特許第6768276号(P6768276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6768276先細りしたコアワイヤと単一ループヒューズの分離による血管閉塞装置分離システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768276
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】先細りしたコアワイヤと単一ループヒューズの分離による血管閉塞装置分離システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
   A61B17/12
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-184845(P2015-184845)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-59815(P2016-59815A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2018年8月27日
(31)【優先権主張番号】14/491,145
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファン・エイ・ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・スラザス
【審査官】 菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0277092(US,A1)
【文献】 特開平08−299457(JP,A)
【文献】 特開平08−252324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離システムにおいて、
所定の抵抗率を有し、第1の終端と反対側の第2の終端とを有し、印加された電流が所定の最大電流閾値を超えたときに溶融又は切断する材料から構成された加熱ヒューズ素子と、
近位端及び反対側の遠位端を有する導電性コアワイヤであって、前記導電性コアワイヤは、前記導電性コアワイヤの遠位端に近接した第1の電気的接続接合部において前記加熱ヒューズ素子の前記第1の終端に対して直接、気的に接続されており、前記導電性コアワイヤは、近位区画、および前記導電性コアワイヤの前記近位端から前記遠位端に向かう方向に狭く先細りしている遠位区画をさらに有する、導電性コアワイヤと、
前記導電性コアワイヤから分離し、近位端及び反対側の遠位端を有する、絶縁導電性ワイヤであって、前記絶縁導電性ワイヤの前記遠位端が第2の電気的接続接合部において前記加熱ヒューズ素子の前記第2の終端に対して直接電気的に接続されている、絶縁導電性ワイヤと、
電気的非導電性材料から構成され、前記導電性コアワイヤの前記遠位区画の遠位部上に配置されて前記第1の電気的接続接合部を被覆し、前記絶縁導電性ワイヤと前記導電性コアワイヤとの間に配置された内側絶縁スリーブと、
電気的非導電性材料から構成され、前記絶縁導電性ワイヤ、前記内側絶縁スリーブ及び前記導電性コアワイヤを含むアセンブリの遠位部上に配置され、前記第2の電気的接続接合部を被覆する外側絶縁スリーブであって、前記第2の電気的接続接合部を保護し、かつ前記絶縁導電性ワイヤに対して前記第2の電気的接続接合部を固定するように構成されており、前記導電性コアワイヤの前記遠位区画の長さよりも短い長さを有する、外側絶縁スリーブを備える、分離システム。
【請求項2】
さらに、前記導電性コアワイヤ及び前記絶縁導電性ワイヤの各前記近位端に対して電気的に接続された電源を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記加熱ヒューズ素子が導電性ワイヤ又は導電性ストリップである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
