(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
まず、
図1を参照して、車両1に設けられ車室3内の温度を調整する空調装置100(車両用空調装置)の構成について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る空調装置100の内外気切替装置10周りの概略構成を示す縦断面図である。
【0012】
車両1の前部には図示しないエンジン等を収容するエンジンルーム2が設けられ、エンジンルーム2の後方には車室3が設けられる。エンジンルーム2と車室3とは、ダッシュパネルなどの隔壁4によって仕切られている。なお、電気自動車の場合には、エンジンルーム2には走行用のモータ等が収容される。
【0013】
空調装置100は、内外気切替装置10と、送風機20(ブロワ)と、図示しない空調装置本体とを備えている。
【0014】
なお、一般的な車両用空調装置では、内外気切替装置10、送風機20、および空調装置本体は、一体となって車室3内の前部、すなわち隔壁4の後方に設置され、乗員から見えないように図示しないインストルメントパネルによって覆われている。
【0015】
したがって、一般的な車両用空調装置では、車室3の前部に全体が位置することになる分、車室3内の空間が狭くなり易い。
【0016】
これに対して、本発明の実施形態に係る空調装置100では、送風機20および空調装置本体がエンジンルーム2内に設置され、内外気切替装置10が車室3内に設置される。
【0017】
したがって、空調装置100では、車室3内の前部に内外気切替装置10のみが位置することになるので、車室3内の空間を確保し易くなる。
【0018】
送風機20は、ファン21を回転させることによって、空調に用いる空気を空調装置100の内部に吸い込む。吸い込んだ空気は、送風機20から空調装置本体へと送風される。ファン21には、例えば円筒状のシロッコファンが用いられる。
【0019】
空調装置本体の内部には、送風機20から送風された空気の温度を調整するためのエバポレータやヒータコア等が配置される。温度が調整された空気は、空調装置本体から車室3へと吹き出される。なお、車室3へと吹き出される空気は、温度とともに湿度が調整されてもよい。
【0020】
内外気切替装置10は、ケース11と、フィルタ部12と、第1の内気導入ドア13と、第2の内気導入ドア14とを有する。
【0021】
ケース11は、筒状に形成され、内部に空気の通路11aを形成する。また、ケース11には、外気導入口11bと、空気導出口11cとが形成される。
【0022】
外気導入口11bは、車両1の外部の空気(外気)をケース11内の通路11aに導入可能な開口である。外気導入口11bは、ケース11の前方に位置し、エンジンルーム2側、すなわち車両前方に開口する。このように、外気導入口11bが車両前方に開口することによって、車両1の走行時に空気が外気導入口11bに向かって流れ易くなり、空気の導入効率を向上させることができる。
【0023】
空気導出口11cは、ケース11内の通路11aに導入された空気を前方のエンジンルーム2側に導出可能な開口である。外気導入口11bから導出された空気は、エンジンルーム2内に配置された送風機20のケース内を通ってファン21に吸い込まれる。空気導出口11cは、前方に配置された送風機20と接続するためのレイアウト上の制約があるので、外気導入口11bと同様にケース11の前方に位置し、外気導入口11bと略同一方向の車両前方に開口することになる。このように、空調装置100では、ケース11に形成される空気導出口11cの配置を決めるために、エンジンルーム2内の送風機20や空調装置本体との位置関係や接続関係が考慮されている。
【0024】
通路11aは、外気導入口11bの開口面とフィルタ部12の上流面との間で角度θが鈍角(θ>90°)になるように屈曲形成される。
【0025】
ケース11では、通路11aのうち、外気導入口11bからフィルタ部12までの通路部分が特に曲率半径が小さくなるように曲げられており、内部を流れる空気の流れる方向が当該通路部分で急激に変えられることになる。すなわち、当該通路部分の終点となるフィルタ部12の上流面は、起点となる外気導入口11bの開口面から空気の流れに沿った回りで90度以上回転した位置に位置する。その際の回転中心は、
図1に破線で示す外気導入口11bの開口面に沿って延びる仮想平面と、フィルタ部12の上流面に沿って延びる仮想平面とが、交わる交線L(
図1では点)になる。
