(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768237
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】セラミックファイバーブロック及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F27D 1/00 20060101AFI20201005BHJP
F27D 1/08 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
F27D1/00 G
F27D1/08
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-19770(P2019-19770)
(22)【出願日】2019年2月6日
(65)【公開番号】特開2020-125890(P2020-125890A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2019年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】391029509
【氏名又は名称】イソライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(72)【発明者】
【氏名】上道 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修
(72)【発明者】
【氏名】末吉 篤
【審査官】
河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−084398(JP,U)
【文献】
特開平06−221770(JP,A)
【文献】
米国特許第05209038(US,A)
【文献】
中国実用新案第201436539(CN,U)
【文献】
特開昭64−033267(JP,A)
【文献】
米国特許第04449345(US,A)
【文献】
特開平02−306092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 1/00
F27D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックファイバーからなる長尺状のブランケットがその長手方向に同じ長さずつ連続的に折り畳まれた積層体と、該積層体を炉壁に固定する取付金具とからなるセラミックファイバーブロックであって、前記積層体は複数の折り曲げ部によって構成される2つの互いに反対側に位置する面のうちの一方に、積層方向に延在し且つ該ブランケットの厚みの1.0〜2.0倍の深さの2条の切込部が設けられており、前記取付金具は、前記一方の面の複数の折り曲げ部のうちの少なくとも両端部の内側に折り目に沿ってそれぞれ挟み込まれた複数の積層体支持棒と、前記2条の切込部に部分的に差し込まれて前記複数の積層体支持棒を保持すると共に、該炉壁と係合する支持棒保持部材とからなることを特徴とするセラミックファイバーブロック。
【請求項2】
前記支持棒保持部材は、前記2条の切込部にそれぞれ差し込まれる1対の耐熱性金属製の矩形板状部材と、これら1対の矩形板状部材に結合する耐熱性金属製の架設部材とからなり、該架設部材には前記炉壁に係合させる係合部材を挿通させる貫通孔が1つ以上設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のセラミックファイバーブロック。
【請求項3】
前記積層体支持棒は、耐熱性金属又はセラミック焼結体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセラミックファイバーブロック。
【請求項4】
前記積層体支持棒の長さは、前記長尺状のブランケットの幅よりも10〜70mm短いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックファイバーブロック。
【請求項5】
前記積層体は、前記長尺状のブランケットの長手方向の両端部がいずれも炉壁側に位置するように折り畳まれていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックファイバーブロック。
【請求項6】
