特許第6768382号(P6768382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768382
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】医用管理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
   A61B6/03 330Z
   A61B6/03 333B
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-140340(P2016-140340)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-7944(P2018-7944A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】大田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】多田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】三上 誠二
(72)【発明者】
【氏名】室井 規雅
(72)【発明者】
【氏名】村松 真次
【審査官】 相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−285873(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0204145(US,A1)
【文献】 特開2009−172238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医用画像診断装置にネットワークを介して接続された医用管理装置であって、
前記複数の医用画像診断装置各々が有する処理機能と処理機能に要するハードウェア資源の資源情報とを関連付けた対応テーブルと、前記複数の医用画像診断装置各々が有するハードウェア資源の利用状況情報とを記憶する記憶部と、
前記複数の医用画像診断装置のうちの第1の医用画像診断装置の故障通知を受信する受信部と、
前記第1の医用画像診断装置が実行する第1の処理機能から、前記対応テーブルと前記利用状況情報とを利用して、前記第1の医用画像診断装置に代替して前記第1の処理機能を実行する第2の医用画像診断装置を決定する決定部と、
前記第1の医用画像診断装置に対し、前記第1の処理機能を実行するために必要なデータの前記第2の医用画像診断装置への送信要求を送信する送信部と、
を具備する医用管理装置。
【請求項2】
前記資源情報は、対応する処理機能に要するハードウェア資源の種類、及び前記ハードウェア資源の使用率又は使用量を含む、請求項1記載の医用管理装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記第1の医用画像診断装置から前記故障通知を受信した場合、前記第1の医用画像診断装置が故障した旨の通知を、前記複数の医用画像診断装置のうちの前記第1の医用画像診断装置以外の他の装置に送信する、請求項1記載の医用管理装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記第1の医用画像診断装置から前記故障通知と共に前記第1の処理機能の識別情報とを受信し、
前記決定部は、前記第1の医用画像診断装置の識別情報と前記第1の処理機能の識別情報とから前記対応テーブルを利用して前記第1の処理機能に要する第1のハードウェア資源の第1の資源情報を特定し、前記第1の資源情報から前記利用状況情報を利用して前記第1の医用画像診断装置に代替えして前記第1の処理機能を実行する前記第2の医用画像診断装置を決定する、
請求項1記載の医用管理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記第1の処理機能毎に前記第2の医用画像診断装置を決定する、請求項4記載の医用管理装置。
【請求項6】
前記第1の処理機能は、複数の第1のハードウェア資源を要し、
前記決定部は、前記複数の第1のハードウェア資源に関する複数の第1の資源情報を一台で充足する医用画像診断装置を、前記第2の医用画像診断装置として決定する、
請求項4記載の医用管理装置。
【請求項7】
前記第1の処理機能は、複数の第1のハードウェア資源を要し、
前記決定部は、前記複数の第1のハードウェア資源毎に第1の資源情報を充足する医用画像診断装置を特定し、前記特定された複数の医用画像診断装置の組合せを前記第2の医用画像診断装置として特定する、
請求項4記載の医用管理装置。
【請求項8】
データを記憶する記憶部と、
前記第2の医用画像診断装置から緊急使用をする旨の通知を前記受信部が受信した場合、前記第2の医用画像診断装置の代わりに前記第1の医用画像診断装置から送信される前記データを前記記憶部に退避させる制御部と、を更に備える、
請求項1記載の医用管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置に含まれるハードウェア資源の故障(不具合を含む)により装置全体が機能しなくなることがある。復旧までに要する時間(ダウンタイム)が長引くことで、その装置を必要とする患者や医師に多大な影響を与えることになる。故障によるダウンタイムを削減すること、あるいは故障を防止することが求められている。
【0003】
医用画像診断装置に故障したハードウェア資源が検知された場合、故障したハードウェア資源を停止して運用する縮退運転が行われている。しかしながら、停止したハードウェア資源を利用する処理機能は実行することはできない。
【0004】
ダウンタイムを発生させない、又は削減若しくは軽減する技術として、フォールトトレラントシステム(fault tolerant system)、定期点検、故障診断及び故障予測がある。フォールトトレラントシステムは、故障を発生させないことを念頭に設計される。しかしながら、フォールトトレラントシステムは、多重化や障害隔離・置換のため様々な専用の仕組みが必要であり、装置自体が複雑で高額になる。定期点検においては定期的に保守点検が行われる。点検中に異常を検知できれば早めの交換が可能である。しかしながら、点検中に異常を検知できない場合、点検後に異常が発生してしまう。故障診断においては故障箇所が特定される。特定された故障箇所の除去や交換を促進することでダウンタイムを短縮できる。故障診断の機能が組み込まれた製品は多いが、故障発見から修理までの時間の短縮は難しい。故障予測においては、装置の状態が監視され、状態の傾向から故障が予測される。故障する前に故障の可能性のある部品を交換することができるため、ダウンタイムを発生させないようにすることができる。ビッグデータにより予測する方法が検討されているが、研究要素が高く予測方法を確立することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−187638号公報
【特許文献2】特開2005−185788号公報
【特許文献3】特開2004−240697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態の目的は、故障による処理効率の低下を抑止可能な医用管理装置を提供することにある。




【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る医用管理装置は、複数の医用画像診断装置にネットワークを介して接続された医用管理装置であって、前記複数の医用画像診断装置各々が有する処理機能と処理機能に要するハードウェア資源の資源情報とを関連付けた対応テーブルと、前記複数の医用画像診断装置各々が有するハードウェア資源の利用状況情報とを記憶する記憶部と、前記複数の医用画像診断装置のうちの第1の医用画像診断装置の故障通知を受信する受信部と、前記第1の医用画像診断装置が実行する第1の処理機能から、前記対応テーブルと前記利用状況情報とを利用して、前記第1の医用画像診断装置に代替して前記第1の処理機能を実行する第2の医用画像診断装置を決定する決定部と、前記第1の医用画像診断装置に対し、前記第1の処理機能を実行するために必要なデータの前記第2の医用画像診断装置への送信要求を送信する送信部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る院内ネットワークを介して接続された医用管理装置と複数の医用画像診断装置とを含む院内ネットワークシステムの構成を示す図である。
