(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、車両においては車種の違い、グレードの違い、オプションの有無などの違いのため、実際の車両に搭載される様々な電装品の数や種類が様々に変化する可能性がある。そのため、車両の電源と各電装品との間を接続するワイヤハーネスについても、電線の本数、各電線の長さ、各電線の配索経路、各電線が接続されるコネクタや端子の種類等が異なる様々な種類の製品が事前に用意してあるのが一般的である。
【0009】
しかし、種類が異なる様々なワイヤハーネスを製造するためには、長さや種類が異なる多数の部品を事前に用意しておき、製造対象のワイヤハーネスの品番に対応した適切な品番の部品を選択し、適切な作業手順で製造行程を処理する必要がある。したがって、各部品の種類(品番)の増加や、製造工程の種類の違いなどの影響により製造コストが増大するのは避けられない。
【0010】
もしも、車両の様々な車種、様々なグレード、様々なオプションの有無に対して、共通の構成のワイヤハーネスを利用できるのであれば、ワイヤハーネスの種類が減るので、製造コストの低減が可能になる。しかしながら、共通の構成のワイヤハーネスを複数種類の車両に搭載する場合には、付け捨てになる部品の数が大幅に増えてしまう。例えば、実際の車両に搭載されないオプションの電装品に対してもそれを接続可能にする必要があり、使用されない余分な電線やコネクタを装備したワイヤハーネスを製造せざるを得ない。その結果、ワイヤハーネスを構成する部品の数、重量及び容積が必要以上に増大し、ワイヤハーネス全体の部品のコストが大幅に増大する。
【0011】
したがって、オプションで必要に応じて追加される様々な電装品については、例えば車両上のジャンクションボックスやヒューズボックスを用いて電力を電装品毎に複数系統に分配し、ワイヤハーネスに追加した電線を用いて電力の供給を行っている。しかし、この場合はオプション電装品を搭載しない車両でも大型のジャンクションボックスやヒューズボックスを搭載しなければならないし、ワイヤハーネスの品番数が増えるのも避けられない。
【0012】
例えば、オプションで必要に応じて追加される様々な電装品の電源線を、幹線のワイヤハーネスを構成する1本の電源線上の任意の箇所に後付けできるのであれば、様々なオプションの有無を考慮して構成を変更する必要がないので、幹線のワイヤハーネスの構成を簡素化できるし、部品数や品番数を減らすこともできる。しかし、様々な電装品を幹線ワイヤハーネスの共通の電源線に対して後付けする場合には、次のような問題が生じる。
【0013】
(1)共通の電源線については、追加される可能性のある全てのオプション電装品の消費する電流を許容できるように、太さの大きい電線を使用せざるを得ない。したがって、オプション電装品を搭載しない車両の場合には、必要以上に太い電線を用いたワイヤハーネスを使用することになり、ワイヤハーネスの容積及び重量の増大は避けられない。
【0014】
(2)追加する電装品の各々に回路の短絡等が発生する可能性を考慮して、負荷や電線を保護するために、各々の電装品にヒューズを搭載しなければならない。この場合は、ヒューズを電装品毎に分散した状態で様々な箇所に配置することになるため、メンテナンスのための作業性が悪化するし、ヒューズの内蔵により各電装品が大型化する。
【0015】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々なオプションの電装品を追加する可能性のある車両に搭載するワイヤハーネスの構成を簡素化すると共に、ワイヤハーネスに含まれる電源線の細径化及び重量の低減が可能な車両用電気接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用電気接続装置は、下記(1)〜(10)を特徴としている。
(1) 車両上の電源部と、前記車両に搭載された複数の電装品との間を電気的に接続する車両用電気接続装置であって、
少なくとも電力供給用の第1の電線を含み、前記第1の電線の上流側が前記電源部の出力側と接続された幹線ハーネス部と、
少なくとも、前記第1の電線の下流側の所望の箇所に接続可能な電気接続部と、前記電気接続部から配下に接続される前記電装品への電力供給を制御可能なスイッチング部と、前記スイッチング部の制御入力へ制御信号を与える制御信号出力部と、をそれぞれ含む2つ以上の車載コネクタと、
前記各車載コネクタの制御信号出力部を介して複数の電装品の各々を制御するための制御信号を生成する負荷制御機能と、前記各車載コネクタ及び前記各電装品の接続状態に応じて少なくとも前記制御信号の状態を制限し、前記第1の電線に流れる電源電流の最大値を抑制する電力統括制御機能と、を含むシステム制御部と、
を備え、
前記各車載コネクタの前記電気接続部の配下にはそれぞれ単一の前記電装品が接続され、
前記システム制御部は、前記複数の車載コネクタの外部に配置され、前記各車載コネクタの前記制御信号出力部とそれぞれデータ通信可能に接続され
、
前記車載コネクタの前記電気接続部が前記幹線ハーネス部の途中の任意の箇所に接続されることで、前記電気接続部の配下に接続された前記電装品が前記車載コネクタを介して前記幹線ハーネス部の途中の任意の箇所に追加接続可能である、
ことを特徴とする。
(2) 上記(1)に記載の車両用電気接続装置であって、
前記複数の電装品として、制御周期が比較的短い第1の電装品と、制御周期が前記第1の電装品よりも十分長い第2の電装品とが接続されている状況において、
前記電力統括制御機能は、前記第1の電装品および前記第2の電装品の両方への通電を実行しているタイミングで、前記第1の電線に流れる電流の総和が過大になったことを検知した場合には、前記第1の電装品および前記第2の電装品のいずれか一方の通電を遮断する、
ことを特徴とする。
(3) 上記(2)に記載の車両用電気接続装置であって、
前記電力統括制御機能は、前記第1の電装品および前記第2の電装品の両方への通電を実行しているタイミングで、前記第1の電線に流れる電流の総和が過大になったことを検知した場合には、前記第2の電装品の通電を遮断する、
ことを特徴とする。
(4) 上記(2)に記載の車両用電気接続装置であって、
前記電力統括制御機能は、前記第1の電装品および前記第2の電装品の両方への通電を実行しているタイミングで、前記第1の電線に流れる電流の総和が過大になったことを検知した場合には、前記第1の電装品および前記第2の電装品の中で事前に定めた優先度の低い方の通電を遮断する、
ことを特徴とする。
(5) 上記(1)に記載の車両用電気接続装置であって、
前記複数の電装品として、制御周期が比較的短い第1の電装品と、制御周期が前記第1の電装品よりも十分長い第2の電装品とが接続されている状況において、
前記電力統括制御機能は、前記第1の電装品への通電を実行しているタイミングでは、前記第2の電装品への通電を少なくとも一時的に禁止する、
ことを特徴とする。
(6) 上記(1)に記載の車両用電気接続装置であって、
前記複数の電装品として、制御周期が比較的短い第1の電装品と、制御周期が前記第1の電装品よりも十分長い第2の電装品とが接続されている状況において、
前記電力統括制御機能は、少なくとも前記第2の電装品への通電を実行する際にパルス状に通電のオンオフを繰り返し、前記第1の電装品の動作と前記第2の電装品の動作とが時間的に重なる場合には、前記第1の電装品の通電を優先し、前記第2の電装品の通電を一時的に制限する、
ことを特徴とする。
(7) 上記(6)に記載の車両用電気接続装置であって、
