(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分流洗浄水減速流路の入口が、前記先行洗浄水の流れ方向と直交する方向に向けて開口していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の排水ソケット。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<1.第一実施形態>
図1乃至
図5に基づいて、本発明の第1実施形態である排水ソケット100について説明する。
【0029】
<1.1.水洗大便器の構造>
まず、
図1乃至
図3に基づいて、本発明の第1実施形態である排水ソケット100および排水ソケット100を備える水洗大便器の構造について説明する。
図1は本発明の第1実施形態である排水ソケットを備えた水洗大便器の側面断面図であり、
図2は本発明の第1実施形態である排水ソケットの一部断面斜視図であり、
図3は
図1のIII−III断面図である。
なお、排水ソケット100の長手方向を「前後方向」とし、前後方向と鉛直方向とにより形成される平面と直交する方向(すなわち、排水ソケット100の幅方向)を「左右方向」とする。
【0030】
図1に示すように、水洗大便器FTは、便器本体Tと、便器本体Tに接続される排水ソケット100とを備えている。
便器本体Tは、汚物が堆積するボウル部Tbと、ボウル部Tbの底部でボウル部Tbと連通しているトラップ部Ttとを有している。
トラップ部Ttの出口(トラップ出口)Toは、床F(すなわち鉛直下方)に向けて開口している。
【0031】
このトラップ出口Toと排水ソケット100の一端とが連通しており、排水ソケット100の他端は床Fに設けられた建物配管Pに接続されている。
【0032】
<1.2.排水ソケットの構造>
図2に示すように、排水ソケット100は、入口側屈曲管部材110、平行管部材120、出口側屈曲管部材130の3部材により構成されている。
そして、入口側屈曲管部材110の入口(すなわち、トラップ出口To)から出口側屈曲管部材130のソケット出口133までを繋ぐ流路を主流路MSとする。
便器本体Tのボウル部Tb内の汚物はこの主流路MSを通る。
なお、本発明における「汚物」とは、例えば、JIS P 4501:2006(トイレットペーパー)に示すシングルペーパー又はそれと同等のトイレットペーパ−90cmを8折りしてほぼ正方形としたものを4枚重ねたものを指す。
【0033】
図1および
図2に示すように、入口側屈曲管部材110は、側面視で略L字状の管状部材である。
入口側屈曲管部材110は、便器本体Tのトラップ出口Toから流入した洗浄水を床Fに設けられた建物配管Pへ排出するために、便器本体Tのトラップ出口Toから流入した洗浄水の向きを鉛直方向から水平方向に偏向する部材である。
そして、入口側屈曲管部材110は、便器本体Tのトラップ出口Toに向けて開口している垂直管路領域111と、垂直管路領域111と直結して鉛直方向の流れを水平方向に偏向する屈曲領域112とから区画されている。
【0034】
図1乃至
図3に示すように、平行管部材120は、水平方向に延びる楕円管であり、入口側屈曲管部材110と、後述する出口側屈曲管部材130とを接続している。
【0035】
図1および
図2に示すように、出口側屈曲管部材130は、平面視で略U字状であり、平行管部材120から流入した洗浄水Wを床Fに設けられた建物配管Pへ排出するために、平行管部材120から流入した洗浄水Wの流れの向きを水平方向から鉛直方向に偏向する部材である。
【0036】
<1.3.出口側屈曲管部材の詳細構造>
続いて、出口側屈曲管部材130の詳細な構造について説明する。
図3に示すように、出口側屈曲管部材130は平行管部材120との接続される入口部131の中心を通るA−A線に対して、貯水部132が左右対称に形成されている。
【0037】
入口部131の近傍には、建物配管Pと連通するソケット出口133が鉛直下方に向けて開口されている。
また、このソケット出口133の左右方向の中心もA−A線上に配置されている。
【0038】
貯水部132は、入口部131の左右側方に配置されている。
排水ソケットの側方については、水洗大便器の袴部があるのみで、排水ソケットと水洗大便器の袴部との間の距離は、排水ソケットと水洗大便器のボウル部やトラップ部との間の距離より大きく、従来はデットスペースとみなされていた。
そこで本実施形態では、このデッドスペースに着目し、出口側屈曲管部材130に貯水部132を設けた。
【0039】
貯水部132は、前端側が開口され、後端側が閉塞されており、貯水部132の後端は、平行管部材120の入口近傍(入口側屈曲管部材110と平行管部材120との接続部)まで延在しており、貯水部132の前後方向の長さが貯水部132の鉛直方向の長さより長くなっている。
換言すれば、貯水部132は、水平方向の長さが鉛直方向の長さより長い。
さらに、貯水部132は、自身に貯水された水を排水するために、ソケット出口133(すなわち、前方側)に向けて底面が下り傾斜となっている。
【0040】
ソケット出口133の左右側方には、ガイド134がそれぞれ形成されている。
ガイド134は、平面視で概ね楔状であり、前方に向けて先細になっている。
さらに、ガイド134の左右側面は、左右方向に向けて湾曲しつつ、外方に向けて膨出している。
【0041】