さらに、近位端及び反対側の遠位端を有する血管閉塞装置を備え、ループが前記血管閉塞装置の前記近位端から近位方向に突出しており、前記加熱ヒューズ素子が前記ループに通されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記導電性コアワイヤがその内部に画定された管腔を有しない、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記加熱ヒューズ素子がU字状又は半球状の形状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記加熱ヒューズ素子の略中央部から前記第1および第2の終端のうちの1つまで測定された前記加熱ヒューズ素子の長さが、約1mmから約3mmの間である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記加熱ヒューズ素子が、前記第1の終端と前記第2の終端との間の略中間に破損部を有し、前記加熱ヒューズ素子の前記破損部が、縮径断面を有する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の血管内に移植するための血管閉塞装置(すなわち、塞栓コイル)に関する。特に、本発明は、血管障害の治療における塞栓コイル送達システムのための改善された熱分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤及び他の動静脈の奇形など、血管の障害及び異常は、危機的な組織の近くに位置するとき、あるいは奇形部へのアクセスが容易には得られない場合に特に治療が困難となる。これらの困難な要因はともに、頭部の動脈瘤に特に当てはまる。頭部の血管を囲繞する脳組織は繊細であり、またアクセスが制限されるため、頭部の脈管構造の異常を外科的に治療することは、非常に困難であり、多くの場合、リスクを伴う。
【0003】
代わりの治療には、カテーテル送達システムを使用した塞栓コイルなど、血管閉塞装置が含まれる。頭部の動脈瘤を処置するために使用されるそのようなシステムにおいて、塞栓コイル送達カテーテルの遠位端が、典型的には鼠径内の大腿動脈を通して患者の頭部脈管系ではない脈管系内に挿入され、頭蓋内の所定の送達部位へ案内される。
【0004】
様々な長さの複数の塞栓コイルは、一般に、約1cmから約100cmであり、予め選択された剛性は、多くの場合、その内部の血流を制限して塞栓の形成を促進するために頭部の動脈瘤内に順次パックされる。通常、医師はまず、動脈瘤内の枠組みを確立するために剛性の高いコイルを利用し、枠組み内の空間を埋めるためにより柔軟なコイルを選択する。理想的には、各コイルは、動脈瘤及び以前に移植されたコイルの双方に一致する。連続する各コイルは、剛性、長さ及びコイルが送達後と想定する傾向がある予め形成された形状を含む要因に基づいて個別に選択される。
【0005】
移植中において、医師は、送達システムからコイルを分離する前に、蛍光透視視覚化などの撮像技術によってみられるように、十分な位置になるまで各塞栓コイルを操作する。送達後に動脈瘤内に配置されたままであることが各コイルの両端にとって有益であり、そうでなければ、血管の主な管腔内に突出するコイルの長さは、動脈瘤に対して外部の望ましくない血栓を招来する。連続する各コイルが分離された後、次のコイルは、コイルの塊に成長して絡まるようになるというリスクの増加を受け、それによって動脈瘤に対するそのコイルについての挿入深さを制限する。
【0006】
特にコイルがもつれるようになり、動脈瘤へのコイルの完全な挿入が達成されない場合、コイルの再配置又は探索試行中に塞栓コイルの伸張にとって困難が発生することがある。牽引力がその弾性限界を超えてコイルに印加された場合、コイルは、その元の形状に戻らない。伸張したコイルは、押圧可能性又は縮退可能性の減少を呈し、最適な位置に操作すること又は除去されることがより困難となる。さらに、伸張したコイルは、未伸張コイルよりも少ない体積しか占有せず、動脈瘤内に完全に配置された強固な塞栓の形成を促進するために、動脈瘤を十分にパックするために必要とされるコイル数を増加させる。そのような問題を回避するために、その全体が参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第5,853,418号明細書に開示されたようなものなど、一次コイル及び少なくとも2つの位置において一次コイルに固定的に取り付けられた細長い伸張抵抗部材を有する伸張抵抗素子が使用される。
【0007】
例えば動脈瘤などの血管系における所望の部位に血管閉塞コイルを送達するために、蛍光透視法、超音波又は操縦可能な誘導の他の方法を使用して標的部位において比較的小さな外形の送達カテーテル又はマイクロカテーテルを最初に配置することは周知である。そして、送達又は「プッシャー」ワイヤは、プッシャーワイヤの遠位端に連結された血管閉塞コイルが標的部位においてカテーテルの遠位端開口から血管内に延出されるまで、カテーテル管腔の近位端を通過する。そして、血管閉塞装置は、エンドプッシャーワイヤから解放又は分離され、プッシャーワイヤは、カテーテルを通って近位方向に引き戻される。患者の特定のニーズに応じて、他の閉塞装置は、同様にして同じ部位においてカテーテルを介して押圧されてもよく解放されてもよい。
