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特許6768277センサチップ較正方法および較正されたセンサチップ用の製造ライン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768277
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】センサチップ較正方法および較正されたセンサチップ用の製造ライン
(51)【国際特許分類】
   G01D 18/00 20060101AFI20201005BHJP
   G01N 27/12 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G01D18/00
   G01N27/12 P
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-197676(P2015-197676)
(22)【出願日】2015年10月5日
(65)【公開番号】特開2016-75683(P2016-75683A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2018年9月28日
(31)【優先権主張番号】14003449.7
(32)【優先日】2014年10月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510014375
【氏名又は名称】センシリオン アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シャンツ
(72)【発明者】
【氏名】イーヴァ ポウルスン
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ゲアナー
(72)【発明者】
【氏名】マークス グラーフ
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0053862(US,A1)
【文献】 特開平10−142303(JP,A)
【文献】 特開平7−77537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D18/00
G01N27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサチップを較正する方法において、
前記センサチップ(9)によって第1の較正測定を行って第1の較正データを求め、
前記第1の較正測定の後、前記センサチップ(9)に製造ステップを実行し、
前記製造ステップの後、前記センサチップ(9)によって別の較正測定を行って別の較正データを求め、
前記第1の較正データおよび前記別の較正データから少なくとも1つの較正パラメタを求め、
前記センサチップ(9)のメモリ(94)に前記少なくとも1つの較正パラメタを格納し、
動作中に、前記センサチップ(9)の検出素子(92)によって検出される信号に前記少なくとも1つの較正パラメタを適用する、
ことを特徴とする、センサチップを較正する方法。
【請求項2】
複数のセンサチップ(9)を製造するためのウェハ(7)の一体部分をまだ構成している前記センサチップ(9)によって前記第1の較正測定を行い、
前記ウェハ(7)から前記センサチップ(9)を切り離した後、前記別の較正測定を行う、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記製造ステップには、前記センサチップ(9)のパッケージングが含まれている、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記製造ステップには、
・ 前記センサチップ(9)に1つの層を被着するステップと、
・ 前記センサチップ(9)にモールド材料を注ぐステップと、
・ 前記センサチップ(9)に接触接続要素取り付けるステップと、
・ パッケージングしたセンサチップ(9)に薄膜を被着するステップと、
・ 前記センサチップ(9)を回路基板またはリードフレームに取り付けステップと、
・ ウェハ(7)から前記センサチップ(9)を切り離すステップと
のうちの1つまたは複数のステップが含まれる、
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の較正データまたは当該第1の較正データから導出したデータを少なくとも一時的に製造ラインの記憶装置に格納する、
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の較正測定において、前記別の較正測定よりも大きな、較正データの集合を取得する、
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記センサチップ(9)によって第2の較正測定を行い、第2の較正データを求め、
前記第2の較正測定を行った後、前記センサチップ(9)に別の製造ステップを実行し、
前記センサチップ(9)によって前記別の較正測定を行い、前記別の較正データを求め、
