特許第6768381号(P6768381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768381
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】梱包緩衝材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20201005BHJP
   B65D 81/113 20060101ALI20201005BHJP
   B65D 81/36 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   B65D81/05 200
   B65D81/113 140Z
   B65D81/36 L
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-140238(P2016-140238)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-8732(P2018-8732A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】317014747
【氏名又は名称】シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】東條 博充
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−337855(JP,A)
【文献】 特開2002−2817(JP,A)
【文献】 特開2007−22619(JP,A)
【文献】 実開昭50−107527(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02−81/17
B65D 81/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有する前面部と、当該前面部の背後に設けられた本体部とを有するコンピュータ機器を梱包する梱包緩衝材であって、
前記本体部を保持する保持部が一方の面に設けられている本体保持面部と、
前記前面部を保持する前面保持面部と、
前記本体保持面部と前記前面保持面部との間に設けられた中間面部とを備え、
前記本体保持面部と、前記前面保持面部と、前記中間面部とは、連続し、かつ隣接するもの同士の境界部分で折り曲げ可能となるように形成され、
前記保持部は、前記本体部の一部を前記本体保持面部の端縁に開放するように設けられており、
前記本体保持面部は、折り曲げ可能に切り抜かれた第1切り抜き板を有し、
前記前面保持面部は、折り曲げ可能に切り抜かれた第2切り抜き板を有しており、
前記前面保持面部は、前記中間面部を底面とし、前記本体保持面部において前記本体部を保持する第1保持面と、前記前面保持面部において前記前面部を保持する第2保持面とが離反すると共に、前記本体保持面部の端縁が前記前面保持面部における第2保持面と反対側の面に接触した状態、かつ前記第1切り抜き板が前記前面保持面部の側に折り曲げられると共に、前記第2切り抜き板が前記本体保持面部の側に折り曲げられた状態で、前記第1切り抜き板が前記前面保持面部に接続される接続構造を有していることを特徴とする梱包緩衝材。
【請求項2】
前記前面保持面部は、前記中間面部との境界部分に沿う位置に前記前面部に当接するように突出する突出部を有していることを特徴とする請求項に記載の梱包緩衝材。
【請求項3】
前記第1切り抜き板の一部は、前記中間面部を底面とし、前記本体保持面部の前記本体部を保持する第1保持面と、前記前面保持面部の前記前面部を保持する第2保持面とが離反すると共に、前記本体保持面部の端縁が前記前面保持面部における第2保持面と反対側の面に接触した状態、かつ前記第1切り抜き板が折り曲げられた状態で、前記前面保持面部を貫通し、かつ前記中間面部と前記前面保持面部との境界から前記第2保持面側に突出していることを特徴とする請求項に記載の梱包緩衝材。
【請求項4】
前記中間面部を底面とし、前記本体保持面部の前記本体部を保持する第1保持面と、前記前面保持面部の前記前面部を保持する第2保持面とが離反すると共に、前記本体保持面部の端縁が前記前面保持面部における第2保持面と反対側の面に接触した状態で、前記中間面部と前記前面保持面部とのなす角が直角以下であり、かつ前記中間面部と前記本体保持面部とのなす角よりも大きいことを特徴とする請求項2または3に記載の梱包緩衝材。
【請求項5】
前記本体保持面部に隣接して設けられ、前記中間面部と同じ形状、かつ同じ大きさを有する第1面部と、
前記前面保持面部に隣接して設けられ、前記中間面部と同じ形状、かつ同じ大きさを有する第2面部とをさらに備え、
前記第1面部は、前記本体保持面部との境界部分で折り曲げ可能となるように形成され、
前記第2面部は、前記前面保持面部との境界部分で折り曲げ可能となるように形成され、
第1面部および第2面部のいずれか一方に持ち手が設けられ、他方に前記持ち手を通す開口部が設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の梱包緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータ機器を梱包する梱包緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置を備えるとともに、パネルに嵌め込まれた状態で設置されるコンピュータ機器は、表示装置を含む本体部と、表示装置の表示面の周囲に設けられてパネルにあてがわれる額縁部とを有している。従来、このようなコンピュータ機器を製品として梱包するための緩衝材は、例えば、特許文献1に記載されているように、コンピュータ機器としての表示器を天面の緩衝材および底面の緩衝材で挟み込むような構成や、その他、天面の緩衝材と底面の緩衝材との間にさらに緩衝材を設ける構成が一般的である。
