(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記上流側導水路は、その中心線が、上記供給口の中心より上記左右方向のうちの一方側に偏心して延びるように形成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の水洗大便器。
上記導水路は、更に、上記上流側導水路の出口部と上記下流側導水路の入口部との間に形成される屈曲部を備え、この屈曲部は、その流路の外周壁の曲率半径が、その流路の内周壁の曲率半径より小さくなるように形成されている請求項1乃至5の何れか1項に記載の水洗大便器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の水洗大便器401において、近年の節水化の要請により、少ない洗浄水量で洗浄しようとする場合、リム通水路406に供給される洗浄水は、洗浄水量が減ったことによりその勢いが弱く、便器本体402の中央後方における導水路410の出口部近傍の合流部分において、比較的多くの洗浄水が、矢印B1で示すように、スリット開口412からボウル部408に流下してしまう。この結果、矢印B2で示すように、リム通水路406に沿って旋回しようとする洗浄水が不十分となり、ボウル部408の洗浄が不良となる問題が生じていた。
【0005】
また、単に、スリット開口412の幅を小さく形成することにより導水路410の出口部近傍のスリット開口412から流下する洗浄水を低減しようとしたのでは、依然として、リム通水路406を旋回しようとする洗浄水の勢いを強めることができず、洗浄水がリム通水路406を一周することができないという問題が生じている。
それに加え、スリット開口412の幅を小さくすることは製造上難しいといった問題もあり、スリット開口412の幅を小さくするとは出来なかった。
【0006】
さらに、
図13に示すように導水路410とリム通水路406の合流部分の直前で便器本体402の中央から向きを変える構造は、そもそも、供給された洗浄水を、リム通水路406内を中央から時計回り方向及び反時計回り方向に分割してリム通水路406全体に流す構造であるので、洗浄水量が低減された場合には、より強い勢いを有した流れが形成できず、洗浄水が左右片側からリム通水路を一周することができないという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、便器本体の導水路の下流側導水路からリム通水路へ流出する洗浄水がボウル部の左右方向の中心線近傍の領域に流下されることが抑制され、リム通水路を旋回する洗浄水の良好な旋回流によりボウル部を十分に洗浄することができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明は、洗浄水によりボウル部を洗浄する水洗大便器において、便器本体の供給口へ洗浄水を供給する給水装置と、ボウル形状の汚物受け面と、汚物受け面の上側に設けられたリム部と、リム部の全周に形成されて洗浄水を導くリム通水路と、リム部の全周に形成され且つリム通水路から汚物受け面に洗浄水を供給する開口部と、を備えたボウル部と、ボウル部の下方に入口が接続され汚物を排出する排水路と、供給口とリム通水路との間に形成されリム通水路に洗浄水を導く導水路と、を有し、導水路は、供給口から便器本体の左右方向のうち一方側へと延びる上流側導水路と、この上流側導水路から左右方向のうち他方側へと延びる下流側導水路と、を備え、下流側導水路は、その左右方向のうち一方側の内壁面の下流端が、便器本体を左右方向の中心線よりも他方側に位置するように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、洗浄水が、便器本体の左右方向のうち一方側へと延びる上流側導水路から、方向を変えて下流側導水路に流入され、下流側導水路に沿って、左右方向のうち他方側に導かれる。この左右方向のうち他方側に導かれる洗浄水のうち、下流側導水路の左右方向のうち一方側の内壁面に沿って流れる洗浄水が、便器本体の中心線よりも他方側に位置する下流端部までこの内壁面に沿って流れることができる。従って、この内壁面の下流端部近傍から流出する洗浄水は、中心線近傍の領域に流下されることが抑制され、且つ下流側導水路からリム通水路に向かう洗浄水の主流を形成することできる。よって、リム部の全周に形成された開口部を有するいわゆるオープンリムタイプの水洗大便器において、リム通水路を旋回しようとする洗浄水の良好な旋回流を形成することができ、便器洗浄に使用する洗浄水量を少なく設定した場合においても、ボウル部を旋回流により十分に洗浄することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、下流側導水路は、その幅が、上流側導水路の幅よりも小さくなるように形成されている。
このように構成された本発明においては、上流側導水路から下流側導水路に流入した洗浄水の流速が下流側導水路において増大され、この内壁面の下流端部近傍から流出する洗浄水は、中心線近傍の領域に広がるように流れることがより抑制され、且つ下流側導水路からリム通水路に向かう洗浄水の主流を形成することでき、より良好にリム通水路を旋回しようとする洗浄水の旋回流を形成することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、下流側導水路は、その幅が下流側導水路の入口部から出口部に向けて小さくなるように形成されている。
このように構成された本発明においては、下流側導水路に流入した洗浄水の流速が下流側導水路の入口部から出口部に向けて増大される。よって、この内壁面の下流端部近傍から流出する洗浄水は、中心線近傍の領域に広がるように流れることがより抑制され、且つ下流側導水路からリム通水路に向かう洗浄水の主流を形成することでき、より良好にリム通水路を旋回しようとする洗浄水の旋回流を形成することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、下流側導水路は、その幅が下流側導水路の入口部から出口部に向けて大きくなるように形成されている。
このように構成された本発明においては、下流側導水路の幅が、入口部から出口部に向けて大きくなるように形成されているので、便器洗浄動作の後半において給水装置から便器本体の供給口へ供給される洗浄水の水勢が弱まってくる場合において、下流側導水路出口部から流出する洗浄水は、下流側導水路の幅の広がりに合わせて扇形に広がるような流れを形成でき、ボウル部の広範囲をより均一に洗浄することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上流側導水路は、その中心線が、供給口の中心より左右方向のうち一方側に偏心して延びるように形成されている。
このように構成された本発明においては、供給口から便器本体の左右方向のうち一方側へと延びる上流側導水路の中心線が、供給口の中心より左右方向のうち上流側導水路の延びる方向側に偏心して延びているので、供給口から流出する洗浄水が、供給口の中心より左右方向のうち上流側導水路の延びる方向側から、偏心した上流側導水路に比較的スムーズに流出することができる。よって、上流側導水路の中心軸が、供給口の中心から偏心していない場合と比べて、洗浄水が供給口の偏心している上流側導水路の側から比較的スムーズに上流側導水路に流れ込むことができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、導水路が、更に、上流側導水路の出口部と下流側導水路の入口部との間に形成される屈曲部を備え、この屈曲部は、その流路の外周壁の曲率半径がその流路の内周壁の曲率半径より小さく形成されている。
