特許第6768265号(P6768265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6768265ダイアゴナル又はラジアルファン用の動翼輪、該動翼輪を製造する射出成形工具及び少なくとも1つの該動翼輪を有する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768265
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】ダイアゴナル又はラジアルファン用の動翼輪、該動翼輪を製造する射出成形工具及び少なくとも1つの該動翼輪を有する装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20201005BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20201005BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20201005BHJP
   F04D 29/30 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   F04D29/28 C
   B29C45/14
   B29C45/26
   F04D29/28 R
   F04D29/30 F
   F04D29/30 C
【請求項の数】28
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-89182(P2015-89182)
(22)【出願日】2015年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-212547(P2015-212547A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2018年2月13日
(31)【優先権主張番号】10 2014 006 756.4
(32)【優先日】2014年5月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510334790
【氏名又は名称】ジール・アベッグ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】フリーダー レルヒャー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス グロス
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ フープ
(72)【発明者】
【氏名】ロタール エルネマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ホフマン
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−193740(JP,A)
【文献】 特表2014−501873(JP,A)
【文献】 特表2011−521145(JP,A)
【文献】 特開2011−256860(JP,A)
【文献】 実開昭53−61625(JP,U)
【文献】 国際公開第2013/160043(WO,A1)
【文献】 特開2001−317488(JP,A)
【文献】 特開2011−38445(JP,A)
【文献】 特開平9−250492(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/111368(WO,A1)
【文献】 特開2012−36885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
F04D 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元形状の複数ブレード(6)によって相互に接続された、底部ディスク(7)とカバーディスク(1)とを備え、前記複数ブレード(6)は前記底部ディスク(7)と前記カバーディスク(1)と一体的に形成されたダイアゴナル又はラジアルファン用の動翼輪であって、
回転軸(13)と同軸であり、後縁(15)の中位径を有する円筒上に投影した際に、前記複数ブレード(6)の前記後縁(15)の延長が、前記回転軸(13)に平行な直線で角度(β1、β2)を形成し、少なくとも1つの角度(β1、β2)は、0°以外である動翼輪において、
前記カバーディスク(1)での前記後縁(15)の開始地点での前記角度(β1)は、前記底部ディスク(7)での前記後縁(15)の終点での前記角度(β2)より大きく、
前記底部ディスク(7)の前記後縁(15)の終点での前記後縁(15)の延長が、0°以外であることを特徴とする動翼輪。
【請求項2】
三次元形状の複数ブレード(6)によって相互に接続された、底部ディスク(7)とカバーディスク(1)とを備え、前記複数ブレード(6)は前記底部ディスク(7)と前記カバーディスク(1)と一体的に形成されたダイアゴナル又はラジアルファン用の動翼輪であって、
回転軸(13)と同軸であり、後縁(15)の中位径を有する円筒上に投影した際に、前記複数ブレード(6)の前記後縁(15)の延長が、前記回転軸(13)に平行な直線で角度(β1、β2)を形成し、少なくとも1つの角度(β1、β2)は、0°以外である動翼輪において、
回転軸(13)と同軸であり、前縁(17)の中位径を有する円筒上に投影した際に、前記複数ブレード(6)の前記前縁(17)の延長が、前記回転軸(13)に平行な直線で角度(β1、β2)を形成し、少なくとも1つの角度(β1、β2)は、0°以外であり、
前記前縁(17)が前記カバーディスク(1)の開始地点と前記底部ディスク(7)の終点を有することを特徴とする動翼輪。
【請求項3】
三次元形状の複数ブレード(6)によって相互に接続された、底部ディスク(7)とカバーディスク(1)とを備え、前記複数ブレード(6)は前記底部ディスク(7)と前記カバーディスク(1)と一体的に形成されたダイアゴナル又はラジアルファン用の動翼輪であって、
回転軸(13)と同軸であり、後縁(15)の中位径を有する円筒上に投影した際に、前記複数ブレード(6)の前記後縁(15)の延長が、前記回転軸(13)に平行な直線で角度(β1、β2)を形成し、少なくとも1つの角度(β1、β2)は、0°以外である動翼輪において、
前記カバーディスク(1)での前記後縁(15)の開始地点での前記角度(β1)は、前記底部ディスク(7)での前記後縁(15)の終点での前記角度(β2)より大きく、
