(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プラグインホールが設けられたハウジングを有するバスダクトと、分岐用端子が突設され該分岐用端子が前記プラグインホールに挿入されて前記バスダクトに取り付けられる分岐装置とを備えたバスダクトシステムであって、
前記バスダクト及び前記分岐装置の少なくとも一方には、前記バスダクトの所定位置に前記分岐装置を取り付ける際の該バスダクトに対する該分岐装置の動きの軌道を示す軌道部が設けられ、
前記バスダクト及び前記分岐装置の少なくとも他方には、前記軌道部が示す軌道に沿って前記分岐装置を動かす際の基準となる基準部が設けられ、
前記軌道部が示す軌道と前記基準部の位置とを合わせながら、前記軌道部が示す軌道に沿って前記分岐装置を前記バスダクトに向けて動かすことにより、前記分岐用端子が前記プラグインホールに挿入されて前記バスダクトの所定位置に前記分岐装置が取り付けられるようになっていることを特徴とするバスダクトシステム。
前記バスダクトに対する前記分岐装置の取り付けの際の動きの軌道が前記軌道部が示す軌道から外れたとき、又は外れそうになったときに、前記基準部と前記軌道部とが当接することを特徴とする請求項1に記載のバスダクトシステム。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態のバスダクトシステムについて図面に基づいて説明する。尚、本発明のバスダクトシステムは、以下の実施形態(第1〜3実施形態)及び他の実施形態に限定されるものではない。
【0028】
《第1実施形態》
先ず、第1実施形態のバスダクトシステムについて
図1〜5を用いて説明する。
第1実施形態のバスダクトシステムは、
図5に示すように、プラグインホール31が設けられたハウジングを有するバスダクト10と、バスダクト10に着脱自在に取り付けられる分岐装置20とを備えている。
尚、後述するが、バスダクト10のハウジングは、
図2に示すように、バスダクトユニット11のパイプスペーサ112及び側板113と、接続ユニット12の接続側板123及び接続上下板30とを有する構成になっている。
【0029】
また、分岐装置20には、バスダクト10(バスダクト10の所定位置)に取り付ける際のバスダクト10に対する分岐装置20の動きの軌道を示す軌道部60が設けられている(
図3、5参照)。
また、バスダクト10のハウジングには、プラグインホール31を開閉する開閉扉40と、軌道部60が示す軌道に沿って分岐装置20を動かす際の基準となる基準部50とが設けられている(
図1、5参照)。この基準部50は、バスダクト10に取り付ける際のバスダクト10に対する分岐装置20の動きの軌道が、軌道部60が示す軌道から外れたとき、又は外れそうになったときに、この軌道部60に隠されて外方から見えなくなる、又は見え難くなるように形成されている。
【0030】
上記の構成によれば、バスダクト10に分岐装置20を取り付ける際の軌道が、軌道部60が示す軌道から外れたとき、又は外れそうになったときに、基準部50が軌道部60に隠されて外方から見えなくなる、又は見え難くなる。そのため、作業者は、基準部50の見え方によって分岐装置20を適切に動かせているか否かを判断することができ(すなわち、基準部50の見え方によって分岐装置20の取り付け作業が適切に実行できているのか否かを判断することができ)、結果として、分岐装置を適切に動かすための助けとなる(バスダクト10の適切な位置に分岐装置20を取り付ける助けとなる)。
【0031】
次に、第1実施形態のバスダクトシステムの各構成について順番に説明していく。
【0032】
先ず、バスダクト10の構成について
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、バスダクト10は、絶縁被覆された導体111aをハウジングで覆った構成であり、バスダクトユニット11・11を別体の接続ユニット12を介して相互に接続することで形成されている。すなわち、第1実施形態のバスダクト10は、複数のバスダクトユニット11と、隣接配置されたバスダクトユニット11を接続する接続ユニット12とを有する構成になっている。
【0033】
バスダクトユニット11は、
図2(a)に示すように、絶縁被覆された3相の絶縁被覆導体111(平板状の送電用の導体111aを絶縁物で被覆して形成された絶縁被覆導体111)が並設され、絶縁被覆導体111の幅方向両側に平面視略方形のパイプスペーサ112が配置されている。また、バスダクトユニット11は、絶縁被覆導体111及びパイプスペーサ112を断面略コ字形の一対の側板113・113で一括して狭持し、側板113に挿通したボルト114a、ナット114b等の締着具を緊締して固定されている。
【0034】
上記の側板113は、その両上下端縁に、狭持している絶縁被覆導体111から外方へ向かって第1補強部113aが略直角に延設され、第1補強部113aの端縁には互いに向きあう方向に第2補強部113bが略直角に延設され、バスダクトユニット11やバスダクト10自体の強度を保っている。尚、バスダクトユニット11において、パイプスペーサ112、側板113がハウジングに相当する。
【0035】
また、接続ユニット12は、
図2(b)に示すように、接続すべきバスダクトユニット11・11の同相導体111a・111a間を電気的に接続する導電性接続部材121と、絶縁セパレータ122と、これらを外方から狭持する接続側板123と、接続側板123の外方に配置された押圧部材124とが設けられており、これらを絶縁スリーブ125に挿通してなる締着具126で緊締してバスダクトユニット11・11を相互に接続する構成であり、接続前には締着具126によって仮締着された状態になっている。
尚、絶縁セパレータ122は、導電性接続部材121を含む異相の導体111a・111a間及び導電性接続部材121を含む最外側の導体111aと接続側板123間を絶縁する位置に設置されている。
