(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るコネクタ100を相手側コネクタ47と共に表した分解斜視図である。
本第1実施形態に係るコネクタの組立方法に用いられるコネクタ100は、コネクタハウジング11と、2本の第1端子付電線13と、カバー15と、スペーサ17と、2本の第2端子付電線19と、を有する。なお、本実施形態において、上下前後左右の方向は、
図1に示した矢印の方向に従う。
【0020】
各第1端子付電線13は、電線21の端末部に、L字状の第1接続端子23が接続されている。また、各第2端子付電線19は、電線21の端末部に、L字状の第2接続端子25が接続されている。第1接続端子23及び第2接続端子25は、導電性の良好な金属板を円筒形に形成した第1端子接続部27及び第2端子接続部29を有する。そして、第1端子接続部27及び第2端子接続部29には、軸線に直交方向する方向に曲げられた電線圧着部31がそれぞれ連設されている。第1端子接続部27は、第2端子接続部29よりも軸線に沿う方向の長さが長く形成される。
【0021】
本第1実施形態において、第1接続端子23及び第2接続端子25は、電磁シールドシェル(アウター端子)の内部に、不図示のインナー端子が組み込まれている。従って、電線21は、芯線、内部被覆、編組シールド、外被の順に同軸で覆われる同軸電線(同軸ケーブル)となる。第1端子接続部27及び第2端子接続部29は、この電磁シールドシェルまたはアウター端子と称すことができる。そして、第1端子接続部27及び第2端子接続部29の内方には、インナー端子(図示略)が同軸で配置される。第1接続端子23及び第2接続端子25は、同軸電線の編組に導通接続される。また、インナー端子は、同軸電線の芯線に接続される。
【0022】
なお、本発明のコネクタの組立方法に用いられる第1接続端子及び第2接続端子は、これら第1接続端子23及び第2接続端子25に限定されない。本発明に係る第1接続端子及び第2接続端子は、単一の端子に1本の導体が接続されるものであってもよい。
【0023】
図2は
図1に示したコネクタハウジング11を後方から見た背面図である。
コネクタハウジング11は、絶縁樹脂材により一体成形される。コネクタハウジング11の下部には、電線収容箱部33が後方に開放して形成される。電線収容箱部33は、第2端子付電線19の電線圧着部31及び電線21の端末部を収容する。電線収容箱部33の両側面には、それぞれロック突起35が突設されている。ロック突起35は、コネクタハウジング11の背面にカバー15をロックするためのものである。電線収容箱部33の上部には、嵌合部37が一体に形成されている。嵌合部37は、電線収容箱部33よりも前方に突出している。
【0024】
本第1実施形態では、左右一対に並設された第1端子付電線13と、左右一対に並設された第2端子付電線19とが、上下二段でコネクタハウジング11に装着される。嵌合部37の内部には、左右一対の端子収容室である第1端子収容室39と、第2端子収容室41とが、上下二段で形成されている。従って、コネクタハウジング11の背面には、左右一対上下二段の合計4つの端子挿入口43が開口する。
【0025】
コネクタハウジング11の上部には、弾性変位可能なロックアーム45が一体に形成されている。コネクタハウジング11は、
図1に示した相手側コネクタ47と嵌合部37が結合する。なお、相手側コネクタは、電線が接続された端子を収容するコネクタや、プリント基板に実装されたコネクタでもよい。コネクタ100は、嵌合部37が相手側コネクタ47に嵌合すると、ロックアーム45が相手側コネクタ47のロック部(図示略)に係止され、相手側コネクタ47からの離脱が規制される。
【0026】
このコネクタハウジング11及び第2接続端子25には、ランス等の係止構造が設けられていない。その分、嵌合部37は小型に形成されている。
【0027】
また、コネクタハウジング11の一対の第1端子収容室39の間には、コネクタハウジング11の背面で開口するガイド部49が形成されている。ガイド部49は、前方に向かう角穴で形成されている(
図11参照)。このガイド部49は、カバー15に突設される被ガイド部51(
図11参照)を嵌入可能とする。
【0028】
図3の(a)は
図1に示したカバー15を前方より見た正面図である。
カバー15は、絶縁樹脂材により一体成形される。カバー15は、左右一対の第1端子付電線13を前面側に保持可能とされている。カバー15の前面には、左右一対の第1端子付電線13を収容保持する一対の凹状の縦溝部53が形成されている。縦溝部53は、上部が第1接続端子23の後部に当接する端子押圧部55となる。縦溝部53は、下部が第1端子付電線13の電線圧着部31及び電線21の端末部を収容保持する。
