特許第6768373号(P6768373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768373
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20060101AFI20201005BHJP
   G03B 5/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G02B7/04 D
   G03B5/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-127634(P2016-127634)
(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公開番号】特開2018-4746(P2018-4746A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】矢野 友秀
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−190986(JP,A)
【文献】 特開2015−191225(JP,A)
【文献】 特開2004−061935(JP,A)
【文献】 特開平06−167645(JP,A)
【文献】 特開2010−266679(JP,A)
【文献】 特開平11−326734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02−7/16
G03B 5/00−5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ンズを保持した可動枠と、
前記可動枠を前記レンズの光軸と直交する面に沿って移動可能に保持した第1固定枠と、
前記第1固定枠と一体に前記光軸の方向に移動可能に設けた第2固定枠と、
前記可動枠を前記第1固定枠に対して前記面に沿って移動させてブレを補正する駆動部と、
前記可動枠とともに前記第1及び第2固定枠を前記光軸に沿って移動可能に収容した鏡筒と、
前記可動枠とともに前記第1及び第2固定枠を前記鏡筒内で前記光軸の方向に移動させる移動機構と、
前記鏡筒の内面に転動可能に圧接する周面を有して前記レンズの周方向に沿って等間隔で前記第1固定枠に設けた複数のローラと
前記第1固定枠と前記第2固定枠の間に配置した弾性部材と、
を有するレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記移動機構は、前記第1固定枠に設けたカムフォロアと、前記カムフォロアと係合するカム溝を有して前記鏡筒の外側に回転可能に設けたカム枠と、を有し、
前記弾性部材は、基端部を前記第1固定枠に固定し且つ先端にある押圧部を前記第2固定枠に押し付けた板バネであり、
前記カムフォロアの前記周方向の位置と前記板バネの前記押圧部の前記周方向の位置を略等しくしたことを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記弾性部材は、基端部を前記第1固定枠に固定し且つ先端にある押圧部を前記第2固定枠に押し付けた複数の板バネであり、
前記ローラの前記周方向の位置と前記板バネの前記押圧部の前記周方向の位置を略等しくしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、レンズを保持した可動枠を光軸と直交する面に沿って移動する手ブレ補正機能付きのレンズユニットを光軸方向に沿って移動可能に備えたレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの手ブレ補正機構は、例えばレンズを保持した可動枠を固定枠に対して光軸と直交する面に沿って移動させるボイスコイルモータ(VCM)を有する。近年、この手ブレ補正機構を備えたレンズユニットを光軸方向に移動させるタイプのズームレンズが知られている。この種のズームレンズは、一般にカム機構を用いてレンズユニットを光軸方向に移動させるため、カム溝とカムフォロアとの間のガタによりレンズユニットと鏡筒との間にもガタが発生する。このガタは、手ブレ補正時に、レンズユニットの固定枠が可動枠と共振する問題を生じる。
下記特許文献1及び下記特許文献2にはカム機構を用いてレンズユニットを光軸方向に移動させることについての記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−294975号公報