【0036】
接続ユニット12でバスダクトユニット11・11を接続してバスダクト10を構成する場合、接続すべきバスダクトユニット11・11の導体111a・111aの端部を同相の導電性接続部材121・121間に挿入し、バスダクト側板113と接続側板123とをボルトナット等の締着具で固定し、その後、仮締着している締着具126を緊締し、更に対応開放面である上下面に接続上下板30をそれぞれ配置してバスダクトユニット11・11にビス止めする等で固定し、前記開放面を塞ぐことにより、バスダクトユニット11・11相互の接続が完了する。このとき、接続上下板30の少なくとも一方(この場合は上面側)にはプラグインホール31が形成され、プラグインホール31が開閉扉40によって開閉可能に閉塞されている。このようにして、バスダクト10のハウジングは、プラグインホール31の周囲部分を形成する接続ユニット12において、バスダクトの厚み方向に膨張した膨張部(
図1(b)における左側のバスダクトユニット11の膨出側部115と、右側の膨出側部115との間に挟まれた部分)が形成されている。尚、接続ユニット12において、接続側板123、接続上下板30及び開閉扉40がハウジングに相当する。
尚、接続上下板30は、平板状の基部32と、基部32の側方の両端縁を略直角に屈曲延設してなる補強片34とを有する構成になっている。
【0037】
次に分岐装置20について
図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、分岐装置20は、分岐用端子23を支持する、ボックス形の箱体22を備えている。この箱体22は、板状の底面22aを有し、この底面22aから周壁である側壁22b・22b、前壁22c、後壁22dが立設し、その上面には開閉可能な蓋体22eが設けられている。
【0038】
底面22aにおいて分岐用端子23の後ろ側から中程にかけて軌道部60、第一固定部材24が順に設けられ、前壁22c及び後壁22dには第二固定部材25及び第三固定部材26がそれぞれ設けられている。箱体22内には、分岐用端子23を固定する端子台23aと、ブレーカー23bと、端子台23aとブレーカー23bを電気的に接続する接続導体23cとが設置され、図には省略するが、接続導体23cからブレーカー23bを介して箱体22の外に電力を分岐する構成となっている。
【0039】
軌道部60は、
図4(a)〜(c)に示すように、平板状の基部61と、基部61の側方の両端縁を略直角に屈曲延設してなる軌道片62・62とを有している。尚、軌道片62は片側だけでも良い。
【0040】
軌道片62・62は、
図4(b)に示すように、全体が略長方形に形成され、その前後方向の略中央を下から上へと分断するように例えば直線状の軌道溝63が形成されている。尚、軌道片62は略長方形でなくても良いし、軌道溝63は直線状ではなく曲線状や直線と曲線の複合形状であっても良い。
【0041】
また、軌道溝63の形状は、バスダクト10に分岐装置20を取り付ける際のバスダクト10に対する分岐装置20の動きの軌道(より具体的には、軌道部60が設けられている部分の動きの軌道であり、後述する基準部50と組み合わせて使うことで間接的にプラグインホール31に対する分岐用端子23の挿入軌道を示している。)の少なくとも一部を示しており、バスダクト10の所定の位置において、この軌道に沿って分岐装置20をバスダクト10に向けて動かしている最中に、分岐装置20の分岐用端子23と、バスダクト10のハウジングとが接触しない形状に設計されている。
尚、軌道部60は、
図3(b)に示す様に、分岐装置20の側面視において分岐用端子23とは水平方向に位置がずれている。よって、軌道溝63は、プラグインホール31に対する分岐用端子23の挿入軌道を間接的に示すものとなっている。しかし、これに限らず、分岐装置20の側面視において分岐用端子23に重なる位置に軌道部60を設置して、挿入軌道を直接的に示すようにしても良い。
【0042】
次に、バスダクト10側に設けられた、分岐装置20の軌道部60に対応する構造について説明する。
バスダクト10のバスダクトユニット11は、接続ユニット12の接続側板123との間でハウジング構造を連続的なものとするため、側板113を接続ユニット12の幅に膨らませた膨出側部115(
図1(b)参照)が形成されている。この膨出側部115には、分岐装置20を取り付けるための位置を間接的に示すと共に、軌道部60が示す軌道に沿って分岐装置20を動かす際の基準となる基準部50が形成されている。
【0043】
基準部50は、例えば、軌道溝63と略同じ幅の領域が目立つ色調で、膨出側部115の上下方向に連続するように塗装されることで形成されている(軌道溝63と略同じ形状に塗装されているが、その限りでは無く、断続的であったり部分的であっても良い。)。尚、基準部50の色は、目立つことが好ましいものの周囲の色に対するコントラストが高いものであればよく、また色調に限定されるものではなく模様や文字、図等であってもよく、その形成方法も塗装に限定されず、加工や部材の貼付け等、適宜である。
【0044】
次に、分岐装置20をバスダクト10に取り付ける施工手順及びその際の動きについて
図5を参照しながら説明する。
【0045】
先ず、
図5(a)に示すように、作業者は、接続ユニット12の開閉扉40を開放してプラグインホール31を露出させる。その後、作業者は、接続ユニット12の近傍に分岐装置20を移動させて配置し、次に、バスダクト10に対して分岐装置20を略並行を維持したまま近づける。このとき、
図5(b)に示すように、バスダクト10の側面視において、分岐装置20側の軌道溝63の間に基準部50が見えるように分岐装置20の位置を合わせて、軌道溝63の間に基準部50が見える状態を維持したまま、すなわち、基準部50が軌道部60に隠されない状態を維持したまま、分岐装置20をバスダクト10に近づける(バスダクト10に向けて動かす)。
