(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のテーパ状環状壁と筒体とによって形成された内部通路上では、まず車室内の高圧空気が下流側(燃焼ガスの流れる方向における下流側)から上流側に向かって導かれる。続いて、高圧空気は、テーパ状環状壁の内周面に沿って、その流れ方向が180°反転された後、混合管に導入される。
【0007】
このように、上記特許文献1に記載された燃焼器では、高圧空気の流れの反転を伴うことから、内部通路中における高圧空気の流速分布が不均一となる虞がある。高圧空気の流速分布が均一でない場合、下流側の筒体内でも同様に流れの不均衡を生じ、結果としてNOxの生成量が増えてしまう場合がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、高圧空気の流速分布を最適化することで、NOx生成量が低減された燃焼器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、燃焼器は、軸線方向に沿って延びる燃料ノズルを保持するとともに、下流側に向かって空気が流通する第一筒体と、該第一筒体の下流側に接続される第二筒体と、前記第一筒体の外周面との間で、前記第一筒体の上流端で反転させて前記下流側に向かうように空気を導入する空気導入路を画成する内周面を有する外筒と、を備え、前記外筒は、タービン車室に設けられた燃焼器挿入口の内周側に嵌合する嵌合凸部を備え、前記嵌合凸部の内周面に、前記第一筒体の上流端側に向かうにしたがって径方向内側に向かって延びる外側絞り面が形成され、前記外周面上であって、前記外側絞り面に対して径方向から対向する部分には、前記第一筒体の上流端側に向かうにしたがって径方向外側に向かって延びる内側絞り面が形成され
、前記外側絞り面の上流側端部は、前記内側絞り面の上流側端部よりも上流側に位置している。
【0009】
この構成によれば、外筒の内周面に外側絞り面が形成されていることから、空気導入路内を当該外側絞り面に沿って流通する空気の流速分布を均一にすることができる。特に、外側絞り面は、第一筒体の上流側端に向かうにしたがって径方向内側に向かって延びることから、空気が第一筒体の上流端で反転する際に、外周側における空気の流速を内周側の空気の流速に比べて大きくすることができる。これにより、空気導入路の出口側で、空気の流速分布を均一化することができる。
【0011】
さらに、第一筒体の外周面上で、外側絞り面と対向する部分に内側絞り面が形成されていることから、空気が第一筒体の上流端で反転する際に、当該上流端の外周側に加えて内周側でも空気の流速を最適化することができる。
また、外側絞り面の上流側端部が、内側絞り面の上流側端部よりも上流側に位置していることから、外側絞り面に沿って流通する空気の流れが、内側絞り面に沿って流通する空気の流れに比べて、より上流側に到達しやすくなる。外側絞り面によって案内された空気は、軸線の径方向内側に向かう方向成分を多く含むことから、第一筒体の上流端でさらに円滑に反転することができる。
【0012】
本発明の第
二の態様によれば、上記第二の態様に係る燃焼器において、前記軸線を含む断面視で、該軸線と前記外側絞り面とがなす角度をαとし、前記軸線と前記内側絞り面とがなす角度をβとしたとき、α<βの関係が成立するように構成されてもよい。
【0013】
この構成によれば、外筒の内周面上において、軸線と外側絞り面とがなす角度αは、第一筒体の外周面上において、軸線と内側絞り面とがなす角度βよりも小さい。これにより、外側絞り面に沿って流通する空気では、内側絞り面に沿って流通する空気に比べて、上流側に向かう方向成分が多くなる。すなわち、空気が第一筒体の上流端で反転する際に、外周側における空気の流速を内周側の空気の流速に比べて大きくすることができる。
【0016】
本発明の第
三の態様によれば、ガスタービンは、圧縮空気を生成する圧縮機と、上記第一
又は第二の態様に係る燃焼器と、前記燃焼器によって生成された燃焼ガスによって回転駆動されるタービンと、を備える。
【0017】