【0026】
交線Lは、フィルタ部12がケース11に対して斜めに設置されることで、ケース11の中心よりも車両前方に位置する。したがって、通路11aは、特に外気導入口11bからフィルタ部12までの通路部分において、車両前方側が内周面になり、車両後方側が外周面になる。また、交線Lがケース11の中心よりも車両前方に位置した上で、角度θが鈍角になっているので、フィルタ部12の上流面が車両後方を向いており、下流面が車両前方を向いている。
【0027】
また、ケース11には、第1内気導入口11dと、第2内気導入口11eと、ガイド部11fとが形成される。
【0028】
第1内気導入口11dおよび第2内気導入口11eは、車室3内からの空気を導入可能な開口であり、通路11aの外気導入口11bとフィルタ部12との間に設けられる。
【0029】
第1内気導入口11dは、ガイド部11fよりも車両前方側に開口する。第1内気導入口11dは、
図1に示すように、通路11aの内周面で車両前方に向かって開口する。
【0030】
また、第1内気導入口11dは、フィルタ部12の上流面が臨む位置の外、すなわちフィルタ部12の上流面から垂直に延びる垂直面領域の領域外に配置される。当該垂直面領域は、フィルタ部12の面から上流側に垂直に伸ばした領域であり、例えば
図1に示すように、2つの2点破線の間における領域になる。したがって、第1内気導入口11dから導入される空気の流れる方向も、外気導入口11bから導入される空気の流れと同様に、通路11a内で急激に変えられることになる。
【0031】
第2内気導入口11eは、ガイド部11fよりも車両後方側に開口する。第2内気導入口11eは、
図1に示すように、通路11aの外周面で車両後方に向かって開口する。
【0032】
ガイド部11fは、通路11aにおけるフィルタ部12の上流側の空気の一部を、車両前方に向かうように整流し、フィルタ部12へ案内する板部材である。ガイド部11fは、ケース11の通路11aの中心付近でケース11の長手方向、すなわち空気の流れ方向に延びるように配置されており、通路11aを内周側の通路と外周側の通路とに仕切る仕切りになる。そのため、外気導入口11bから通路11aに導入された空気は、ガイド部11fによって、通路11aの内周側の通路に流れる空気と外周側の通路に流れる空気とに分けられて、フィルタ部12へと案内される。
【0033】
なお、ガイド部11fは、第1内気導入口11dや第2内気導入口11eから通路11a内に導入される空気も、同様にフィルタ部12へ案内することができる。
【0034】
また、ガイド部11fは、上流側に位置する上流側端部11f1と、下流側に位置する下流側端部11f2とを有する。
【0035】
上流側端部11f1は、第1内気導入口11dの開口下端11d1よりも上流側、すなわち外気導入口11b側に位置する。したがって、第1内気導入口11dから導入した空気をガイド部11fによって通路11aの内周側に案内し易くできる。
【0036】
下流側端部11f2は、フィルタ部12の上流面に近接する。したがって、ガイド部11fによって通路11aの内周側の通路と外周側の通路とに二分された空気は、合流したり反対側の通路に逆流することなく、フィルタ部12へと流される。なお、下流側端部11f2は、
図1に示すようにフィルタ部12の上流面の近傍に位置しているが、フィルタ部12の上流面に当接させてもよい。
【0037】
次に、内外気切替装置10が有するフィルタ部12について説明する。
【0038】
フィルタ部12は、通路抵抗(圧力損失)が小さくなるように空気導出口11cに向けられて、空気導出口11cの上流側に配置される。また、フィルタ部12は、通路11a内において空気を有効に通せる部分の面積、すなわち有効面積が広くなるように、
図1に示すように傾斜して配置される。
【0039】
フィルタ部12は、内部を空気が通過可能なエアフィルタ12aを有する。フィルタ部12の通路抵抗は、有効面積が広くなるほど単位面積当たりの空気の通過量が減って小さくすることができるが、当該有効面積はエアフィルタ12aの面積によってほぼ規定される。
【0040】
エアフィルタ12aは、空気中の塵埃や花粉等の微粒子を捕集し、車室3内に送風される空気を清浄にする。なお、空気中の悪臭成分やカビ等をエアフィルタ12aに吸着させて分解することで、車室3内に送風される空気を浄化してもよい。
【0041】
