特許第6768238号(P6768238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6768238
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】エレベータドアの取付治具
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
   B66B13/30 J
   B66B13/30 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-127759(P2019-127759)
(22)【出願日】2019年7月9日
【審査請求日】2019年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】塙 直人
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−323879(JP,A)
【文献】 特開2009−263074(JP,A)
【文献】 特開2008−222445(JP,A)
【文献】 特開2007−153487(JP,A)
【文献】 特開2002−087745(JP,A)
【文献】 特開2002−087744(JP,A)
【文献】 特開2000−185886(JP,A)
【文献】 実開昭63−107806(JP,U)
【文献】 米国特許第7591073(US,B1)
【文献】 発明協会公開技報公技番号2009−505165
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00─13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータドアの取り付けに際しドアパネルをドアハンガーに締結する前に、前記ドアパネルの上下方向、前後方向の位置出しを行うのに使用されるエレベータドアの取付治具であって、
前記ドアパネルの下端が当接するパネル下端当接面を有し、敷居からの前記ドアパネルの高さ位置を決定する下端隙間ゲージ部と、
前記ドアパネルの意匠面が当接し、前記パネル下端当接面と垂直なパネル当接面を有し、三方枠の縦枠からの前記ドアパネルの前後方向の位置を決定する枠隙間ゲージ部と、を有し、
前記下端隙間ゲージ部と前記枠隙間ゲージ部が前記ドアパネルの四隅にそれぞれ着脱可能な一体構造のゲージ部をなしていることを特徴とするエレベータドアの取付治具。
【請求項2】
前記ドアパネルの側縁部に着脱可能に嵌合するコ字形の嵌合部が前記枠隙間ゲージ部と一体に設けられ、前記嵌合部は、嵌合したときの変形による弾性力により前記ゲージ部を前記ドアパネルに保持することを特徴とする請求項1に記載のエレベータドアの取付治具。
【請求項3】
前記ドアパネルの側縁部に着脱可能に嵌合するコ字形の嵌合部が前記枠隙間ゲージ部と一体に設けられ、前記嵌合部には、前記ゲージ部を保持するねじがねじ込まれることを特徴とする請求項1に記載のエレベータドアの取付治具。
【請求項4】
前記ドアパネルの側縁部に着脱可能に嵌合するコ字形の嵌合部が前記枠隙間ゲージ部と一体に設けられ、前記嵌合部は、前記ドアパネル側の係合穴に係合する爪と、前記爪を前記係合穴から外すレバーと、を有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータドアの取付治具。
【請求項5】
前記取付治具は、前記ドアパネルの意匠面を保護するシートを介在させて接着により取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のエレベータドアの取付治具。
【請求項6】
前記下端隙間ゲージ部の前記敷居との接触面および前記枠隙間ゲージ部の前記縦枠との接触面には、滑動性を付加する高分子材料からなる膜で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエレベータドアの取付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータドアの取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのドア(ホールドア、かごドア)は、ドアハンガーを用いてレールから吊り下げられた状態になっている。ドアハンガーには、ローラが設けられており、ドア開閉時には、このローラがレールの上を転動する。エレベータのドアは、吊られている状態で据え付けられることから、ドアを設置する場合には、ドアが正しい高さ位置にあり、傾いていないようにする調整が不可欠となる。