前記第1の較正データ、前記第2の較正データおよび前記別の較正データから少なくとも1つの較正パラメタを求める、
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記センサチップの外部にある製造ラインの記憶装置に前記第2の較正データを少なくとも一時的に格納する、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記センサチップ(9)は、流体の物質を検出するかまた前記センサチップ(9)の環境の特性を検出する検出素子(92)を有しており、
当該検出素子(92)は、前記第1の較正測定中および/または前記別の較正測定中に、さらに適用可能な場合には前記第2較正測定中に、所定の量の前記物質を含有する流体、または、所定の大きさの前記特性を有する環境にそれぞれ曝される、
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記検出素子(92)は、
・ 温度、
・ ガス成分
・ 圧力、
・ ガスまたは液体流量
のうちの少なくとも1つを検出する、
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
さらに、
前記第1の較正ステップ中に前記センサチップ(9)に一意の識別子を付与するステップと、
前記第1の較正データまたは当該第1の較正データから導出したデータと共に前記一意の識別子を前記センサチップの外部の記憶装置に格納するステップと、
前記第1の較正データまたは当該第1の較正データから導出したデータを取り出すために前記一の識別子を使用して、前記少なくとも1つの較正パラメタを求める、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
さらに前記第1の較正測定において、前記一意の識別子を前記センサチップ(9)に格納するステップを有する、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法にしたがって、較正されるセンサチップを製造するための製造ラインにおいて、
該製造ラインは、
前記第1の較正測定を行うための第1の装置(2)と、
前記製造ステップを実行する作業場所(3)と、
前記別の較正測定を行うための前記第1または別の装置(2)と、
前記最終較正データを求めるための計算装置(24,6)とを有する、
ことを特徴とする製造ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップ較正方法および較正されたセンサチップ用の製造ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ上に集積されるセンサは、そのサイズが小さいことにより、まったく新しい応用範囲を提供する。
【0003】
半導体チップ上に配置される湿度検出材料の層を使用する公知のタイプの湿度センサは、国際公開第01/42776号に記載されている。別のタイプのセンサは、例えば金属酸化物材料を使用し、例えばエタノール、硫化物、CO,CO2,NOxのような気体または液体内の種々のタイプの物質を検出するために応用されている。
【0004】
半導体チップは一般的にはウェハで製造され、各ウェハは数100個またはそれ以上のチップを有することができる。欧州特許公開第1628132号明細書には、以下ではセンサチップと称する検出素子を有する、ウェハ上の半導体チップを較正することが提案されている。これにより、大量のセンサチップを高速に較正することができ、また較正することができないセンサを以降の製造ステップから取り除くことできる。さらにセンサチップが流体内の物質の影響を受け易い場合、大量のチップを較正するためにわずかな容量の較正流体しか必要としない。
【0005】
しかしながら出願人によって発見されたのは、上記の較正に続いて行われる複数の製造ステップは、例えばこれらの製造ステップによって引き起こされる応力により、センサチップの測定特性に影響を及ぼし得ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/42776号
【特許文献2】欧州特許公開第1628132号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、センサチップの測定結果を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明のセンサチップ較正方法によって解決される。この方法によれば、第1の較正測定は、センサチップによって行われる。この較正測定の結果、第1の較正データが求められる。有利には第1の較正測定の後、製造ステップがこのセンサチップに適用される。この製造ステップには、例えば、センサチップのパッケージングを含めることができ、例えば、センサチップへのキャップの装着、センサチップ/センサチップの周りへのモールド成形材料の流し込み、ケーシングへのセンサチップの配置などのうちの1つまたは複数を含めることができる。適用可能な別の製造ステップには、センサチップに層を被着するステップ、センサチップに接触接続要素を、特にはんだバンプを取り付けるステップ、パッケージングしたセンサチップに薄膜を被着するステップ、および、センサチップを回路基板またはリードフレームに取り付ける、特にはんだ付けする、またはウェハからセンサチップを切り離すステップなどのうちの1つまたは複数を含めることができる。これらの製造ステップに共通であるのは、センサチップの検出素子または電子回路が、この製造ステップ中に、特に応力の形態の機械的および/または化学的に影響を受けて、将来の測定結果に影響が及ぼされることである。