セラミックファイバーブランケットからなる積層体と、該積層体を炉壁に固定する取付金具とからなるセラミックファイバーブロックの製造方法であって、長尺状の該セラミックファイバーブランケットをその長手方向に同じ長さずつ連続的に折り畳んで積層体を形成した後、該積層体において複数の折り曲げ部によって構成される互いに反対側に位置する面のうちの一方に、積層方向に延在し且つ該ブランケットの厚みの1.0〜2.0倍の深さの2条の切込部を設ける第1工程と、前記2条の切込部に該取付金具を構成する1対の矩形板状部材を差し込む第2工程と、前記一方の面の複数の折り曲げ部のうちの少なくとも両端部の内側に折り目に沿ってそれぞれ該取付金具を構成する複数の積層体支持棒を挟み込むと共に、前記1対の矩形板状部材の各々に予め形成されている複数の貫通孔に挿通させる第3工程とからなることを特徴とするセラミックファイバーブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉、熱処理炉、焼成炉等の各種の工業用炉の炉壁に取り付けて断熱材として用いられるセラミックファイバーブロック及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属工業や化学工業等における加熱炉や熱処理炉、窯業における焼成炉等の各種工業用炉の炉壁には、断熱材としてのセラミックファイバーを内張り施工(ライニングとも称する)することが一般的に行われている。上記セラミックファイバーの内張り施工法としては、ブロック工法が知られている。このブロック工法とは、ブランケットの形態を有するセラミックファイバーを複数の同形状の短冊状に切断し、それらを重ね合わせて略直方体形状の積層体にしたり、長尺のブランケットの形態を有するセラミックファイバーをその長手方向に同じ長さずつ連続的に折り畳んで略直方体形状の積層体にしたりすることで形成されるいわゆるセラミックファイバーブロックを、取付金具で炉壁のケーシングに固定する施工方法である。
【0003】
このブロック工法では、施工方法を容易にするため、上記セラミックファイバーブロックに取付金具を内蔵する場合が多い。この場合の取付金具は、一般的には積層体支持棒と支持棒保持部材とで構成される。前者の積層体支持棒は上記積層体を支持する役割を有し、一方、後者の支持棒保持部材は該積層体支持棒を保持すると共に、炉壁のケーシングに溶接等により取り付けられたスタッド等の係合部に係合する役割を有しており、これによりセラミックファイバーブロックを炉壁のケーシングに固定することができる。
【0004】
例えば特許文献1には、セラミックファイバーブロックの積層面に対して直交する方向に2本の積層体支持棒を貫通し、これら2本の積層体支持棒を、1対の支持棒保持部材の貫通孔に挿通させ、更に、これら1対の支持棒保持部材に架設する矩形の取付材を、炉壁に予め設けられた断面L字状の支持材に取り付けることで、セラミックファイバーブロックを炉壁に固定する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2及び特許文献3には、長尺状のセラミックファイバーブランケットを長手方向に同じ長さずつ連続的に折り畳んでつづら折り状に形成したブロック状の積層体において、その一方の折り曲げ側の複数の折り曲げ部の内側に、それぞれ折り目に沿って複数本の積層体支持棒を挟み込むと共に、各積層体支持棒の略中央部に該セラミックファイバーブランケットを貫通して該積層体の外側に突出させる二股タブを設け、この二股タブを略矩形の支持棒保持部材のスリットに挿通させた後に先端部を折り曲げることで固定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2542258号公報
【特許文献2】特公昭57−020553号公報
【特許文献3】特許第6287383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1の技術は、前述したように短冊状のセラミックファイバーブランケットを多数重ね合わせた積層体、及び長尺のセラミックファイバーブランケットを連続的に折り畳んだ積層体のいずれのセラミックファイバーブロックにも適応できるという利点を有している。いずれの場合においても、積層体支持棒は、全体的に熱面に近い側に位置することになるので熱の影響を受けやすく、この熱影響を受けにくくするには積層体支持棒をできるだけ炉壁のケーシングに近い方に配置するのが好ましい。しかしながら、積層体支持棒の位置を炉壁のケーシング側に近づけすぎると、該積層体支持棒によって積層体を保持する部分の距離が短くなる。その結果、振動等が生じて積層体における該積層体支持棒の貫通部に破損が生じやすく、この破損が積層体支持棒と支持棒保持部材とで挟み込んでいる積層体の保持部分の全体に至るとセラミックファイバーブロックの積層体が脱落するおそれがあった。