また、ガイド134と入口部131との間には左右方向に延びる隙間135が形成されている。
【0042】
さらに、ソケット出口133の前方には、板状の突出部136が形成されている。
突出部136の左右方向の中心もA−A線上に配置されている。
すなわち、入口部131の左右方向の中心とソケット出口133の左右方向の中心と突出部136の左右方向の中心とは同一直線(A−A線)上に存在している。
【0043】
<1.4.洗浄水の挙動>
次に
図1および
図4を用いて、本発明の第1実施形態である排水ソケット100における洗浄水の挙動について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態である排水ソケット100における洗浄水の流れの様子を示す図である。
なお、排水ソケット100の左右方向の中心線A−Aを中心にして、右側は洗浄水が貯水部133へ流入する際の挙動、左側は洗浄水が貯水部133から流出する際の挙動を示す。
【0044】
<1.4.1.先行洗浄水の挙動>
まず、先行洗浄水の挙動について説明する。
図1および
図4に示すように、出口側屈曲管部材130の中央(A−A線)付近に流入した洗浄水Wcは、平行管部材120を直進した後、突出部136への衝突により運動方向が反転し、ソケット出口133に向かって落下する。
【0045】
次に、出口側屈曲管部材130の中央(A−A線)付近から最も遠い位置(換言すると最もガイド134に近い位置)を流れる洗浄水Woの挙動について説明する。
図4に示すように、洗浄水Woは、コアンダ効果によりガイド134に引き寄せられ、流れの方向がガイド134側に偏向されて貯水部132へ流れる。
【0046】
次に、出口側屈曲管部材130の中央(A−A線)付近から最も遠い位置を流れる洗浄水Woと、A−A線付近を流れる洗浄水Wcとの間を流れる洗浄水W1の挙動について説明する。
洗浄水W1もガイド134により、ガイド134の表面の湾曲に対応して偏向されつつ、ソケット出口133を飛び越えて貯水部132へ流れる。
このとき、ソケット出口133の上を通過する際、重力により一部の洗浄水はソケット出口133へと落下する。
【0047】
以上説明したように、先行洗浄水は、一部がソケット出口133に向かって流れるものと、ガイド134側に偏向された後に分流洗浄水としてガイド134と突出部136との間から貯水部132へ分流されるものに大別される。
ここで、ガイド134の先端と突出部136の先端とを繋ぐ面が、貯水部132の入口(貯水部入口)132aになる。
【0048】
そして、貯水部132に流入した分流洗浄水は、貯水部132内に貯留水として貯留あるいは滞留される。
【0049】
<1.4.2.汚物を含む洗浄水の挙動>
続いて、汚物Eを含む洗浄水の挙動について説明する。
図1および
図4に示すように、出口側屈曲管部材130の中央(A−A線)付近に流入した汚物Eを含む洗浄水Wcは、突出部136への衝突により運動方向が反転し、ソケット出口133に向かって落下する。
次に、出口側屈曲管部材130の中央(A−A線)付近から最も遠い位置を流れる洗浄水WoおよびA−A線付近を流れる洗浄水Wcとの間を流れる洗浄水W1については、先行洗浄水の挙動と同一であり、一部が分流洗浄水として貯水部132内に貯留水として貯留あるいは滞留される。
【0050】
<1.4.3.背負い水の挙動>
続いて、汚物Eより後に流れる背負い水(特に便器本体から供給される背負い水)の挙動について説明する。
出口側屈曲管部材130の中央(A−A線)付近に流入した洗浄水Wc、出口側屈曲管部材130の中央(A−A線)付近から最も遠い位置を流れる洗浄水WoおよびA−A線付近を流れる洗浄水Wcとの間を流れる洗浄水W1、先行洗浄水の挙動と同一であり、一部が分流洗浄水として貯水部132内に貯留水として貯留あるいは滞留される。
【0051】
<1.4.4.貯水部からの流出>
便器本体からの背負い水がなくなると、貯水部132に貯留あるいは滞留されていた貯留水が、貯水部132からソケット出口133に向かって流出し始める。
すなわち、貯留水(換言すると、貯水部132に供給された分流洗浄水)が汚物Eを搬送するための背負い水に転換される。
また、ガイド134の先端と突出部136の先端とを繋ぐ面が、貯水部132の入口(貯水部出口)132bになる。
【0052】
さらに、貯水部132に貯留あるいは滞留されていた貯留水は、貯水部出口132bからに加え、隙間135からも洗浄水はソケット出口133に向かって流れる。
すなわち、隙間135は洗浄水の排出流路として機能する。
【0053】
<1.5.各部位の機能>
ソケット出口133を通過することで、洗浄水をソケット出口133に直接落下する洗浄水と、貯水部132へと流れる分流洗浄水とに分流される。
したがって、ソケット出口133は、分流手段Dとして機能する。
【0054】
さらに、ガイド134は洗浄水を偏向させ貯留部132へ導いている。
したがって、ガイド134も、分流手段Dとして機能する。
【0055】
貯水部132は分流洗浄水を貯水部132の減速空間Sに貯留あるいは滞留させて、減速させる。
すなわち、
図3に示すような、貯水部132を通る流路は分流洗浄水減速流路DSとして機能する。
【0056】
このように分流洗浄水減速流路DSを定義すると、分流洗浄水減速流路DSの出口DSo(すなわち、貯水部出口132b)は主流路MSと連通している。