図2図2は、図1の医用管理装置の構成を示す図である。
図3図3は、図2のCPUにより利用される機能/資源対応テーブルの一例を示す図である。
図4図4は、図2のCPUにより利用される資源利用状況テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、図1の医用画像診断装置の構成を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係る院内ネットワークシステムの動作の概要を模式的に示す図である。
図7図7は、本実施形態に係る院内ネットワークシステムに含まれる医用管理装置と医用画像診断装置との動作の典型的な流れを示す図である。
図8図8は、図7のステップSA後において医用画像診断装置Aにより行われる、故障検知を契機としたメニュー画面の変化を示す図である。
図9図9は、図7のステップSSにおいて医用画像診断装置B及びCにより表示される、運用制限の可否を選択するための選択画面W1の一例を示す図である。
図10図10は、ステップSDにおいて医用管理装置のCPUにより行われる代替装置の決定処理の典型的な流れを示す図である。
図11図11は、図10のステップSD1、SD2及びSD3の処理を模式的に示す図である。
図12図12は、図10のステップSD3において記録される代替構成情報の一例を示す図である。
図13図13は、図7のステップSEにおいて医用画像診断装置Aにより行われる、復旧機能の実行指示のためのメニュー画面を示す図である。
図14図14は、図1の回復管理機能に係る医用管理装置と医用画像診断装置との処理の典型的な流れを示す図である。
図15図15は、図14のステップSE2において表示される回復時通知選択ウィンドウの一例を示す図である。
図16図16は、図14のステップSE3において表示される回復通知待機情報の表示ウィンドウの一例を示す図である。
図17図17は、本実施形態に係る準備完了通知ウィンドウの一例を示す図である。
図18図18は、本実施形態に係る医用画像診断装置(代替装置)Bにより行われる緊急利用対応処理の典型的な流れを示す図である。
図19図19は、本実施形態に係る医用画像診断装置(代替装置)Bにより行われる電源制御処理の典型的な流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用管理装置、医用画像診断装置及び縮退運転プログラムを説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る院内ネットワークを介して接続された医用管理装置1と複数の医用画像診断装置3とを含む院内ネットワークシステムの構成を示す図である。図1に示すように、医用管理装置1は、複数の医用画像診断装置3を管理するコンピュータである。各医用画像診断装置3は、患者等を医用撮影して医用画像を収集する医用モダリティである。医用画像診断装置3としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置及び超音波診断装置が挙げられる。なお、医用画像診断装置3としては、PET装置やSPECT装置等の他の医用モダリティであっても良い。
【0011】
本実施形態に係る医用画像診断装置3は、搭載するハードウェア資源の故障検知機能を有している。故障が検知された場合、医用画像診断装置3は、故障したハードウェア資源を停止させて他のハードウェア資源の運転を継続させる縮退運転モードに移行する。そして当該医用画像診断装置3は、ハードウェア資源が故障した旨の通知(以下、故障通知と呼ぶ)を医用管理装置1に送信する。以下、故障通知を送信した医用画像診断装置3を故障装置と呼び、故障したハードウェア資源が実行する処理機能を復旧不能機能と呼ぶことにする。医用管理装置1は、故障通知を受けた場合、故障装置3に代替して復旧不能機能を実行する医用画像診断装置3を、本実施形態に係る院内ネットワークシステムに含まれる複数の医用画像診断装置3の中から決定する。以下、決定された医用画像診断装置3を代替装置と呼ぶことにする。そして故障装置は、代替装置に対して、復旧不能機能に要するデータ(以下、必要データと呼ぶ)を送信し、代替装置は、必要データに基づいて復旧不能機能を実行する。
【0012】
以下、上記処理を実現するための医用管理装置1及び医用画像診断装置3の構成について順番に説明する。
【0013】
図2は、医用管理装置1の構成を示す図である。図2に示すように、医用管理装置1は、CPU(central processing unit)11、メモリ12、通信回路13、表示回路14、入力回路15及び主記憶回路16を有する。CPU11、メモリ12、通信回路13、表示回路14、入力回路15及び主記憶回路16は、バスを介して互いに接続されている。
【0014】
CPU11は、医用管理装置1の中枢として機能するハードウェア資源である。CPU11は、メモリ12と協同して後述の各種処理を実行する。CPU11は、本実施形態に係る管理プログラムを読み出して実行することにより代替装置決定機能111、回復管理機能113及び緩衝運転機能115を実現する。
【0015】
代替装置決定機能111においてCPU11は、故障装置の識別情報と当該故障装置が実行する復旧不能機能の識別情報とから、機能/資源対応テーブル161と資源利用状況テーブル162とを利用して、故障装置に代替して復旧不能機能を実行する代替装置を決定する。機能/資源対応テーブル161と資源利用状況テーブル162とは、例えば、主記憶回路16に記憶される。故障装置の識別情報は、故障装置を一意に特定可能であれば、如何なる情報であっても良い。例えば、故障装置の識別情報としては、故障装置のID、装置名及びネットワークアドレス等が挙げられる。同様に、復旧不能機能の識別情報は、復旧不能機能を一意に特定可能であれば、如何なる情報であっても良い。例えば、復旧不能機能の識別情報としては、処理機能のID及び名称等が挙げられる。
【0016】
図3は、機能/資源対応テーブル161の一例を示す図である。図3に示すように、機能/資源対応テーブル161は、医用画像診断装置3各々が有する処理機能と処理機能に要するハードウェア資源の情報(以下、資源情報と呼ぶ)とを関連づけたルックアップテーブルである。機能/資源対応テーブル161に登録される処理機能は、各医用画像診断装置3が実行可能な医用に関する処理機能であって、他の医用画像診断装置3に性能又は機能的に代替可能な処理機能である。当該処理機能としては、例えば、画像再構成、画像保存及び画像処理等が挙げられる。画像処理としては、具体的には、3次元レンダリングやセグメント処理、画像計測、画像解析、アノテーション付加等が挙げられる。本実施形態に係る資源情報としては、各処理機能を実行するハードウェア資源の種類、当該ハードウェア資源の使用量又は使用率が挙げられる。本実施形態に係るハードウェア資源としては、例えば、CPU、半導体メモリ(MEMORY)、ハードディスク(HD:hard disk)、磁気ディスク、GPU(graphical processing unit)、GPGPU(general purpose computing on GPU)、再構成ボード等の既存の如何なるハードウェア資源が適用可能である。例えば、図3に示すように、装置SystemAの機能FuncAに要するハードウェア資源は、CPUとMEMORYであり、CPUの使用率は10%であり、MEMORYの使用量は32MBである。各医用画像診断装置3の処理機能及び資源情報に関する情報は、当該医用画像診断装置3から送信される。
【0017】
図4は、資源利用状況テーブル162の一例を示す図である。図4に示すように、資源利用状況テーブル162は、医用画像診断装置3各々が有するハードウェア資源の利用状況を示すルックアップテーブルである。具体的には、資源利用状況テーブル162は、医用画像診断装置3各々が有するハードウェア資源の使用量又は使用率のタイムスケジュールである。例えば、図4に示すように、装置SystemAは、現在から1時間後までの時間帯においては、CPUの使用率が80%、MEMORYの使用量が10GB、HDの使用量が100GBであり、2時間後から3時間後までの時間帯においては、CPUの使用率が80%、MEMORYの使用量が10GB、HDの使用量が100GBであり、3時間後から4時間後までの時間帯においては、CPUの使用率が10%、MEMORYの使用量が1GB未満、HDの使用量が1GB未満である。各医用画像診断装置3の利用状況に関する情報は、当該医用画像診断装置3から送信される。
【0018】