このように構成された本発明においては、屈曲部の流路の外周壁の曲率半径が、その流路の内周壁の曲率の半径より小さいので、屈曲部の流路の外周壁に沿う流れを、屈曲部の流路の内周壁側に沿う流れに向かって誘導することができ、その内周壁側から下流側導水路に延びる壁面に沿うようにリム通水路に向かって流入する洗浄水の勢いが強められ、リム通水路を旋回しようとする流れが形成されやすくなる。
【0014】
本発明において、好ましくは、給水装置は、洗浄水を貯水する貯水タンクであり、この貯水タンクの底部には、便器本体の供給口に洗浄水を供給する排水口が形成され、この貯水タンクの排水口には、便器本体の供給口へ供給される洗浄水を上流側導水路が延びる方向に導くガイド手段が設けられている。
このように構成された本発明においては、貯水タンクの排水口が、便器本体の供給口へ供給される洗浄水を上流側導水路が延びる方向に導くガイド手段を有するので、ガイド手段に沿って洗浄水が流れるので、排水口から供給口へ流れ込む洗浄水の流れを上流側導水路方向へ誘導することができる。そのため、供給口へ供給された洗浄水を、上流側導水路が延びる方向へ向かいやすくすることができ、より良好にリム通水路を旋回しようとする洗浄水の旋回流を形成することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、ガイド手段は、排水口と供給口とを接続する筒状のガイド部材であり、このガイド部材には、供給口へ供給された洗浄水が上流側導水路の延びる方向に流れるように、ガイド部材の内壁の一部又は全周から内側に突出した絞り部が形成されている。
このように構成された本発明においては、ガイド手段は、排水口と上記供給口とを接続してする筒状のガイド部材であり、このガイド部材には、供給口へ供給された洗浄水が上流側導水路の延びる方向に流れるように、ガイド部材の内壁の一部又は全周から内側に突出した絞り部が形成されているので、排水口からガイド部材に浸入した洗浄水が便器本体の供給口へと流れると、ガイド部材により、洗浄水が誘導され上流側リム通水路の延びる方向へ多く向かう。そのため、上流側導水路が延びる方向へ向かう洗浄水の流れを作り出すことができ、より良好にリム通水路を旋回しようとする洗浄水の旋回流を形成することができる。
【0016】
また、本発明は、洗浄水によりボウル部を洗浄する水洗大便器において、便器本体の供給口へ洗浄水を供給する給水装置と、ボウル形状の汚物受け面と、ボウル部の上縁部にあるリム部と、リム部の内周に形成されて洗浄水を導くリム通水路と、リム通水路上に開口されリム通水路に洗浄水を吐水する吐水部と、を備えたボウル部と、ボウル部の下方に接続され汚物を排出する排水路と、供給口と吐水部との間に形成され吐水部に洗浄水を導く導水路と、を有し、導水路は、供給口から便器本体の左右方向のうち一方側へと延びる上流側導水路と、この上流側導水路から左右方向のうち他方側へと延びる下流側導水路と、を備え、下流側導水路は、その左右方向のうち一方側の内壁面の下流端が、便器本体の中心線よりも他方側に位置するように形成されている。
このように構成された本発明においては、洗浄水が、便器本体の左右方向のうち一方側へと延びる上流側導水路から、方向を変えて下流側導水路に流入され、下流側導水路に沿って、左右方向のうち他方側に導かれる。この左右方向のうち他方側に導かれる洗浄水のうち、下流側導水路の左右方向のうち一方側の内壁面に沿って流れる洗浄水が、便器本体の中心線よりも他方側に位置する下流端部までこの内壁面に沿って流れることができる。従って、この内壁面の下流端部近傍から流出する洗浄水は、下流側導水路から吐水部に向かう洗浄水の主流を形成することできる。よって、いわゆるフチなしタイプの水洗大便器において、吐水部から吐水された洗浄水は汚物受け面を旋回しようとする洗浄水の良好な旋回流を形成することができ、便器洗浄に使用する洗浄水量を少なく設定した場合においても、ボウル部を旋回流により十分に洗浄することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の水洗大便器によれば、便器本体の導水路の下流側導水路からリム通水路へ流出する洗浄水がボウル部の左右方向の中心線近傍の領域に流下されることが抑制され、リム通水路を旋回する洗浄水の良好な旋回流によりボウル部を十分に洗浄することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態による水洗大便器について説明する。
最初に、
図1乃至
図3により、本発明の第1実施形態による水洗大便器を説明する。
図1乃至
図3に示すように、本発明の第1実施形態による水洗大便器1は、陶器からなる便器本体2を有する。また、便器本体2の後方側の上方には、給水装置である貯水タンク4が設置されている。
【0020】
ここで、貯水タンク4から供給される洗浄水量は、3リットル乃至6.5リットルの範囲であり、より好ましくは3.8リットル乃至6.5リットルの範囲であり、さらにより好ましくは4.8リットル乃至6リットルの範囲である。
なお、給水装置は、貯水タンクの他、規定の洗浄水量を供給できるフラッシュバルブ等であってもよい。
【0021】
便器本体2の前方上部には、ボウル部8が形成され、便器本体2の後方上部には、貯水タンク4から洗浄水が供給される供給口6が形成され、さらに、洗浄水を供給口6からボウル部8に導水する導水路10が形成されている。この供給口6は、便器本体2の前方から見てほぼ中央に配置されている。
さらに、ボウル部8の下方には、溜水部12が形成され、初期水位の溜水面がW0で示されている溜水が貯留されている。また、この溜水部12の下端には、排水トラップ管路14(排水路)の入口14aが接続されており、排水トラップ管路14は、その入口14aから後方へと延び、その後端14bが床面に設置された排出管(図示せず)に接続されている。
【0022】
ボウル部8は、ボウル形状に形成されている汚物受け面16と、その上側に形成されて汚物受け面16に洗浄水を吐水するリム部18と、を備えている。このリム部18は、その上面から下方へ汚物受け面16近傍まで垂れ下がるように延びるリム垂下壁部22を備え、このリム垂下壁部22により、リム部18の内部(便器本体の中心から見て外側)にリム通水路20を形成している。
また、リム部18には、リム部18の周方向に沿って形成されたリム通水路20の内側且つ下方が全周にわたって開口されてスリット開口部26が形成され、いわゆる、オープンリム部となっている。このスリット開口部26が、洗浄水を汚物受け面16に吐水する吐水部を形成している。
【0023】
また、ボウル部8には、汚物受け面16とリム部18との間にボウル部8のほぼ全周に亘って形成された棚状のリム通水路底面24が形成されている。リム通水路底面24は、ボウル部8の上部に環状に形成された平坦面を形成し、この平坦面はボウル部8の外側方向から内側方向においては、ほぼ水平に形成されている。
このリム通水路底面24により、導水路10から供給された洗浄水が、リム通水路20のリム通水路底面24上を流れながらボウル部8の上部を反時計回りの方向に一周する流れを形成することができる。
【0024】