回転軸(13)と同軸であり、前縁(17)の中位径を有する円筒上に投影した際に、前記複数ブレード(6)の前記前縁(17)の延長が、前記回転軸(13)に平行な直線で角度(β1、β2)を形成し、少なくとも1つの角度(β1、β2)は、0°以外であり、
前記底部ディスク(7)の前記後縁(15)の終点での前記後縁(15)の延長が、0°以外であり、
前記前縁(17)が前記カバーディスク(1)の開始地点と前記底部ディスク(7)の終点を有することを特徴とする動翼輪。
【請求項4】
前記カバーディスク(1)の直径は、軸方向断面からみて、吸気口(5)から排気口(4)の方向へ増加していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の動翼輪。
【請求項5】
前記カバーディスク(1)の母線は、前記カバーディスク(1)の直径が、吸気口(5)から排気口(4)の方向へ次第に増加するように湾曲していることを特徴とする請求項4に記載の動翼輪。
【請求項6】
前記カバーディスク(1)の母線は、吸気口(5)から距離をおいて直線状に伸びていることを特徴とする請求項5に記載の動翼輪。
【請求項7】
前記底部ディスク(7)の直径は、軸方向断面からみて、前記カバーディスク(1)に面する側から増加することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の動翼輪。
【請求項8】
前記底部ディスク(7)の母線は、前記底部ディスク(7)の直径が増加するように、湾曲して前記カバーディスク(1)に面する側から伸びることを特徴とする請求項7に記載の動翼輪。
【請求項9】
前記底部ディスク(7)の母線は、前記カバーディスク(1)に面する前記母線の端から距離をおいて直線状に伸びていることを特徴とする請求項8に記載の動翼輪。
【請求項10】
自由縁(11)における前記底部ディスク(7)が、軸方向断面において半径方向の直線で取り囲む角度(α2)は、排気口(4)に面する終端における前記カバーディスク(1)が、軸方向断面において半径方向の直線で取り囲む角度(α1)よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の動翼輪。
【請求項11】
前記カバーディスク(1)及び/又は前記底部ディスク(7)への前記複数ブレード(6)の遷移領域は、丸みを帯びていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の動翼輪。
【請求項12】
前記カバーディスク(1)及び/又は前記底部ディスク(7)への前記複数ブレード(6)の遷移は、前記複数ブレード(6)の各側面の異なる幅へ及ぶことを特徴とする請求項11に記載の動翼輪。
【請求項13】
前記複数ブレードの方向(dy)における丸みを帯びた形状は、前記カバーディスク(1)及び/又は前記底部ディスク(7)の方向(dx)における丸みを帯びた形状と、幅が異なることを特徴とする請求項11又は12に記載の動翼輪。
【請求項14】
前記底部ディスク(7)は、モータ(39)に接続するためのインターフェース(9、21)を備えることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の動翼輪。
【請求項15】
前記インターフェース(9)は、前記底部ディスク(7)の内縁に設けられたリング状のディスクであることを特徴とする請求項14に記載の動翼輪。
【請求項16】
動翼輪の軸方向からみて、前記インターフェース(9)は、前記複数ブレード(6)によって包含される領域に位置することを特徴とする請求項15に記載の動翼輪。
【請求項17】
前記インターフェース(21)は、前記底部ディスク(7)の内縁から距離をおいて設けられ、前記底部ディスク(7)の外側(22)から突出する複数ドームによって形成されていることを特徴とする請求項14に記載の動翼輪。
【請求項18】
動翼輪の前記モータ(39)への接続は、前記複数ドーム(21)にねじ込まれたセルフタッピングのプラスチックねじを用いて確立されることを特徴とする請求項17に記載の動翼輪。
【請求項19】
フローキャップ(32)は、前記底部ディスク(7)の内縁に配置できることを特徴とする請求項1乃至18の何れか一項に記載の動翼輪。
【請求項20】
前記フローキャップ(32)の外側(38)は、少なくとも前記底部ディスク(7)の内側(20)の一定の連続をおおよそ形成することを特徴とする請求項19に記載の動翼輪。
【請求項21】
前記角度(β1、β2)が、互いに異なることを特徴とする請求項1乃至20の何れか一項に記載の動翼輪。
【請求項22】
前記カバーディスク(1)に関連付けられた前記角度(β1)は、前記底部ディスク(7)に関連付けられた前記角度(β2)よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至21の何れか一項に記載の動翼輪。
【請求項23】
動翼輪を製造するためにプラスチックが注入される成形工具を備え、
請求項14乃至18の何れか一項に記載の動翼輪を製造するための射出成形工具であって、
前記インターフェース(9、21)を備える前記底部ディスク(7)を製造するために、2つのスライダ(26、27)の間に位置する少なくとも1つの金型インサート(28〜31)が設けられていることを特徴とする射出成形工具。
【請求項24】
前記金型インサート(30)は、前記インターフェース(9、21)を形成するためのより小さな複数の金型インサート(31)を挿入できるアダプタインサートであることを特徴とする請求項23に記載の射出成形工具。
【請求項25】
請求項1乃至22の何れか一項に記載の動翼輪を有する少なくとも1つのファン(43)を備える装置。
【請求項26】
並んで配置された少なくとも2つの前記ファン(43)を備えることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
D1は、排気口(4)の領域における前記カバーディスク(1)の直径を示すとして、前記複数のファン(43)間の軸方向距離(Dax)は、最大で約1.75*D1であることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