【0008】
これに対して、特許文献2や特許文献3では、長尺のセラミックファイバーブランケットを連続的に折り畳んだ積層体を対象としているため、積層体支持棒によってセラミックファイバーブランケットをその厚み方向に部分的に圧縮して支持しながら、該積層体支持棒の位置をケーシング側に近づけることができる。よって、振動等があっても破損しにくいという利点を有している。
【0009】
しかしながら、特許文献2や特許文献3における二股タブを用いた積層体支持体の支持棒保持部材への固定方法は、短冊状の金属片をその長手方向中央部で支持棒に巻きつけて二股タブを形成したり、短冊状の金属片を湾曲させて積層体支持棒にビスで固定したりすることが必要になるため、作業が煩雑になるうえ、ある程度の熟練を要する。また、上記二股タブの先端部は鋭利な突起物となって積層体から突出することになるので、組付け作業時に怪我をするおそれがある。本発明は上記した従来のセラミックファイバーブロックが抱える問題点に鑑みてなされたものであり、安全かつ簡易に取り付けることが可能なセラミックファイバーブロックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明が提供するセラミックファイバーブロックは、セラミックファイバーからなる長尺状のブランケットがその長手方向に同じ長さずつ連続的に折り畳まれた積層体と、該積層体を炉壁に固定する取付金具とからなるセラミックファイバーブロックであって、前記積層体は複数の折り曲げ部によって構成される2つの互いに反対側に位置する面のうちの一方に、積層方向に延在し且つ該ブランケットの厚みの1.0〜2.0倍の深さの2条の切込部が設けられており、前記取付金具は、前記一方の面の複数の折り曲げ部のうちの少なくとも両端部の内側に折り目に沿ってそれぞれ挟み込まれた複数の積層体支持棒と、前記2条の切込部に部分的に差し込まれて前記複数の積層体支持棒を保持すると共に、該炉壁と係合する支持棒保持部材とからなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明が提供するセラミックファイバーブロックの製造方法は、セラミックファイバーブランケットからなる積層体と、該積層体を炉壁に固定する取付金具とからなるセラミックファイバーブロックの製造方法であって、長尺状の該セラミックファイバーブランケットをその長手方向に同じ長さずつ連続的に折り畳んで積層体を形成した後、該積層体において複数の折り曲げ部によって構成される互いに反対側に位置する面のうちの一方に、積層方向に延在し且つ該ブランケットの厚みの1.0〜2.0倍の深さの2条の切込部を設ける第1工程と、前記2条の切込部に該取付金具を構成する1対の矩形板状部材を差し込む第2工程と、前記一方の面の複数の折り曲げ部のうちの少なくとも両端部の内側に折り目に沿ってそれぞれ該取付金具を構成する複数の積層体支持棒を挟み込むと共に、前記1対の矩形板状部材の各々に予め形成されている複数の貫通孔に挿通させる第3工程とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安全かつ簡易にセラミックファイバーブロックを炉壁のケージングに取り付けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態のセラミックファイバーブロックの斜視図である。
【
図2】
図1のセラミックファイバーブロックの分解斜視図である。
【
図3】
図1のセラミックファイバーブロックが有する積層体支持棒の様々な具体例を示す斜視図である。
【