次に、導水路10について詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、便器本体2の導水路10の後端には、上述した貯水タンク4が接続される供給口6が形成され、貯水タンク4から供給された洗浄水は、供給口6から便器本体2の導水路10に流入し、導水路10からリム通水路20に流出するようになっている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、導水路10は、供給口6から便器本体2の左右方向のうち右側(一方側)へと延びる上流側導水路28と、この上流側導水路28から左右方向のうち左側(他方側)へと延びる下流側導水路30とを備えている。導水路10は、便器本体2の左右方向の中心線Cに対して左右非対称の流路を形成している。導水路10は、上流側導水路28と下流側導水路30とにより、「く」の字形状の流路を形成している。上流側導水路28と下流側導水路30とは屈曲部32により接続され、この屈曲部32は、便器本体2の中心線Cに対して右側領域に位置している。
【0026】
上流側導水路28は、便器本体2の左右方向の中心線C上に位置する供給口6の直ぐ下流の入口部28bから斜めに右側方向に向かって直線的に延び、中心線Cに対して右側に配置された出口部28aまで延びている。上流側導水路28は、その中心線A1は、中心線Cに対して前方が右側外向きに傾斜するように配置されている。
【0027】
図2及び
図3に示すように、供給口6は、その中心点c1が便器本体2の左右方向の中心線C上となるように配置されるようになっている。上流側導水路28は、その中心線A1が便器本体2の中心線Cよりも右側方向に偏心して形成されている。また、上流側導水路28の中心線A1は、供給口6の中心点c1よりも便器本体2の中心線Cの右側の位置a1を通って偏心して延びている。
上流側導水路28は、その中心線A1が入口部28bから出口部28aまで中心線Cに対して右側に偏心して延びている。中心線A1を後方に延長すると、中心線Cと、供給口6の中心点c1よりも後方の位置a2において交わるようになっている。
【0028】
上流側導水路28の入口部28bは、供給口6の外周の壁面29の中心線Cに対して右側にずれた位置に、接続されている。
【0029】
屈曲部32は、上流側導水路28の出口部28aと、下流側導水路30の入口部30aとを接続する屈曲した流路として形成される。屈曲部32は、屈曲部32の流路の外側(便器本体2の外側)に形成された外周壁32aと、屈曲部32の流路の内側に形成された内周壁32bと、を備えている。
ここで、屈曲部32の外周壁32aの曲率半径r1は、内周壁32bの曲率半径r2より小さくなるように形成されている。
【0030】
屈曲部32は、外周壁32aの曲率半径r1と、内周壁32bの曲率半径r2との大きさの比が、1:2の比から4:5の比までの範囲に設定されている。一例として、外周壁32aの曲率半径r1と、内周壁32bの曲率半径r2との大きさの比が、3:4の比に設定されている。
【0031】
下流側導水路30は、入口部30aから左側へと延び出口部30bに至る経路を形成し、この出口部30bが、リム通水路20の合流部20aに接続される。この合流部20aは、リム通水路20の左側後部に配置されている。合流部20aにおいて、下流側導水路30の出口部30bから流出する洗浄水の流れと、リム通水路20を周回して戻ってきた洗浄水の流れとが合流するようになっている。
下流側導水路30は、入口部30aから出口部30bまで、便器本体2の中心線Cを右側から左側に向かって斜めに横切るような直線的な流路を形成している。
【0032】
下流側導水路30は、その入口部30aが、中心線Cに対して右側領域に配置され、その中間部30dが、中心線C近傍に配置され、さらに、その出口部30bが、中心線Cに対して左側領域に配置されている。よって、下流側導水路30は、中心線Cの右側から中心線Cを超えてボウル部8の左側後部領域まで延びるような比較的長い流路を形成している。下流側導水路入口部30aが、中心線Cに対して右側に配置されているので、入口部30aからボウル部8の左側後部領域に位置する出口部30bまでの長さが、比較的長い長さに設定される。下流側導水路30は、比較的長い長さの流路を有しているので、洗浄水が下流側導水路30において良好に整流されることができ、洗浄水の指向性が高められ、下流側導水路30の出口部30bからリム通水路20上を周回しようとする向きに整った流れ且つ比較的水勢の強い状態の流れにより吐水される。
【0033】
下流側導水路30とリム通水路20とが接続される領域においては、下流側導水路30の外側壁面30cと、リム部18のリム通水路外側壁面34とが、ほぼ平坦に連続して形成されている。即ち、外側壁面30cとリム通水路外側壁面34とは接続部近傍において面一に形成され、外側壁面30cの延びる方向と、リム通水路外側壁面34の接線方向とが、ほぼ一致している。従って、洗浄水が、下流側導水路30の外側壁面30cからリム部18のリム通水路外側壁面34に直線的に延びる平坦面に沿って滑らかに流れることができ、これらの外側壁面30cに沿って流れる流れの圧力損失を抑制することができる。
【0034】
下流側導水路30の右側の内壁面38は、便器本体2の中心線Cの右側から、この中心線Cの左側まで延びている。
内壁面38は、下流側導水路30の入口部30aを形成し且つ外周壁32aの下流側端部32cと接続される上流端部38aと、下流側導水路30の出口部30bを形成し且つ中心線Cよりも左側に位置する下流端部38bと、を形成している。従って、内壁面38は、中心線Cの右側から左側まで中心線Cを超えて延びている。
【0035】
下流側導水路30の内壁面38の下流端部38bは、中心線Cよりも左側に突出する凸部を形成している。内壁面38の下流端部38bは、中心線Cよりも左側の領域において、汚物受け面16の後方側から延びるリム通水路外側壁面34と接続されている。
下流端部38bは、中心線Cよりも左側に突出する凸部を形成しているので、下流端部38bは、中心線C上において、下流側導水路30の流路と、リム通水路20の中央後方領域20bとを区切っている。
【0036】
ここで、下流側導水路30の内壁面38は、下流側導水路30の後述する仮想中心線E(
図3において仮想線で示されている)に対して寄せられて形成されている。このとき下流側導水路30の外側壁面30cは、仮想中心線Eに対して寄せられていない。
仮想中心線Eは、
図3に示されたように、仮想下流側導水路40の流路の中心線であり、仮想下流側導水路40の延びる向きに平行に延び、仮想内壁面42と、外側壁面30cとの間の仮想的な中心線である。
【0037】
下流側導水路30の内壁面38が、仮想中心線E及び外側壁面30cに対して、「寄せられている」状態及び形状について説明する。
下流側導水路30に対し、上流側導水路28とほぼ同じ幅を有している仮想下流側導水路40を想定する。仮想下流側導水路40は、仮想下流側導水路40の左右方向の右側の仮想内壁面42を備えている。
このような仮想下流側導水路40は、上流側導水路28及び屈曲部32の下流側に接続され、且つ、仮想下流側導水路40の仮想中心線Eが、中心線Cと、左右両側の取付部36とを結ぶ取付位置線Dとの交点C2を通るように配置される。このような仮想下流側導水路40においては、仮想中心線Eが、仮想内壁面42及び外側壁面30cの中心に配置され、仮想内壁面42と、外側壁面30cとは、仮想中心線Eに対して対称に配置されるように設定されている。
【0038】