【0029】
カバー15の左右には、前方に突出する平行な一対のハウジングロック側板57が突設されている。ハウジングロック側板57は、コネクタハウジング11の電線収容箱部33の両側面に突設されたロック突起35に係合するロック穴59を有する。
【0030】
図3の(b)は
図3の(a)のA−A断面図である。
カバー15は、それぞれのハウジングロック側板57の内側に、一対の平行なスペーサ係合板61が、前方に向かって突設されている。スペーサ係合板61は、一対の基端部がカバー15に接続されて、連結側の先端部が前方に突出している。スペーサ係合板61の先端側上下には、一対の係合突起爪63(
図7参照)が突設されている。カバー15は、このスペーサ係合板61によりカバー15と結合される。
【0031】
図4は
図1に示したスペーサ17を後方斜め上方より見た斜視図である。
スペーサ17は、絶縁樹脂材により一体成形される。スペーサ17の背面には、左右一対の第1端子付電線13を収容保持する一対のスペーサ凹溝部65が上下に延在して形成されている。スペーサ凹溝部65は、上部が第1接続端子23の電線圧着部31に当接する端子押さえ部67となる。スペーサ凹溝部65は、下部が第1端子付電線13の電線21を収容保持する部分となる。
【0032】
また、スペーサ17の前面上部には、左右一対の端子座部69(
図6参照)が形成されている。それぞれの端子座部69は、コネクタハウジング11に装着された第2端子付電線19における第2接続端子25の後部に当接する。
【0033】
スペーサ17の両側には、一対の平行なカバー係合側板71が後方に向かって突出されている。カバー係合側板71の側面には、前後方向に延在する溝73が形成されている。スペーサ17は、この溝73に、カバー15のスペーサ係合板61が進入する。この溝73の後方上下には、カバー15の係合突起爪63に係合する一対の係合爪75が、溝73の内側に向かって突設されている。
【0034】
次に、上記構成を有する本第1実施形態に係るコネクタの組立方法を説明する。
図5の(a)は第2端子付電線19が装着されたコネクタハウジング11を表す手順説明図であり、
図5の(b)は第1端子付電線13がセットされたカバー15を表す手順説明図である。
本第1実施形態のコネクタの組立方法では、
図1に示したように、電線21の端末部に、先ず、第2接続端子25が圧着される。電線21は、外被が除去されて先端に芯線、内部被覆、編組シールドが順次露出される。芯線にはインナー端子が接続される。編組シールドは、第2端子接続部29に接続される。第2接続端子25が圧着された一対の第2端子付電線19は、
図5(a)に示すように、コネクタハウジング11の後方から第2接続端子25が第2端子収容室41に挿入される。
【0035】
次いで、
図1に示したように、電線21の端末部に、第1接続端子23が圧着される。第1接続端子23が圧着された一対の第1端子付電線13は、
図5の(b)に示すように、カバー15の被ガイド部51を挟んで一対の縦溝部53にセットされる。
【0036】
図6の(a)は第1端子付電線13がスペーサ17により保持されたカバー15を表す手順説明図、
図6の(b)は第2端子付電線19がセットされたコネクタハウジング11と第1端子付電線13が保持されたカバー15の組み付け前の状態を表す手順説明図、
図7はスペーサ17とカバー15との係止構造を表す要部拡大図である。
次いで、
図6(a)に示すように、カバー15に、スペーサ17が取り付けられる。スペーサ17は、
図7に示すように、カバー係合側板71が、カバー15のスペーサ係合板61に係合してカバー15に固定される。第1端子付電線13は、カバー15に取り付けられるスペーサ17により第1接続端子23及び電線21の端末部がカバー15に保持される。
【0037】
これにより、コネクタ100は、
図6(b)に示すように、第2端子付電線19を保持したコネクタハウジング11と、第1端子付電線13を保持したカバー15とのサブアッセンブリ品の組み付けが完了する。
【0038】
図8は第2端子付電線19がセットされたコネクタハウジング11を要部拡大図と共に表した手順説明図である。
次いで、コネクタハウジング11とカバー15とが組み付けられる。コネクタハウジング11の背面には、第2接続端子25が装着された第2端子収容室41の上方に、一対の第1端子収容室39の端子挿入口43が開放している。