さらに、分流洗浄水減速流路DSの入口DSi(すなわち、貯水部入口132a)と分流洗浄水減速流路DSの出口(貯水部出口132b)とは同じ開口を利用しており、分流洗浄水減速流路DSの入口DSiの開口面積と分流洗浄水減速流路DSの出口DSoの開口面積とは等しい。
また、分流洗浄水減速流路DSの入口(貯水部入口132a)の開口方向Mは、主流路MSの上流側に向かっている。
さらに、分流洗浄水減速流路DSは、主流路MSの側方に配置されている。
【0057】
さらに、分流洗浄水減速流路DS(すなわち貯留部132)の体積は、先行洗浄水の体積より大きくなっている。
【0058】
ここで、先行洗浄水の体積測定方法を説明する。
まず、排水ソケットから排出される洗浄水の積算重量値を測定することで、時刻ごとの積算重量値を求める。
続いて、ビデオカメラ等で排水ソケットの出口を観察し、排水ソケットの出口から洗浄水が出始めた時間t0、汚物が排水ソケットの出口から排出され始めた瞬間の時刻t12をそれぞれ計測する。
このように積算重量値と時刻を計測することにより積算流量が求められ、時刻t1における積算流量を「先行洗浄水の体積」とする。
【0059】
汚物Eは水より質量が大きく、流路の底面との間で発生する摩擦力も水より大きい。
したがって、ソケット出口133に到達した際に、汚物Eの飛距離は洗浄水より短く、汚物Eが洗浄水と共にソケット出口133を跨げずに直接ソケット出口133に落下する場合がある。
この場合、ソケット出口133は汚物Eが貯水部132へ進入することを抑制する汚物進入抑制手段Rとして機能する。
【0060】
さらに、汚物Eはある程度の大きさを持っているため、この汚物が主流路MSを流れてソケット出口133を通過したときに、突出部136への衝突により運動方向が反転し、ソケット出口133に向かって落下する。
すなわち、突出部136も、汚物Eが貯水部132へ進入することを抑制する汚物進入抑制手段Rとして機能する。
【0061】
<1.6.第1実施形態の変形例>
本実施形態において、排水ソケット100は3部材から構成されていたが、排水ソケット100の外形が同じであれば、部材点数を増やしたり(例えば、入口側屈曲管部材110を垂直管部材(垂直管路領域111に相当)とエルボ(屈曲領域112に相当)に分ける)、部材点数を減らしたり(例えば、入口側屈曲管部材110と平行管部材130とを一体成形する)してもよい。
【0062】
また、貯水部132は、入口部131の左右にそれぞれ配置されているが、入口部131の左方あるいは右方の一方に配置されていてもよい。
さらに、左右それぞれの貯水部132の外形は、非対称であっても良い。
【0063】
本実施形態においては、本発明の第1実施形態の変形例である排水ソケットの一部断面斜視図である
図5に示すように、分流洗浄水減速流路DSの入口DSi(および出口DSo)を出口側屈曲管部材130に設けたが、入口側屈曲管部材110に設けてもよい。
具体的には、入口側屈曲管部材110の屈曲領域112の後方に開口を設け(この開口を分流洗浄水減速流路DSの入口DSiおよび出口DSoとする)、平行管部材120の側方に貯水部を設けるような構造にしてもよい。
【0064】
分流手段Dは、ソケット出口133だけであってもよい(すなわち、ガイド134を設けなくてもよい)。
【0065】
汚物進入手段Rは、ソケット出口133だけであってもよい(すなわち、突出部136を設けなくてもよい)。
【0066】
<1.7.作用効果>
このようにして得られた本発明の第1実施形態である排水ソケット100は、汚物Eの流れる主流路MSと、汚物Eを排出する洗浄水のうち汚物より先行する先行洗浄水の少なくとも一部を分流洗浄水として主流路MSから分流させる分流手段Dと、分流洗浄水が流入する分流洗浄水減速流路DSとを備え、分流洗浄水減速流路DSの出口DSoが主流路MSと連通していることにより、汚物Eより先行する先行洗浄水の少なくとも一部が主流路MSから分流洗浄水として分流された後に、この分流洗浄水が分流洗浄水減速流路DSによって減速され主流路MSに戻ってくるため、先行洗浄水の少なくとも一部を背負い水に転換させて、汚物Eの搬送性能を向上させることができる。
また、分流洗浄水減速流路DSは先行洗浄水を背負い水に転換するための手段であり、分流洗浄水減速流路DSに汚物が進入してしまうと、汚物Eも先行洗浄水と共に減速されてしまうため、先行洗浄水を背負い水に十分に転換できない。
そこで、分流洗浄水減速流路DSへの汚物の進入を抑制する汚物進入抑制手段Rが形成されていることにより、確実に分流洗浄水減速流路DSへの汚物Eの進入が抑制されるため、確実に背負い水の量を増加させることができる。
【0067】
また、分流洗浄水減速流路DSの出口DSoの開口面積が、分流洗浄水減速流路DSの入口DSiの開口面積以下であることにより、先行洗浄水の分流洗浄水減速流路DSへの流入量が分流洗浄水の分流洗浄水減速流路DSからの流出量以上になり、分流洗浄水減速流路DSから流出する分流洗浄水の流速が分流洗浄水減速流路DSへ流入する先行洗浄水の流速以下となるため、確実に分流洗浄水を分流洗浄水減速流路内で遅延させることができる。
【0068】
さらに分流洗浄水減速流路DSが、分流洗浄水を内部に貯留することにより、主流路MSから分流洗浄水減速流路DSに流入した分流洗浄水が一旦内部に貯留された後、主流路MSへと戻るため、分流洗浄水の流速が分流洗浄水減速流路DSの内部で十分に減速され、先行洗浄水をより多く背負い水に転換させることができる。