前記電力統括制御機能は、前記第2の電装品が照明機器である場合に、事前に定めた前記照明機器の最低照度を確保するように、前記第2の電装品の通電をオンオフする際のパルス幅もしくはデューティを所定以上に維持する、
ことを特徴とする。
(8) 上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の車両用電気接続装置であって、
前記システム制御部は、前記第1の電線に流れる電流を閾値と比較して異常を検知した時に各部の通電を遮断する半導体ヒューズ機能を含み、
前記半導体ヒューズ機能は、各タイミングで、通電状態の電装品に応じて前記閾値を自動的に変更する、
ことを特徴とする。
(9) 上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の車両用電気接続装置であって、
前記システム制御部は、前記第1の電線の下流側に実際に接続されている各電装品の少なくとも種類を自動的に認識してその結果を制御に反映する、
ことを特徴とする。
(10) 上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の車両用電気接続装置であって、
前記システム制御部が、互いに独立した状態で動作する第1のマスタ制御部及び第2のマスタ制御部に分散した状態で配置されている状況において、
第1のマスタ制御部及び第2のマスタ制御部は、上位のゲートウェイを介して相互にデータ通信を行い、前記データ通信により取得した情報に基づき、少なくとも前記第1の電線に流れる電源電流の最大値を抑制する、
ことを特徴とする。
【0017】
上記(1)の構成の車両用電気接続装置によれば、前記幹線ハーネス部の前記第1の電線に、オプションの複数の電装品を追加的に接続する場合であっても、前記電力統括制御機能により、前記第1の電線に流れる電源電流の増大を抑制できる。つまり、前記第1の電線の太さを決定する際に、電源電流の最大値について追加される可能性のあるオプション電装品に相当する余裕分を減らすことが可能であり、細径化が実現する。また、様々なオプションの電装品が前記第1の電線を共通に利用できるので、ワイヤハーネスの構成を簡素化しても、様々なオプション電装品に対応できる。
上記(2)の構成の車両用電気接続装置によれば、前記第1の電線に流れる電源電流の総和が過大になった場合に、前記第1の電装品および前記第2の電装品のいずれか一方の通電を自動的に遮断するので、電流の総和を規定値以内に抑制することができ、電線の細径化が可能になる。
上記(3)の構成の車両用電気接続装置によれば、過電流を検知して前記第2の電装品の通電を遮断した時であっても、前記第1の電装品の通電は維持されるので好ましい制御結果が得られる。すなわち、制御周期が長い前記第2の電装品が一時的に動作を停止したとしても、制御周期の短い前記第1の電装品が動作を停止しない限り、全体の機能に大きな悪影響は生じにくい。
上記(4)の構成の車両用電気接続装置によれば、過電流を検知して優先度の低い電装品の通電を遮断した時であっても、優先度の高い電装品の通電は維持されるので好ましい制御結果が得られる。例えば、ランプのような電装品の場合は制御周期が長くても夜間に強制的に通電を停止すると危険であるので優先的に通電を維持することが望ましい。
上記(5)の構成の車両用電気接続装置によれば、前記第1の電装品への通電と前記第2の電装品への通電とが同時に発生しなくなるので、前記第1の電線に流れる電源電流の増大を抑制できる。また、制御周期が短い第1の電装品への通電を制御周期が長い第2の電装品への通電よりも優先するので、適切な制御を行うことができる。すなわち、制御周期が長い前記第2の電装品については、一時的に動作不可能なタイミングが生じたとしても、全体の機能に大きな悪影響は生じにくい。
上記(6)の構成の車両用電気接続装置によれば、前記第2の電装品が動作する際には、通電のオンオフがパルス状に繰り返されるので、非通電(オフ)の区間が周期的に確実に発生する。この非通電区間のタイミングで前記第1の電装品に通電することにより、前記第1の電装品と前記第2の電装品とが同時に通電される状態を回避することができ、前記第1の電線に流れる電源電流の最大値を低減できる。
上記(7)の構成の車両用電気接続装置によれば、前記第2の電装品が照明機器であったとしても、前記第2の電装品に必要とされる最低照度を確保できるので、照明機器としての機能に問題が生じるのを避けることができる。
上記(8)の構成の車両用電気接続装置によれば、前記第1の電線の上流側で全体の電流を計測する場合であっても、前記第1の電線に共通に接続される複数の電装品のそれぞれについて、通常消費する電流値に応じた適切な電流値を閾値として各タイミングで電子ヒューズを機能させることができる。
上記(9)の構成の車両用電気接続装置によれば、前記システム制御部が接続された各電装品の種類を認識するので適切な制御が可能になる。すなわち、制御周期の長短や、PWM制御の有無などを識別して制御に反映することが可能になる。
上記(10)の構成の車両用電気接続装置によれば、共通の前記第1の電線に接続される様々な電装品が互いに独立した前記第1のマスタ制御部及び第2のマスタ制御部のいずれかにより制御される状況であっても、前記第1の電線に流れる電源電流の最大値を抑制できる。
上記(11)の構成の車両用電気接続装置によれば、前記複数の車載コネクタ部の間でデータ通信を行うことにより、前記第1の電線に接続された複数の電装品の全体の状況を、前記複数の車載コネクタ部のいずれかの内部で把握できるので、システム全体として適切な動作を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両用電気接続装置によれば、様々なオプションの電装品を追加する可能性のある車両に搭載するワイヤハーネスの構成を簡素化すると共に、ワイヤハーネスに含まれる電源線の細径化及び重量の低減が可能になる。すなわち、オプションの複数の電装品が共通に使用する前記第1の電線に流れる電源電流の最大値が抑制されるため、前記第1の電線の細径化及び重量の低減が可能なる。
【0019】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の車両用電気接続装置に関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0022】
<システムの概要の説明>
本発明の実施形態の車両用電気接続装置を採用した車載システム100の構成例を
図1に示す。
【0023】
図1に示した車載システム100は、オプション装備を含む様々な種類の電装品を車両に搭載する際に、電源電力の供給を行ったり、負荷の通電のオンオフ等を制御する制御信号を伝送するための電気接続を実現する車両用電気接続装置の構成を含んでいる。
【0024】
図1に示した例では、補機40(1)、40(2)、及び40(3)として、3つの電装品を接続する場合を想定している。補機40(1)、40(2)、及び40(3)の代表例としては、エアコン、ヘッドランプ等の照明装置、パワーウインドゥ装置、ドアロック装置、パワースライドドア装置、ドアクローザー装置、ドアミラー装置、サンシェード装置などがある。
【0025】
上記のような補機は、例えば電気モータ、ランプ、リレーのような電気的に駆動可能な負荷を内蔵しているので、車両側から電源電力を供給すると共に、通電のオンオフ等を外部から制御する必要がある。
【0026】
また、上記のような補機は、例えば車種の違いに応じて搭載の有無が決まったり、ユーザの選択可能なオプション装備として用意される場合がある。したがって、