【0046】
次に、作業者は、
図5(b)に示す状態から、基準部50が軌道部60に隠されない状態を維持したまま更に分岐装置20をバスダクト10に近づけると(図示する例では、鉛直下方に押し込むと)、
図5(c)に示すように、プラグインホール31に分岐用端子23が挿入され、その状態で第一固定部材24によってワンタッチ固定される。
そして、第二固定部材25で接続上下板30の基部32を把持すると共に、第三固定部材26でバスダクト10の第1補強部113aを把持することにより、分岐装置20の箱体22はバスダクト10に固定される。
【0047】
上記のように、バスダクト10に分岐装置20を固定して取り付けた状態にすると、分岐装置20の分岐用端子23は接続上下板30のプラグインホール31を介して、バスダクト10のハウジングの内部に挿通され、バスダクト10の接続ユニット12の同相の導電性接続部材121・121間に填り込み、分岐用端子23とバスダクト10の導体111は電気的に接続された状態となる(図示せず)。尚、上述した手順の逆の手順を行うことにより、一旦取り付けた分岐装置20を取り外すことができる。
【0048】
一方、作業者は、
図5(d)に示すように、バスダクト10に分岐装置20を取り付ける工程において、バスダクト10に対する分岐装置20の取り付けの際の軌道が軌道部60の軌道溝63が示す軌道から外れそうになると、側面視において基準部50が軌道部60に隠されて見え難くなる。これにより、作業者は、分岐装置20を適切に動かせていないことを認識できる。すなわち、作業者は、基準部50の見え方によって分岐装置20の取り付け作業が適切に実行できているか否かの判断をすることができる。
【0049】
このようにして、第1実施形態によれば、バスダクト10に分岐装置20を取り付ける工程において、バスダクト10に対する分岐装置20の取り付けの際の軌道が軌道部60の軌道溝63が示す軌道から外れたとき、又は外れそうになったときに、側面視において基準部50が軌道部60に隠されて見えなくなる、又は見え難くなる。そのため、作業者は、基準部50の見え方によって分岐装置20を適切に動かせているか否かを判断することができ、結果としてこれら基準部50と軌道部60が、分岐装置20を適切に動かすため(分岐用端子23をプラグインホール31へ安全に挿入するため)の補助機構として機能することとなる。尚、軌道部60と基準部50の設置は、分岐装置20の側壁22b側だけでなく、前壁22c側又は後壁22d側であっても良く、それらを組み合わせても構わない。
【0050】
《第1実施形態の変形例》
尚、第1実施形態では、軌道部60の軌道溝63を通して基準部50を作業者に視認させることで、分岐装置20を適切に動かせているか否かを判断できるようにしたが、特にこれに限定されるものではない。以下に示す変形例のように構成しても良い。
【0051】
具体的には、軌道部60の軌道片62に軌道溝63を形成するのではなく、
図6に示すように、軌道片62自体の形状が、バスダクト10に分岐装置20を取り付ける際のバスダクト10に対する分岐装置20の動きの軌道を示す形状に形成されていても良い。この場合、バスダクト10の膨出側部115には、図示する軌道片62の幅寸法だけ離間している二つの基準部50・50を形成しておく。この基準部50・50は、上下方向に連続するように形成され、且つ相互が平行に配置されている。
そして、バスダクト10の側面視において、二つの基準部50・50の間に軌道部60の軌道片62が入るか否かによって分岐装置20を適切に動かせているか否かを作業者に判断させるようにしてもよい。尚、この場合、軌道片62は片側だけでも良い。
【0052】
また、上記に加え、バスダクト10の接続上下板30に、
図6に示す軌道部60の軌道片62を挿入可能な開口(図示せず)を設けるようにし、その開口(図示せず)に、
図6に示す軌道片62を挿入するようにしても良い。この場合、上記の開口(図示せず)と、二つの基準部50・50との両方により、上述した第1実施形態の基準部50の機能が果たされる。尚、上記の開口(図示せず)を設ける場合、二つの基準部50・50を設けなくても、上記の開口(図示せず)が、軌道部60が示す軌道に沿って分岐装置30を動かすため機能(上述した第1実施形態の基準部50と同様の機能)を果たす。
【0053】
また、第1実施形態では、基準部50を目立つ色調にし、軌道溝63を通して作業者に視認させることにより、分岐装置20を適切に動かせているか否かを判断できるようにしたが、特にこれに限定されるものではない。
【0054】
例えば、
図7(a)に示すように、バスダクト10の側面(この場合、膨出側部115)から側方向(側面に対して垂直に突出する方向)に、ビスやボルト等から成る棒状の基準部150を突設させ、この基準部150を軌道溝63の中で動かすようにしても良い。この場合、バスダクト10に対する分岐装置20の取り付けの際の軌道が軌道部60の軌道溝63が示す軌道から外れたとき、又は外れそうになったときに、基準部150が軌道溝63の溝縁63aに当接して分岐装置20の動きに負荷がかかる可能性が高い。これにより作業者は、分岐装置20を適切に動かせているか否かを判断し易くなり、結果として、分岐装置20を適切に動かすための助けとなる(バスダクト10の適切な位置に分岐装置20を取り付ける助け、すなわち分岐用端子23をプラグインホール31へ安全に挿入する助けとなる)。
尚、基準部150と上述の基準部50とを併用するようにすれば、更に効果的である。
【0055】
また、上記の基準部150に代えて、