【0003】
また、上記の表示器は、パネルに嵌め込む前にソフトウェアがインストールされたり、所定の調整が行なわれたりする必要がある。表示器が自立できない構造であるため、インストールの作業は、通常、表示器をスタンドに装着した状態で行われる。このようなスタンドは、インストール作業後には不要となるものの、インストール作業には必要であるため、別途用意しなければならない。これに対し、特許文献1には、天面の緩衝材(上部緩衝材)を台形状に組み立てて、開口部に表示器を嵌め込むことによって、当該緩衝材をスタンドとして利用できることが開示されている。これにより、スタンドを安価に提供することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−143243号公報(2006年6月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている緩衝材は、スタンドとして利用可能であるものの、異なる形状の2つの緩衝材から構成されている。このため、それぞれの緩衝材を別の工程で作製する必要があり、コストが嵩むという問題がある。このような問題は、緩衝材の数が増加するほど顕著になる。
【0006】
また、このような2つの緩衝材を用いるため、開梱時に外装箱を開いた後、天面側の緩衝材を外してから表示器を取り出す必要がある。また、外装箱を折りたたむとき、底面側の緩衝材を外装箱内から取り除かなければならない。このため、2つの緩衝材を用いると、緩衝材の取り扱いが煩わしくなるという問題がある。このような問題も、緩衝材の数が増加するほど顕著になる。
【0007】
さらに、上記の2つの緩衝材のうちのスタンドとして利用できる緩衝材には、表示器を嵌め込んで保持する開口部が設けられている。このため、表示器にソフトウェアをインストールしたり、表示器を調整したりするとき、開口部に表示器を嵌め込んだ後に表示器と他の機器との接続用の配線を表示器の裏側に接続したり、予め開口部に通した配線を表示器の裏側に接続した後に開口部に表示器を嵌め込んだりしなければならないため、作業性が悪くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、取り扱いが容易であり、配線が接続されている状態のコンピュータ機器を設置できるスタンドとして組み立てることが可能な梱包緩衝材を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の梱包緩衝材は、表示面を有する前面部と、当該前面部の背後に設けられた本体部とを有するコンピュータ機器を梱包する梱包緩衝材であって、前記本体部を保持する保持部が一方の面に設けられた本体保持面部と、前記前面部を保持する前面保持面部と、前記本体保持面部と前記前面保持面部との間に設けられた中間面部とを備え、前記本体保持面部と、前記前面保持面部と、前記中間面部とは、連続し、かつ隣接するもの同士の境界部分で折り曲げ可能となるように形成され、前記保持部は、前記本体部の一部を前記本体保持面部の端縁に開放するように設けられている。
【0010】
上記の構成によれば、梱包時には、本体保持面部の保持部がコンピュータ機器の本体部を保持した状態で、前面保持面部がコンピュータ機器の前面部を保持するように、本体保持面部と中間面部との境界部分を折り曲げ、前面保持面部と中間面部との境界部分を折り曲げると、コンピュータ機器として保護すべき前面部および本体部が梱包緩衝材に囲まれた保持された状態となる。また、梱包緩衝材は、本体保持面部と、前面保持面部と、中間面部とが連続した単一の構造であるため、従来のように複数の梱包緩衝材を使用する場合と比べて、コンピュータ機器の梱包および開梱の作業を容易にすることができるだけでなく、梱包緩衝材を処分する際の取り扱いも容易にすることができる。
【0011】
また、中間面部を底面とし、本体保持面部の保持部が設けられた面(第1保持面)と、前面保持面部の表示面を保持する面(第2保持面)とが離反するように、本体保持面部と中間面部との境界部分を折り曲げ、前面保持面部と中間面部との境界部分を折り曲げる。また、本体保持面部の端縁を前面保持面部における第2保持面と反対側の面に接触させる。このようにして形成されたスタンドには、梱包時と同様に、本体保持面部の保持部に本体部を嵌め込むことにより、コンピュータ機器が装着される。そして、スタンドに装着された状態でコンピュータ機器へのソフトウェアのインストール作業や、コンピュータ機器の調整作業が行われる。
【0012】
ここで、保持部は、本体部の一部を本体保持面部の端縁に開放するように設けられている。これにより、上記の本体部の一部が開放された領域に、インストール作業や調整作業のために他の機器と接続する配線を配置することができる。それゆえ、コンピュータ機器(本体部)に上記の配線が接続された状態で、コンピュータ機器をスタンドに装着することができる。
【0013】
前記梱包緩衝材において、前記本体保持面部は、折り曲げ可能に切り抜かれた第1切り抜き板を有し、前記前面保持面部は、折り曲げ可能に切り抜かれた第2切り抜き板を有しており、前記前面保持面部は、前記中間面部を底面とし、前記本体保持面部において前記本体部を保持する第1保持面と、前記前面保持面部において前記前面部を保持する第2保持面とが離反すると共に、前記本体保持面部の端縁が前記前面保持面部における第2保持面と反対側の面に接触した状態、かつ前記第1切り抜き板が前記前面保持面部の側に折り曲げられると共に、前記第2切り抜き板が前記本体保持面部の側に折り曲げられた状態で、前記第1切り抜き板が接続される接続構造を有していてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、中間面部を底面とし、本体保持面部の第1保持面と、前面保持面部の第2保持面とが離反すると共に、本体保持面部の端縁が前面保持面部における第2保持面と反対側の面に接触した状態でスタンドが形成される。スタンドにおいては、第1切り抜き板と第2切り抜き板とが折り曲げられた状態で、第1切り抜き板を前面保持面部の接続構造に接続することができる。したがって、スタンドの強度を高めることができる。
