(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768280
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】滑り止め係止具
(51)【国際特許分類】
A45B 9/02 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
A45B9/02 Z
A45B9/02 D
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-202536(P2015-202536)
(22)【出願日】2015年10月14日
(65)【公開番号】特開2017-74160(P2017-74160A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年8月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年7月14日ウェブサイト(楽天市場)において公開
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592024022
【氏名又は名称】八商商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103654
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 高弘
【審査官】
新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−071411(JP,U)
【文献】
実開昭60−117711(JP,U)
【文献】
特開2005−192909(JP,A)
【文献】
実開平07−003330(JP,U)
【文献】
実開昭59−057118(JP,U)
【文献】
実開平06−084912(JP,U)
【文献】
特開昭63−255004(JP,A)
【文献】
実開平6−62814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 9/02
A45B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傘又は杖の柄の先端部に装着するキャップ部と、前記キャップ部の側面に設けられた突起部と、が伸縮性を有する素材を主体として一体的に形成され、
前記キャップ部は、円筒状であり、前記柄の先端部に嵌合し得る直径の開放端と、前記開放端と反対側の他端部にテーブルや台等と接地する平面状の底面と、前記底面の中央部に空気入れ用の開孔部と、を有し、
前記突起部は、直方体形状であり、前記キャップ部の側面の前記底面側に配置され、前記キャップ部の前記底面と、前記突起部の底面と、が同じ高さで連続的に段差のない一つの接地面を形成すること、を特徴とする滑り止め係止具。
【請求項2】
突起部は、キャップ部の側面に一体的に形成された係止アームを着脱自在に嵌合する溝を有し、
前記溝は、前記係止アームを上下方向から挟持するように、前記突起部の水平方向に沿って形成され、
前記係止アームは、その先端部に前記溝よりも大きい球状の止め部を有することを特徴とする請求項1記載の滑り止め係止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘または杖の柄の先端に取り付けて、テーブルなどに引っ掛けても滑り落ちを防ぐとともに、鞄の把持部などに係止することができる滑り止め係止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、傘の柄の先端部に滑り止めキャップを装着すること、又は、滑り止め部材を取付けること、によってテーブルなどの台上に引っ掛けた傘の滑り落ちを防止するものが提案されている(例えば、特許文献1ないし5参照)。
【0003】
これらの滑り止め具又は滑り止め材は傘の柄の外径ほどの大きさであり、傘が滑り落ちないための摩擦力を発生させるためには、滑り止め具がテーブルなどの台上に対してしっかりと接地させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−13409号公報
【特許文献2】実開平4−125716号公報
【特許文献3】実開平6−62814号公報
【特許文献4】特開2002−325607号公報
【特許文献5】特開2009−165837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、傘や杖を引っ掛ける必要がある時とは、電車などで通勤・通学などの移動中であって、柄の先端部と十分に接地させることができるテーブルなどがない場合が多い。また、傘はU字状の柄と先端部側に重心が位置する構造から、引っ掛け時に傾斜した状態で安定するものであり、柄の先端部は台上に十分に接地させることが難しく、滑り落ちないための摩擦力を発生させることができない。
【0006】
したがって、テーブルなど傘の柄の先端部程度も接地する場所がないようなところでも、滑り止めとして働かせることができ、又、引っ掛けることができない場所では、鞄の把持部等に係止できるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、傘又は杖の柄の先端部に装着するキャップ部と、前記キャップ部の側面に設けられた突起部と、
が伸縮性を有する素材を主体として一体的に形成され、
前記キャップ部は、円筒状であり、前記柄の先端部に嵌合し得る直径の開放端と、
