(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768250
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】プレスフィット端子の製造装置及びプレスフィット端子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 43/16 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
H01R43/16
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-126151(P2018-126151)
(22)【出願日】2018年7月2日
(65)【公開番号】特開2020-4689(P2020-4689A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154163
【氏名又は名称】三晶エムイーシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】伏見 義幸
(72)【発明者】
【氏名】兵庫 健
【審査官】
高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−243532(JP,A)
【文献】
特開2016−139552(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第02930560(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/16
H01R 12/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
均一な断面形状の導電性線材を一定間隔で順送し複数工程で成形する金型を備え、
前記金型は、先細りの端部を形成する端部形成部と、支持孔に保持される挿入部を形成する挿入部形成部が一列に配置され、
前記挿入部形成部は、前記挿入部の容積より広い拡幅空洞と、前記挿入部の容積と略等しい成形空洞を備え、
前記拡幅空洞は、導電性線材の表面に前記金型のアンカーコアが嵌る凹部を形成する圧印空洞と、前記圧印空洞の後段に配置され前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し空洞からなり、
前記成形空洞は、前記拡幅空洞の後段に配置され前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し空洞を備えることを特徴とするプレスフィット端子の製造装置。
【請求項2】
先細りの端部を形成する端部形成工程と、支持孔に保持される挿入部を形成する挿入部形成工程を含み、均一な断面形状の導電性線材から一列に連結した複数のプレスフィット端子を製造する方法であって、
前記挿入部形成工程は、挿入部を複数段階で形成する順送式形成工程であり、前記挿入部の容積より広い空洞による拡幅工程と、前記挿入部の容積と略等しい空洞による成形工程を経る工程であって、
前記拡幅工程は、導電性線材の表面に後の工程において金型のアンカーコアが嵌る凹部を形成する圧印工程と、前記圧印工程の後段において前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し工程を経る工程であって、
前記成形工程は、前記拡幅工程の後段において前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し工程を経る工程であることを特徴とするプレスフィット端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板やコネクタハウジングのスルーホールに圧入されるプレスフィット部分を備えるプレスフィット端子の製造装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレスフィット端子やその製造方法は、スルーホールにおける支持安定性及び接触安定性を高めるために案出され、その形態や製造方法は、以下の如く多数紹介されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1又は下記特許文献2に記載の技術は、プレスフィット端子の両端部の先細り状の挿入部と、基板に半田付けされる半田付け部と、相手端子と接続される接続部とが順に長さ方向に連設された基板用端子を製造する方法であって、板厚よりも板幅が大きな角状線材をプレスして前記挿入部を形成し、この挿入部と連設した部分を板幅方向の両側からカッティング又はプレス加工して角状線材の板幅よりも小さな幅の前記半田付け部(拡幅部分)を形成する基板用端子の製造方法である。その際、下記特許文献1に記載の技術は、前記挿入部のプレス成形と同時に、前記角状線材の接続部形成部位に凹み部を形成する手法を採ることができるものである。