【特許文献2】特開2002−196387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カム機構を用いてレンズユニットを光軸方向に移動させると、カム溝とカムフォロアとの間にガタがある状態でブレ補正ユニットを駆動することとなり、鏡枠間での共振が発生し、手ブレ補正制御が正常にできなくなる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、鏡枠の光軸方向への円滑な動作を確保しながら、手ブレ補正ユニットから伝播する振動を抑えて手ブレ補正制御を確実にできるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレンズ鏡筒の一態様は、レンズを保持した可動枠と、可動枠をレンズの光軸と直交する面に沿って移動可能に保持した第1固定枠と、第1固定枠と一体に光軸の方向に移動可能に設けた第2固定枠と、可動枠を第1固定枠に対して面に沿って移動させブレを補正する駆動部と、可動枠とともに第1及び第2固定枠を光軸に沿って移動可能に収容した鏡筒と、可動枠とともに第1及び第2固定枠を鏡筒内で光軸の方向に移動させる移動機構と、鏡筒の内面に転動可能に圧接する周面を有してレンズの周方向に沿って等間隔で第1固定枠に設けた複数のローラと、第1固定枠と第2固定枠の間に配置した弾性部材と、を有する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カム溝とカムフォロアとの間のガタが無い状態でブレ補正ユニットを駆動することができるので、鏡枠間での共振する不具合を防止でき、手ブレ補正制御を確実にできるレンズ鏡筒を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るレンズ鏡筒を最も縮めた状態を示す断面図である。
図2図2は、図1のレンズ鏡筒を途中まで伸ばした状態を示す断面図である。
図3図3は、図1のレンズ鏡筒を最も伸ばした状態を示す断面図である。
図4図4は、図1のレンズ鏡筒内に組み込まれた手ブレ補正機構付きのレンズユニットを示す外観斜視図である。
図5図5は、図4のレンズユニットを光軸方向に移動させるためのカム枠を示す外観図である。
図6図6は、図4のレンズユニットに設けた付勢ローラを鏡筒側から見た図である。
図7図7は、図6の付勢ローラの動作を説明するための図である。
図8図8は、図4のレンズユニットの各ローラの周面が圧接する鏡筒側の案内凸部を示す概略図である。
図9図9は、図4のレンズユニットの板バネを示す概略図である。
図10図10は、図9の板バネを示す斜視図である。
図11図11は、図9の板バネの作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
以下の説明において、図示しないカメラを構えた状態で図示しない被写体に向かう方向を前方と称し、その反対を後方と称する。また、レンズ鏡筒100が構成する光学系の光軸Oと一致する軸をZ軸とし、Z軸に直交する平面上において互いに直交する2つの軸をX軸及びY軸とする。
【0010】
図1乃至図3は、本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒100を示す概略断面図である。図1は、レンズ鏡筒100を最も縮めた状態(WIDE)を示し、図3は、レンズ鏡筒100を最も伸ばした状態(TELE)を示し、図2は、図1図3の間の状態、すなわちレンズ鏡筒を途中まで伸ばした状態を示す。また、図4は、レンズ鏡筒100に組み込まれたレンズユニット200を示す外観斜視図である。
【0011】
レンズユニット200は、補正対象となるレンズ1を保持した可動枠2、可動枠2を光軸Oと直交するXY平面に沿って面方向に移動可能に保持した固定枠4、および可動枠2を固定枠4に対して面方向に移動させて手ブレを補正するための図示しないボイスコイルモータ(VCM)を有する。レンズユニット200は、鏡筒102内に収容配置され、後述するズーム機構110によって光軸O方向に移動可能に設けられている。つまり、このレンズユニット200は、手ブレ補正機能を有するとともにレンズ鏡筒100のズーム機能を担う。
【0012】
レンズ1を保持した可動枠2は、図示しない複数のボールを間に挟んで固定枠4に対して光軸O方向に対向し、Z軸方向に延設した図示しない複数本のバネにより固定枠4に取り付けられている。VCMは、可動枠2および固定枠4の一方に設けた図示しない磁石、およびこの磁石に対向して可動枠2および固定枠4の他方に設けた図示しないコイルを有する。磁石およびコイルは、可動枠2を固定枠4に対してX軸方向に移動させるための組と、可動枠2を固定枠4に対してY軸方向に移動させるための組がある。
【0013】