図1に示した補機40(1)、40(2)、及び40(3)の各々は、実際には搭載されない場合もあるし、種類の異なる補機が必要に応じて接続される場合もある。
【0027】
そこで、
図1の車載システム100においては、各補機40(1)、40(2)、及び40(3)を、幹線ワイヤハーネスW/Hの任意の箇所に後付けで接続できるように構成してある。実際には、幹線ワイヤハーネスW/Hに車載コネクタ30(1)を接続し、この車載コネクタ30(1)の配下に補機40(1)を接続してある。また、幹線ワイヤハーネスW/Hの別の箇所に車載コネクタ30(2)を接続し、この車載コネクタ30(2)の配下に補機40(2)を接続してある。更に、幹線ワイヤハーネスW/Hの別の箇所に車載コネクタ30(3)を接続し、この車載コネクタ30(3)の配下に補機40(3)を接続してある。
【0028】
つまり、接続対象の補機毎に幹線から分岐した特別なサブハーネスを用意しておかなくても各補機40を幹線ワイヤハーネスW/Hに直接的に接続できるので、ワイヤハーネスの構成を簡素化することができる。また、補機を接続しない場合に、付け捨てになる部品(サブハーネス等)が増えることもない。
【0029】
但し、車種やユーザのオプション選択等の条件に応じて、幹線ワイヤハーネスW/Hに接続する補機の数や種類が変動することになるため、幹線ワイヤハーネスW/Hに要求される電流容量等の仕様も変動する。もしも、接続される可能性のある全ての補機の接続を許容できるように、幹線ワイヤハーネスW/Hの電流容量に十分な余裕を持たせると、幹線ワイヤハーネスW/H全体が太くなり重量も増大する。しかも、実際には搭載しない補機の分だけ、幹線ワイヤハーネスW/Hの電流容量が無駄になり、太さや重量が増大するばかりでなく余分なコストもかかる。
【0030】
そこで、本実施形態の車両用電気接続装置においては、幹線ワイヤハーネスW/Hの電源線W1に流れる電源電流の最大値の増大を自動的に抑制するための特別な電源制御機能を搭載している。これにより、幹線ワイヤハーネスW/Hの肥大化を避けつつ、様々な補機を後付けで接続することが可能になる。制御の内容については後で詳細に説明する。
【0031】
図1に示した車載システム100の例では、接続に用いる幹線ワイヤハーネスW/Hは、電源線W1、通信線W2、及びアース線W3の3本の電線で構成されている。幹線ワイヤハーネスW/Hの電源線W1には、車両上の主電源であるバッテリー等の出力から、ジャンクションボックス10の内部で分配された1つの系統の電源電力、例えば+12Vの直流電圧が供給される。
【0032】
幹線ワイヤハーネスW/Hの通信線W2は、マスタ制御部20と各車載コネクタ30(1)、30(2)、30(3)との間でデータ通信を行うための伝送路を形成する。例えば、CAN (Controller Area Network)のような通信規格に従って通信するためのインタフェースをマスタ制御部20及び各車載コネクタ30が内蔵しており、これらが通信線W2を経由して相互にデータ通信を行うことができる。
【0033】
アース線W3については不可欠ではないが、
図1の構成ではアース線W3が幹線ワイヤハーネスW/Hに含まれている。したがって、車載コネクタ30(1)、30(2)、及び30(3)の各々はアース線W3を利用して車両のアースと接続することがてきる。
【0034】
例えば、補機40(1)に内蔵される負荷を駆動するために前記負荷に通電する場合には、車載コネクタ30(1)に内蔵されたスイッチング回路を導通状態にすることで、電源線W1、前記スイッチング回路、前記負荷を経由して、アース線W3に電流が流れ、前記負荷が動作する。前記スイッチング回路のオンオフを制御するための指示については、マスタ制御部20から通信線W2を経由して車載コネクタ30(1)に送ることができる。
【0035】
同様に、車載コネクタ30(2)に内蔵されたスイッチング回路を導通状態にすることで、電源線W1、前記スイッチング回路、補機40(2)内の負荷を経由して、アース線W3に電流が流れ、前記負荷が動作する。また、車載コネクタ30(3)に内蔵されたスイッチング回路を導通状態にすることで、電源線W1、前記スイッチング回路、補機40(3)内の負荷を経由して、アース線W3に電流が流れ、前記負荷が動作する。
【0036】
尚、幹線ワイヤハーネスW/Hと後付けする各車載コネクタ30の内部回路との現実の電気接続については、「圧接」、「接着」、「溶着」などの物理的接続形態で実現することができる。また、車載コネクタ30と補機40との接続形態については、専用の電線を用いて電線同士を接続する形態(WtoW)で接続しても良いし、車載コネクタ30と補機40とを物理的及び電気的に直結しても良いし、幹線ワイヤハーネスW/H上の短い電線を経由して接続する形態(ピックテールW/H)を用いても良い。また、車載コネクタ30及び補機40を幹線ワイヤハーネスW/Hに直接取り付ける形態も考えられる。
【0037】
<詳細な構成の具体例>
図1に示したマスタ制御部20及び車載コネクタ30の詳細な構成例を
図2に示す。
【0038】
<マスタ制御部20の構成>
図2の構成例においては、マスタ制御部20は、マイクロコンピュータ(CPU)21及びデータ通信用トランシーバ22を内蔵している。また、マイクロコンピュータ21が実現する機能として、負荷電力制御機能21a、データ通信制御機能21b、及び半導体ヒューズ制御機能21cが存在する。
【0039】
データ通信用トランシーバ22は、CANのような所定の通信規格に適合する信号を送信及び受信する機能を搭載している。マイクロコンピュータ21は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、負荷電力制御機能21a、データ通信制御機能21b、及び半導体ヒューズ制御機能21cを実現する。
【0040】
負荷電力制御機能21aは、電源線W1に流れる電源電流の最大値を抑制するための特別な機能であり、
図1のように複数の補機40が共通の電源線W1の配下に接続されている場合や、1つの補機40の内部に独立した複数の負荷が存在するような場合に、電源電流を抑制できる。詳細については後で説明する。
【0041】
データ通信制御機能21bは、データ通信用トランシーバ22及び通信線W2を利用して、幹線ワイヤハーネスW/Hに接続された各車載コネクタ30との間でデータ通信を行うための制御を実施する。半導体ヒューズ制御機能21cは、各車載コネクタ30に内蔵されている半導体ヒューズの状態を管理するための機能である。
【0042】
<車載コネクタ30の構成>
図2の構成例においては、車載コネクタ30はマイクロコンピュータ(CPU)31、データ通信用トランシーバ32、及びスイッチング素子33を内蔵している。また、マイクロコンピュータ31が実現する機能として、半導体ヒューズ機能31a、データ通信制御機能31b、及び
制御信号出力部31cが存在する。
【0043】
データ通信用トランシーバ32は、CANのような所定の通信規格に適合する信号を送信及び受信する機能を搭載している。マイクロコンピュータ31は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、半導体ヒューズ機能31a、データ通信制御機能31b、及び
制御信号出力部31cを実現する。
【0044】
本実施形態では、スイッチング素子33としてIPD(Intelligent Power Device)を採用している。このIPDは、パワーMOSFETのようなスイッチング素子と、ゲートドライバ、電流検出回路、及び各種保護回路を含んでいる。スイッチング素子33は、