D1は、排気口(4)の領域における前記カバーディスク(1)の直径を示すとして、圧力側に本発明に係るファン(23)が接続された装置の内部空間が、最大で約1.75*D1の直径又は半径方向の側壁距離(Dg)を有することを特徴とする請求項25に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1,2,3の特徴部分の前に記載の、ダイアゴナル又はラジアルファン用の動翼輪と、請求項23の特徴部分の前に記載の、このような動翼輪を製造する射出成形工具と、そして請求項25に記載のこのような動翼輪を少なくとも一つ有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアゴナル又はラジアルファン用の動翼輪は、二次元形状を有し、かつ、射出成形部品として一体に製造されることが知られている。しかし、二次元形状の動翼輪は、複数の比較的低い効率因子、低い通気性能及び高い騒音レベルを有する。
【0003】
また、三次元動翼輪は、一方、お互いに接続されなくてはならない幾つかの部分で製造されることが知られている。このような動翼輪は、それゆえ経済的に製造できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、三次元形状を有する動翼輪の単純な生産と、それゆえ特に高い効率因子、特に高い通気性能及び特に低い音響特性が少量の材料のみの使用で可能であるような、一般的な動翼輪、一般的な射出成形工具及び装置を設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る一般的な動翼輪において、本課題は請求項1,2,3の特徴部分により解決され、本発明に係る一般的な射出成形工具においては請求項23によって、装置においては請求項25によって解決される。
【0006】
本発明に係る動翼輪は、その底部ディスク、カバーディスク及び複数ブレードが、射出成形工程において一体的に成形される製造方法で、三次元的に形成されることで特徴付けられる。後縁又は前縁の中位径を有する同軸円筒に投影すると、ブレードの後縁及び/又は前縁の延長は、それぞれの場合に、回転軸に平行な線で角度を包含し、すくなくとも一つの角度が0°以外である。三次元動翼輪形状は、高効率因子と、低騒音レベルをもたらす。動翼輪は、射出成形工具からの脱型性(demouldability)が確保されるように設計されている。三次元設計は、高い効率因子、高い通気性能及び低い騒音放射を実現することはさておき、高強度の動翼輪を達成しながらも、複数の薄壁を有するこれらの構成要素を設計することを可能にする。有利には、それら角度の一方は0°よりも大きい。
【0007】
本発明によれば、特に有利な実施形態において、動翼輪は、複数ブレードの後縁及び/又は前縁の延長の投影と回転軸に平行な直線間の2つの角度がお互いに明確に異なるように設計される。このことは、後縁及び/又は前縁の湾曲した進行となる。
【0008】
好ましくは、カバーディスクに関連付けられた角度は、底部ディスクに関連付けられた角度よりも大きい。
【0009】
有利には、カバーディスクは、軸方向断面で見たとき、その直径が吸気口から排気口の方向に増大するように設計されている。このような設計は、射出成形工具からの離型性を容易なものにする。また、カバーディスクのこのような設計は、高い効率因子及び低い騒音レベルに寄与する。
【0010】
カバーディスクの母線は、好ましくはカバーディスクの直径が、吸気口から排気口に向けて次第に増加するように湾曲して設計されている。母線によって、カバーディスクの三次元形状は非常に容易に決定できる。
【0011】
母線が吸気口から距離をおいて直線状に伸びることは、更に有利には、射出成形工具からの動翼輪の容易な変形に寄与する。
【0012】
別の有利な実施形態では、軸方向断面から見て、底部ディスクの直径はカバーディスクに面する側から増加する。このように設計された底部ディスクは、高い底部ディスクの効率因子と低い騒音レベルに寄与する。
【0013】
底部ディスクの母線は、底部ディスクの直径が軸方向断面において大きくなるように湾曲してカバーディスクに面する側面から伸びる。その母線によって、底部ディスクの三次元形状は、単純な方法で、動翼輪の必要な稼働条件に適合できる。
【0014】
母線がカバーディスクに面する母線の端から距離をおいて直線状に伸びることは、更に有利には、容易な変形に寄与する。
【0015】
高い通気性能、高い効率因子及び低い騒音放射を実現する、特に有利な実施形態において、カバーディスクからみて外方に向く自由縁における底部ディスクが、軸方向断面において半径方向の直線で取り囲む角度α2は、排気口に面する終端におけるカバーディスクが、軸方向断面において半径方向の直線で取り囲む角度α1よりも、少なくとも3°だけ小さい。
【0016】
複数ブレードの薄壁設計にもかかわらず、高い強度を確保するために、複数ブレードのカバーディスク及び/又は底部ディスクへの遷移領域は、丸みを帯びている。したがって、臨界遷移領域は、動翼輪の稼働時に、複数の応力ピークが回避され、そしてこの領域で複数の負荷が安全に緩和されるように設計できる。
【0017】
稼働中、遷移領域が予想される負荷に対処できるように、複数ブレードのカバーディスク及び/又は底部ディスクへの遷移が、複数ブレードの各側面の異なる幅へ及ぶのは有利である。
【0018】
したがって、例えば、複数ブレードの方向の丸みを帯びた形状は、カバーディスク/底部ディスクの方向の丸みを帯びた形状と幅が異なる。
【0019】
動翼輪のモータへの容易な接続を確保するために、底部ディスクはモータに接続するための対応するインターフェースを備える。
【0020】
モータの寸法が小さい場合、インターフェースは、有利には底部ディスクの内縁に設けられたリング状のディスクである。
【0021】
動翼輪のモータへの容易な接続を保証するために、インターフェースは、動翼輪の軸方向からみて、動翼輪の複数ブレードによって包含される領域内に位置している。
【0022】
動翼輪がより大きな寸法をもつモータを対象とした場合、インターフェースは、有利には底部ディスクの内縁から距離をおいて設けられ、底部ディスクの外側から突出する複数ドームによって形成されている。動翼輪にモータを接続するために、固定ねじは複数ドームに直接ねじ込まれるか、又は複数のドームに挿入された金属スリーブに直接ねじ込まれる。
【0023】
好ましい実施形態では、動翼輪のモータへの接続は、複数ドームにねじ込まれたセルフタッピングのプラスチックねじを用いて確立される。
【0024】
インターフェースの領域において、動的流れを改善するために、有利な実施形態では、フローキャップが底部ディスクの内縁に配置できる。
【0025】