【0069】
また、分流洗浄水減速流路DSの入口DSoが、主流路MSの上流側に向けて開口していることにより、分流洗浄水減速流路DSの入口が、先行洗浄水の流れ方向に対して開口するため、先行洗浄水をより多く分流洗浄水減速流路DSに取り込み、背負い水の量を増加させることができる。
【0070】
さらに分流手段Dが、コアンダ効果により洗浄水を偏向するガイド134であることにより、洗浄水のみがガイド134に引き寄せられるため、より効率的に分流洗浄水減速流路DSに先行洗浄水の少なくとも一部を誘導することができる。
【0071】
また、分流洗浄水減速流路DSの体積が、先行洗浄水の体積より大きいことにより、分流洗浄水減速流路DS内に先行洗浄水をすべて収容可能となるため、より多くの先行洗浄水を背負い水に転換させることができる。
【0072】
さらに分流洗浄水減速流路DSの水平方向長さが、分流洗浄水減速流路DSの鉛直方向長さ以上であることにより、分流洗浄水減速流路DSの底面積を大きく取れるため、分流洗浄水減速流路DSの収容水量を増やすことができる。
【0073】
また、主流路MSが、管部材により形成され、分流洗浄水減速流路DSが、主流路MSを形成する管部材の側方に配置されていることにより、水洗大便器FTとの隙間が比較的大きい主流路MSの側方空間を活用するため、分流洗浄水減速流路DSの底面積をより確保することができる。
【0074】
<2.第2実施形態>
続いて、
図6乃至
図8に基づいて、本発明の第2実施形態である排水ソケット200について説明する。
図6は本発明の第2実施形態である排水ソケットの一部断面斜視図であり、
図7は本発明の第2実施形態である排水ソケットの要部拡大平面断面図であり、
図8は
図7のVIII−VIII断面図である。
【0075】
<2.1.構造>
本発明の第2実施形態である排水ソケット200も、本発明の第1実施形態である排水ソケット100と同じく便器本体Tに接続されている。
そして、
図6に示すように、排水ソケット200は、本発明の第1実施形態である排水ソケット100と同じく、入口側屈曲管部材210、平行管部材220、出口側屈曲管部材230の3部材により構成されている。
入口側屈曲管部材210については、本発明の第1実施形態である排水ソケット100と同じ部材を使用するため、詳しい説明を省略する。
出口側屈曲管部材230は、側面視で略L字状の部材であり、後述する平行管部材220から流入した洗浄水の向きを鉛直方向から鉛直下方に偏向する。
【0076】
入口側屈曲管部材210の入口から出口側屈曲管部材230のソケット出口233までを繋ぐ流路を主流路MSとする。
【0077】
<2.2.平行管部材の構造>
図6に示すように、平行管部材220は水平方向に延びる管材であり、入口側屈曲管部材210と、出口側屈曲管部材230の入口部231とを接続している。
【0078】
そして、平行管部材220は、主流路MSの一部を形成する流路部221と、この流路部221の左右方向側部に形成された貯水部222を有している。
従来、排水ソケットの側方には水洗大便器の袴部があるのみで、排水ソケットと水洗大便器の袴部との間の距離は排水ソケットと水洗大便器のボウル部やトラップ部との間の距離より大きく、排水ソケットの側方はデットスペースとみなされていた。
そこで本実施形態では、このデッドスペースに着目し、平行管部材220の側部に貯水部222を設けた。
【0079】
図7に示すように、貯水部222の入口(貯水部入口)222aの開口方向Mは、主流路MSに対して直交している。
また、貯水部入口222aには、流路部221と貯水部222とを滑らかに接続する曲面状のガイド面(ガイド)222bが形成されている。
【0080】
貯水部222は、平面視で略矩形状であり、
図8に示すように底面222cは流路部221に向けて傾斜している。
【0081】
また、貯水部入口222aにはリブ222dが複数個、等間隔に配置されている。
【0082】
<2.3.洗浄水の挙動>
次に
図7を用いて、本発明の第2実施形態である排水ソケット200における洗浄水の挙動について説明する。
なお、排水ソケット200は、左右方向の中心線A−Aを中心にして左右対称であるため、片側(右側)のみ流線を示す。
【0083】
<2.3.1.先行洗浄水の挙動>
まず、先行洗浄水の挙動について説明する。
水平管部材200の中央(A−A線)付近に流入した洗浄水Wcは、流路部221内を出口側屈曲管部材230に向かって直進する。
【0084】
次に、水平管部材200の中央(A−A線)付近から最も遠い位置(換言すると最もガイド面222bに近い位置)を流れる洗浄水Woの挙動について説明する。
図7に示すように、洗浄水Woを流れる洗浄水Wo)は、コアンダ効果によりガイド面(ガイド)222bに引き寄せられ、流れの方向がガイド面222b側に偏向されて貯水部222へ流れる。
【0085】
次に、水平管部材200の中央(A−A線)付近から最も遠い位置を流れる洗浄水WoとA−A線付近を流れる洗浄水Wcとの間を流れる洗浄水W1の挙動について説明する。
洗浄水W1もガイド面222bにより、ガイド面222bの表面の湾曲に対応して偏向されて貯水部222へ流れる。
【0086】
以上説明したように、先行洗浄水は、一部が出口側屈曲管部材230に向かって流れるものと、ガイド面222b側に偏向された後に分流洗浄水として貯水部入口222aから貯水部222へ分流されるものに大別される。