また、エアフィルタ12aは、フィルタ部12の枠体によって保持されており、通路11aを流れる空気を遮る方向に面が広がるように配置される。そして、エアフィルタ12aは、フィルタ部12の車室3側の側部から取り出して交換可能であり、フィルタ部12の枠体に挿入されると通路11aの内周側を形成するケース11の内壁に当接して空気を遮る。したがって、通路11aを流れる空気がエアフィルタ12aを通過してから空気導出口11cに流れることになるので、車室3内に送風される空気を清浄にすることができる。
【0042】
続いて、内外気切替装置10が有する第1の内気導入ドア13および第2の内気導入ドア14について、
図2を参照して説明する。
【0043】
図2は、空調装置100の第1の内気導入ドア13および第2の内気導入ドア14の開閉態様を示す縦断面図である。
【0044】
第1の内気導入ドア13は、第1内気導入口11dから通路11a内に導入される空気を遮断可能な開閉式のフラップドアであり、通路11aの車両前方側に設けられて、上流側が軸支される。
【0045】
第1の内気導入ドア13は、
図2に実線で示すように第1内気導入口11dを閉じる閉位置にある場合には、第1内気導入口11dから導入される空気を遮断できる。第1の内気導入ドア13が閉位置にある場合、第1の内気導入ドア13のドア先端は、第1内気導入口11dの開口下端11d1の近傍でケース11の内壁と近接する。なお、第1の内気導入ドア13のドア先端をケース11の内壁と当接させることで、第1内気導入口11dから導入される空気がより遮断され易くなるようにしてもよい。
【0046】
他方で、第1の内気導入ドア13は、
図2に実線で示す第1内気導入口11dを閉じる位置から開き、
図2に2点破線で示すように第1内気導入口11dを開く開位置の間にある場合には、第1内気導入口11dを介して車室3からの空気を通路11a内に導入することができる。なお、ドア先端をガイド部11fの上流側端部11f1と当接させてもよい。
【0047】
第2の内気導入ドア14は、第2内気導入口11eから通路11a内に導入される空気を遮断可能な開閉式のフラップドアであり、通路11aの車両後方側に設けられて、上流側が軸支される。
【0048】
第2の内気導入ドア14は、
図2に実線で示すように第2内気導入口11eを閉じる閉位置にある場合には、第2内気導入口11eから導入される空気を遮断できる。第2の内気導入ドア14が閉位置にある場合、第2の内気導入ドア14のドア先端は、第2内気導入口11eの開口下端の近傍でケース11の内壁に近接する。なお、第2の内気導入ドア14のドア先端をケース11の内壁と当接させることで、第2内気導入口11eから導入される空気がより遮断され易くなるようにしてもよい。
【0049】
他方で、第2の内気導入ドア14は、
図2に実線で示す第2内気導入口11eを閉じる位置から、
図2に2点破線で示すように第2内気導入口11eを開く開位置の間にある場合には、第2内気導入口11eを介して車室3内からの空気を通路11a内に導入することができる。なお、ドア先端をガイド部11fの下流側端部11f2と当接させてもよい。
【0050】
次に、
図3から
図5を参照して、空調装置100の各空調モードについて説明する。各空調モードは、車室3内の運転者等の操作要求に応じて空調装置100が備える図示しないコントローラによって選択される。このように、空調装置100のコントローラは、空調制御部(空調制御手段)として機能する。
【0051】
図3は、空調装置100が外気導入モードであるときの通路11a内の空気の流れを示す縦断面図である。
図4は、空調装置100が内気循環モードであるときの通路11a内の空気の流れを示す縦断面図である。
図5は、空調装置100が部分再循環モードであるときの通路11a内の空気の流れを示す縦断面図である。
【0052】
<外気導入モード>
外気導入モードは、車両1の外部の空気(外気)を通路11a内に導入するモードであり、外気導入モードが選択されると
図3に矢印で示すように通路11aを空気が流れる。
【0053】
外気導入モードが選択されている場合には、第1の内気導入ドア13は、第1内気導入口11dから導入される空気が通路11aを通過するのを遮断するように閉位置に位置する。また、第2の内気導入ドア14も、同様に、第2内気導入口11eから導入される空気が通路11aを通過するのを遮断するように閉位置に位置する。したがって、外気導入口11bから導入された空気が通路11a内を通過して空気導出口11cへと流れる。
【0054】
<内気循環モード>
内気循環モードは、車室3内の空気を通路11a内に導入するモードであり、内気循環モードが選択されると