図4】参考例1及び2で用いた積層体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るセラミックファイバーブロックについて説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態のセラミックファイバーブロックは、長尺状のセラミックファイバーブランケットが連続的に折り畳まれた略直方体形状の積層体1と、該積層体1を図示しない炉壁に固定する取付金具2とから構成される。この積層体1の折り畳み方には特に限定はないが、該長尺状のセラミックファイバーブランケットの長手方向の両端部がいずれも炉壁側に位置するように折り畳むのが好ましい。これにより、使用しているうちに徐々に目地が開いて断熱性能が低下するいわゆる目地開きを起こりにくくすることができる。
【0015】
このセラミックファイバーブランケットの素材に用いるセラミックファイバーには特に限定はなく、アルミナ(Al
2O
3)、シリカ(SiO
2)等の一般的なセラミックを主成分とした人造鉱物繊維を好適に用いることができる。このようなセラミックファイバーとしては、例えばアルミナ−シリカ繊維、アルミナ−シリカ−ジルコニア繊維、アルミナ−シリカ−クロミア繊維、ムライト繊維、アルミナ繊維、生体溶解性繊維等を挙げることができる。本発明においては、このようなセラミックファイバーをマット状にした素材をセラミックファイバーブランケットと称している。本発明の実施形態のセラミックファイバーブロックにおいては、長尺状のセラミックファイバーブランケットを使用し、これをその長手方向に同じ長さずつ連続的に折り畳んで上記の積層体1を形成している。
【0016】
図2に示すように、このセラミックファイバーブランケットで形成される積層体1は、複数の折り曲げ部1a、1bによって構成される2つの互いに反対側に位置するA面及びB面のうち、A面側において、積層方向(すなわち積層面に垂直な方向)に延在する2条の切込部Cが設けられている。これら2条の切込部Cは、A面側において平行に延在する上記複数の折り曲げ部1a(
図2では7個の折り曲げ部1aが互いに平行に延在している)の一端から他端まで切り込まれている。また、これら2条の切込部Cは、セラミックファイバーブランケットの厚みの1.0〜2.0倍の深さを有するように切り込まれている。この切込部Cに、後述する支持棒保持部材を構成する1対の矩形板状部材が差し込まれる。なお、ブランケット厚みは一般的には15〜30mm程度であるので、上記の切込部Cの深さがセラミックファイバーブランケットの厚みの1.0倍未満では、後述する積層体支持棒で積層体1を損傷させることなく確実に保持するのが困難になり、逆に2.0倍を超えるとこの切込部Cを起点に積層体1に亀裂が入りやすくなることに加え、加熱を受けた際に上記取付金具2の温度が鋼材耐熱温度付近まで上昇しやすくなり、その結果、熱劣化が促進したり、熱で軟化して塑性変形したりするおそれがあるため好ましくない。
【0017】
一方、上記取付金具2は、上記のA面側の複数の折り曲げ部1aのうちの少なくとも両端部の内側に折り目に沿ってそれぞれ挟み込まれた少なくとも2本の積層体支持棒10と、前述した積層体1の切込部Cに部分的に差し込んで上記複数の積層体支持棒10を保持すると共に、図示しない炉壁の係合部に係合する支持棒保持部材20とからなる。具体的に説明すると、
図1の実施形態のセラミックファイバーブロックでは、A面側の7つの折り曲げ部1aのうち、両端部に加えて内側にも1つおきに積層体支持棒10が挟み込まれており、積層体支持棒10の合計本数は4本になっている。
【0018】
これら4本の積層体支持棒10は炉壁よりは炉内側に位置するので、耐熱性部材を用いるのが好ましく、例えばSUS304、SUS316、SUS310S等の耐熱性金属が好ましい。あるいは熱による塑性変形をより確実に抑えるため、アルミナ質等のセラミック焼結体を用いてもよい。これら積層体支持棒10は、それらの各々を上記積層体1の折り曲げ部1a内に挟み込んだ時、セラミックファイバーブランケットの幅方向両端部からそれぞれ好適には5〜25mm程度内側に、より好適には10〜15mm程度内側に積層体支持棒10の両端部が位置するのが好ましい。すなわち、これら積層体支持棒10の長さは、セラミックファイバーブランケットの幅よりも好適には10〜70mm、より好適には30〜50mm短いのが好ましい。本発明の実施形態においては、セラミックファイバーブランケットの幅は200〜600mm程度であるので、積層体支持棒10の長さは170〜570mm程度が好ましい。
【0019】