【0015】
前記梱包緩衝材において、前記前面保持面部は、前記中間面部との境界部分に沿う位置に前記前面部に当接するように突出する突出部を有していてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、突出部は、コンピュータ機器の前面部に当接することから、梱包時にコンピュータ機器を保護する機能を有する。また、突出部は、梱包緩衝材がスタンドとして利用されるときに、底面となる中間面部よりスタンドの後方側に、前面保持面部から突出することにより、スタンドを後方で支持することができる。
【0017】
前記梱包緩衝材において、前記第1切り抜き板の一部は、前記中間面部を底面とし、前記本体保持面部の前記本体部を保持する第1保持面と、前記前面保持面部の前記前面部を保持する第2保持面とが離反すると共に、前記本体保持面部の端縁が前記前面保持面部における第2保持面と反対側の面に接触した状態、かつ前記第1切り抜き板が折り曲げられた状態で、前記前面保持面部を貫通し、かつ前記中間面部と前記前面保持面部との境界から前記第2保持面側に突出していてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、中間面部を底面とし、本体保持面部の第1保持面と、前面保持面部の第2保持面とが離反すると共に、本体保持面部の端縁が前面保持面部における第2保持面と反対側の面に接触した状態でスタンドが形成される。スタンドにおいては、本体保持面部の第1保持面にコンピュータ機器の本体部が保持され、前面保持面部が後方で本体保持面部を支持する。しかしながら、中間面部と前面保持面部とのなす角が鈍角であるなどの理由によってスタンドの後ろ側に重心が位置している場合、前面保持面部が後方で本体保持面部を十分支持できないことがある。これに対し、第1切り抜き板の一部が、折り曲げられた状態で、前記前面保持面部を貫通し、かつ前記中間面部と前記前面保持面部との境界から前記第2保持面側に突出している。これにより、第1切り抜き板を中間面部と共にスタンドが設置される面に接触させることができる。第1切り抜き板によって後方でスタンドを支持することができる。したがって、スタンドを安定して自立させることができる。
【0019】
前記梱包緩衝材において、前記中間面部を底面とし、前記本体保持面部の前記本体部を保持する第1保持面と、前記前面保持面部の前記前面部を保持する第2保持面とが離反すると共に、前記本体保持面部の端縁が前記前面保持面部における第2保持面と反対側の面に接触した状態で、前記中間面部と前記前面保持面部とのなす角が直角以下であり、かつ前記中間面部と前記本体保持面部とのなす角よりも大きくてもよい。
【0020】
中間面部と前面保持面部とのなす角が鈍角の場合は、スタンドの重心が底面(中間面部)に対して背面寄りに位置する。これに対し、上記の構成によれば、中間面部と前面保持面部とのなす角が直角以下であるので、スタンドの重心が底面(中間面部)に対してより前方に位置するので、スタンドは、上述の第1切り抜き板による支持がなくても、自立することができる。
【0021】
前記梱包緩衝材は、前記本体保持面部に隣接して設けられ、前記中間面部と同じ形状、かつ同じ大きさを有する第1面部と、前記前面保持面部に隣接して設けられ、前記中間面部と同じ形状、かつ同じ大きさを有する第2面部とをさらに備え、前記第1面部は、前記本体保持面部との境界部分で折り曲げ可能となるように形成され、前記第2面部は、前記前面保持面部との境界部分で折り曲げ可能となるように形成され、第1面部および第2面部のいずれか一方に持ち手が設けられ、他方に前記持ち手を通す開口部が設けられていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、持ち手を有する第1面部または第2面部によって、梱包緩衝材によって梱包されたコンピュータ機器を持ち運ぶことができるようになる。具体的には、本体保持面部の保持部にコンピュータ機器の本体部を嵌め込んだ状態で、前面保持面部がコンピュータ機器の前面部を保持するように、本体保持面部と中間面部との境界部分を折り曲げ、前面保持面部と中間面部との境界部分を折り曲げる。さらに、第1面部および第2面部の一方のうち持ち手を有する方を先に中間面部と対向するように折り曲げ、その後に他方を中間面部と対向するように折り曲げ、持ち手を開口部に通す。これにより、コンピュータ機器を、本体部と、前面部と、本体部と前面部との間の外周部分(上面および下面または両側面)とを囲むように梱包するので、第1面または第2面が有する持ち手により、梱包緩衝材ごとコンピュータ機器を持ち運ぶことができる。したがって、コンピュータ機器の携行性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、取り扱いが容易であり、配線が接続されている状態のコンピュータ機器を設置できるスタンドとして組み立てることが可能な梱包緩衝材を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】表示器を梱包緩衝材により梱包するときの手順を示す図であって、(a)は梱包緩衝材に表示器を配置する状態を示す斜視図であり、(b)は表示器を挟んだ状態で折りたたまれた梱包緩衝材を外装箱に入れる状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る梱包緩衝材の内面を展開した状態を示す平面図である。
図3】(a)は上記梱包緩衝材を収納する外装箱の全ての蓋を閉じた状態を示す斜視図であり、(b)は上記外装箱の全ての蓋を開いた状態を示す斜視図であり、(c)は上記外装箱の外蓋を開いた状態を示す斜視図である。
図4】(a)および(b)は開梱後の梱包緩衝材をスタンドとして組み立てる手順を示す斜視図である。
