(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1貫通孔は、前記第1開口と前記第2開口との間に位置する中間部分を有し、断面視において、前記第1開口から前記中間部分に向かうに連れて幅が縮小するとともに前記中間部分から前記第2開口に向かうに連れて幅が拡大する形状を有する、
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
本実施形態においては、電子機器の一例として表示装置を開示する。この表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータ、車載機器、ゲーム機器等の種々の装置に用いることができる。本実施形態にて開示する主要な構成は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の自発光型の表示装置、電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を応用した表示装置、或いはエレクトロクロミズムを応用した表示装置などに適用可能である。
【0009】
図1は、本実施形態の表示装置DSPの構成例を示す断面図である。第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差してもよい。第1方向X及び第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。ここでは、第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY−Z平面における表示装置DSPの一部の断面を示している。
【0010】
表示装置DSPは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、絶縁層ILと、接続部材Cと、配線基板SUB3とを備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、第3方向Zに対向している。以下の説明において、第1基板SUB1から第2基板SUB2に向かう方向を上方(あるいは、単に上)と称し、第2基板SUB2から第1基板SUB1に向かう方向を下方(あるいは、単に下)と称する。また、第2基板SUB2から第1基板SUB1に向かう方向に見ることを平面視という。また、
図1のY−Z平面(あるいは、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX−Z平面)における表示装置DSPの断面を見ることを断面視という。
【0011】
第1基板SUB1は、第1ガラス基板10と、第1ガラス基板10の第2基板SUB2と対向する側に位置する第1導電層L1と、を備えている。第1ガラス基板10は、第2基板SUB2と対向する第1面10Aと、第1面10Aとは反対側の第2面10Bとを有している。図示した例では、第1導電層L1は、第1面10Aに位置している。なお、第1ガラス基板10と第1導電層L1との間や、第1導電層L1の上には、各種絶縁膜や各種導電膜が配置されてもよい。
【0012】
第2基板SUB2は、第2ガラス基板20と、第2導電層L2とを備えている。第2ガラス基板20は、第1基板SUB1と対向する第1面20Aと、第1面20Aとは反対側の第2面20Bとを有している。第2ガラス基板20は、その第1面20Aが第1導電層L1と対向し、且つ、第1導電層L1から第3方向Zに離間している。図示した例では、第2導電層L2は、第2面20Bに位置している。第1ガラス基板10、第1導電層L1、第2ガラス基板20、及び第2導電層L2は、この順に第3方向Zに並んでいる。絶縁層ILは、第1導電層L1と第2ガラス基板20との間に位置している。絶縁層ILは、例えば1又は複数の有機絶縁膜で構成されている。但し、絶縁層ILは、無機絶縁膜や他の導電膜を含んでもよい。また、絶縁層ILに代えて空気層が設けられてもよい。なお、第2ガラス基板20と第2導電層L2との間や、第2導電層L2の上には、各種絶縁膜や各種導電膜が配置されてもよい。
【0013】
第1ガラス基板10及び第2ガラス基板20は、例えば無アルカリガラスによって形成されている。第1基板SUB1は、第1ガラス基板10に代えて、樹脂基板などの他種の絶縁基板を備えてもよい。第1導電層L1及び第2導電層L2は、例えば、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、銀、銅、クロムなどの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金や、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明な導電材料などによって形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。接続部材Cは、銀などの金属材料を含み、その粒径が数ナノメートルから数十ナノメートルのオーダーの微粒子を含むものであることが望ましい。絶縁層ILは、例えば、後述する遮光層、カラーフィルタ、オーバーコート層、配向膜、シールなどの一部或いは全てを含む。