【0003】
このようなドアの取付調整では、高さについては、敷居とドアパネルの下端との間にできる隙間が基準範囲内に収まるように調整される。また、前後方向の傾きについては、ドアパネルと三方枠の間にできる隙間が基準範囲内になるように調整される。
【0004】
ドアパネルを取り付ける際には、ドアパネルを仮設置した状態にしてから、上記の隙間をスケールを用いて計測する。もし誤差があれば、ドアパネルを動かして隙間を許容範範囲に収めるために位置出し調整を行うことになる。このような隙間調整作業には、ドアパネルを調整できるように吊ったり、支持するために、吊りボルトやシム、偏心ローラなど、様々な調整手段が用いられている。
【0005】
従来から、エレベータドアの取付調整は、熟練を要する煩雑な作業とされており、そのため、作業の負担を軽減するための種々の提案がなされている(例えば特許文献1、2)。
特許文献1では、ドアパネルの位置出し調整作業の負担を軽減するために、ブロックゲージを三方枠とドアパネルの間に配置することが開示されている。
特許文献2には、ドアパネルの位置出し作業を簡便に行えるように、ジャッキボルトを利用してドアパネルの傾きを調整する調整手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7−64508号公報
【特許文献2】特開平9−240971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のドアパネルの設置では、位置出し調整に必要な治具を乗場の出入口に設置し、ドアパネルの仮設置、隙間の計測、位置出し調整、ドアパネルの本設置、治具の取り外しといった順序で工程が進められる。
エレベータドアは、ホールドアであれば、全階床の乗場に設置しなければならない。各階床でのドアパネルの設置に際しての調整に手間と工数がかかる上に、それが全階床ともなるとその作業量は非常に大きなものとなる。
とりわけ、ドアパネルの位置出し調整は、階床毎にその調整内容も異なってくるので、全階床での調整作業は非常に重い作業負担となっていた。
【0008】
本発明は、前記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであって、ドアパネルの位置出し調整を不要として、エレベータドアの取付作業に格段の効率化を実現できるようにしたエレベータドアの取付治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係るエレベータドアの取付治具は、エレベータドアの取り付けに際しドアパネルをドアハンガーに締結する前に、前記ドアパネルの上下方向、前後方向の位置出しを行うのに使用されるエレベータドアの取付治具であって、前記ドアパネルの下端が当接するパネル下端当接面を有し、敷居からの前記ドアパネルの高さ位置を決定する下端隙間ゲージ部と、前記ドアパネルの意匠面が当接し、前記パネル下端当接面と垂直なパネル当接面を有し、三方枠の縦枠からの前記ドアパネルの前後方向の位置を決定する枠隙間ゲージ部と、を有し、前記下端隙間ゲージ部と前記枠隙間ゲージ部が前記ドアパネルの四隅にそれぞれ着脱可能な一体構造のゲージ部をなしていることを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るエレベータドアの取付治具が適用されるエレベータのホールドアを昇降路側から表した図である。
図2図1におけるX−X矢視断面を示す図である。
図3図1におけるY−Y矢視断面を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態によるエレベータドアの取付治具を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態によるエレベータドアの取付治具の構造を示す斜視図である。
図6】取付治具の嵌合部とドアパネルの横断面を示す図である。
図7】取付治具を装着したドアパネルを示す図である。
図8】ドアパネルを乗場出入口に組み付ける手順を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態による取付治具の合部の断面を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態による取付治具の嵌合部の断面を示す図である。