図5】(a)〜(c)は上記梱包緩衝材からスタンドを組み立てるときの上記梱包緩衝材における本体保持面部および前面保持面部の状態の変化を示す斜視図である。
図6】上記梱包緩衝材から組み立てて得られたスタンドを示す斜視図である。
図7】上記スタンドの他の斜視図である。
図8】(a)は上記スタンドの側面図であり、(b)は上記スタンドの(a)とは反対側の側面図である。
図9】スタンドに表示器を設置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施の形態について図1図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0026】
図1は、表示器100を梱包緩衝材10により梱包するときの手順を示す図であって、(a)は梱包緩衝材10に表示器を配置する状態を示す斜視図であり、(b)は表示器100を挟んだ状態で折りたたまれた梱包緩衝材10を外装箱に入れる状態を示す斜視図である。図2は、梱包緩衝材10の内面を展開した状態を示す平面図である。
【0027】
図1の(a)および(b)ならびに図2に示すように、本実施の形態の梱包緩衝材10は、表示器100を保護するために表示器100と共に外装箱200に梱包されるものであり、略矩形の平面状の外形を有している。また、梱包緩衝材10は表示器100の側方を開放した状態で囲むように梱包する単一の緩衝材である。梱包緩衝材10の梱包方法については、後述する。
【0028】
図1の(a)に示すように、表示器100は、前面側に設けられた前面部101と、背面側に設けられた本体部102とを備えている。表示器100は、パネルに嵌め込まれた状態で設置されるコンピュータ機器である。
【0029】
前面部101は、表示面101aと、フランジ部101bとを有している。表示面101aは、画像を表示するために設けられており、液晶パネルや有機ELパネルなどの平板型の表示パネルによって構成されている。表示面101aには、図示はしないが、タッチ入力のためのタッチパネルが設けられている。パネルコンピュータやプログラマブル表示器などの表示面から入力操作を行うタイプの表示器100には、タッチパネルが入力デバイスとして好適に用いられる。
【0030】
フランジ部101bは、表示器100をパネルに取り付けるために設けられた額縁部である。このフランジ部101bは、表示面101aが設けられている表示器100の前面側の外周部分に、本体部102の外周壁部から一定の幅で突出するように形成されている。
【0031】
本体部102は、前面部101の背後に設けられている。本体部102は、表示器100を駆動するための制御回路、外部機器とのインターフェース、内部回路に電力を供給するための電源装置などと、これらを収納する筐体とを含んでいる。
【0032】
図2に示すように、梱包緩衝材10は、上面部1(第1面部)と、本体保持面部2と、底面部3(中間面部)と、前面保持面部4と、カバー面部5(第2面部)とを有している。梱包緩衝材10には、その幅方向に沿って4つの折り曲げ部6〜9が設けられている。梱包緩衝材10における、上面部1、本体保持面部2、底面部3、前面保持面部4およびカバー面部5は、一端側からこの順に連続するように形成されており、4つの折り曲げ部6〜9によって区切られている。上面部1、本体保持面部2、底面部3、前面保持面部4およびカバー面部5は、隣接するもの同士の境界部分に設けられた折り曲げ部6〜9によって折り曲げ可能となる。
【0033】
なお、以下の説明では、表示器100を梱包した状態で内側となる梱包緩衝材10の面を内面と称し、表示器100を梱包した状態で外側となる梱包緩衝材10の面を外面と称する。
【0034】
梱包緩衝材10を構成する材料としては、表示器が梱包された状態で外部から加えられた衝撃を弱めて表示器を保護する作用(緩衝作用)を有し、後述するスタンドに組み立てられたときに表示器を安定して保持することができるような材料であればよい。例えば、梱包緩衝材10を構成する材料としては、安価であり、加工性に優れ、また、容易にリサイクルあるいは焼却処分することができる点で、段ボールが特に好ましい。また、第1保持部21〜24および第2保持部41〜44を構成する材料としては、段ボールを用いるが、他に発泡材などを用いてもよい。
【0035】
上面部1は、梱包状態で上面となる部分であり、後述する底面部3と同じ形状、かつ同じ大きさを有している。上面部1には、間隔をおいて穴1a、穴1bが設けられている。穴1a、穴1bには、外面側に設けられた持ち手11の両端が内面側に通されている。また、上面部1の内面側には、穴1a、穴1bから抜け出ないように、持ち手11に掛かる荷重を支える樹脂製の補強部材12が、持ち手11の種類や表示器100の重量に応じて必要である場合に設けられている。補強部材12には、穴1a、穴1bにそれぞれに合致する2つの穴(図示せず)が設けられている。持ち手11の一端に設けられた係止部11aが補強部材12における一方の穴の周辺に係止され、持ち手11の他端に設けられた係止部11bが補強部材12における他方の穴の周辺に係止される。このようにして、持ち手11が上面部1に取り付けられている。持ち手11は、表示器100を梱包した状態の梱包緩衝材10を収納した外装箱200を持ち運ぶときの持ち手となる。さらに、上面部1には、短辺側の両端縁に、切り抜き片1c、1dが設けられている。
【0036】
なお、補強部材12は、使用する持ち手11の種類や表示器100の重量によっては不要となる場合があり、この場合は省略することができる。
【0037】
本体保持面部2は、表示器100の本体部102を保持する部分であり、矩形状の平板部20と、第1保持部21〜24(保持部)とを有している。第1保持部21〜24は、平坦な板状に形成された平板部20の内面(第1保持面)に設けられている。第1保持部21〜24は、表示器100が梱包された状態で外部から加えられた衝撃を弱めて表示器100を保護する。また、第1保持部21〜24は、表示器100を立てた状態で保持するスタンドとして梱包緩衝材10を用いるとき、表示器100の本体部102を嵌め込んで保持する。