【0039】
図9は第1端子付電線13がセットされたカバー15を要部拡大図と共に表した手順説明図である。
一方、カバー15の前面からは、保持された一対の第1端子付電線13の第1端子接続部27が前方に突出している。カバー15をコネクタハウジング11に取り付ける際、この第1端子接続部27が、コネクタハウジング11の端子挿入口43に先ず挿入される。円筒状の第1端子接続部27は、
図8に示した第1端子収容室39の円形の端子挿入口43に進入する。このとき、コネクタハウジング11とカバー15とは、同心円同士の端子挿入口43と第1端子接続部27とにより、上下方向及び左右方向に位置合わせされ、挿入軸が第一段階として位置決めされる。
【0040】
図10に示すように、カバー15は、第1接続端子23の第1端子接続部27が第1端子収容室39に挿入案内される。カバー15は、一対のハウジングロック側板57が、コネクタハウジング11の電線収容箱部33の両側面に近接配置される。
【0041】
その後、カバー15は、
図11に示すように、被ガイド部51が、コネクタハウジング11のガイド部49に進入する。これにより、コネクタハウジング11とカバー15とは、被ガイド部51とガイド部49とにより挿入軸が第二段階として位置決めされる。このように、コネクタ100は、コネクタハウジング11に対するカバー15の位置決めが、段階的になされながらカバー15がコネクタハウジング11に取り付けられる。
【0042】
図12は組み付けが完了したコネクタ100の斜視図である。
カバー15は、更にコネクタハウジング11に接近すると、一対のハウジングロック側板57が、コネクタハウジング11のロック突起35に係合する。これにより、カバー15は、ハウジングロック側板57を介してコネクタハウジング11の背面に離脱不能に固定される。
【0043】
コネクタ100は、このカバー15の固定状態で、第2端子収容室41に収容された第2接続端子25がスペーサ17の端子座部69(
図6参照)によって押圧され、第2端子収容室41からの離脱が規制された状態となる。また、第1接続端子23は、スペーサ17の背面に設けられたスペーサ凹溝部65及び端子押さえ部67(
図4参照)と、カバー15の前面に設けられた一対の縦溝部53(
図3の(a)参照)とによって挟まれて第1端子収容室39からの離脱が規制された状態となる。これにより、コネクタ100は、組み立てが完了する。
【0044】
次に、上記したコネクタの組立方法の作用を説明する。
本第1実施形態に係るコネクタの組立方法では、コネクタ100が、第1端子付電線13と、第2端子付電線19とを有する。第1端子付電線13の第1端子接続部27は、第2端子付電線19の第2端子接続部29よりも長い。第2端子接続部29が短い第2端子付電線19は、第1端子付電線13よりも先に第2端子接続部29がコネクタハウジング11の第2端子収容室41に挿入される。第1端子接続部27が長い第1端子付電線13は、カバー15に保持された状態で、第2端子付電線19の後方から重ねられてコネクタハウジング11の第1端子収容室39へ挿入することができる。
【0045】
この際、第1端子付電線13は、先ず、第1端子接続部27が第1端子収容室39の端子挿入口43に挿入されて挿入案内される。挿入過程において、続けてカバー15の被ガイド部51がコネクタハウジング11のガイド部49に嵌合される。これにより、カバー15は、コネクタハウジング11に対して位置規制されながらコネクタハウジング11に取り付けられる。カバー15は、クリアランスの大きい第1端子接続部27と端子挿入口43による規制、クリアランスの小さい被ガイド部51とガイド部49とによる規制と、徐々に規制範囲が小さくなるので、組み付け作業を段階的に良好に行うことができる。
【0046】
また、本第1実施形態のコネクタの組立方法では、複数の第1端子付電線13が、スペーサ17によりカバー15の一対の縦溝部53からなる電線保持部77(
図3の(a)参照)に保持される。つまり、複数の第1端子付電線13が、カバー15にプリセットされる。これにより、複数の第1端子付電線13はフリーとならず、端子同士の接触や電線同士の絡みが生じない。
【0047】
また、カバー15は、全ての第1端子付電線13を保持した状態で、コネクタハウジング11に取り付けられる。カバー15は、コネクタハウジング11に取り付けられる際、スペーサ17が第2接続端子25に当接する。これにより、スペーサ17は、第2端子収容室41に収容された第2接続端子25の抜け止めをすることができる。