図11】本発明の第4実施形態による取付治具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるエレベータの取付治具の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るエレベータドアの取付治具が適用されるエレベータのホールドアを昇降路側から表した図である。図2は、図1におけるX−X矢視断面を示し、図3は、図1におけるY−Y矢視断面を示している。
図1において、参照番号4、4は、ドアパネルを示している。このホールドアは、出入口を2枚のドアパネル4、4で開閉する、エレベータでは一般的な横引きのドアである。参照番号1は、ドア装置のヘッダーケースを示している。このヘッダーケース1には、ドアレール5が水平に配置されている。ドアパネル4、4の上端部には、それぞれドアハンガー3が取り付けられている。ドアハンガー3には、ドアレール5上を転動するローラ2が設けられている。ローラ2がドアレール5に係合することで、ドアパネル4、4は、ドアレール5から吊り下げられた状態で開閉するようになっている。
【0012】
エレベータの乗場では、縦枠12A、12Bと横枠13からなる三方枠によって出入口の開口部が構成されている。出入口の床には、敷居8が設置されている。ドアパネル4、4の下端には、ガイドシュー10が取り付けられ、このガイドシュー10は、敷居8に長さ方向に延びるように形成されている溝に係合している。
【0013】
次に、ドアパネル4、4を出入口に設置するに際して問題となる、ドアパネル4、4と敷居8または三方枠との間にできる隙間について、本実施形態の取付治具との関連において説明する。
図4は、本実施形態による取付治具を示す図である。図4(A)は、図1におけるU1部に取り付けられた取付治具20Aを上から示す断面図であり、図4(B)は、図1におけるU1部に取り付けられた取付治具20Aを示す図である。図4(C)は、図3におけるV1部に取り付けられた取付治具20Aを示す図である。図4(D)は、図1におけるU2部に取り付けられた取付治具20Bを示す図で、図4(E)は、図3におけるV2部に取り付けられた取付治具20Bを示す図である。
【0014】
そこで、まず、三方枠の縦枠12Bとドアパネル4(もう片方のドアパネル4についても同様であるので説明は省略する)との間にできる隙間について、図4(A)乃至図4(C)を参照して説明する。
図4(A)、図4(C)に示されるように、三方枠の縦枠12Bとドアパネル4の間には、寸法Bだけ隙間が確保されている。この隙間がドアパネル4の高さ方向に亘って一定であれば、ドアパネル4は、前後方向に傾いていない状態になっている(図4(E)参照)。
【0015】
次に、図4(D)、図4(E)に示されるように、吊られているドアパネル4と敷居8の上面との間には、寸法Aだけ隙間が確保されている。この隙間の寸法Aは、ドアパネル4の高さ位置を規定する寸法である。また、この隙間の寸法Aが敷居8の長さ方向に亘って一定であれば、ドアパネル4は、左右方向に傾いていない状態になっている。
このような寸法A、Bは、ドアパネル4を正規位置に取り付ける際の基準となる寸法である。よって、寸法Aは、下端隙間基準寸法Aと呼び、寸法Bは枠隙間基準寸法Bということにする。
本実施形態のエレベータドアの取付治具20は、あらかじめ決められた下端隙間基準寸法Aや枠隙間基準寸法Bの調整を不要にして、ドアパネル4の据付作業を容易にする治具であり、ドアパネル4の隅に着脱可能に装着される。
【0016】
ここで、図5は、本実施形態によるエレベータドアの取付治具の構造を示す斜視図である。
エレベータドアの取付治具20は、下端隙間基準寸法Aに対応した下端隙間ゲージ部24と、枠隙間基準寸法Bに対応した枠隙間ゲージ部22と、が一体になったゲージ部と、嵌合部23と、を有している。
【0017】
下端隙間ゲージ部24は、ドアパネル4の下端面が当接して密着するパネル当接面24a(パネル下端当接面)を有している。この下端隙間ゲージ部24の厚さは、下端隙間基準寸法Aになるように正確に設定されている。
枠隙間ゲージ部22は、ドアパネル4の意匠面が当接して密着するパネル当接面22aと縦枠12が当接する枠当接面22bと、を有している。このパネル当接面22aは、下端隙間ゲージ部24のパネル当接面24aに対して垂直になっている。パネル当接面22aと枠当接面22bは、平行であり、枠隙間ゲージ部22の厚さ、すなわち パネル当接面22aと枠当接面22bの間の寸法は、枠隙間基準寸法Bになるように正確に設定されている。
【0018】