【0009】
このため、好適には1つまたは複数の製造ステップの後、センサチップによって別の較正測定を行うことが考えられる。この別の較正測定の結果、別の較正データが求められる。最終的には、第1の較正データと、この別の較正データとの両方の関数として少なくとも1つの較正パラメタが求められ、この少なくとも1つの較正パラメタがセンサチップのメモリに格納される。
【0010】
第1の較正データだけから導出される任意の較正パラメタをセンサチップに格納するのではなく、2つの較正測定から得られる(1つまたは複数の)較正パラメタだけを格納するのが好適である。第1の較正データ、またはこれから導出される任意のデータは好適には、少なくとも一時的に、製造中の較正されたセンサチップ用の製造ラインの記憶装置(すなわちセンサチップの外部に)に格納される。上記の少なくとも1つの較正パラメタは、少なくとも第1の較正データおよび上記の別の較正データに依存して決定される。これにより、少なくとも1つの較正パラメタにより、少なくとも2つの較正測定間における製造ステップの影響が考慮されるため、第1の較正データおよび別の較正データに依存して(1つまたは複数の)較正パラメタを決定し、動作中にセンサチップの検出素子によって検出される信号にこの(1つまたは複数の)較正パラメタを適用することにより、誘発された任意の応力などを補償することができる。
【0011】
これは、有利には上記の製造ステップの前に、センサチップがまだ、複数のセンサチップを製造するためのウェハの一部を構成しているうちに行われる。これにより、第1の較正測定は、ウェハ上で行われ得るのに対し、この実施例では、上記の別の較正測定は、ウェハから切り離された後に個別のセンサチップ上で行われ得る。したがって一実施形態において、上記の製造ステップには特にウェハからのセンサチップのダイシングを含めることができる。このダイシングステップには、先行して行われる第1の較正データの調整が必要になり得るのである。この結果、第2の較正測定の結果によって補償される、上記の製造ステップから生じる複数の作用を考慮した正確な較正と組み合わせて効率的なウェハレベルの較正を行うことができる。
【0012】
好適には第1の較正測定において、上記の別の較正測定よりも大きな、較正データの集合を取得する。特に第1の較正測定では、別の較正測定よりも多くの測定値を得る。これは特に、第1の較正測定が、例えばウェハ上で(または大量のセンサチップを所定の複数の基準条件下に並列に置くことができる別の複数の別の装置において)実行することができるのに対し、第2の較正測定が、より少ない個数のセンサチップを複数の基準条件下に並列に置くことによって、例えば、個別のセンサチップをこれらの基準条件下に置くことによって行われる場合には時間を節約することができる。
【0013】
第1、第2または別の較正測定のいずれであれ、1つの較正測定において、センサチップが複数の複数の基準条件下に置かれることは有利である。上記のセンサが、例えば水分または有機物質のような特定のガス成分を検出するガスセンサの場合、このセンサは、このガス成分の既知の種々異なるレベルに置かれて、各レベルにおいて測定が行され、また(このタイプのセンサは、周囲温度も検出することが多いため)この測定は有利には異なる複数の温度に対して繰り返される。同様に、このセンサが給電電圧の正確な値を検出する場合には上記の測定を、例えば異なる給電電圧に対して繰り返すことも可能である。
【0014】
別の実施形態では、センサチップは、温度、圧力、流量などのような周囲環境の別の特性を検出する検出素子を含み得る。したがってこの例においてセンサチップは、温度センサ、圧力センサまたは流量センサを表し得る。この場合、較正測定において、センサチップは、所定の複数の大きさを有する測定すべき特性の環境下に置かれる。
【0015】
言い換えると、較正測定において、センサチップは複数の異なる基準条件下に置かれるのである。これらの基準条件は一般的に、このセンサによって測定されることを想定している(湿度または圧力のような)パラメタの複数の異なる値が含まれているが、これらの基準条件には、このセンサチップによって測定されることが必ずしも想定されていない別のパラメタの値も含まれ得る。しかしながらその特性は、温度および給電電圧のような特性に依存するのである。
【0016】
より数学的な言い方をすれば、センサチップは、
y=F(x1,…xN,p1,…pM) (1)
のような少なくとも1つの信号yを形成するように想定されており、ただし、
・ x1…xN(N>=1)は、センサチップが感度を有し、かつ、これが検出することのできる入力信号であり、
・ p1…pMは、較正パラメタである。
【0017】