【0038】
第1保持部21〜24は、表示器100の本体部102における後端部の四隅を保持するように、それぞれ平板部20の内面の四隅(図2における左上、右上、左下および右下)に配置されている。第1保持部21〜24は、本体保持面部2の内面に接着剤などによって固定されている。また、第1保持部21〜24は、本体部102の一部を前記本体保持面部2の端縁に開放するように設けられている。
【0039】
第1保持部21〜24は、それぞれ凹部21a〜24aを有している。また、凹部21a〜24aは、それぞれ本体保持面部2の中心に向かう側に設けられている。また、凹部21a〜24aは、それぞれ、第1保持部21〜24の高さ方向の中間位置に底部を有している。このような凹部21a〜24aの構造により、第1保持部21〜24に嵌め込まれた表示器100の本体部102が本体保持面部2(平板部20)の内面に接触しないようにすることができる。これにより、表示器100と平板部20の内面との間に隙間が形成されるので、梱包緩衝材10の外部からの衝撃が、梱包緩衝材10の中に収納されている表示器100に直接伝わることを防ぐことができる。
【0040】
また、第1保持部21〜24はそれぞれ離間しているため、梱包緩衝材10をスタンドとして用いたとき、表示器100の裏面に接続されている配線を、表示器100と本体保持面部2の底面との間の隙間に通すことができる。よって、表示器に配線を接続させたまま、本体保持面部2に表示器100を嵌め込むことができる。
【0041】
凹部21a〜24a(第1保持部21〜24の除かれた部分)は、本体部102における後端部の四隅に沿う形状となるように、隣接するもの同士が互いに垂直となる3つの矩形面によって形成されている。
【0042】
また、本体保持面部2における中央部分の正方形の領域には、保持板25(第1切り抜き板)と、支持板26(第1切り抜き板)とが設けられている。保持板25は、後述するように梱包緩衝材10がスタンドとして組み立てられる状態で前面保持面部4を保持する部分である。支持板26は、梱包緩衝材10がスタンドとして組み立てられる状態で本体保持面部2および前面保持面部4が自立するように支持する部分である。保持板25および支持板26が設けられる領域は、正方形に限らず長方形であってもよい。
【0043】
保持板25は、平板部20から折り曲げ可能に切り抜かれた部分であり、第1辺25a〜第3辺25cからなる三角形をなしている。第1辺25aは、本体保持面部2における第1保持部21、22が配置された側縁と平行な辺である。第2辺25bは、本体保持面部2における第1保持部22、24が配置された側縁と平行な辺である。第3辺25cは、支持板26と接する辺である。また、保持板25は、第1辺25bに沿って本体保持面部2の外面側に折り曲げ可能に形成されている。
【0044】
支持板26は、平板部20から折り曲げ可能に切り抜かれた部分であり、第1辺26a〜第5辺26eからなる五角形をなしている。第1辺26aは、本体保持面部2における第1保持部21、23が配置された側縁と平行な辺である。第2辺26bは、本体保持面部2における第1保持部23、24が配置された側縁と平行な辺である。第3辺26cは、保持板25の第1辺25aの延長線上にある辺である。第4辺26dは、保持板25(第3辺25c)と接する辺である。第5辺26eは、第2辺26bと第4辺26dとの間の辺であり、第5辺26eと第2辺26bとのなす角は鈍角である。また、支持板26は、第1辺26aに沿って本体保持面部2の外面側に折り曲げ可能に形成されている。
【0045】
保持板25は折り曲げ片25dを有し、支持板26は折り曲げ片26fを有する。折り曲げ片25dは、折り曲げ可能となるように、保持板25からコの字型に切り抜かれた部分である。折り曲げ片26fは、折り曲げ可能となるように、支持板26からコの字型に切り抜かれた部分である。折り曲げ片25d、26fは、梱包緩衝材10をスタンドとして組み立てた状態で、後述する前面保持面部4における穴47、48にそれぞれ嵌め込むことができる方向に折り曲げ可能となるように形成されている。
【0046】
底面部3は、梱包緩衝材10をスタンドとして組み立てたとき、スタンドの底面となる部分であり、矩形状に形成されている。底面部3の短辺側の幅は、少なくとも、表示面101aの厚さと、第1保持部21〜24の高さと、第2保持部41〜44の高さとの合計の長さに設定される。
【0047】
前面保持面部4は、表示器100の表示面側を保持する部分であり、矩形状の平板部40と、第2保持部41〜44とを有している。第2保持部41〜44は、平坦な板状に形成された平板部40の内面(第2保持面)に設けられている。第2保持部41〜44は、表示器100が梱包された状態で外部から加えられた衝撃を弱めて表示器100を保護する。第2保持部41〜44は、表示器100における前面部101に当接するように、それぞれ平板部40の四隅(図2における左下、右下、左上および右上)に配置されている。第2保持部41、42は、所定の厚みを有するL字型の形状に形成され、第2保持部43、44は、直方体に形成されている。第2保持部41〜44は、前面保持面部4の内面に接着剤などによって固定されている。第2保持部41〜44を設けることにより、表示器100を梱包緩衝材10で梱包したとき、表示器100と前面保持面部4の平板部40との間には隙間が形成される。よって、表示器100および梱包緩衝材10を外装箱200に収納したとき、外装箱200の外部からの衝撃が、梱包緩衝材10の中に収納されている表示器100に直接伝わることを防ぐことができる。
【0048】
また、前面保持面部4において底面部3との境界(第2保持部43、44の対向する端面の間)から前面保持面部4の中央部にかけて広がる正方形の領域には、第1間隔板45(第2切り抜き板)と、第2間隔板46(第2切り抜き板)とが設けられている。第1間隔板45および第2間隔板46は、後述するように梱包緩衝材10がスタンドとして組み立てられる状態で、前面保持面部4に対する本体保持面部2の所定の間隔を確保する部分である。第1間隔板45および第2間隔板46が設けられる領域は、正方形に限らず長方形であってもよい。