【0014】
配線基板SUB3は、第1基板SUB1に実装され、第1導電層L1と電気的に接続されている。このような配線基板SUB3は、例えば可撓性を有するフレキシブル基板である。なお、本実施形態で適用可能なフレキシブル基板とは、その少なくとも一部分に、屈曲可能な材料によって形成されたフレキシブル部を備えていればよい。例えば、本実施形態の配線基板SUB3は、その全体がフレキシブル部として構成されたフレキシブル基板であってもよいし、ガラスエポキシなどの硬質材料によって形成されたリジッド部及びポリイミドなどの屈曲可能な材料によって形成されたフレキシブル部を備えたリジッドフレキシブル基板であってもよい。
【0015】
ここで、本実施形態における第1導電層L1と第2導電層L2との接続構造について詳述する。
第2基板SUB2において、第2ガラス基板20は、第1面20Aと第2面20Bとの間を貫通する貫通孔VA(第1貫通孔)を有している。貫通孔VAは、第1面20Aの側の第1開口O1と、第2面20Bの側の第2開口O2と、を有している。絶縁層ILは、貫通孔VAに繋がった貫通孔VB(第2貫通孔)を有している。貫通孔VBは、第1導電層L1の側の第3開口O3と、第2ガラス基板20の側の第4開口O4と、を有している。貫通孔VBは、貫通孔VAと比較して、第2方向Yに拡張されている。なお、貫通孔VBは、第2方向Yのみならず、X−Y平面内における全方位に亘って貫通孔VAよりも拡張されている。図示した例では、第2導電層L2も貫通孔VCを有している。貫通孔VA、貫通孔VB、及び貫通孔VCは、第3方向Zに並び、且つ、第3方向Zに沿った同一直線上に位置しており、接続用孔Vを形成している。
【0016】
接続部材Cは、貫通孔VA及び貫通孔VBを通って第1導電層L1及び第2導電層L2を電気的に接続している。図示した例では、接続部材Cは、貫通孔VAの内面F1、貫通孔VBの内面F2、貫通孔VCの内面F3、第1導電層L1の上面LT1、第2導電層L2の上面LT2に接触している。
【0017】
図1の例においては、第1開口O1は第2開口O2よりも大きく、第3開口O3は第4開口O4よりも大きく、第4開口O4は第1開口O1よりも大きい。貫通孔VAは、断面視において、第2開口O2から第1開口O1に向かうに連れて幅が拡大する形状を有している。貫通孔VBは、断面視において、第4開口O4から第3開口O3に向かうに連れて幅が拡大する形状を有している。言い換えると、貫通孔VA,VBの内面F1,F2は、第3方向Zに対して傾いたテーパー状である。
【0018】
図1の例においては、貫通孔VAの内面F1が直線状に形成され、貫通孔VBの内面F2が曲線状に形成されている。但し、内面F1が内面F2と同様に曲線状であってもよいし、内面F2が内面F1と同様に直線状であってもよい。
【0019】
第1導電層L1は、貫通孔VBの第3開口O3を塞ぎ且つ平坦な領域Aを有している。領域Aは、平面視において、第3開口O3と重なる部分に相当する。
図1の例において、第1導電層L1は、領域A以外の部分においても平坦である。第1ガラス基板10の第1面10Aに関しても、平面視において領域Aと重なる領域を含めて平坦である。このように、第1ガラス基板10に関しては貫通孔や凹部が設けられていない。しがって、接続用孔Vの近傍における第1ガラス基板10の強度、ひいては表示装置DSPの強度を高めることができる。
【0020】
図示した例では、接続部材Cは、各貫通孔VA,VB,VCの中心部付近には充填されていない。このため、接続部材Cは、中空部分を有する。このような形状の接続部材Cは、大気圧下、或いは大気圧より低い気圧の環境下で貫通孔VAから注入され、接続部材Cに含まれる溶剤を除去することによって形成することができる。なお、接続部材Cは、各貫通孔VA〜VCを埋めるように充填されてもよい。
【0021】
第2導電層L2及び接続部材Cは、絶縁性の保護層PTで覆われている。
図1の例において、保護層PTは、第1保護層PT1と、第2保護層PT2とを含む。第1保護層PT1は、第2導電層L2の上面LT2を覆っている。第2保護層PT2は、接続部材C及び上面LT2の一部を覆っている。第2保護層PT2は、接続部材Cの内部(上述の中空部分)を満たしている。第1保護層PT1及び第2保護層PT2は、例えば、アクリル系樹脂などの有機絶縁材料によって形成されている。
【0022】
以上の構成において、第2導電層L2は、接続部材C及び第1導電層L1を介して配線基板SUB3と電気的に接続される。このため、第2導電層L2に対して信号を書き込んだり、第2導電層L2から出力された信号を読み取るための制御回路は、配線基板SUB3を介して第2導電層L2と接続可能となる。つまり、第2導電層L2と制御回路とを接続するために、他の配線基板を第2基板SUB2に実装する必要がなくなる。
【0023】