Fは、例えば、ルックアップテーブル、数学的な関数、またはこのセンサチップによって実行可能な任意のアルゴリズムとして実現することが可能な関数である。
【0018】
入力信号x1…xNには一般的に、チップの検出領域において電子的に測定される複数の信号が含まれている。特にこれらの入力信号には、湿度センサにおいて使用されるポリマの誘電率に依存する値のように、このセンサチップによって測定することが想定されている(1つまたは複数の)周囲環境パラメタに大きく依存する複数の信号が含まれている。しかしながらこれらの入力信号には、センサチップの現在の温度から、および/または、センサチップに印加される現在の給電電圧から導出される値のように、このセンサチップが感度を有する(動作パラメタを含めた)別のパラメタに依存する別の値も含まれ得る。
【0019】
上記の較正パラメタは、例えば、N次元のルックアップテーブルに格納されている値とすることが可能である。この場合、センサチップは、このルックアップテーブルにおける値yを参照するように構成および適合されており、またオプションではこのルックアップテーブルに格納されている最も接近した複数の値の間で補間を使用する。
【0020】
簡単な一実施形態において、温度センサチップに対し、関数Fは、例えば
y=p1+p2・x1 (2)
のタイプの単純な線形関係として表すことができ、ここではN=1およびM=2であり、またx1は、センサ温度に依存する測定した電圧である。これに対してyは、この温度においてこのセンサチップが送出するように指定された出力値である。第1の構成測定には、例えば、異なる多数の基準温度下にセンサを置くことを含めることができ、これらの多数の基準温度のうちの各基準温度は、異なる値x1を生じさせる。これにより、線形回帰分析を使用して第1の較正パラメタp1’,p2’を求めることができる。これらの第1の較正パラメタp1’,p2’または第1の較正測定において導出したすべての較正データは有利にはセンサチップの外部に格納される。
【0021】
第1の較正測定の後に実行される製造ステップは、センサチップに、特にその較正パラメタに影響を与える可能性がある。例えばセンサチップのメーカには、オフセットパラメタp1が上記の製造ステップ中に一般的に数パーセント変化するのに対し、傾きパラメタp2が大部分影響を受けないままであることが判明している。このため、オフセットパラメタp1の新たな値を求めるためには、別の較正ステップにおいて1つの測定または極めて少数の測定を行えば十分であるのに対し、傾きパラメタp2は第1の較正ステップにおいて測定したパラメタp2’と等しいと仮定することができる。このようして求められる最終較正パラメタp1,p2は、つぎにセンサチップの通常動作中に使用するためにのセンサチップに格納することができる。
【0022】
(1つまたは複数の)最終較正パラメタは、以下に示す複数の異なる仕方で第1の較正データおよび上記の別の較正データから導出することができる。すなわち、
・ 上で説明した例と同様に、第1の較正データは、第1の較正パラメタp1’,p2’…を求めるのに使用することができ、これらの較正パラメタのうちのいくつかはつぎに第2の較正データを考慮して置き換えられるか補正される。
・ 択一的には第1および第2の較正データは、(1つまたは複数)最終較正パラメタを計算するために直接、組み合わせることができる。例えば、第1および第2の較正データは共に、(1つまたは複数の)較正パラメタを計算するため、線形または非線形回帰分析に使用することができる。この回帰分析では、上記の計算した値と、予想される値との間のこれらの偏差の(例えば差分の二乗で表した)尺度の和が最小化される。この和において、第2の較正データの測定値には、第1の較正データの重み付けよりも大きな重み付けを設定することができる。重み付けした偏差の和を最小化する回帰分析用のアルゴリズムは、当業者には公知である。
【0023】
本発明の請求の範囲は、正確に2つの較正測定に限定されない。複数の製造ステップを中間に有する3つまたはそれ以上の較正測定を設けることができる。好適な実施形態において、第2の較正測定は、上記の製造ステップを実行した後、センサによって行われ、第2の較正データは、その結果として求められる。第2の較正測定の後、センサチップには、別の製造ステップを実行することができる。つぎにこの別の製造ステップの後、別の較正測定を行うことができる。つぎに最終較正データが、第1、第2および別の較正データから求められる。
【0024】
特に第1の較正測定は、センサチップを有し、好適には別の複数のセンサチップを有し、かつ、いかなるパッケージングも行われていないウェハに対して行うことができる。つぎにこのウェハには、例えばセンサチップをコーティングするためのステップまたはウェハに別の構造を適用するための別のステップのような別のウェハレベル製造ステップが実行される。この製造ステップの後、第2の較正測定が適用されて、第2の較正データが求められる。第2の較正データは、第1の較正データと同様に製造ラインの記憶装置に格納することができる。
【0025】