【0008】
送達カテーテルを使用して血管内の標的部位に適切に配置されると塞栓コイルからワイヤを分離するために、いくつかの従来の方法が使用される。プッシャーワイヤの端部から血管閉塞コイルを解放するための1つの公知の方法は、プッシャーワイヤの遠位端部に沿って位置する露出部又は分離ゾーンである電気分解分離可能な接合部を使用することである。分離ゾーンは、典型的には、ステンレス鋼製であり、血管閉塞装置のちょうど近位に位置している。電気分解分離可能な接合部は、電気分解の影響を受けやすく、プッシャーワイヤが血液又は他の体液などのイオン性液の存在下で電気的に充電されると分解する。それゆえに、分離ゾーンがカテーテルの遠位端から出て患者の血管プールに露出されると、導電性プッシャーワイヤに印加される電流は、患者の皮膚に取り付けられた電極又は遠隔部位の皮膚を介して挿入された導電性針によって回路を完成し、分離ゾーンは、電気分解のために分解する。
【0009】
電解分離を使用して展開された閉塞装置の1つの欠点は、電気分解プロセスが閉塞要素の解放を達成するために経過する所定の時間量を必要とするということである。このタイムラグはまた、その全体が参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第6,966,892号明細書に記載されているものなどの熱分離を利用する閉塞送達装置にとって不利である。
【0010】
そのそれぞれがその全体が参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第6,063,100号明細書及び第6,179,857号明細書に記載されたような血管閉塞装置の送達中における他の従来の分離技術は、適切に配置されると塞栓コイルを解放するために流体圧(例えば、水圧分離)の使用を含む。
【0011】
現在の分離スキームに関連する主な問題は、分離の信頼性、分離の速度、分離機構の利便性(例えば、水圧分離は、高圧シリンジを必要とする一方で、電気分解分離は、バッテリ駆動ボックスを必要とする)及び遠位部の長さ/剛性である。
【0012】
したがって、従来の装置に関連する上述した問題を解決する血管閉塞装置(例えば、塞栓コイル装置)のための改良された熱分離システムを開発することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様は、単純で、より信頼性が高く、迅速で、より便利で且つ従来の機械的分離システムのものよりも低減した硬質遠位部を有する血管閉塞装置の送達のために改善された熱分離システムに関する。
【0014】
本発明の他の態様は、遠位可撓性、所望の処置部位における配置及び分離特性を最適化する血管閉塞装置の送達のために改善された分離システムに関する。
【0015】
本発明のさらに他の態様は、所定の抵抗率、第1の終端及び反対側の第2の終端を有する加熱ヒューズ素子を含む血管閉塞装置分離システムに関する。加熱ヒューズ素子は、印加された電流が所定の最大電流閾値を超えたときに溶融する材料から構成されている。システムは、さらに、第1の電気的接続接合部において加熱ヒューズ素子の第1の終端に対して直接導電性コアワイヤの遠位端を近接させて電気的に接続された導電性コアワイヤを含む。導電性コアワイヤから分離した絶縁導電性ワイヤは、第2の電気的接続接合部において加熱ヒューズ素子の第2の終端に対して直接電気的に接続されている。電気的非導電性材料から構成された内側絶縁スリーブは、コアワイヤの遠位部上に配置されて第1の電気的接続接合部を被覆している。内側絶縁スリーブは、絶縁導電性ワイヤと導電性コアワイヤとの間に配置されている。電気的非導電性材料から構成された外側絶縁スリーブは、絶縁導電性ワイヤ、内側絶縁スリーブ及び導電性コアワイヤを含むアセンブリの遠位部上に配置されている。外側絶縁スリーブは、第2の電気的接続接合部を被覆している。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、前の段落における血管閉塞装置分離システムを使用する方法に関する。加熱ヒューズ素子の第1の終端が第1の電気的接続接合部において導電性コアワイヤの遠位端に近接させて導電性コアワイヤに対して電気的に接続される。次に、内側絶縁スリーブが導電性コアワイヤの遠位部上に位置決めされ、第1の電気的接続接合部を被覆する。加熱ヒューズ素子の第2の終端が血管閉塞装置のループに通される。第2の電気的接続接合部において絶縁導電性ワイヤに対して加熱ヒューズ素子の第2の終端を電気的に接続することによって第2の電気的接続接合部が形成される。外側絶縁スリーブがアセンブリの遠位部上に位置決めされ、第2の電気的接続接合部を被覆する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の前述及びその他の特徴は、本発明の実例となる実施形態の以下の詳細な説明と図面から、より容易に明らかになり、幾つかの図面全体にわたって類似の参照番号は類似の要素を示す。