図7(b)に示すように、バスダクト10の側面(この場合、膨出側部115)から側方向(側面に対して垂直に突出する方向)に、軌道溝63の形状に沿った形状(この場合、直線状であり且つ軌道溝63の溝幅よりも幅狭の形状)の基準部250を突設させるようにしてもよい。こうすることにより、バスダクト10に対する分岐装置20の角度がずれることに起因して、バスダクト10に対する分岐装置20の取り付けの際の軌道が軌道部60の軌道溝63が示す軌道から外れたとき、又は外れそうになったときにも、基準部250が軌道溝63の溝縁63aに当接して分岐装置20の動きに負荷がかかることになる。これにより作業者は、分岐装置20を適切に動かせているか否かを判断し易くなり、結果として、分岐装置20を適切に動かすための助けとなる(バスダクト10の適切な位置に分岐装置20を取り付ける助け、すなわち分岐用端子23をプラグインホール31へ安全に挿入する助けとなる)。尚、この場合、基準部250を「上述した第1実施形態の軌道部60」と見なすと共に、軌道部60を「上述した第1実施形態の基準部50」として見なすこともでき、その場合でも得られる効果は同じである。
【0056】
かかる構成に加え、上述の基準部150・250は、軌道溝63の溝縁63aと当接した後に摺動するようにもなっている。すなわち、分岐装置20を適切ではない動かし方で動かしてしまいそうになったとしても、軌道部60と基準部150・250とが摺動する(ガイドとして機能する)ことによって適切な動きに矯正することができる。
【0057】
《第2実施形態》
次に、第2実施形態のバスダクトシステムについて
図8〜13を用いて説明する。
【0058】
ここで、
図8は、第2実施形態のバスダクトを説明するための図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図である。
図9は、第2実施形態の分岐装置を説明するための図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図である。
図10は、第2実施形態の分岐装置に設けられた軌道部を説明するための図であり、(a)が軌道部の平面図であり、(b)が軌道部の側面図であり、(c)が軌道部の背面図である。
図11は、第2実施形態の分岐装置に設けられた分岐側位置決め部を説明するための図であり、(a)が分岐側位置決め部の平面図であり、(b)が分岐側位置決め部の側面図であり、(c)が分岐側位置決め部の背面図である。
図12は、第2実施形態のバスダクトシステムの施工手順を示した模式図であり、(a)がバスダクトに分岐装置を位置合わせしている作業状態を示した模式図であり、(b)がバスダクトに分岐装置を装着している作業状態を示した模式図であり、(c)がバスダクト分岐装置を軌道部の軌道に沿って動かしている作業状態を示した模式図であり、(d)がバスダクトに分岐装置が装着された状態を示した模式図である。
図13は、第2実施形態のバスダクトシステムの施工作業において分岐装置を軌道に沿って動かさなかったときの状態を示した模式図であり、(a)が軌道部の軌道片に基準部が係止されて分岐装置をバスダクト側に動かせなくなった状態を示した模式図であり、(b)が軌道部の軌道溝の溝縁に基準部が当接して分岐装置をバスダクト側に動かせなくなった状態を示した模式図である。
【0059】
尚、以下では、第1実施形態と同じ構成或いは類似する構成に関しては同じ符号を付し、その説明を省略する。また、第2実施形態では、第1実施形態の「軌道部60」が「軌道部160」に変更され、第1実施形態の「基準部50」が「基準部150(第1実施形態の変形例と同じ構成)」に変更され、第1実施形態の「開閉扉40」が「開閉扉部140」に変更され、第1実施形態の「分岐用端子23」が「分岐用端子223」に変更され、バスダクト10の上下板30に「位置決め孔33(バスダクト側位置決め部)」が設けられ、分岐装置20に「分岐側位置決め部70」と「開閉扉収納部22f」が設けられている。
【0060】
先ず、第2実施形態のバスダクト10のうち、第1実施形態と異なる構成を説明する。
【0061】
第2実施形態では、第1実施形態の開閉扉40が開閉扉部140に変更されている。
具体的には、
図8に示すように、開閉扉部140は、バスダクト10の上側に突出した開閉箱141(下面が開放されている開閉箱141)と、開閉箱141の上側に設けられ開閉箱141の内側に観音開き式に開閉可能な一対の開閉扉142と、開閉扉142の開放をロックするロック部材80とを有しており、バスダクト10のハウジングの一部としての機能を有している。
【0062】
開閉箱141は、プラグインホール31の周囲を覆うように突設され、例えば、開閉扉142が内側に観音開きした際に接続ユニット12の内部の構成部材と干渉しない程度の高さに形成されている。
また、開閉扉142は、図示しないバネによってそれぞれが閉塞方向に付勢されることにより、通常時はプラグインホール31を閉塞しつつも、上側から下方に所定の力以上で押圧された場合にはプラグインホール31を開放するようになされている。
【0063】
ロック部材80は、開閉扉142の突合せ箇所の端部の下側に配置され、通常時は開閉扉142が上側から下方に押圧されても開放しないように係止(ロック)しつつも、上方から押圧されたときに開閉扉142の突合せ箇所の端部の下側から横方向外側にスライドしてロックを解除するようになっている。このロック部材80が平面視において上方に露出する面積は、開閉扉142の面積に比べて小さく形成して作業者等が誤って押圧しないようにすることが好ましいが、その大きさや位置は適宜である。
【0064】
また、第2実施形態では、バスダクト10の上下板30に「位置決め孔33(バスダクト側位置決め部)」が設けられている。具体的には、
図8に示すように、第2実施形態の接続上下板30は、後述する「分岐側位置決め部70の位置決め片72・72」を受け入れる位置、すなわち、本実施形態では接続上下板30の前方端側に位置決め孔33(バスダクト側位置決め部)が形成されている。
【0065】