なお、下端隙間ゲージ部24の敷居との接触面および枠隙間ゲージ部22の縦枠との枠当接面22bには、摩耗を防止し滑動性を付加するため高分子材料からなる膜で被覆されている。この点は、本実施形態以外の他の実施形態においても同様である。
【0019】
嵌合部23は、枠隙間ゲージ部22の一部とともにコ字形をなす部材であり、ドアパネル4の左右両側縁部に着脱可能に嵌合するようになっている。
ここで、図6は、嵌合部23とドアパネル4の横断面を示す図である。
この実施形態では、嵌合部23のコの字の内寸法aは、ドアパネル4の厚さよりも若干小さくなるように設定されている。このため、嵌合部23をドアパネル4に嵌めると、コの字の先端部21が拡げられる方向に弾性変形が生じる。この時生じる弾性力は、取付治具20をドアパネル4から脱落しないように保持する力として働く。
【0020】
本実施形態によるエレベータドアの取付治具は、以上のように構成されるものであり、次に、この取付治具を用いて乗場にドアパネルを設置する作業について説明する。
図7は、本実施形態による取付治具20を装着したドアパネル4を示す図である。
図7に示されるように、取付治具20は、ドアパネル4の四隅にそれぞれ装着される。取付治具20は、一種類の同じものをドアパネル4の四隅に装着することが可能である。
【0021】
次に、図8は、ドアパネル4を乗場出入口に組み付ける手順を示す図である。
まず、図8(A)において、乗場出入口では、ヘッダーケース1、ドアレール5、ドアハンガー3、さらに三方枠の縦枠12A、12bおよび横枠13など、ドアパネル4以外の用品はすべて取り付けられた状態になっている。ドアハンガー3は、ドアレール5にローラ2が乗った状態に掛けてある。
【0022】
次に、図8(B)において、取付治具20を装着したままのドアパネル4を傾かせて敷居8の上に載せてから、ドアパネル4を鉛直に立たせる。その後、図8(C)に示されるように、ドアパネル4を縦枠12に向けて押し込む。
【0023】
このような簡単な手順を踏むだけで、ドアパネル4は、取付治具20によって正規位置に位置出しすることができる。ドアパネル4の高さ位置については、図4(D)、図4(E)に示されるように、取付治具20Bの下端隙間ゲージ部24は、正確に下端隙間基準寸法Aだけドアパネル4の高さを押し上げることになる。この取付治具20は、ドアパネル4の下部の左右両隅に装着されているので、ドアパネル4が左右に傾いていることもない。
【0024】
ドアパネル4の縦枠12との間の隙間については、図4(C)、図4(E)に示されるように取付治具20の枠隙間ゲージ部22が正確に枠隙間基準寸法Bを保持するので、ドアパネル4が前後方向に傾くことはない。
こうしてドアパネル4の位置出しが終わったら、図8(C)において、ドアハンガー3にドアパネル4の上端部を締結すれば、ドアパネル4の取り付けは終了する。
ドアパネル4の取付が完了すれば、取付治具20は、簡単に抜き取ることができる。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、取付治具20を四隅に装着したドアパネル4を敷居8の上に載せてから縦枠12A、12Bに押し込むという簡単な手順だけで、ドアパネル4の位置出しを行うことができる。従来のように、隙間の計測、調整は不要となるので、ドアパネル4の取付作業を格段に効率化することができる。
【0026】
以上は、ドアパネル4の取付にあたっての取付治具20の直接的な作用効果であるが、取付治具20には、次のような効果もある。
工場からの出荷時や、現地での保管時に、四隅に取付治具20をドアパネル4を重ね合わせて横置きした場合、上下にあるドアパネル4との間には隙間ができるので、意匠面に傷が付くのを効果的に防止することが可能である。また、ドアパネル4を据付前に一時的に床に仮置きするような場合でも、取付治具20を装着しておけば、ドアパネル4に床が触れることはなくなるので、傷が付くのを防止することが可能である。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態によるエレベータドアの取付治具について、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第2実施形態による取付治具20において、嵌合部23の断面を示す。
この第2実施形態では、嵌合部23の先端部21には、雌ネジ25が切られ、ここにネジ30が取り付けられている。嵌合部23のコの字の内寸法aは、ドアパネル4の厚さよりも若干大きくなるように設定されている。