【0004】
また、下記特許文献3に記載の技術は、スルーホールの内径寸法よりも大きな幅寸法を有する両側縁部を切断することにより、前記スルーホールの内径寸法よりも小さな幅寸法とされた先端挿入部を形成する一端部切断工程と、前記先端挿入部から所定寸法に亘る領域において、前記金属角線材の幅方向中央部分を板厚方向に打ち抜いて貫通穴を設けると共に、該貫通穴を挟んで前記幅方向の両側に残された前記金属角線材の両側縁部により、撓み変形可能な一対の弾性接触部を構成して前記基板圧入部を形成する基板圧入部形成工程を含むものである。
【0005】
更に、下記特許文献4には、プレスフィット端子を、金属板材からのプレス打ち抜き加工によって製造することも可能であるが、金属線材から潰し加工と切断により成形することが望ましいと記載され、プレスフィット端子の先端部と末端部とを連結する絞り部を形成する手法として、金属線材にプレスによる絞り加工を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−030834号公報
【特許文献2】特開2012−174400号公報
【特許文献3】特開2014−149956号公報
【特許文献4】実用新案登録第3199961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スルーホールにおける支持安定性及び接触安定性について、より良い性状を持つ形態を決定する際には、種々の形態について分析や解析を伴う実証実験を重ねる必要がある。
その様に実証実験のサンプルを製造し、又は商品としてのプレスフィット端子を製造するには、形態を再現できる能力の高い製造装置や製造方法が必要となる。
【0008】
しかしながら、上記従来の手法の様に、所定形状の製品を得ることを目的として、抜き打ち加工、穴あけ加工、せん断加工、縁取り加工、縁仕上げ加工、曲げ加工又は絞り加工などからなる必要な工程をただ単純に実施していたのでは、金属の塑性変形の際、製品に当たり傷やバリが発生し、プレスフィット端子について、所望の形態や品質を均一に得ることができず、各工程の内容によっては、製造効率が悪いという問題がある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、所望の形態や品質を均一に再現することができるプレスフィット端子の製造装置及び製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明によるプレスフィット端子の製造装置は、均一な断面形状の導電性線材を一定間隔で順送し複数工程で成形する(単数又は複数の)金型を備え、前記金型は、先細りの端部を形成する端部形成部と、支持孔に保持される挿入部を形成する挿入部形成部が一列に配置され、前記挿入部形成部は、前記挿入部の容積より広い拡幅空洞と、前記挿入部の容積と略等しい成形空洞を備えることを特徴とする。
【0011】
前記拡幅空洞は、導電性線材の表面に前記金型のアンカーコア(拡幅の起点を定める機能を備えるコア)が嵌る凹部を形成する圧印空洞と、前記圧印空洞の後段に配置され前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し空洞からなる構成とすることができる。
前記成形空洞は、前記拡幅空洞の後段に配置され前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し空洞を備える構成とすることができる。
【0012】
上記課題を解決するためになされた本発明によるプレスフィット端子の製造方法は、先細りの端部を形成する端部形成工程と、支持孔に保持される挿入部を形成する挿入部形成工程を含み、均一な断面形状の導電性線材から一列に連結した複数のプレスフィット端子を製造する方法であって、前記挿入部形成工程は、挿入部を複数段階で形成する順送式形成工程であって、前記挿入部の容積より広い空洞による拡幅工程と、前記挿入部の容積と略等しい空洞による成形工程を経ることを特徴とする。