第2の較正測定の後、センサチップがまだウェハの一部であることを考慮して、ウェハに1つまたは複数のウェハスケールパッケージングを適用するなどのような1つまたは複数の別の製造ステップを実行する。これらの別の製造ステップのうちの1つにおいてウェハを個別のセンサチップにダイシングすることができ、ダンシングの後、すなわち個別のセンサチップによって上記の別の較正測定を行うことができる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、上で導入した方法の任意の実施形態にしたがって較正されたセンサチップを製造するための製造ラインが提案される。この製造ラインには、プローバ、特にウェハレベルに測定を行うに適しているプローバのような、第1の較正測定を行うための第1の装置が含まれている。この製造ラインの作業場所では製造ステップを実行することができるのに対し、別の較正測定が、第1の装置または専用の別の装置にいずれかによって実行される。ここでは(1つまたは複数の)最終校正パラメタを求めるための計算装置が設けられている。
【0027】
別の有利な実施形態は、従属請求項にも以下の説明にも列挙されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による方法を説明する一実施形態の製造ラインを略示する図である。
図2】本発明の別の一実施形態による方法を説明する別の一実施形態の製造ラインを略示する図である。
図3】本発明の複数の実施形態による方法および製造ラインに使用されるセンサチップを較正するための装置を示す概略図である。
図4】本発明の複数の実施形態による方法および製造ラインによって較正されるセンサチップのサンプルの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の詳細な説明において本発明の実施形態を説明する。
【0030】
図1には、本発明の一実施形態による製造ラインが略示されている。製造ラインにおいて較正され、引き続いて製造されるセンサチップは、図4において長手方向断面図で略示されている。センサチップ9には、シリコン基板のような半導体基板91が含まれている。検出素子92は、基板91の前面に配置されている。電子回路93は、基板91に組み込まれており、検出素子92によって供給される信号を前処理する。さらにオンチップメモリ94が、最終較正パラメタを格納するために設けられている。
【0031】
電子回路93は、メモリ94に格納されている較正パラメタを使用して測定した信号を処理するために適合および構成されている。この処理は、上記のように、例えば式(1)の一般的なタイプまた式(2)の特殊なタイプの較正関数を適用することによって行われる。
【0032】
図1に示した製造ラインの作業場所1によって図4に示したようなセンサチップを供給して後続の処理を行うことが可能である。電子回路93およびメモリ94のCMOSプロセスによる製造、検出素子の適用などの先行する複数の製造ステップを設けることも可能である。この段階において、センサチップはまだウェハから切り離されていないことがある。したがってウェハには好適には、複数のセンサチップからなる2次元のマトリクスが含まれているのであり、これらのセンサチップは基本的に動作準備完了状態にあるが、較正、切断、適切な場合にはパッケージングおよび/またはダイシングを行う必要がある。このためにこのようなウェハは、有利にはこのウェハ上のすべてのセンサチップを較正するために装置2に供給される。
【0033】
(プローバとも称される)装置2は、ウェハに対して第1の較正測定を行う。図3には、センサチップを較正するこのような装置2が略示されている。この装置には、チャック21および蓋22が含まれており、これらは互いに相対的に移動可能である。蓋22には、プローブヘッド221が含まれている。ウェハ7は、蓋2の下側でチャック21上に配置されており、プローブヘッド221の電極によって電気的に接触接続されている。
【0034】
このタイプの装置は、例えば欧州特許第1628132号明細書に記載されている。
【0035】
1つの実施例において、センサチップは湿度センサである。装置2の湿度発生器23は、装置2の制御ユニット24によって制御されて、既知の湿度レベルを有するガスを形成する。このガスは、例えば空気または窒素としてよい。つぎに湿度発生器23内の(図示しない)ポンプが、チューブを介して湿気を含んだガスを供給する。このガスは、このチューブから、矢印で示したようにウェハ7の近傍に進入する。湿気を含んだガスにセンサチップが曝されることにより、これらのセンサチップは、測定信号を供給し、この測定信号がプローブヘッド221の電極によって受信される。このようにして求められるまたはここから導出される較正データは、制御ユニット24、上記の装置または製造ラインの計算装置に格納される。プローブヘッド221は、ウェハ7の多くのセンサチップに同時に接触接続するように構成することができる。択一的な形態では、上記の電極によってただ1つまたは2,3つのセンサチップに同時に接触接続が行われ、制御ユニット24は、チャック21または蓋22のいずれかのアクチュエータを制御して、ウェハ7上の種々異なるセンサチップを順次にプローブヘッド221の下に配置することができ、これによって第1の構成測定値を採取する。
【0036】