このような取付治具20をドアパネル4に装着する場合、ネジ30を戻しておいて嵌合部23をドアパネル4に嵌めるようにする。その後、ネジ30を締め込んでいけば、取付治具20を固定することができる。逆にネジ30を緩めれば、取付治具20を抜き取ることができる。
【0028】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態によるエレベータドアの取付治具について、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第3実施形態による取付治具20において、嵌合部23の断面を示す。
この第3実施形態は、第2実施形態のネジ30の替わりに、爪32が利用されている。嵌合部23の内側には爪32が形成されており、ドアパネル4には、爪32が係合する係合穴33が形成されている。先端部21には、取り外し操作用のレバー31が設けられている。嵌合部23のコの字の内寸法aは、ドアパネル4の厚さよりも若干大きくなるように設定されているのは第2実施形態と同様である。
【0029】
このような取付治具20をドアパネル4に装着する場合、嵌合部23をドアパネル4に嵌めるだけで、爪32が係合穴33に係合してワンタッチで装着することができる。外す場合は、レバー31を引いて爪32を係合穴33から外せば、簡単に取付治具20を抜き取ることができる。
【0030】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態によるエレベータドアの取付治具について、図11を参照して説明する。
次に、図11は、本発明の第4実施形態による取付治具20を示し、図11(A)は、取付治具20の斜視図であり、図11(B)は、装着状態の取付治具20の断面を示す。
この第4実施形態は、第1実施形態乃至第3実施形態と異なり、嵌合部23の無い取付治具20である。
【0031】
図11(A)に示されるように、取付治具20は、枠隙間ゲージ部22と下端隙間ゲージ部24とから構成されている。第1実施形態の図5と対照するとわかるように、図5における嵌合部23を取り除いたL形の形状になっている。枠隙間ゲージ部22の当接面には接着剤34が塗布されている。
【0032】
図11(B)に示されるように、ドアパネル4の意匠面に接着剤34が付着しないように、ドアパネル4には意匠面を保護するシート35で被覆される。そして、取付治具20は、シート35を付けたままのドアパネル4の四隅に接着材により接着される。
【0033】
このように、嵌合部23を無くしても、ドアパネル4の位置出しの機能としては、同等の機能を得ることが可能である。取付治具20を取り外す場合には、シート35ごと取り外しが可能である。
【0034】
以上、本発明のエレベータドアの取付治具について、好適な実施形態を挙げて説明したが、これらの実施形態は、例示として挙げたもので、発明の範囲の制限を意図するものではない。もちろん、明細書に記載された新規な装置、方法およびシステムは、様々な形態で実施され得るものであり、さらに、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、種々の省略、置換、変更が可能である。請求項およびそれらの均等物の範囲は、発明の主旨の範囲内で実施形態あるいはその改良物をカバーすることを意図している。
【符号の説明】
【0035】
1…ヘッダーケース、3…ドアハンガー、4…ドアパネル、5…ドアレール、8…敷居、10…ガイドシュー、12A、12B…縦枠、13…横枠、20…取付治具、22…枠隙間ゲージ部、23…嵌合部、24…下端隙間ゲージ部
【要約】
【課題】ドアパネルの位置出し調整を不要として、エレベータドアの取付作業に格段の効率化を実現する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る取付治具は、エレベータドアの取り付けに際しドアパネルをドアハンガーに締結する前に、前記ドアパネルの上下方向、前後方向の位置出しを行うのに使用されるエレベータドアの取付治具である。この治具は、ドアパネル4の下端が当接するパネル下端当接面を有し、敷居から8の前記ドアパネルの高さ位置を決定する下端隙間ゲージ部24と、ドアパネル4の意匠面が当接し、パネル下端当接面と垂直なパネル当接面を有し、三方枠の縦枠からのドアパネルの前後方向の位置を決定する枠隙間ゲージ部22と、を有し、下端隙間ゲージ部24と枠隙間ゲージ部22がドアパネル4の四隅にそれぞれ着脱可能な一体構造のゲージ部をなしている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11