この積層体支持棒10の両端部とセラミックファイバーブランケットの幅方向両端部とのそれぞれの距離が10mmより短いと、積層体1に熱収縮等で隙間が生じた時、この隙間からの熱の侵入によって積層体支持棒10の熱劣化が促進されたり、熱で軟化して塑性変形したりするおそれがある。逆にこの距離が30mmより長いと、ぶ厚い積層体の場合は自重が大きくなるので積層体1の自重で積層体1の形状が変形するおそれがある。なお、この積層体支持棒10の太さは、特に限定するものではないが、φ3〜φ10mm程度が好ましい。
【0020】
この積層体支持棒10には、各々中央部に抜け止め具が設けられているのが好ましい。すなわち、後述するように、本発明の実施形態のセラミックファイバーブロックは、各積層体支持棒10が支持棒保持部材20によって中央部の2ヶ所で保持されるので、この2ヶ所の保持部分の間に抜け止め具を設けることで加熱炉の震動などにより該積層体支持棒10が抜け落ちる問題を防ぐことができる。
【0021】
この抜け止め具の構造には特に限定はないが、積層体支持棒10が金属製の場合は、例えば
図3(a)に示すように、帯状の金属片11を積層体支持棒10の中央部に溶接あるいはネジ止めすると共に、約半周程度巻き付けてもよいし、
図3(b)に示すように、帯状の金属片12を積層体支持棒10の中央部に全周巻き付けて該金属片12の端部同士を溶接あるいはネジ止めしてもよい。あるいは、
図3(c)に示すように、一端部が屈曲した帯状の金属片13を積層体支持棒10の中央部に溶接あるいはネジ止めしてもよい。更に
図3(d)に示すように、積層体支持棒10の中央部をプレス加工することで凸状の突起10aを形成してもよい。また、積層体支持棒10がセラミック焼結体の丸棒の場合は、その中央部にテープを巻きつけてもよい。
【0022】
上記の4本の積層体支持棒10を保持する支持棒保持部材20は、炉壁よりは炉内側に位置するので耐熱性部材を用いるのが好ましく、例えばSUS304、SUS316、SUS310S等の耐熱性金属を用いるのが好ましい。この支持棒保持部材20は、上記の積層体1の2条の切込部Cにそれぞれ差し込まれる互いに対向する1対の矩形板状部材21と、これら1対の矩形板状部材21の上記の切込部Cに差し込まれる側とは反対側の端部同士を結合する略矩形の架設部材22とからなる。この支持棒保持部材20は、1枚の矩形板状部材を2ヶ所で屈曲させて略門型状、あるいは断面略コの字状にすることで、上記の対向する1対の矩形板状部材21及び架設部材22からなる支持棒保持部材20を形成してもよいし、上記の対向する1対の矩形板状部材21に架設部材22を溶接等により接合することで支持棒保持部材20を形成してもよい。
【0023】
上記の1対の矩形板状部材21の各々には、上記の積層体支持棒10を挿通させて保持するための4つの貫通孔21aが、長手方向に一定の間隔をあけて設けられている。なお、貫通孔21aの4つに限定されるものではなく、任意に設定することができる。また、貫通孔21aの形状にも特に限定はなく、円形、楕円形、多角形等の様々な形状にすることができる。
【0024】
一方、支持棒保持部材20を構成する架設部材22の略中央部には、炉壁に固定するための支持具を挿通させる貫通孔22aが1つ以上設けられており、炉壁のケーシングに予め取り付けられているスタッド等の係合部を挿通してナットで固定することができる。なお、
図4に示すように、上記1対の矩形板状部材21において、上記積層体1の切込部Cに差し込まれる側とは反対側の縁部に、例えば互いに対向する内側に向けて屈曲する屈曲部21bを設けてもよい。これにより、炉壁側に設けた断面略Ω字状のレール状の金属固定具に複数の上記セラミックファイバーブロックを1個ずつスライドさせながら取り付けることが可能になる。
【0025】
このように、本発明の実施形態のセラミックファイバーブロックは、上記構造の取付金具2を用いることにより、積層体の積層方向の厚みが厚くなって自重が大きくなっても、積層体支持棒10の本数を多くして荷重を分散させることができるうえ、各積層体支持棒10をその中央部の2点で支持棒保持部材20を支持することができるので、該支持棒保持部材20から積層体支持棒10の先端部までの長さを短くでき、よって荷重を更に抑えることができる。これにより、熱で軟化しても、積層体支持棒10に塑性変形が生じにくくなり、よって当該積層体支持棒10の変形により生ずる積層体1の脱落の問題を防ぐことができる。また、セラミック焼結体を使用する場合は、2点で支持するので折れにくくなるという利点が得られる。
【0026】