この構成によれば、NOx生成量が低減された燃焼器を備えるガスタービンを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高圧空気の流速分布を最適化することで、NOx生成量が低減された燃焼器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るガスタービン1は、外気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機2と、この圧縮空気に燃料を混合して燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスを生成する燃焼器3と、この燃焼ガスによって回転駆動されるタービン4と、を備えている。
【0021】
圧縮機2は、圧縮機車室5Aと、この圧縮機車室5A内で主軸線Am回りに回転する圧縮機ロータ6Aと、を備えている。圧縮機車室5Aの内周面上には、主軸線Amの周方向に間隔をあけて配列された複数の圧縮機静翼7Aが取り付けられている。圧縮機ロータ6Aの外周面上には、複数の圧縮機動翼8Aが取り付けられている。これら複数の圧縮機静翼7Aと圧縮機動翼8A同士は、主軸線Am方向に互い違いになるように配列されている。
【0022】
燃焼器3は、例えば主軸線Amの周方向に間隔をあけて複数が取り付けられている。これら複数の燃焼器3には、上記の圧縮機2で生成された圧縮空気が供給される。燃焼器3中で、この圧縮空気と燃料とが混合・燃焼することで、高温高圧の燃焼ガスが生成される。
【0023】
タービン4は、タービン車室5Bと、このタービン車室5B内で主軸線Am回りに回転するタービンロータ6Bと、を備えている。タービン車室5Bの内周面上には、主軸線Amの周方向に間隔をあけて配列された複数のタービン静翼7Bが取り付けられている。タービンロータ6Bの外周面上には、複数のタービン動翼8Bが取り付けられている。これら複数のタービン静翼7Bとタービン動翼8B同士は、主軸線Am方向に互い違いになるように配列されている。
【0024】
タービンロータ6Bの一端側は、例えば当該タービンロータ6Bの回転に伴って発電する発電機(図示省略)と接続されている。一方で、タービンロータ6Bの他端側は、上記の圧縮機ロータ6Aに対して主軸線Am方向に接続されている。すなわち、タービンロータ6Bと圧縮機ロータ6Aとは、主軸線Am回りに一体に回転可能となっている。
【0025】
続いて、燃焼器3の構成について
図2、
図3を参照して説明する。
図2は、燃焼器3を自身の中心軸線Ac(軸線)に交差する方向から見た断面図である。同図に示すように、燃焼器3は、タービン車室5Bに形成された燃焼器挿入口9を通じて、タービン車室5B内に挿入されている。より詳細には、この燃焼器3は、タービン車室5B内の圧縮空気を燃焼器3内に導く外筒10と、圧縮空気と燃料とを混合・燃焼させて燃焼ガスを供給するスワラ支持筒11(第一筒体)と、この燃焼ガスをタービンロータ6Bのタービン動翼8Bに送る燃焼筒12(第二筒体)と、備えている。なお、以下の説明では、燃焼器3の中心軸線Acに沿って、スワラ支持筒11が位置する側を上流側と呼び、燃焼筒12が位置する側を下流側と呼ぶ。
【0026】
外筒10は、後述する燃料ノズル13を支持するとともに、燃焼器挿入口9を外側から塞ぐように取り付けられた略筒状の部材である。本実施形態に係る外筒10は、外筒本体10Aと、ノズル台14と、を備えている。外筒本体10Aは、中心軸線Acを中心とする円盤状をなしている。外筒本体10Aの下流側の面上における外周側の領域には、燃焼器挿入口9の内周側に嵌合する嵌合凸部15が形成されている。さらに、外筒本体10Aの中心点を含む中央部の領域には、ノズル台14を支持する支持開口16が形成されている。なお、外筒10は、一例としてトップハット等と呼ばれることがある。
【0027】
嵌合凸部15の外周面は、燃焼器挿入口9の内周面と同一かわずかに小さな径寸法を有している。これにより、嵌合凸部15の外周面は、燃焼器挿入口9の内周面に対して隙間なく嵌合する。嵌合凸部15の内周面は、スワラ支持筒11の外周面11Sに対して中心軸線Acの径方向に隙間をあけて対向している。この隙間は、タービン車室5B内の圧縮空気を導入するための空気導入路Cとして用いられる。より詳細には、嵌合凸部15の内周面上には、下流側からスワラ支持筒11の上流端側に向かって順に、外側絞り面17と、平行面18と、反転面19と、が形成されている。
【0028】
