(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力を生み出すターボ機械(243;143)は、前記出力を生み出すターボ機械(143)を通るガス流量を調整するための少なくとも1つの調整装置(149;151)を前記コントローラ(12)に機能的に接続して備える、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様によれば、先行技術の上述の欠点に対処するために、実質的に一定の回転速度で回転するように構成された主ドライバと、主ドライバによって駆動されて回転するように構成された回転負荷とを備えるシステムが開示される。このシステムは、負荷回転速度を制御可能に調整するためのコントローラと、主ドライバと負荷との間に配置され、第1の入力シャフトと、第2の入力シャフトと、出力シャフトとを有する速度加算ギア機構を備える可変速伝達装置とをさらに備える。速度加算ギア機構の第2の入力シャフトに機械的に接続され、第2の入力シャフトを駆動して回転させるように構成された補助ドライバが、さらに設けられる。加算ギア機構の第1の入力シャフトは、主ドライバに駆動可能に接続され、速度加算ギア機構の出力シャフトは、回転負荷に駆動可能に接続される。出力シャフトの速度は、主ドライバおよび補助ドライバの速度の組み合わせである。補助ドライバを操作して、主ドライバと負荷との間の伝達比を変更することができる。このようにして、主ドライバを一定の回転速度、すなわち固定された回転速度で回転させることができる一方で、負荷の回転速度を、補助ドライバの動作を制御することによって調節することができる。
【0006】
主ドライバが電気モータである場合に、主ドライバのための可変周波数ドライバを省略することができる。
【0007】
補助ドライバは、例えばターボエキスパンダあるいは水蒸気または蒸気タービンなど、ターボ機械であってよい。いくつかの実施形態において、回転負荷はガス圧縮機であってよく、ターボエキスパンダを、ガス圧縮機によって処理されたガスによって動作させることができる。
【0008】
またさらなる実施形態において、補助ドライバは、例えばORC(有機ランキンサイクル)などの閉じた熱力学サイクルの一部を形成するターボ機械であってよい。このような実施形態において、例えばガスタービンエンジンまたは他の低温熱源からの廃熱を、補助ドライバの駆動に有用に利用することができる。
【0009】
補助ドライバを、速度加算ギア機構の第2の入力シャフトに直接的に、あるいは間接的に、すなわち例えば通常のギア列を形成する1つ以上のギアを介在させて、機械的に接続することができる。
【0010】
第1の入力シャフトを、直接的に、あるいは例えばギアボックスを介して間接的に、主ドライバに駆動可能に接続することができる。同様に、速度加算ギア機構の出力シャフトを、直接的に、あるいは間接的に、すなわち例えばギアボックスまたは他の追加の速度調整装置を介在させて、負荷へと機械的に接続することができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、負荷はターボ機械であってもよく、例えば遠心圧縮機、軸流圧縮機、または混合アキシャルラジアル圧縮機などの圧縮機であってよい。他に考えられる回転負荷として、レシプロ圧縮機を挙げることができ、その場合、主ドライバはレシプロ圧縮機のクランクシャフトを回転させる。
【0012】
本明細書に開示の構成は、主ドライバが電気モータであるシステムにおいてとくに有用かつ好都合であるが、ガスタービンまたは蒸気タービンなどの他の主ドライバを代わりに使用することも可能である。本明細書に記載のシステムは、主ドライバが固定速度または定速の主機械であるすべての状況に適している。このシステムは、一定の速度で回転するように制約されたドライバ(可変周波数ドライバまたは他の周波数変換装置を持たない電気モータなど)だけでなく、例えば効率を最大化するために一定の速度で動作させることが好ましいドライバなど、主ドライバが実質的に一定の回転速度で回転するように構成されている場合に、常に有用である。
【0013】