次に、上記した本発明の実施形態のセラミックファイバーブロックの製造方法について説明する。先ず、第1工程として、セラミックファイバーからなる長尺状のブランケットを、その長手方向に同じ長さずつ折り畳んで略直方体形状の積層体1を形成する。その際、該長尺状のブランケットの長手方向の両端部が、いずれも炉壁に対向するA面側に位置するように折り畳む。そして、該積層体1において複数の折り曲げ部1a、1bによって構成される互いに反対側に位置するA面及びB面のうちのA面側に、積層方向に延在し且つ該ブランケットの厚みよりも深い2条の切込部Cを設ける。なお、この切込部Cを設けたA面は、炉壁のケーシング面に対向する面となる。
【0027】
次に、第2工程として、上記の切込部Cに支持棒保持部材20を構成する1対の矩形板状部材21を差し込む。この1対の矩形板状部材21の各々には、複数の積層体支持棒10が延在する位置に対応させて複数の貫通孔21aを穿孔しておく。また、中央部に貫通孔22aを有する矩形の架設部材22を用いて、これら1対の矩形板状部材21同士を例えば溶接により結合しておく。
【0028】
次に、第3工程として、上記A面側の複数の折り曲げ部1aのうちの少なくとも両端部の内側に折り目に沿ってそれぞれ複数の積層体支持棒10を挿入する。これにより、該積層体支持棒10を上記の1対の矩形板状部材21の貫通孔21aに挿通させる。なお、各積層体支持棒10には、予め中央部に
図3に示すような抜け止め具を設けてもよい。これにより、積層体支持棒10が積層体1に対して動かないように固定できる。その後、積層体1を折り畳んだ方向に規定の寸法となるように圧縮し、バンド等で梱包する。
【0029】
このように、本発明のセラミックファイバーブロックの製造方法は、折り畳んだ積層体を広げることなく作業を進めることができるので、簡易に作製できるうえ、従来のセラミックファイバーブロックのように取付金具に鋭利な突起物を用いないので、危険な作業を伴うことなく安全に作業を行うことができる。また、支持棒保持部材を構成する架設部材には、炉壁に固定するための支持具を挿通させる貫通孔を様々な位置に1つ以上設けることができるので、セラミックファイバーブロックを、様々な形状の炉壁に自在に取り付けることができる。
【0030】
すなわち、積層体支持棒の固定のために二股タブを用いる従来のセラミックファイバーブロックでは、該二股タブの先端部を屈曲させる必要があるので、支持棒保持部材における架設部材がこの二股タブの屈曲部で覆われることになる。そのため、炉壁に固定するための支持具を挿通させる貫通孔の位置が、支持棒保持部材の長手方向の中心位置にほぼ限定されてしまう。これにより、該中心位置から外れた位置で炉壁に固定する必要が生じた場合は、特殊な治具を別途取り付ける必要があった。
【0031】
更に、従来の二股タブを用いる方法は、積層体支持棒に巻き付いている二股タブを固定する際に過度に引っ張ると、セラミックファイバーブランケットをその厚み方向に過度に圧縮して損傷させることがあった。これに対して、本発明の実施形態のセラミックファイバーブロックは、支持棒保持部材を構成する1対の矩形板状部材の定位置に予め貫通孔が穿孔されているので、積層体支持棒がセラミックファイバーブランケットをその厚み方向に過度に圧縮して損傷することはない。また、必要に応じて積層体支持棒の中央部に抜け止め具を設けることで、該積層体支持棒を該1対の矩形板状部材の貫通孔に挿通させた後に、該積層体に該抜け止め具が引っかかるようにできるので、該積層体支持棒が積層体から抜け落ちることがない。
【実施例】
【0032】
[実施例]
図1に示すような、長尺状のセラミックファイバーブランケットがその長手方向に同じ長さずつ連続的に折り畳まれた積層体1と、これを炉壁に固定する取付金具2とからなるセラミックファイバーブロックを10個作製し、これらを炉壁に予め設けたレール状の金属固定具に取り付けた。上記の長尺状のセラミックファイバーブランケットには厚み25mm、幅300mmのアルミナ−シリカ繊維からなるイソライト工業株式会社製のイソウールブランケットを使用した。
【0033】
上記の長尺状のセラミックファイバーブランケットを、その長手方向の両端部が炉壁側に位置するように、炉壁側とは反対側の折り曲げ部1bの個数が8個となるように100mmずつ折り畳み、積層方向の長さ300mm、幅300mm、高さ100mmのブロック状の積層体1を作成した。この積層体1の炉壁側の7個の折り曲げ部1aの幅方向中央部に、積層方向に延在する深さ35mmの2条の互いに40mm離間する切込部Cを入れた。