【0048】
また、カバー15は、全ての第1端子付電線13を保持した状態で、コネクタハウジング11に取り付けられる。カバー15は、コネクタハウジング11に取り付けられる際、先ず、保持している第1端子付電線13の第1接続端子23が、第1端子収容室39に挿入される。この際、2本の第1端子付電線13は、カバー15によって既に第1接続端子23が所定の順に並べられているので、第1接続端子23をコネクタハウジング11の第1端子収容室39へ挿入すればよく、挿入対象の第1端子収容室39を確認する手間が省け、挿入作業を良好に行うことができる。
【0049】
次に、本発明に係るコネクタの第2実施形態を説明する。
図13は本発明の第2実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
本第2実施形態に係るコネクタの組立方法に用いられるコネクタ200は、コネクタハウジング79と、第1端子付電線81と、カバー83と、リテーナ85と、を有する。なお、本第2実施形態において、上下前後左右の方向は、
図13に示した矢印の方向に従う。
【0050】
本第2実施形態に係る第1端子付電線81は、電線87の端末部に、第1接続端子89が接続されている。第1接続端子89は、導電性の良好な金属板を板金加工して形成されている。第1接続端子89は、先端側から箱状の電気接触部91と、導体圧着部93と、被覆電線圧着部95と、が順に連設されている。第1接続端子89は、電気接触部91が箱状に形成されることで雌端子となる。電気接触部91の内側には、相手側コネクタ(図示略)の雄タブ端子が進入する。本第2実施形態において、電線87は、単一の導体が絶縁被覆により覆われた単線となる。電線87は、端末部の絶縁被覆が剥かれることで露出した導体が導体圧着部93に圧着される。電線87は、導体より基端側の絶縁被覆が被覆電線圧着部95に圧着されることにより端末部に第1接続端子89が取り付けられた第1端子付電線81となる。
【0051】
第1接続端子89は、電気接触部91と導体圧着部93との間が、挿入方向後端部97(
図15の(b)参照)となる。この挿入方向後端部97には、電気接触部91の軸回りの挿入姿勢を規制する規制片99(スタビライザ)が突設される。この規制片99は、コネクタハウジング79の第1端子収容室101に端子挿入方向で形成される規制溝(図示略)に進入する。これにより、第1接続端子89は、軸回りの所定の挿入姿勢以外では、第1端子収容室101へ挿入できなくなっている。
【0052】
コネクタハウジング79は、絶縁樹脂材により一体成形される。コネクタハウジング79は、平板状の嵌合部103の後端に、直角に垂下する平板状の電線収容箱部105が連設されたL字形に形成されている。コネクタハウジング79の両側面には、上下一対のカバー係合凸部107が突設されている。カバー係合凸部107は、カバー83をコネクタハウジング79に係止する。嵌合部103には、左右方向に複数の第1端子収容室101が並設される。本第2実施形態では、4つの第1端子収容室101が形成されている。それぞれの第1端子収容室101には、電気接触部91に係合するランス等の端子係合弾性部(図示略)が設けられている。
【0053】
第1端子収容室101は、嵌合部103の先端面が相手端子進入口109となって開口している。また、第1端子収容室101は、嵌合部103の背面が端子挿入口111(
図15参照)となって開口している。電線収容箱部105の背面には、上下方向に延在する複数の電線収容溝113が平行に形成されている。電線収容溝113は、第1端子収容室101の数と同数(4本)で形成されている。電線収容溝113は、上端が端子挿入口111に接続される。コネクタハウジング79は、第1端子収容室101に第1接続端子89が装着された第1端子付電線81の電線87が、電線収容箱部105に沿って直角に曲げられることにより、それぞれの電線87が電線収容溝113に収容される。
【0054】
カバー83は、絶縁樹脂材により一体成形される。カバー83は、前面及び下面が開口した箱状に形成されている。カバー83は、第1端子収容室101の端子挿入口111及び電線収容溝113を覆うようにコネクタハウジング79に取り付けられる。カバー83の両側板には、コネクタハウジング79のカバー係合凸部107に係止されるハウジング係止穴115と不図示の係止部が形成されている。カバー83の上面板117には、左右方向に4つのU字状の切欠119が形成されている。この切欠119には、第1端子付電線81の電線87が挿入される。カバー83の前面には、切欠119の下方に、4つの電線保持部121が形成されている。それぞれの電線保持部121は、一対の逆L字状の保持脚123(
