(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
発明の目的は、駆動表面の下に静的に配置されている複数の電磁アクチュエータを有する輸送装置であって、設計が柔軟であり、多数の異なる要求に適合され得る輸送装置を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1,11,13,14,15の特徴を備えた、複数の輸送装置ユニットを使用して組み立てられる輸送装置のための輸送装置ユニット、輸送装置、輸送装置を少なくとも部分的に分解するためのシステム、実験用試料分配システム、及びラボラトリーオートメーションシステムによって解決される。好ましい実施形態が従属請求項に定義される。
【0006】
第1態様によれば、複数の輸送装置ユニットを使用して組み立てられる輸送装置のための輸送装置ユニットが提供され、輸送装置ユニットは、輸送装置ユニットを支持フレームに固定するためのベースプレートを備えたベースプレートモジュールと、複数の電磁アクチュエータを備えたアクチュエータモジュールであって、ベースプレートモジュールによって支持されるアクチュエータモジュールと、駆動表面要素を備えた駆動表面モジュールであって、駆動表面要素がアクチュエータを覆ってアクチュエータモジュールの上方に配置されて試料容器キャリアを運ぶように構成される、駆動表面モジュールと、を有する。
ベースプレートモジュール及びアクチュエータモジュールは、協働するオス結合要素とメス結合要素を備え、特に、オス結合要素及びメス結合要素は、ベースプレートモジュール及びアクチュエータモジュールの正しい整列を保証するために回転対称を有さない形状を取り、且つ/又は回転対称を有さない機械コーディングで配置される。適切な固定システムが当業者によって選択され得る。
【0007】
各ユニットは、独立であり且つ完全に機能的な要素である。それゆえ、輸送装置は、任意の形態に構成される任意の数のユニットを使用して組み立てられ得る。
駆動表面モジュールは、試料容器キャリアを運ぶように構成される駆動表面要素を有する。一実施形態では、試料容器キャリアは、駆動表面要素、又は隣接する輸送装置ユニットの駆動表面要素からつなぎ合わされた駆動表面を横切る運動のためのローラを備える。特定の実施形態では、試料容器キャリアは、駆動表面要素を摺動して横切って動かされる
。この目的のため、駆動表面要素は、低滑り摩擦係数を有する材料から成るか、これで覆われ、特に高耐摩耗性を有する試料容器キャリアの摺動表面に使用される材料と組み合わされる。ユニットのモジュールは、必要に応じて個々の取り付け及び/又は個々の交換を許容するように互いに着脱可能に結合される。輸送装置の組み立てのため、まず、基本的な枠組みが、ベースプレートモジュールを支持フレームに固定することによって提供され得る。ベースプレートモジュールを支持フレームに固定するとき、ベースプレートは高さが位置合わせされる。各ユニットのサイズは、好ましくは、組立中の取り扱いに一人の人間で十分であるように選択される。一実施形態では、異なるサイズ及び異なる基本形状のユニットが提供され、輸送装置に組み立てられる。
【0008】
特定の実施形態では、輸送装置ユニットはモザイク式の基本形状、特に規則的な多角形の基本形状を有する。それゆえ、同一のデザインの任意の数の輸送装置ユニットが輸送装置に組み立てられ得る。
一実施形態では、輸送装置ユニット及びそのモジュールは、少なくとも3つの辺と少なくとも3つの角を備えた規則的で基本的な多角形状を有し、オス結合要素又はメス結合要素が、ベースプレートモジュールとアクチュエータモジュールの各辺にそれぞれ設けられる。一実施形態では、全ての結合要素の形状が異なる。代替的又は追加として、異なる辺に設けられる結合要素は、関連する辺に対して位置が異なる。
【0009】
一実施形態では、駆動表面モジュールは、ベースプレートモジュールに着脱可能に取り付けられる。駆動表面モジュールを着脱可能に取り付けるとき、例えば不調又は欠陥のアクチュエータを交換するために、アクチュエータモジュールへのアクセスを許容するために駆動表面モジュールは除去され得る。駆動表面モジュールをアクチュエータモジュールではなくベースプレートモジュールに取り付けるとき、駆動表面モジュールは、より正確に位置決めされ得る。一実施形態では、駆動表面モジュールは、駆動表面要素の底部側に配置されたセンサボードを有する。センサボードは、駆動表面要素の上部側を横切って移動する試料容器キャリアの存在又は位置を検知するための装置の少なくとも一部を形成する。一実施形態では、駆動表面要素は赤外(IR)光を透過し、センサボードは、グリッド状に配置される複数のIRベース反射光バリアを備えることができ、試料容器キャリアは、光バリアによって放出されるIR放射を反射するように構成され得る。駆動表面モジュールをベースプレートモジュールに取り付けるとき、ベースプレートモジュールとの関連で駆動表面モジュールの正確な位置決めが達成される。アクチュエータモジュールとベースプレートモジュールとの間のずれは、許容できる誤差内である。それゆえ、アクチュエータモジュールをベースプレートモジュールに取り付けるための技術的要件は、駆動表面モジュールを取り付けるためのものよりも制限が小さい。
