(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドローバーを主軸の軸線方向に後退させて工具を主軸にクランプし、ドローバーを前記軸線方向に前進させて工具をアンクランプする工具クランプ装置を有し、主軸にクランプされた工具と工具収納部の工具とを自動的に交換する際の工作機械の工具交換制御方法において、
工作機械の送り軸が工具交換位置へ向けて位置決め動作中に、ドローバーのクランプ位置からアンクランプ位置までの全ストロークのうち、工具を主軸から脱離させない第1のストロークだけ先行してドローバーを前進させ、
前記送り軸が、工具交換位置へ位置決めされた後、工具交換動作中に、ドローバーの全ストロークのうち残りの第2のストロークの前進を開始し、
工具がアンクランプされた後、続けて一連の工具交換動作を完了させることを特徴とした工作機械の工具交換制御方法。
前記送り軸が工具交換位置へ向けて位置決め動作中において、主軸側のキーが工具側のキー溝に係合するように、主軸を所定の回転角度位置に停止させる主軸オリエンテーション動作が終了したときに、前記ドローバーの前記第1のストロークの前進を開始するようにした請求項1に記載の工作機械の工具交換制御方法。
前記主軸オリエンテーション動作後、前記送り軸の工具交換位置へ向けての位置決め動作が完了する前に、前記ドローバーの前記第1のストロークの前進動作を完了するようにした請求項2に記載の工作機械の工具交換制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明を適用する工作機械の一例を示す
図4を参照すると、工作機械100は、横形マシニングセンタを構成しており、工場の床面に固定された基台としてのベッド102、ベッド102の前方部分(
図4では手前側)の上面で前後方向またはZ軸方向(
図4では紙面に垂直な方向)に延設された一対のZ軸ガイドレール102bに沿って往復動可能に設けられ上面にパレット110を着脱可能に取り付けるテーブル108、ベッド102の後方部分(
図4では奥側)の上面で左右方向またはX軸方向に延設された一対のX軸ガイドレール102aに沿って往復動可能に設けられたコラム104、該コラム104の前面で上下方向またはY軸方向に延設されたY軸ガイドレール104aに沿って往復動可能に設けられ、主軸208を水平な中心軸Oを中心として回転可能に支持する主軸装置200を搭載したY軸スライダ106具備している。
【0012】
更に、工作機械100は、コラム104をX軸方向に駆動するX軸送り装置、Y軸スライダ106をY軸方向に駆動するY軸送り装置、および、テーブル108をZ軸方向に駆動するZ軸送り装置を具備している。X軸、Y軸、Z軸送り装置の各々は、X軸、Y軸、Z軸に沿って延設されたボールねじ(図示せず)、該ボールねじに係合するナット(図示せず)および前記ボールねじの一端に結合されたサーボモータを具備している。
図4の例では、X軸、Y軸、Z軸送り装置の各々のX軸サーボモータ112、Y軸サーボモータ114およびZ軸サーボモータ116が図示されている。
【0013】
また、工作機械100は、X軸、Y軸、Z軸送り装置の各々の座標値、つまりコラム104のX軸に沿った座標(X座標)、Y軸スライダ106のY軸に沿った座標(Y座標)およびテーブル108のZ軸に沿った座標(Z座標)を検出する送り軸位置検出器として、X軸、Y軸、Z軸デジタルスケール(図示せず)を具備することができる。送り軸位置検出器は、X軸、Y軸、Z軸デジタルスケールに代えて、X軸サーボモータ112、Y軸サーボモータ114およびZ軸サーボモータ116に取付けたロータリエンコーダ(図示せず)としてもよい。
【0014】
工作機械100が構成する横形マシニングセンタは、工作機械100における加工に必要な複数の工具を収納する工具マガジン400と、該工作機械100を制御する制御装置10(
図5参照)からの指令に基づき、工具マガジン400に収納された工具の1つと、工作機械100の主軸208の先端に装着された工具Tとを交換する工具交換装置300を備える。工作機械100、工具マガジン400および工具交換装置300はカバー(図示せず)内に収容することができる。
【0015】
工具マガジン400は円板状に形成されたベース部材402を具備している。ベース部材402は、半径方向外方に開口し周方向に等角度間隔で配設された複数の凹部からなる受容部402aを有しており、該受容部402aの各々に工具ホルダに装着された工具Tが保持される。なお、本明細書では、工具ホルダと該工具ホルダに装着された工具との組合せを工具Tと称する。ベース部材402は、水平に保持された回転軸404によって不図示のフレーム等の支持構造に鉛直面内で回転するように支持されている。回転軸404は、ベース部材402を回転駆動するサーボモータ(図示せず)の出力軸に結合されている。