図16参照)からなる。電線保持部121は、一対の保持脚123を弾性変形させて拡開させながら電線87を挿入することで、電線87を挟んで保持する。また、電線保持部121は、保持した電線87が電線87の延在方向に動けるように挟む。
【0055】
カバー83は、切欠119と電線保持部121との間の前面に、左右方向に長い突起挿通穴125が穿設されている。突起挿通穴125には、リテーナ85に設けられた係止突起127が挿通される。
【0056】
図14は
図13に示したカバー83とリテーナ85の分解斜視図である。
カバー83の背面には、リテーナ嵌合凹部129が形成されている。リテーナ嵌合凹部129の上部には、上述の突起挿通穴125が開口する。リテーナ嵌合凹部129の左右には、上下に延在するリテーナ側板挿入溝131が形成されている。
【0057】
リテーナ85は、絶縁樹脂材により一体成形される。リテーナ85は、左右方向に長い矩形状の基板部133の両側に、前方に向かって突出する一対の平行なリテーナ側板135が形成されている。リテーナ85は、基板部133がカバー83のリテーナ嵌合凹部129に嵌合し、一対のリテーナ側板135がカバー83のリテーナ側板挿入溝131に挿入される。基板部133の上部前面には、前方に向かって突出する複数の係止突起127が左右方向に並設されている。本第2実施形態において、係止突起127は、4本となる。係止突起127は、リテーナ85のリテーナ側板135がカバー83のリテーナ側板挿入溝131に装着されることで、突起挿通穴125を貫通してカバー83の前面から突出する。カバー83の前面から突出した係止突起127は、カバー83の電線保持部121に保持される第1端子付電線81のそれぞれの電線87を所定間隔に保持することができる。カバー83は、リテーナ85を装着した状態で、サブアッセンブリ品となる。
【0058】
また、それぞれのリテーナ側板135の上端面には、係止爪137(
図14参照)が突設されている。この係止爪137は、カバー83のリテーナ側板挿入溝131に形成される仮係止部(図示略)と本係止部(図示略)とに段階的に係止される。リテーナ85は、係止爪137が仮係止部に係止されることで、基板部133がリテーナ嵌合凹部129に嵌る直前のプリセット位置に突出して保持される。リテーナ85は、係止爪137が本係止部に係止されることで、基板部133がリテーナ嵌合凹部129に嵌着した本係止状態とされる。
【0059】
ここで、リテーナ85は、本係止状態で、係止突起127の先端が、第1端子収容室101の所定位置に進入することとなる。係止突起127は、第1端子収容室101の所定位置に進入することで、第1端子収容室101に装着されている第1接続端子89の規制片99に後方より当接する。すなわち、第1接続端子89は、規制片99に係止突起127が当接することにより、第1端子収容室101からの離脱が二重に規制される。
【0060】
なお、本第2実施形態では、係止突起127が、規制片99に当接する例を説明したが、係止突起127は、電気接触部91の挿入方向後端部97に直接当接することにより第1接続端子89を二重係止する構成であってもよい。
【0061】
次に、上記構成を有する本第2実施形態に係るコネクタの組立方法を説明する。
図15の(a)は第1端子付電線81がセットされたカバー83を表す手順説明図、
図15の(b)はカバー83に保持された第1端子付電線81の第1接続端子89が端子挿入口111に挿入される直前の状態を表す手順説明図である。
本第2実施形態のコネクタの組立方法では、
図13に示すように、電線87の端末部に、先ず、第1接続端子89が圧着される。電線87は、絶縁被覆が除去されて導体に第1接続端子89の導体圧着部93が圧着され、絶縁被覆が被覆電線圧着部95に圧着される。これにより、電線87は、第1端子付電線81となる。
【0062】
カバー83には、リテーナ85が、仮係止位置に装着されている。リテーナ85が装着されたカバー83のサブアッセンブリ品には、それぞれの電線保持部121に第1端子付電線81がセットされる。第1端子付電線81は、電線87が電線保持部121に挟まれ、その先端側が切欠119に保持される。また、第1端子付電線81は、電線保持部121と切欠119との間の電線87が、リテーナ85の係止突起127により離間して所定間隔に位置決めされる。すなわち、複数の第1端子付電線81は、電線保持部121に保持されながら、カバー83に仮係止位置でプリセットされているリテーナ85の係止突起127によって所定間隔に保持された状態となる。