該フローキャップは、その外側が少なくとも底部ディスクの内側の一定の連続をおおよそ形成するように有利には設計される。
【0026】
インターフェースと共にカバーディスクを製造するために、本発明に係る射出成形工具は、2つのスライダ間に位置する少なくとも1つの金型インサートを備える。金型インサートによって2つの成形工具内に、インターフェースを備える底部ディスクが射出成形工具内で製造される。金型インサートの形状は、インターフェースの意図する形状による。したがって、金型インサートの簡単な変更で、射出成形工具での異なるインターフェースをもつ底部ディスクの容易な製造が可能である。
【0027】
金型インサートにより、インターフェースをもつ完全な底部ディスクが形成されるので、工具コストはまだ最適ではない。この理由のため、有利な実施形態では、金型インサートが、インターフェースを形成するためのより小さな複数の金型インサートが挿入されるアダプタインサートであることを規定する。そのアダプタインサートは、実質的に底部ディスクを形成するために用いられ、一方挿入された小さな金型インサートは、底部ディスクのインターフェースを形成するために用いられる。小さな金型インサートをもつアダプタインサートの使用により、様々なインターフェースの形成であっても、小さな複数の金型インサートのみが必要なので、工具コストを節約できる。
【0028】
本発明に係る装置は、本発明に係る動翼輪を有する少なくとも1つのファンを備える。
【0029】
有利には、その装置は、並べて配置された少なくとも2つのファンを備える。したがって、その装置を優れた方法で冷却できる。
【0030】
D1は、排気口の領域におけるカバーディスクの直径を示すとして、複数ファンの間の軸方向距離が、最大で約1.75*D1であれば、その装置は少なくとも2つのファンを備えるにもかかわらず、コンパクトな設計を特徴とできる。
【0031】
通気性能に関して、特にコンパクトな装置は、半径方向の装置の側壁が、効率因子、通気性能又は低い騒音レベルに関して重大な損失を招くことなく、ファンの動翼輪の排気口に非常に接近して在るように設計することができる。特に小型の装置は、装置側壁Dg(円形の場合は直径であり、矩形状の場合は側壁距離である)の特性寸法Dg≦1.75*D1を有する。ここで、D1は、排気口の領域におけるカバーディスクの直径を示す。
【0032】
特許出願の主題は、個々の請求項の主題だけでなく、図面及び明細書に開示されたすべての詳細及び特性からも得られる。その範囲で、たとえそれらが請求項の主題でなかったとしても、個々に又は組み合わせて、本発明の文脈において重要であると主張されている技術をもって新規である。
【0033】
本発明のさらなる特徴は、更に請求項、明細書及び図面に記載されている。
【0034】
以下、図面に示す例示的な実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明に係る動翼輪を示す。
図2図2は、図1の動翼輪の軸方向断面を示す。
図3図3は、本発明に係る動翼輪の側面図を示す。
図3a図3aは、特性角をもつ複数ブレードの後縁の二次元図を示す。
図4図4a〜cは、図2における詳細Xの様々な設計オプションの拡大図を示す。
図5図5は、本発明に係る動翼輪の正面図を示す。
図6図6は、大型モータとのモータ接続部分を備える動翼輪の軸方向断面を示す。
図6a図6aは、図2において、動翼輪の複数ブレードの断面図を決めるための特性角を示す。
図6b図6bは、図2において、モータを備える動翼輪を示す。
図7図7は、射出成形工具(これにより、小型モータ用のモータ接続をもつ動翼輪が製造される)の概略断面図を示す。
図8図8は、図7に対応する、大型モータ用のモータ接続をもつ動翼輪を製造するための射出成形工具を示す。
図9図9は、図7に対応する、動翼輪を製造するための射出成形工具の更なる実施形態を示す。
図10図10は、図7に対応する、動翼輪を製造するための射出成形工具の更なる実施形態を示す。
図11図11は、動翼輪のフローキャップの概略断面図を示す。
図12図12は、図6aのA−A線に沿った部分の拡大図を示す。
図13図13は、並んで配置された2つのファンをもつ、本発明に係る装置を示す。
図14図14は、本発明に係る装置の更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
動翼輪は、ダイアゴナルファン又はラジアルファンといったファンのために提供される。動翼輪は、自由で三次元の幾何学的な設計を特徴とする。すなわち、ファンブレードには、真っ直ぐな、線、平面又は押出面が存在しない。この文脈において、「押出し」という用語は、母線の並列な空間的シフトによる、ファンブレード表面の形成を指す。このような動翼輪を特徴とするファンは、非常に高い効率因子と、特に低い騒音レベルを有する。その動翼輪は、射出成形部品として一体に製造される。動翼輪の製造において材料を節約できるように、動翼輪のファンブレード、底部ディスク及びカバーディスクは、薄壁設計を特徴とする。それにもかかわらず、動翼輪はその高い強度により知られている。
【0037】
動翼輪は、繊維強化熱可塑性材料から作られるのが有利である。複数の可能な実施形態において、熱可塑性材料は、ポリアミド(PA6、PA66、PA66/6、PAPA、PPA、PA4.6、PA12)、ポリエステル(PBT、PET)、ポリプロピレン(PP)、PPS、PES、PESU、PEEK、ABS、PC又はASAとすることができ、好ましくはポリアミド又はポリプロピレンである。強化繊維は、ガラス、炭素、アラミド、熱可塑性材料(PET、PA)又は天然繊維(例えば、亜麻、麻、サイザル麻、ジュート、ココナツ)から製造でき、好ましくは、ガラス繊維から製造できる。
【0038】
動翼輪は、カバーディスク1を有し、それを経由して、空気は気流矢印2の方向に吸引される。カバーディスク1は、回転固体として設計され、流入方向に次第に拡大する流れ断面を備える。カバーディスク1は、排気口4(図2)の領域において、直径が吸気口5の領域よりも約30%から70%大きいように設計されるのが有利である。
【0039】