【0013】
前記拡幅工程は、導電性線材の表面に後の工程において金型のアンカーコアが嵌る凹部を形成する圧印工程と、前記圧印工程の後段において前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し工程を経るものとすることができる。
前記成形工程は、前記拡幅工程の後段において前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し工程を経るものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるプレスフィット端子の製造装置及び製造方法によれば、一列に連結した複数のプレスフィット端子を得る際に、前記挿入部形成工程について、挿入部を複数段階で形成する順送式形を採用し、前記挿入部の容積より広い空洞による拡幅工程と、前記挿入部の容積と略等しい空洞による成形工程を経ることによって、すべての成形工程を単一工程で行う手法と比して遜色のない製造効率を得つつ、初期コスト、中間コスト又は仕様変更コストの節約、仕様変更に対する便宜の向上及び食み肉(バリ)や当たり傷が減少することなどに伴う歩留まり及び成形精度の向上など、多くの面で有利にプレスフィット端子の製造を行うことができる。
【0015】
また、前記拡幅工程では、前記導電性線材の表面に後の拡幅工程においてアンカーコアが嵌る凹部を形成する圧印工程と、圧印空洞の後段の拡幅空洞内において前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し工程を経ることによって、当たり傷が減少することはもとより、型押し工程による塑性変形の方向性が定まり、当たり傷などの原因となる不要な加圧の回避によって品質向上に寄与する。
【0016】
更に、前記成形工程についても、当該成形空洞内において前記アンカーコアが嵌った凹部の外側に向けて前記導電性線材を拡幅する型押し工程を採用すれば、当該成形工程において線材に対する圧力調整や、線材を経た金型に対する圧力調整が容易となり、挿入部の形成に際して、プレスフィット端子の接圧や挿抜力を配慮したより精密な形態調整及び再現を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明によるプレスフィット端子の製造装置の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明によるプレスフィット端子の製造方法で行われる製造工程の一例を示す工程図である。
【
図3】本発明によるプレスフィット端子の製造方法で加工される線材の形態推移を例示する説明図である。
【
図4】本発明によるプレスフィット端子の製造方法における挿入部形成工程での線材の形態推移を例示する説明図である。
【
図5】本発明によるプレスフィット端子の製造方法における挿入部形成工程での線材の変形情況を例示する説明図である。
【
図6】本発明によるプレスフィット端子の製造方法で用いられる金型の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明によるプレスフィット端子の製造方法の実施の形態を、プレスフィット端子の製造装置(以下「製造装置」という)と共に、図面に基づき詳細に説明する。
図1に示す製造装置は、均一な断面形状の導電性線材(以下「線材L」という)から、先端部1、挿入部2及び終端部3を具備する複数のプレスフィット端子mを、前記終端部3及び先端部1を介して連結した線条(以下「連鎖部品M」という)として成形するものである(
図3参照)。
【0019】
この例は、線材Lを送り出す送り出しリールAと、プレスフィット端子mの連鎖部品Mとしての形に整える成形装置Bと、前記送り出しリールAから線材Lを引き出すと共に、前記成形装置Bの定位置に確実にセットする線材ガイド(図示省略)と、前記成形装置Bで製造された連鎖部品Mを巻き取る巻き取りリールCとで構成される。
【0020】
前記成形装置Bは、上型4と、下型5と、前記上型4及び下型5を開閉させるアクチュエータ(図示省略)を備える。
前記上型4と前記下型5は、前記線材Lが嵌る支持部7と、当該支持部7に続いて前記上型4と前記下型5の型締めによって形成される空洞6を取り囲むキャビティ4a,5aと、各キャビティ4a,5aの中央部において上型4及び下型5の一部として空洞6側へ突出するコア4b,5bからなる。