図1A】その内部を示す塞栓コイルの断面部分を有する塞栓コイルのための本発明のヒューズ熱分離装置の側面図である。
図1B】その内部に組み立てられた塞栓コイルのための本発明のヒューズ熱分離システムを有する送達カテーテルの側面図である。
図2A】電流の起動及び印加前における閉じた状態で縮小した局所断面を有する加熱ヒューズ素子の拡大平面図である。
図2B】印加される電流の起動後における開いた状態で図2Aの加熱ヒューズ素子の拡大平面図である。
図3】電源、導電性コアワイヤ、絶縁導電性ワイヤ及び加熱ヒューズ素子によって形成される閉ループを図示する概略的な電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
「近位」/「近位側に」及び「遠位」/「遠位側に」という用語はそれぞれ、医療用装置の先端(即ち、遠位端又は先行端)が患者の身体内に挿入される、その装置を患者に挿入するであろう操作者(例えば、外科医、医師、看護師、技術者など)により近い方向、又は操作者から離れる方向を指す。したがって、例えば、「近位方向」は、操作者に向かう方向を指し、「遠位方向」は、操作者から離れ、医療用装置の先行端又は先端に向かう方向を指すであろう。
【0019】
例示のみとして、本発明の熱分離システムは、塞栓要素、例えば塞栓ヘリカルコイルを送達するために利用される。しかしながら、任意の種類の血管閉塞装置を有する本発明の熱分離システムを使用することが意図されて本発明の範囲内である。
【0020】
図1Aは、コイル腔25を画定する一連のループ/巻線によって形成された血管閉塞装置、典型的にはヘリカル塞栓コイル5の送達のための本発明にかかる例示的なヒューズ熱分離システムの側面図である。本発明の分離システムは、塞栓コイルに限定されるものではなく、代わりに任意の種類又は形状の血管閉塞装置にも同様に適している。塞栓コイル5は、その近位端に位置する近位コイル接合部10を有する。近位コイル接合部10は、好ましくは、接着剤、エポキシ及び/又はポリマーのうちの少なくとも1つから構成された接合部である。最も好ましくは、接着剤、エポキシ樹脂及び/又はポリマーから構成された接合部は、比較的低い強度及び/又は比較的低いデュロメータである。すなわち、エポキシ/接着剤の比較的低い強度又は(その切り離し強度に関連している)その接合部を埋めるために使用されるポリマーの比較的低いデュロメータは、血管内に血管閉塞装置を移植するために使用される送達カテーテルの座屈強度未満であることが好ましい。ループ、リング又はアイレット35は、塞栓コイル5の近位コイル接合部10から近位方向に延在している。好ましくは、単一のループ、リング又はアイレットのみが塞栓コイルに設けられている。その近位端の反対側において、塞栓コイル5の遠位端が遠位ビーズ15によって閉じられている。1つ以上の耐伸張(SR)部材20、例えばコイル腔25に配置された縫合糸は、過度の牽引力が患者における移植中に塞栓コイル5に印加されたときに耐伸張性を提供する。好ましくは、各耐伸張部材20は、過度の伸びを最小化するために、近位コイル接合部10及び遠位ビーズ15によってその各端部に固定されたコイル腔25の長手方向全長に延在している。
【0021】
図1Bを参照すると、コアワイヤ又はプッシャーを使用して、塞栓コイル5は、体内の標的部位(例えば、血管内)まで送達カテーテル80を介して前進する。中央管腔を有する従来のプッシャー部材とは対照的に、本発明のコアワイヤを介して長手方向に定義された中央管腔は存在しない。コアワイヤ45は、その遠位端に近接したより柔軟な遠位部と比較してその近位端に近接した固い近位部を有する。図1Bに図示されるように、遠位の蛇行を介して送達システムを前進させるために必要とされるコアワイヤ45の可撓性は、その遠位部にわたってテーパを粉砕することによって達成することができ、テーパの長さ及び/又は数は、遠位部の可撓性を決定する。それゆえに、図面に示されるテーパの長さ及び/又は数は、単に例示の目的のためにすぎず、必要に応じて適合させることができる。