とくに好都合な実施形態において、速度加算ギア機構は、遊星ギア列を備える。ここで最も広い意味で理解されるように、遊星ギア列は、少なくとも2つの互いに噛み合うギアからなる機構であり、これらのギアのうちの少なくとも1つが、これらの少なくとも2つの互いに噛み合うギアのうちの他方のギアの回転軸の周囲を回転する回転部材上に無為に(idly)支持されている。
【0014】
本明細書に開示される構成において、遊星ギア列は、少なくとも2つの自由度と、少なくとも3つの噛み合うギアとを有し、そのうちの少なくとも1つ(遊星ギア)が、遊星ギア列を形成する噛み合うギアのうちの別の1つの不動の回転軸の周囲を回転する部材(遊星キャリア)上に無為に支持される。
【0015】
さらなる態様によれば、可変速の回転負荷を動作させるための方法であって、
回転負荷を、定速の主ドライバで、第1の入力シャフトと、第2の入力シャフトと、出力シャフトとを備えており、第1の入力シャフトが主ドライバに駆動可能に接続されている速度加算ギア機構を介して、駆動するステップと、
補助ドライバによって第2の入力シャフトへと補助動力を供給し、補助ドライバの速度を調整することによって負荷の回転速度を制御することで、回転負荷の速度を変更するステップと
を含む方法が開示される。
【0016】
特徴および実施形態が、本明細書において以下で開示され、本明細書の一体の一部分を形成する添付の特許請求の範囲にさらに記載される。以上の簡単な説明は、以下の詳細な説明をよりよく理解できるようにするため、および本発明の技術的貢献をよりよく理解できるようにするために、本発明の種々の実施形態の特徴を記載している。当然ながら、以下で説明され、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の他の特徴も存在する。この点で、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の実施形態が、それらの応用において、以下の説明において述べられ、あるいは図面に示される構成の詳細および構成要素の配置に限定されないことを、理解すべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、さまざまなやり方で実施および実行することが可能である。また、本明細書において用いられる表現および用語が、説明を目的とするものであり、限定とみなされてはならないことを、理解すべきである。
【0017】
したがって、本開示の根底にある考え方を、本発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、および/またはシステムを設計するための基礎として容易に利用できることを、当業者であれば理解できるであろう。したがって、特許請求の範囲を、本発明の趣旨および範囲から逸脱しない限りにおいて、そのような等価な構成を含むと考えることが重要である。
【0018】
開示される本発明の実施形態およびそれらに付随する多くの利点のさらに完全な認識が、それらが以下の詳細な説明を参照し、添付の図面と併せて検討することによってよりよく理解されるときに、容易に得られるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
典型的な実施形態についての以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。別々の図面における同じ参照番号は、同一または類似の要素を表す。さらに、図面は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。また、以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0021】
本明細書の全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、または「いくつかの実施形態」への言及は、或る実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体のさまざまな場所において「一実施形態において」、「実施形態において」、または「いくつかの実施形態において」という表現が現れたとき、それは必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切なやり方で組み合わせられてよい。