回復管理機能113は、故障装置から回復管理要請を受けたことを契機としてCPU11により実行される。故障装置は、復旧不能機能の実行要請を代替装置に送信したが、代替装置から拒絶通知を受けた場合に回復管理要請を医用管理装置1に送信する。回復管理機能113においてCPU11は、代替装置の拒絶状態からの回復及びその後の復旧不能機能の代替実行までを管理する。
【0019】
緩衝運転機能115は、故障装置又は代替装置から緩衝運転要請を受けたことを契機としてCPU11により実行される。故障装置が代替装置に復旧不能機能の実行のために必要データを転送する際に代替装置が緊急利用により復旧不能機能を実行できない場合、故障装置又は代替装置は、緩衝運転要請を医用管理装置1に送信する。緩衝運転機能115においてCPU11は、故障装置からの必要データを受信し、受信された必要データを一時的に医用管理装置1の主記憶回路16等のハードウェア資源に退避させる。
【0020】
メモリ12は、典型的には、データの読み書きが可能なRAM(random access memory)等のハードウェア資源である。
【0021】
通信回路13は、図示しない有線又は無線を介して、本実施形態に係る院内ネットワークシステムに含まれる複数の医用画像診断装置3との間でデータ通信を行うハードウェア資源である。
【0022】
表示回路14は、各種情報を表示する。具体的には、表示回路14は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータを映像信号に変換するハードウェア資源である。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表す映像信号を表示するハードウェア資源である。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0023】
入力回路15は、具体的には、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付けるハードウェア資源である。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してCPU11に供給するハードウェア資源である。
【0024】
主記憶回路16は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等のハードウェア資源である。また、主記憶回路16は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。
【0025】
図5は、各医用画像診断装置3の構成を示す図である。図5に示すように、医用画像診断装置3は、基本構成要素31、医用撮影部32、再構成装置33、画像保存HDD34、画像処理装置35、電源回路36及び電源制御回路37を有する。
【0026】
基本構成要素31は、医用画像診断装置3のコンピュータとしての基本的な構成要素である。基本構成要素31は、医用画像診断装置3の中枢であり、代替装置により代替可能なハードウェア資源ではない。
【0027】
医用撮影部32は、各医用画像診断装置3のモダリティ種に応じた撮影機構を搭載する。医用撮影部32は、患者等に医用撮影を実行し生データを収集する。例えば、医用画像診断装置3がX線コンピュータ断層撮影装置の場合、医用撮影部32は、X線管とX線検出器とを保持する回転フレームを高速で回転させながらX線管から患者にX線を照射し、患者を透過したX線をX線検出器により検出する。そして医用撮影部32は、X線検出器により検出されたX線に応じた生データをデータ収集回路により収集する。また、医用画像診断装置3が磁気共鳴イメージング装置の場合、医用撮影部32は、例えば、RFコイルからRFパルスを照射して、静磁場内に載置された患者内に存在する対象原子核を励起させ、当該対象原子核から発生されるMR信号をRFコイルにより収集する。そして医用撮影部32は、RFコイルにより収集されたMR信号を受信回路により信号処理して生データを収集する。医用撮影部32は、他の医用画像診断装置3により代替可能なハードウェア資源には該当しないものとする。
【0028】
再構成装置33は、医用撮影部32により収集された生データに再構成処理を施して患者に関する医用画像を再構成する。例えば、再構成装置33は、ハードウェア資源として、再構成処理のために最適に設計された専用の半導体基板、すなわち、再構成ボードを有する。なお、画像再構成は、再構成ボードに限らず、汎用のCPUやGPU、GPGPU等のプロセッサでも実行可能である。従って再構成装置33は、再構成ボードの代わりに、汎用のGPUやGPGPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有しても良い。再構成装置33に含まれる再構成ボード、プロセッサ(例えば、GPUやGPGPU)、メモリ(例えば、ROMやRAM)等は、他の医用画像診断装置により代替可能なハードウェア資源に該当するものとする。
【0029】
画像保存HDD34は、医用画像の保存のための専用の記憶装置である。画像保存HDD34は、ハードウェア資源として、HD(hard disk)、半導体メモリ、磁気ディスク等を有する。画像保存HDD34に含まれるHD、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶装置は、他の医用画像診断装置により代替可能なハードウェア資源に該当するものとする。
【0030】
画像処理装置35は、医用画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理装置35は、画像処理として、医用画像に3次元レンダリングやセグメント処理、画像計測、画像解析、アノテーション付加等を行う。画像処理装置35は、ハードウェア資源として、GPUやGPGPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。なお、画像処理は、汎用のCPU等のプロセッサでも実行可能である。画像処理装置35に含まれるプロセッサ(例えば、GPUやGPGPU)、メモリ(例えば、ROMやRAM)等は、他の医用画像診断装置により代替可能なハードウェア資源に該当するものとする。
【0031】
電源回路36は、医用画像診断装置3に搭載される基本構成要素31、医用撮影部32、再構成装置33、画像保存HDD34、画像処理装置35及び電源制御回路37等のハードウェア資源に電力を供給する。電源回路36は、他の医用画像診断装置3により代替可能なハードウェア資源には該当しないものとする。
【0032】
電源制御回路37は、電源回路36の通電と遮断(シャットダウン)とを切り替える。電源制御回路37は、他の医用画像診断装置3により代替可能なハードウェア資源には該当しないものとする。
【0033】
図5に示すように、基本構成要素31は、CPU311、メモリ312、通信回路313、表示回路314、入力回路315及び主記憶回路316を有する。CPU311、メモリ312、通信回路313、表示回路314、入力回路315及び主記憶回路316は、バスを介して互いに接続されている。
【0034】
CPU311は、医用画像診断装置3の中枢として機能するハードウェア資源である。CPU311は、メモリ312と協同して後述の各種処理を実行する。CPU311は、故障検知機能3111、機能/資源テーブル作成機能3113、縮退運転機能3115及び代替運転機能3117を有する。
【0035】
故障検知機能3111においてCPU311は、医用撮影部32、再構成装置33、画像保存HDD34及び画像処理装置35に含まれるハードウェア資源の故障を検知する。
【0036】
機能/資源テーブル作成機能3113においてCPU311は、据付時等の所定のタイミングにおいて、自装置が有する処理機能と処理機能に要するハードウェア資源の資源情報とを関連づけた機能/資源情報を作成する。自装置に関する機能/資源情報は、機能/資源対応テーブル161の作成のため、医用管理装置1に送信される。
【0037】
縮退運転機能3115はCPU311が縮退運転プログラムを実行することにより実現される。縮退運転機能3115においてCPU311は、故障が検知されたハードウェア資源を停止する。そしてCPU311は、停止したハードウェア資源が実行する処理機能(復旧不能機能)を、院内ネットワークに接続された他の医用画像診断装置(代替装置)3に代替実行を依頼する。縮退運転プログラムは、主記憶回路316等により記憶されている。
【0038】