【0016】
工具交換装置300は、工具マガジン400と工作機械100との間に配設され、交換アーム302と、シフタ308とを具備している。交換アーム302の両端には工具Tを把持するグリッパ302a、302bが設けられている。工具交換装置300は、交換アーム302のためのアクチュエータ306を具備している。アクチュエータ306は、好ましくは、回転と直線動作とが可能なタイプの油圧アクチュエータまたは電動アクチュエータであり、出力軸304の回転位置を検出するロータリエンコーダ(図示せず)、および、出力軸304の軸方向の移動の始点と終点を検出するポジションスイッチ(図示せず)のような工具交換装置位置検出器を備えている。交換アーム302は、アクチュエータ306の出力軸304に取付けられており、Z軸方向に進退する直線動作と、Z軸に対して垂直な平面(鉛直平面)内で90°または180°回転する回転動作が可能となっている。
【0017】
シフタ308は、工具マガジン400と交換アーム302との間で工具Tを水平方向(X軸方向)に往復動可能に設けられている。シフタ308は、工具マガジン400の待機位置410にある工具Tをベース部材402の受容部402aから受け取り、該工具Tを工具授受位置310へ移送する。また、シフタ308は、反対に、工具授受位置310において交換アーム302から工具Tを受け取り、該工具Tを待機位置410に配置されている工具マガジン400の空の受容部402aへ装着する。シフタ308は、水平方向の往復動作のために、流体圧シリンダやシリンダのような直動アクチュエータ(図示せず)を具備している。
【0018】
図1に本発明を適用する主軸装置200の一例を示す。主軸装置200は、ベアリング204a、204bを介して主軸208を回転可能に支持するハウジング202を具備している。ハウジング202内には、主軸208を回転駆動するために、主軸208の外周面に結合されたロータ210およびハウジング202の内面に結合されたステータ212から成る主軸モータを具備している。また、主軸装置200は、主軸208の回転位置を検出する主軸回転検出器を具備している。主軸回転検出器は、例えば主軸208の後端部に取付けられたロータリエンコーダ(図示せず)によって形成することができる。
【0019】
主軸208は、回転軸線Oに沿って延びる中空部材より成り、先端部に工具Tのテーパ部を受容するテーパ穴208aが形成されている。テーパ穴208a内には、装着される工具ホルダのテーパ部をテーパ穴208aの内面に押圧する複数のコレット206が配設されている。なお、
図1〜3では、工具Tは、工具ホルダのみ図示されている。また、本例では工具Tの工具ホルダは、二面拘束型の工具ホルダ(HSKホルダ)であるが、プルスタッドを有したBTシャンク工具ホルダ等他の形式の工具ホルダであってもよい。
【0020】
主軸208の内部に回転軸線Oに沿ってドローバー214が軸方向に移動可能に配設されている。ドローバー214は、皿ばね216によって常に主軸208の後方(
図1〜3では右方)に付勢されている。ドローバー214の先端部には、コレット206をテーパ穴208aの内周面へ向けて押圧する大径部232が形成されている。また、ドローバー214は、その中心軸に沿って延びる中心孔218が形成されており、後述するロータリジョイントを介して受け入れた加工液を中心孔218を通して工具Tの先端から噴出させるようになっている。本実施形態では、コレット206、ドローバー214および皿ばね216が、工具Tを主軸208のテーパ穴208aにクランプするクランプ装置を構成している。
【0021】
ドローバー214の後端には、アンクランプ装置220が当接する当接部224が設けられている。アンクランプ装置220は、回転軸線Oに沿って移動可能に設けられた中空状のボールねじ222と、該ボールねじ222と係合するナット226と、該ナット226を回転駆動するサーボモータ240とを具備する。ナット226は、回転軸線Oを中心として回転可能にハウジング202に支持されており、ナット226の後端には、サーボモータ240の出力軸240aに結合された駆動ギア230と係合する従動ギア228が結合されている。ボールねじ222の先端側には、ボールねじ222と共に軸方向に移動しボールねじ222の回転を防止する回転止250が取付けられている。アンクランプ装置220は、回転軸線Oに沿ったドローバー214の位置を検出するドローバー位置検出器を具備している。ドローバー位置検出器は、例えばサーボモータ240に取付けたロータリエンコーダ(図示せず)によって形成することができる。