図3に示すように、外側絞り面17は、中心軸線Acを含む断面視で、中心軸線Acに対して角度αだけ傾斜して延びている。より詳細には、外側絞り面17は、嵌合凸部15の内周面に沿って下流側から上流側に向かうにしたがって、中心軸線Acの径方向内側に向かって延びている。
【0029】
さらに、外側絞り面17の上流側端部は、平行面18に接続されている。平行面18は、中心軸線Acに対して平行に延びている。平行面18の上流側端部は、反転面19に接続されている。
【0030】
反転面19は、平行面18の上流側端部に接続された曲面である。より詳細には、反転面19は、中心軸線Acを含む断面視で、スワラ支持筒11の上流端を中心とする1/4円弧をなしている。反転面19の上流側端部(すなわち、中心軸線Acの径方向内側の端部)は、上記の支持開口16の内周面と接続されている。
【0031】
この反転面19には、空気導入路C内に燃料を噴射するトップハットノズル(以下、ペグ20と呼ぶ)が取り付けられている。具体的には、ペグ20は、反転面19の内周面上から、中心軸線Acに向かって45°の方向に延びる棒状をなしている。詳しくは図示しないが、このペグ20は、燃料供給源に接続されている。この燃料は、空気導入路C内で圧縮空気と混合される。
【0032】
再び
図2に示すように、ノズル台14は、燃料ノズル13を支持する部材である。なお、本実施形態では、燃料ノズル13は、第1ノズル13P、及び第2ノズル13Mの2種類を含んでいる。より具体的には
図2に示すように、ノズル台14は、外筒本体10Aの支持開口16によって外周側から支持される円環状をなしている。ノズル台14の中心点を含む領域には、第1ノズル13Pが挿通されている。
【0033】
第1ノズル13Pは、中心軸線Acに沿って延びる円柱状をなしており、上流側から下流側にかけてその内部は中空とされている。第1ノズル13Pの上流側には燃料供給源が接続されており、上流側から第1ノズル13P内に供給された燃料は、下流側に向かって流れた後、下流側先端に設けられた第1ノズル本体13Aからスワラ支持筒11の内部に向かって噴射される。なお、第1ノズル本体13Aの外周側には、第1コーン13Cが取り付けられている。第1コーン13Cは、中心軸線Acの上流側から下流側に向かって次第に拡径する漏斗状の部材である。
【0034】
さらに、ノズル台14における外周側の領域(すなわち、第1ノズル13Pよりも外周側の領域)には、中心軸線Acの周方向に間隔をあけて複数の第2ノズル13Mが取り付けられている。これら第2ノズル13Mは中心軸線Acに沿って互いに平行に延びている。第1ノズル13Pと同様に、第2ノズル13Mの内部にも燃料供給源から供給された燃料が流れる。上流側から供給された燃料は、下流側に形成された噴射口(不図示)を通じてスワラ支持筒11内部に供給される。
【0035】
スワラ支持筒11は、中心軸線Acに沿って延びる円筒状をなしている。スワラ支持筒11の下流側の端部には、上記の燃焼筒12が接続部材21を介して接続されている。スワラ支持筒11は、燃焼筒12の内径よりも小さな外径を有することで、燃焼筒12の内周側に挿通されている。接続部材21は、中心軸線Acの周方向に延びる円環状の弾性部材によって構成されている。上記のノズル台14が燃焼器挿入口9に取り付けられた状態において、燃料ノズル13(第1ノズル13P、第2ノズル13M)の先端部は、いずれもスワラ支持筒11の内側で保持される。
【0036】
さらに、
図3に示すように、スワラ支持筒11の上流側端部を含む部分には、径方向外側に向かって膨らんだ膨出部22が設けられている。膨出部22の厚さ寸法(中心軸線Acの径方向における寸法)は、膨出部22以外の部分におけるスワラ支持筒11の厚さ寸法よりも大きく設定されている。膨出部22の上流側の端面は、中心軸線Acを含む断面視で半円弧状の断面をなしている。
【0037】
スワラ支持筒11の外周面11S上(膨出部22の外周面22S上)であって、上述の外側絞り面17に径方向から対向する部分には、内側絞り面23が形成されている。内側絞り面23は、中心軸線Acを含む断面視で、中心軸線Acに対して角度βだけ傾斜して延びている。より詳細には、内側絞り面23は、スワラ支持筒11の外周面11Sに沿って下流側から上流側に向かうにしたがって径方向外側に向かって延びている。
【0038】