代替運転機能3117はCPU311が代替運転プログラムを実行することにより実現される。代替運転機能3117においてCPU311は、院内ネットワークに接続された他の医用画像診断装置(故障装置)3が実行する処理機能(復旧不能機能)を、当該故障装置に代替して実行するための準備及び復旧不能機能のハードウェア資源への割当てを行う。代替運転プログラムは、主記憶回路316等により記憶されている。
【0039】
メモリ312は、典型的には、データの読み書きが可能なRAM(random access memory)等のハードウェア資源である。
【0040】
通信回路313は、図示しない有線又は無線を介して、本実施形態に係る院内ネットワークシステムに含まれる医用管理装置1及び他の複数の医用画像診断装置3との間でデータ通信を行うハードウェア資源である。
【0041】
表示回路314は、各種情報を表示する。具体的には、表示回路314は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータを映像信号に変換するハードウェア資源である。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表す映像信号を表示するハードウェア資源である。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0042】
入力回路315は、具体的には、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付けるハードウェア資源である。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してCPU311に供給するハードウェア資源である。
【0043】
主記憶回路316は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等のハードウェア資源である。また、主記憶回路316は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。
【0044】
以下、本実施形態に係る院内ネットワークシステムの詳細について説明する。
【0045】
図6は、本実施形態に係る院内ネットワークシステムの動作の概要を模式的に示す図である。図6に示すように、院内ネットワークシステムに含まれる医用画像診断装置3として、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置及び血管撮影用のX線診断装置、すなわち、X線アンギオ装置が設けられているとする。X線コンピュータ断層撮影装置は再構成装置33と画像保存HDD34とを有し、磁気共鳴イメージング装置は再構成装置33を有し、X線アンギオ装置は画像保存HDD34を有しているものとする。このような院内ネットワークシステムにおいてX線コンピュータ断層撮影装置のCPU311によりX線コンピュータ断層撮影装置内の再構成装置33と画像保存HDD34との故障が検知されたとする。この場合、図6に図示しない医用管理装置1が、CT画像の画像再構成のための代替装置とCT画像の保存のための代替装置を決定する。例えば、図6に示すように、CT画像の画像再構成のための代替装置として磁気共鳴イメージング装置の再構成装置33が決定され、CT画像の画像保存のための代替装置としてX線アンギオ装置の画像保存HDD34が決定されるとする。この場合、X線コンピュータ断層撮影装置は、CT画像の画像再構成のために、CT再構成プログラムとCTスキャンにより収集された患者の生データとを磁気共鳴イメージング装置に送信する。磁気共鳴イメージング装置の再構成装置33は、受信したCT再構成プログラムをインストールし、受信した生データにCT再構成処理を施して当該患者に関するCT画像を再構成する。磁気共鳴イメージング装置は、再構成したCT画像を、画像保存のため、X線アンギオ装置に送信する。X線アンギオ装置の画像保存HDD34は、受信したCT画像を保存する。そしてX線アンギオ装置は、画像表示のため、X線コンピュータ断層撮影装置にCT画像を送信する。X線コンピュータ断層撮影装置は、受信したCT画像を表示する。その後、X線コンピュータ断層撮影装置のユーザは、CT画像を観察することができ、X線コンピュータ断層撮影装置の画像処理装置は、CT画像に画像処理を実行することができる。
【0046】
このように本実施形態に係る院内ネットワークシステムによれば、X線コンピュータ断層撮影装置の再構成装置と画像保存HDDとが故障した場合であっても、磁気共鳴イメージング装置の再構成装置によりCT画像を再構成し、X線アンギオ装置の画像保存HDDによりCT画像を保存することができる。これにより、X線コンピュータ断層撮影装置の再構成装置と画像保存HDDとの故障による処理効率の低下を抑止することができる。
【0047】
次に、図7を参照しながら、本実施形態に係る院内ネットワークシステムに含まれる医用管理装置1と医用画像診断装置3との動作を説明する。
【0048】
図7は、本実施形態に係る院内ネットワークシステムに含まれる医用管理装置1と医用画像診断装置3との動作の典型的な流れを示す図である。なお、以下の説明において、医用画像診断装置3は、医用画像診断装置A、医用画像診断装置B及び医用画像診断装置Cの3台であるとする。
【0049】
図7に示すように、医用画像診断装置A、B及びCは、所定のタイミングにおいて、自装置が実行可能な処理機能と当該処理機能の実行に要するハードウェア資源の資源情報とを関連づけた機能/資源情報を作成し、医用管理装置1に送信する。機能/資源情報の作成及び送信は、当該装置内の構成が変わらない場合は一度のみ行われれば良い。所定のタイミングとしては、例えば、各装置A、B及びCの据付時やバージョンアップ時、システムインストール時、アップグレード時に設定される。なお、バージョンアップ時、システムインストール時及びアップグレード時において処理機能と資源情報とに変更がない場合、医用画像診断装置A、B及びCは、機能/資源情報の作成及び送信を行わなくても良い。医用管理装置1のCPU11は、医用画像診断装置A、B及びCから受信した機能/資源情報を、機能/資源対応テーブル161に登録し、主記憶回路16に保存する。なお、装置A、B及びCにおいても、自装置が送信した機能/資源情報の複製を主記憶回路316に保存しても良い。
【0050】
医用画像診断装置A、B及びC各々のCPU311は、起動中、故障検知機能3111を実行する。故障検知は、既知の方法により行われれば良い。具体的には、各装置A、B及びCのCPU311は、ハードウェア資源の物理的な故障又は通信エラー等を故障として検知する。例えば、HDのセクターアクセス異常を検知すると、CPU311は、当該HDが故障したと判定する。また、再構成装置33又は画像処理装置35との通信不良を検知すると、CPU311は、当該再構成装置33又は画像処理装置35が故障したと判定する。
【0051】
図7に示すように、医用画像診断装置Aにおいて故障が検知されたとする(ステップSA)。故障が検知された場合、装置AのCPU311は、通信回路313を介して、故障通知を医用管理装置1に送信する。故障通知は、装置Aにおいて故障が検知された旨、故障したハードウェア資源の種類、故障したハードウェア資源が実行する処理機能(復旧不能機能)の種類に関する情報を含む。なお、復旧不能機能は、故障が検知された時点において当該ハードウェア資源が実行していた処理機能と当該ハードウェアが実行する予定の処理機能とを含むものとする。復旧不能機能は、一つの場合もあるし、複数の場合もある。本実施形態は、何れの場合にも適用可能である。
【0052】
故障検知が行われると医用画像診断装置Aは、縮退運転を行う(ステップSB)。具体的には、医用画像診断装置AのCPU311は、故障が検知されたことを契機として主記憶回路316に記憶されている縮退運転プログラムを読み出して縮退運転機能3115を実行する。縮退運転機能3115においてCPU311は、故障が検知されたハードウェア資源を停止し、当該ハードウェア資源に関係する処理機能(復旧不能機能)を停止する。復旧不能機能の停止は、例えば、処理機能のメニュー画面において復旧不能機能に関係するメニューボタンを選択不可の態様で表示することによりユーザに通知される。
【0053】
図8は、故障検知を契機としたメニュー画面の変化を示す図である。図8は、処理機能のメニュー画面の一例として、画像保存に係るメニュー画面を示している。図8左側に示すように、機能停止前においてCPU311は、当該メニュー画面に表示されている全てのメニューボタンを選択可能に設定する。画像保存HDD34の故障が検知された場合、CPU311は、画像保存HDD34の機能を停止し、画像保存に係る処理機能に関係する全てのメニューボタンを選択不能に設定する。