【0049】
第1間隔板45は、平板部40から折り曲げ可能に切り抜かれた部分であり、第1辺45a〜第4辺45dからなる台形をなしている。第1辺45aは、底面部3と前面保持面部4との境界線上にある辺である。第2辺45bは、第1辺45aと平行な辺であり、第1辺45aより長い。第3辺45cは、第1辺45aと第2辺45bとの間の辺であり、第2保持部43と対向する第2保持部44の端面に沿っている。第4辺45dは、第1辺45aと第2辺45bとの間の辺であり、第3辺45cに対して傾斜している。また、第1間隔板45は、第3辺45cに沿って前面保持面部4の外面側に折り曲げ可能に形成されている。
【0050】
また、第1間隔板45は、第4辺45dと同じ長さを有する折り曲げ部45eを有している。第4辺45dと、折り曲げ部45eと、第2辺45bの一部とで二等辺三角形が形成される。第1間隔板45は、折り曲げ部45eによって、上記の二等辺三角形を形成する部分が、残りの台形を形成する部分に対して折り曲げ可能となる。
【0051】
第2間隔板46は、平板部40から折り曲げ可能に切り抜かれた部分であり、第1辺46a〜第4辺46dからなる台形をなしている。第1辺46aは、底面部3と前面保持面部4との境界線上にある辺である。第2辺46bは、第1辺46aと平行な辺であり、第1間隔板45の第2辺45bの延長線上にあり、かつ第1辺46aより短い。第3辺46cは、第1辺46aと第2辺46bとの間の辺であり、第1間隔板45の第3辺45cと平行であり、かつ第2保持部44と対向する第2保持部43の端面に沿っている。第4辺46dは、第1辺46aと第2辺46bとの間の辺であり、第1間隔板45の第4辺45dと重なり、かつ第3辺46cに対して傾斜している。また、第2間隔板46は、第3辺46cに沿って前面保持面部4の外面側に折り曲げ可能に形成されている。
【0052】
前面保持面部4には、第2保持部42、44の間で第1間隔板45の第3辺45cに沿うように穴47が設けられている。穴47は、梱包緩衝材10をスタンドとして組み立てた状態で、上述の本体保持面部2の折り曲げ片25dが嵌まり込む位置に形成されている接続構造である。また、前面保持面部4には、第2保持部43に隣接し、かつ第2間隔板46の第3辺46cに沿うように穴48が設けられている。穴48は、梱包緩衝材10をスタンドとして組み立てた状態で、本体保持面部2の折り曲げ片26fが嵌まり込む位置に形成されている接続構造である。
【0053】
カバー面部5は、上面部1の上面に重ねられる部分であり、底面部3と同じ形状、かつ同じ大きさを有すると共に、中央に開口部5aを有している。開口部5aは、梱包緩衝材10および表示器100を外装箱200に収納した状態において、上面部1に設けられている持ち手11が通る位置に形成されている。また、カバー面部5には、短辺側の両端縁に、切り抜き片5b、5cが設けられ、開口部5aの両側方に、2つの切り抜き片5d、5eが設けられている。
【0054】
続いて、外装箱200について説明する。
【0055】
図3の(a)は上記梱包緩衝材を収納する外装箱の全ての蓋を閉じた状態を示す斜視図であり、図3の(b)は上記外装箱の全ての蓋を開いた状態を示す斜視図であり、図3の(c)は上記外装箱の外蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【0056】
図3の(a)〜(c)に示すように、外装箱200は、箱体201と、内蓋202と、外蓋203と、脇蓋204、205とを有している。
【0057】
箱体201は、梱包緩衝材10を収納する本体部分であり、上部が梱包緩衝材10の出し入れを可能にするように開口している。内蓋202は、箱体201の一方の長辺側の上端縁に設けられており、中央に持ち手11を通すための開口部202aを有している。外蓋203は、箱体201の他方の長辺側の上端縁に設けられており、中央に持ち手11を通すための開口部203aを有している。外蓋203は、内蓋202の上側に重なるように閉じられる。脇蓋204、205は、それぞれ箱体201の短辺側の上端縁に設けられており、内蓋202の下側に重なるように閉じられる。
【0058】
箱体201の内蓋202と繋がる面には、箱体201と内蓋202とを切り抜いて形成された切り抜き片201aが設けられている。また、内蓋202には、切り抜き片201aを切り抜いた穴を間において、内蓋202と箱体201との境界線に沿うように、内蓋スリット202bが設けられている。
【0059】
外蓋203の長辺側の端縁には、外蓋203を閉じた状態で内蓋スリット202bと合致する位置に突出片203bが設けられている。突出片203bは、内蓋スリット202bに挿入されるように、内蓋スリット202bの長さよりも狭い幅に形成されている。また、突出片203bは、外蓋203を閉じた状態で切り抜き片201aの先端部を挿入するための外蓋スリット203cを有している。
【0060】
外蓋203の突出片203bを内蓋202の内蓋スリット202bに挿入すると共に、箱体201の切り抜き片201aを外蓋203の外蓋スリット203cに挿入することにより、外蓋203が箱体201に強固に保持される。
【0061】
なお、外装箱200は、上記のような外蓋203の保持構造を有していなくてもよい。これは、持ち手11が外装箱200ではなく梱包緩衝材10に取り付けられているために、外装箱200に荷重が掛からないからである。
【0062】
続いて、上記のように構成される梱包緩衝材10を用いた表示器100の梱包の手順について説明する。
【0063】