そして、貯水部222に流入した分流洗浄水は、貯水部222内に貯留水として貯留あるいは滞留される。
【0087】
<2.3.2.汚物を含む洗浄水の挙動>
続いて、汚物Eを含む洗浄水の挙動について説明する。
水平管部材200の中央(A−A線)付近に流入した汚物Eを含む洗浄水Wcは、出口側屈曲管部材130に向かって直進する。
次に、水平管部材200の中央(A−A線)付近から最も遠い位置を流れる洗浄水WoおよびA−A線付近を流れる洗浄水Wcとの間を流れる洗浄水W1については、先行洗浄水の挙動と同一であり、一部が分流洗浄水として貯水部222内に貯留水として貯留あるいは滞留される。
【0088】
<2.3.3.背負い水の挙動>
続いて、汚物Eより後に流れる背負い水(特に便器本体から供給される背負い水)の挙動について説明する。
水平管部材200の中央(A−A線)付近に流入した洗浄水Wc、A−A線付近から最も遠い位置を流れる洗浄水WoおよびA−A線付近を流れる洗浄水Wcとの間を流れる洗浄水W1、先行洗浄水の挙動と同一であり、一部が分流洗浄水として貯水部222内に貯留水として貯留あるいは滞留される。
【0089】
<2.3.4.貯水部からの流出>
便器本体からの背負い水がなくなると、貯水部222に貯留あるいは滞留されていた貯留水が、貯水部222から流路部221に向かって流出し始める。
すなわち、貯留水(換言すると、貯水部222に供給された分流洗浄水)が汚物Eを搬送するための背負い水に転換される。
【0090】
<2.4.各部位の機能>
一般に水は自身の粘性により、流路底面との間で速度勾配を有している。
この速度勾配により、水は流れ方向以外の方向にも拡散する性質がある。
そこで、洗浄水の流れ方向(すなわち主流路MS)に対して貯水部入口222aの開口向きを垂直に形成すると、洗浄水が貯水部入口222aに分流洗浄水として分流される。
すなわち、貯水部入口222aは、分流手段Dとして機能する。
【0091】
さらに、ガイド面222dは洗浄水を偏向させ貯留部222へ導いている。
すなわち、ガイド面222dも、分流手段Dとして機能する。
【0092】
貯水部222は分流洗浄水を貯水部222の減速空間Sに貯留あるいは滞留させて、減速させる。
すなわち、
図7に示すような、貯水部222を通る流路は分流洗浄水減速流路DSとして機能する。
【0093】
このように分流洗浄水減速流路DSを定義すると、分流洗浄水減速流路DSの出口DSo(すなわち、貯水部出口222e)は主流路MSと連通している。
さらに、分流洗浄水減速流路DSの入口DSi(すなわち、貯水部入口222a)と分流洗浄水減速流路DSの出口(貯水部出口222e)とは同じ開口を利用しているが、リブ222dにより分流洗浄水減速流路DSの入口DSiの開口面積が分流洗浄水減速流路DSの出口DSoの開口面積より大きくなっている。
また、分流洗浄水減速流路DSの入口(貯水部入口222a)の開口方向Mは、主流路MSに対して直交している。
さらに、分流洗浄水減速流路DSは、主流路MSの側方に配置されている。
また、分流洗浄水減速流路DSの出口(貯水部出口222e)の開口方向Nは、主流路MSに対して直交している。
【0094】
さらに、分流洗浄水減速流路DS(すなわち貯留部222)の体積は、先行洗浄水の体積より大きくなっている。
【0095】
また、前述のように、水は流れ方向以外の方向にも拡散する性質があるが、汚物Eは自らの質量により直進性が高い。
そこで、貯水部222を主流路MSの方向と直交する方向に配置することで、貯水部222への汚物の進入が抑制できている。
すなわち、貯水部入口222a自体も汚物Eが貯水部222へ進入することを抑制する汚物進入抑制手段Rとして機能する。
【0096】
さらに、汚物Eはある程度の大きさを持っているため、汚物Eが貯水部入口222aや貯水部出口222eから貯水部222に進入することは難しい。
すなわち、リブ222dは、汚物Eが貯水部222へ進入することを抑制する汚物進入抑制手段Rとして機能する。
【0097】
<2.5.第2実施形態の変形例>
本実施形態においては、貯水部222が主流路MSに対して左右それぞれに位置されているが、左方もしくは右方の片方のみに配置するものであってもよい。
また、左右それぞれの貯水部222が前後にずれていてもよい。
【0098】
本実施形態においては、貯水部222の出口222eの開口方向Nは主流路MSに対して直交していたが、主流路MSの下流側に向けて開口してもよい(すなわち、貯水部222の出口222eの開口方向Nが主流路MSと交差する。)。
【0099】
本実施形態においては、リブ222dが設けられているが、リブを設けなくてもよい。
【0100】
また、本実施形態においては、リブ222dが等間隔に配置されているが、リブの個数、間隔については如何なるものであってもよい。
たとえば、リブの個数、間隔を調整して、分流洗浄水減速流路DSの入口DSiの開口面積と分流洗浄水減速流路DSの出口DSoの開口面積とを等しくしても良い。
【0101】
<2.6.作用効果>
このようにして得られた本発明の実施形態である排水ソケット200は、汚物Eの流れる主流路MSと、汚物Eを排出する洗浄水のうち汚物Eより先行する先行洗浄水の少なくとも一部を分流洗浄水として主流路MSから分流させる分流手段Dと、分流洗浄水が流入する分流洗浄水減速流路DSとを備え、分流洗浄水減速流路DSの出口DSoが主流路MSと連通していることにより、汚物Eより先行する先行洗浄水の少なくとも一部が主流路MSから分流洗浄水として分流された後に、この分流洗浄水が分流洗浄水減速流路DSによって減速され主流路MSに戻ってくるため、先行洗浄水の少なくとも一部を背負い水に転換させて、汚物Eの搬送性能を向上させることができる。