【0010】
ベースプレートモジュールは、輸送装置ユニットを支持フレームに固定するために使用される。この目的のため、一実施形態では、ベースプレートモジュールのベースプレートは、輸送装置ユニットを支持フレームの支持バーにスロットナットにより取り付けるために、スロットナットが通過されることを許容するように構成された少なくとも一つの開口を有する。開口は、ベースプレートモジュールを支持バーに配置した後、支持バーの溝にスロットナットを挿入することを許容する。一実施形態では、ひし形スロットナットのためのひし形開口が提供される。輸送装置ユニットを支持バー及び/又は異なる方向に延びる支持バーに一以上の方向で取り付けることができるようにするため、一実施形態では、90°の角度で配置された少なくとも二つの開口が提供される。
【0011】
アクチュエータモジュールの電磁アクチュエータは、磁力を使用して、駆動表面の上部の試料容器キャリアを少なくとも二つの異なる方向に移動させるように構成される。電磁アクチュエータを駆動することにより駆動表面の上部の容器キャリアの移動を制御するように構成される、制御装置を提供することがよく知られている。輸送装置ユニットを制御装置に接続し、アクチュエータモジュールを制御装置に通信させるために、配線盤が各輸送装置ユニットに設けられる。
【0012】
一実施形態では、配線盤はベースプレートに取り付けられ、特定の実施形態では、配線盤は、アクチュエータモジュールのアクチュエータモジュール配線盤と電気的及び機械的
に結合するためのボード・ツー・ボードコネクタを有する。配線盤をベースプレートに取り付けるとき、輸送装置の配線は、アクチュエータモジュールに取り付ける前に完成され得る。輸送装置の組み立てのこの段階では、ベースプレートモジュールに設けられる配線盤は、アクセスが容易である。配線板とアクチュエータモジュール配線盤との間の配線を避けるために、ボード・ツー・ボードコネクタが提供される。
【0013】
特定の実施形態では、配線盤とアクチュエータモジュール配線盤が、ボード・ツー・ボードコネクタと、アクチュエータモジュール配線盤から突出するコンタクトピンとの正しい整列を保証するために、協働するセンタリング要素を備える。この場合、固め過ぎの機械システムを避けるために、配線盤はベースプレートにフロートマウントされる。それゆえ、配線盤はベースプレートに対して制限内で移動可能であり、したがって、アクチュエータモジュールをベースプレートモジュールに取り付けるときアクチュエータモジュールの位置に固定配置されるアクチュエータ配線盤に配線盤を整列させるために配線盤が移動され得る。
【0014】
特定の実施形態では、ユニットは、冷却のためのファンを有する。この場合、一実施形態では、ベースプレートは、ファンを収容するための凹部を備え、少なくとも一つのフィルタ要素が凹部を取り囲む壁の内側に着脱可能に取り付けられる。一実施形態において、ファンは、ベースプレートモジュールに取り付けられる。他の実施形態では、ファンは、アクチュエータモジュールの底部に取り付けられ、アクチュエータモジュールをベースプレートモジュールに取り付けるときに凹部内に配置される。
【0015】
商業的に利用可能なファンは、基本的な円形を有する。特定の実施形態では、ファンを収容するための凹部が、長方形を有し、より詳細には、基本的な正方形を有する。この場合、一実施形態では、4つの分離したフィルタ要素が、凹部を取り囲む壁の内側に着脱可能に取り付けられる。一実施形態では、フィルタ要素は、着脱可能な接続のためにネジ又は同様の要素を使用して取り付けられる。代替的に、フィルタ要素の素早く容易な取り付け又は取り外しを許容するように、スナップフィット要素が提供される。この場合、一実施形態では、スナップフィット要素は、その再使用を避けるためにフィルタ要素の取り外しの際に破壊される。他の実施形態では、フィルタ要素は、スナップフィット要素を破壊せずに取り外し可能である。
【0016】