【0054】
例えば、画像データベースを有するHDが故障した場合、CPU311は、HDを用いる処理機能である、医用撮影や画像再構成、印刷、メディア保存、転送保存等を停止する。この場合、CPU311は、医用撮影や画像再構成、印刷、メディア保存、転送保存に係るメニュー画面及びメニューボタンを、機能停止前とは異なる視覚効果で表示回路314に表示する。例えば、表示回路314は、機能停止前に比して機能停止後のメニュー画面及びメニューボタンを暗く表示する。これによりCPU311は、画像保存に係る処理機能が停止していることをユーザに知らせることができる。
【0055】
一方、故障通知を受信すると医用管理装置1は、故障通知の送信元である医用画像診断装置Aの故障通知を、他の医用画像診断装置B及びCに送信する。医用画像診断装置B及びCのCPU311は、故障通知を受信したことを契機として、主記憶回路316に記憶されている代替運転プログラムを読み出して代替運転機能3117を実行する。なお、医用管理装置Aが故障通知を装置B及びCに送信したときに当該装置B及びCの少なくとも一方の電源が投入されていない場合がある。この場合、医用管理装置1のCPU11は、医用画像診断装置Aの故障通知を主記憶回路16等に一旦保存し、医用画像診断装置B又はCの電源が投入された場合、当該装置B又はCのCPU311が医用画像診断装置Aに故障通知の有無を問い合わせても良い。医用画像診断装置AのCPU11は、問い合わせ元の装置B又はCに通知すべき故障通知が主記憶回路16等に保存されている場合、当該故障通知を、通信回路13を介して問い合わせ元の装置B又はCに送信する。代替運転機能3117において医用画像診断装置B及びCのCPU311は、まず、運用制限可否の決定処理を行う(ステップSC)。
【0056】
ステップSCにおいて装置B及びCのCPU311は、故障通知を受信した場合、故障装置Aを代替するために、自装置のハードウェア資源の運用制限を実行するか否かを、入力回路315を介したユーザ指示に従い選択する。具体的には、CPU311は、運用制限の可否を選択するための選択画面(以下、運用制限可否選択画面と呼ぶ)を表示回路314に表示する。
【0057】
図9は、運用制限可否選択画面W1の一例を示す図である。図9に示すように、運用制限可否選択画面W1は、運用制限の可否の選択を促すメッセージ欄、運用制限を許諾する旨を選択するYesボタンB1及び運用制限を拒絶する旨を選択するNoボタンB2を有する。メッセージ欄には、例えば、「故障機運用のための運用制限を実施しますか?」のメッセージが表示される。また、メッセージ欄には、「50%」等の、ハードウェア資源の使用率又は使用量の制限率が表示される。運用制限の対象のハードウェア資源は、復旧不能機能に関係するハードウェア資源でも良いし、予め設定されたハードウェア資源でも良い。制限率は、入力回路315を介して任意の値に設定されても良いし、故障装置Aや故障したハードウェア資源に応じた値に設定されても良い。
【0058】
入力回路315等を介してYesボタンB1が選択された場合、CPU311は、通常処理モードから資源量制限モードに移行する。資源量制限モードにおいてCPU311は、運用制限の対象のハードウェア資源の使用率又は使用量を、選択画面W1に表示された制限率で制限する。運用制限をすることにより、復旧不能機能の代替実行に必要なハードウェア資源の使用率又は使用量を予め確保しておくこができる。
【0059】
入力回路315等を介してNoボタンB2が選択された場合、CPU311は、通常処理モードを維持する。通常処理モードにおいてCPU311は、ハードウェア資源の使用率又は使用量を制限しない。
【0060】
以下、医用画像診断装置B及びCにおいて運用制限がなされたものとして説明する。運用制限がなされた場合、医用画像診断装置B及びCのCPU311は、利用状況情報を医用管理装置1に送信する。利用状況情報は、図4に示すように、装置B及びC各々が有する各ハードウェア資源の使用率又は使用量のスケジュールに関する情報である。CPU311は、故障したハードウェア資源と同種のハードウェア資源に限定して利用状況情報を医用管理装置1に送信しても良いし、自装置が有する全てのハードウェア資源に関する利用状況情報を医用管理装置1に送信しても良い。利用状況情報は、例えば、以下の手順で作成される。まず、CPU311は、患者予約システムにより管理されている自装置の使用スケジュールを、患者予約システムから収集する。次にCPU311は、収集した使用スケジュールに基づいて、故障ハードウェア資源と同一又は同種のハードウェア資源に関する利用状況情報を作成する。なお、利用状況情報として、ハードウェア資源の使用率又は使用量のみならず、電源の遮断又は通電に関する情報が含まれても良い。医用管理装置1のCPU11は、受信した利用状況情報を、資源利用状況テーブル162に登録し、主記憶回路16に保存する。
【0061】
なお、上記の説明においては故障通知を受けた医用画像診断装置B及びCが利用状況情報を作成し送信するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、院内ネットワークに接続された全ての医用画像診断装置が、故障通知を受ける前から定期的に利用状況情報を作成し医用管理装置1に送信しても良い。この場合、利用状況情報は、自装置が有する全てのハードウェア資源について作成されると良い。
【0062】
運用制限可否の決定処理SCがなされると医用管理装置1は、代替装置の決定処理を行う(ステップSD)。ステップSDにおいて医用管理装置1のCPU11は、代替装置決定機能111を実行する。
【0063】
図10は、ステップSDにおいて医用管理装置1のCPU11により行われる代替装置の決定処理の典型的な流れを示す図である。図11は、図10のステップSD1、SD2及びSD3の処理を模式的に示す図である。図10に示すように、CPU11は、まず、復旧不能機能の実行に必要な資源情報を、機能/資源対応テーブル161を利用して特定する(ステップSD1)。より詳細には、CPU11は、故障通知に含まれる故障装置の装置名と復旧不能機能の機能名とをキーワードとして機能/資源対応テーブル161に入力し、機能/資源対応テーブル161において故障装置の装置名と復旧不能機能の機能名とに関連づけられた資源情報を特定する。例えば、図11に示すように、故障装置がSystemAであり、復旧不能機能がFuncBであるとする。この場合、CPU11は、故障装置:SystemA及び復旧不能機能:FuncBをキーワードとして機能/資源対応テーブル161を検索し、当該キーワードに関連づけられた必要資源情報、すなわち、「CPUについて使用率10%、MEMORYについて使用量128MB、HDについて使用量10GB」を特定する。
【0064】
ステップSD1が行われるとCPU11は、必要資源情報を充足する資源情報の候補を、資源利用状況テーブル162を利用して特定する(ステップSD2)。より詳細には、CPU11は、ステップSD1において特定された必要資源情報をキーワードとして資源利用状況テーブル162に入力し、資源利用状況テーブル162において必要資源情報に関連づけられた装置を候補として特定する。
【0065】
ステップSD2においてCPU11は、まず、完全充足検査を行う。完全充足検査においては、復旧不能機能に要する全てのハードウェア資源に関する必要資源情報を一台で充足する装置が特定される。例えば、図11の場合、必要資源情報「CPU:使用率10%、MEMORY:使用量128MB、HD:使用量10GB」をキーワードとして資源利用状況テーブル162を検索する。SystemBは、復旧不能機能FuncBに要するCPU、MEMORY及びHDの全ての必要資源情報を充足する。従ってSystemBが第1候補として特定される。
【0066】
完全充足検査後、CPU11は、部分充足検査を行う。部分充足検査においては、復旧不能機能に要するハードウェア資源毎に必要資源情報を充足する装置が特定される。例えば、必要資源情報「CPU:使用率10%、MEMORY:使用量128MB、HD:使用量10GB」のうち「CPU:使用率10%」と「MEMORY:使用量128MB」とはSytemCも充足し、「HD:使用量10GB」はSystemCが充足しない。この場合、後順位候補として、例えば、図11に示すように、CPU及びMEMORYについてはSytemC、HDについてSystemBが代替候補として特定される。あるいは、MEMORYについてはSystemC、CPU及びHDについてはSystemBが代替候補として特定されても良いし、CPUについてはSytemC、MEMORY及びHDについてはSystemBが代替候補として特定されても良い。各ハードウェア資源について複数の装置が必要資源情報を充足する場合、何れの装置を候補として優先するかは、各ハードウェア資源の使用率又は使用量の余力、使用スケジュールの過密さ等を考慮して特定されると良い。なお、完全充足検査において代替候補が特定された場合、部分充足検査は必ずしも行われなくても良い。