コアワイヤは、ステンレス鋼又はニトナール(Nitonal)などの任意の生体適合性導電性材料から形成される。コアワイヤ45は、全体として一体化された単一部品構造として、あるいは、固定され、取り付けられ、接続され又は一体に搭載された2部品構造として構成されることができる。例えば、コアワイヤの近位部は、第1の材料(例えば、ステンレス鋼)であってもよい一方で、近位部に接続された遠位部は、第1の材料とは異なる第2の材料(例えば、ニトナール(Nitonal))から構成されてもよい。非導電性コーティング(例えば、絶縁スリーブ)55は、コアワイヤ45の外面まわりに配置されている。その外表面に取り付けられ、固定され、接続され又は搭載され、好ましくはコアワイヤ45の長さを延長するものは、別個の絶縁導電性ワイヤ60である。
【0022】
導電性ワイヤ又は導電性ストリップなどの所定の抵抗を有する加熱ヒューズ素子30は、好ましくは、2つの終端を有するセグメントとして構成されている。典型的には、加熱ヒューズ素子30は、略U字状又は半球状である。加熱ヒューズ素子30が2つの終端を有するセグメントとして構成されている限り、任意の他の形状が想定されて本発明の意図する範囲内である。好ましくは、加熱ヒューズ素子30は、その終端間の略中間に破損部65を有する。破損部65は、加熱ヒューズ素子のこの部分において局所的な電気抵抗をさらに増加させることによって加熱ヒューズ素子が溶融及び/又は切断する位置を狭くする又は標的とするように機械的に誘発された変形及び/又は縮径(例えば、より薄い)断面である。
【0023】
加熱ヒューズ素子30の一方の終端40は、第1の電気的接続接合部70を形成するコアワイヤ45の遠位端に電気的に直接接続されている。電気的非導電性材料から構成された内側絶縁スリーブ83は、絶縁スリーブ55と導電性ワイヤ60との間に配置されたコアワイヤの遠位部上に配置されている。内側絶縁スリーブ83は、加熱ヒューズ素子30の第2の終端50とコアワイヤ45との間の電気的接続を防止しつつ第1の電気的接続接合部70を保護する。加熱ヒューズ素子30の第2の終端50は、塞栓コイル5のループ35に通される。電気回路は、第2の電気的接続接合部75を形成する絶縁導電性ワイヤ60の剥かれた遠位端に対して直接加熱ヒューズ素子30の第2の終端50を電気的に接続することによって完成するか又は閉じられる。電気的非導電性材料からまた構成された外側絶縁スリーブ85は、絶縁導電性ワイヤ60、内側絶縁スリーブ83及びコアワイヤ45の少なくとも一部にわたって配置されている。外側絶縁スリーブ85は、第2の電気的接続接合部75自体を保護しつつ絶縁導電性ワイヤ60に対して第2の電気的接続接合部75を固定する。内側及び外側絶縁スリーブ83、85について同じ又は異なる電気的非導電性材料のいずれかが使用されてもよい。図3に示される電気回路図において、電源90(例えば、バッテリ)は、抵抗加熱ヒューズ素子30にわたって電流を生成する導体(すなわち、コアワイヤ45及び絶縁導電性ワイヤ60の近位端)にわたって接続され、それによって内部の電気抵抗を増加させる。第1及び第2の電気的接続接合部70、75のそれぞれは、はんだ、溶接、導電性エポキシ又は任意の他の電気的接合接続を介して確立されることができる。
【0024】
動作時において、加熱ヒューズ素子30の第1の終端40は、その遠位端に近接してコアワイヤ45に電気的に接続され、それによって第1の電気的接合部70を形成する。内側絶縁スリーブ83は、導電性コアワイヤ45の遠位部上に位置決めされるとともに、また、第1の電気的接続接合部70を被覆する。加熱ヒューズ素子30の第2の終端50は、その後に塞栓コイル5のループ35に通される。ループ35に通されると、加熱ヒューズ素子30の第2の終端50は、第2の電気的接続接合部75において絶縁導電性ワイヤ60に対して電気的に接続される。次に、外部絶縁スリーブ85は、(絶縁導電性ワイヤ60、内側絶縁スリーブ83及び導電性コアワイヤ45を含む)アセンブリの遠位部上に位置決めされ、また、第2の電気的接続接合部75を被覆するように位置決めされる。ここで、送達装置は、導電性コアワイヤ45を使用して組み立てられ、血管閉塞装置5は、人体内の標的部位まで送達カテーテル80を介して前進する。塞栓コイル5が血管内の所望の治療部位に適切に配置されると、電源(例えば、バッテリ)90による加熱素子30の電気的起動は、内部の電気抵抗を増大させる。その設計のために、抵抗は、加熱ヒューズ素子30の破損部65において最大である。材料の所定の閾値許容範囲を超える破損部65における抵抗の増加は、加熱ヒューズ素子30の破損部65に溶融させ、それゆえに切断させ、それによってその内部に固定された塞栓コイル5を解放する。その後、送達カテーテル80、コアワイヤ45、絶縁導電性ワイヤ60及び加熱素子30は、所望の治療部位における血管内の塞栓コイル5を適所に離れる近位方向に牽引することによって人体から引き抜かれる。