図2に示すように補機40内の負荷と接続され、前記負荷の通電を制御するためのスイッチング回路として動作する。
【0045】
半導体ヒューズ機能31aは、スイッチング素子33を介して負荷に流れる電流の大きさを監視し、電流値が事前に定めた閾値(異常を識別するための最大値)と比較して、異常の有無を識別する。そして、異常を検知するとスイッチング素子33を遮断してヒューズのように負荷の通電を停止する。
【0046】
データ通信制御機能31bは、データ通信用トランシーバ32及び通信線W2を利用して、幹線ワイヤハーネスW/Hの上流側に接続されているマスタ制御部20との間でデータ通信を行うための制御を実施する。
【0047】
制御信号出力部31cは、マスタ制御部20側から送信された指示に従って、スイッチング素子33の制御を実施する。通常はスイッチング素子33のオンオフにより負荷の通電状態と非通電状態との切り替えを行う。また、負荷に流す電流の調整が必要な場合には、パルス幅変調(PWM)信号を用いてスイッチング素子33のオンオフを周期的に繰り返す。そして、パルス幅又はオンオフデューティの調整により、負荷に流れる電流の平均値を調整することができる。
【0048】
<システム構成の変形例(1)>
図1に示した車載システムの構成の変形例(1)を
図3に示す。
【0049】
図3の構成においては、1本の電源線W1だけを備える幹線ワイヤハーネスW/Hを用いてジャンクションボックス10と各車載コネクタ30Bとの間を接続する場合を想定している。この場合は幹線ワイヤハーネスW/Hにアース線が含まれていないので、各車載コネクタ30Bのアース側の端子については、その近傍に存在する車体アースに接続する。
【0050】
また、マスタ制御部20と各車載コネクタ30Bとの間は、個別に用意された信号線W21、W22、及びW23を用いて接続している。信号線W21は、マスタ制御部20が車載コネクタ30B(1)配下の補機40(1)内の負荷の通電を制御するための制御信号を伝送したり、車載コネクタ30B(1)の状態等を表す信号をマスタ制御部20に伝送するために利用する。同様に、信号線W22はマスタ制御部20と車載コネクタ30B(2)との間で信号の伝送を行い、信号線W23はマスタ制御部20と車載コネクタ30B(3)との間で信号の伝送を行う。
【0051】
図3に示したマスタ制御部20Bの構成及び車載コネクタ30Bの構成については、データ通信のインタフェース(データ通信用トランシーバ22、32)の代わりに個別の信号を扱う回路を用いている以外は
図2の構成と同様である。尚、車載コネクタ30B内の制御要素については、例えば入力された信号の状態を保持するラッチ回路のような単純な回路をマイクロコンピュータ31の代わりに用いることも可能である。
【0052】
また、
図3に示した構成においては、補機40内の負荷のアース側の端子を車載コネクタ30Bを経由して車体アースと接続しているが、補機40内の負荷のアース側の端子をその近傍で直接車体アースと接続しても良い。
【0053】
<特徴的な制御の説明>
<制御(1)>
図1及び
図3に示した車載システム100の車両用電気接続装置に適用可能な特徴的な制御(1)の処理手順を
図4に示す。
図4の処理手順においては、
図1中の補機40(1)〜40(3)として接続された複数の負荷の中に、制御周期の長さが大きく異なる2種類の負荷が存在する場合を想定している。
具体的には、エアコン系、ランプ系、ヒータ系のような負荷は、動作のオンオフが切り替わる周期が比較的長い(例えば数分以上)ため、「長期負荷」として区分する。また、例えばパワーウインドゥ装置、ドアロック装置、パワースライドドア装置、ドアクローザー装置、ドアミラー装置、サンシェード装置のような負荷については、動作のオンオフが切り替わる周期が比較的短い(例えば30秒以内)ため、「短期負荷」として区分する。
後述する制御(3)以降の処理手順の動作のように、「長期負荷」の通電と「短期負荷」の通電とが時間的に重ならないように制御することで、電源線W1に流れる電源電流の総和の最大値が増大するのを抑制できる。しかし、「長期負荷」の通電と「短期負荷」の通電とを同時に行わざるを得ない状況も発生する。但し、「長期負荷」の通電と「短期負荷」の通電とを同時に行うと、電源線W1に流れる電源電流の総和が増えるので、この電流値が電源線W1の許容値を超える状況が発生しやすくなり、ジュール熱により異常な発熱が生じる虞がある。
しかし、電源線W1に流れる電源電流の総和が電源線W1の許容値を超えた時に、ヒューズ等を用いて電流を完全に遮断すると、電源線W1に接続されている全ての電装品が動かなくなってしまうため、例えば自動車の運転操作に大きな悪影響を及ぼす可能性もある。そこで、
図4に示した処理手順においては、過電流を検知した場合に、「長期負荷」、「短期負荷」の区分を利用して、特別な優先制御を実施している。
図4の処理手順では、マスタ制御部20は、最初に所定の定数テーブルから「長期負荷」に割り当てられた電流閾値Imax1 を取得し(S101)、更に「短期負荷」に割り当てられた電流閾値Imax2 を取得する(S102)。
例えば、車両を運転するユーザによるボタン操作等が検出され、それに伴いマスタ制御部20において長期負荷(例えばヒータ)に対する通電指示が発生すると、
図4のS103からS104に進む。
尚、共通の幹線ワイヤハーネスW/Hの配下に接続された複数の補機40の各々の負荷と「長期負荷/短期負荷」の区分については、事前に決定して不揮発性メモリ等に固有のデータとして登録しておくこともできるし、通信を行って取得することも可能である。
図4のステップS104では、「長期負荷」を通電状態に切り替える。つまり、マスタ制御部20が該当する車載コネクタ30に対してデータ通信で通電開始を指示するか、又は信号線W21〜W23に送出する信号により通電開始を指示する。これにより、車載コネクタ30内のスイッチング素子33がオンになり、補機40内の「長期負荷」が通電状態になる。
ステップS104を実行した後で、車両を運転するユーザによるボタン操作等が検出され、それに伴いマスタ制御部20において短期負荷(例えばパワーシート)に対する通電指示が発生すると、
図4のS105からS106に進む。
図4のステップS106では、「短期負荷」を通電状態に切り替える。つまり、マスタ制御部20が該当する車載コネクタ30に対してデータ通信で通電開始を指示するか、又は信号線W21〜W23に送出する信号により通電開始を指示する。これにより、車載コネクタ30内のスイッチング素子33がオンになり、補機40内の「短期負荷」が通電状態になる。
ステップS106の実行した直後は、「長期負荷」および「短期負荷」の両方が通電状態になっている。したがって、次のステップS107では、マスタ制御部20は電源線W1に流れる「長期負荷」の電流値Ip1と、「短期負荷」の電流値Ip2とをそれぞれ計測して取得する。そして、電流値の総和(Ip1+Ip2)を電流閾値Imax3と比較する(S55)。
ここで、電流閾値Imax3は、例えばS101で取得した電流閾値Imax1とS102で取得した電流閾値Imax2との和に定めることができる。「Ip1+Ip2≦Imax3」の場合にはS107の処理を繰り返すので、「長期負荷」および「短期負荷」の両方の通電が継続される。
そして、電流が過大になり「Ip1+Ip2>Imax3」の条件を満たすと、S107からS108に進む。そして、電子ヒューズを作動させて「長期負荷」の通電を強制的に停止する。これにより、電源線W1に流れる電源電流の総和が電源線W1の許容値(Imax3)以内に抑制され、異常な発熱が防止される。
