、
図14(a)の下側に示されるように、第1の電子回路3が実現された伸縮基板2の端辺2bに沿って、枠状の第1枠体201を設け、適切な位置にパッド6及びこれに接続される配線5を位置づけたうえで、第1枠体201内に第1伸縮部204を形成する。第1枠体201は、内側の形状が、第1伸縮部204の外形形状と略一致するように形成されている。第1枠体201は、伸縮基板2を構成する平面内で端辺2bに直交する方向Yに延在する側面において、伸縮基板2の厚さ方向Zに延在する線201bを境界として、方向Yに互いに離間して第1部材202と第2部材203に分割可能となるように構成されている。
【0070】
次に、
図14(a)の上側に示されるように、接続対象となる第2の電子回路側の配線221を伸縮部材220に埋設させ、その先端のみを伸縮部材220から突出させて相手側パッド222を接続する。そして、配線221の先端近傍と相手側パッド222を囲うように第2枠体211を設け、第2枠体211内に第2伸縮部214を形成する。第2枠体211は、内側の形状が、第2伸縮部214の外形形状と略一致するように形成されている。第2枠体211は、第1枠体201に対応する形状に形成されており、第1枠体201の線201bと対応する部分211bにおいて、伸縮部材220を挟んで互いに反対側に離間して第1部材212と第2部材213に分割可能となるように構成されている。
【0071】
そして、相手側パッド222が対応するパッド6に対向するように位置づけられたうえで、
図14(b)に示されるように、相手側パッド222がパッド6に接続される。相手側パッド222とパッド6は、はんだにより接合するのが望ましい。
相手側パッド222とパッド6の接続が終わると、
図14(c)に示されるように、第1枠体201と第2枠体211の各々が、第1部材202と第2部材203、及び第1部材212と第2部材213に分割されて、第1伸縮部204、第2伸縮部214の各々から外される。
【0072】
このように、本形態の電子部品の製造方法は、伸縮性を有する伸縮基板2上に実現された第1の電子回路3が、伸縮基板2上に設けられるコネクタ200を介して、伸縮基板2の外部に設けられた第2の電子回路に接続された、伸縮性を有する電子部品の製造方法であって、第1の電子回路3の配線5に接続される複数のパッド6の周囲を第1枠体201で囲い、第1枠体201の内側に伸縮性を有する部材を充填し、第2の電子回路の配線221に接続される複数の相手側パッド222の周囲を第2枠体211で囲い、第2枠体211の内側に伸縮性を有する部材を充填し、複数のパッド6の各々に、対応する複数の相手側パッド222を接続し、第1枠体201と第2枠体211を外すことを含む。
上記のような構成によれば、伸縮基板2の伸縮に追従可能な、伸縮基板2上に設けられるコネクタ200を備えた電子部品を、パッド6の位置合わせを精密に行いながら製造可能である。
【解決手段】伸縮性を有する伸縮基板2上に実現された第1の電子回路3を、前記伸縮基板2の外部に設けられた第2の電子回路に接続するために、前記伸縮基板2上に設けられるコネクタ20であって、前記第1の電子回路3の配線5bに接続される複数のパッド6が設けられた、パッド支持部材21を備え、当該パッド支持部材21は、第1の方向Xに間隔をおいて複数の切り込み21dを備え、複数の単位パッド支持部22が前記複数の切り込み21dの各々を境に連接するように構成されている、伸縮基板2上に設けられるコネクタ20を提供する。