また、分流洗浄水減速流路DSは先行洗浄水を背負い水に転換するための手段であり、分流洗浄水減速流路DSに汚物Eが進入してしまうと、汚物Eも先行洗浄水と共に減速されてしまうため、先行洗浄水を背負い水に十分に転換できない。
そこで、分流洗浄水減速流路DSへの汚物Eの進入を抑制する汚物進入抑制手段Rが形成されていることにより、確実に分流洗浄水減速流路DSへの汚物Eの進入が抑制されるため、確実に背負い水の量を増加させることができる。
【0102】
また、分流洗浄水減速流路DSの出口DSoの開口面積が、分流洗浄水減速流路DSの入口DSiの開口面積以下であることにより、先行洗浄水の分流洗浄水減速流路DSへの流入量が分流洗浄水の分流洗浄水減速流路DSからの流出量以上になり、分流洗浄水減速流路DSから流出する分流洗浄水の流速が分流洗浄水減速流路DSへ流入する先行洗浄水の流速以下となるため、確実に分流洗浄水を分流洗浄水減速流路DS内で遅延させることができる。
【0103】
さらに分流洗浄水減速流路DSが、分流洗浄水を内部に貯留することにより、主流路MSから分流洗浄水減速流路DSに流入した分流洗浄水が一旦内部に貯留された後、主流路MSへと戻るため、分流洗浄水の流速が分流洗浄水減速流路DSの内部で十分に減速され、先行洗浄水をより多く背負い水に転換させることができる。
【0104】
また、分流洗浄水減速流路DSの入口DSiが、先行洗浄水の流れ方向と直交する方向に向けて開口していることにより、先行洗浄水が主流路MS内を拡散して分流洗浄水減速流路DSの入口に行き渡る一方で、汚物Eは自らの慣性力のため洗浄水の流れに沿って主流路MSを移動するため、簡便な方法で分流洗浄水減速流路DSへの汚物Eの進入を防ぐことができる。
【0105】
さらに分流手段Dが、コアンダ効果により洗浄水を偏向するガイド面(ガイド)222bであることにより、洗浄水のみがガイド面222bに引き寄せられるため、より効率的に分流洗浄水減速流路DSに先行洗浄水の少なくとも一部を誘導することができる。
【0106】
また、分流洗浄水減速流路DSの体積が、先行洗浄水の体積より大きいことにより、分流洗浄水減速流路DS内に先行洗浄水をすべて収容可能となるため、より多くの先行洗浄水を背負い水に転換させることができる。
【0107】
さらに分流洗浄水減速流路DSの水平方向長さが、分流洗浄水減速流路DSの鉛直方向長さ以上であることにより、分流洗浄水減速流路DSの底面積を大きく取れるため、分流洗浄水減速流路DSの収容水量を増やすことができる。
【0108】
また、主流路MSが、管部材により形成され、分流洗浄水減速流路DSが、主流路MSを形成する管部材の側方に配置されていることにより、水洗大便器FTとの隙間が比較的大きい主流路MSの側方空間を活用するため、分流洗浄水減速流路DSの底面積をより確保することができる。
【0109】
<3.第3実施形態>
続いて、
図9乃至
図12に基づいて、本発明の第3実施形態である排水ソケット300について説明する。
図9は本発明の第3実施形態である排水ソケットの一部断面斜視図であり、
図10は本発明の第3実施形態である排水ソケットの側面断面図であり、
図11は本発明の第3実施形態である排水ソケットにおける流れの様子を示すであり、
図12は
図9のXII−XII断面図である。
【0110】
<3.1.構造>
本発明の第3実施形態である排水ソケット300も、本発明の第1実施形態である排水ソケット100と同じく便器本体Tに接続されている。
そして、
図9に示すように、排水ソケット300は、入口側屈曲管部材310と出口側屈曲管部材330の2部材により構成されている。
そして、
図10に示すように、入口側屈曲管部材310の入口から出口側屈曲管部材330のソケット出口333までを繋ぐ流路を主流路MSとする。
【0111】
出口側屈曲管部材330については、本発明の第2実施形態である排水ソケット200と同じ部材を使用するため、詳しい説明を省略する。
【0112】
<3.2.入口側屈曲管部材の詳細構造>
図9および
図10に示すように、入口側屈曲管部材310は側面視で略L字状の管材であり、便器本体Tのトラップ出口Toと出口側屈曲管部材330の入口部331とを接続している。
【0113】
入口側屈曲管部材310は、便器本体Tのトラップ出口Toから流入した洗浄水を床Fに設けられた建物配管Pへ排出するために、便器本体Tのトラップ出口Toから流入した洗浄水の向きを鉛直方向から水平方向に偏向する部材である。
そして、入口側屈曲管部材310は、便器本体Tのトラップ出口Toに向けて開口している垂直管路領域311と、垂直管路領域311と直結して鉛直方向の流れを水平方向に偏向する屈曲領域312とから区画されている。
【0114】
屈曲領域312の内部には、屈曲領域312の平行部分を鉛直方向に二分する貯水部313が形成されている。
貯水部313の貯水部入口313aは、後方側に向かって開口しており、その開口方向Mは主流路MSの上流方向に向かっている。
そして、貯水部入口313aには、垂直管路領域311と貯水部313とを滑らかに接続する曲面状のガイド面(ガイド)313bが形成されている。