一実施形態では、アクチュエータモジュールは、底部表面から突出し且つアクチュエータモジュールをベースプレートモジュールに結合するためのオス結合要素として機能するスタンドを備える。スタンドは、ベースプレートモジュールに取り付けられていないとき、例えば輸送中、組立中、又は保管中に、アクチュエータモジュールを表面に設置するために使用される。
【0017】
各ユニットは複数のアクチュエータを有する。アクチュエータモジュールの効率的な製
造のため、一実施形態では、アクチュエータモジュールは、ソケットを有するアクチュエータモジュール配線盤と磁気伝導性構造とを備え、アクチュエータはコンタクトピンを備え、アクチュエータは、コンタクトピンがソケットに電気的且つ機械的に接続されるように、磁気伝導性構造に取り付けられる。言い換えれば、アクチュエータは、磁気伝導性構造に取り付けられるときに位置決めされる。コンタクトピンが構造を通過してソケット内に入ることを許容するため、特定の実施形態では、磁気伝導性グリッド構造が提供される。磁気伝導性構造は、アクチュエータのための取付位置を備え、特に磁気伝導性構造は、コアを有するアクチュエータを受けるように構成された支えピンを備える。一実施形態では、取付位置は、グリッド構造の節(ノード)と一致する。
【0018】
第2態様によれば、複数の輸送装置ユニットを有する輸送装置が提供される。輸送装置のモジュラー構成は、非常に幅広いセットアップオプションを提供する。隣接する輸送装置ユニットは、正しい整列を保証し、駆動表面モジュールによってつなぎ合わされた駆動表面における隙間を避けるために、好ましくは互いに結合される。輸送装置ユニットは、例えば隣接する辺にて結合される。
【0019】
一実施形態では、隣接する輸送装置ユニットのベースプレートモジュールは、角部支持体によって隣接する角部で結合されて整列される。
複数の輸送装置ユニットからの輸送装置の組立のため、最初にベースプレートモジュールが支持フレームに取り付けられ得る。次に、アクチュエータモジュールがベースプレートモジュールに取り付けられ得る。最後に、駆動表面モジュールがベースプレートモジュールに取り付けられ得る。分解のため、反対の順番でステップが実行される。さらなるアクチュエータモジュールによって取り囲まれるアクチュエータモジュールの除去は困難である。それゆえ、その分解は、さらなるアクチュエータモジュールによって完全に囲まれていない、輸送装置の外側縁部に配置されたアクチュエータモジュールの除去から開始され得る。
【0020】
第3態様によれば、輸送装置と、隣接する輸送装置ユニットの二つのアクチュエータモジュール間に挿入されるように構成される少なくとも一つの除去ツールとを有するシステムが提供され、少なくとも一つの除去ツールとアクチュエータモジュールは、協働する結合要素を備える。除去ツールは、輸送装置の外側縁部から始まる全てのアクチュエータモジュールの除去の必要なく、さらなるアクチュエータモジュールによって取り囲まれたアクチュエータモジュールの除去を可能にする。
【0021】
第4態様によれば、輸送装置と複数の試料容器キャリアとを有する実験用試料分配システムが提供され、試料容器キャリアの各々は少なくとも一つの磁気的活性装置、好ましくは少なくとも一つの永久磁石を有し、試料を含む試料容器を運ぶように構成される。ユニットの駆動表面モジュールのつなぎ合わされた表面上の試料容器キャリアを輸送するために試料容器キャリアの各々に駆動力が適用されるように、輸送装置の輸送装置ユニットの磁気アクチュエータが磁場を生成するために適切に駆動される。さらに一実施形態では、分配システムは、定義された経路に沿って試料容器キャリアを移動させるための追加のコンベヤ装置を有する。
【0022】
第5態様によれば、分析前の、分析の、及び/又は分析後の複数のステーションを備え、輸送装置と多数の試料容器キャリアを有する分配システムを備えたラボラトリーオートメーションシステムが提供される。
【0023】
以下、概略図を参照して発明の実施形態が説明される。図面を通じて、同一の要素は同一の参照符号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、いくつか、実施形態では20で示される、輸送装置ユニット1から組み上げられた輸送装置10の実施形態の上面図である。輸送装置ユニット1は、支持バー12を有する支持フレームに固定される。図示の輸送装置ユニット1の各々は、矩形の基本形状を有し、既に存在するユニット1の各側に追加の輸送装置ユニット1を追加し、且つ/又は