カバーディスク1は、複数ブレード6を用いて底部ディスク7に接続されている。底部ディスク7と同様に、例示的な実施形態において、カバーディスク1は、回転固体として設計されている。底部ディスク7は基本的に円錐形状の設計であり、ジャケット8を備える。そのジャケット8は、カバーディスク1の反対側の壁配置と共に、気流の通路を形成する。底部ディスク7の直径は、その自由端で最大であり、直径に関して、例えば、カバーディスク1の吸気口5の直径よりも大きい。底部ディスク7の直径は、ジャケット8の自由端からカバーディスク1の方向に徐々に減少することが有利である。モータ接続9は、ジャケット8の内端から生じ、環状ディスクとして設計されたモータ接続は、駆動モータに接続するためのインターフェースを形成する。モータ接続9は、動翼輪のラジアル平面に位置している。モータ接続は、その外周に割り当てられた、複数の締結ねじを保持する複数の貫通した開口部10を備える。
【0040】
軸方向断面にて、底部ディスク7のジャケット8が、その長さに沿って直線状に伸びることができる。示される例示的な実施形態では、ジャケット8は、モータ接続9から続いて湾曲して伸びており、モータ接続9から距離をおいて直線状に伸びている。
【0041】
カバーディスク1と底部ディスク7は、好ましくは回転固体として設計される。しかし、それらはまた、動翼輪が取付けられるファンの特定の用途及び設計に応じて、他の任意の形状又は形態もまた有してもよい。
【0042】
カバーディスク1と底部ディスク7は、複数ブレード6により相互に接続されている。図1〜3に示すように、複数ブレード6は、カバーディスク1の吸気口5から近距離、かつ底部ディスク7の自由縁11から近距離に配置されている。複数ブレード6は同じデザインを有し、ファンが稼働中、カバーディスク1の吸気開口5を経由して、気流矢印12の方向に空気が吸引され、カバーディスク1の壁配置3と底部ディスク7のジャケット8間の、気流矢印12の方向に、空気が斜め外側に流れる、ということを複数ブレード6は保証する。図2の軸方向断面において、軸平面に対応する描画面に投影された流れ方向12は、動翼輪の関連する半径方向の線に対して、鋭角αに配置されている。
【0043】
その角度αは、動翼輪の幾何学的特性から推定された、動翼輪の排気口における、軸平面に投影された仮想の中央流れ方向12と、軸平面に含まれ、動翼輪の回転軸13上にある垂直面間の角度を表す。ダイアゴナルファンの場合、角度αは約20°〜約70°である。このプロセスでは、角度αは、α=0.5*(α1+α2)の関係にしたがって定義される。高い効率因子と低い騒音レベルが要求される場合、角度α1≧α2が維持される。高い通気性能、高い効率因子及び低い騒音放射を実現する、特に有利な実施形態では、α2は少なくとも3°だけα1よりも小さい。有利な角度範囲は、約5°〜約15°である。
【0044】
角度α1は、軸平面に含まれ、回転軸13上の垂直面と、軸平面に含まれ、底部ディスク1の壁配置3の延長間で決定される。このプロセスでは、回転軸13上の垂直面は、底部ディスク1の自由端14を通って伸びる。
【0045】
軸平面に含まれる、回転軸13上の垂直面と、軸平面に含まれる、底部ディスク7のジャケット8の延長間にある角度α2の決定は、同様の方法で行われる。このプロセスでは、垂直面は底部ディスク7の自由縁11を通って伸びる。
【0046】
図3を参照して、複数ブレード6の三次元設計について説明する。複数ブレード6は、曲線の進行が関連付けられた直線の翼弦16と著しく異なる複数の後縁(trailing edges)15を有する。その翼弦16は、後縁15の2つの端と接続する。複数ブレード6の前縁17も、関連付けられた直線の翼弦16と著しく異なる曲線の進行を有する。有利な実施形態では、ブレード後縁から翼弦16までの最大距離は、翼弦16の長さの8%分長い。同様に、これはまた、ブレード前縁とその翼弦にも適用される。複数ブレード6は、その複雑な三次元形状にもかかわらず、動翼輪全体は、射出成形工具で簡単かつ経済的に製造できるように設計されている。
【0047】
以下は、図3aの後縁15の二次元表現がどのように得られるかの説明である。図3aにおいて、図3に狭い面で示した後縁15は、中心線の進行により簡略化して示している。図3から図3aを導出するために、線で簡略化して表現される後縁は、円筒表面領域に投影される。このプロセスでは、投影に用いられる円筒は、軸としての回転軸と、直径としての、後縁15の2つの終点の中位径とを有する。使用される投影方法は、最短距離のものである。(投影点は、原点から最短距離である、円筒表面領域上の点である。)円筒表面に投影される後縁15の画像は、その後、図面平面に展開され、そしてこのようにして、最終的に図3aの後縁15の描写が得られる。完全に類似の方法で、ブレード前縁17の進行の二次元表現を導きだすことが可能である。
【0048】
図3aの角度β、β1及びβ2は、正値をもつ。これら正の角度は、一つが後縁上の底部ディスクの方向に移動した場合、動翼輪の回転方向47に後縁の進行が移動する、といった効果を有する傾向がある。
【0049】
動翼輪から必要とされる空力特性に応じて、負の角度β、β1及びβ2もまた考えられる。図3aは、一例として、図式的に負の角度β2−を示す。その負の角度β2−は、既に角度β2の正の値に関連して説明したのと同じ方法で決定される。
【0050】
複数ブレード6及び動翼輪の三次元的性質を近似的に決定するために、角度β、β1及びβ2(図3a)は共に0°よりも有意に大きいものが使用される。図3aで、これらの角度は、ブレードの後縁15上の各接線(点線で示す)と、軸方向に平行な線(破線で示す)の間の角度である。例えば、ブレードの後縁15の終点にある2つの角度β1とβ2は、約10°よりも大きくできる。角度β1とβ2は正値だと有利である。2つの角度β1とβ2(図3a)は、同じ大きさにしても、又は、互いに有意に異なっていてもよい。特に有利な実施形態では、2つの角度β1とβ2が10°以上異なる。この設計では、β1はβ2よりも大きい。角度βの進行(カバーディスク1上の後縁15の開始地点(角度はβ1)から底部ディスク7上の後縁15の終点(角度はβ2)まで)は、単調減少である。しかし、角度βの非単調な進行も考えられる。
【0051】
ブレードの後縁に関連して説明した、角度β、β1及びβ2の複数の進行はまた、類似して、ブレードの前縁の進行にも適用できる。複数ブレードの後縁、複数ブレードの前縁又は両方の進行は、三次元動翼輪の形状をこの方法で説明するために、記載した特徴を備えることができる。有利な実施形態では、後縁15とブレード6の前縁17は、接線側に進行する。すなわち、それらはねじれを有していない。
【0052】
大きな角度β、β1及びβ2は、空力と航空音響学での複数の有利な点となる。製造に関連する複数の理由(一体製造の場合での射出成形工具からの離型性)から、大きすぎない角度を選択することが有利である。有利には、β1及びβ2は50°よりも大きくなく、最大角度βは、後縁15の全体からみて、大きくても65°である。