次に、第2実施形態の分岐装置20のうち、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0066】
第2実施形態では、第1実施形態の軌道部60に代えて、
図9、10に示す軌道部160が設けられている。具体的には、第2実施形態の軌道部160は、第1実施形態の軌道部60(基部61の両端を屈曲延設して一対の軌道片62を形成)とは異なり、
図10(a)〜(c)に示すように、基部161が予め二つに分割しており、それぞれの端縁を略直角に屈曲延設することで軌道片162が形成されている。尚、第2実施形態においても、当然ながら、軌道片162は片側だけでも良い。
【0067】
軌道片162は、その根元部分のみが分岐装置20の前側に長く形成されている。これは、軌道部160全体の強度を向上することと、分岐装置20をバスダクト10へ取り付ける際の側面視における分岐用端子23の視認性の確保との両立を狙ったものであるが、その設計は適宜である。そして軌道片162には軌道溝163が設けられている。軌道溝163は、軌道片162の上方から下方にかけて略円弧形状に形成され、軌道片162の下端側で軌道片162を分断するように開放している。尚、軌道溝163の形状は、第1実施形態と同様、バスダクト10に分岐装置20を取り付ける際のバスダクト10に対する分岐装置20の動きの軌道(より具体的には、軌道部160が設けられている部分の動きの軌道であり、基準部150と組み合わせて使うことで間接的にプラグインホール31(開閉扉142)に対する分岐用端子23の挿入軌道を示している。)の少なくとも一部を示す形状(連続的でなく断続的に形成されていても良いし、複数の部位を組み合わせて全体として一つの軌道を示すような形状でも良い)になっている。
尚、軌道部160も、
図9(b)に示す様に、分岐装置20の側面視において分岐用端子223とは水平方向に位置がずれている。よって、軌道溝163は、プラグインホール31に対する分岐用端子223の挿入軌道を間接的に示すものとなっている。しかし、これに限らず、分岐装置20の側面視において分岐用端子223に重なる位置に軌道部160を設置して、挿入軌道を軌道溝163で直接的に示すようにしても良い。
【0068】
また、第2実施形態では、ボックス形の箱体22が、第1実施形態と異なる形状に形成されている。具体的には、
図9に示すように、箱体22の底面22aには、バスダクト10の開閉箱141を収容可能な形状の凹部22fが形成されており、その凹部22fの中に分岐用端子223が設けられている。この分岐用端子223は、第1実施形態の分岐用端子23と同ようにバスダクト10の接続ユニット12の同相の導電性接続部材121・121間に填り込んで導体111と電気的に接続可能なように構成されている。
【0069】
また、分岐用端子223の端子台223aに、バスダクト10の開閉扉142のロックを解除するためのロック解除部材90が形成されている(端子台223aの一端部(前端部)からロック解除部材90が突出している)。このロック解除部材90は、先端が例えば鋭角に尖がった形状(棒状或いは板状)をしており、バスダクト10に設けられたロック部材80を上側から下方に押圧できるようになっている。
【0070】
さらに、第2実施形態の分岐装置20には、バスダクト10のハウジングに対する取り付け位置を位置決めする分岐側位置決め部70が、箱体22の底面22aの前側に前壁22cよりも前方に突出して設けられている。
【0071】
この分岐側位置決め部70は、
図11に示すように、平板状の基部71と、基部71の側方の両端縁を略直角に屈曲延設してなる位置決め片72・72を有している。尚、位置決め片72は片側だけでも良い。
【0072】
また、位置決め片72は、その前方に、バスダクト10の接続上下板30に形成された位置決め孔33(バスダクト10側位置決め部)の前側縁に係止可能な係止部72aが形成されている。また、位置決め片72は、側面視で長方形を傾けたような形状(この場合45°程度)をしており、分岐装置20をその角度で傾けた状態でないと接続上下板30の位置決め孔33に挿入できないか、挿入し難くなるように形成されているが、その形状や角度はこれに限らない。
【0073】
以上のような構成の第2実施形態のバスダクトシステムにおいて、分岐装置20をバスダクト10に取り付ける場合、作業者は、先ず、
図12(a)に示すように接続ユニット12の近傍に分岐装置20を配置し、
図12(b)に示すように、分岐装置20の前壁22c側を下方にするように全体を傾斜させた状態でバスダクト10に近づけ、接続上下板30に設けられた位置決め孔33に分岐装置20の分岐側位置決め部70の位置決め片72を挿入し、位置決め片72の係止部72aを位置決め孔33の前側縁に係止する。この作業により、分岐装置20がバスダクト10に位置決めされる。
【0074】
そして、この位置決め片72を支点にして、分岐装置20全体をバスダクト10に向けて回転させつつ近づける(すなわち分岐装置20を適切に動かしてバスダクト10に取り付けようとする)と、まず、ロック解除部材90がロック部材80を上から押圧することで横にスライドし、開閉扉142のロックが解除される。次に、
図12(c)に示すように、分岐用端子223の押圧により開閉扉142が下方に開放し開閉扉部140を通してプラグインホール31の中に分岐用端子223が挿入されると共に、軌道部160の略円弧形状の軌道溝163の溝間にバスダクト10の基準部150が入ることになる。このとき、基準部150は、軌道溝163と当接しないか、仮に当接しても摺動することによって分岐装置20の動きを阻害しないので、作業者は、分岐装置20を軌道溝163に沿って適切に動かせていると容易に判断できる。
【0075】
そして作業者は、
図12(c)に示す状態から、更に分岐装置20をバスダクト10側に近づけると、
図12(d)に示すように、分岐装置20の凹部22f(