【0025】
本発明の分離システムは、有利には、加熱ヒューズ素子30(その終端の一方に対してほぼその中央部から測定される)の長さを最小化する。例えば、この代替実施形態により、加熱ヒューズ素子のそのような長さは、約1.0mmから約3.0mmの範囲、好ましくは約2mmまで削減されることができる。
【0026】
追加の設計要因又は考察は、コイル固定縫合糸への熱伝達を最大化する以外が想定される。一方、加熱ヒューズ素子30は、塞栓コイル5が移植されたときに十分な抵抗を生成するために望ましくは(軸方向に測定されるときに)十分に長い。一方、加熱素子30の長さは、マイクロカテーテルの戻し(すなわち、動脈瘤から押し戻し)を最小化するのに十分に短い。より短い長さの加熱素子はまた、人体内の標的部位への血管閉塞装置の送達中に望ましいコイル送達システムの遠位端の可撓性を最適化する。
【0027】
本発明によれば、コアワイヤは、導体と、電源及び加熱ヒューズ素子とともに閉ループ電気経路を形成する際に他の導体としての絶縁導電性ワイヤとのうちの一方として機能する。好ましくは、コアワイヤはまた、送達カテーテルにおいて血管閉塞装置を進めるという二重機能を提供する。電源によって供給される電流に応じて、それらの少なくとも一部(例えば、破損部65)を溶融及び/又は切断する加熱ヒューズ素子において十分な抵抗が生成され、それによって体内の標的部位において塞栓コイルを解放する。
【0028】
本発明は、塞栓コイルの送達及び分離のために示されて記載されている。他の血管閉塞装置が想定されて本発明の範囲内である。
【0029】
したがって、本発明の基礎となる新規の特徴を、本発明の好ましい実施形態に適用されるように図示し、説明し、指摘したが、当業者は、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、例示された装置の形と詳細並びにその操作の様々な省略、代用及び変更を行うことができることを理解するであろう。例えば、同様の結果を得るために、実質的に同じ方法で、実質的に同じ機能を果たす要素及び/又は工程のあらゆる組み合わせが本発明の範囲に含まれるものである点は明確に意図するところである。要素を、1つの記載された実施形態から別の実施形態に置換することも充分に想定及び想到されることである。また、図面は必ずしも一定の尺度で描かれておらず、また事実上、概念的なものにすぎないことが理解されよう。したがって、本明細書に付属する「特許請求の範囲」の記載のみに基づいて限定がなされるべきである点は意図するところである。
【0030】
本明細書に引用される発行済み特許、係属中の特許出願、刊行物、雑誌、書籍、又は他のあらゆる参照文献はいずれもその全容を本明細書に援用するものである。
【0031】
〔実施の態様〕
(1) 分離システムにおいて、
所定の抵抗率を有し、第1の終端と反対側の第2の終端とを有し、印加された電流が所定の最大電流閾値を超えたときに溶融又は切断する材料から構成された加熱ヒューズ素子と、
近位端及び反対側の遠位端を有する導電性コアワイヤであって、第1の電気的接続接合部において前記加熱ヒューズ素子の前記第1の終端に対して直接前記導電性コアワイヤの遠位端を近接させて電気的に接続された、導電性コアワイヤと、
前記導電性コアワイヤから分離し、近位端及び反対側の遠位端を有する絶縁導電性ワイヤであって、前記絶縁導電性ワイヤの前記遠位端が第2の電気的接続接合部において前記加熱ヒューズ素子の前記第2の終端に対して直接電気的に接続されている、絶縁導電性ワイヤと、
電気的非導電性材料から構成され、前記コアワイヤの遠位部上に配置されて前記第1の電気的接続接合部を被覆し、前記絶縁導電性ワイヤと前記導電性コアワイヤとの間に配置された内側絶縁スリーブと、
電気的非導電性材料から構成され、前記絶縁導電性ワイヤ、前記内側絶縁スリーブ及び前記導電性コアワイヤを含むアセンブリの遠位部上に配置され、前記第2の電気的接続接合部を被覆する外側絶縁スリーブとを備える、分離システム。
(2) さらに、前記導電性コアワイヤ及び前記絶縁導電性ワイヤの各近位端に対して電気的に接続された電源を備える、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記加熱ヒューズ素子が導電性ワイヤ又は導電性ストリップである、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記導電性コアワイヤが、その近位端から遠位端に向かって狭く先細りしている、実施態様1に記載のシステム。