この仮想下流側導水路40の仮想中心線Eに対し、仮想内壁面42を例えば平行移動させるように寄せることにより、下流側導水路30の内壁面38を形成している。従って、下流側導水路30の幅W1は、上流側導水路28の幅W2よりも小さくなっている。また、下流側導水路30の幅W1は、仮想下流側導水路40の幅W3よりも4分の3程度の幅まで小さくなっている。従って、上流側導水路28の中心線A1上の点と、上記交点C2とを結ぶ仮想中心線Eから内壁面38までの距離l1は、仮想中心線Eから外側壁面30cまでの距離l2よりも短い。また、交点C2から内壁面38までの距離l3は、交点C2から外側壁面30cまでの距離l4よりも短い。
また、下流側導水路30は、内壁面38と外側壁面30cとの間の幅W1がほぼ一定に形成されている。よって、下流側導水路30の幅は、下流側導水路30の入口部30aから、中間部30d、出口部30bまでほぼ一定となるように形成されている。
【0039】
このように、内壁面38と、外側壁面30cとは、仮想中心線Eに対して非対称に形成される。また、上述のように、内壁面38は、仮想中心線Eに対して寄せられているので、下流側導水路30の実際の中心線となる実際中心線Fは、仮想中心線Eよりも外側壁面30c側に寄ることとなる。よって、実際中心線Fは、上記交点C2よりも左側の領域において、取付位置線Dと交差する。
下流側導水路30の内壁面38が外側壁面30cに向かって寄せられていることにより、内壁面38の下流端部38bが中心線Cよりも左側の領域に位置している。
【0040】
下流側導水路30の実際中心線Fは、中心線Cに対して前方が左側外向きに傾斜するように配置されている。上流側導水路28の中心線A1と、下流側導水路30の実際中心線Fとの交点は、中心線Cに対して右側に位置するのに対し、下流側導水路出口部30bは、中心線Cに対して反対側の左側に位置している。中心線A1と、中心線Cとが成す角度は、仮想中心線E(又は実際中心線F)と中心線Cとが成す角度よりも小さくなるように配置されている。例えば、仮想中心線Eは、中心線Cに対し、30度〜70度、好ましくは40度〜60度の範囲の角度を有するようになっている。
【0041】
下流側導水路30は、その一部が、リム通水路20の合流部20aの少なくとも一部の流路と平行となるような流路を形成している。
下流側導水路30の内壁面38は、この内壁面38に沿って延ばされる直線がリム通水路20上に延びるような傾きをもって形成されている。
よって、下流側導水路30の出口部30b近傍においては、下流側導水路30の実際中心線Fの向きと、合流部20aにおけるリム通水路20上を周回しようとする洗浄水の流線A3の向きとがほぼ一致するようになっているので、下流側導水路30の出口部30bから流出する洗浄水が、リム通水路20上をほぼ同じ旋回方向(反時計回り)に流れ、水の勢いを保った状態(流量及び流速をほぼ維持した状態)でリム通水路20上を周回しようとする主流を形成することができる。従って、下流側導水路30からリム通水路20の合流部20aに合流する洗浄水が、リム通水路20上の主流の方向と逆の旋回方向に向かってリム通水路20上を通り流れることを抑制し、さらに、中央後方領域20b側に向かって広がるように流れてスリット開口部26から汚物受け面16に流下してしまうことを抑制できる。
【0042】
また、便器本体2は、便器本体2上に便座を取付けるための取付部36を有する。取付部36は、便器本体2のリム通水路20より後方の左右両側近傍の位置に設けられる。取付部36は便器本体2内部に向かって取付構造を形成するため、取付部36を形成する位置においては、下流側導水路30を形成することはできなくなる。下流側導水路30は、このような左右両側の取付部36の間に形成され、取付部36を回避して設けられることができ、さらに、比較的長い長さの流路を形成している。ここで、左右両側の取付部36の間を結ぶ仮想的な直線を取付位置線Dとする。取付位置線Dは、中心線Cに対して直交するように、便器本体2の左右方向に延びている。下流側導水路30は、取付位置線Dに対して、0°より大きく90°より小さい角度の範囲で斜めに交差するように配置されている。
【0043】
つぎに、上述した本発明の第1実施形態による水洗大便器の作用(動作)を説明する。
最初に、貯水タンク4の操作レバー(図示せず)を操作すると、貯水タンク4の排水弁(図示せず)が開き、貯水タンク4から洗浄水(例えば、6.0リットル)が便器本体2の供給口6から導水路10に供給される。
【0044】
貯水タンク4から便器本体2の供給口6に供給された洗浄水は、矢印F1に示すように、上流側導水路28が偏心している右側から上流側導水路28に流入する。上流側導水路28に流入した洗浄水は、右側へと徐々に偏心するように流れる。すなわち、洗浄水は、中心線Cから遠ざかるように右側に向かって流れる。洗浄水は、上流側導水路28の出口部28aに到達すると、屈曲部32において向きを変える。即ち、洗浄水は、便器本体2の右側向きの流れから左側向きの流れに方向が転換される。
【0045】
屈曲部32の内周側においては、洗浄水は、矢印F2に示すように、比較的大きな曲率半径r2を有する内周壁32bに沿って流れる。洗浄水は、さらに、外側壁面30cに沿って流れ、後述する洗浄水の水流F6と合流し、矢印F3及びF4に示すように、その内周壁32b側から下流側導水路30の外側壁面30cに沿うようにリム通水路20に向かって流れる。
【0046】
屈曲部32の外周側においては、洗浄水は、矢印F5に示すように、比較的小さな曲率半径r1を有する外周壁32aに沿って向きを変え、跳ね返るように内側向きに流れる。このとき、洗浄水は、外周壁32aの曲率半径の小さな円弧に沿って比較的大きく向きを変え、矢印F6に示すように、下流側導水路30の外側壁面30cの方向に向かうように流れる。外周壁32aの曲率半径r1が比較的小さく形成されているので、外周壁32aに沿って流れる洗浄水の主流を内壁面38から離間して外側壁面30cの方向に向かうように方向付けすることができる。さらに、外周壁32aの下流側の内壁面38に沿って流れる流れF7の割合を比較的抑制し、下流側導水路30の外側壁面30cに沿って流れるような流れF3及びF4を主流として、リム通水路20に向かって流入する洗浄水の勢いを比較的強く形成することができる。
【0047】
このように、洗浄水は、矢印F3及びF4に示すように、直線的に延びる下流側導水路30に沿って下流側導水路30の入口部30aから出口部30bに向かって直線的な流れとなる。洗浄水は、下流側導水路30の入口部30aから中心線Cを越えて直線的に流れ、水勢を維持しながら流れが均一に整えられる。従って、洗浄水は、下流側導水路30bの出口部30bから左右に拡がることが抑制され、実際中心線Fに沿って直線的に流れる。
【0048】
矢印F7に示すように、洗浄水は、下流側導水路30の右側(一方側)の内壁面38に沿って流れる。矢印F8に示すように、内壁面38に沿って流れる洗浄水は、便器本体2の中心線Cよりも左側(他方側)に位置する下流端部38bまでこの内壁面38に沿って流れる。内壁面38に沿って流れる洗浄水は、一旦中心線Cを超えて左側領域まで流れるため、例えば便器洗浄動作の前半及び中盤における貯水タンク4から便器本体2の供給口6へ供給される洗浄水の水勢が比較的強い場合において、下流端部38b近傍から流出する洗浄水は、中心線C近傍のリム通水路20の中央後方領域20bに向かって流れにくくなっている。従って、この内壁面38の下流端部38b近傍から流出する洗浄水は、汚物受け面16の中心線C近傍の領域に向かって広がるように流下されることが抑制され、且つ、矢印F9に示すように、下流側導水路30から内壁面38の延長線上のリム通水路20に向かう直線的な洗浄水の主流を形成することできる。