【0063】
図16はカバー83に設けられる電線保持部121の要部拡大図である。
第1端子付電線81は、電線保持部121に挟まれた状態で、電線保持部121からの離脱が規制される。電線保持部121は、電線87の離脱を規制する一方、電線87の長手方向の移動は可能としている。従って、第1端子付電線81は、
図15(a)の上下方向に沿って、電線保持部121に対する位置調整が可能となる。
【0064】
複数の第1端子付電線81は、
図15(b)に示すように、カバー83に保持された状態で、それぞれの第1接続端子89が、第1端子収容室101に順次挿入される。
【0065】
図17の(a)はリテーナ85が仮係止位置のカバー83及びコネクタハウジング79を表す手順説明図、
図17の(b)はリテーナ85が本係止位置となったカバー83及びコネクタハウジング79を表す手順説明図である。
カバー83は、全ての第1接続端子89が第1端子収容室101に装着された後、電線保持部121に対して電線87の位置が調整されて、
図17(a)に示すように、コネクタハウジング79に装着される。すなわち、コネクタ200では、電線保持部121に対する第1端子付電線81の長手方向に沿った保持位置を調整しながら、第1端子収容室101に収容された第1接続端子89を抜け止めすると共に、電線収容箱部105に沿って直角に曲げられて電線収容溝113に収容された電線87を覆うため、カバー83がコネクタハウジング79に取り付けられる。
【0066】
コネクタ200は、
図17に示すように、カバー係合凸部107にハウジング係止穴115と不図示の係止部が係止されて、カバー83がコネクタハウジング79にセットされる。この際、リテーナ85は、未だ仮係止位置とされ、基板部133がリテーナ嵌合凹部129から後方へ突出した状態となっている。コネクタ200は、この状態で、リテーナ85がリテーナ嵌合凹部129に押し込まれる。
【0067】
図18に示すように、コネクタ200は、コネクタハウジング79に取り付けられたカバー83に、プリセットされているリテーナ85が本係止位置に移動されることにより、第1端子収容室101に収容された第1接続端子89の挿入方向後端部97(本実施形態では規制片99)がリテーナ85の係止突起127に対向配置される。これにより、第1接続端子89は、図示しないランスと係止突起127とにより二重に抜け止めされる。
コネクタ200は、このリテーナ85の本係止状態で、組み立てが完了する。
【0068】
次に、上記したコネクタの組立方法の作用を説明する。
本第2実施形態に係るコネクタの組立方法では、複数の第1端子付電線81が、カバー83の電線保持部121に保持される。つまり、複数の第1端子付電線81が、カバー83にプリセットされる。それぞれの第1端子付電線81は、第1接続端子89が電線87の端末部に圧着された後、圧着順にカバー83へ保持させることができる。そのため、複数の第1端子付電線81はフリーとならず、端子同士の接触や電線同士の絡みが生じない。
【0069】
また、本第2実施形態のコネクタの組立方法では、ストレート形状の第1接続端子89を設けた第1端子付電線81において、電線87を曲げることにより、L字タイプのコネクタ200と、一般的な水平タイプのコネクタとで、第1端子付電線81を共用できる。
また、電線87を90度曲げする際に、カバー83(特に前方に突出するリテーナ85の係止突起127)で位置規制することにより、カバー83とコネクタハウジング79を組み付ける際の電線87の挟み込みを防止できる。
【0070】
また、本第2実施形態のコネクタの組立方法では、第1端子付電線81が、カバー83に保持される。カバー83には、リテーナ85が装着される。リテーナ85は、カバー83に対し、仮係止位置とコネクタハウジング79に近接する位置の本係止位置とに、選択的に配置が可能となっている。また、リテーナ85には、複数の係止突起127が並設される。係止突起127は、カバー83を貫通し、電線保持部121に保持されている複数の第1端子付電線81を、所定間隔に位置決め可能とする。これにより、コネクタ200は、複数の第1端子付電線81が、カバー83の電線保持部121に保持される。つまり、カバー83には、複数の第1端子付電線81が、プリセットされる。それぞれの第1端子付電線81は、第1接続端子89が圧着された後、圧着順にカバー83へ保持される。そのため、複数の第1端子付電線81はフリーとならず、端子同士の接触や電線同士の絡みが生じない。