また、貯水部313は、自身に貯水された水を排水するために、貯水部入口313a(すなわち、後方側)に向けて底面313cが下り傾斜となっている。
【0115】
さらに、貯水部入口313a近傍には、リブ314が左右方向に間隔をあけて形成されている。
【0116】
<3.3.洗浄水の挙動>
次に
図10および
図11を用いて、本発明の第3実施形態である排水ソケット300における洗浄水の挙動について説明する。
【0117】
<3.3.1.先行洗浄水の挙動>
まず、先行洗浄水の挙動について説明する。
垂直管路領域311の前後方向中央付近に流入した洗浄水Wcは、出口側屈曲管部材330に向かって流れる。
【0118】
次に、垂直管路領域311の前後方向中央付近から最も遠い位置を流れる洗浄水Woの挙動について説明する。
図11に示すように、垂直管路領域311の前後方向中央付近から最も遠い位置(換言すると最もガイド面313bに近い位置)を流れる洗浄水Woは、コアンダ効果によりガイド面313bに引き寄せられ、流れの方向がガイド面313b側に偏向されて貯水部313に流れる。
【0119】
次に、垂直管路領域311の前後方向中央付近から最も遠い位置を流れる洗浄水Woと垂直管路領域311の前後方向中央付近を流れる洗浄水Wcとの間を流れる洗浄水W1の挙動について説明する。
洗浄水W1もガイド面313bにより、ガイド面313bの表面の湾曲に対応して偏向されて貯水部313に流れる。
【0120】
以上説明したように、先行洗浄水は、一部が出口側屈曲管部材330に向かって流れるものと、ガイド面313b側に偏向された後に分流洗浄水として貯水部入口313aから貯水部313へ分流されるものに大別される。
そして、貯水部313に流入した分流洗浄水は、貯水部313内に貯留水として貯留あるいは滞留される。
【0121】
<3.3.2.汚物を含む洗浄水の挙動>
続いて、汚物Eを含む洗浄水の挙動について説明する。
図11に示すように、垂直管路領域311の前後方向中央付近に流入した汚物Eを含む洗浄水Wcは、出口側屈曲管部材330に向かって直進する。
次に、垂直管路領域311の前後方向中央付近から最も遠い位置を流れる洗浄水WoおよびA−A線付近を流れる洗浄水Wcとの間を流れる洗浄水W1については、先行洗浄水の挙動と同一であり、一部が分流洗浄水として貯水部313内に貯留水として貯留あるいは滞留される。
【0122】
<3.3.3.背負い水の挙動>
続いて、汚物Eより後に流れる背負い水(特に便器本体から供給される背負い水)の挙動について説明する。
垂直管路領域311の前後方向中央付近に流入した洗浄水Wc、垂直管路領域311の前後方向中央付近から最も遠い位置を流れる洗浄水WoおよびA−A線付近を流れる洗浄水Wcとの間を流れる洗浄水W1、先行洗浄水の挙動と同一であり、一部が分流洗浄水として貯水部313内に貯留水として貯留あるいは滞留される。
【0123】
<3.3.4.貯水部からの流出>
便器本体からの背負い水がなくなると、貯水部313に貯留あるいは滞留されていた貯留水が、貯水部313から屈曲領域312に向かって流出し始める。
すなわち、貯留水(換言すると、貯水部313に供給された分流洗浄水)が汚物Eを搬送するための背負い水に転換される。
また、底壁213cの後端部とリブ314の斜面とを繋ぐ面が、貯水部313の出口(貯水部出口)313dになる。
【0124】
<3.4.各部位の機能>
ガイド面313bは洗浄水を偏向させ貯留部313へ導いており、ガイド面313bは分流手段Dとして機能する。
【0125】
貯水部313は分流洗浄水を貯水部313の減速空間Sに貯留あるいは滞留させて、減速させる。
すなわち、
図10に示すような、貯水部313を通る流路は分流洗浄水減速流路DSとして機能する。
【0126】
このように分流洗浄水減速流路DSを定義すると、分流洗浄水減速流路DSの出口DSo(すなわち、貯水部出口313d)は主流路MSと連通している。
さらに、分流洗浄水減速流路DSの入口DSi(すなわち、貯水部入口313a)と分流洗浄水減速流路DSの出口(貯水部出口313d)とは同じ開口を利用しており、分流洗浄水減速流路DSの入口DSiの開口面積と分流洗浄水減速流路DSの出口DSoの開口面積とは等しい。
また、分流洗浄水減速流路DSの入口(貯水部入口313a)の開口方向Mは、主流路MSの上流側に向けて開口している。
【0127】
さらに、分流洗浄水減速流路DS(すなわち貯留部313)の体積は、先行洗浄水の体積より大きくなっている。
【0128】
汚物Eはある程度の大きさを持っているため、汚物Eがリブ314の隙間から貯水部313に進入することは難しい。
すなわち、リブ314は、汚物Eが貯水部313へ進入することを抑制する汚物進入抑制手段Rとして機能する。
【0129】
<3.5.第3実施形態の変形例>
本実施形態においては、貯水部入口313aと貯水部出口313dとが同一の開口であったが、貯水部出口313dを貯水部313の奥(すなわち、前方側)の底面に配置しても良い。
この際、貯水部出口313dの開口面積は貯水部入口313aの開口面積より小さいことが好ましい。
【0130】
リブ314の個数や間隔は、如何なるものであっても良い。
【0131】
<3.6.作用効果>