【0022】
図1に示すように、クランプ時にはドローバー214後端の当接部224とアンクランプ装置220のボールねじ222との間には隙間が設けられている。この隙間は所定の例えば2.5mmに設定される。
図2の先行アンクランプ時や
図3のアンクランプ時には、当接部224とボールねじ222とは接触しているので、ドローバー214の位置は、サーボモータ240のロータリエンコーダの検出値と、この隙間の値から求めることができる。ドローバー214を先行アンクランプさせたとき、アンクランプ装置220のボールねじ222は第1の停止位置に位置決めされ、ドローバー214をアンクランプさせたとき、アンクランプ装置220のボールねじは第2の停止位置に位置決めされる。
【0023】
主軸装置200は、更に、ボールねじ222を貫通して延び、ドローバー214の中心孔218に連通するサポート管路242、ベアリング246を介して該サポート管路242を回転可能に支持するサポート部材244、サポート部材244の後端部に配設され、サポート管路242と接触してロータリジョイントを構成する結合部248を備えている。
【0024】
工作機械100の制御装置の一例を示す
図5を参照すると、制御装置10は、工作機械100の送り軸装置28を制御する送り軸制御部12と、主軸モータ22、工具交換装置32およびアンクランプ装置36を制御する機械制御部14とを具備している。制御装置10は、CPU(中央演算素子)、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)のようなメモリ装置、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)のような記憶デバイス、出入力ポート、およびこれらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータおよび関連するソフトウェアから構成することができる。特に、送り軸制御部12は一般的なNC装置から形成することができる。この場合、機械制御部14は該NC装置の一部としてソフトウェア的に構成してもよい。
【0025】
送り軸制御部12は、加工プログラム40および送り軸位置検出器30が検出したX、Y、Zの各座標値に基づき、送り軸装置28、特にX軸サーボモータ112、Y軸サーボモータ114およびZ軸サーボモータ116へ供給される電流を制御する。送り軸装置28は、既述したX軸、Y軸、Z軸の直線送り軸に加えてA軸、B軸および/またはC軸の回転送り軸を含んでいてもよい。
【0026】
機械制御部14は、主軸モータ制御部16と、工具交換制御部18とを具備する。主軸モータ制御部16は、加工プログラム40に記載されている主軸回転速度および主軸回転検出器24により検出された主軸208の回転位置に基づき、主軸装置200の主軸モータ22(
図1〜
図3ではロータ210およびステータ212)を制御する。加工プログラム中の主軸回転速度は、送り軸制御部12が読み取り、解釈した加工プログラムから抽出するようにできる。また、主軸モータ制御部16は、送り軸制御部12から工具交換指令を受け取ると、工具交換動作の前に、主軸208を所定の角度位置に停止させるオリエンテーション操作を行う。
【0027】
工具交換制御部18は、工具交換装置32(
図4では工具交換装置300)と、主軸装置200のアンクランプ装置36(
図1〜
図3ではアンクランプ装置220)を制御する。より詳細には、工具交換制御部18は、送り軸制御部12が読み取り解釈した加工プログラム40に記載されている工具交換指令、送り軸位置検出器30から受信したX軸、Y軸、Z軸送り装置の各々の座標値、工具交換装置位置検出器34から受信した交換アーム302の回転位置、および、ドローバー位置検出器38から受信した回転軸線Oに沿ったドローバー214の位置に基づいて、工具交換装置32、特に、交換アーム302のアクチュエータ306およびシフタ308のアクチュエータと、アンクランプ装置36、特にサーボモータ240を制御する。
【0028】
以下、
図6に示す工具交換工程のタイミングチャートを参照して、本実施形態の作用を説明する。