図4に矢印で示すように通路11aを空気が流れる。
【0055】
内気循環モードが選択されている場合には、第1の内気導入ドア13および第2の内気導入ドア14は、外気導入口11bから導入される空気が通路11aを通過するのを遮断するように開位置に位置する。閉位置の第1の内気導入ドア13および第2の内気導入ドア14が、
図4に示すようにガイド部11fの上流側端部11f1または下流側端部11f2と当接することで、通路11aを隙間なく閉鎖することができ、外気導入口11bから導入される空気が通路11aを通過するのをより遮断し易くできる。
【0056】
<部分再循環モード>
部分再循環モードは、車両1の外部の空気および車室3内の空気の両方を通路11a内に導入するモードであり、部分再循環モードが選択されると
図5に矢印で示すように通路11aを空気が流れる。
【0057】
部分再循環モードが選択されている場合には、第1の内気導入ドア13は、外気導入口11bから導入される空気が通路11aを通過するのを制限もしくは遮断するように開位置に位置する。他方で、第2の内気導入ドア14は、第2内気導入口11eから導入される空気が通路11aを通過するのを遮断するように閉位置に位置する。
【0058】
したがって、新鮮な外気を取り入れつつ、温度調整がなされた車室3内の空気の一部を任意の割合で混合して再度循環させることができるので、外気温と車室3内の温度との温度差が大きいときでも負荷が高まることなく新鮮な空気を取り入れる空調を行うことができる。
【0059】
また、車室3内の空気は第1内気導入口11dを介して通路11aの内周側、すなわち車室3から離れている車両前方から取り込まれ、車両1の外部の空気は外気導入口11bを介して同様に車室3から離れている車両前方から取り込まれる。したがって、車室3から離れている位置から空気が取り込まれるので、空気を取り込む際のノイズが車室3に伝わることを抑制でき、車室3内の静音環境を高く保つことができる。
【0060】
また、ガイド部11fの下流側端部11f2は、フィルタ部12の上流面に近接しているので、外気導入口11bから導入した空気が第1内気導入口11dに逆流することを防止できる。したがって、車室3内に、空調されていない外気が直接流れることがなく、車両1の外部の空気および車室3内の空気の両方を送風する部分再循環モードによる空調を適切に行うことができる。
【0061】
なお、部分再循環モードにおいて、第1の内気導入ドア13と第2の内気導入ドア14との開閉位置は、反対にしてもよい。すなわち、第1の内気導入ドア13を閉位置にして車両1の外部の空気を通路11aの内周側に流し、第2の内気導入ドア14を開位置にして車室3内の空気を通路11aの外周側から取り込んでもよい。
【0062】
続いて、
図6から
図7Bを参照して、空調装置100のフィルタ部12を通過する空気の流量分布について説明する。
【0063】
図6は、空調装置100のフィルタ部12を通過する空気の流量分布を示す断面図であり、
図2のVI−VI線に沿う断面図である。
【0064】
フィルタ部12の下流面における空気は、
図6に濃淡で示す流量分布のようにケース11やフィルタ部12に沿って流れる。
図6では、濃い部分が空気の流量が比較的大きいことを示し、薄い部分が空気の流量が比較的小さいことを示している。
【0065】
フィルタ部12の縁付近では、ケース11やフィルタ部12の形状による影響を受けて抵抗が加わり、空気の流量が比較的小さくなる。他方で、フィルタ部12の縁付近以外では、ケース11やフィルタ部12の形状による影響が小さくなって、空気の流量が比較的大きくなる。
【0066】
ここで、ガイド部11fがある場合とない場合における、フィルタ部12の下流面での空気の流量分布の差について説明する。
【0067】
図6に示すように、フィルタ部12の下流面を縦3列横4行の12等分となるように領域R1から領域R12に区分けして、各領域における空気の流量分布の評価を行った。例えば、領域R1から領域R3は通路11aの内周側に対応する領域であり、領域R10から領域R12は通路11aの外周側に対応する領域である。
【0068】
図7Aは、本発明の実施形態に係るガイド部11fがある空調装置100のフィルタ部12を通過する空気の流量分布を示す図である。
図7Bは、本発明の比較例に係るガイド部がない車両用空調装置(空調装置)のフィルタ部を通過する空気の流量分布を示す図である。
図6の領域R1から領域R12に対応する部分に、小から大の値が流量として示されている。なお、領域R1は、測定されていない領域となっている。