図1に示される装置10から輸送装置ユニット1を取り除くことで、様々なデザインの輸送装置10の組み上げを可能にする。他の実施形態では、輸送装置ユニットは異なる基本形状、例えば、三角形の基本形状又は六角形の基本形状を有する。好ましくは、全ての輸送装置ユニット1が同一の基本形状を有し、その形状はモザイク式形状である。しかしながら、特定の実施形態では、輸送装置は異なる基本形状を有する輸送装置ユニット1から成る。
【0026】
図2は、
図1の輸送装置ユニット10を組み上げるための輸送装置ユニット1を分解図
で示す。
図3は、
図2のユニット1を分解断面図で示す。輸送装置ユニット1は、三つのモジュール、即ち、輸送装置ユニット1を支持フレームに固定するためのベースプレートモジュール2と、キャリア要素31に取り付けられた複数の電磁アクチュエータ30を備えたアクチュエータモジュール3と、駆動表面モジュール4と、を有する。隣接する輸送装置ユニット1は、角部支持体5により接続される。
【0027】
図示のベースプレートモジュール2は、4辺と4つの角部を備えた基本的に正方形の基本形状を有するベースプレート20を有する。ベースプレート20の中心領域には、壁22に取り囲まれた凹部21が、アクチュエータモジュール3に取り付けられ且つキャリア要素31の底部から突出するファン32を収容するために設けられる。壁22の内側に、フィルタ要素230が取り付けられる。
【0028】
配線盤6が、ベースプレート20に、その一つの角部領域において取り付けられる。図示の実施形態では、配線盤6は、L状の基本形状を有し、凹部21に直接隣接して配置される。隣接したベースプレートモジュール2が互いに結合される。この目的のため、図示の実施形態では、鉛直方向に延在し且つベースプレート20の表面領域に直交する曲がった接続ブラケット24が、ベースプレートモジュール2の各角に設けられる。隣接するベースプレート20、つまり隣接するベースプレートモジュール2は、隣接する輸送装置ユニット1のベースプレート20の二つ、三つ、又は四つの接続ブラケット24に取り付けられた角部支持体5によって接続される。駆動表面モジュール4は、駆動表面モジュール4の四つの角部の各々に設けられた接続構造40によって角部支持体5の上端部に結合される。
【0029】
アクチュエータモジュール3は、ベースプレートモジュール2によって支持される。この目的のため、ベースプレートモジュール2及びアクチュエータモジュール3は、協働するオス結合要素及びメス結合要素を備える。図示の実施形態では、ベースプレート20は、アクチュエータモジュール3に設けられた四つのスタンド33,34を受けるように構成された四つの受入開口部25,26を備える。
【0030】
複数の輸送装置ユニットから
図1に示した輸送装置10を組み立てるため、最初に、複数のベースプレートモジュール2が支持バー12(
図2参照)に取り付けられ、隣接するベースプレートモジュール2が角部支持体5によって互いに整列され且つ接続される。次に、輸送装置ユニット1の配線が完成され得る。配線が完成された後、アクチュエータモジュール3がベースプレートモジュール2に取り付けられ、アクチュエータモジュール3のスタンド33,34がベースプレート20の受入開口部25,26に挿入される。最後に、駆動表面モジュール4が角部支持体5を介してベースプレートモジュール2に取り付けられ、駆動表面モジュール4の接続構造40が角部支持体5に結合される。
【0031】
図4は、ベースプレートモジュール2のベースプレート20を上面図で示す。
図6は、支持バー12に取り付けられたベースプレートモジュール2を上面図で示す。
図4に見られるように、ベースプレート20の表面領域に、その中央付近において、4つのひし形開口27が備えられ、ひし形開口27の各々は、ワッシャ122とひし形スロットナット123を備えた締め付けボルト121(
図6参照)を受け入れるように構成され、ひし形スロットナット123は
図5に概略的に示される。スロットナット123は、締め付けボルト121に取り付けられ得、且つひし形開口27を通過して支持バー12の溝に上から挿入され得る。これにより、容易な取り付けが可能になり、輸送装置の全てのベースプレートモジュール2が互いに整列された後、締め付けボルト121が締め付けられ得る。
【0032】
図4に示されるように、ベースプレート20の表面領域は、凹部21を取り囲む壁22
の内側に受入スリット23を備える。支持バー12が受入スリット23へのアクセスを妨害しない場合、受入スリット23により、下からフィルタ要素230(
図6及び
図7参照)の取り付けを可能にする。