図9(b)参照)の中に開閉箱141が収納されると共にプラグインホール31に分岐用端子223が挿入され、その状態で第一固定部材24によってワンタッチ固定される(図示せず)。そして、分岐装置20は、第三固定部材26でバスダクト10の第1補強部113aを把持する(図示せず)ことにより、係止部72a、第一固定部材24、第三固定部材26の三か所においてバスダクト10に固定される。尚、第2実施形態では、バスダクト10への分岐装置20の取り付けるときに干渉するため第2固定部材25は設けられていないが、取り付けるときに干渉しない形状の固定部材を予め設けたり、後付けで第2固定部材25やその他の固定部材を設置してより強固に分岐装置20を固定するようにしても良い。
尚、開閉扉142を押圧して開放するのは分岐用端子223に限らず、専用の開放部を設けてその開放部によって開閉扉142押圧して開放するようにしても良く、すなわち、開閉扉142を開放するのは分岐装置20側の何らかの構成部材であれば良い。
【0076】
一方、例えば、位置決め片72と位置決め孔33の位置合わせがうまくいかず、バスダクト10に対して分岐装置20を適切に動かせていない場合は、
図13(a)(b)のように、バスダクト10に分岐装置20を取り付けることができない。
この場合には、
図13(a)に示すように、軌道片162の下端に基準部150が係止されたり、
図13(b)に示すように、軌道溝163の内側の溝縁163aに基準部150が強く当接して分岐装置20がそれ以上バスダクト10側に動かなくなったりするようになっている。そのため、作業者は、分岐装置20を軌道溝163に沿って適切に動かせていないことを容易に判断できる。尚、このとき、分岐用端子223やロック解除部材90といった分岐装置20側の部材が、バスダクト10のハウジングと干渉しないように設計しておくことで、分岐装置20を適切に動かせていない場合に、分岐用端子223やロック解除部材90といった分岐装置20側の構成部材がバスダクト10のハウジングと接触することを極力防止でき、その結果、分岐用端子223、ロック解除部材90、開閉扉部140等の構成部材を破損してしまう危険性を低減することができる。
【0077】
このようにして、第2実施形態によれば、バスダクト10に分岐装置20を取り付ける工程において、バスダクト10に対する分岐装置20の取り付けの際の軌道が軌道部160の示す軌道から外れたとき、又は外れそうになったときに、基準部150が軌道部160に係止されたり、基準部150が軌道部160に当接して分岐装置20を動かしにくくなったり、或いはバスダクト10側に動かなくなったりするため、作業者は、分岐装置20を適切に動かせているか否かを容易に判断することができ、結果としてこれら基準部150及び軌道部160が、分岐装置20を適切に動かすための補助機構(バスダクト10の適切な位置に分岐装置20を取り付ける助けるため、すなわち分岐用端子23をプラグインホール31へ安全に挿入するための補助機構)として機能することとなる。
【0078】
尚、例えば、位置決め孔33に対する位置決め片72の挿入が僅かにずれていることに起因して、分岐装置20が軌道溝163の示す軌道から僅かにずれて動かされているような場合、軌道溝163の内側の溝縁163aに基準部150が当接した後に摺動することで、所謂ガイドとして機能するようにしても良い。そうすることで、分岐装置20の位置と共にその動きが適切な状態に矯正されることとなり、使い勝手が良い。
【0079】
《第2実施形態の変形例》
また、第2実施形態において、軌道部160による軌道の明示は、必ずしも軌道溝163である必要はなく、例えば、
図14(a)のように、軌道片162の軌道端縁165のようなものであっても良く、この場合であっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、第2実施形態では、
図14(b)及び(c)に示すように、軌道溝163の内側の溝縁163aに、係止部166を形成するようにしても良い。そうすることで、バスダクト10に対する分岐装置20の取り付けの際の軌道が軌道部160の示す軌道から外れたとき、又は外れそうになったときに、基準部150が係止部166に係止されて分岐装置20の動きを止めることができ、使い勝手が良い。
【0081】
また、
図15(a)に示すように、第2実施形態の基準部150を、第1実施形態の基準部50のように、略円弧形状の目立つ色調の基準部350にし、軌道溝163を通して作業者に視認させることにより、分岐装置20を適切に動かせているか否かを判断できるようにしても良い。そうすることで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
更には、
図15(b)に示すように、軌道溝163に沿って複数のビスやボルトをバスダクト10の側面から側方向に突設させるようにして基準部450を形成するようにしても良い(複数の凸部を突設させることでて基準部450を形成するようにしても良い)。こうすることにより、
図7(b)の基準部250と同様の効果も得ることができる。尚、この場合も、基準部450を軌道部と見なすと共に、軌道部160を基準部として見なすこともでき、その場合でも得られる効果は同じである。
【0083】
尚、第2実施形態では、かかる構成に加え、ロック部材80がプラグインホール31よりも位置決め孔33側に設けられている(すなわち、ロック部材80が回転の支点側に設けられている)。これにより、分岐装置20のロック解除部材90を比較的小さく形成しても、分岐用端子223が開閉扉142を押圧するよりも先にロック解除部材90がロック部材80を押圧するように設計でき、よりコンパクトにできる。また、梃子の原理により力が加わり易くなるため、ロック部材80を小さな力でスライドさせることができる。
【0084】
《第3実施形態》
次に、第3実施形態のバスダクトシステムについて