【0053】
図12は、ブレード6の断面を示す。このような断面は、図6aに示すように、断面A−Aのブレード6との交差の結果として生じる。断面A−Aの姿勢をより詳細に説明する。
【0054】
生じうる各断面A−Aは、点P(図6a)のブレード後縁15の中心線と交差する。この点Pで、断面A−Aは、角度αを用いて説明した、部分的な軸平面に投影された仮想の流出口の方向12に平行に伸びている。また、点Pで、断面A−Aは、回転速度方向(周方向)に平行に伸びる。これらの断面のみが、ブレードの後縁とブレードの前縁の両方を交差すると考えられる。これらの条件の結果、カバーディスク1に最も近い断面と、底部ディスク7に最も近い断面とが生じる。これら2つの先端にある断面が、断面の進行の開始(カバーディスク)と、終点(底部ディスク)に対応する。
【0055】
記載された方法で得られた、ブレード6の横断面(図12)は、好ましくは航空機で知られている、翼断面形に似ている。これは、稼働中の低い音響放射と、高い効率因子となる。材料とコストを節約するために、好ましくは、薄い輪郭断面が選択される。最大輪郭厚さdmax(最大記載円直径)に対する輪郭翼弦長sの比は好ましくはd/s<0.04である。さらに騒音放射を最小化するために、後縁15の領域(下流側)におけるブレード6の厚みは、さらに最小化される。製造工程において、可能な限り薄い後縁厚さを実現できるように、領域shkの厚さ(翼弦長sの最後10%)が大幅に減少される。後縁15の開始からこの領域の終了までの厚さの減少率は、30%以上であり、好ましくは50%である。
【0056】
断面(図12)における角度γは、翼弦sと、翼弦の中心を回転軸13に結ぶ線lとの角度を指定する。この角度γは、20°から70°の間にあるのが有利である。特に有利な実施形態では、この角度γは、異なる断面間(カバーディスクから底部ディスクまで)で、大幅に10°以上変動する。ブレード6はこのようにねじられており、効率因子と音響特性の点で特に有利である。
【0057】
複数ブレード6のねじれもまた、角度γ1及び/又はγ2に関連して説明できる。特に有利な実施形態では、様々な断面間(カバーディスクから底部ディスク)の角度γ1及び/又はγ2は、大幅に10°以上変化する。
【0058】
図12によれば、γ1は、ブレード前縁17におけるブレード輪郭の翼型中心線の接線から、前縁17を回転軸13に結ぶ直線l1までの角度を示す。類似して、図12によれば、γ2は、ブレード後縁15におけるブレード輪郭の翼型中心線の接線から、後縁15を回転軸13に結ぶ直線l2までの角度を示す。
【0059】
ブレードの三次元的性質はまた、異なる断面間(カバーディスクから底部ディスク)の翼弦長sの強変分(strong variation)により明らかになる。特に有利な実施形態では、2つの最も外側の断面間(カバーディスク上と底部ディスク上)の弦長は、5%以上変化する。
【0060】
さらにとりわけ有利な実施形態では、最大翼弦長を有する断面は、カバーディスクと底部ディスク間の、動翼輪の中間領域である。この場合、最大翼弦長は、カバーディスクと関連する断面の翼弦長よりも少なくとも3%大きく、底部ディスクと関連する断面の翼弦長よりも少なくとも3%大きい。
【0061】
複数ブレード6は、カバーディスク1と底部ディスク7とで一体に作られている(図2)。図4a〜cを参照してより詳細に説明するように、複数ブレード6と底部ディスク又はカバーディスク間の遷移は、様々な設計とすることができる。特に、これらの遷移は、材料に関して僅かな使用で、この遷移領域において複数のピーク応力を、動翼輪の使用時にそれらが問題とならない程度に回避又は低減できるように、設計することができる。
【0062】
図4aによる実施形態では、ブレード6の2つの外側18、19のぞれぞれは、底部ディスク7のジャケット8の内側20へ鋭角の遷移を形成する。鋭角の遷移のため、動翼輪の稼働中に、応力集中に関連するより大きな複数のピーク応力が生じる。それに応じて、ブレード6及びジャケット8は、この遷移領域において破砕や故障が発生しないような壁の厚さを有する。
【0063】
図4bによる実施形態では、ブレード6の外側18、19は、ジャケット8の内側20へ丸みを帯びた遷移を形成する。その丸み付けは、カバーディスク/底部ディスクの方向dxとほぼ同じ距離をブレード方向dyに伸びるように、設計されている。丸みのある形状のため、遷移領域の断面は、ブレード6からジャケット8へ次第に増加する。この設計のため、非常に小さいピーク応力のみが、稼働中の遷移領域で発生する。
【0064】
図4cによる例示的な実施形態では、丸み付けの設計は、ブレード6の各側で異なる。遷移領域での丸みを帯びた領域の拡張は、稼働中に発生する負荷に合致する。したがって、ブレード方向dyに伸びる遷移は、カバーディスク1/底部ディスク7の方向dxに伸びる領域よりも非常に大きい。例えば、遷移領域dyは、dxの1.5倍よりも大きい。ブレード6とカバーディスク6/底部ディスク7間の、この不均一な遷移領域の設計の結果として、動翼輪を稼働時に予測される様々な負荷に、最適に合致させることができる。
【0065】
図1、2及び5による動翼輪は、小さなインターフェース径を有するモータを意図している。そのモータは、リング状のモータ接続9にねじ止めできる。図5に示すように、複数ブレード6の前縁17は、動翼輪の軸方向からみて、モータ接続9からの半径方向距離を維持している。したがって、それに対応する接合部分を有するモータは、リング状のモータ接続9に容易にねじ止めできる。
【0066】
図6bは、ねじ止めされたモータ39を備える、そのような動翼輪を示す。モータ39(その回転フランジ40は複数のねじ穴を備える)は、吸気口5の方向からねじ込まれた複数のねじ41により留められている。モータフランジ40はねじ穴を備えるのではなく、複数のねじ41に代えて複数のナットでモータ39に留められることもまた可能である。(外部回転子)モータ39の固定部分39’は、公知の方法で取付けられる。
【0067】
有利な実施形態では、複数の金属スリーブがプラスチック製の動翼輪の貫通した開口部10に挿入されており、ねじ接続の強度向上となっている。
【0068】