前記上型4及び下型5は、前記線材Lから複数回のプレス加工を経て前記連鎖部品Mを成形するものであって、各工程で用いるキャビティ4a,5a及びコア4b,5bを前記線材Lの引出長間隔で直線的に、且つ一列に配置する形で備える(
図1及び
図4参照)。
【0021】
この例は、均一な方形断面形状の線材Lにプレス成型を行い、先細りの前記先端部1及び終端部3を形成する端部形成工程と、コネクタや回路基板の支持孔に保持される挿入部2を形成する挿入部形成工程を含む。
【0022】
この例の前記端部形成工程は、前記先端部1と前記終端部3を、プレス成形からなる単一工程で形成する。ただし、必要に応じて、面取り工程など更なる工程を加えた複数の工程を付設してもよい。
前記挿入部形成工程は、挿入部2を複数段階で形成する順送式形成工程であって、前記挿入部2の容積より広い空洞による拡幅工程と、前記挿入部2の容積と略等しい空洞による成形工程を経る。
尚、ここで拡幅工程とは、材料の一部又は全部に対して加圧による偏平化を行い、それに伴い余分となった体積を加圧方向とは異なる側へ逃すことによって、当該逃し方向への幅を広げる工程である。
【0023】
前記拡幅工程は、線材Lの表面に、後の工程においてアンカーコア4b(4c),5b(5c)が嵌る凹部2aを形成する圧印工程と、前記圧印工程の後段において前記アンカーコア4b(4c),5b(5c)が嵌った凹部2aの外側(この例では側方)に向けて前記線材Lを拡幅する型押し工程を経る(
図5並びに
図4(B)から
図4(D)参照)。
前記成形工程は、前記拡幅工程の後段において前記アンカーコア4b(4c),5b(5c)が嵌った凹部2aの外側(この例では側方)に向けて前記線材Lを拡幅すると共に、当該拡幅量を当該成形空洞6eを取り囲むキャビティ4a,5aの内壁面で押し止める型押し工程を経る(
図4(E)参照)。
【0024】
前記製造工程を採る際に用いられる金型は、先細りの端部1,3を形成する端部形成部Bn(b1)と、前記コネクタや回路基板の支持孔に保持される挿入部2を形成する挿入部形成部Bwを備える。
この例は、前記端部形成部Bnとして、線材Lを一定間隔で所定形状に絞る単一の金型b1を備えると共に、前記挿入部形成部Bwとして、前記挿入部2の設定容積より広い拡幅空洞6a〜6dを備える四つの金型(第一形成部b2〜第四形成部b5)と、前記挿入部2の容積と略等しい成形空洞6eを備える単一の金型(第五形成部b6)を備える。
これらの金型は、所定のフレームに直線的に一列に配置され(
図1又は
図4参照)、組み合わされた単一の上型4又は下型5として型締めが行われる。
尚、各端部形成部Bn及び挿入部形成部Bwを構成する各金型を、一方向から順に個別に型締めを行うこともできる。
【0025】
前記拡幅空洞は、線材Lの表面にその後段においてアンカーコア4b(4c),5b(5c)が嵌る凹部2aを形成する圧印空洞6aと、前記圧印空洞6aの後段に配置され、前記アンカーコア4b(4c),5b(5c)が嵌った凹部2aの外側(この例では側方)に向けて前記線材Lを拡幅する(
図5参照)型押し空洞6b〜6dからなる(
図4参照)。
前記成形空洞は、前記拡幅空洞の後段に配置され、型締めの際の加圧によって前記アンカーコア4b(4c),5b(5c)が嵌った凹部2aの外側(この例では側方)に向けて前記線材Lを拡幅すると共に、当該拡幅量を当該成形空洞を取り囲むキャビティ4a,5aの内壁面で押し止める型押し空洞6eである。
【0026】
この例の端部形成部Bn(b1)は、型締めによって、長短二つの四角錘が各々の頂部で連結した形態の空洞を形作る上下一対の金型を備える。
一方、この例の挿入部形成部Bwは、送り出し方向から巻き取り方向へ順に配置された第一形成部b2乃至第五形成部b6からなる。
【0027】
前記第一形成部b2及び第二形成部b3は、圧印空洞であり且つ拡幅空洞でもあり得る空洞6a,6bを備える。
即ち、前記第一形成部b2及び第二形成部b3は、前記線材Lの厚みと略等しい略均一な高さを持ち、当該線材Lの体積より十分に大きな容積を持つ丸みを帯びた直方体形状の空洞6であって、上型4のキャビティ4aと下型5のキャビティ5aの中央から、各々コア4b,5bが相対向して突出し、当該空洞6の中央に配置された線材Lの表面及び裏面に前記凹部2aを形成(圧印)し、且つそれによって生じた拡幅量を予備空間8で吸収できる空洞6a,6bを形作る。