この後で、車両を運転するユーザによるボタン操作等が検出され、それに伴いマスタ制御部20において短期負荷(例えばパワーシート)に対する停止指示が発生すると、
図4のS109からS104に戻るので、「長期負荷」を再び通電状態に切り替える。
つまり、「長期負荷」および「短期負荷」の両方が通電状態の時に、電源線W1に流れる電源電流の総和が電源線W1の許容値(Imax3)を超えると、「短期負荷」の通電はそのまま維持し、「長期負荷」の通電を停止する。すなわち、「短期負荷」の通電維持を「長期負荷」よりも優先的に扱う。また、S108で「長期負荷」の通電を停止した場合であっても、「短期負荷」の通電が短時間で終了した場合には、「長期負荷」の通電をすぐに再開できるので、大きな影響は生じない。
<制御(2)>
図1及び
図3に示した車載システム100の車両用電気接続装置に適用可能な特徴的な制御(2)の処理手順を
図5に示す。
図5に示した処理手順は、
図4に示した処理手順の変形例であり、ステップS107以降の処理が異なっている。
図5に示した処理手順の中で
図4と異なる箇所について以下に説明する。
図5のステップS111では、「長期負荷」と「短期負荷」の優先度を比較する。この優先度については、負荷の特性や用途を考慮して事前に決定しておくことが想定される。例えば、ヘッドライトのランプのような負荷の場合には、これが「長期負荷」に区分されている場合であっても優先的に通電することが望ましいので、「短期負荷」よりも高い優先度を事前に割り当てておく。
「長期負荷」の優先度が「短期負荷」の優先度よりも低い場合には、S111からS112に進む。そして、ステップS112で電子ヒューズを作動させて「長期負荷」の通電を強制的に停止した後、「短期負荷」の停止指示が発生するのを待ってS113からS103に進む。
また、「長期負荷」の優先度が「短期負荷」の優先度よりも高い場合には、S111からS114に進む。そして、電子ヒューズを作動させて「短期負荷」の通電を強制的に停止した後、S105に進む。
つまり、
図5の処理手順を実行する場合には、電源線W1に流れる電流が過大になった時に、事前に定めた優先度に従い、「長期負荷」および「短期負荷」の一方の通電を停止し、他方の通電状態はそのまま維持する。
<制御(3)>
図1及び
図3に示した車載システム100の車両用電気接続装置に適用可能な特徴的な制御(3)の処理手順を
図6に示す。また、
図6の処理手順に対応する具体的な動作例(1)を
図9(B)に示す。
図9(A)は
図6の処理手順を実行しない場合の動作を表している。
【0054】
図6の処理手順においては、
図1中の補機40(1)〜40(3)として接続された複数の負荷の中に、制御周期の長さが大きく異なる2種類の負荷が存在する場合を想定している。
【0055】
具体的には、エアコン系、ランプ系、ヒータ系のような負荷は、動作のオンオフが切り替わる周期が比較的長い(例えば数分以上)ため、「長期負荷」として区分する。また、例えばパワーウインドゥ装置、ドアロック装置、パワースライドドア装置、ドアクローザー装置、ドアミラー装置、サンシェード装置のような負荷については、動作のオンオフが切り替わる周期が比較的短い(例えば30秒以内)ため、「短期負荷」として区分する。
【0056】
図9(A)、(B)に示した動作例では、制御対象の1つの補機が「長期負荷」に区分されるヒータであり、もう1つの補機が「短期負荷」に区分されるパワーシートである場合の動作を表している。
図6の処理手順を、例えばマスタ制御部20のマイクロコンピュータ21が実行することにより、
図9(B)に示すような動作が実現する。
【0057】
図9(A)に示す動作のように、「長期負荷」と「短期負荷」とが同時にオン(通電状態)になった時には、共通の電源線W1に流れる負荷電流の合計値が非常に大きくなる。このような状況では、全ての負荷がオンになった時の合計電流値を許容できるように、電源線W1の芯線太さを決める必要があるため、接続可能な負荷の数が増えるに従い、幹線ワイヤハーネスW/Hが肥大化し重量も増えてしまう。
【0058】
図9(B)に示す動作においては、「長期負荷」よりも「短期負荷」の動作を優先するように制御し、「短期負荷」がオン(通電状態)になっている時には「長期負荷」を自動的にオフ(非通電状態)に切り替えている。これにより、「長期負荷」と「短期負荷」とが同時に通電状態になるのを避けることができ、電源線W1に流れる電流の最大値が
図7(A)と比べて大幅に削減される。したがって、様々な種類の電装品を幹線ワイヤハーネスW/Hに後付けする場合であっても、電源線W1の細径化が可能になる。
【0059】
図6の処理手順について以下に説明する。
例えば、車両を運転するユーザによるボタン操作等が検出され、それに伴いマスタ制御部20において長期負荷(例えば
図9(B)のヒータ)に対する通電指示が発生すると、
図6のS11からS12に進む。
【0060】
尚、共通の幹線ワイヤハーネスW/Hの配下に接続された複数の補機40の各々の負荷と「長期負荷/短期負荷」の区分については、事前に決定して不揮発性メモリ等に固有のデータとして登録しておくこともできるし、通信を行って取得することも可能である。
【0061】
「短期負荷」が通電状態の時に「長期負荷」の通電指示が発生した場合には、S12−S13−S14と進むので、「長期負荷」を非通電の状態に維持したまま待機する。その後、「短期負荷」が非通電に切り替わると、S13からS16に進み、「長期負荷」を通電状態に切り替える。つまり、マスタ制御部20が該当する車載コネクタ30に対してデータ通信で通電開始を指示するか、又は信号線W21〜W23に送出する信号により通電開始を指示する。これにより、車載コネクタ30内のスイッチング素子33がオンになり、補機40内の「長期負荷」が通電状態になる。
【0062】
一方、「長期負荷」が通電状態の時に「短期負荷」の通電指示が発生した場合には、S17からS18に進み、「長期負荷」を非通電状態に一時的に切り替える。つまり、マスタ制御部20が該当する車載コネクタ30に対してデータ通信で通電停止を指示するか、又は信号線W21〜W23に送出する信号により通電停止を指示する。これにより、車載コネクタ30内のスイッチング素子33がオフになり、補機40内の「長期負荷」が非通電状態になる。
【0063】
この後で、「短期負荷」が非通電状態に切り替わった場合には、S19からS20に進み、マスタ制御部20が「長期負荷」を通電状態に戻す。つまり、マスタ制御部20が該当する車載コネクタ30に対してデータ通信で通電開始を指示するか、又は信号線W21〜W23に送出する信号により通電開始を指示する。これにより、車載コネクタ30内のスイッチング素子33がオンになり、補機40内の「長期負荷」が通電状態になる。
【0064】
また、ユーザによるボタン操作等が検出され、「長期負荷」に対する通電終了の指示が発生した場合には、S15又はS21からS22に進み、「長期負荷」を非通電状態に切り替える。
【0065】
<制御(4)>
図1及び
図3に示した車載システム100の車両用電気接続装置に適用可能な特徴的な制御(4)の処理手順を
図7に示す。また、
図5の処理手順に対応する具体的な動作例(2)を
図10(B)に示す。
図10(A)は
図7の処理手順を実行しない場合の動作を表している。
【0066】
図7の処理手順においても、
図1中の補機40(1)〜40(3)として接続された複数の負荷の中に、制御周期の長さが大きく異なる2種類の負荷が存在する場合を想定している。また、