【0069】
空調装置100では、上述の通りケース11にガイド部11fが形成されている。他方で、比較例に係る空調装置では、ガイド部が形成されていないケースが用いられている。
【0070】
図7Bに示すように、比較例に係るガイド部がない空調装置では、通路の内周側の領域R2および領域R3における空気の流量が小となっている。これは、車両前方を向いた外気導入口から通路内に入った空気に、慣性力が働くためである。通路内に入った空気は、ケースの外周面に当たり下方へ流れ方向を変えることになるので、フィルタ部において通路の内周側に対応する領域R2、R3における空気の流量が小さくなり易い。また、領域R2、R3の空気の流量が小さくなった分だけ、領域R2、R3の外側に対応する領域R4から領域R6の空気の流量が大きくなっている。そのため、比較例に係る空調装置では、空気が偏って流れることになりノイズが発生し易くなる。
【0071】
これに対して、
図7Aに示すように、本発明の実施形態に係るガイド部11fがある空調装置100では、領域R2から領域R12における空気の流量は、いずれも中以上となっており小の領域がない。また、本発明の実施形態に係る空調装置100では、空気の流量が大になる領域は領域R7のみであり、比較例の空気の流量が大になる領域(領域R4から領域R6)と比べて、領域数が少ない。このように、本発明の実施形態に係る空調装置100では、外気導入口11bから通路11a内に入った空気の一部を、ガイド部11fによって通路11aの内周側へと案内できるので、通路11a内の空気流れの偏りを減らせて、ノイズを抑えることができる。また、フィルタ部12のエアフィルタ12aに対して均一に空気を流せるので、エアフィルタ12a全体を使って空気を清浄し易くなりフィルタ交換周期を長くできるとともに、通路抵抗を減らして効率の良い空調を行うことができる。
【0072】
なお、空調装置100では、第1の内気導入ドア13は、開閉式のフラップドアであったが、例えば、
図8に示すように、回転式のロータリードアを第1の内気導入ドア213として用いてもよい。
【0073】
図8は、本発明の変形例に係る空調装置200(車両用空調装置)の第1の内気導入ドア213の開閉態様を示す縦断面図である。
【0074】
第1の内気導入ドア213は、
図8に示すように、ガイド部11fの上流側端部11f1に軸支されて回転可能になっている。
【0075】
また、ケース11の側面には、車室3内から空気を導入するための第1内気導入口211dが設けられる。
【0076】
第1の内気導入ドア213は、第1内気導入口211d付近の通路11aを囲う閉位置に位置している場合には、第1内気導入口211dからの空気が、第1の内気導入ドア213の外側の通路11aへ通過することを遮断する。他方で、外気導入口11bから導入される空気は、第1の内気導入ドア213によって遮断されることなく、通路11a内を流れることができる。
【0077】
また、第1の内気導入ドア213は、外気導入口11b側の通路11aを囲う開位置方向に位置している場合には、外気導入口11bからの空気が、第1の内気導入ドア213の外側の通路11aへ通過することを制限もしくは遮断する。他方で、第1内気導入口211dから導入される空気は、第1の内気導入ドア213の開口部を通って、通路11a内を流れることができる。
【0078】
このように、第1の内気導入ドア213として回転式のロータリードアを用いても、通路11a内の空気の流れを切り替えることができる。
【0079】
また、第1の内気導入ドア213だけでなく、第2の内気導入ドア14を回転式のロータリードアにしてもよい。このように、第2の内気導入ドア14に回転式のロータリードアを用いても、同様に通路11a内の空気の流れを切り替えることができる。
【0080】
上記した実施形態に係る空調装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0081】
空調装置100(車両用空調装置)は、車両前方に開口し車両1の外部の空気(外気)を導入可能な外気導入口11b、および導入された空気を前方に導出可能な空気導出口11cを有し、内部に空気の通路11aを形成するケース11と、空気導出口11cの上流側に配置され、内部を空気が通過可能なフィルタ部12と、フィルタ部12の下流側に配置され、通路11a内に導入された空気を吸い込み可能な送風機20と、を備える。通路11aは、外気導入口11bの開口面とフィルタ部12の上流面との間で角度θが鈍角になるように屈曲形成される。ケース11は、通路11aにおけるフィルタ部12の上流側の空気の一部を、車両前方に向かうように整流し、フィルタ部12へ案内するガイド部11fを有する。