図1の(a)に示すように、表示器100の本体部102を梱包緩衝材10の第1保持部21〜24に嵌め込んだ状態で、梱包緩衝材10を折り曲げ部7および折り曲げ部8で内面側に折り曲げ、前面保持面部4の第2保持部41〜44が表示器100の前面部101に当接するように梱包緩衝材10を折り畳む。次に、図1の(b)に示すように、上面部1、カバー面部5の順に梱包緩衝材10を折り畳み、梱包緩衝材10で表示器100の周囲を囲むようにする。このとき、カバー面部5の開口部5aに上面部1の持ち手11を通しておく。そして、表示器100を囲んだ状態の梱包緩衝材10を外装箱200の中に収納する。また、図3の(a)に示すように、持ち手11が外装箱200から突出するように外蓋203を閉じる。これにより、梱包された表示器100を持ち運ぶことができる。
【0064】
開梱時には、持ち手11を持ったまま梱包緩衝材10を表示器100ごと外装箱200から引き出して、上記の梱包時とは逆の手順で梱包緩衝材10を開く。
【0065】
このように、単一の梱包緩衝材10は、表示器100を囲むように折り畳み可能に構成されている。これにより、従来のように複数の梱包緩衝材を使用する場合と比べて、表示器100の梱包および開梱の作業を容易にすることができるだけでなく、梱包緩衝材10を処分する際の取り扱いも容易にすることができる。また、梱包緩衝材10が持ち手11を有することにより、外装箱200に対する表示器100の出し入れを、持ち手11によって容易にすることができる。それゆえ、表示器100の梱包および開梱の作業をより容易にすることができる。また、持ち手11を持つことで、梱包緩衝材10ごと表示器100を持ち運ぶことができる。それゆえ、例えば、後述する表示器100に対するソフトウェアのインストール作業を行う際に、外装箱200から梱包緩衝材10を取り出した後に、インストール作業を行う場所まで表示器100を持ち運ぶことができる。したがって、表示器100の携行性を向上させることができる。
【0066】
梱包緩衝材10は、表示器100を立てた状態で保持するスタンドとして利用することができる。ここで、梱包緩衝材10からスタンドを組み立てる手順について説明する。図4の(a)および(b)は、開梱後の梱包緩衝材10を、スタンドとして組み立てる手順を示す斜視図である。図5の(a)〜(c)は、梱包緩衝材10からスタンドを組み立てるときの梱包緩衝材10における本体保持面部2および前面保持面部4の状態の変化を示す斜視図である。図6は、梱包緩衝材10から組み立てて得られたスタンドを示す斜視図である。
【0067】
図4の(a)に示すように、梱包緩衝材10を開いた状態で、梱包緩衝材10から表示器100を外す。次に、梱包時とは逆に、梱包緩衝材10を折り曲げ部7および折り曲げ部8で外面側に折り曲げ、梱包緩衝材10を本体保持面部2および前面保持面部4の外面側が向き合うように(内面側が離反するように)折り畳む。このとき、底面部3を机などに置いた状態で、底面部3の長辺側の両端縁から立ち上がるように、本体保持面部2および前面保持面部4を向き合わせて、本体保持面部2の端縁が前面保持面部4における外面に接触した状態で、さらに上面部1およびカバー面部5をそれぞれの外面側で接触するように重ね合わせる。
【0068】
次に、図5の(a)に示すように前面保持面部4において閉じた状態の第1間隔板45を、図5の(b)に示すように、折り曲げ部45eで本体保持面部2側に折り曲げ、さらに第3辺45cで本体保持面部2側に折り曲げる。これにより、第1間隔板45の折り曲げ部45eから先端部に至る部分を、本体保持面部2の外面側に入れ込む。また、図5の(a)に示すように前面保持面部4において閉じた状態の第2間隔板46を、図5の(b)に示すように、第3辺46cで本体保持面部2側に折り曲げる。このような折り曲げにより、第1間隔板45および第2間隔板46は、本体保持面部2と前面保持面部4との間の間隔を規定する壁面を形成する。
【0069】
次に、図5の(c)に示すように本体保持面部2の保持板25および支持板26を前面保持面部4側に折り曲げ、保持板25の折り曲げ片25dを前面保持面部4の穴47に嵌め込み、支持板26の折り曲げ片26fを前面保持面部4の穴48に嵌め込む。これにより、本体保持面部2が、第1間隔板45および第2間隔板46で規定される間隔をおいて前面保持面部4に保持される。支持板26は、第2保持部43、44から後方に突出するように前面保持面部4を貫通し、かつ底面部3と前面保持面部4との境界から前面保持面部4の内面側に突出している。これにより、支持板26の第5辺26eは、底面部3と共にスタンド10Aが設置される面(机など)に接する部分を形成する。
【0070】
そして、図6に示すように、上面部1の切り抜き片1cとカバー面部5の切り抜き片5b(図示省略)とを合わせ、上面部1の切り抜き片1dとカバー面部5の切り抜き片5cとを合わせた状態で、本体保持面部2または前面保持面部4の側に折り込む。また、カバー面部5の切り抜き5d、5eを上面部1の長辺側の端縁に係止する。これにより、上面部1がカバー面部5に保持される。
【0071】
さらに、図4の(b)に示すように、本体部102を本体保持面部2の第1保持部21〜24に嵌め込んで、表示器100をスタンド10Aに装着する。
【0072】
第1保持部23と第1保持部24とは間隔をおいて配置されている。表示器100に接続されている配線を第1保持部23と第1保持部24との間に配置することができる。これにより、表示器100に配線を接続したまま、スタンド10Aに表示器100を装着することができる。
【0073】
引き続き、上記のように組み立てられたスタンド10Aの構造について説明する。図7は、スタンド10Aの他の斜視図である。図8の(a)はスタンド10Aの側面図であり、図8の(b)はスタンド10Aの図8の(a)とは反対側の側面図である。図9は、スタンド10Aに表示器100を設置した状態を示す斜視図である。
【0074】