図7の処理手順では、「長期負荷」の通電を行う場合にPWM制御が可能な場合を想定している。つまり、「長期負荷」の通電をスイッチングするスイッチング素子33の制御入力に周期的に繰り返し変化するパルス信号(PWM信号)を与え、パルス幅又はオンオフデューティを可変にすることで負荷電流の平均値を調整し、負荷の駆動量を調整することができる。
【0067】
図10(A)、(B)に示した動作例では、制御対象の1つの補機が「長期負荷」に区分されるヒータであり、もう1つの補機が「短期負荷」に区分されるパワーシートである場合の動作を表している。
図7の処理手順を、例えばマスタ制御部20のマイクロコンピュータ21が実行することにより、
図10(B)に示すような動作が実現する。
【0068】
図10(A)に示す動作のように、「長期負荷」と「短期負荷」とが同時にオン(通電状態)になった時には、共通の電源線W1に流れる負荷電流の合計値が非常に大きくなる。このような状況では、全ての負荷がオンになった時の合計電流値を許容できるように、電源線W1の芯線太さを決める必要があるため、接続可能な負荷の数が増えるに従い、幹線ワイヤハーネスW/Hが肥大化し重量も増えてしまう。
【0069】
図10(B)に示す動作においては、「長期負荷」の通電と、「短期負荷」の通電とが同じタイミングで生じないように、「長期負荷」の通電をオンにするタイミングを自動的に調整している。つまり、「長期負荷」の通電をオンにするタイミングを、「短期負荷」の通電がオンになるタイミングからずらしている。これにより、「長期負荷」と「短期負荷」とが同時に通電状態になるのを避けることができ、電源線W1に流れる電流の最大値が
図10(A)と比べて大幅に削減される。したがって、様々な種類の電装品を幹線ワイヤハーネスW/Hに後付けする場合であっても、電源線W1の細径化が可能になる。
【0070】
図7の処理手順について以下に説明する。
例えば、車両を運転するユーザによるボタン操作等が検出され、それに伴いマスタ制御部20において短期負荷(例えば
図10(B)のパワーシート)に対する通電指示が発生すると、
図7のS31からS32に進む。
【0071】
尚、共通の幹線ワイヤハーネスW/Hの配下に接続された複数の補機40の各々の負荷と「長期負荷/短期負荷」の区分については、事前に決定して不揮発性メモリ等に固有のデータとして登録しておくこともできるし、通信を行って取得することも可能である。
【0072】
「長期負荷」が通電状態の時に「短期負荷」の通電指示が発生した場合には、S32−S33−S36と進む。
【0073】
ステップS36では、マスタ制御部20は、PWM制御を行う場合であっても、「短期負荷」の通電を優先的に行う。つまり、「短期負荷」の通電を行うタイミングでは、「長期負荷」の通電を一時的に停止し、両者の通電タイミングが重ならないように「長期負荷」を制限する。このような調整を行うために、マスタ制御部20は例えば各車載コネクタ30との間でデータ通信を行い、各車載コネクタ30の配下に接続されている「長期負荷」及び「短期負荷」の通電状態を把握し、「長期負荷」の通電を制限するための制御信号を生成する。
【0074】
一方、「長期負荷」が非通電状態の時に「短期負荷」の通電指示が発生した場合には、S33からS38に進み、「短期負荷」を通電状態に切り替える。つまり、マスタ制御部20が該当する車載コネクタ30に対してデータ通信で通電開始を指示するか、又は信号線W21〜W23に送出する信号により通電開始を指示する。これにより、車載コネクタ30内のスイッチング素子33がオンになり、補機40内の「短期負荷」が通電状態になる。
【0075】
この後で、例えばユーザによるボタン操作等の検出に伴い、「長期負荷」を通電状態に切り替えるための指示が発生した場合には、S39からS40に進む。そして、マスタ制御部20が「長期負荷」のPWM制御による通電を許可すると共に、「長期負荷」のPWM信号がオフになるタイミングを把握して、「長期負荷」のPWM信号がオフの区間でのみ「短期負荷」の通電を許可するように、「短期負荷」の通電タイミングを自動的に調整する。
【0076】
また、ユーザによるボタン操作等が検出され、「短期負荷」に対する通電終了の指示が発生した場合には、S37又はS41からS42に進み、「短期負荷」を非通電状態に切り替える。
【0077】
<制御(5)>
図1及び
図3に示した車載システム100の車両用電気接続装置に適用可能な特徴的な制御(5)の処理手順を
図8に示す。
図8に示した処理手順は、
図7に示した処理手順の変形例である。また、
図8において、
図7と対応するステップは同じ番号を付けて示してある。
【0078】
図7に示した処理手順では、「長期負荷」と「短期負荷」とが同時に動作する時には、「長期負荷」をPWM制御でのみ通電できるように制御している。したがって、「長期負荷」と「短期負荷」とが同時に動作する時に、「長期負荷」に供給可能な電力は通常に比べて大幅に制限される。また、「長期負荷」が例えばヘッドライトのようなランプである場合、オンオフ制御からPWM制御に切り替えると、ランプの照度が不足する可能性があり、車両の運転に支障が生じる。
【0079】
そこで、
図8に示した処理手順では、「長期負荷」がランプのような照明機器である場合に、通電をPWM制御に切り替えた場合であっても、必要な最低照度を確保できるように制御している。
【0080】
図8の処理手順においては、S35で「長期負荷」の通電をPWM制御に切り替えた後、S35Bで該当する「長期負荷」が照明機器か否かをマスタ制御部20が識別している。また、該当する「長期負荷」が照明機器である場合は、S35Cで、「長期負荷」の通電を制御するスイッチング素子33に与えるPWM信号のパルス幅又はオンオフデューティを、事前に定めた最小値以上に規制する。これにより、該当する照明機器に必要とされる最低照度を確保することができ、車両の運転に悪影響が及ぶのを防止できる。
【0081】
図8の処理手順をランプ等の負荷の制御に適用する場合には、PWM制御により明るさのちらつきが生じないように、PWM信号のパルス周期を十分に小さくする。ステップS36Bでは、「長期負荷」のPWM信号がオフになるタイミングを「短期負荷」の通電に割り当てるように制御しているが、S36と同様に「短期負荷」を優先してもよい。尚、
図8の処理手順において、ステップS40の後に、S35B、S35Cと同様の処理を追加しても良い。上記以外の動作については、既に説明した
図7の処理手順と同様である。
【0082】
<システム構成の変形例(2)>
図1及び
図3に示した車載システムの構成の変形例(2)を
図11に示す。
【0083】
図11の構成においては、車載コネクタ30B(1)、30B(2)、及び補機40(1)、40(2)を制御するためにマスタ制御部20Dを用意し、残りの車載コネクタ30B(3)及び補機40(3)を制御するためにマスタ制御部20Cを用意してある。つまり、共通の幹線ワイヤハーネスW/Hに接続された複数の負荷を制御するために、互いに独立した2つのマスタ制御部20C、20Dを用いている。
【0084】
詳細については図示しないが、マスタ制御部20C及び20Dは、CAN規格に対応した通信用のインタフェースを内蔵しており、通信線55を用いてデータ通信ができるように構成されている。また、マスタ制御部20C及び20Dの各通信線55は、上流側に配置された相互通信用のゲートウェイ50と接続されている。
【0085】
図11の構成においては、マスタ制御部20Cが信号線W23を用いて車載コネクタ30B(3)及び補機40(3)を制御する。また、マスタ制御部20Dが信号線W21及びW22を用いて、車載コネクタ30B(1)、30B(2)、及び補機40(1)、40(2)を制御する。