時刻t=0において、送り軸制御部12が加工プログラム中の工具交換指令を読み取ると、送り軸制御部12は、工具交換位置へ移動するよう送り軸装置28を制御する。それと同時に工具交換指令が送り軸制御部12から主軸モータ制御部16および工具交換制御部18へ送出される。主軸モータ制御部16は、送り軸制御部12から工具交換指令を受信すると、主軸オリエンテーション工程を実行して、工具交換に際して、主軸208側のキー(図示せず)が工具T側のキー溝(図示せず)に係合するように、主軸208を所定の回転角度位置に停止させる。
【0029】
時刻t=τ1で主軸オリエンテーション工程が完了したことが主軸モータ制御部16から工具交換制御部18へ出力されると、工具交換制御部18は先行アンクランプ工程を開始する。先行アンクランプ工程が開始されると、アンクランプ装置36(220)のサーボモータ240が回転を開始する。サーボモータ240の回転は、駆動ギア230と従動ギア228との係合を通じてナット226に伝達される。ナット226が回転することによって、ボールねじ222が主軸208の先端方向へ前進する。ボールねじ222が、その先端でドローバー214の後端部の当接部224に当接すると、ドローバー214が主軸208の先端方向(
図1〜
図3では左方)に前進する。
【0030】
ドローバー214が前進すると、先端部の大径部232によるコレット206を工具Tのテーパ部の内面に向けて押圧する力が減少する。送り軸装置28の作動中に主軸208の先端部のテーパ穴208aから工具Tが脱離しない程度にドローバー214が前進し、
図2に示すように、所定の先行アンクランプ位置に到達すると、先行アンクランプ工程は終了する(t=τ2)。
【0031】
アンクランプ装置がドローバーの後端から離反するクランプ位置から先行アンクランプ位置までの行程を第1のストロークと称する。第1のストロークは、ドローバー214の先端の大径部232の形状やコレット206の形状等によって決定することができる。クランプ位置からドローバー214が前進して、主軸208の先端に装着されている工具Tが完全にアンクランプされるアンクランプ位置までの行程である、ドローバー214のアンクランプストロークが、例えば、7.4mmの主軸装置において、ドローバー214の第1のストロークは2.0mm、第2のストロークは5.4mmとすることができる。なお、
図5に示すように、入力部から第1のストロークを決定するパラメータを機械制御部14の記憶部20に入力して、第1のストロークを変更できるようにし、工具Tのテーパ部、主軸208のテーパ穴208a、コレット206、ドローバー214の先端部の大径部232等の寸法誤差に対して適切に対応できるようにしてもよい。
【0032】
先行アンクランプ工程が完了したとき(t=τ2)、通常、送り軸装置28は未だ工具交換位置に到達していない。送り軸装置28が、
図4の二点鎖線で示す工具交換位置に到達すると(t=τ3)、工具交換装置32(300)の交換アーム302が回転し、グリッパ302a、302bの一方が主軸208の先端に装着されている工具Tと係合し、これを保持する。それと同時に、他方のグリッパが工具授受位置310に配置されている工具Tと係合し、これを保持する(t=τ5)。
【0033】
時刻t=τ5において交換アーム302のグリッパ302a、302bと工具Tとの係合が完全に完了する前に、交換アーム302が所定の回転角度位置を通過したとき(t=τ4)、工具交換制御部18は、アンクランプ装置36(220)のサーボモータ240を起動して、残りのアンクランプ工程を開始する。先行アンクランプ位置からアンクランプ位置までの行程を第2のストロークと称する。この間、交換アーム302のグリッパ302a、302bと工具Tとの係合が維持され、アンクランプ工程が完了したときに、主軸208の先端のテーパ穴208aからの工具Tの脱離を防止している。
【0034】
時刻t=τ6で、
図3に示すように、ドローバー214がアンクランプ位置に到達し、アンクランプ工程が完了すると、工具交換制御部18は、工具交換装置32(300)に対してグリッパ302a、302bが保持する新旧工具Tの入れ替えを指示し、工具交換装置32(300)のアクチュエータ306は、先ず、その出力軸304を軸方向に前方に押し出す。これにより、主軸208の先端に装着されている旧工具T、および、シフタ308によって工具授受位置310に保持されている新工具Tが、同時に、主軸208のテーパ穴208aおよびシフタ308から抜去される。
【0035】