別の実施形態において、センサチップ9の検出素子92は、温度を検出する。この場合には湿度発生器23は必要ないが、ウェハ7またはウェハ7の周囲環境を加熱および/または冷却するための加熱器または冷却器だけが較正測定中に必要である。特に蓋22および/またはチャック21を温度制御してこれらの間の間隙に極めて均一な温度を形成することができる。これは特に蓋22およびチャック21が同じ温度に保たれる場合に行われる。
【0037】
第1の較正測定から得られたデータは、対応するセンサチップの一意(少なくとも、製造ロットにおいてセンサチップが一意に識別できるという意味で一意)の識別子と共にセンサチップの外部に格納される。このような識別子は、例えば、ウェハ上でのセンサチップの位置と、このウェハの識別子とから導出することができる。この識別子は、例えば第1の較正測定中に、例えばその終了時にセンサチップのメモリに格納することができる。択一的には各センサチップにはすでに、先行する製造ステップにおいて光学式または電子式の一意の識別子が設けられていることもある。
【0038】
択一的には、または上記に加えて、第1の較正測定から得られるデータの一部またはすべてを、または第1の較正測定から導出されたデータを、較正パラメタの一部のようなデータをセンサチップに直接格納することも可能である。
【0039】
図1に示したつぎのステップにおいて、ウェハは製造ラインの作業場所3に転送される。この作業場所3においてウェハはさらに加工される。一例ではウェハは、作業場所3において検出素子を保護するため、キャップ基板によって覆われる。この製造ステップは、ウェハにおける応力に影響を及ぼし得る。この製造ステップの後、ウェハは装置2に戻され、別の較正測定がウェハ上で実行される。別の較正データが測定されて、上記の装置の制御ユニット24(図24を参照されたい)に格納され、制御ユニット24は、上記のように第1の較正データおよび別の較正データから最終較正パラメタを計算する。好適には上記の装置を含む現在の場所において、対応する最終較正パラメタが各センサチップのメモリに格納される。つぎにウェハは、別の作業場所5に転送され、ここでウェハが個別のセンサチップに切り離される。
【0040】
別の実施形態では、ウェハは作業場所3においてすでに個別のセンサチップに切り離され、これによって個々のセンサチップが作製される。これらのセンサチップは、切り離されたセンサチップを較正するように適合されかつ構成された別の較正装置に供給される。このような別の装置は、例えば、複数のセンサチップからなるウェハ全体ではなく個々のセンサチップを校正するように構成されている。しかしながら、センサチップを間で切り離さなくても第1の較正測定および別の構成測定を異なる複数の装置において行うことができる。
【0041】
各センサチップに付与された上記の一意の識別子は、上記の別の較正ステップの後、各センサチップの正しい第1の較正データを取り出すために使用し、これによって較正パラメタを計算することができる。
【0042】
製造ラインにおける種々異なる作業場所の間の矢印は好適には、これらの作業場所間でウェハまたはセンサチップを搬送するための手段を示している。この手段には、ピッカ、ベルトコンベアなどが含まれ得る。製造ライン制御ユニットは、参照符号6によって示されており、例えばウェハの搬送などを制御する。一実施形態において、第1の較正データ(またはここから導出されるデータ)は、製造ライン制御ユニット6に関連付けられている記憶装置に格納することができる。
【0043】
図2には本発明の別の実施形態による製造ラインが略示されている。作業場所1から2に、さらに3に至り、2に戻るセンサチップの製造および較正の仕方は、図1の実施形態と同じである。しかしながらここでは作業場所3において、例えば付加的なコーティングまたは構造を付加するため、第1の製造ステップがウェハ全体に対して行われると仮定している。このステップの間、ウェハは応力に曝されると想定される。したがってウェハは、第2の較正測定を行うために装置2に搬送されて戻る。第2の較正測定から得られる較正データ(またはそこから導出されるデータ)は、第1の較正データ(またはそこから導出されるデータ)と同様に製造ラインの記憶装置に格納され、例えば制御ユニット24の記憶装置、較正データを求める計算装置の記憶装置、または製造ライン制御ユニットの記憶装置に格納される。
【0044】
つぎのステップにおいて、ウェハは、別の製造ステップを実行するため、別の作業場所4に転送される。この実施例において、この別の製造ステップには、例えばダイシングによるウェハからのセンサチップの切り離しが含まれる。このダイシングステップもまた、センサチップに衝撃を及ぼすため、別の較正測定が実行されるが、今回は、ウェハ全体ではなく個々のセンサチップを較正するように適合かつ較正された別の装置2’によって実行される。第1、第2および別の較正測定から最終較正パラメタを求めた後、対応する最終較正データが、例えば装置2’における上記の別の較正測定中に、センサチップのメモリに格納される。これらのセンサチップはつぎに作業場所5に転送され、ここではセンサチップに対してさらなる作業が行うことができる。
図1
図2
図3
図4