図6および図7に示すように、スタンド10Aにおいて、前面となる本体保持面部2は斜め上を向いており、底面部3が机などに接する底面を形成し、スタンド10Aの裏面となる前面保持面部4が裏面斜め下に向いており、上面部1およびカバー面部5は外面側で互いに接触している状態となる。また、図8の(a)および(b)に示すように、スタンド10Aは、側方から見た状態では、本体保持面部2と、底面部3と、前面保持面部4とで三角形を形成している。この三角形において、本体保持面部2と底面部3とのなす角は鋭角であり、底面部3と前面保持面部4とのなす角は鈍角である。このように、本体保持面部2および前面保持面部4が裏面側に傾くことにより、スタンド10Aの重心は裏面側の上寄りに位置している。
【0075】
ここで、支持板26は、スタンド10Aの裏面側で本体保持面部2および前面保持面部4の荷重を支えている。一方、第2保持部43、44(突出部)は、前面保持面部4において、底面部3との境界部分に沿う位置に平板部40から突出するように設けられており、底面部3と共にスタンド10Aの設置面に接触する。このため、第2保持部43、44は、スタンド10Aの裏面側で本体保持面部2および前面保持面部4の荷重を支える役割を果たす。しかしながら、第2保持部43、44は、スタンド10Aの設置面からの高さが低いため、スタンド10Aの上部の荷重を支えるほど十分な支持力を有していない。これに対し、支持板26は、本体保持面部2において第2保持部43、44よりも高い位置にある部位から斜め下方に伸びるように形成されているので、スタンド10Aの上部の荷重を十分支えることができる。
【0076】
これにより、スタンド10Aは、裏面側に倒れることなく、安定して自立することができる。
【0077】
また、本体保持面部2が、保持板25および支持板26と、第1間隔板45および第2間隔板46とによって前面保持面部4に保持されることにより、スタンド10Aの強度が高まる。
【0078】
図9に示すように、スタンド10Aにおいて、本体保持面部2が斜め上方を向いている。これにより、表示器100の本体部102を本体保持面部2の第1保持部21〜24に嵌め込むだけで、表示器100を外れないように装着することができる。また、机上にスタンド10Aを設置してインストール作業を行う場合、表示面101aが見やすく、かつ表示面101a上でのタッチパネルへの操作が容易になる。また、上述のように本体保持面部2の第1保持部23、24の間に配線が配置されるので、インストール作業が終われば、配線を接続したままで、表示器100をスタンド10Aから取り外すことができる。
【0079】
なお、底面部3と前面保持面部4とのなす角が鈍角の場合は、スタンド10Aの重心が底面部3に対して背面寄りに位置する。これに対し、底面部3と前面保持面部4とのなす角が直角以下であるので、スタンド10Aの重心が底面部3に対してより前方に位置するので、スタンド10Aは、支持板26がなくても自立することができる。ただし、スタンド10Aでは、本体保持面部2および前面保持面部4のそれぞれの短辺方向の幅に対する底面部3の短辺方向の幅の比率が小さいほど、表示器100の荷重を安定して支えることが難しい。このため、短辺方向の幅の狭い底面部3を有するスタンド10Aでは、上記比率が小さいので、支持板26を利用することが好ましい。また、短辺方向の幅の広い底面部3を有するスタンド10Aでは、上記比率が大きいので、支持板26がなくても表示器100の荷重を安定して支えることが容易である。
【0080】
なお、本実施形態では、本体保持面部2の第1保持部21〜24が個別に設けられているが、第1保持部21〜24に代えて、本体保持面部2(平板部20)の両端縁に沿った2つの第1保持部が設けられてもよい。これにより、本体保持面部2の強度を高めることができる。また、第1保持部21〜24における本体保持面部2の両端縁に沿った長さを長くすることでも、本体保持面部2の強度を高めることができる。このように、本体保持面部2の強度を高めることにより、安定して表示器100を支持することができる。
【0081】
また、本実施形態では、本体保持面部2には、4つの第1保持部21〜24が設けられているが、表示器100の本体部102を保持でき、かつ隣接する2つの第1保持部同士の間隔が本体部102に接続された配線を配置できる十分な大きさに確保できれば、5つ以上の第1保持部が設けられていてもよい。例えば、第1保持部21、22の間、第1保持部22、24の間、第1保持部23、24の間、第1保持部21、23の間に、それぞれ別の第1保持部が設けられていてもよい。
【0082】
また、本実施形態では、保持板25の折り曲げ片25dを前面保持面部4の穴47に嵌め込み、支持板26の折り曲げ片26fを前面保持面部4の穴48に嵌め込むことにより本体保持面部2が、前面保持面部4に保持される構造を採用している。あるいは、これに代えて、またはこれに加えて、前面保持面部4の第1間隔板45および第2間隔板46にそれぞれ設けた折り曲げ片を、本体保持面部2に設けられた穴に嵌め込むことにより、本体保持面部2と前面保持面部4との間で相互に保持構造を形成することができる。これにより、スタンド10Aの強度をより高めることができる。
【0083】
また、本実施形態では、持ち手11を上面部1に設けているが、これに代えて、持ち手11をカバー面部5に設け、上面部1に持ち手11を通す開口部を設けてもよい。
【0084】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 上面部(第1面部)
2 本体保持面部
3 底面部(中間面部)
4 前面保持面部
5 カバー面部(第2面部)
5a 開口部
6〜9 折り曲げ部
10 梱包緩衝材
10A スタンド
11 持ち手
21〜24 第1保持部(保持部)
25 保持板(第1切り抜き板)
25d、26f 折り曲げ片
26 支持板(第1切り抜き板)
41、42 第2保持部
43、44 第2保持部(突出部)
45 第1間隔板(第2切り抜き板)
45e 折り曲げ部
46 第2間隔板(第2切り抜き板)
47、48 穴
100 表示器
101 前面部
101a 表示面
101b フランジ部
102 本体部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9