【0022】
ここで
図1を参照すると、一実施形態において、システム1は、主ドライバ3と回転負荷5とを備える。
図1の典型的な実施形態において、回転負荷5は、2つの回転機械5Aおよび5Bを備える。回転機械5A、5Bの一方または両方は、例えば、遠心圧縮機もしくは軸流圧縮機、またはレシプロ圧縮機、あるいはこれらの組み合わせなど、圧縮機を備えることができる。以下の説明においては、例として、回転機械5A、5Bの両方が圧縮機であると仮定する。
図1の概略図によれば、2つの圧縮機5A、5Bは、単一のシャフト7に機械的に結合し、したがって同じ速度で回転する。図示されていないが、他の実施形態においては、例えば、2つの圧縮機5A、5Bが異なる回転速度で回転できるように、2つの圧縮機5A、5Bの間にギアボックスを配置することができる。
【0023】
図1の実施形態において、主ドライバ3は、配電網9によって電力が供給される電気モータを含むことができる。主ドライバ3は、可変周波数ドライバを省くことができるように、固定の回転速度、すなわち一定の回転速度で、回転することができる。
【0024】
負荷5の回転速度を変更するために、可変速伝達装置11が、主ドライバ3と負荷5との間の軸線に沿って配置されている。可変速伝達装置11を、コントローラ12に機能可能に接続することができ、コントローラ12はさらに、負荷5または一部分が負荷5によって形成されるプロセスと、やり取りすることができる。コントローラ12を、可変速伝達装置11の出力を負荷5に駆動可能に接続するシャフト7の回転速度を、主ドライバ3を可変速伝達装置11の入力へと駆動可能に接続するシャフト13の固定の回転速度に対して変更するように構成することができる。
【0025】
図2が、本開示によるシステムのさらなる実施形態を示している。同じ参照番号は、
図1に示した構成要素、要素、または部分と同じ構成要素、要素、または部分を示しており、再度の説明は省略する。
図1のシステムと
図2のシステムとの間の主な違いは、可変速伝達装置11の出力シャフト8と、負荷5へと運動を伝達するシャフト7との間に配置されたギアボックス15である。ギアボックス15を、例えば、主ドライバ3の出力シャフトの回転速度と負荷5の回転速度との間の必要な速度比を、可変速伝達装置11だけでは達成できない場合に、使用することができる。
【0026】
ここで、
図1および
図2を引き続き参照しつつ、
図3を参照して、可変速伝達装置11について可能な実施形態を説明する。可変速伝達装置11は、第1の入力シャフト23と、第2の入力シャフト25と、出力シャフト27とを備える速度加算ギア機構21を備える。出力シャフト27は、シャフト7に機械的に接続され、あるいはシャフト7の一部を形成することができる。入力シャフト23は、シャフト13に機械的に接続され、あるいはシャフト13の一部を形成することができる。
【0027】
図3の実施形態において、速度加算ギア機構21は、遊星ギア列である。遊星ギア列21は、リングギア31と、複数の遊星ギア35を支持する遊星キャリア33とを備える。各々の遊星ギア35は、遊星キャリア33に拘束されて遊星キャリア33と一緒に回転するピン37上に無為に取り付けられている。遊星ギア列21は、出力シャフト27にキー止めされて出力シャフト27と一緒に回転するサンギア39をさらに備える。
【0028】
図3の実施形態において、リングギア31は、内歯ギアであり、遊星ギア35は、内歯のリングギア31と噛み合っている。遊星ギア35は、サンギア39にさらに噛み合っている。遊星キャリア33は、リングギア31、サンギア39、および遊星キャリア33が同軸となるように、第1の入力シャフト23にキー止めされ、リングギア31およびサンギア39の軸を中心にして第1の入力シャフト23と一緒に回転する。
【0029】
リングギア31は、補助ドライバ43から運動を受け取るギア41と一体的に回転する。
図3の実施形態において、補助ドライバ43は、補助ドライバ43の駆動軸47にキー止めされたピニオン45を介してギア41に機械的に接続される。このように、遊星ギア列21は、2自由度を有し、主ドライバ3および補助ドライバ43から入力を受け取る。
【0030】