図6における左及び右の受入スリット23の場合のように、受入スリット23への下からのアクセスが支持バー12によって妨害される場合には、フィルタ要素230は上から取り付けられ得る。
【0033】
図4及び
図5に示される右上の角部への方向において、配線盤6がベースプレート20の一つの角部に取り付けられる。配線盤6は、ネジ61(
図6参照)によってベースプレート20に取り付けられる。この目的のため、
図4に示されるように、ベースプレート20はネジ61を受け入れるためのネジ穴28を備える。
図6に示されるように、図示の実施形態では、配線盤6のアース又は接地ケーブル60が締め付けボルト121に接続され、締め付けボルト121が配線盤6の接地に使用される。
【0034】
ベースプレートモジュール2は、アクチュエータモジュール3と駆動表面モジュール4とを取り付けるための取り付け壇として機能する。
アクチュエータモジュール3は、ベースプレート20に設けられた受入開口部25,26に挿入されるオス結合要素として機能するスタンド33,34(
図3参照)により、ベースプレートモジュール2に取り付けられる。
図4に最もよく示されるように、スタンド33,34を受けるように構成された受入開口部25,26は、回転対称を有さない機械的コーディング又はキーイングを提供するためにデザインが異なる。それにより、アクチュエータモジュール3が、ベースプレートモジュール2に一つの特定の方向でのみ取り付けられ得る。図示の実施形態では、二つの受入開口部25がU形状のデザインを有し、一方で他の二つの受入開口部26はT形状のデザインを有する。各受入開口部25,26は、二つの角部の間のベースプレート20の辺の一つの中央に配置される。他の実施形態では、キーイング構造は、少なくとも一つの受入開口部25,26及び対応するスタンド33,34を、中央からオフセットして一つの角部のより近くに配置することにより提供される。
【0035】
上述したように、隣接する輸送装置ユニット1のベースプレート20は、ベースプレート20の隣接する角部において接続ブラケット24に取り付けられた角部支持体5(
図2参照)を使用して、結合され且つ整列される。図示の実施形態では、接続ブラケット24の各々は、その二つの脚部に二つの長手方向溝240を備え、長手方向溝240は二つの隣接する辺に並行であり且つベースプレート20の表面領域に直交して延在する。結合要素は、上から溝に挿入され得る。
【0036】
図7は、
図6のベースプレートモジュール2のフィルタ要素230を側面図で示す。
図7に見られるように、フィルタ要素230は、4つの異なる向きでフィルタ要素230を取り付けることができるように、鏡面対称を有する。フィルタ要素230は、ベースプレートモジュール2のベースプレート20において所定位置にフィルタ要素230を着脱可能に固定するためのスナップフィットコネクタ231を備える。必要に応じて、フィルタ要素230は取り外されて掃除又は交換され得る。フィルタ要素230への下からのアクセスが可能な場合には、その様な取り外し及び/又は交換は輸送装置ユニット1を分解することなく可能である。
【0037】
図8は、
図6のベースプレートモジュール2の配線盤6を斜視図で示す。
図8に見られるように、配線盤6は、配線盤6とアクチュエータモジュール3(
図2参照)とを電気的に接続するための、より具体的には配線盤6とアクチュエータモジュール配線盤35(
図11参照)とを電気的に接続するための、ボード・ツー・ボードコネクタ62を備える。配線盤6とアクチュエータモジュール3との正確な整列を保証するために、二つのセンタリングピン63が設けられ、これらはアクチュエータモジュール3における対応するセン
タリング穴(36、
図10参照)に受け入れられる。固め過ぎの機械システムを避けるために、配線盤6は、ベースプレートモジュール2のベースプレート20にフロートマウントされる。この目的のため、図示の実施形態では、配線盤6は、固定ネジ61(
図6参照)のための貫通穴64を備え、貫通穴64は、固定ネジ61よりも大きな径を有する。それゆえ、配線盤6は、固定ネジ61によりベースプレート20に対して制限内で移動可能に取り付けられる。
【0038】
図9及び
図10は、キャリア要素31と電磁アクチュエータ30を備えたアクチュエータモジュール3を、それぞれ上からと下からの斜視図で示す。
図11は、
図9とは異なる方向でアクチュエータモジュール3を示し、電磁アクチュエータ30が取り外されている。
図12は、アクチュエータモジュール3の電磁アクチュエータ30を示す。
【0039】
アクチュエータモジュール3は、4つの辺と4つの角部を備えた、本質的に矩形の基本形状を有する。アクチュエータモジュール3は、受入開口部25,26(