固定枠4は、可動枠2を移動可能に保持した略円筒形の後方第1固定枠4a、鏡筒102の内面に設けた後述する案内凸部103の表面103aに接触して転動する後述する3つのローラ10をその外周部に備えた略円筒形の前方第1固定枠4b、および略円筒形の第2固定枠4cを、光軸O方向の後方から前方に向けて重ねた構造を有する。後方第1固定枠4aおよび前方第1固定枠4bは、図示しないネジ等により互いに締結固定されている。
【0014】
第2固定枠4cは、後方第1固定枠4aおよび前方第1固定枠4bと一体に光軸方向に移動可能に設けられている。言い換えると、第2固定枠4cは、後方第1固定枠4aおよび前方第1固定枠4bとは別体に設けられている。前方第1固定枠4bと第2固定枠4cの間には、両者を互いに離間させる方向に付勢する複数(本実施形態では3つ)の板バネ20(弾性部材)が配置されている。
【0015】
ズーム機構110は、鏡筒102の外側に回転可能に設けた円筒状のカム枠30を有する。カム枠30は、レンズ鏡筒100の最も外周側にある操作環104を回転することで回転されるようになっている。図5に示すように、カム枠30は、光軸方向にねじれた複数本のカム溝31、32、33を有する。各カム溝31、32、33は、カム枠30の周方向に等間隔で並んで3本ずつ設けられている。3本のカム溝32は、それぞれ、3本のカム溝31に沿って同じ方向に傾斜している。一方、3本のカム溝33は、カム溝31、32とは異なる方向に傾斜している。
【0016】
最も後方にある3本のカム溝31には、それぞれ、前方第1固定枠4bの外周面から放射状に突出した3本のカムフォロア41が挿通されている。3本のカムフォロア41は、前方第1固定枠4bの周方向に沿って等間隔で設けられている。鏡筒102は、3本のカムフォロア41をそれぞれ挿通する光軸方向に伸びたスライド溝111を有する。
【0017】
また、3本のカム溝32には、それぞれ、第2固定枠4cの外周面から放射状に突出した3本のカムフォロア42が挿通されている。3本のカムフォロア42は、第2固定枠4cの周方向に沿って等間隔で設けられている。3本のカムフォロア42は、上述した3本のカムフォロア41とともに鏡筒102のスライド溝111に挿通されている。つまり、3本のカムフォロア42は、上述した3本のカムフォロア41に対して、それぞれ、光軸方向に隣接している。
【0018】
最も前方にある3本のカム溝33には、それぞれ、レンズユニット200の前方に配置された別のレンズユニット210の外周面から放射状に突出した3本のカムフォロア43が挿通されている。3本のカムフォロア43は、別のレンズユニット210の周方向に沿って等間隔で設けられている。鏡筒102は、3本のカムフォロア43をそれぞれ挿通する光軸方向に伸びたスライド溝112を有する。
【0019】
しかして、操作環104を回転してカム枠30を回転させると、レンズユニット200が光軸方向に移動し、別のレンズユニット210が光軸方向に沿った逆方向に移動する。
【0020】
例えば、図1(および図5)の状態から操作環104を所定方向に回転すると、各カム溝31、32のプロファイルに従って各カムフォロア41、42がそれぞれスライド溝111に沿って前方に移動し、レンズユニット200が図2および図3に示すように前方に移動する。このとき、同時に、別のレンズユニット210が、後方に移動する。操作環104を逆方向に回転すると、レンズユニット200が後方に移動し、別のレンズユニット210が前方に移動する。カム溝31、32のプロファイルは、レンズユニット200の移動中に、第1固定枠4a、4bと第2固定枠4cが互いにわずかに押し付け合って一体になって移動するような形状に設計されている。
【0021】
図6は、前方第1固定枠4bに設けた3つのローラ10のうち1つのローラ10a(以下、付勢ローラ10aと称する)を鏡筒102側から見た概略図である。3つのローラ10は、レンズ1の周方向に沿って等間隔で(本実施形態では120°毎に)前方第1固定枠4bの外周部に回転可能に取り付けられている。各ローラ10は、光軸O方向において、カム溝31、32とカムフォロア41、42とが係合する範囲の外側となる位置に配置されている。
【0022】
各ローラ10の回転軸11はレンズ1の接線方向に延びている。このため、レンズユニット200の光軸Oに沿った移動により、各ローラ10の外周面が鏡筒102の内面(案内凸部103の表面103a、以下、案内面103aと称する)に接触して転動するようになっている。つまり、各ローラ10の外周面は、レンズユニット200と鏡筒102との間のわずかな隙間に向けて、前方第1固定枠4bの外周面より外側にわずかに突出している。なお、3つのローラ10およびその回転軸11は、それぞれ金属製である。また、各ローラ10が接触して回転する案内面103aを有する案内凸部103も金属製である。
【0023】