図3の実施形態において、補助ドライバ43は電気モータである。電気モータ43は、配電網9から電力を受け取る。電気モータ43を可変の速度で回転させるために、可変周波数ドライバ(VFD)49が、配電網9と電気モータ43との間に配置されている。
【0031】
公知のとおり、遊星ギア列の最初のギアと最後のギアとの間の速度比τ
0は、ウィリス(Willis)の式
【0032】
【数1】
によって与えられ、ここで、
Ω
nは、遊星ギア列の最後のギアの回転速度であり、
Ω
pは、遊星キャリアの回転速度であり、
Ω
1は、遊星ギア列の最初のギアの回転速度である。
【0033】
ウィリスの式によって示されるように、第1の入力シャフト23と出力シャフト27との間の伝達比を、リングギア31の回転速度を調節することによって調整することができる。リングギア31の回転速度を、可変周波数ドライバ49によって達成される補助ドライバすなわち電気モータ43の回転速度の制御によって制御することができる。
【0034】
負荷5の定格速度付近の速度変動の範囲は、通常は小さい。遊星ギア列21を、例えば最大速度(例えば、負荷5の定格速度の105%)であってよい所与の予め設定された回転速度での負荷5の駆動に適した速度伝達比をもたらすように設計することができる。例えば負荷を定格速度の100%または100%未満で駆動すべき場合など、異なる速度が必要とされる場合には、補助ドライバ43を作動させることで、リングギア31を、ウィリスの式に基づいて、出力シャフト27が負荷5の必要な回転速度で回転するような速度で回転させる。補助ドライバ43を、両方向(時計回りおよび反時計回り)に回転するように制御することができ、さらには、補助ドライバ43がリングギア31を制動するときに、補助ドライバ43によって電気エネルギを回収することができる。
【0035】
負荷5の回転速度の変動の範囲は比較的小さいため、リングギア31の回転速度、したがって補助ドライバ43から必要とされる全動力は、主ドライバ3によってもたらされる駆動力と比べて小さい。例えば、この機構を、負荷5が定格速度の約105%で動作しているときに、補助ドライバ43から必要とされる動力が入力全体の約15%になるように設定することができる。
【0036】
したがって、補助ドライバ43を所望の回転速度で回転させるために必要な可変周波数ドライバ49は、回転速度の調節を主ドライバ3の速度を変化させることによって制御する場合に必要とされる可変周波数ドライバと比べて、大幅に小さい定格電力を有することができる。したがって、可変周波数ドライバ49は、主ドライバ3を可変の速度で駆動するために適した可変周波数ドライバと比べ、大幅に小型で経済的である。さらに、可変周波数ドライバの効率は100%よりも低いため、負荷5の駆動に必要な総電力のほんの一部だけを処理する可変周波数ドライバ49は、すべての電力が主ドライバ3に組み合わせられた可変周波数ドライバによって変換される現状の技術の機構と比べて、全体としての電力変換ロスも少なくする。
【0037】
図2の速度加算ギア機構21は、サンギアが出力シャフト27にキー止めされ、すなわち速度加算ギア機構の出力がサンギアである一方で、第1の入力シャフトが、遊星キャリア33に駆動可能に結合したシャフト23であり、第2の入力シャフトが、リングギア31に駆動可能に結合したシャフト25であるように、構成されている。これは、速度加算ギア機構について可能な唯一の構成ではない。当業者にとって公知のとおり、遊星ギア列を、いくつかの異なるやり方で構成することができ、その種々の回転部材を、さまざまなやり方で入力部材または出力部材として使用することができる。
【0038】
図4が、別の速度加算ギア機構21を使用する可変速伝達装置11のさらなる実施形態を示している。同じ参照番号は、
図3に示した構成要素と同一または同等な構成要素を指している。
【0039】
速度加算ギア機構21は、やはり遊星ギア列であり、第1の入力シャフト23と、第2の入力シャフト25と、出力シャフト27とを備える。出力シャフト27は、シャフト7に機械的に接続され、あるいはシャフト7の一部を形成することができる。入力シャフト23は、シャフト13に機械的に接続され、あるいはシャフト13の一部を形成することができる。
【0040】