アクチュエータ306の出力軸304が軸方向に終点に到達し工具Tが抜去されたとき、出力軸304を中心として交換アーム302が180°旋回し、旧工具Tがシフタ308の前方に、新工具Tが主軸208の前方に配置される。次いで、出力軸304が軸方向に後方に移動して始点に再び到達すると、新工具Tが主軸208のテーパ穴208a内に装着され、それと同時に旧工具Tが工具授受位置310に待機しているシフタ308に装着される。これによって、新旧工具Tの入れ替えが完了する(t=τ7)。
【0036】
時刻t=τ7において新旧工具Tの入れ替えが完了したとき、つまり、出力軸304の始点にあるポジションスイッチのような位置検出器からのトリガー信号を受信したとき、工具交換制御部18は、アンクランプ装置36(220)のサーボモータ240を逆方向に回転させてクランプ工程を開始する。アンクランプ装置220のボールねじ222がドローバー214の後端の当接部224から離反し、ドローバー214が、
図1に示すように、クランプ位置に到達したとき(t=τ8)、工具交換制御部18は、送り軸装置28に対して次工程の加工開始点への移動を指示し、主軸モータ22に対して加工用回転速度での回転を指示するとともに、工具交換装置32(300)に対して、アクチュエータ306を回転して、交換アーム302を主軸208から退避させるよう指示する。送り軸装置28が次工程の加工開始点への移動が完了し、かつ、主軸モータ22の回転速度が加工用回転速度に達したとき(t=τ10)、次工程の加工が開始される。通常、次工程の加工開始に先立って、交換アーム302の主軸208からの退避動作は完了している(t=τ9)。
【0037】
従来技術による工具交換工程のタイミングチャートを示した
図7を参照すると、従来技術では、先行アンクランプ工程が実行されることなく、送り軸装置28の工具交換位置への移動が完了した後に、交換アーム302が旋回動作を開始し、交換アーム302のグリッパ302a、302bと新旧工具Tとが係合する前に、交換アーム302が所定の回転角度位置を通過したときに、アンクランプ工程が開始される。
【0038】
これに対して既述の実施形態でも、従来と同様に、交換アーム302が所定の回転角度位置を通過したときに、アンクランプ工程が開始されるが、アンクランプ工程に先立って先行アンクランプ工程が実行され、ドローバー214が先行アンクランプ位置まで第1のストローク分だけ軸方向に前進した状態からアンクランプ工程が開始する。従って、本実施形態における工具交換工程の開始からアンクランプ工程の終了までの時間τ6は、従来技術における時間τ′よりも短く、つまりτ6<τ′となっている。
【0039】
アンクランプ工程の終了(t=τ′)から加工開始時(t=τ″)までの工程は、従来技術と本実施形態とで同一となっている。従って、その間の時間は従来技術と本実施形態とで同一、つまり(τ″−τ′)=(τ10−τ6)であり、従来技術と本実施形態とで工具交換工程に要する時間の差Δtは(τ″−τ10)=(τ′−τ6)となっている。1つの例では、ドローバー214のアンクランプストロークが7.4mmの主軸装置において、第1のストロークを2.0mmとした場合に、Δtは約50ミリ秒となっている。
【0040】
本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の変更、修正が可能である。
例えば、既述の実施形態では、アンクランプ装置220は、サーボモータ240によって駆動するようになっているが、本発明はサーボモータ240に代えて流体圧シリンダを用いてもよい。
図8に示す変形例では、アンクランプ装置500は、第1と第2のシリンダ502、504を具備している。
【0041】
第2のシリンダ504は、主軸装置200のサポート部材244のような静止部512に固定され、回転軸線Oに沿って移動可能なピストン514を具備している。ピストン514によってシリンダ内が第1の圧力室516と、第2の圧力室518に分割される。第2のシリンダ504は、また第1の圧力室516に連通する第1のポート516aと、第2の圧力室518に連通する第2のポート518aとを有している。第1と第2のポート516a、518aは、工具交換制御部18によって制御される油圧源(図示せず)に連通している。
【0042】