前記コア4b,5bは、楕円状又は角に丸みを帯びた方形状の断面を持つ棒状の金属塊であり、当該金型のキャビティ4a,5aの中央に嵌合されることにより一体化されている。
【0028】
この例における圧印工程は、所望の面積(領域)に対し所望の深さに至る前記凹部2aの形成を二つの工程で完了する。
即ち、先ず、前記第一形成部b2で行われる第一圧印工程において、所望の凹部2aよりも小さい面積に対し所望の凹部2aよりも浅く圧印し、続く、前記第二形成部b3で行われる第二圧印工程において、前記所望の凹部2aを得る。
そのため、前記第一成形部b2のコア4b,5bの断面積及び高さは、前記第二成形部b3のコア4b,5bの断面積の1/4乃至3/3程度に小さく設定する。
前記第一圧印工程及び第二圧印工程では、前記コア4b,5bの突出体積の増加分の拡幅量を十分な予備空間8で吸収する。
【0029】
前記第三形成部b4乃至第5形成部b6は、前記線材Lの厚みよりも低い略均一な高さの空洞6c〜6eを持ち、後の工程となるに従ってその高さが段階的に低くなるように設定されている。
また、第三形成部b4及び第四形成部b5の空洞6c,6dにあっては、当該線材Lの挿入部2の体積より大きい容積に設定されている一方、第五形成部b6の空洞6eにあっては、当該線材Lの挿入部2の体積と略等しい容積に設定されている。
この様に、この例の挿入部形成工程は、複数の拡幅工程を経て少しずつ拡幅し、仕上げとして単数又は複数の成形工程を行うことによって、一度に強い加圧を行うことに伴う当たり傷を防止するのみならず、成形後の挿入部2の表面状態を良好にすることができる。
【0030】
前記第三形成部b4乃至第五形成部b6では、型締めの際に、上型4のキャビティ4aと下型5のキャビティ5aの中央から空洞6c,6d,6eに向けて相対向して突出する各々コア4b,5bが、前記第二圧印工程で形成された凹部2aに嵌り、第一圧印工程及び第二圧印工程を経た線材Lは、上型4のキャビティ4a及び下型5のキャビティ5aの加圧によって押し延ばされる。
【0031】
その結果、前記第三形成部b4及び第四形成部b5においては、当該空洞6の所定位置に配置された線材Lの表面及び裏面に形成された凹部2a,2aを維持し、且つ上型4のキャビティ4aと下型5のキャビティ5aによる加圧によって生じた拡幅量を十分な予備空間8で吸収し、前記第五形成部b6においては、当該空洞8の中央に配置された線材Lの表面及び裏面に形成された凹部2a,2aを維持し、且つ上型4のキャビティ4aと下型5のキャビティ5aによる加圧によって生じた拡幅量をキャビティ4a,5aの内壁で押し止めつつ限られた領域に充填することによって、挿入部2をキャビティ4a,5aの内壁に密着する形状にプレス成形する。
【0032】
前記線材ガイドは、上型4と下型5が開いている間に、前記金型の配置に沿って、各工程を担当する各金型の空洞6の配置間隔で、送り出しリールA又は巻き取りリールCと同期を取りつつ、前記線材Lを間欠的に順送すると共に、前記成形装置Bの定位置に確実にセットする。
前記線材Lのセットが完了すると、各金型は、一斉に上型4と下型5とで線材Lを加圧し、各金型所定のプレス加工を行う。
【0033】
尚、この様なプレスフィット端子mの製造工程においては、必要に応じて、端部形成工程又は挿入部形成工程の一部に面取り加工や様々な圧印加工などの表面加工工程を含めることができる。
例えば、表面加工部は、前記順送形成工程の一部(例えば最終工程など)として機能するように配置し、前記挿入部2の容積と略等しい成形空洞とし、上型4のキャビティ4aと下型5のキャビティ5aによる加圧によって生じた拡幅量をキャビティ4a,5aの内壁で押し止めつつ限られた領域に充填することによって、所望の面取りや圧印を、キャビティ4a,5aの内壁に密着する形状にプレス成形する。
【符号の説明】
【0034】
A 送り出しリール,
B 成形装置,
Bn(b1) 端部形成部,
Bw 挿入部形成部,
b2 第一形成部,b3 第二形成部,
b4 第三形成部,b5 第四形成部,b6 第五形成部,
C 巻き取りリール,
L 線材,M 連鎖部品,m プレスフィット端子,
1 先端部,
2 挿入部,2a 凹部,
3 終端部,
4 上型,4a キャビティ,4b コア,4c アンカーコア,
5 下型,5a キャビティ,5b コア,5c アンカーコア,
6 空洞,6a 圧印空洞,6b〜6e 型押し空洞,
7 支持部,8 予備空洞,