【0034】
一方、この2条の切込部Cに差し込む支持棒保持部材20用の矩形板状部材21として、高さ約50mm、長さ約250mmのSUS304製の矩形金属板を2枚用意し、各々、上記切込部Cに差し込む側とは反対側の端部を屈曲させた。そして、これら2枚の金属板を結合させる架設部材22として、幅約100mm、長さ約250mmのSUS製の矩形金属板を1枚用意し、その幅方向中央部に、長手方向に約19mmのピッチで内径10mmの貫通孔を13個穿孔した後、その幅方向の両側を屈曲させて断面コの字状に成形した。
【0035】
この断面コの字状の対向部分に、上記の2枚の支持棒保持部材20用の矩形板状板を上記屈曲部が内側になるように重ねて溶接により取り付けた。そして、上記の切込部Cに差し込まれる2枚重ねの対向部分の各々に、その長手方向に約38mmのピッチで長さ18mm、幅6mmの7個の長孔を穿孔した。このようにして作製した支持棒保持部材20を、上記の積層体1の切込部Cに差し込んだ。
【0036】
次に、この積層体1の炉壁側の7個の折り曲げ部1aのうち、両端部及びそれらの2つ内側の合計4つの折り曲げ部の内側に、折り目に沿ってSUS304製の外径5mm、長さ250mmの4本の積層体支持棒10を差し込んだ。その際、積層体1の切込部Cに前述したように支持棒保持部材20が差し込まれているので、その対向部分の各々に設けた7個の長孔のうちの4個に上記4本の積層体支持棒10をそれぞれ挿通させることができた。
【0037】
なお、これら4本の積層体支持棒10の各々には、その中央部に抜け止め具として長手方向の一端部を45°屈曲させた幅約7mm、長さ約14mmのSUS304製金属片を該長手方向が積層体支持棒10の延在方向に一致するようにしてスポット溶接により接合しておいたので、該積層体支持棒10を積層体1に差し込む時はこの金属片が積層体1に引っかからないように下向けにし、差し込んだ後は該積層体支持棒10をその中心軸を中心として180°回転させて該金属片が積層体1の折り曲げ部の内側に引っかかるようにした。
【0038】
このようにして作製した10個のセラミックファイバーブロックを加熱炉の炉壁に予め取り付けておいた断面略Ω字状のレール状の金属固定具に1個ずつスライドさせて設置し、架設部材22に設けた13個の貫通孔のうちの1個にボルトを挿通して固定した。これら10個のセラミックファイバーブロックの炉壁への取り付けに要した時間は約30分であり、簡易かつ短時間に取り付け作業を済ませることができた。
【0039】
[参考例1]
深さ35mmの2条の切込部Cを有する積層体1を用いることに代えて、該切り込み位置で完全に切断された
図4に示すような3個の積層体101a〜cを該切断面同士当接させて全体として実施例の積層体1と同じ形状にしたものを用いたこと以外は、上記実施例と同様にして10個のセラミックファイバーブロックを作製し、同様に加熱炉の炉壁に取り付けた。その際、3個の積層体101a〜cのうち両側の2個の積層体101a、101cには4本の積層体支持棒10が差し込まれているだけであり、抜け止め具には係合していなかったので、取り付け作業中にこれら両側の2個が抜け落ちるトラブルが度々発生し、取り付け作業に手間がかかった。そのため、これら10個のセラミックファイバーブロックの炉壁への取り付けに約1時間を要した。
【0040】
[参考例2]
完全に切断された3個の積層体101a〜cを切断面同士当接させて全体として実施例の積層体1と同じ形状にする際、支持棒保持部材20が差し込まれる部分を除いて該当接部分に接着剤を塗布することでこれら3個の積層体101a〜cを一体化させた以外は、上記参考例1と同様にして10個のセラミックファイバーブロックを作製して加熱炉の炉壁に取り付けた。この場合、実施例と同様に取り付け作業に要した時間は約30分であったが、接着剤を塗布して一体化させる作業が必要となるため、実施例に比べてセラミックファイバーブロックの作製に時間がかかった。また、セラミックファイバーを接着するための接着剤が別途必要になるため、その分コスト高になった。
【符号の説明】
【0041】
1、101a〜c 積層体
1a、1b 折り曲げ部
2 取付金具
10 積層体支持棒
20 支持棒保持部材
21 矩形板状部材
22 架設部材
C 切込部