【実施例】
【0016】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0017】
第1実施例・・・・
図1に示すように当該実施例に係るフィルター付きガスケット1は、ガスケット本体11およびフィルター部材21の組み合わせにより構成されている。
【0018】
ガスケット本体11は、3枚の金属板12,13,14を厚み方向に重ね合わせて接合したものであって、その平面中央部に3枚の金属板12,13,14を厚み方向に貫通するように貫通穴部15が設けられ、貫通穴部15の周りを囲むようにして立体形状よりなる環状のシールビード部16が設けられている。符号17は、締結ボルトを差し通すためのボルト穴である。
【0019】
3枚の金属板は、基板12と、基板12の厚み方向一方(
図1(B)における下方)に重ねられた第1ビードプレート13と、基板12の厚み方向他方(
図1(B)における上方)に重ねられた第2ビードプレート14との組み合わせにより構成されている。
【0020】
基板12は、シールビードを有しておらず立体形状を有していない平板状の金属板よりなり、その厚みを第1および第2ビードプレート13,14よりも大きく設定され、ガスケット本体11の骨材をなしている。
【0021】
第1ビードプレート13は、貫通穴部15の周縁部に立体形状よりなる環状のハーフビード13aを備えており、基板12に接合された平面部13bの内周端部から径方向内方へ向けて基板12から徐々に遠ざかる向きに傾斜した環状の第1傾斜面部13cが一体に設けられ、第1傾斜面部13cの内周端部から径方向内方へ向けて基板12に徐々に近づく向きに傾斜した環状の第2傾斜面部13dが一体に設けられている。第1および第2傾斜面部13c,13dは、これらをもって上記ハーフビード13aを形成しており、ハーフビード13aは立体形状であるので、ハーフビード13aと基板12との間に環状の間隙部13eが形成されている。
【0022】
第2ビードプレート14はこれも、貫通穴部15の周縁部に立体形状よりなる環状のハーフビード14aを備えており、基板12に接合された平面部14bの内周端部から径方向内方へ向けて基板12から徐々に遠ざかる向きに傾斜した環状の第1傾斜面部14cが一体に設けられ、第1傾斜面部14cの内周端部から径方向内方へ向けて基板12に徐々に近づく向きに傾斜した環状の第2傾斜面部14dが一体に設けられている。第1および第2傾斜面部14c,14dは、これらをもって上記ハーフビード14aを形成しており、ハーフビード14aは立体形状であるので、ハーフビード14aと基板12の間に環状の間隙部14eが形成されている。第1ビードプレート13のハーフビード13aと第2ビードプレート14のハーフビード14aはガスケット厚み方向に対称な形状とされており、第1および第2ビードプレート13,14はプレート全体としてもガスケット厚み方向に対称な形状とされている。
【0023】
フィルター部材21は、ガスケット本体11の貫通穴部15に配置され、ガスケット本体11によって保持されている。また、フィルター部材21はメッシュ状の金属素材によって形成され、ドーム状に立体形成されたフィルター部22と、このフィルター部22の周縁部に設けられたフランジ状の取付部23とを一体に有している。またフィルター部材21は、基板12と第1ビードプレート13のハーフビード13aとの間の間隙部13eにフランジ状の取付部23を差し込んだ状態で、この取付部23を基板12に対しスポット溶接することによりガスケット本体11に取り付けられている。したがってスポット溶接による溶接部31は、第1ビードプレート13のハーフビード13aによる立体形状によって覆われる位置に配置されている。
【0024】
スポット溶接は、不連続な点状の溶接構造であり、よって複数の溶接部31が貫通穴部15の周りに間隔をあけて並べられている。
【0025】
上記構成のフィルター付きガスケット1においては、フィルター部材21がフィルター機能を発揮するとともに、ガスケット本体11における両面ハーフビード13a,14aよりなるシールビード部16がガスケットとしてのシール機能を発揮するため、先ずはフィルター付きガスケットとしてフィルター機能およびシール機能の双方を発揮することができる。また、ガスケット本体11とフィルター部材21が別部品として形成されているため、部品ごとに最適な素材を選定することが可能とされている。
【0026】
また、ガスケット本体11およびフィルター部材21が不連続なスポット溶接(点状溶接)により接続されているため、シーム溶接等の連続溶接(線状溶接)と比較して、簡易な設備・手段により両部品11,21を接続することが可能とされている。
【0027】
また、スポット溶接による溶接部31が第1ビードプレート13のハーフビード13aによる立体形状によって覆われる位置に配置されているため、スポット溶接による溶接部31が外部雰囲気から隠されている。したがって、互いに隣り合うスポット溶接による溶接部31間に非溶接部が存在しても異物は非溶接部による隙間を通過しにくいため、溶接手段としてスポット溶接を採用しても、フィルター部21における異物捕捉機能が低下するのを防止することが可能とされている。
【0028】