【0082】
このような空調装置100によれば、ガイド部11fによってフィルタ部12の上流側の空気の一部が車両前方に向かうように整流されることで、フィルタ部12へ空気が案内され易くなる。したがって、ガイド部11fによって通路11a内の空気の流れの偏りを是正できるので、通路抵抗を減らして効率の良い空調が行えるとともに、空調時のノイズを抑えることができる。
【0083】
また、空調装置100では、ケース11は、車室3内からの空気を導入可能な第1内気導入口11dおよび第2内気導入口11eを、外気導入口11bとフィルタ部12との間に有する。第1内気導入口11dは、ガイド部11fよりも車両前方側に開口し、第2内気導入口11eは、ガイド部11fよりも車両後方側に開口する。
【0084】
このような空調装置100によれば、車室3内からの空気を2つの開口(第1内気導入口11d、第2内気導入口11e)から通路11a内に導入できるので、開口面積を確保し易くなり、吸い込み音を低減させることができる。
【0085】
また、空調装置100では、ガイド部11fは、上流側端部11f1が第1内気導入口11dの開口下端11d1よりも外気導入口11b側に位置し、下流側端部11f2がフィルタ部12の上流面に近接する。
【0086】
このような空調装置100によれば、ガイド部11fによって通路11aが区分けされ空気の流れが制限されるので、ガイド部11fで分けられた空気を合流させたり反対側の通路に逆流させることなく、フィルタ部12へと流すことができる。
【0087】
また、空調装置100は、第1内気導入口11dから通路11a内に導入される空気を遮断可能な第1の内気導入ドア13をさらに備える。第1の内気導入ドア13は、上流側が軸支されるフラップドアであり、第1内気導入口11dを介して車室3内からの空気が導入される場合に、ドア先端が第1内気導入口11dを遮断する位置から、ガイド部11fの上流側までの間に位置する。
【0088】
このような空調装置100によれば、第1の内気導入ドア13のドア先端が、内気導入口11dを遮断する位置から、ガイド部11fの上流側までの間に位置するので、外気導入口11bからの空気と内気導入口11dからの空気を任意の割合で混合することができる。また、ガイド部11fの上流側に近接する場合は、外気導入口11bからの空気が第1の内気導入ドア13を超えて通路11aに下流側に流れることを抑制できる。また、第1の内気導入ドア13とガイド部11fとによって、第1内気導入口11dから通路11a内に導入される空気をフィルタ部12へ案内できるので、通路11a内の空気の流れの偏りを減らすことができる。
【0089】
また、空調装置100は、第2内気導入口11eから通路11a内に導入される空気を遮断可能な第2の内気導入ドア14をさらに備える。第2の内気導入ドア14は、通路11aの車両後方側に設けられて上流側が軸支されるフラップドアであり、第2内気導入口11eを介して車室3内からの空気が導入される場合に、ドア先端が第2内気導入口11eを遮断する位置から、ガイド部11fの下流側までの間に位置する。
【0090】
このような空調装置100によれば、第2の内気導入ドア14のドア先端が、内気導入口11eを遮断する位置から、ガイド部11fの下流側までの間に位置するので、外気導入口11bからの空気と内気導入口11dからの空気を任意の割合で混合することができる。また、ガイド部11fの下流側に近接する場合は、外気導入口11bからの空気が第2の内気導入ドア14を超えて通路11aの下流側に流れることを抑制できる。また、第2の内気導入ドア14とガイド部11fとによって、第2内気導入口11eから通路11a内に導入される空気をフィルタ部12へ案内できるので、通路11a内の空気の流れの偏りを減らすことができる。
【0091】
また、空調装置100では、車両1の外部の空気を通路11a内に導入する外気導入モードである場合に、第1の内気導入ドア13は、第1内気導入口11dから導入される空気が通路11aを通過するのを遮断し、第2の内気導入ドア14は、第2内気導入口11eから導入される空気が通路11aを通過するのを遮断する。
【0092】
このような空調装置100によれば、第1の内気導入ドア13や第2の内気導入ドア14によって、車室3内からの空気の流れを遮断でき、外気導入口11bを介して車両1の外部の空気のみを通路11a内に導入できるので、車室3内の換気を伴う外気導入モードによる空調を適切に行うことができる。