【0049】
また、下流側導水路30の幅が、上流側導水路28の幅よりも小さいので、上流側導水路28から下流側導水路30に流れる洗浄水の流速が下流側導水路30において増大される。よって、矢印F4及びF9に示すような、この内壁面38の下流端部38b近傍から流出する洗浄水は、流速及び水勢が増大される。従って、中心線C近傍の領域、中央後方領域20b及び汚物受け面16の中心線C近傍の領域、に広がるように流れることがより抑制され、且つ下流側導水路30からリム通水路20に向かう洗浄水の主流を形成することでき、より良好にリム通水路20を旋回しようとする洗浄水の旋回流を形成することができる。
【0050】
図2において矢印F10及びF11に示すように、下流側導水路30の出口部30bから流出する洗浄水は、リム通水路20上を周回して流れる。中央後方領域20bから汚物受け面16の中心線C近傍の領域に流下される洗浄水の量が低減されるため、この洗浄水の旋回方向に向かう単位時間当たりの流量が増大されている。多くの洗浄水は、リム通水路20におけるリム通水路底面24上を流れる旋回流れの主流を形成する。
このような旋回流れを形成しながら、洗浄水が、リム通水路底面24の内側に形成されたスリット開口部26から、徐々に流下し、矢印F12に示すように、ボウル部8の汚物受け面16の全体を均一に洗浄することとなる。ボウル部8を流下した洗浄水は、汚物とともに排水トラップ管路14から排出されて、便器本体2の一連の洗浄動作が終了する。
【0051】
本発明の第1実施形態による水洗大便器1は、左右非対称の導水路10を備えているが、これに限らず、左右逆転した形状の導水路を採用していてもよい。この場合には、リム通水路上を流れる洗浄水は、時計回りの旋回流れを形成する。なお、以下説明する第2実施形態による水洗大便器101、及び第3実施形態による水洗大便器201においても、同様な形状の流路構成を採用していてもよい。
【0052】
上述した本発明の第1実施形態による水洗大便器1によれば、洗浄水が、便器本体2の右側へと延びる上流側導水路28から、方向を変えて下流側導水路30に流入され、下流側導水路30に沿って、左側に導かれる。この左側に導かれる洗浄水のうち、下流側導水路30の右側の内壁面38に沿って流れる洗浄水が、便器本体2の中心線Cよりも左側に位置する下流端部38bまでこの内壁面38に沿って流れることができる。従って、この内壁面38の下流端部38b近傍から流出する洗浄水は、中心線C近傍の領域に流下されることが抑制され、且つ下流側導水路30からリム通水路20に向かう洗浄水の主流を形成することできる。よって、リム部18の全周に形成された開口部を有するいわゆるオープンリムタイプの水洗大便器において、リム通水路20を旋回しようとする洗浄水の良好な旋回流を形成することができ、便器洗浄に使用する洗浄水量を少なく設定した場合においても、ボウル部8を旋回流により十分に洗浄することができる。
【0053】
また、本発明の第1実施形態による水洗大便器1によれば、上流側導水路28から下流側導水路30に流入した洗浄水の流速が下流側導水路30において増大され、この内壁面38の下流端部38b近傍から流出する洗浄水は、中心線C近傍の領域に広がるように流れることがより抑制され、且つ下流側導水路30からリム通水路20に向かう洗浄水の主流を形成することでき、より良好にリム通水路20を旋回しようとする洗浄水の旋回流を形成することができる。
【0054】
さらに、本発明の第1実施形態による水洗大便器1によれば、便器本体2の右側へと延びる上流側導水路28の中心線A1が、供給口6の中心点c1より右側に偏心して延びているので、供給口6から流出する洗浄水が、供給口6の中心点c1より右側から、偏心した上流側導水路28に比較的スムーズに流出することができる。よって、上流側導水路28の中心線A1が、供給口6の中心点c1から偏心していない場合と比べて、上流側導水路28の側から比較的スムーズに上流側導水路28に流れ込むことができる。
【0055】
また、本発明の第1実施形態による水洗大便器1によれば、屈曲部32の流路の外周壁32aの曲率半径r1が、その流路の内周壁32bの曲率半径r2より小さいので、屈曲部32の流路の外周壁32aに沿う流れを、屈曲部32の流路の内周壁32bに沿う流れに向かって誘導することができ、その内周壁32b側から下流側導水路30に延びる外側壁面30cに沿うようにリム通水路20に向かって流入する洗浄水の勢いが強められ、リム通水路20を旋回しようとする流れが形成されやすくなる。
【0056】
次に、
図4により、本発明の第2実施形態による水洗大便器を説明する。第2実施形態による水洗大便器には、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0057】
本発明の第2実施形態による水洗大便器101は、陶器等からなる便器本体102を有する。
便器本体102の後方上部には、供給口6とリム通水路20との間に形成され、貯水タンク(図示せず)から供給された洗浄水を供給口6からボウル部8に導水する導水路110が形成されている。
この第2実施形態においては、導水路110の下流側導水路130の幅が、下流側導水路130の入口部から出口部に向けて小さくなるように形成されている構成のみが、第1実施形態の水洗大便器1における導水路10の下流側導水路30の形状と異なっている。
【0058】
次に、導水路10の下流側導水路130について詳細に説明する。
図4に示すように、下流側導水路130は、屈曲部32に接続される下流側導水路入口部130aから左側へと延び、リム通水路20の合流部20aに接続される下流側導水路出口部130bに至る流路を形成している。
【0059】
下流側導水路130は、その入口部130aが、中心線Cに対して右側領域に配置され、その中間部130dが、中心線C近傍の中央近傍領域に配置され、さらに、その出口部130bが、中心線Cに対して左側の左側領域に配置されている。
【0060】
第2実施形態においては、下流側導水路130の右側の内壁面138は、便器本体102の中心線Cに対する右側から、この中心線Cよりも左側まで延びている。
内壁面138は、入口部130aを形成し且つ外周壁32aの下流側端部32cと接続される上流端部138aと、出口部130bを形成し且つ中心線Cよりも左側に位置する下流端部138bと、を形成している。従って、内壁面138は、中心線Cの右側から左側まで中心線Cを超えて延びている。
【0061】
下流側導水路130の内壁面138の下流端部138bは、中心線Cよりも左側の領域に突出する凸部を形成している。内壁面138の下流端部138bは、中心線Cよりも左側の領域において、汚物受け面16の後方側から延びるリム通水路外側壁面34と接続されている。
下流端部138bは、中心線Cよりも左側の領域に突出する凸部を形成しているので、下流端部138bは、中心線C上において、下流側導水路130の流路と、リム通水路20の中央後方領域20bとを区切っている。
【0062】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に仮想的な形態の仮想下流側導水路40の仮想中心線Eに対し、仮想内壁面42を例えば平行移動させるように寄せることにより、下流側導水路130の内壁面138を形成している。
【0063】