上記したものとは対照的に、動翼輪が、大きいインターフェース径のモータ39のために使用される場合、モータ接続9は、底部ディスク7のジャケット8の領域に設けられる(図6)。モータ接続9は、円周方向に、互いに前後離間するように配置された複数ドーム21で形成され、それらドーム21は、底部ディスク7のジャケット8の外側22から突出している。ドーム21の各々は、固定ねじを受けるための窪み23を備え、それを用いてモータ39は、その対応する接合部分を経由して、ねじ止めされる。モータ39はまた、金属薄板又はプラスチック製の追加のアダプタピースを経由して、モータ接続9に接続できる。図6による底部ディスク7は、そのテーパ状端部に環状ディスクを備えていないことで、前の実施例と異なる。底部ディスク7は、前の実施例と同じ設計を含むことは別とする。複数ドーム21は、ジャケット8の外側22(それは、カバーディスク1からから見て外方に向いている)に設けられているので、動翼輪は、容易にモータ39に接続できる。
【0069】
異なるモータ接続9をもつ動翼輪を容易に製造するために、射出成形工具用の単に異なる複数の差し込み工具が用いられる。それらは、図7〜10を参照して説明する。このようにして、異なるサイズのモータのための動翼輪が、射出成形工程で非常に容易に製造できる。
【0070】
記載された複数の動翼輪は、特徴的な寸法又は寸法比を有し、それらにより、射出成形工程における動翼輪の容易な製造が可能になる。
【0071】
吸気口5の領域において、カバーディスク1は内径Dsを有する。複数ブレード6の終端24(それらは吸気口5に隣接している)は、直径Di1の円周上に配置されている。複数ブレード6の端部24a、(それらは底部ディスク7に配置されている)は、軸方向断面からみて、直径Di2を有する円周上に配列されている。排気口4の領域において、カバーディスク1は、直径D1を有する。自由縁11において、底部ディスク7は、直径D2を有する。
【0072】
図6において、それは示される上記の直径ではなく、代わりにDs/2、Di1/2、Di2/2、D1/2及びD2/2の形をとる関連する複数の半径である。
【0073】
図6による略図では、複数ブレード6の終端24は、図面平面内にないが;代わりに画面平面に関連して後方にオフセットしている。複数のブレード終端24は、カバーディスク1のジャケット3に配置されている。ジャケット3の形状に応じて、直径Di1はこのように直径Dsと等しくでき、あるいは直径Dsよりも小さく又は大きくすることができる。
【0074】
直径Di1とDi2だけでなく、直径D1とD2のそれぞれのケースでは、決定された比率が異なる。また、動翼輪において、比(Ds/D1)は比較的高く、例えば、約0.6よりも大きい範囲で、好ましくは0.7〜0.85の範囲である。この直径比により、低ノイズ稼働を特徴とする動翼輪となる。Ds/D1の高い比率により、ファンは大きな気体体積流量を搬送できる。
【0075】
直径D2は、D1よりも小さいか、又は等しい。好ましくは、D2は(0.8〜0.95)*D1の範囲である。D2のこのような選択は、底部ディスク7上の気流がラジアル方向まで偏向されないので、大きな気体体積流量を達成できる。
【0076】
排気口(気流矢印12)が最適設計を特徴付け、さらにファンの低騒音稼働に寄与するように、直径D1とD2が互いに合致するという事実は、上記に寄与する。
【0077】
直径Di2は、Di1と比べて著しく小さい。有利な実施形態では、Di2は(0.2〜0.5)*Di1の範囲にある。これは、高い効率因子と低い音響特性をもたらす。さらに、この比率は、射出成形工具からの単一部分の離型が課題である動翼輪形状の三次元特性及び複雑さを特徴づける。
【0078】
複数ブレード6はまた、動翼輪の稼働時に殆どノイズを発生せず、同時に最適に空気を搬送する、というように設計されている。
【0079】
記載された動翼輪は、高い効率因子と、特に低騒音レベルによって特徴づけられる。動翼輪は、特にそれらが一体で製造されるという点で生産するのにコストが掛からない。特に有利には、動翼輪は、射出成形部品のような繊維強化プラスチックから製造される。その結果、動翼輪は、軽量だけでなく高い強度によっても有名である。ブレード6と底部ディスク7のジャケット8間、又はカバーディスク1のジャケット3間の遷移の特別な設計による結果として、複数ブレード6は、強度に負の影響を与えることなく、非常に薄い壁を有することができる。図4cを参照して説明したように、複数ブレード6とカバーディスク1、又は底部ディスク7間の遷移は、動翼輪の稼働時にこの領域で経験される負荷に釣り合うことができる。複数ブレード6からカバーディスク1へ、又は底部ディスク7への遷移における丸みを帯びた形状は、遷移領域が、動翼輪の稼働時に経験する負荷に耐えられるように選択される。複数ブレード6自身は、したがって非常に薄い壁構造を特徴とし、それは動翼輪の軽量に寄与するだけでなく、動翼輪の製造においてプラスチック材料の節約にも大いに寄与する。
【0080】
以下に、射出成形工具での異なる動翼輪の製造を記載する。図7は、モータ接続9が底部ディスク7の内縁にある環状ディスクによって形成された、図1、2及び3による動翼輪が製造される際に用いられる射出成形工具を図示する。射出成形工具は、2つのスライダ26,27を有し、各々が金型インサート28の一面に配置され、金型インサートにより環状ディスク9を備える底部ディスク7が製造される。さらなる射出成形部品(不図示)と共に、金型インサート28は、プラスチックが底部ディスク7の製造時に注入されるキャビティを画定する。注入工程の完了時に、2つのスライダ26、27(各々は金型インサート28の一面に位置する)は、矢印で示すように、反対方向に互いに離間させることができる。
【0081】
もし図6による動翼輪が、モータ接続23が底部ディスク7の内縁に配置されないで製造された場合、金型インサート28の代わりに、金型インサート29(図8)が用いられる。それは、底部ディスク7のジャケット8の外側22にある複数ドーム21が製造できるように設計されている。スライダ26、27は、同一である。
【0082】
記載された方法で、異なる複数インサートの使用により、底部ディスク7は、異なるサイズのモータが動翼輪に接続できるように、何れの場合にも製造できる。
【0083】
図1、2及び5によるモータ接続9において、締結ねじは、吸気口側5から複数開口部10を通って、モータフランジ40へねじ込まれている。駆動モータ自体は、底部ディスク7に覆われた領域に位置している。
【0084】