尚、当該ガスケット1の装着時、ガスケット本体11がハウジング等によって挟圧されるとハーフビード13aは圧縮荷重を受けて弾性変形し、このときハーフビード13aの先端部13fがフィルター部材21の取付部23に接触して間隙部13eを閉塞することがある。したがってこのように間隙部13eが閉塞される場合には、間隙部13eに異物が一層侵入しにくくなる。
【0029】
第2実施例・・・・
図2に示すように当該実施例に係るフィルター付きガスケット1は、ガスケット本体11およびフィルター部材21の組み合わせにより構成されている。
【0030】
ガスケット本体11は、2枚の金属板13,14を厚み方向に重ね合わせて接合したものであって、その平面中央部に2枚の金属板13,14を厚み方向に貫通するように貫通穴部15が設けられ、貫通穴部15の周りを囲むようにして立体形状よりなる環状のシールビード部16が設けられている。符号17は、締結ボルトを差し通すためのボルト穴である。
【0031】
2枚の金属板は、第1ビードプレート13と、第2ビードプレート14との組み合わせにより構成されている。
【0032】
第1ビードプレート13は、貫通穴部15の周縁部に立体形状よりなる環状のハーフビード13aを備えており、第2ビードプレート14に接合された平面部13bの内周端部から径方向内方へ向けて第2ビードプレート14から徐々に遠ざかる向きに傾斜した環状の傾斜面部13cが一体に設けられ、傾斜面部13cの内周端部から径方向内方へ向けて内周側平面部13gが一体に設けられ、これらの傾斜面部13cおよび内周側平面部13gによってハーフビード13aが形成されている。また、ハーフビード13aの先端部であって内周側平面部13gの先端部に、筒状の立ち上がり部(ツバ部)13hが一体に設けられている。
【0033】
第2ビードプレート14はこれも、貫通穴部15の周縁部に立体形状よりなる環状のハーフビード14aを備えており、第1ビードプレート13に接合された平面部14bの内周端部から径方向内方へ向けて第1ビードプレート13から徐々に遠ざかる向きに傾斜した環状の傾斜面部14cが一体に設けられ、傾斜面部14cの内周端部から径方向内方へ向けて内周側平面部14gが一体に設けられ、これらの傾斜面部14cおよび内周側平面部14gによってハーフビード14aが形成されている。また、ハーフビード14aの先端部であって内周側平面部14gの先端部に、筒状の立ち上がり部(ツバ部)14hが一体に設けられている。
【0034】
フィルター部材21は、ガスケット本体11の貫通穴部15に配置され、ガスケット本体11によって保持されている。また、フィルター部材21はメッシュ状の金属素材によって形成され、その全体をドーム状に立体形成されている。またフィルター部材21は、その外周縁部を第1ビードプレート13の立ち上がり部13hと第2ビードプレート14立ち上がり部14hとの間に差し込んだ状態でこの外周縁部を第1ビードプレート13の立ち上がり部13hに対しスポット溶接することによりガスケット本体11に取り付けられている。したがってスポット溶接による溶接部31は、第2ビードプレート14のハーフビード14aによる立体形状によって覆われる位置に配置されている。
【0035】
スポット溶接は、不連続な点状の溶接構造であり、よって複数の溶接部31が貫通穴部15の周りに間隔をあけて並べられている。
【0036】
上記構成のフィルター付きガスケット1においては、フィルター部材21がフィルター機能を発揮するとともに、ガスケット本体11における両面ハーフビード13a,14aよりなるシールビード部16がガスケットとしてのシール機能を発揮するため、先ずはフィルター付きガスケットとしてフィルター機能およびシール機能の双方を発揮することができる。また、ガスケット本体11とフィルター部材21が別部品として形成されているため、部品ごとに最適な素材を選定することが可能とされている。
【0037】
また、ガスケット本体11およびフィルター部材21が不連続なスポット溶接(点状溶接)により接続されているため、シーム溶接等の連続溶接(線状溶接)と比較して、簡易な設備・手段により両部品11,21を接続することが可能とされている。
【0038】
また、スポット溶接による溶接部31が第2ビードプレート14のハーフビード14aによる立体形状によって覆われる位置に配置されているため、このスポット溶接による溶接部31は外部雰囲気から隠されている。したがって、互いに隣り合うスポット溶接による溶接部31間に非溶接部が存在しても異物は非溶接部による隙間を通過しにくいため、溶接構造としてスポット溶接を採用しても、フィルター部21における異物捕捉機能が低下するのを防止することが可能とされている。
【0039】
尚、当該ガスケット1の装着時、ガスケット本体11がハウジング等によって挟圧されると第2ビードプレート14のハーフビード14aは圧縮荷重を受けて弾性変形し、このときハーフビード14aの立ち上がり部14hがフィルター部材21の外周縁部に強く押し付けられることがある。したがってこのようにハーフビード14aの立ち上がり部14hがフィルター部材21の外周縁部に強く押し付けられる場合には、両ハーフビード13a,14a間の空間部18に異物が一層侵入しにくくなる。