本発明の第2実施形態においては、第1実施形態と異なり、下流側導水路130の幅は、下流側導水路130の入口部130aから中間部130d、及び出口部130bに向けて小さくなるように形成されている。よって、入口部130aの幅W4>中間部130dの幅W5>出口部130bの幅W6の関係となっている。ここで、仮想中心線Eから外側壁面30cまでの距離は一定であるので、仮想中心線Eから内壁面138までの距離が、入口部130aから中間部130d、及び出口部130bに向けて小さくなるように形成されている。
【0064】
第2実施形態においては、下流側導水路130の入口部130aの幅W4>出口部130bの幅W6の関係を満たすものも含む。また、第2実施形態においては、中間部130dの幅W5>出口部130bの幅W6の関係を満たすものも含む。例えば、下流側導水路130の幅は、入口部130aから出口部130bに向けてほぼ一定の変化割合で小さくなるように形成されている。下流側導水路130の幅は、上述のような関係を有するに際し、入口部130aから出口部130bに向けてほぼ一定の変化割合で変化せず、非線形的に変化していてもよい。
【0065】
内壁面138は、下流側が仮想中心線Eに対して近づくようにわずかに傾斜して形成されている。第2実施形態の下流側導水路130の幅、例えば、入口部130aの幅W4は、上流側導水路28の幅W2よりも小さくなっている。また、下流側導水路130の入口部130aの幅W4は、仮想下流側導水路40の幅W3(
図4においては仮想下流側導水路40の図示を省略しているため
図3参照)よりも4分の3程度の幅まで小さくなっている。従って、上流側導水路28の中心線A1上の点と、上記交点C2とを結ぶ仮想中心線Eから内壁面138までの距離l5は、仮想中心線Eから外側壁面30cまでの距離l6よりも短い。また、交点C2から内壁面138までの距離l7は、交点C2から外側壁面30cまでの距離l8よりも短い。
【0066】
上述のように、下流側導水路130の幅が入口部130aから出口部130bに向けて小さくなり、流路の断面積も減少されるため、下流側導水路に流入した洗浄水の流速及び水勢が下流側導水路において入口部130aから出口部130bに向けて増大される。よって、出口部130b近傍から流出する洗浄水は、流速及び水勢が増大される。従って、中心線C近傍の領域、例えば中央後方領域20b及び汚物受け面16の中心線C近傍の領域、に広がるように流れることがより抑制され、且つ下流側導水路130からリム通水路20に向かう洗浄水の主流を形成することでき、より良好にリム通水路20を旋回しようとする洗浄水の旋回流を形成することができる。
【0067】
次に、
図5により、本発明の第3実施形態による水洗大便器を説明する。第3実施形態に関し、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0068】
本発明の第3実施形態による水洗大便器201は、陶器等からなる便器本体202を有する。
便器本体202には、貯水タンク(図示せず)から供給された洗浄水を供給口6からボウル部8に導水する導水路210が、供給口6とリム通水路20との間に形成されている。
この第3実施形態においては、導水路210の下流側導水路230の形状が、下流側導水路230の幅が下流側導水路230の入口部から出口部に向けて大きくなるように形成されている構造のみが、第1実施形態における導水路10の下流側導水路30の形状と異なっている。
【0069】
次に、下流側導水路230について詳細に説明する。
図5に示すように、下流側導水路230は、屈曲部32に接続される入口部230aから左側へと延び、リム通水路20の合流部20aに接続される出口部230bに至る流路を形成している。
【0070】
下流側導水路230は、その入口部230aが、中心線Cに対して右側の右側領域に配置され、その中間部230dが、中心線C近傍の中央近傍領域に配置され、さらに、その出口部230bが、中心線Cに対して左側の左側領域に配置されている。
【0071】
第3実施形態においては、下流側導水路230の右側の内壁面238は、便器本体202の中心線Cに対する右側から、この中心線Cよりも左側の領域まで延びている。
内壁面238は、下流側導水路230の入口部230aを形成し且つ外周壁32aの下流側端部32cと接続される上流端部238aと、下流側導水路出口部230bを形成し且つ中心線Cよりも左側に位置する下流端部238bと、を形成している。従って、内壁面238は、中心線Cの右側から左側まで中心線Cを超えて延びている。
【0072】
下流側導水路230の内壁面238の下流端部238bは、中心線Cよりも左側の領域に突出する凸部を形成している。内壁面238の下流端部238bは、中心線Cよりも左側の領域において、汚物受け面16の後方側から延びるリム通水路外側壁面34と接続されている。
下流端部238bは、中心線Cよりも左側に突出する凸部を形成しているので、下流端部238bは、中心線C上において、下流側導水路230の流路と、リム通水路20の中央後方領域20bとを区切っている。
【0073】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様に仮想的な形態の仮想下流側導水路40(
図3参照)の仮想中心線Eに対し、仮想内壁面42(
図3参照)を例えば平行移動させるように寄せることにより、下流側導水路230の内壁面238を形成している。
【0074】
本発明の第3実施形態においては、第1実施形態と異なり、下流側導水路230の幅は、入口部230aから中間部230d、及び出口部230bに向けて大きくなるように形成されている。よって、下流側導水路230の入口部230aの幅W7<中間部230dの幅W8<出口部230bの幅W9の関係となっている。ここで、仮想中心線Eから外側壁面30cまでの距離は一定であるので、仮想中心線Eから内壁面238までの距離が、入口部230aから中間部230d、及び出口部230bに向けて大きくなるように形成されている。
【0075】
第3実施形態においては、下流側導水路230の入口部230aの幅W7<出口部230bの幅W9の関係を満たすものも含む。また、第3実施形態においては、中間部230dの幅W8<出口部230bの幅W9の関係を満たすものも含む。例えば、下流側導水路230の幅は、入口部230aから出口部230bに向けてほぼ一定の変化割合で小さくなるように形成されている。下流側導水路230の幅は、上述のような関係を有するに際し、下流側導水路入口部230aから下流側導水路出口部230bに向けてほぼ一定の変化割合で変化せず、非線形的に変化していてもよい。
【0076】
内壁面238は、下流側が仮想中心線Eに対して離間するようにわずかに傾斜して形成されている。本実施形態の下流側導水路230の幅W7は、上流側導水路28の幅W2よりも小さくなっている。例えば、下流側導水路230の出口部230bの幅W9であっても、上流側導水路28の幅W2よりも小さくなっている。また、入口部230aの幅W7は、仮想下流側導水路40の幅W3(
図5においては仮想下流側導水路40の図示を省略しているため
図3参照)よりも4分の3程度の幅まで小さくなっている。従って、上流側導水路28の中心線A1上の点と、上記交点C2とを結ぶ仮想中心線Eから内壁面238までの距離l9は、仮想中心線Eから外側壁面30cまでの距離l10よりも短い。また、交点C2から内壁面238までの距離l11は、交点C2から外側壁面30cまでの距離l12よりも短い。
【0077】