図4の遊星ギア列21は、リングギア31と、複数の遊星ギア35を支持する遊星キャリア33とをやはり備える。各々の遊星ギア35は、遊星キャリア33に拘束されて遊星キャリア33と一緒に回転するそれぞれのピン37上に無為に取り付けられている。遊星ギア列21は、出力シャフト27にキー止めされて出力シャフト27と一緒に回転するサンギア39をさらに備える。
図4の実施形態において、リングギア31は、やはり内歯ギアであり、遊星ギア35は、内歯のリングギア31と噛み合っている。遊星ギア35は、サンギア39にさらに噛み合っている。
図3の実施形態とは異なり、
図4においては、リングギア31が第1の入力シャフト23にキー止めされ、第1の入力シャフト23と一緒に回転する。
【0041】
遊星キャリア33に、補助ドライバ43からの運動を受け取るギア42が設けられている。
図4の実施形態において、補助ドライバ43は、補助ドライバ43の駆動軸47にキー止めされたピニオン45を介してギア42に機械的に接続される。
【0042】
図3と同様に、
図4においても、補助ドライバ43は、配電網9によって電力が供給される電気モータである。補助ドライバ43の回転速度の変化は、やはり配電網9と電気モータ43との間に配置された可変周波数ドライバ(VFD)49を介して得られる。
【0043】
したがって、
図4の実施形態において、主ドライバ3は、可変速伝達装置11を介して負荷5へと主たる動力を伝達し、その伝達比は、
図3の実施形態に示したとおりのリングギア31への作用ではなく、遊星キャリア33への作用によって調節される。
【0044】
両方の実施形態において、負荷5の回転速度は、補助ドライバ43への作用によって負荷5の回転速度を調節するための信号を可変速伝達装置11へともたらすコントローラ12によって制御される。
【0045】
図5が、本開示によるシステムのさらなる実施形態の概略図を示している。システムは、やはり全体として1と標記され、主ドライバ3および負荷5を備えている。主ドライバ3は、電気モータなどの定速ドライバであってよい。負荷は、ここでは、例えば遠心圧縮機、軸流圧縮機、またはレシプロ圧縮機などの単一の圧縮機5として示されている。可変速伝達装置11が、ドライバと負荷5との間に配置され、シャフト13を介して主ドライバ3に駆動可能に接続され、シャフト7を介して負荷5に駆動可能に接続される。可変速伝達装置11を介して負荷5の回転速度を制御するように構成されたコントローラ12が設けられる。
【0046】
ここで、
図5を引き続き参照しつつ、
図6を参照して、
図5のシステムのための可変速伝達装置11について可能な実施形態を説明する。可変速伝達装置11は、第1の入力シャフト23と、第2の入力シャフト25と、出力シャフト27とを備える速度加算ギア機構21を備える。出力シャフト27は、シャフト7に機械的に接続され、あるいはシャフト7の一部を形成することができる。入力シャフト23は、シャフト13に機械的に接続され、あるいはシャフト13の一部を形成することができる。
【0047】
図6の実施形態において、速度加算ギア機構21は、
図3と実質的に同じやり方で構成された遊星ギア列である。遊星ギア列21は、リングギア31と、複数の遊星ギア35を支持する遊星キャリア33とを備える。各々の遊星ギア35は、遊星キャリア33に拘束されて遊星キャリア33と一緒に回転するピン37上に無為に取り付けられている。遊星ギア列21は、出力シャフト27にキー止めされて出力シャフト27と一緒に回転するサンギア39をさらに備える。
図6の実施形態において、リングギア31は、内歯ギアであり、遊星ギア35は、内歯のリングギア31およびサンギア39と噛み合う。遊星キャリア33は、第1の入力シャフト23にキー止めされ、第1の入力シャフト23と一緒に回転する。
【0048】
リングギア31は、補助ドライバ143から運動を受け取るギア41と一体的に回転する。
図6の実施形態において、補助ドライバ143は、補助ドライバ143の駆動軸47にキー止めされたピニオン45を介してギア41に機械的に接続される。
【0049】
図6の実施形態において、補助ドライバ143は、例えば求心ターボエキスパンダなど、可変の入口ガイドベーン149を備えることができるターボエキスパンダである。ターボエキスパンダ143を、例えば入口ダクト145(