図6による動翼輪において、複数のねじは、底部ディスク7の側面からモータフランジ又はアダプタフランジを通り、底部ディスク7の複数ドーム21に直接ねじ止めされている。セルフタッピングと自己固定のプラスチックねじが複数ドーム21に直接ねじ止めされるのが有利である。しかし、ねじ山を有する複数の金属ブッシュが複数ドーム21に挿入され、そこに締結ねじがねじ止めされることもまた可能である。
【0085】
図9は、射出成形工具の更なる例示的な実施形態を示し、それにより図1、2及び5による底部ディスクが製造できる。図7による実施形態とは対照的に、射出成形工具のスライダ26、27の間に配置された2つの金型インサート30、31が用いられる。金型インサート30は、異なるモータ接続を製造するために、異なる複数の金型インサートが格納できるアダプタインサートを形成する。金型インサート30は、それが基本的に底部ディスク7のジャケット8を形成するように設計されている。著しく小さい金型インサート31は、ジャケット8及び底部ディスク7のモータ接続9の、残り部分を製造するのに用いられる。
【0086】
図10に示すように、小さな金型インサート31を交換する手段により、底部ディスク7のモータ接続9の幾つか他の形態が製造される。金型インサート30は、図9による射出成形工具の金型インサートと同一である。
【0087】
金型インサート31の2つの例は、非常に小さい金型インサートを用いて、異なるモータ接続9が単純な方法で製造可能であることを示す。アダプタインサート30は、底部ディスク7の内端にあるモータ接続9の異なる設計が製造される場合に、工具費を節約することができる。
【0088】
図11は、底部ディスク7上のフローキャップ32を提供するオプションを示し、それにより、モータ接続の領域における動的流れが改善される。フローキャップ32は、後で動翼輪に取り付けることができる。フローキャップ32の設計は、例えば、使用するモータ、その外部形状及びその熱的挙動に応じて考案できる。例示的な実施形態では、フローキャップ32は閉構造であり、したがって底部ディスク7の中央にある開口部33を閉じる。フローキャップ32はまた、例えばモータの一部、例えばモータフランジのために空間を空ける中央開口部を備える。
【0089】
示されるフローキャップ32は、丸みを帯びた円錐先端34を有するほぼ円錐形であり、その自由縁上に少なくとも1つの固定要素35を備え、それにより底部ディスク7に固定できる。固定要素35は、例えば底部ディスク7の縁25上の成形品37と係合する外側環状溝36を有する環状リングである。成形品37と環状溝36は、蟻溝の方法で互いに係合し、それゆえフローキャップ32は、底部ディスク7にしっかりと接続される。
【0090】
フローキャップ32の外側38は、底部ディスク7の内側20との基本的に安定した連続を形成する。
【0091】
フローキャップ32は、例えばスナップインフックの使用や、ねじ接続など任意の適切な方法で、底部ディスク7と接続できる。
【0092】
記載された動翼輪は、特にかなり低い流れ抵抗のある動作点での使用に適している。動翼輪は、コンパクトデザインを特徴とし、その結果、狭い設置状況においても使用できる。単一設計のため、対応する射出成形工具により、動翼輪は経済的に製造できる。
【0093】
図13は、例えば、はつり装置、ルーフファン又はヒートポンプである装置42を示し、その装置には、本発明に係る動翼輪を有する2つのファン43が取付けられている。これらファン43は、吸引力で装置42から空気を移動する。動翼輪の設計により、効率因子又は音響特性に関して大幅な減少をもたらすことなく、複数のファン43を密接に並べて配置することが可能となる。この理由は、とりわけ流出角αの選択、又は3次元翼形状にある。軸方向距離Daxが1.75*D1又はそれ以下(特に(1.4〜1.7)*D1)である、本発明に係る2つ又は幾つかの動翼輪のファンを、非常に密集した設備へ同時に配置することは今や可能であり、その上同時に低ノイズとエネルギー効率の高い稼働を実現する。
【0094】
複数ファン43は、隣り合って配置すること、及び/又は一方を他方の上に配置することができる。複数ファン43の数は、冷却される装置42に応じて選択できる。カバーディスク1を経由して、各ファンは装置42の入り口ノズル44に接続されている。複数ファンからの空気の流れは、気流矢印12の方向へ斜め外に出て行くので、それらファンは、ファンから出てくる互いを妨げる気流12が無い状態で、装置42に比較的密に並べて配置できる。
【0095】
図14は、例えば空調キャビネット又はチューブファンである装置45を示し、その装置45内で、本発明に係る動翼輪を備えるファンが左側から装置45へ空気を押し出す。装置壁46の直径の形状は、円形(チューブ)又は長方形(空調キャビネット)にできる。下流側の複数の側壁46は、設計又は空間の制約に起因する空気の流れを妨げる。本発明に係る動翼輪の特別な形状により、このことが重大な損失(音響特性、効率因子)をもたらすことなく、複数の阻害する装置壁46はファン43に近接できる。これにより、非常にコンパクトな設計を実現できる。装置壁46間の距離Dgは、Dg<1.75*D1になるように、特に(1.4〜1.7)*D1になるように選択できる。
【0096】
記載された動翼輪は、異なる複数の装置及びファンに用いることができる。例えば、動翼輪は、有利には長方形のファン、管状のファン、精密空調装置、ヒートポンプ、コンパクト又は箱型の空調ユニットや、電子機器の冷却、発電機の冷却、換気ボックス又は家庭用の換気ユニットに用いることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 カバーディスク
2 気流矢印
3 壁配置
4 排気口
5 吸気口
6 複数ブレード(blades)
7 底部ディスク
8 ジャケット
9 モータ接続(環状ディスク)
10 複数の貫通した開口部
11 自由縁
12 仮想の中央流れ方向
13 回転軸
14 自由端
15 後縁
16 翼弦
17 前縁
18、19 (ブレードの)外側
20 (ジャケットの)内側
21 複数ドーム
22 外側
23 モータ接続
25 (底部ディスクの)縁
26、27 スライダ
28、29、30、31 金型インサート
32 フローキャップ
33 開口部
34 円錐先端
35 固定要素
36 外側環状溝
37 成形品
38 外側
39 モータ
39’ 固定部分
40 モータフランジ
41 複数のねじ
42 装置
43 2つのファン
44 入り口ノズル
45 装置
46装置壁
47 回転方向
図1
図2
図3
図3a
図4
図5
図6
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14