(5) さらに、近位端及び反対側の遠位端を有する血管閉塞装置を備え、ループが前記血管閉塞装置の前記近位端から近位方向に突出しており、前記加熱ヒューズ素子が前記ループに通されている、実施態様1に記載のシステム。
【0032】
(6) 前記導電性コアワイヤがその内部に画定された管腔を有しない、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記加熱ヒューズ素子がU字状又は半球状の形状である、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記加熱ヒューズ素子の中央部から前記終端のうちの1つまで測定された前記加熱ヒューズ素子の長さが、抵抗率及び加熱を最大化するように最小化される、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記加熱ヒューズ素子が抵抗率を最大化する材料から構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記加熱ヒューズ素子の略中央部から終端のうちの1つまで測定された前記加熱ヒューズ素子の長さが、約1mmから約3mmの間である、実施態様8に記載のシステム。
【0033】
(11) 前記加熱ヒューズ素子が、前記第1の終端と前記第2の終端との間の略中間に破損部(failure section)を有し、前記加熱ヒューズ素子の前記破損部が、その内部に破損を誘発するように機械的に誘発された変形及び/又は縮径断面を有する、実施態様1に記載のシステム。
(12) 実施態様5に記載の分離システムを使用する方法において、
前記第1の電気的接続接合部において前記導電性コアワイヤの遠位端に近接させて前記導電性コアワイヤに対して前記加熱ヒューズ素子の前記第1の終端を電気的に接続するステップと、
前記導電性コアワイヤの遠位部上に前記内側絶縁スリーブを位置決めし、前記第1の電気的接続接合部を被覆するステップと、
前記血管閉塞装置の前記ループに前記加熱ヒューズ素子の前記第2の終端を通すステップと、
前記第2の電気的接続接合部において前記絶縁導電性ワイヤに対して前記加熱ヒューズ素子の前記第2の終端を電気的に接続するステップと、
前記アセンブリの遠位部上に前記外側絶縁スリーブを位置決めし、前記第2の電気的接続接合部を被覆するステップとを備える、方法。
(13) さらに、
前記導電性コアワイヤを使用して人体を通る送達カテーテルを介して前記血管閉塞装置を前進させるステップと、
前記人体内の標的部位に前記血管閉塞装置を位置決めするステップと、
前記加熱ヒューズ素子の一部の所定の最大電流閾値を越えて前記導電性コアワイヤ及び前記絶縁導電性ワイヤに対して電源によって給電された電流を印加するステップと、
前記印加された電流の結果として、前記加熱ヒューズ素子の電気抵抗を増加させるステップと、
前記加熱ヒューズ素子の前記一部を溶融して切断するように増加した電気抵抗によって十分な熱を発生させ、それによって前記加熱ヒューズ素子から前記血管閉塞装置を解放するステップと、
前記血管閉塞装置を前記人体内の前記標的部位に残すとともに、近位方向において、前記送達カテーテル、前記加熱ヒューズ素子及び前記導電性コアワイヤを引っ張ることにより、前記人体から引き抜くステップとを備える、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記加熱ヒューズ素子がU字状又は半球状の形状である、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記加熱ヒューズ素子の中央部から前記終端のうちの1つまで測定された前記加熱ヒューズ素子の長さが、抵抗率及び加熱を最大化するように最小化される、実施態様12に記載の方法。
【0034】
(16) 前記加熱ヒューズ素子の中央部から終端のうちの1つまで測定された前記加熱ヒューズ素子の長さが、約1mmから約3mmの間である、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記加熱ヒューズ素子が、前記第1の終端と前記第2の終端との間の略中間に破損部を有し、前記加熱ヒューズ素子の前記破損部が、その内部に破損を誘発するように機械的に誘発された変形及び/又は縮径断面を有する、実施態様12に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3