【0071】
カバー83は、全ての第1端子付電線81を保持した状態で、コネクタハウジング79に取り付けられる。この際、複数の第1端子付電線81は、カバー83の電線保持部121とカバー83に装着されたリテーナ85の係止突起127とによって既に第1接続端子89が所定の順に並べられている。このため、第1端子付電線81は、例えば左側から順に第1接続端子89をコネクタハウジング79の第1端子収容室101へ挿入していけばよく、挿入対象の第1端子収容室101を確認する手間が省け、挿入作業を良好に行うことができる。
【0072】
リテーナ85は、カバー83がコネクタハウジング79に取り付けられた後、本係止位置に移動される。リテーナ85は、本係止位置に移動されると、係止突起127が第1接続端子89の挿入方向後端部97を係止する。これにより、リテーナ85は、第1接続端子89が第1端子収容室101から抜け出すのを阻止することができる。
【0073】
従って、上述した第1及び第2実施形態に係るコネクタの組立方法によれば、電線21(87)の絡みや端子23,25(89)の傷付きを防止して、端子挿入作業を良好に行うことができる。
【0074】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0075】
ここで、上述した本発明に係るコネクタの組立方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 複数の端子収容室(第1端子収容室39(101)及び第2端子収容室41)を有するコネクタハウジング(11,79)と、
前記各端子収容室に収容される第1接続端子(23,89)が端末部にそれぞれ接続された複数の第1端子付電線(13,81)と、
前記複数の端子収容室の端子挿入口(43,111)を覆うように前記コネクタハウジングに取り付けられるカバー(15,83)と、を備えたコネクタ(100,200)の組立方法であって、
前記複数の第1端子付電線が、前記カバーの電線保持部(77,121)に保持される工程と、
前記カバーに保持された前記複数の第1端子付電線における前記第1接続端子が、前記端子収容室(第1端子収容室39(101))にそれぞれ挿入される工程と、
前記端子収容室に収容された前記第1接続端子を抜け止めするために、前記カバーが前記コネクタハウジングに取り付けられる工程と、
を含むことを特徴とするコネクタの組立方法。
[2] 前記コネクタ(100)は、前記第1接続端子(23)よりも端子接続部(第2端子接続部29)の長さが短い第2接続端子(25)が端末部にそれぞれ接続された第2端子付電線(19)を有しており、
前記第2接続端子の端子接続部が、前記コネクタハウジング(11)の前記端子収容室(第2端子収容室41)に挿入される工程と、
前記第1接続端子(23)が、前記カバー(15)に保持される工程と、
前記カバーに保持された前記第1接続端子の端子接続部(第1端子接続部27)が前記端子収容室(第1端子収容室39)に挿入案内された後、前記カバーの被ガイド部(51)が前記コネクタハウジングのガイド部(49)に嵌合されて前記コネクタハウジングに対する位置決めをされながら前記カバーが前記コネクタハウジングに取り付けられる工程と、
を含むことを特徴とする上記[1]に記載のコネクタの組立方法。
[3] 前記カバー(15)に取り付けられるスペーサ(17)により前記第1接続端子(23)が前記カバーに保持される工程と、
前記端子収容室(第2端子収容室41)に収容された前記第2接続端子(25)を前記スペーサで抜け止めするために前記カバーが前記コネクタハウジング(11)に取り付けられる工程と、
を含むことを特徴とする上記[2]に記載のコネクタの組立方法。
[4] 前記カバー(83)に仮係止位置でプリセットされているリテーナ(85)の係止突起(127)によって、前記電線保持部(121)に保持されている前記複数の第1端子付電線(81)が所定間隔に保持される工程と、
前記電線保持部に対する前記第1端子付電線の長手方向に沿った保持位置を調整しながら、前記端子収容室(101)に収容された前記第1接続端子(89)を抜け止めするため前記カバーが前記コネクタハウジング(79)に取り付けられる工程と、
前記コネクタハウジングに取り付けられた前記カバーにプリセットされている前記リテーナが本係止位置に移動されることにより、前記端子収容室に収容された前記第1接続端子の挿入方向後端部(97)が前記リテーナの係止突起により係止されて抜け止めされる工程と、
を含むことを特徴とする上記[1]に記載のコネクタの組立方法。