図5)を通ってもたらされる圧縮されたプロセスガスによって動作させることができる。圧縮されたプロセスガスは、ターボエキスパンダ143において膨張し、送出ダクト147(
図5)を通って排出される。ターボエキスパンダ143におけるプロセスガスのエンタルピの減少が、機械的な動力に変換され、リングギア31を駆動する。ターボエキスパンダ143によって生成される機械的な動力の量、したがってリングギア31の回転速度、最終的には可変速伝達装置11の伝達比を、可変の入口ガイドベーン149および/またはガス圧力弁151によって調整することができる。コントローラ12を、可変の入口ガイドベーン149およびガス圧力弁151の両方を操作し、あるいはこれらの構成要素のうちの一方だけを操作して、可変速伝達装置11の伝達比を調節し、出力シャフト27の回転速度を負荷5の必要な回転速度へと適合させるために、これらの構成要素に機能的に接続することができる。
【0050】
いくつかの実施形態においては、
図5に概略的に示されるように、ターボエキスパンダ143において膨張するガスが圧縮機5によってもたらされ、すなわち圧縮機5によって処理されたガスの一部が、ターボエキスパンダ143を介して機械的な動力をもたらすために使用される。ターボエキスパンダは、必要に応じて、システムの始動時にターボエキスパンダのシャフトをロックするためのブレーキを備えることができる。これは、とくには、ターボエキスパンダ143において膨張するガスが圧縮機5によって処理されるガスと同じガスである場合に当てはまる。
【0051】
他の実施形態においては、加圧された流体の別の供給源を、ターボエキスパンダを動作させるために設けることができる。またさらなる実施形態においては、例えばポンプなど、加圧された液体が動力源として利用可能な場合に、別のターボ機械を使用することができる。
【0052】
図5および
図6を引き続き参照しつつ、
図7を参照すると、可変速伝達装置11のさらなる実施形態が示されている。
図6および
図7の実施形態の間の違いは、主として、遊星ギア列21のギアの異なる配置に関係する。
図7の遊星ギア列21は、リングギア31と、複数の遊星ギア35を支持する遊星キャリア33とをやはり備える。各々の遊星ギア35は、遊星キャリア33に拘束されて遊星キャリア33と一緒に回転するそれぞれのピン37上に無為に取り付けられている。遊星ギア列21は、出力シャフト27にキー止めされて出力シャフト27と一緒に回転するサンギア39をさらに備える。
図7の実施形態において、リングギアは、やはり内歯ギアであり、遊星ギア35は、内歯のリングギア31と噛み合っている。遊星ギア35は、サンギア39にさらに噛み合っている。
図6の実施形態とは異なり、
図7においては、リングギア31が第1の入力シャフト23にキー止めされ、第1の入力シャフト23と一緒に回転する。
【0053】
遊星キャリア33には、遊星キャリア33と一体に回転するギア42が設けられている。ギア42は、補助ドライバ143から運動を受け取る。
図7の実施形態において、補助ドライバ143は、補助ドライバ143の駆動軸47にキー止めされたピニオン45を介してギア42に機械的に接続される。一例として、さらなるギア列46,48が、ピニオン45とギア42との間に配置される。
【0054】
図8が、
図7の遊星ギア列21の主要な構成要素を示す線VIII−VIIIに沿った断面図を示している。
【0055】
図7の可変速伝達装置11の動作は、
図6に関連して上述した動作と実質的に同じである。
【0056】
図9が、本開示によるまたさらなる実施形態を示している。同じ参照番号は、これまでの図に関連してすでに開示した要素と同じ、または対応する要素を指す。
図9の実施形態において、可変速伝達装置11は、例えばORC(有機ランキンサイクル)などのターボ機械243の形態の補助ドライバに接続されている。参照番号23および27は、やはり可変速伝達装置11の入力シャフトおよび出力シャフトを指している。可変速伝達装置11の内部構成要素は、
図9には示されておらず、本明細書に開示の実施形態のいずれか1つに従って設計され得る。
【0057】
ORCタービン243は、例えば有機ランキンサイクルの閉回路245に配置される。他の実施形態において、閉回路245はランキンサイクルであってよく、タービン243は蒸気タービンであってよい。
【0058】