第1のシリンダ502は、第2のシリンダ504のピストン棒514aに結合されており、第2のシリンダ504のピストン514と共に回転軸線Oに沿って移動可能となっている。第1のシリンダ502は、回転軸線Oに沿って移動可能なピストン506を具備している。ピストン506によってシリンダ内が第1の圧力室508と、第2の圧力室510に分割される。第1のシリンダ502は、また第1の圧力室508に連通する第1のポート508aと、第2の圧力室510に連通する第2のポート510aとを有している。第1と第2のポート508a、510aは、工具交換制御部18によって制御される油圧源(図示せず)に連通している。また、第1のシリンダ502は、ピストン506のストロークを調節する調節ねじ520を有している。本変形例では、第1のシリンダ502のピストン棒506aが、ドローバー214の後端部に当接し、ドローバー214を回転軸線Oに沿って主軸208の先端方向に駆動し、工具Tをアンクランプするようになっている。
【0043】
アンクランプ装置500では、第2のシリンダ504の第2のポート518aと、第1のシリンダ502の第2のポート510aとに油圧を印加すると共に、第2のシリンダ504の第2のポート516aと、第1のシリンダ502の第2のポート510aとを開放することによって、第2のシリンダ504のピストン514と共に第1のシリンダ502が、回転軸線Oに沿って主軸208の後端側に移動すると共に、第1のシリンダ502のピストン棒506aも回転軸線Oに沿って主軸208の後端側に移動する。従って、ドローバー214が皿ばね216によって、主軸208の後端側に付勢され、主軸208のテーパ穴208aに装着された工具Tがクランプされる。
【0044】
工具Tを主軸208の先端部にクランプした状態から、第1のシリンダ502の第2のポート510aを開放すると共に、第1のシリンダ502の第1のポート508aに油圧を印加することによって、第1のシリンダ502のピストン506が回転軸線Oに沿って主軸208の先端側に移動し、先行アンクランプ工程が実行される。このとき、調節ねじ520によって、ドローバー214の第1のストロークを決定するアンクランプ装置500の第1の停止位置を調節することができる。
【0045】
前述のサーボモータ240およびそのロータリエンコーダで成るドローバー214の位置検出器を有した電動式のアンクランプ装置220では、工具交換制御部18は、記憶部20に記憶されている第1のストロークの値をそのまま用いて先行アンクランプの制御を行うことができる。本変形例では、工具交換制御部18は、制御装置10の加工プログラム40や、送り軸の現在位置などを表示する表示部(図示せず)に、記憶部20に記憶された第1のストロークを表示して、作業者が調整ねじ520を調節できるようにしている。
【0046】
先行アンクランプ状態から、更に第2のシリンダ504の第2のポート518aを開放すると共に、第2のシリンダ504の第1のポート516aに油圧を印加することによって、第2のシリンダ504のピストン514が回転軸線Oに沿って主軸208の先端側に移動し、アンクランプ工程が実行される。本変形例では、第1のシリンダ502のピストン506の前進端がアンクランプ装置500の第1の停止位置であり、第2のシリンダ502のピストン514の前進端がアンクランプ装置500の第2の停止位置に相当する。ピストン506およびピストン514が、それぞれ前進端に到達したことを検出するリミットスイッチ(図示せず)が、ドローバー位置検出器38として設けられている。
【0047】
更に、既述の実施形態では、工具交換装置300によって工具交換が行われているが、本発明はこれに限定されず、主軸208側がX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向に移動可能な工作機械において、工具交換装置300を用いることなく、主軸と工具マガジン400との間で直接工具交換を行うようにしてもよい。この場合、工具交換に際して、(1)X軸、Y軸、Z軸の送り軸装置によって主軸208を工具マガジン400の待機位置410に移動して主軸208の先端の旧工具Tを工具マガジン400の円板状のベース部材402の空の受容部402aに装着し、(2)主軸208にクランプされた旧工具Tをアンクランプし、(3)Z軸送り軸装置によって主軸208を後退させ、(4)ベース部材402を回転させて新工具Tを待機位置410に配置し、(5)Z軸送り軸装置によって主軸208を前進させて新工具Tを主軸のテーパ穴208aに装着し、(6)新工具Tをクランプし、(7)X軸、Y軸、Z軸の送り軸装置によって主軸208をZ軸方向に後退させた後に新工具Tによる加工位置へ移動させるようにする。この例では、工程(1)の間に先行アンクランプを行い、工程(2)のアンクランプは、第2ストロークだけドローバー214を移動させるようにする。なお、この例では、主軸装置200は、Z軸方向に移動可能なコラムの前面にX軸、Y軸方向に移動可能に設けられたサドル(図示せず)に搭載される。