【0067】
ステップSD2が行われるとCPU11は、特定された代替候補及び必要資源情報を代替構成情報として記録する(ステップSD3)。代替構成情報は、医用管理装置1の主記憶回路16等に保存される。
【0068】
図12は、代替構成情報の一例を示す図である。図12に示すように、代替構成情報は、復旧不能機能毎に故障ハードウェア資源の代替候補を関連づけた情報である。例えば、復旧不能機能FuncAの代替候補はSytemBであり、復旧不能機能FuncBの代替候補はCPUについてはSytemC、MEMORYについてはSytemC、HDについてはSytemBである。
【0069】
ステップSD3が行われるとCPU11は、全ての復旧不能機能について候補を特定したか否かを判定する(ステップSD4)。CPU11は、全ての復旧不能機能について代替候補が特定されていないと判定した場合、代替候補が特定されていない復旧不能機能についてステップS1、S2及びS3を繰り返す。
【0070】
そしてステップSD4において全ての復旧不能機能について代替候補を特定したと判定した場合(ステップSD4:YES)、CPU11は、代替構成情報を故障装置Aに通知する(ステップSD5)。故障装置Aは送信された代替構成情報を受信する。受信された代替構成情報を主記憶回路316に保存する。
【0071】
以上により、ステップSDにおける代替装置の決定処理が終了する。
【0072】
図7に示すように、医用管理装置1から代替構成情報を受信すると故障装置Aは、復旧機能実行指示処理を行う(ステップSE)。ステップSEにおいて故障装置AのCPU11は、復旧不能機能の実行指示を待機する。復旧不能機能の実行指示は、復旧不能機能に係るメニュー画面に対する、入力回路15等を介したユーザ指示により、もしくは、自動的に行われる。
【0073】
図13は、復旧不能機能の実行指示SEのためのメニュー画面を示す図である。図13の左図に示すように、代替構成情報の受信前においてメニュー画面の全てのメニューボタンは、選択不能に表示されている。代替構成情報の受信後においてCPU11は、代替構成情報に基づいてメニュー画面を回復する。
【0074】
代替装置Bにおいて復旧不能機能を実行する際、当該復旧不能機能を実行するハードウェア資源が有する全ての能力を、当該復旧不能機能に費やすことができない場合がある。このため、故障装置AのCPU11は、代替構成情報に応じて、選択可能なメニューボタンを設定する。具体的には、各メニューボタンに対応する処理機能の各々について必要なハードウェア資源の使用率又は使用量を関連づけたルックアップテーブル(以下、必要資源テーブルと呼ぶ)を用いて選択可能なメニューボタンが設定される。CPU11は、代替構成情報を必要資源テーブルに入力し、代替構成情報を充足する処理機能を特定し、特定された処理機能に対応するメニューボタンを、選択可能に設定する。図13に示すように、選択可能に設定されたメニューボタンは、選択不能に設定されているメニューボタンと視覚的に区別して表示回路14により表示される。例えば、図13に示すように、選択可能に設定されたメニューボタンは、選択不能に設定されているメニューボタンに比して明るく表示される。なお、必要資源テーブルは、主記憶回路16等に記憶されると良い。
【0075】
例えば、故障装置Aの画像保存HDDが故障した場合において画像保存機能を代替装置Bのシステムディスク等で代替することも可能である。システムディスクは、画像保存HDDに比して書き込み時間が長いので、高速な書き込みを行うことはできない。また、システムディスクは、画像保存HDDに比して記憶容量が少ないため、大量の画像を保存することができない。例えば、図13に示すように、スライス厚が5.0未満であると、撮影枚数が多くなるため膨大な記憶容量が必要なので、スライス厚5.0以上のみが選択可能に表示されると良い。同様に、スライスピッチが小さい場合、膨大な記憶容量が必要なので、比較的大きいスライスピッチのみが選択可能に表示されると良い。また、図13に示すように、単一のアキシャルのタブのみを選択可能に制限することにより、複数の再構成を禁止しても良い。また、リアルタイム再構成及び高精細再構成は、処理時間を要し且つ膨大な記憶容量を消費するので、リアルタイム再構成及び高精細再構成に対応するメニューボタン選択不能に表示されると良い。これにより、故障装置Aの画像保存HDDが故障した場合であっても最低限の画像保存が可能となる。
【0076】
例えば、故障装置Aの再構成ボードが故障した場合において再構成機能を代替装置BのCPUで代替することも可能である。CPUは、再構成ボードに比して処理速度が低速である。また、高精細な再構成関数は多くの処理時間を要する。従って、撮影条件設定画面において、リアルタイム再構成に対応するメニューボタンや高精細な再構成関数に対応するメニューボタンは選択不能に表示されると良い。これにより、故障装置Aの再構成ボードが故障した場合であっても最低限の画像再構成が可能となる。
【0077】
例えば、故障装置AのGPGPUボードが故障した場合においてレンダリング機能を代替装置BのCPUで代替することも可能である。CPUは、GPGPUボードに比して処理速度が低速なので、リアルタイム表示を行うことができず、また、高精細なレンダリングについて多くの処理時間を要する。従って、3次元のSVR表示でシネ表示等の連続表示に対応するメニューボタンを選択不能に設定したり、高精細モードでの表示を禁止したりしても良い。これにより、故障装置AのGPGPUボードが故障した場合であっても最低限の3次元表示が可能となる。
【0078】
復旧不能機能の実行指示がなされると故障装置AのCPU311は、代替候補の選択画面を表示する。そして故障装置Aのユーザは、入力回路315を介して、代替構成要求を行う代替候補を選択する。
【0079】
図7に示すように、代替候補が選択された場合、故障装置AのCPU11は、通信回路13を介して、ハードウェア資源の構成の要求(以下、代替構成要求と呼ぶ)を当該代替候補に送信する。例えば、医用画像診断装置Bが代替候補に選択されたとして説明する。
【0080】
代替構成要求を受信すると代替装置BのCPU311は、代替処理を実行するか否かの選択画面を、表示回路314に表示する。代替装置Bのユーザは、緊急使用等により代替実行を拒絶する場合がある。この場合、代替装置Bのユーザは、入力回路315を介して代替処理を実行しない旨を選択する。代替処理を実行しない旨が選択された場合、代替装置BのCPU311は、通信回路313を介して、拒絶通知を故障装置Aと医用管理装置1とに送信する。なお、代替装置Bが緊急使用時のような代替処理を実行不能である場合、故障装置Aに拒絶通知を送信する前段において、医用管理装置1に状況通知として拒絶通知を送信すると良い。
拒絶通知を受信すると、医用管理装置1のCPU11は、当該拒絶通知を登録する。また、故障装置AのCPU311は、拒絶通知を受信すると、その旨を表示回路314に表示し、次の代替候補への代替構成要求を促す。代替候補の医用画像診断装置が、代替処理を実行する旨を選択するまで、代替構成要求と代替実行の可否の選択とが繰り返される。
【0081】
代替装置Bのユーザが実行する旨を入力回路315を介した選択した場合、代替装置BのCPU311は、通信回路313を介して、資源確保通知を故障装置Aに送信する。資源確保通知を受信すると故障装置AのCPU311は、復旧不能機能の必要データを主記憶回路316から読み出して代替装置Bに送信する。例えば、復旧不能機能が画像保存である場合、保存対象の医用画像が必要データとして代替装置Bに送信される。復旧不能機能が画像再構成の場合、再構成プログラムと再構成処理対象の生データとが必要データとして代替装置Bに送信される。
【0082】