このようにして得られた本発明の実施形態である排水ソケット300は、汚物Eの流れる主流路MSと、汚物Eを排出する洗浄水のうち汚物Eより先行する先行洗浄水の少なくとも一部を分流洗浄水として主流路MSから分流させる分流手段Dと、分流洗浄水が流入する分流洗浄水減速流路DSとを備え、分流洗浄水減速流路DSの出口DSoが主流路MSと連通していることにより、汚物Eより先行する先行洗浄水の少なくとも一部が主流路MSから分流洗浄水として分流された後に、この分流洗浄水が分流洗浄水減速流路DSによって減速され主流路MSに戻ってくるため、先行洗浄水の少なくとも一部を背負い水に転換させて、汚物Eの搬送性能を向上させることができる。
また、分流洗浄水減速流路DSは先行洗浄水を背負い水に転換するための手段であり、分流洗浄水減速流路DSに汚物Eが進入してしまうと、汚物Eも先行洗浄水と共に減速されてしまうため、先行洗浄水を背負い水に十分に転換できない。
そこで、分流洗浄水減速流路DSへの汚物Eの進入を抑制する汚物進入抑制手段Rが形成されていることにより、確実に分流洗浄水減速流路DSへの汚物Eの進入が抑制されるため、確実に背負い水の量を増加させることができる。
【0132】
また、分流洗浄水減速流路DSの出口DSoの開口面積が、分流洗浄水減速流路DSの入口DSiの開口面積以下であることにより、先行洗浄水の分流洗浄水減速流路DSへの流入量が分流洗浄水の先行洗浄水減速流路DSからの流出量以上になり、分流洗浄水減速流路DSから流出する分流洗浄水の流速が分流洗浄水減速流路DSへ流入する先行洗浄水の流速以下となるため、確実に分流洗浄水を分流洗浄水減速流路DS内で遅延させることができる。
【0133】
さらに分流洗浄水減速流路DSが、分流洗浄水を内部に貯留することにより、主流路MSから分流洗浄水減速流路DSに流入した分流洗浄水が一旦内部に貯留された後、主流路MSへと戻るため、分流洗浄水の流速が分流洗浄水減速流路DSの内部で十分に減速され、先行洗浄水をより多く背負い水に転換させることができる。
【0134】
また、分流洗浄水減速流路DSの入口DSiが、主流路MSの上流側に向けて開口していることにより、分流洗浄水減速流路DSの入口DSiが、先行洗浄水の流れ方向に対して開口するため、先行洗浄水をより多く分流洗浄水減速流路DSに取り込み、背負い水の量を増加させることができる。
【0135】
さらに分流手段Dが、コアンダ効果により洗浄水を偏向するガイド面(ガイド)313bであることにより、洗浄水のみがガイド面313bに引き寄せられるため、より効率的に分流洗浄水減速流路DSに先行洗浄水の少なくとも一部を誘導することができる。
【0136】
また、分流洗浄水減速流路DSの体積が、先行洗浄水の体積より大きいことにより、分流洗浄水減速流路DS内に先行洗浄水をすべて収容可能となるため、より多くの先行洗浄水を背負い水に転換させることができる。
【0137】
さらに分流洗浄水減速流路DSの水平方向長さが、分流洗浄水減速流路DSの鉛直方向長さ以上であることにより、分流洗浄水減速流路DSの底面積を大きく取れるため、分流洗浄水減速流路DSの収容水量を増やすことができる。
【0138】
<4.変形例>
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0139】
例えば、分流洗浄水減速流路DSの減速機構として、各実施形態では減速空間Sにおける貯留(滞留)を利用したが、分流洗浄水減速流路DS内にさらにリブを設けたり、底面を荒く形成したりしてもよい。
【0140】
また、便器本体の種類として、「洗い落とし式」や「サイホン式」、「サイホンジェット式」等が存在するが、いずれの便器であっても良い。
【0141】
また、便器本体のトラップ部の形状や建物配管の位置により、排水ソケットの形状が種々存在する。
図13に代表的な便器本体の形状と建物配管の位置を示す図を示す。(a)は「床向き排水−壁配管」パターンであり、(b)は「壁向き排水−壁配管」パターンであり、(c)は「壁向き排水−床配管」パターンである。
【0142】
図13(a)の「床向き排水−壁配管」パターンの場合、排水ソケット400Aは側面視で略L字状となる。
この場合、排水ソケット400Aは、建物配管Pと連通し、水平方向に延びる水平領域a1と、水平領域a1および鉛直下方に延びる便器本体Tのトラップ出口Toを連通する略L字状の屈曲領域a2とに分割できる。
このような形状の排水ソケットAにおいては、水平領域a1は第2実施形態で説明した貯水部を形成でき、屈曲領域a2は第1実施形態の変形例で説明したような貯水部が形成できる。
【0143】
図13(b)の「壁向き排水−壁配管」パターンの場合、排水ソケット400Bは、建物配管Pと水平方向に延びる便器本体Tのトラップ出口Toを連通する水平管となる。
このような形状の排水ソケット400Bにおいては、第2実施形態で説明した貯水部を形成できる。
【0144】
図13(c)の「壁向き排水−床配管」パターンの場合、排水ソケット400Cは側面視で略S字状となる。
この場合、排水ソケット400Cは、水平方向に開口している便器本体Tのトラップ出口Toと連通した略L字状の第1屈曲領域c1と、この第1屈曲領域c1と鉛直方向で一端が連通し、他端が水平方向に延びる略L字状の第2屈曲領域c2と、この第2屈曲領域と連通し、水平方向に延びる水平領域c3と、この水平領域c3と連通し、鉛直方向に延びる建物配管Pと連通した第3屈曲領域とに分割できる。
このような形状の排水ソケット400Cにおいては、第2屈曲領域c2は第1実施形態の変形例で説明したような貯水部が形成でき、水平領域c3は第2実施形態で説明した貯水部を形成でき、第3屈曲領域c3は第1実施形態で説明したような貯水部が形成できる。