図16〜18を用いて説明する。
【0085】
ここで、
図16は、第3実施形態の接続上下板(軌道部)を説明するための図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図であり、(c)が背面図である。
図17は、第3実施形態の分岐装置に設けられた基準部を説明するための図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図であり、(c)が背面図である。
図18は、第3実施形態のバスダクトシステムの施工手順を示した模式図であり、(a)がバスダクトに分岐装置を装着している作業状態を示した模式図であり、(b)がバスダクトに分岐装置が装着された状態を示した模式図である。
【0086】
尚、以下では、第1実施形態及び第2実施形態と同じ構成或いは類似する構成に関しては同じ符号を付し、その説明を省略する。また、第3実施形態では、第2実施形態の「接続上下板30」と「軌道部160」が「軌道部の機能を備える接続上下板130」に変更されてバスダクト10側に設けられ、第2実施形態の「基準部150」が「基準部550」に変更されて分岐装置20側に設けられている。
【0087】
第3実施形態の接続上下板130は、
図16(a)〜(c)に示すように、接続上下板30と同じ符号を付した構成の他に、基部32の側方の両端縁を略直角に屈曲延設してなる補強片134と、補強片134の後端側の一部を下方に延設してなる軌道片135とを有している。軌道片135には軌道溝136が設けられており、上方から下方にかけて略円弧形状に形成され、軌道片135の下端側で軌道片135を分断するように開放している。
【0088】
第3実施形態の基準部550は、
図17(a)〜(c)に示すように、平板状の基部551と、基部551の側方の両端縁を略直角に屈曲延設してなる支持片552・552と、支持片552の先端付近で内側に突設したビスやボルト等から成る基準凸部553とを有している。尚、支持片552及び基準凸部553は片側だけでも良い。
【0089】
以上のような構成の第3実施形態のバスダクトシステムにおいて、分岐装置20をバスダクト10に取り付ける場合、作業者は、先ず、
図18(a)に示すように、分岐装置20の前壁22c側を下方にするように全体を傾斜させた状態でバスダクト10に近づけ、接続上下板130に設けられた位置決め孔33に分岐装置20の分岐側位置決め部70の位置決め片72を挿入し、位置決め片72の係止部72aを位置決め孔33の前側縁に係止する。この作業により、分岐装置20がバスダクト10に位置決めされる。
【0090】
そして、この位置決め片72を支点にして、分岐装置20全体をバスダクト10に向けて回転させつつ近づける(すなわち分岐装置20を適切に動かしてバスダクト10に取り付けようとする)と、接続上下板130の略円弧形状の軌道溝136の溝間に分岐装置20の基準部550(基準凸部553)が入ることになる。このとき、基準凸部553は、軌道溝163と当接しないか、仮に当接しても摺動することによって分岐装置20の動きを阻害しないので、作業者は、分岐装置20を軌道溝163に沿って適切に動かせていると容易に判断できる。
【0091】
すなわち、第3実施形態のバスダクトシステムは、バスダクト10側及び分岐装置20側に対する軌道部(接続上下板130)及び基準550部の設置関係が、第2実施形態のバスダクトシステムの場合と逆の関係になっている。このような第3実施形態の構成によっても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
以上、説明したように、本実施形態(第1〜3実施形態及びその変形例)によれば、バスダクト10に分岐装置20を取り付ける際に、分岐装置20を適切に動かし易くなる。すなわち、バスダクト10に分岐装置20を取り付け易くなる。
尚、本発明は、上述した実施形態(第1〜3実施形態及び他の形態)に限らず、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
【0093】
例えば、第1乃至第3実施形態及びその変形例では、絶縁被覆型バスダクト10を用いる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、空気絶縁型バスダクトであっても良い。
【0094】
また、第1乃至第3実施形態及びその変形例では、バスダクト10と分岐装置20に対して軌道部と基準部との組を、1セット、或いは2セット設けるようにした場合について述べたが、それ以上設けるようにしても良い。
【0095】
また、第1乃至第3実施形態及びその変形例では、プラグインホールをバスダクト10に係る接続ユニット12に設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、絶縁被覆型のバスダクトであればバスダクトユニット11の一部をバスダクトの厚み方向に膨張させた膨張部を形成し、そこにプラグインホールを形成するようにした場合に適用してもよく、また、空気絶縁型バスダクトであればハウジングの任意の位置にプラグインホールを設けた場合に適用してもよく、いずれの場合でも、上述した第1乃至第3実施形態やその変形例と同様の効果を有することができる。
【0096】
また、第1乃至第3実施形態及びその変形例では、軌道部と基準部とをバスダクト10や分岐装置20に対して常設するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、軌道部と基準部の少なくとも一方を着脱可能な構造として、必要なときだけ装着するようにしても良い。また、軌道部と基準部のうち、バスダクト10や分岐装置20から突設する部分を折りたたみ可能や収納可能な構造とし、必要なときだけ使えるようにしても良く、これらの構成によっても、上述した第1乃至第3実施形態やその変形例と同様の効果を有することができる。