必要データを受信した代替装置Bは、復旧不能機能の代替処理を実行する(ステップSF)。ステップSFにおいて代替装置BのCPU311は、代替ハードウェア資源に必要データを提供し、復旧不能機能の代替実行を指示する。代替実行の指示を受けた代替ハードウェア資源は、提供された必要データに基づいて復旧不能機能を代替実行する。例えば、復旧不能機能が画像保存の場合、画像保存HDD34に医用画像が提供され、画像保存HDD34により当該医用画像がHD等に保存される。復旧不能機能が画像再構成の場合、再構成装置33に再構成プログラムと生データとが提供され、再構成装置33に再構成プログラムがインストールされる。そして再構成装置33は、再構成プログラムに従い生データに再構成処理を施して医用画像を再構成する。なお、再構成プログラムはシステム据付時に提供されることもある。この場合、再構成装置Bに再構成プログラム名と生データとが提供され、再構成装置33は提供されたプログラム名に対応する再構成プログラムをインストールし、当該再構成プログラムに従い生データに再構成処理を施すこととなる。復旧不能機能が画像処理の場合、画像処理装置35に画像処理プログラムと医用画像とが提供され、画像処理装置35に画像処理プログラムがインストールされる。そして画像処理装置35は、画像処理プログラムに従い医用画像に画像処理を施す。なお、画像処理プログラムはシステム据付時に提供されることもある。この場合、画像処理装置35に画像処理プログラム名と医用画像とが提供され、画像処理装置35は提供されたプログラム名に対応する画像処理プログラムをインストールし、当該画像処理プログラムに従い医用画像に画像処理を施すこととなる。代替処理の終了後、代替装置BのCPU311は、通信回路313を介して、処理結果を故障装置Aに送信する。
【0083】
以上により、本実施形態に係る院内ネットワークシステムに含まれる医用管理装置1と医用画像診断装置3との動作の流れの説明を終了する。
【0084】
なお、本実施形態においては、ある医用画像診断装置3のハードウェア資源が故障した場合、当該故障したハードウェア資源を他の医用画像診断装置3のハードウェア資源により代替するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、ある医用画像診断装置3のハードウェア資源が故障した場合、その医用画像診断装置3の他のハードウェア資源により当該故障したハードウェア資源を代替しても良い。例えば、医用画像診断装置Aの画像保存HDD34が故障した場合、医用画像診断装置Aのシステムディスク等で、画像保存HDD34が実行する画像保存機能を代替実行しても良い。また、医用画像診断装置Aの再構成装置33に含まれる再構成ボードが故障した場合、医用画像診断装置AのCPU等で、再構成ボードが実行する画像再構成機能を代替実行しても良い。また、医用画像診断装置Aの画像処理装置35に含まれるGPGPUボードが故障した場合、医用画像診断装置AのCPU等で、GPGPUボードが実行するレンダリング等の画像処理機能を代替実行しても良い。
【0085】
次に、医用管理装置1の回復管理機能113について、図14を参照しながら説明する。図14は、回復管理機能113に係る医用管理装置1と医用画像診断装置3との処理の典型的な流れを示す図である。図14は、図7の復旧機能実行指示SE後の代替構成要求に応答して全ての代替候補が代替処理の拒絶をした場合の流れを示している。なお、図14においては、代替候補が医用画像診断装置Bのみである場合を図示している。また、図14に示す医用画像診断装置3は、図7と同様、医用画像診断装置A、B及びCであるとする。
【0086】
図14に示すように、代替構成要求を受信すると代替装置BのCPU311は、代替処理を実行するか否かの選択画面を、表示回路314に表示する。代替装置Bのユーザは、緊急使用等により代替処理を拒絶する場合がある。この場合、ユーザは、入力回路315を介して代替処理を実行しない旨を選択される。代替処理を実行しない旨が選択された場合、代替装置BのCPU311は、通信回路313を介して、拒絶通知を故障装置Aと医用管理装置1とに送信する。
【0087】
全ての代替候補から拒絶通知を受信すると、医用管理装置1のCPU311は、回復時通知確認(ステップSE2)を行う。ステップSE2においてCPU311は、回復時通知を行うか否かの選択ウィンドウ(以下、回復時通知選択ウィンドウと呼ぶ)を、表示回路314に表示する。回復時通知とは、代替装置Bが代替処理を実行可能な状態になったことを医用管理装置1が故障装置Aに知らせる機能である。
【0088】
図15は、回復時通知選択ウィンドウW2の一例を示す図である。図15に示すように、回復時通知選択ウィンドウW2は、代替構成要求が拒絶された旨を示すメッセージ欄、回復時通知を要求する旨を選択する回復時通知ボタンB3及び回復時通知を要求しない旨を選択する取消ボタンB4を有する。メッセージ欄には、例えば、復旧不能機能が画像再構成である場合、「他装置使用中のため画像再構成を実行できません」等のメッセージが表示される。
【0089】
入力回路315等を介して取消ボタンB4が選択された場合、CPU311は、回復時通知要求を医用管理装置1に送信しない。この場合、図14の一連の処理は終了する。
【0090】
入力回路315等を介して回復時通知ボタンB3が選択された場合、CPU311は、通信回路13を介して、回復時通知要求を医用管理装置1に送信する。
【0091】
回復時通知要求を受信すると医用管理装置1のCPU11は、回復管理機能113を実行する。回復管理機能113においてCPU11は、状況監視を行う(ステップSE3)。ステップSE3においてCPU11は、代替構成情報に回復時通知要求を連携させ、代替装置Bの状況通知を監視する。また、医用管理装置1のCPU11は、回復時通知要求下の装置と復旧不能機能とを関連づけたルックアップテーブル(以下、回復時通知待機表と呼ぶ)に、当該回復時通知要求を登録する。回復時通知待機表は、例えば、主記憶回路316に保存されている。例えば、故障装置AがSystemAにC機能についての代替構成要求を行い、SystemXにY機能についての代替構成要求を行った場合、回復時通知待機表には、「SystemAがC機能で回復時通知待機」や「SystemXがY機能で回復時通知待機」等の情報(以下、回復時通知待機情報と呼ぶ)が登録される。
【0092】
故障装置AのCPU311も医用管理装置1と同様に回復時通知待機表を作成する。回復時通知の要求後から回復時通知を受信する前までの間、故障装置AのCPU311は、回復通知待機情報を、表示回路314に表示する。
【0093】
図16は、回復通知待機情報の表示ウィンドウW3の一例を示す図である。図16に示すように、表示ウィンドウW3は、回復時通知を待機している復旧不能機能毎に回復時通知待機情報が示された表示欄C1を有している。回復時通知待機情報としては、代替構成要求をした復旧不能機能が待機状態である旨と、当該代替構成要求に対して拒絶通知を受けた時点からの経過時間とが表示される。例えば、図16に示すように、回復時通知待機情報として、「C機能が待機状態です(5分経過)」や「A機能が待機状態です(15分経過)」が表示される。このようにCPU311は、代替装置の拒絶状態からの回復状況をリアルタイムで、表示回路314に表示する。
【0094】
図14に示すように、医用管理装置1のCPU11は、代替処理を行う準備が整ったことを示す状況通知(すなわち、完了通知)を代替装置Bから受信した場合、通信回路313を介して、故障装置Aに回復時通知を送信する。回復時通知は、完了通知の送信元の代替装置の識別情報と当該代替装置に依頼した復旧不能機能の識別情報とを含む。回復時通知を受信した場合、故障装置AのCPU11は、復旧不能機能の実行準備が整った旨を提示する表示ウィンドウ(以下、準備完了通知ウィンドウと呼ぶ)W4を、表示回路14に表示する。
【0095】
図17は、準備完了通知ウィンドウW4の一例を示す図である。図17に示すように、表示回路14は、表示画面に準備完了通知ウィンドウW4を表示する。準備完了通知ウィンドウW4は、復旧不能機能の実行準備が整った旨のメッセージ、実行ボタンB5及び取消ボタンB6を表示する。メッセージとしては、例えば、「画像再構成機能が実行準備状態になりました」等が表示される。
【0096】
入力回路315等を介して取消ボタンB6が選択された場合、CPU311は、代替構成要求を代替装置Bに送信せず、図14の一連の処理を終了する。
【0097】
入力回路315等を介して実行ボタンB5が選択された場合、CPU311は、通信回路13を介して、実行準備が整った復旧不能機能の代替実行のための代替構成要求を代替装置Bに送信する。その後、上記図7と同様、代替装置Bから故障装置Aへの資源確保通知、故障装置Aから代替装置Bへの必要データの送信、代替装置Bによる代替処理SF、代替装置Bから故障装置Aへの処理結果の送信が行われる。