回路245を、当業者にとって公知の任意のやり方で設計することができる。要約すると、回路245は、凝縮器または冷却器247と、ポンプ249と、熱交換器251とを備えることができる。作動流体が閉回路を循環し、周期的な熱力学的変化を被り、熱交換器251からの熱をタービンまたはターボエキスパンダ243の出力シャフトにおいて利用することができる有用な機械的動力に変換する。
【0059】
熱交換器251の高温側が、ガスタービンエンジン253のガス排出スタック、ガス往復動モータ、または任意の他の廃熱源、すなわち比較的低温の熱を利用することができる場所から、熱を受け取ることができる。ガスタービンエンジン253は、ガス発生機構の一部を形成することができ、発電機255を駆動するために使用することができる。他の実施形態においては、ガスタービンエンジン253を、例えば圧縮機または圧縮機列、ポンプ、あるいは回転負荷の任意の組み合わせを駆動するなど、機械的な駆動の用途に使用することができる。
【0060】
廃熱が、熱交換器251において排出燃焼ガスから回収され、例えばシクロペンタンまたは任意の他の適切なOCR流体などの有機流体を気化させて加熱するために使用される。次いで、高温の加圧された流体は、ターボエキスパンダまたはタービン245において膨張し、凝縮器247において冷却され、おそらくは凝縮し、ポンプ249によって再び熱交換器251へと送られる。
【0061】
ターボエキスパンダまたはタービン245における流体の膨張が、機械的な動力を発生させる。動力を、ターボエキスパンダまたはタービン245を可変速伝達装置11に機械的に接続する駆動軸47を介して、入力の機械的な動力として使用することができる。例えば可変速伝達装置11が必要とする動力が皆無または少なく、あるいは熱交換器251から利用することができる廃熱が可変速伝達装置11が必要とする動力の程度を超えるなどの理由で、余分な機械的な動力をターボエキスパンダまたはタービン245のシャフトにおいて利用できる場合、ターボエキスパンダまたはタービン245の出力シャフトにおいて利用することができる機械的な動力の少なくとも一部を、補助発電機257によって電力に変換することができる。
【0062】
図9の構成は、最高温度サイクル(ガスタービンエンジン253)からの廃熱を利用して有用な電力および/または機械的な動力が生み出され、その少なくとも一部を可変速伝達装置11のための補助入力として使用することができる複合サイクルの全体的なエネルギ効率の改善をもたらすことができる。可変速伝達装置11の補助入力シャフトを駆動するための追加の高品質な電力は不要である。
【0063】
本明細書に記載の主題について開示される実施形態を、いくつかの典型的な実施形態に関して、具体的かつ詳細に、図面に示し、充分に上述したが、本明細書において説明した新規な教示、原理、および考え方、ならびに添付の特許請求の範囲に記載される主題の利点から実質的に離れることなく、多数の変更、変化、および省略が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。
【0064】
例えば、上述の実施形態において、速度加算ギア機構は、各々の遊星ギアがリングギアおよびサンギアの両方と噛み合う単純な遊星ギア列によって形成されている。他の実施形態においては、複雑な遊星ギア列を想定することができる。この種の遊星ギア列において、遊星ギアの各々は、リングギアのみまたはサンギアのみのいずれかと噛み合う。この場合、遊星キャリアは、遊星ギアのペアを支持する。
【0065】
さらに、上記開示の実施形態において、リングギアは内歯ギアであり、すなわち歯が内側に配置された中空リングであるが、他の実施形態において、リングギアは、サンギアと全く同じやり方で外歯ギアであってよい。実際に、場合によっては、リングギアおよびサンギアが、どちらもサンギアと呼ばれる。
【0066】
したがって、開示される技術革新の適切な範囲は、すべてのそのような変更、変化、および省略を含むように、添付の特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ定められるべきである。加えて、プロセスまたは方法のあらゆるステップの順序または並びは、代案の実施形態に従って変更または並べ替えが可能である。