また、第1乃至第3実施形態及びその変形例では、軌道部が間接的に示すのはプラグインホール31に対する分岐用端子(23・223)の挿入軌道である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ロック部材80に対するロック解除部材90の挿入軌道等であっても良い。つまり、軌道部が示すのは、バスダクト10への分岐装置20の取り付け時における、バスダクト側の特定の構成部材に対する分岐装置20側の特定の構成部材の軌道であればよく、その結果、これら特定の構成部材同士の関わり合いを軌道部と基準部とによって制御することが、バスダクト10に対して分岐装置20全体を適切に動かすことに繋がる。
【0097】
以上、第1乃至第3実施形態及びその変形例のバスダクトシステムについて説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明を実施できる範囲であれば、実施形態や他の実施形態の各構成を適宜変更した形態や、実施形態や変形例の各構成を部分的に抽出して構成した形態や、実施形態や変形例の各構成の一部又は全部を任意に抽出して組み合わせて構成した形態についても広く包含するものである。
【0098】
尚、上述した本発明の実施形態は、別表現で以下のように示すことができる。
具体的には、プラグインホール(プラグインホール31)が設けられたハウジングを有するバスダクト(バスダクト10)と、前記プラグインホール(プラグインホール31)の位置に取り付けられる分岐装置(分岐装置20)とを備えたバスダクトシステムにおいて、前記ハウジングには、前記分岐装置(分岐装置20)の取り付け位置の位置決めのための第1のバスダクト側位置決め部(位置決め孔33)と、前記分岐装置(分岐装置20)の取り付け位置の位置決めのための第2のバスダクト側位置決め部(基準部150、基準部450、軌道片135)とが形成され、前記分岐装置(分岐装置20)には、前記ハウジングに対する取り付け位置の位置決めのための第1の分岐側位置決め部(分岐側位置決め部70)と、前記第1のバスダクト側位置決め部(位置決め孔33)と前記第1の分岐側位置決め部(分岐側位置決め部70)とが位置決めされた状態で、前記第2のバスダクト側位置決め部(基準部150、基準部450、軌道片135)と位置合わせされる第2の分岐側位置決め部(軌道部160、基準部550)とが形成されている。
【0099】
この構成により、バスダクトに分岐装置を取り付ける際に、分岐装置を適切に動かし易くなるだけでなく、バスダクトに対する分岐装置の位置合わせのし易さと、精度良い位置合わせとを両立することができる。
【0100】
この場合、前記第2のバスダクト側位置決め部(基準部150、基準部450、軌道片135)と前記第2の分岐側位置決め部(軌道部160、基準部550)との位置合わせ開始の際の第2の許容位置公差が、前記第1のバスダクト側位置決め部(位置決め孔33)と前記第1の分岐側位置決め部(分岐側位置決め部70)との位置合わせ開始の際の第1の許容位置公差よりも小さく設定されていることが望ましく、そうすることにより、バスダクトに対する分岐装置の位置合わせのし易さと、精度良い位置合わせとをより良く両立することができる。
【0101】
さらにこの場合、前記第1のバスダクト側位置決め部(位置決め孔33)と前記プラグインホール(プラグインホール31)との間の第1の距離、及び前記第2のバスダクト側位置決め部(基準部150、基準部450、軌道片135)と前記プラグインホール(プラグインホール31)との間の第2の距離の少なくとも一方の距離より、前記第1のバスダクト側位置決め部(位置決め孔33)と前記第2のバスダクト側位置決め部(基準部150、基準部450、軌道片135)との間の第3の距離の方が長く設定されていることが望ましく、そうすることにより、バスダクトに対する分岐装置の位置合わせのし易さと、精度良い位置合わせとをより良く両立することができる。
【0102】
さらに、上記の発明を更に別表現で示すと、プラグインホール(プラグインホール31)が設けられたハウジングを有するバスダクト(バスダクト10)と、前記プラグインホール(プラグインホール31)の位置に取り付けられる分岐装置(分岐装置20)とを備えたバスダクトシステムであって、前記分岐装置(分岐装置20)には、前記プラグインホール(プラグインホール31)に挿入される分岐用端子(分岐用端子223)と、前記ハウジングに対する取り付け位置の位置決めのための分岐側位置決め部(分岐側位置決め部70)と、前記バスダクトシステムの構成部材を保護する分岐側保護部(軌道部160・基準部550)とが形成され、前記ハウジングには、前記分岐装置(分岐装置20)の取り付け位置の位置決めのためのバスダクト側位置決め部(位置決め孔33)と、該バスダクト側位置決め部(位置決め孔33)と前記分岐側位置決め部(分岐側位置決め部70)との位置合わせが不十分である場合に、前記分岐側保護部(軌道部160・基準部550)に当接するバスダクト側保護部(基準部150・基準部450・軌道片135)とが形成されている。
【0103】
この構成により、バスダクトに分岐装置を取り付ける際に、分岐装置を適切に動かし易くなるだけでなく、万が一、位置合わせが不十分であった場合に、バスダクト側のハウジングと分岐装置側の部材とが干渉してしまう可能性を低減できる。
【0104】
この場合、前記分岐側保護部(軌道部160・基準部550)と前記バスダクト側保護部(基準部150・基準部450・軌道片135)とが当接した状態において、少なくとも前記分岐用端子(分岐用端子223)が前記バスダクト(バスダクト10)側のハウジングと干渉しないように設計されていることが望ましく、そうすることにより、万が一、位置合わせが不十分であった場合に、バスダクト側のハウジングと分岐用端子とが干渉してしまう可能性は確実に排除することができる。