【0098】
以上により、回復管理機能113に係る医用管理装置1と医用画像診断装置3との処理の説明を終了する。
【0099】
なお、故障装置Aが代替装置Bに復旧不能機能の実行のために必要データを転送する際、転送先の代替装置Bが緊急利用により復旧不能機能を実行できない場合がある。この場合、故障装置A又は代替装置Bは、必要データを医用管理装置1に送信する。医用管理装置1のCPU11は、必要データを受信した場合、緩衝運転機能115を実行する。緩衝運転機能115においてCPU11は、受信した必要データを一時的に医用管理装置1の主記憶回路16等のハードウェア資源に退避させる。代替装置Bは、緊急利用が終了した場合、完了通知を医用管理装置1に送信する。完了通知を受けた医用管理装置1のCPU11は、通信回路313を介して、必要データを代替装置Bに送信する。必要データを受信した代替装置Bは、受信した必要データに基づいて復旧不能機能を実行する。このように緊急利用等により必要データを転送先の代替装置Bで処理できない場合、医用管理装置1が必要データの緩衝領域の役割を担うことができる。
【0100】
次に、図18を参照しながら、医用画像診断装置(代替装置)Bにより行われる緊急利用対応について説明する。図18は、医用画像診断装置(代替装置)Bにより行われる緊急利用対応処理の典型的な流れを示す図である。図18に示すように、代替装置Bは、故障装置Aから緊急利用要求を受信する(ステップSG1)。
【0101】
ステップSG1が行われると代替装置BのCPU311は、自装置の医用撮影部32により医用撮影が行われているか否かを判定する(ステップSG2)。
【0102】
医用撮影が行われていないと判定した場合(ステップSG3:NO)。CPU311は、自装置が緊急使用の予定があるか否かを判定する(ステップSG3)。
【0103】
ステップSG3において緊急使用の予定がないと判定された場合(ステップSG3:NO)、CPU311は、故障装置Aからの復旧不能機能に関するタスクを優先的に割り当てる(ステップSG4)。すなわち、医用撮影でもなく且つ緊急使用の予定もないのであれば、自装置が実行している処理機能に比して、故障装置Aの復旧不能機能が優先的に処理される。
【0104】
ステップSG4が行われるとCPU311は、復旧不能機能に対応するハードウェア資源に、ステップSG4において割り当てられたタスクに従い、復旧不能機能を代替処理させる(ステップSG5)。すなわち、医用撮影でもなく且つ緊急使用の予定もないのであれば、復旧不能機能に対応するハードウェア資源は、自装置のための実行している処理機能に比して、故障装置Aの復旧不能機能を優先的に処理する。
【0105】
一方、ステップSG2において医用撮影が行われていると判定した場合(ステップSG2:YES)又はステップSG3において緊急使用の予定があると判定された場合(ステップSG3:YES)、CPU311は、代替実行可能通知と処理完了予定時間とを故障装置Aに送信する(ステップSG6)。故障装置AのCPU311は、受信された代替実行可能通知と処理完了予定時間とを、表示回路314に表示する。これにより故障装置Aのユーザは、現時点では代替装置Bが代替実行不可であるが、処理完了予定時間に実行可能になることを知ることができる。
【0106】
ステップSG6が行われるとCPU311は、医用撮影又は緊急処理の完了を待機する(ステップSG7)。
【0107】
医用撮影又は緊急処理が完了すると(ステップSG7:YES)、CPU311は、復旧不能機能に対応するハードウェア資源に、復旧不能機能を代替処理させる(ステップSG8)。
【0108】
以上により、医用画像診断装置(代替装置)Bにより行われる緊急利用対応処理の説明を終了する。
【0109】
次に、図19を参照しながら、医用画像診断装置(代替装置)Bにより行われる電源制御処理について説明する。図19は、医用画像診断装置(代替装置)Bにより行われる電源制御処理の典型的な流れを示す図である。まず、代替装置Bのユーザは、自装置のシャットダウンの指示を、入力回路315を介して指示する。代替装置BのCPU311は、ユーザからの入力回路315を介したシャットダウンの指示を受ける(ステップSH1)。
【0110】
ステップSH1が行われると電源制御回路37は、復旧不能機能の代替処理を実行中であるか否かを判定する(ステップSH2)。判定結果は、CPU311に通知される。
【0111】
ステップSH2において代替処理を実行中であると判定された場合(ステップSH2:NO)、CPU311は、シャットダウン不可の旨を、表示回路314に表示する(ステップSH3)。これにより、表示回路314を観察しているユーザは、現時点において代替処理実行中のためシャットダウンができないことを知ることができる。
【0112】
ステップSH3が行われると電源制御回路37は、代替処理が終了することを待機する(ステップSH4)。この間、シャットダウンは抑制され、自装置のハードウェア資源により復旧不能機能の代替処理が継続実施されている。
【0113】
そしてステップSH4において代替処理が終了したと判定した場合(ステップSH4:YES)、電源制御回路37は、電源回路36を制御してシャットダウンを行う。これにより、電源制御回路37は、ユーザが代替処理終了後に再度シャットダウン指示を行うことなく、自動的に電源回路36のシャットダウンを行うことができる。
【0114】
以上により、医用画像診断装置(代替装置)Bにより行われる電源制御処理の説明を終了する。
【0115】
上記の説明の通り、本実施形態に係る医用管理装置1は、複数の医用画像診断装置3に院内ネットワークを介して接続されている。医用管理装置1は、少なくとも主記憶回路16、通信回路13及びCPU11を有している。主記憶回路16は、機能/資源対応テーブル161と資源利用状況テーブル162とを記憶する。機能/資源対応テーブル161は、複数の医用画像診断装置3各々が有する処理機能と処理機能に要するハードウェア資源の資源情報とを関連付けたテーブルである。資源利用状況テーブル162は、複数の医用画像診断装置3各々が有するハードウェア資源の利用状況情報が登録されたテーブルである。通信回路13は、複数の医用画像診断装置3のうちの故障装置の故障通知を受信する。CPU11は、故障装置が実行する復旧不能機能から、機能/資源対応テーブル161と資源利用状況テーブル162とを利用して、故障装置に代替して復旧不能機能を実行する代替装置を決定する。通信回路13は、故障装置に対し、復旧不能機能を実行するための必要データの代替装置への送信要求を送信する。
【0116】
従来、ハードウェア資源が故障した場合、当該ハードウェア資源を停止させる縮退機能が存在していたが、当該ハードウェア資源が復旧するまで、すなわち、ダウンタイムにおいて復旧不能機能を実行することはできなかった。
【0117】
しかしながら、本実施形態に係る医用管理装置1は、院内ネットワークに接続された複数の医用画像診断装置の中にハードウェア資源が故障した故障装置が発生した場合、故障装置に代替して処理機能を実行する代替装置を決定する。これにより、ダウンタイムにおいても、縮退により使用できないハードウェア資源に係る復旧不能機能を、院内ネットワーク上の他の医用画像診断装置に代替実行させることができる。従ってダウンタイム中においても最低限の運用を維持することができる。
【0118】
かくして、本実施形態によれば、故障による処理効率の低下を抑止することが可能となる。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0120】
1…医用管理装置、3…医用画像診断装置、11…CPU、12…メモリ、13…通信回路、14…表示回路、15…入力回路、16…主記憶回路、31…基本構成要素、32…医用撮影部、33…再構成装置、34…画像保存HDD、35…画像処理装置、36…電源回路、37…電源制御回路、111…代替装置決定機能、113…回復管理機能、115…緩衝運転機能、161…機能/資源対応テーブル、162…資源利用状況テーブル、311…CPU、312…メモリ、313…通信回路、314…表示回路、315…入力回路、316…主記憶回路、3111…故障検知機能、3113…機能/資源テーブル作成機能、3115…代替運転機能、3117…代替運転機能。
図1
図2
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図4
図5
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