図6の付勢ローラ10aは、その回転軸11に取り付けたトグルバネ12によって、鏡筒102の案内面103aに向けて径方向外側に付勢される。トグルバネ12は、図7に示すように、両端を互いに近付ける方向に弾性変形させた状態で前方第1固定枠4bに取り付けられている。このため、トグルバネ12は、その復元力(図示矢印F1)の合力(図示矢印F2)により、付勢ローラ10aの外周面を案内凸部103の案内面103aに圧接させるよう機能する。
【0024】
付勢ローラ10aが鏡筒102の案内面103aに圧接されると、案内面103aからの反力によってレンズユニット200が逆方向に押され、残り2つのローラ10の外周面が鏡筒102の内面に向けて押し付けられる。鏡筒102の内面には、2つのローラ10の外周面が圧接される案内凸部103およびその平らな案内面103aが設けられている。3つのローラ10がそれぞれの案内面103aに当接する圧力は均等である。
【0025】
3つのローラ10がそれぞれの案内面103aに当接する圧力を均等にすることで、レンズユニット200の光軸O方向に沿った移動範囲の全長にわたってレンズユニット200を真っ直ぐに移動させることができる。つまり、レンズユニット200の光軸O方向に沿った位置にかかわらず、レンズユニット200の中心軸をレンズ鏡筒100の光軸Oと一致させることができ、安定したブレ補正制御が可能となる。
【0026】
図8に示すように、案内凸部103は鏡筒102の内面からわずかに突出しており、その表面すなわち案内面103aは平らである。レンズユニット200の直進性を高めるため、各案内面103aは光軸Oと平行に延びている。一方、各ローラ10の外周面は、その回転軸11に沿った断面形状が外側に突出するように湾曲している。各案内面103aを平らにすることで、ローラ10がわずかに傾斜して案内面103aに当接した場合であってもローラの接触状態が変化しない。このため、3つのローラ10をそれぞれの案内面103aに対して同じ条件で安定して圧接させることができ、レンズユニット200の移動をスムーズにできる。
【0027】
図9は、レンズユニット200の前方第1固定枠4bを第2固定枠4c側から見た概略図である。前方第1固定枠4bの第2固定枠4c側の面には、3つの板バネ20がネジ21によりそれぞれ締結固定されている。各板バネ20は、図10に示すように、基端部側にネジ21を挿通するための孔20aを有し、ネジ締結固定部から離れた先端に押圧部22を有する。押圧部22は、板バネ20を部分的に折り曲げて湾曲させた形状を有する。各板バネ20は、この押圧部22の突出側(図10の紙面手前側)が第2固定枠4cに向く姿勢で前方第1固定枠4bに締結固定されている。
【0028】
より具体的には、各板バネ20は、その押圧部22が前方第1固定枠4bの周方向に沿って等間隔(本実施形態では120°間隔)となる位置で第2固定枠4cに接触するように固設されている。さらに具体的には、各板バネ20の押圧位置すなわち押圧部22の周方向に沿った位置は、上述した3つのローラ10の近傍に設定した。なお、レンズユニット200を光軸方向に移動する際に操作環104を介して固定枠4に付勢力を与える作用点、すなわちカムフォロア41、42の周方向の位置も上述した3つのローラ10の近傍に設定した。
【0029】
しかして、図11に示すように、前方第1固定枠4bと第2固定枠4cを密着させると、各板バネ20は、基端部を中心に前方第1固定枠4bの方向に湾曲変形する。この状態で、各板バネ20の復元力によって、各板バネ20の押圧部22が第2固定枠4cに押し付けられる。
【0030】
以上のように、本実施形態によると、周方向に等間隔で配置した3つのローラ10を介して、レンズユニット200を鏡筒102に対して光軸Oに沿って移動可能に支持したため、レンズユニット200の直進性を高めて移動をスムーズにできる。また、本実施形態によると、トグルバネ12を用いて3つのローラ10を鏡筒102の案内面103aにそれぞれ圧接させることで、固定枠4の鏡筒102に対するXY平面方向の振動を吸収することができ、手ブレ補正による可動枠2の振動によって固定枠4が共振する不具合を防止することができる。
【0031】
また、本実施形態によると、固定枠4の前方第1固定枠4bと第2固定枠4cの間に弾性部材(3つの板バネ20)を配置したため、手ブレ補正により可動枠2から後方第1固定枠4aに伝わる光軸方向の振動を吸収することができ、固定枠4が共振する不具合を防止することができる。つまり、本実施形態によると、レンズユニット200におけるXY平面方向の振動のみならずZ軸方向の振動も吸収できるため、全ての方向に関する共振の発生を抑えることができ、安定した手ブレ補正制御が可能となる。
【0032】