前記開放端と反対側の他端部にテーブルや台等と接地する
平面状の底面と、前記底面の中央部に空気入れ用の開孔部と、を有し、
前記突起部は、
直方体形状であり、前記キャップ部の側面の前記底面側に配置され、前記キャップ部の前記底面と、前記突起部
の底面と、が
同じ高さで連続的に段差のない一つの接地面を形成すること、を特徴とする滑り止め係止具である。
【0008】
また、上述した構成に加え、突起部は、キャップ部の側面に一体的に形成された係止アームを着脱自在に嵌合する溝を有し、
前記溝は、前記係止アームを上下方向から挟持するように、前記突起部の水平方向に沿って形成され、
前記係止アームは、その先端部に前記溝よりも大きい球状の止め部を有すること特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、壁などの段差に突起部を接地させることで傘を引っ掛けることが可能である。
【0010】
また、請求項
1記載の発明によれば、この突起部によって接地面を十分に確保することができ、摩擦力が増大してより安定して傘の滑り落ちを防止することが可能である。
【0011】
請求項
2記載の発明によれば、テーブルや段差などがない場合には、鞄の把持部などに傘を係止して携行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態における一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1における(a)平面図、及び、(b)中央縦断面図である。
【
図3】傘の柄の先端部に滑り止め係止具を装着して(a)台上、及び、(b)段差に傘を引っ掛けた状態を示す概念図である。
【
図4】鞄の把持部に傘を係止させた状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の滑り止め係止具1は、傘又は杖の柄の先端部に装着し得るキャップ部2と、キャップ部2の側面に備えられた突起部3と、突起部3に形成された溝4と、溝4に着脱自在に嵌合し得る係止アーム5と、からなり、シリコン樹脂、エストラマー、ゴムなどの伸縮性と滑り止め効果を有する素材を主体として一体的に形成されたものである。
【0015】
キャップ部2は、
図2に示すように、円筒状で一端を傘又は杖などの柄の先端部に嵌合し得る直径の開放端と、その他端部にテーブルや台等と接地する底面8と、その底面8の中央部に空気入れ用の開孔部7と、を有するものである。
【0016】
突起部3は、キャップ部2の側面の底面側に配置させ、突起部3の一部の面とキャップ部2の底面8とが同じ高さで連続的に段差のない一つの接地面を形成するものである。さらに、この突起部3には、キャップ部2の側面に設けられた係止アーム5を着脱自在に嵌合し得る溝4が形成されている。
【0017】
係止アーム5は、キャップ部3の側面に一体的に形成され、その先端部は溝4よりも大きい球状の止め部6を有している。ここで、係止アーム5の素材として、キャップ部及び突起部3よりも伸張させ得る柔軟性を有するシリコン樹脂を用いるとよい。
【0018】
開孔部7は、底面8の中心付近に形成され、円筒状内部と連通するものである。この開孔部7によって、傘の柄11の先端部に滑り止め係止具1を装着する際にこの開孔部7から空気を抜いて装着しやすくするためのものである。
【0019】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図3(a)に示すように、テーブル9上に滑り止め係止具1を装着した傘の柄10を接地して引っ掛けた状態である。このとき、突起部3によって傘の先端側が机側へ傾斜することを抑制するとともに、このキャップ部2の底面8及び突起部3の一部の面によって段差のない連続的な接地面を確保して摩擦力を増大させることができ、引っ掛けた傘の滑り落ちを防止することが可能である。
【0021】
また、
図3(b)に示すように、傘の柄10の長手方向に対しておおよそ突起部3が直交するように滑り止め係止具1を装着し、その突起部3を壁の段差11に接地することで、壁の段差11に傘を引っ掛けることができ、このとき、段差11に傘を引っ掛けた状態で傘の傾斜方向を壁に対して平行にすることができるため、壁の段差11に傘を引っ掛けることが可能である。さらに、このときキャップ部2の側面を壁に接するようにすれば、その側面と壁との間に摩擦力が発生し、傘の動揺をさらに抑制して安定させることも可能である(図示しない)。
【0022】
次に、
図4に示すように、テーブルや壁の段差などがない場合において、キャップ部2の側面に設けられた係止アーム5を鞄の把持部12に巻いて突起部3の溝4に嵌合して係止することができる。このとき、係止した状態から外側へ引っ張る力に対しては、係止アーム5に先端部に設けられた球状の止め部6で外れないようにすることができる。したがって、突起部3の溝4に着脱自在に嵌合する係止アーム5を鞄の把持部12などに係止させることが可能である。
【0023】
上記の実施形態では本発明の好ましい実施形態を例示したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で改善や変更が可能である。例えば、突起部3は楕円形などの形状にすることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1…滑り止め係止具、2…キャップ部、3…突起部、4…溝、5…係止アーム、6…止め部、7…開孔部、8…底面、9…テーブル、10…傘の柄、11…段差、12…鞄の把持部