さらに、本実施形態では、上記の外側絞り面17が中心軸線Ac(平行面18)に対してなす角度αの値と、内側絞り面23がスワラ支持筒11の外周面11Sとなす角度βの値との間には、α<βの関係が成立している。
【0039】
加えて、
図3に示すように、外側絞り面17の上流側端部は、内側絞り面23の上流側端部よりも上流側に位置している。
【0040】
以上のようにして、外筒10の内周面とスワラ支持筒11の外周面11Sとによって空気導入路Cが形成される。空気導入路Cの下流側端部を含む部分(すなわち、外側絞り面17と内側絞り面23によって形成される流路)では、下流側から上流側に向かうにしたがって次第に径方向の寸法が縮小している。
【0041】
続いて、本実施形態に係るガスタービン1の動作について、
図1を参照して説明する。
ガスタービン1を運転するに当たっては、まず圧縮機2を外部の動力源によって駆動する。圧縮機2が駆動することで、外部の空気が圧縮機2内部に取り込まれ、圧縮機動翼8Aと圧縮機静翼7Aとの間を流通する間に順次圧縮されて高圧の圧縮空気が生成される。
【0042】
圧縮機2で生成された圧縮空気は、タービン車室5Bを経て燃焼器3内部に取り込まれる。詳しくは後述するが、燃焼器3では、上記の燃料ノズル13によって供給された燃料と圧縮空気とが混合された後、燃焼して、高温高圧の燃焼ガスが生成される。
【0043】
燃焼器3で生成された燃焼ガスは、後続のタービン4に供給される。タービン4内では、燃焼ガスがタービン動翼8Bに衝突することで、タービンロータ6Bに回転力を与える。これにより、タービンロータ6Bが回転する。タービンロータ6Bは上述のように圧縮機ロータ6Aに一体に接続されていることから、当該タービンロータ6Bの回転に伴って圧縮機ロータ6Aも回転駆動される。つまり、定常運転状態では、圧縮機2による圧縮空気の生成と、タービン4の回転とが連続的なサイクルを形成する。
【0044】
次に、燃焼器3における圧縮空気の挙動について、
図2と
図3を参照して説明する。
図2に示すように、圧縮機2で生成された圧縮空気は、まずタービン車室5B内に流れ込む。ここで、燃焼器3内部は、タービン車室5B内に比べて相対的に低圧となっていることから、圧縮空気は自然に燃焼器3内に取り込まれる。
【0045】
より具体的には、タービン車室5B内の圧縮空気は、上述の空気導入路Cを通じてスワラ支持筒11内部に流れ込む。スワラ支持筒11内部では、圧縮空気は第2ノズル13Mを外側から囲むようにして上流側から下流側に流れる。ここで、第2ノズル13Mの下流側端部からは上述のように燃料が噴射されている。これにより、第2ノズル13Mの下流側の領域では、燃料と圧縮空気とが混合された予混合ガスが生成される。
【0046】
第1ノズル13Pの先端からは燃料のみが噴射される。この燃料に対して、不図示の着火装置によって着火することで、拡散燃焼によるパイロット火炎が形成される。パイロット火炎が、上記の予混合ガスに伝播することで、第2ノズル13Mの下流側では予混合火炎が形成されるとともに、上述の燃焼ガスが生成される。
【0047】
ところで、
図3に示すように、圧縮空気は、外筒10とスワラ支持筒11とによって画成される空気導入路Cによって燃焼器3内部に導かれる。上述したように、空気導入路Cの端部は、下流側に向かって開口している。圧縮空気は、この開口からタービン車室5B内から空気導入路C内に流れ込んだ後、上記の反転面19による180°の反転を経て向きを変えて、スワラ支持筒11の内部で上流側から下流側に向かって流通する。
【0048】
ここで、空気導入路C内では、上記のような流れ方向の反転を伴うことから、反転面19の外周側(すなわち、膨出部22よりも反転面19に近接する側)と、内周側(膨出部22側)とでは、圧縮空気の流速が異なっている。このような流速分布の不均衡から、空気導入路Cの下流側、すなわち、スワラ支持筒11の上流側では、空気流量に偏りが生じる虞がある。このような空気流量の偏りが生じてしまった場合、燃焼ガスの濃度分布にも偏りが生じることがある。これにより、NOxの生成量が規定よりも大きくなってしまう懸念もある。
【0049】
しかしながら、本実施形態に係る燃焼器3では、外筒10の内周面に外側絞り面17が形成されていることから、空気導入路C内を当該外側絞り面17に沿って流通する空気の流速分布を均一にすることができる。特に、外側絞り面17は、スワラ支持筒11の上流側端に向かうにしたがって径方向内側に向かって延びることから、空気がスワラ支持筒11の上流端で反転する際に、外周側における空気の流速を内周側の空気の流速に比べて大きくすることができる。これにより、空気導入路Cの出口側で、空気の流速分布を均一化することができる。