【0086】
図11の構成において、例えば補機40(1)内の負荷が「長期負荷」であり、補機40(3)内の負荷が「短期負荷」である場合に、これらの「長期負荷」、「短期負荷」に対してマスタ制御部20C又はマスタ制御部20Dの単独では、
図6〜
図8に示した処理手順を適用できない。
【0087】
したがって、
図11の構成においては上流側のゲートウェイ50を利用して、マスタ制御部20Cとマスタ制御部20Dとの間でデータ通信を行い、互いに情報を交換したり、一方が他方に対する命令を送信する。これにより、マスタ制御部20Cとマスタ制御部20Dとの間で情報の共有化を行ったり、制御の優先順の制御を行ったり、通電タイミングの調整を行うことが可能になる。つまり、2つのマスタ制御部20C、20Dがデータ通信により協調的な制御を実施することにより、システム全体として、
図6〜
図8に示した処理手順を実行することが可能になる。
【0088】
<システム構成の変形例(3)>
図1及び
図3に示した車載システムの構成の変形例(2)を
図12に示す。
【0089】
図12の構成においては、
図1及び
図2に示したマスタ制御部20に相当する機能を、複数の車載コネクタ30C(1)、30C(2)、30C(3)のいずれか1つ、又は複数に内蔵している。
【0090】
つまり、
図12の構成においては、電源線W1及び通信線W2を含む幹線ワイヤハーネスW/Hを介して、3つの車載コネクタ30C(1)、30C(2)、30C(3)が互いに接続されているので、これらの間でデータ通信を行い情報の共有化を行ったり、一方(マスタ)が他方(スレーブ)に対して命令を与えることもできる。すなわち、3つの車載コネクタ30C(1)〜30C(3)の1つが優先順位に関する命令や、通電制御のオンオフに関する命令や、通電タイミングの調整に関する命令を発生することにより、
図4〜
図8に示した処理手順を実行することが可能になる。
【0091】
<上記以外の特徴的な制御>
<制御(6)>
図1、
図3、
図11に示したシステムの車両用電気接続装置に適用可能な特徴的な制御(6)の処理手順を
図13に示す。
【0092】
例えば、
図2に示した構成では、車載コネクタ30に半導体ヒューズ機能31aが含まれており、スイッチング素子33から配下の負荷に過大な電流が流れると、その電流値を検出して半導体ヒューズとして機能するスイッチング素子33を遮断することができる。また、半導体ヒューズの作動状況の情報や、スイッチング素子33に流れる電流の値を、データ通信により車載コネクタ30からマスタ制御部20に送ることもできる。
【0093】
一方、例えばジャンクションボックス10とマスタ制御部20とを一体化した場合には、マスタ制御部20の内部にもIPDのようなスイッチング素子及び半導体ヒューズの機能を配置して、異常発生時に電源線W1の上流側で電源線W1の全体の電流を遮断することも想定される。また、車載コネクタ30内のスイッチング素子33に流れる電流の大きさをマスタ制御部20が通信により把握できない場合も考えられる。
【0094】
このような場合には、電源線W1の上流側に流れる負荷全体の電流の大きさをマスタ制御部20側で計測し、計測した電流値が過大になった時には、マスタ制御部20側の半導体ヒューズを作動させる必要がある。しかし、マスタ制御部20が計測可能な負荷全体の電流の大きさは、通電状態になった負荷の種類毎に変化するので、半導体ヒューズを作動させる電流の閾値の最適化が難しい。
【0095】
図13に示した処理手順においては、マスタ制御部20が電源線W1の上流側で、電源線W1に流れる負荷電流全体の電流値を計測すると共に、この電流値が過大になった時に、電源線W1の上流側の半導体ヒューズ、又は各車載コネクタ30内の半導体ヒューズを遮断する場合を想定している。また、半導体ヒューズの電流の閾値を最適化するために、
図13に示した処理手順では、
図9(B)、
図10(B)に示したような「長期負荷」及び「短期負荷」の通電制御を想定し、通電状態の負荷の種類に応じて半導体ヒューズの閾値を自動的に調整している。
【0096】
図11の処理手順では、マスタ制御部20は、最初に所定の定数テーブルから「長期負荷」に割り当てられた電流閾値Imax1 を取得し(S51)、更に「短期負荷」に割り当てられた電流閾値Imax2 を取得(S52)する。
【0097】
また、「長期負荷」が通電状態のタイミングでは、S53からS54に進む。そして、マスタ制御部20は電源線W1に流れる「長期負荷」の電流値Ip1を計測して取得し、この電流値Ip1を電流閾値Imax1と比較する(S55)。
【0098】
「Ip1>Imax1」の条件が成立した場合には、電子ヒューズを作動させて「長期負荷」の通電を強制的に遮断する(S55、S56)。つまり、「長期負荷」に接続されている車載コネクタ30内のスイッチング素子33を遮断するか、もしくはマスタ制御部20内のスイッチング素子(図示せず)を遮断する。
【0099】
また、「短期負荷」が通電状態のタイミングでは、S57からS58に進む。そして、マスタ制御部20は電源線W1に流れる「短期負荷」の電流値Ip2を計測して取得し、この電流値Ip2を電流閾値Imax2と比較する(S59)。
【0100】
「Ip2>Imax2」の条件が成立した場合には、電子ヒューズを作動させて「短期負荷」の通電を強制的に遮断する(S59、S60)。つまり、「短期負荷」に接続されている車載コネクタ30内のスイッチング素子33を遮断するか、もしくはマスタ制御部20内のスイッチング素子(図示せず)を遮断する。そして、S61でユーザ等に対し異常の発生を通知する。
【0101】
<制御(7)>
図1、
図3、
図11、
図12に示したシステムの車両用電気接続装置に適用可能な特徴的な制御(7)の処理手順を
図14に示す。
【0102】
図6、
図7、
図8、及び
図13に示した各々の処理手順を実行する場合には、マスタ制御部20等が実際に電源線W1に接続された各補機40の負荷の種類等の固有情報を事前に把握できることが必要になる。このような固有情報については、事前に決定した定数として例えば不揮発性メモリ上に登録しておくことにより、簡単に取得可能である。しかし、例えば電源線W1に任意のオプションの電装品を後付けで追加する可能性もある。このような場合は、不揮発性メモリのデータを書き換える必要がある。
【0103】
一方、例えば
図1に示す構成のようにマスタ制御部20と各車載コネクタ30との間でデータ通信が可能な場合には、各補機40の固有情報を車載コネクタ30上に配置しておけば、マスタ制御部20はデータ通信により各補機40の固有情報を取得して制御に反映することが可能であり、不揮発性メモリのデータを書き換える必要はない。このような制御を行うための処理手順が
図14に示されている。
【0104】
図14のS71では、マスタ制御部20は各車載コネクタ30との間でデータ通信を実行し、該当する車載コネクタ30の配下に接続されているn番目の補機(電装品)40の固有情報Dnを取得する。
【0105】
S72では、マスタ制御部20はS71で取得した固有情報Dnに基づき、これに含まれている負荷の種類Dn1と、制御周期の長短Dn2と、定格消費電流Dn3の各情報を把握する。
【0106】
S73では、マスタ制御部20はS72で取得した各情報Dn1、Dn2、Dn3を負荷の通電制御に反映する。例えば、
図6の処理手順をマスタ制御部20が実行する場合に、制御対象の各補機40内の負荷が「長期負荷」、「短期負荷」のいずれに該当するのかを区別するために、S73の情報Dn2を利用する。また、