図4,
図6参照)内に挿入されたスタンド33,34によってベースプレートモジュール2に取り付けられるように構成される。上述したように、キャリア要素31は、ベースプレートモジュール2(
図2参照)の4つの受入開口部25,26に挿入されるように構成される4つのスタンド33,34を備える。受入開口部25,26と対応するスタンド33,34は、回転対称を有さない機械コーディングを提供するためにデザインが異なる。図示の実施形態では、2つのスタンド33は、U形断面を有し、一方で他の2つのスタンド34はT形断面を有する。各スタンド33,34は、キャリア要素31の辺の一つの中央に配置される。
【0040】
アクチュエータモジュール3は、キャリア要素31の底面310を通じてアクセス可能なコンタクトピン350を備えたアクチュエータモジュール配線盤35を有する。コンタクトピン350は、配線盤6のボード・ツー・ボードコネクタ62(
図8参照)と接続するように構成される。コンタクトピン350と配線盤6のボード・ツー・ボードコネクタ62との正確な整列を保証するために、2つのセンタリング穴36が、底面310とアクチュエータモジュール配線盤35に設けられる。センタリング穴36は、アクチュエータモジュール配線盤35のコンタクトピン350をボード・ツー・ボードコネクタ62に整列するために配線盤6のセンタリングピン63を受けるように構成される。
【0041】
アクチュエータ30は、アクチュエータモジュール配線盤35に電気的且つ機械的に接続される。この目的のため、
図11に最もよくみられるように、アクチュエータモジュール配線盤35はアクチュエータ30(
図12参照)に設けられるコンタクトピン301を受けるように構成された複数のソケット351を備える。アクチュエータ30のアクチュエータモジュール3への取り付けを促進するために、図示の実施形態では、アクチュエータモジュール3は、複数の支えピン370を有する磁気伝導性材料、特に金属で作られるグリッド構造37を有する。支えピン370は、それぞれ一つのアクチュエータ30を受けるように構成され、アクチュエータ30は対応するコア302を備える。
【0042】
アクチュエータモジュール3の底側には、ファン32が設けられる。例えば輸送の間、保管及び/又は組立のためにアクチュエータモジュール3を平坦な表面に配置するとき、スタンド33,34の遠位端部がこの平坦な表面に接触し、ファン32が平坦な表面から離れるように、スタンド33,34の長さは、ファン32が底面310から突出する距離を超える。それゆえ、ファン32をアクチュエータモジュール配線盤35に直接取り付けることができる。
【0043】
図21及び
図22を参照してより詳細に以下で説明されるように、各スタンド33,34の各側には、除去ツール8(
図21,
図22参照)のためのガイド溝38が設けられる
。
【0044】
図13及び
図14は、それぞれ、上から及び下からの斜視図で駆動表面モジュール4を示す。
図15は、
図14の2つの隣接する駆動表面モジュール4の詳細を示す下からの斜視図である。
【0045】
駆動表面モジュール4は、駆動表面要素41を備える。特に、駆動表面要素41は、駆動表面要素41の上面に沿って試料キャリア(図示せず)を摺動して輸送するのに適した材料から作られる。駆動表面要素41は、等しい長さの4つの辺と、4つの角部を備えた本質的に矩形の基本形状を有する。
【0046】
駆動表面モジュール4は、支持要素によって着脱可能に支持される。図示の実施形態では、駆動表面モジュール4は、駆動表面モジュール4の支持要素として機能する角部支持体5(
図2参照)によって着脱可能に支持される。駆動表面モジュール4の4つの角部において、接続構造40が、駆動表面モジュール4を角部支持体5を介してベースプレートモジュール2(
図2参照)に接続するために設けられる。駆動表面モジュール4は、駆動表面要素41の底側に配置されるセンサボードを有する。それゆえ、センサボードは、試料支持キャリア(図示せず)が横切って輸送される駆動表面の近くに位置される。センサボードは、駆動表面要素41の上側を横切って移動される個々の試料容器キャリアの存在又は位置を検知するための装置の一部を少なくとも形成する。一実施形態では、駆動表面要素41は赤外線に透過し、センサボードは、グリッド状に配置された多数の赤外線ベースの反射光バリアを備え得、試料容器キャリアは、光バリアによって放出された赤外放射を反射するように構成され得る。
【0047】