上述のように、下流側導水路230の幅が入口部230aから出口部230bに向けて広がるため、便器洗浄動作の後半(或いは便器洗浄動作の終了直前時期)において貯水タンク4から便器本体202へ供給される洗浄水の水勢が弱まってくる場合においては、矢印F13に示すように、下流側導水路230に流入した洗浄水が入口部230aから出口部230bに向けて比較的緩やかな洗浄水の水勢及び比較的遅い流速により広がるような流れを形成できる。従って、下流側導水路230の出口部230bから流出する洗浄水は、下流側導水路230の幅の広がりに合わせて扇形に広がるような流れを形成でき、リム通水路20上を旋回して中央後方領域20bに戻ってきた流速及び水勢の低減された流れと相俟って、ボウル部の広範囲に広がるように流れ、ボウル部の広範囲をより均一に洗浄することができる。
一方、便器洗浄動作の前半及び中盤における貯水タンク4から便器本体202の供給口6へ供給される洗浄水の水勢が比較的強い場合においては、矢印F14に示すように、下流側導水路230内を流れる洗浄水は、所定の長さ直線的に延びる下流側導水路230の流路及び外側壁面30c等に沿って、上述のように下流側導水路230からリム通水路20に直線的に向かう向きの指向性を有した流れを形成することとなる。
【0078】
上述した本発明の第3実施形態による水洗大便器201によれば、下流側導水路230の幅が、入口部230aから出口部230bに向けて大きくなるように形成されているので、便器洗浄動作の後半において貯水タンク4から便器本体202の供給口6へ供給される洗浄水の水勢が弱まってくる場合において、出口部230bから流出する洗浄水は、下流側導水路230の幅の広がりに合わせて扇形に広がるような流れを形成でき、ボウル部8の広範囲をより均一に洗浄することができる。
【0079】
次に、
図6により、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態に関し、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
【0080】
本発明の第4実施形態による水洗大便器301は、陶器等からなる便器本体302を有する。
便器本体302のボウル部308の上縁部には、内側にオーバーハングしたリム部318と、リム通水路320上に形成された第1吐水口339及び第2吐水口341を備え、これらの第1吐水口339及び第2吐水口341から、便器本体302の後方側の内部に形成される導水路310から供給される洗浄水が吐水されるようになっている。
この第4実施形態においては、リム部が、第1乃至第3実施形態によるオープンリムタイプの形態とは異なり、いわゆるフチなしタイプのリム部318となっている。フチなしタイプのリム部318を有する水洗大便器301は、洗浄水を第1吐水口339及び第2吐水口341からリム部318上に吐水し、汚物受け面16を旋回する旋回流を形成するようになっている。なお、第4実施形態による水洗大便器301は、第1吐水口339のみを有していてもよく、導水路310の流路の延長上に配置される第1吐水口339をリム部全周のうちのいずれの場所に配置していてもよい。
【0081】
この第1吐水口339から吐水された洗浄水は、リム通水路320のリム通水路底面(棚面)324上を流れてボウル部308の上部を旋回し、旋回しながらリム通水路底面324から汚物受け面16に下降してボウル部308を洗浄するようになっている。また、第2吐水口341から吐水された洗浄水は、リム通水路320のリム通水路底面324上を流れてボウル部308の上部を旋回し、旋回しながらリム通水路底面324から汚物受け面16に下降してボウル部308を洗浄するようになっている。
なお、本実施形態においては、リム部318は内側にオーバーハングしているが、ほぼ垂直に延びる縦壁状の形態を有していてもよい。
【0082】
リム部318は、ボウル部308の上縁部のほぼ全周又は大部分の内側に形成されて洗浄水を導くことができるようになっている。このリム部318は、汚物受け面16の上方に位置しその内壁面であるリム通水路外側壁面334の上部が内側に向って張り出すように形成されている。また、リム部318は、リム部318のリム通水路底面324が内方に向って水平方向に延びて形成されている。よって、リム部318は、リム通水路底面324上にリム通水路320を形成している。リム部318の周方向に沿って形成されたリム通水路320の内側且つ下方は全周にわたって開口されており、ボウル部308の汚物受け面16が形成されている。
【0083】
リム通水路底面324は、ボウル部308のほぼ全周に亘って形成された棚状のリム通水路底面324を形成している。リム通水路底面324は、ボウル部308の上部に環状に形成された平坦面を形成し、この平坦面はボウル部308の外側方向から内側方向においては、ほぼ水平に形成されている。このような構成により、導水路310から供給された洗浄水が、リム通水路320においてリム通水路底面324上を流れながらボウル部308の上部を一周するような流れを形成することができる。
【0084】
導水路310は、供給口6と、第1吐水口339及び第2吐水口341との間に形成され、供給口6近傍から便器本体302の右側へと延びる上流側導水路28と、この上流側導水路28から左側へと延びる下流側導水路330とを備えている。
本発明の第4実施形態における下流側導水路330は、本発明の第1実施形態における下流側導水路30と同様の構造及び機能を有している。ただし、下流側導水路330の出口部330bが第1吐水口339に連通され、また出口部330bから分岐した下流分岐導水路342が第2吐水口341まで延ばされている点で、本発明の第1実施形態における下流側導水路30と異なっている。
【0085】
次に、下流側導水路330について詳細に説明する。
図6に示すように、下流側導水路330は、屈曲部32に接続される入口部330aから左側へと延び、リム通水路320に接続される出口部330bに至る流路を形成している。
【0086】
下流側導水路330は、その入口部330aが、中心線Cの右側領域に配置され、その中間部330dが、中心線C近傍の中央近傍領域に配置され、さらに、その出口部330bが、中心線Cに対して左側領域に配置されている。
【0087】
第4実施形態においては、下流側導水路330の右側の内壁面338は、便器本体302の中心線Cに対する右側から、この中心線Cよりも左側まで延びている。
内壁面338は、下流側導水路330の入口部330aを形成し且つ外周壁32aと接続される上流端部338aと、出口部330bを形成し且つ中心線Cよりも左側に位置する下流端部338bと、を形成している。従って、内壁面338は、中心線Cの右側から左側まで中心線Cを超えて延びている。
【0088】
第4実施形態においても、第1実施形態と同様に仮想的な形態の仮想下流側導水路40の仮想中心線Eに対し、仮想内壁面42を例えば平行移動させるように寄せることにより、本実施形態の下流側導水路330の内壁面338を形成している。
【0089】
つぎに、
図6により、本発明の第4実施形態による水洗大便器の作用(動作)を説明する。
本発明の第4実施形態において、導水路310に流入した洗浄水は、上流側導水路28内を便器本体302の右側へと向かって流れる。すなわち、洗浄水は、中心線Cから遠ざかるように右側に向かって流れる。洗浄水が上流側導水路28の出口部28aに到達すると、洗浄水が屈曲部32において向きを変える。
【0090】