図8の処理手順をマスタ制御部20が実行する場合に、制御対象の補機40内の負荷が照明機器か否かを区別するために、S73の情報Dn1を利用する。また、
図13の処理手順を実行する場合に、電流閾値Imax1又はImax2の適切な値を、S73の情報Dn3を利用して決定する。
【0107】
ここで、上述した本発明に係る車両用電気接続装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[11]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両上の電源部(ジャンクションボックス10)と、前記車両に搭載された複数の電装品(40)との間を電気的に接続する車両用電気接続装置であって、
少なくとも電力供給用の第1の電線(W1)を含み、前記第1の電線の上流側が前記電源部の出力側と接続された幹線ハーネス部(W/H)と、
少なくとも、前記第1の電線の下流側の所望の箇所に接続可能な電気接続部と、前記電気接続部から配下に接続される前記電装品への電力供給を制御可能なスイッチング部(スイッチング素子33)と、前記スイッチング部の制御入力へ制御信号を与える制御信号出力部
(31c)と、をそれぞれ含む2つ以上の車載コネクタ(車載コネクタ30)と、
前記各車載コネクタの制御信号出力部を介して複数の電装品の各々を制御するための制御信号を生成する負荷制御機能(マイクロコンピュータ21)と、前記各車載コネクタ及び前記各電装品の接続状態に応じて少なくとも前記制御信号の状態を制限し、前記第1の電線に流れる電源電流の最大値を抑制する電力統括制御機能(21a)と、を含むシステム制御部(マスタ制御部20)と、
を備えたことを特徴とする車両用電気接続装置。
[2] 前記[1]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記複数の電装品として、制御周期が比較的短い第1の電装品と、制御周期が前記第1の電装品よりも十分長い第2の電装品とが接続されている状況において、
前記電力統括制御機能(負荷電力制御機能21a)は、前記第1の電装品および前記第2の電装品の両方への通電を実行しているタイミングで、前記第1の電線に流れる電流の総和が過大になったことを検知した場合には、前記第1の電装品および前記第2の電装品のいずれか一方の通電を遮断する(
図4参照)、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。
[3] 前記[2]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記電力統括制御機能(負荷電力制御機能21a)は、前記第1の電装品および前記第2の電装品の両方への通電を実行しているタイミングで、前記第1の電線に流れる電流の総和が過大になったことを検知した場合には、前記第2の電装品の通電を遮断する、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。
[4] 前記[2]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記電力統括制御機能(負荷電力制御機能21a)は、前記第1の電装品および前記第2の電装品の両方への通電を実行しているタイミングで、前記第1の電線に流れる電流の総和が過大になったことを検知した場合には、前記第1の電装品および前記第2の電装品の中で事前に定めた優先度の低い方の通電を遮断する(
図5参照)、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。
[5] 上記[1]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記複数の電装品として、制御周期が比較的短い第1の電装品と、制御周期が前記第1の電装品よりも十分長い第2の電装品とが接続されている状況において、
前記電力統括制御機能(負荷電力制御機能21a)は、前記第1の電装品への通電を実行しているタイミングでは、前記第2の電装品への通電を少なくとも一時的に禁止する(
図6、
図9(B)参照)、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。
[6] 上記[1]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記複数の電装品として、制御周期が比較的短い第1の電装品と、制御周期が前記第1の電装品よりも十分長い第2の電装品とが接続されている状況において、
前記電力統括制御機能(21a)は、少なくとも前記第2の電装品への通電を実行する際にパルス状に通電のオンオフを繰り返し、前記第1の電装品の動作と前記第2の電装品の動作とが時間的に重なる場合には、前記第1の電装品の通電を優先し、前記第2の電装品の通電を一時的に制限する(
図7、
図10(B)参照)、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。
[7] 上記[6]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記電力統括制御機能(21a)は、前記第2の電装品が照明機器である場合に、事前に定めた前記照明機器の最低照度を確保するように、前記第2の電装品の通電をオンオフする際のパルス幅もしくはデューティを所定以上に維持する(
図8参照)、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。
[8] 上記[1]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記システム制御部は、前記第1の電線に流れる電流を閾値と比較して異常を検知した時に各部の通電を遮断する半導体ヒューズ機能を含み、
前記半導体ヒューズ機能は、各タイミングで、通電状態の電装品に応じて前記閾値を自動的に変更する(
図13参照)、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。
[9] 上記[1]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記システム制御部は、前記第1の電線の下流側に実際に接続されている各電装品の少なくとも種類を自動的に認識してその結果を制御に反映する(
図14参照)、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。
[10] 上記[1]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記システム制御部が、互いに独立した状態で動作する第1のマスタ制御部(20C)及び第2のマスタ制御部(20D)に分散した状態で配置されている状況において、
第1のマスタ制御部及び第2のマスタ制御部は、上位のゲートウェイ(50)を介して相互にデータ通信を行い、前記データ通信により取得した情報に基づき、少なくとも前記第1の電線に流れる電源電流の最大値を抑制する(
図11参照)、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。
[11] 上記[1]に記載の車両用電気接続装置であって、
前記システム制御部は、前記複数の車載コネクタの内部に配置され、前記複数の車載コネクタの間のデータ通信を利用して、各車載コネクタの配下に接続された複数の電装品を制御する(
図12参照)、
ことを特徴とする車両用電気接続装置。