角部支持体5によって駆動表面モジュール4をベースプレートモジュール2に取り付けるとき、駆動表面モジュール4は、ベースプレートモジュール2に関して高精度で位置決めされる。
【0048】
駆動表面要素41の各側には、縁42が設けられる。
隣接する輸送装置ユニット1の駆動表面要素41は、それらの側部領域において互いに重なり合う。この目的のため、
図14及び
図15に最もよく示されるように、駆動表面モジュール4の二つの隣接する側部において、駆動表面要素41の上面と縁42との間の遷移部は、段部43を備える。各駆動表面モジュール4のそれぞれ対向する側部において、駆動表面要素41の上面と縁42との間の遷移部は、補充する張出部44を備える。張出部44が段部43上に置かれ、二つの駆動表面モジュール4間のスムーズな移行のために段部43によって支持されるように、段部43と張出部44が互いに適合される。言い換えれば、隣接する輸送装置ユニット1(
図2参照)は、いずれの場合にも張出部44を備えた側部が段部43を備えた側部と接触するように配置される。
【0049】
さらに、鉛直方向の耐性補償のため、弾性要素450,451が、段部43を張出部44に押し込むために駆動表面要素41の下に設けられる。図示の実施形態において弾性要素450,451は、各張出部44の下に配置された対のフック状要素450を有し、対のフック状要素450は、段部43を有する駆動表面要素41の側部に設けられた舌状要素451と相互作用する。舌状要素451及び段部43は、張出部44とフック状要素450との間に配置される。それゆえ、張出部44とフック状要素450は、段部43を張出部44に向けて押し込み、且つその逆を行うためのクランプを形成する。
【0050】
図14に最もよくみられるように、図示の実施形態では、グリッド状の弾性部品45が設けられ、弾性要素450,451は、グリッド状の弾性部品45のグリッド線の端部に形成される。グリッド状の弾性部品45のグリッド線は、アクチュエータモジュール3(
図2参照)のアクチュエータ30のいくつかの上に配置され、グリッド線は、電磁アクチュエータ30上端部を受けるための凹部452を備える。グリッド状の弾性部品45は、駆動表面要素41の底面に取り付けられる。図示の実施形態では、駆動表面要素41の底面は、駆動表面要素41にグリッド状の弾性部品45を固定するためのネジソケット410を備える。
【0051】
輸送装置の上面に不意にこぼれた液体が輸送装置ユニット1に入ることを避けるために、封止コード46が設けられる。図示の実施形態では、二つの封止コード46が駆動表面要素41の二つの側部、即ち張出部44に備えられた側部に沿って延びる。封止コード46は、縁42のそれぞれの側部に取り付けられる。この目的のため、封止コード46を取り付けるための溝が設けられ得る。反対のそれぞれの側部において、縁42は、封止コード46と接触するための封止突起部が備えられる。
【0052】
どのような場合でも張出部44を有する側部が、段部43を有する隣接した輸送装置ユニット1の駆動表面モジュール4の側部と接触するような方向で駆動表面モジュール4が取り付けられることを保証するため、接続構造40は、回転対称を有さず、単一の方向で取り付けられ得る。
【0053】
図16は、
図14の詳細XVIを示し、駆動表面モジュール4を角部支持体5(
図2参照
)に接続するための接続構造40が詳細に示される。接続構造40は、駆動表面要素41と一体に形成された接続ピン400を有する。さらに、二つのスナップフィット要素402が設けられ、図示の実施形態では、グリッド状部品45と一体に形成される。
【0054】
図17は、隣接する輸送装置ユニット1(
図1参照)を接続するための角部支持体5の斜視図である。図示の実施形態における角部支持体5は、複数のベースプレートモジュール2と複数の駆動表面モジュール4との両方のための十字形状の接続ノードとしての機能を果たす。
図2及び
図3に示されるように、角部支持体5は、輸送装置ユニット1の4つの角部に配置され、駆動表面モジュール4は4つの角部支持体5に置かれる。各角部支持体5は、駆動表面に不意にこぼれた液体を集めるために、その中央に液体捕捉凹部50を備える。
【0055】
4つのベースプレートモジュール2を接続し且つ整列するために、4つの組のスナップフィット要素511,512,513,514と、4つの組のリブ521,522,523,524(
図17に部分的にのみ見える)が設けられる。各組のスナップフィット要素511,512,513,514とリブ521,522,523,524は、互いに90°の角度で配置される。リブ521,522,523,524は、ベースプレートモジュール2(