【0050】
さらに、上述の構成によれば、スワラ支持筒11の外周面上で、外側絞り面17と対向する部分に内側絞り面23が形成されていることから、空気がスワラ支持筒11の上流端で反転する際に、当該上流端の外周側に加えて内周側でも空気の流速を最適化することができる。
【0051】
加えて、上述の構成によれば、外筒10の内周面上において、中心軸線Acと外側絞り面17とがなす角度αは、スワラ支持筒11の外周面上において、中心軸線Acと内側絞り面23とがなす角度βよりも小さい。これにより、外側絞り面17に沿って流通する空気では、内側絞り面23に沿って流通する空気に比べて、上流側に向かう方向成分が多くなる。これにより、空気がスワラ支持筒11の上流端で反転する際に、外周側における空気の流速を内周側の空気の流速に比べて大きくすることができる。
【0052】
また、上述の構成によれば、外側絞り面17の上流側端部が、内側絞り面23の上流側端部よりも上流側に位置していることから、外側絞り面17に沿って流通する空気の流れが、内側絞り面23に沿って流通する空気の流れに比べて、より上流側に到達しやすくなる。外側絞り面17によって案内された空気は、中心軸線Acの径方向外側から内側に向かう方向成分を多く含むことから、スワラ支持筒11の上流端でさらに円滑に反転することができる。以上により、本実施形態に係る燃焼器3では、圧縮空気の流速分布が最適化されることで、燃焼ガスの濃度分布が適正となるため、NOx生成量を低減することができる。
【0053】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、
図4を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付した上で、詳細な説明を省略する。同図に示すように、本実施形態では、スワラ支持筒11の上流側端部に、膨出部22が形成されていない点で第一実施形態と異なっている。つまり、本実施形態では、スワラ支持筒11の外周面11Sは、上流側から下流側にかけて同一の外径寸法を有している。なお、スワラ支持筒11の上流側の端面は、上記第一実施形態と同様に、半円弧状の断面形状を有している。
【0054】
以上のような構成によっても、上記第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、内側絞り面23が形成されていないことから、径方向内側から径方向外側に向かう流れ方向成分が減少する。一方で、外側絞り面17に沿って案内された流れ中では、径方向外側から内側に向かう成分(すなわち、反転面19に沿う成分)が増加することから、圧縮空気をより円滑に反転させることができる。これにより、空気導入路Cの出口側における圧縮空気の流速分布をさらに適正化することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0056】
例えば、上記の各実施形態では、外側絞り面17と平行面18の接続部分、及び内側絞り面23と膨出部22の接続部分がいずれも角部を有している例について説明した。しかしながら、これら接続部分の構成は上記実施形態によっては限定されず、これら接続部分が連続する曲面をなしていてもよい。具体的には、外側絞り面17から平行面18に向かうにしたがって、又は内側絞り面23から膨出部22に向かうにしたがって、緩やかに湾曲するように構成されていてもよい。このような構成によれば、角部が形成されている場合に比して、流れの淀みや剥離が生じる可能性をさらに低減することができることから、空気導入路C内における圧縮空気の流速分布をさらに適正化することができる。
【0057】
さらに、上記の各実施形態では、外側絞り面17と反転面19との間に、平行面18が形成されている例について説明した。しかしながら、外側絞り面17の上流側端部に、反転面19が直接接続された構成を採ることも可能である。言い換えると、外筒10の内周面に、平行面18が形成されていない構成を採ってもよい。このような構成によっても、上述した作用効果を同様に得ることができる。