つづいて、洗浄水は、反対側の左側前方に向かって延びる下流側導水路330に流入する。洗浄水は、直線的に延びる下流側導水路330に沿って入口部330aから第1吐水口339に向かって直線的な流れを形成する。
第4実施形態の下流側導水路330の構造は、第1実施形態の下流側導水路30の構造とほぼ同様であるため、第4実施形態の下流側導水路330における洗浄水の流れは、第1実施形態の下流側導水路30における洗浄水の流れとほぼ同様となる。
【0091】
第4実施形態においても、外周壁32aから連続する内壁面338に導かれる洗浄水は、下流側導水路330の右側の内壁面338に沿って流れる。内壁面338に沿って流れる洗浄水は、便器本体302の中心線Cよりも左側に位置する下流端部338bまでこの内壁面338に沿って流れることができる。この内壁面338の下流端部338b近傍から流出する洗浄水は、下流側導水路330から内壁面338の延長線上のリム通水路320に向かう洗浄水の主流を直線的に形成することできる。
【0092】
下流側導水路330を通る洗浄水は、中心軸線Cを越えて直線的に流れ、水勢を維持しながら流れの方向が比較的均一に整えられる。従って、洗浄水は、第1吐水口339から左右に拡がることが抑制され、流線A4から流線A5に沿って直線的に流れることができる。
一方、一部の洗浄水は、下流側導水路330から下流分岐導水路342に分岐して流れ、下流分岐導水路342に沿って直線的に流れた後、第2吐水口341からリム通水路底面324上に吐水されるようになっている。
【0093】
第1吐水口339から流出する洗浄水は、リム通水路320上を周回しようとする洗浄水の流線A5に沿って、リム通水路320を流れる。この洗浄水の旋回方向に向かう単位時間当たりの流量が増大されている。第1吐水口339からリム通水路320に向かって流出する際の洗浄水の流速及び水勢が強められ、且つオープンリム部以外のリム部(例えばフチなしタイプのリム部)を採用する場合であってもリム通水路320を旋回しようとする流れが形成されやすくなる。
また、第2吐水口341から流出する洗浄水は、リム通水路320上を周回しようとする洗浄水の流線A6に沿って、リム通水路320を流れる。この洗浄水の旋回方向に向かう単位時間当たりの流量が増大されている。第2吐水口341からリム通水路320に向かって流入する際の洗浄水の流速及び水勢が強められ、且つオープンリム部以外のリム部(例えばフチなしタイプのリム部)を採用する場合であってもリム通水路320を旋回しようとする流れが形成されやすくなる。
【0094】
このようにして、洗浄水が、リム通水路320におけるリム通水路底面324上を流れ、反時計回りの旋回流れを形成する。このような旋回流れを形成しながら、洗浄水が、リム通水路底面324の内側のボウル部308の汚物受け面16に徐々に流下し、ボウル部308全体を均一に洗浄することとなる。ボウル部308を流下した洗浄水は、汚物とともに排水トラップ管路14から排出されて、便器本体302の一連の洗浄動作が終了する。
【0095】
上述した本発明の第4実施形態による水洗大便器301によれば、洗浄水が、便器本体302の右側へと延びる上流側導水路28から、方向を変えて下流側導水路330に流入され、下流側導水路330に沿って、左側に導かれる。この右側から左側に導かれる洗浄水のうち、下流側導水路330の右側の内壁面338に沿って流れる洗浄水が、便器本体302の中心線Cよりも左側に位置する下流端部338bまでこの内壁面338に沿って流れることができる。従って、この内壁面338の下流端部338b近傍から流出する洗浄水は、下流側導水路330から第1吐水口339及び第2吐水口341に向かう洗浄水の主流を形成することできる。よって、いわゆるフチなしタイプの水洗大便器において、第1吐水口339及び第2吐水口341から吐水された洗浄水は汚物受け面16を旋回しようとする洗浄水の良好な旋回流を形成することができ、便器洗浄に使用する洗浄水量を少なく設定した場合においても、ボウル部308を旋回流により十分に洗浄することができる。
【0096】
(今回の追加分)
次に、
図7及び
図8により、本発明の第5実施形態を説明する。この第5実施形態による水洗大便器において、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0097】
図7及び
図8に示すように、本発明の第5実施形態による水洗大便器501は、洗浄水を貯水する貯水タンク504を有する。貯水タンク504は、洗浄水を貯めるタンク本体544と、タンク本体544の底部544aに設けられた排水口546と、排水口546の開閉を行う排水弁装置548と、排水口546に取り付けられ、洗浄水を便器本体2の供給口6に案内する筒状の洗浄水ガイド部材552と、を有する。
【0098】
排水弁装置548は、所謂、直動式の排水弁装置であり、貯水タンク504内を上下方向に移動可能に形成された排水弁体550を備えている。この排水弁装置548は、貯水タンク504に設けられた操作レバー(図示せず)の操作により、排水弁体550が上下動することにより、排水口546が開閉するようになっている。
【0099】
洗浄水ガイド部材552は、貯水タンク504の排水口546から便器本体2の供給口6へ洗浄水を導く流路であるガイド流路554を形成している。
洗浄水ガイド部材552は、その内壁の一部から流路554に突出した絞り部556を備えている。
【0100】
絞り部556は、上述した導水路10の上流側導水路28の方向に突出する半月状の板部材である。この絞り部556が設けられた箇所のガイド流路554は、上流側導水路28が延びる方向に向かって絞り部556が存在する面積の分だけ狭められている。
この洗浄水ガイド部材552の絞り部556により、供給口6に供給された洗浄水が、上流側導水路28に向かって流れ易くなっている。
【0101】
なお、第5実施形態の水洗大便器501において、洗浄水ガイド部材552の絞り部556は半月状に形成されていたが、
図9及び
図10に示す変形例のように形成してもよい。この変形例において、絞り部558は、洗浄水ガイド部材552の内壁の全周から流路554の内側に突出するようになっており、大円から小円をくり抜いたような形状に形成されている。この絞り部558においても、絞り部558が設けられた箇所のガイド流路554は、上流側導水路28が延びる方向に向かって絞り部558が存在する面積の分だけ狭められている。この洗浄水ガイド部材552の絞り部558により、供給口6に供給された洗浄水が、上流側導水路28に向かって流れ易くなっている。
【0102】
つぎに、
図7乃至
図10により、本発明の第5実施形態による水洗大便器501の作用(動作)を説明する。
本発明の第5実施形態において、貯水タンク504に設けられた操作レバー(図示せず)の操作により、貯水タンク504の排水弁体550が動作され、排水口546が開き、洗浄水が洗浄水ガイド部材552に流入する。流入した洗浄水は、洗浄水ガイド部材552のガイド流路554に沿って流れ、便器本体2の供給口6に流出する。
このとき、洗浄水ガイド部材552のガイド流路554は、絞り部556,558によって洗浄水が上流側通水路28の延びる方向に流れるように絞られているので、洗浄水が絞り部556,558に沿って流路554を流れると、この流路554を流れる洗浄水が上流側導水路28の延びる方向に誘導され、上流側リム通水路28の延びる方向へ流れ易くなっている。
そのため、上流側導水路28が延びる方向へ向かう洗浄水の流れを作り出すことができ、より良好にリム通水路20を旋回しようとする洗浄水の旋回流を形成することができる。