図4参照)の接続ブラケット24の長手方向溝240に入るように構成され、スナップフィット要素511,512,513,514は、この長手方向溝240と直接隣接した接続ブラケット24の側部に設けられたフックに留められるように構成される。
図18は、ベースプレート20に取り付けられた角部支持体5の底面図を示し、リブ521(
図18では不図示)がベースプレート20の接続ブラケット24の長手方向溝240に挿入され、スナップフィット要素511が長手方向溝240に直接隣接する接続ブラケット24の側部に設けられたフックに留められる。
【0056】
図17に示される角部支持体5は、4つの駆動表面モジュール4と接続し且つ整列するための4組のラッチ要素531,532,533,534(
図17では部分的にのみ見える)をさらに備える。各組のラッチ要素531,532,533,534は、同様に互いに90°の角度で配置される。各組の2つのラッチ要素531,532,533,534の間には、開口541,542,543,544が設けられる。
図19は、角部支持体5の底面図を示し、2つの隣接した駆動表面モジュール4の2つの接続構造40は、角部支
持体5によって結合される。各接続構造40の接続ピン400は開口541,542に挿入され、接続構造40のそれぞれのスナップフィット要素402は開口541,542のそれぞれのいずれかの側部に配置されたラッチ要素531,532と連結する。
【0057】
上述したように、封止コード46が2つの隣接した駆動表面モジュール4の間に配置される。
図20は、角部支持体5によって結合された、ベースプレート20と各駆動表面モジュール4とを備えた2つの隣接した輸送ユニットの断面図を概略的に示す。
図20に概略的に示されるように、封止コード46は2つの隣接した駆動表面モジュール4を離間させ、それゆえ、接続ピン400は、
図20に2つの矢印で概略的に示されるように接続ピン400を受ける開口541,544の縁に対して押し付けられる。これにより、互いに対する隣接した駆動表面モジュール4の正確な位置決めが可能になる。さらに、隣接した駆動表面モジュール4間の許容誤差が駆動表面に沿って蓄積するのが避けられる。
【0058】
図20にも示されるように、角部支持体5は、ベースプレート20を隣接したベースプレート20にクランプするようにも機能する。この目的のため、図示の実施形態では、2つの並列のリブ521,524が、隣接したベースプレート20の接続ブラケット24の2つの並列配置された長手方向溝240内に挿入される。
【0059】
モジュラーシステムの一つの利点は、輸送装置が、ラボラトリーオートメーションシステムの条件及び/又は要件の変更に容易に適応され得ることである。さらに、故障した輸送装置ユニット1、特にアクチュエータモジュール3は、容易且つ迅速に交換され得る。輸送装置ユニット1は、輸送装置にしっかりと配置される。駆動表面モジュール4の除去のため、駆動表面モジュール4は張出部44を有する一側部を持ち上げられ、傾けられ得る。アクチュエータモジュール3へのアクセスはより困難である。容易な除去のため、除去ツール8が準備される。
【0060】
図21は、2つの除去ツール8を使用して輸送装置ユニット1のアクチュエータモジュール3の一つを除去するときの輸送装置ユニット10を示す。
図22は、斜視図で除去ツール8を示す。
【0061】
図21に示されるように、アクチュエータモジュール3の除去のために、まず、駆動表面モジュール4が除去される。
図21に示されるように駆動表面モジュール4が除去された後、2つの除去ツールが、アクチュエータモジュール3の2つの対向する側部に挿入される。
【0062】
除去ツール8は、ハンドル部分80と2つの脚部81を備えた本質的にU形をなす。脚部81は、アクチュエータモジュール3のガイド溝38(
図9及び10参照)内に入るように構成される。脚部81の遠位端部には、輸送装置10からアクチュエータモジュール3を除去するために、アクチュエータモジュール3のキャリア要素31の底面310及び/又は溝38内に設けられるフックと係合するための係合フック82が設けられる。
【0063】
除去ツール8は、ハンドル部分80と少なくとも本質的に並行に配置される停止要素83を備える。停止要素83は、除去ツール8が溝38に深く入りすぎるのを防止する。それゆえ、アクチュエータモジュール3及び/又は除去ツール8を備えたアクチュエータモジュール3の下方に配置された任意の要素の意図しない損害が避けられる。
【0064】
図示の実施形態は単に例示であり、添付の請求項に定義されるような発明の範囲内で、構成及び配置における様々な修正が為され得ることが明らかである。