また、本実施形態によると、光軸O方向に沿って、カムフォロア41、42と可動枠2の間に3つのローラ10を配置したため、ズーム機構110からレンズユニット200に与えられる力の作用点(カムフォロア41、42)と振動発生源である可動枠2との間に3つのローラ10を設けることができ、振動吸収効果をより高めることができ、共振を抑制できる。
【0033】
また、本実施形態によると、作用点となるカムフォロア41、42の近傍にそれぞれローラ10を配置したため、カムフォロア41、42が殆ど全ての応力を受けることで、各ローラ10に作用する周方向の応力を殆ど無くすことができ、各ローラ10に作用する力の方向を径方向に限定することができる。これにより、レンズユニット200の光軸方向への移動をよりスムーズにできる。
【0034】
また、本実施形態によると、レンズユニット200を光軸Oに沿って移動させる際の付勢力が作用するカムフォロア41、42とローラ10をそれぞれ近傍に配置したため、レンズユニット200に力がかかる位置を光軸方向に概ね重ねることができ、光軸Oに沿った方向以外の不所望なこじり力などが作用する不具合を防止することができ、レンズユニット200を光軸方向にスムーズに移動することができる。なお、本実施形態では、互いに近接したカムフォロア41、42とローラ10とをそれぞれ周方向に5°ずらして配置したため、各ローラ10とスライド溝111との干渉を避けることができる。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を超えることなく任意に変更可能である。
【0036】
本発明の他の実施形態のレンズ鏡筒は、
レンズを保持した可動部材と、
前記可動部材を前記レンズの光軸と直交する面に沿って移動可能に保持した固定部材と、
前記可動部材を前記固定部材に対して前記面に沿って移動させる駆動部と、
前記可動部材とともに前記固定部材を前記光軸に沿って移動可能に収容した鏡筒と、
前記可動部材とともに前記固定部材を前記鏡筒内で前記光軸方向に移動させる移動機構と、
前記鏡筒の内面に転動可能に圧接する周面を有して前記レンズの周方向に沿って等間隔で前記固定部材に設けた複数のローラと、
を有する。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
固定枠に対してレンズが配置された可動枠を光軸と直交する面に沿って移動させることによりブレを補正するブレ補正ユニットを有し、前記固定枠と前記可動枠とが一緒に光軸方向へ駆動されるレンズ鏡筒において、
前記固定枠に設けられたカムフォロアと、
前記カムフォロアと係合するカム溝を有し、前記固定枠と前記可動枠とを収容する収容枠と、
前記固定枠に配置された複数のローラと、を具備し、
前記複数のローラは、前記光軸方向において、前記カム溝と前記カムフォロアとが係合する範囲の外側となる位置に配置され、
前記各ローラは、前記光軸と直交する方向に回転軸を有し、前記各ローラの外周面は所定の面積を有して前記収容枠の内周面に接触していることを特徴とするレンズ鏡筒。
[2]
前記ローラの回転軸は、前記光軸と直交する方向に前記固定枠から延出した軸部材であって、
前記固定枠には、前記収容枠の内面に向けてローラが付勢されるように前記軸部材を付勢する付勢部材が取り付けられていることを特徴とする[1]記載のレンズ鏡筒。
[3]
前記収容枠の内面には所定の面積を有して延設した平らな案内面が設けられていて、前記各ローラと前記案内面とが接触する接触面は少なくとも前記光軸と平行であることを特徴とする[1]記載のレンズ鏡筒。
[4]
前記案内面、前記複数のローラ及び、その回転軸は金属製であることを特徴とする[3]記載のレンズ鏡筒。
[5]
前記固定枠は、
前記可動枠を前記面に沿って移動可能に保持した第1固定部材と、
この第1固定部材に対して前記光軸方向に隣接して配置され、前記第1固定部材と一体に前記光軸方向に移動可能に設けた第2固定部材と、
前記カムフォロアが配置された第3固定部材と、
前記第2固定部材と前記第3固定部材の間に配置され、前記第2固定部材と前記第3固定部材とが互いに離間する方向に付勢する弾性部材と、
を含むことを特徴とする[1]記載のレンズ鏡筒。
【符号の説明】
【0037】
1…レンズ、 2…可動枠、 4…固定枠、 4a…後方第1固定枠、4b…前方第1固定枠、 4c…第2固定枠、 10…ローラ、 10a…付勢ローラ、 11…回転軸、 12…トグルバネ、 20…板バネ、 22…押圧部、 30…カム枠、 31、32、33…カム溝、 41、42、43…カムフォロア、 100…レンズ鏡筒、 102…鏡筒、 103…案内凸部、 103a…案内面、 104…操作環、 110…ズーム機構、 111、112…スライド溝、 200…レンズユニット、 O…光軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11