【0093】
また、空調装置100では、車室3内の空気を通路11a内に導入する内気循環モードである場合に、第1の内気導入ドア13および第2の内気導入ドア14は、外気導入口11bから導入される空気が通路11aを通過するのを遮断する。
【0094】
このような空調装置100によれば、車両1の外部からの空気の流れを遮断でき、第1内気導入口11dや第2内気導入口11eを介して車室3内からの空気のみを通路11aに導入できるので、空調された空気を再度利用する内部循環モードによる空調を適切に行うことができる。
【0095】
また、空調装置100では、車両1の外部の空気(外気)および車室3内の空気を通路11a内に導入する部分再循環モードである場合に、第1の内気導入ドア13と第2の内気導入ドア14との一方は、外気導入口11bから導入される空気が通路11aを通過するのを制限もしくは遮断し、他方は、第1内気導入口11dまたは第2内気導入口11eから導入される空気が通路11aを通過するのを遮断する。
【0096】
このような空調装置100によれば、ガイド部11fと第1の内気導入ドア13と第2の内気導入ドア14とによって、外気のみが通過する通路と、車室3内からの空気のみもしくは内気と外気を任意の割合で混合された空気が通過する通路とを、通路11a内にそれぞれ形成できるので、外気を取り入れ換気しつつ空調された空気を再度利用する部分再循環モードによる空調を適切に行うことができる。
【0097】
また、空調装置100では、部分再循環モードである場合に、第1の内気導入ドア13は、外気導入口11bから導入される空気が通路11aを通過するのを制限もしくは遮断し、第2の内気導入ドア14は、第2内気導入口11eから導入される空気が通路11aを通過するのを遮断する。
【0098】
このような空調装置100によれば、車室3内の空気は第1内気導入口11dを介して車室3から離れている車両前方から取り込まれ、車両1の外部の空気は外気導入口11bを介して同様に車室3から離れている車両前方から取り込まれる。したがって、車室3から離れている位置から空気を通路11a内に取り込めるので、空気を取り込む際のノイズが車室3に伝わることを抑制でき、車室3内の静音環境を高く保つことができる。
【0099】
また、空調装置100では、第1内気導入口11dは、フィルタ部12の上流面から垂直に延びる垂直面領域の領域外に配置される。ガイド部11fは、第1内気導入口11dから通路11a内に導入される空気をフィルタ部12へ案内する。
【0100】
このような空調装置100によれば、第1内気導入口11dから導入される空気の流れる方向も、外気導入口11bから導入される空気の流れと同様に、通路11a内で急激に変えられることになるが、第1内気導入口11dから導入される空気をガイド部11fによってフィルタ部12へ案内できるので、空気の流れの偏りを減らすことができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0102】
例えば、上記の空調装置100では、ガイド部11fの上流側端部11f1は、開位置にあるときの第1の内気導入ドア13のドア先端と近接する位置に配置されたが、外気導入口11bの開口面付近まで通路11aに沿って延ばしてもよい。この場合には、開位置にあるときの第1の内気導入ドア13のドア先端は、ガイド部11fの側部と近接することで、同様に通路11aを遮断することができる。
【0103】
また、第1の内気導入ドア13、213や第2の内気導入ドア14として、フラップドアやロータリードアを用いたが、ドア中央部を軸支したバタフライドアや、複数のスライドドア等の他のドアを適宜用いてもよい。
【解決手段】車両用空調装置100は、車両前方に開口し車両1の外部の空気(外気)を導入可能な外気導入口11b、および導入された空気を前方に導出可能な空気導出口11cを有し、内部に空気の通路11aを形成するケース11と、空気導出口11cの上流側に配置され、内部を空気が通過可能なフィルタ部12と、フィルタ部12の下流側に配置され、通路11a内に導入された空気を吸い込み可能な送風機20と、を備える。通路11aは、外気導入口11bの開口面とフィルタ部12の上流面との間で角度θが鈍角になるように屈曲形成される。ケース11は、通路11aにおけるフィルタ部12の上流側の空気の一部を、車両前方に向かうように整流し、フィルタ部12へ案内するガイド部11fを有する。