本実施形態によれば、第1基板SUB1に実装される配線基板SUB3に加えて第2基板SUB2に他の配線基板が実装される例と比較して、当該他の配線基板を実装するための端子部や、第2導電層L2と当該他の配線基板とを接続するための引き回し配線が不要となる。このため、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX−Y平面において、第2基板SUB2の基板サイズを縮小することができるとともに、表示装置DSPの周縁部の額縁幅を縮小することができる。また、不要となる配線基板の分のコストを削減することができる。これにより、狭額縁化及び低コスト化が可能となる。
【0024】
また、接続部材Cが貫通孔VCにおける第2導電層L2の内面F3のみならず、第2導電層L2の上面LT2にも接触しているため、接続部材Cと第2導電層L2との接触面積を拡大することができる。これにより、接続部材Cと第2導電層L2との接続不良を抑制することができる。
【0025】
また、第1導電層L1の領域Aが孔を有さず平坦であることから、貫通孔VBの内部の接続部材Cと第1導電層L1との接触面積を拡大することができる。これにより、接続部材Cと第1導電層L1との接続不良を抑制することができる。
【0026】
しかも、貫通孔VBの第3開口O3は貫通孔VAの第1開口O1よりも大きい。このように第3開口O3が大きければ、接続部材Cと第1導電層L1との接触面積を拡大することができる。一方で、貫通孔VAの第2開口O2は第1開口O1よりも小さい。これにより、接続用孔Vにより生じ得る第2基板SUB2の凹凸の範囲を小さくすることができる。このような凹凸は、接続部材Cの中空部分に第2保護層PT2が充填されることによっても抑制される。
【0027】
図2は、貫通孔VA及び貫通孔VBの構成例を示す斜視図である。図示した例では、第1開口O1、第2開口O2、第3開口O3、及び第4開口O4は、いずれも正円形状に形成されている。貫通孔VAは、円錐台状に形成されている。貫通孔VBも円錐台状に類似した形状であるが、
図1に示すように内面F2が断面視で曲線状である。第1開口O1、第2開口O2、及び第3開口O3は、それぞれ斜線を付した領域に相当する。第4開口O4は、第1開口O1を囲う領域に相当する。
【0028】
第1開口O1の幅はW1であり、第2開口O2の幅はW2であり、第3開口O3の幅はW3であり、第4開口O4の幅はW4である。各開口O1〜O4の中心は、第3方向Zと平行な直線AXを通る。各開口O1〜O4が正円形状の場合、幅W1〜W4は各開口O1〜O4の直径に相当する。
【0029】
幅W1は幅W2よりも大きく、幅W3は幅W4よりも大きい。さらに、
図2の例では、幅W4が幅W1よりも大きい。すなわち、W2<W1<W4<W3が成立する。他の観点からいえば、第1開口O1の面積は第2開口O2の面積よりも大きく、第3開口O3の面積は第4開口O4の面積よりも大きく、第4開口O4の面積は第1開口O1の面積よりも大きい。これら面積は、X−Y平面における面積に相当する。
【0030】
なお、各開口O1〜O4は正円形状に限らず、楕円形など他の形状であってもよい。例えば楕円形の場合、各幅W1〜W4は長軸の長さ(長径)に相当する幅であってもよいし、短軸の長さ(短径)に相当する幅であってもよい。また、各開口O1〜O4は、輪郭が蛇行していてもよい。この場合、例えば各開口O1〜O4を正円形状や楕円形状に近似した際の直径、長径、或いは短径を幅W1〜W4と定義してもよいし、各開口O1〜O4の最大径や平均径を幅W1〜W4と定義してもよい。
【0031】
図3は、接続用孔Vの他の構成例を示す断面図である。この構成例は、貫通孔VAの形状において
図1に示す構成例と相違している。すなわち、
図3に示す貫通孔VAの第1開口O1は、第2開口O2よりも小さい。また、第2開口O2は、第3開口O3及び第4開口O4よりも大きい。したがって、例えば各開口O1〜O4の幅W1〜W4に関していえば、W1<W4<W3<W2が成立する。各開口O1〜O4の面積も同様の順序となる。なお、第2開口O2は、第3開口O3或いは第4開口O4より小さくてもよい。
【0032】
貫通孔VAは、第1開口O1から第2開口O2に向かうに連れて幅が拡大する形状を有している。さらに、
図3に示す貫通孔VAにおいては、内面F1が曲線状である。貫通孔VAは、全体として、底部に貫通孔VBが接続されたボウル状である。なお、内面F1は、直線状であってもよい。
【0033】
第2導電層L2は、貫通孔VAの内面F1の全面を覆っていてもよいし、内面F1の一部を覆っていてもよい。
図3では、第2導電層L2が貫通孔VAの内面F1の全面を覆っている例を示している。さらに、接続部材Cは、貫通孔VAにおいて、第2導電層L2を覆っている。また、第2導電層L2が貫通孔VAの内面F1の一部を覆っている場合は、接続部材Cは、第2導電層L2及び貫通孔VAの内面F1の他部を覆っている。すなわち、貫通孔VAの内部において、第2導電層L2は、接続部材Cと内面F1との間に形成されている。接続部材Cは第2導電層L2の上面LT2を覆っていないが、
図1の例と同様に覆っていてもよい。
【0034】
図4は、接続用孔Vの他の構成例を示す断面図である。この構成例は、貫通孔VAの形状において
図1に示す構成例と相違している。すなわち、
図4に示す貫通孔VAは、第1開口O1と第2開口O2との間に位置する中間部分MOを有している。
図4に示す貫通孔VAの第1開口O1は、第2開口O2よりも小さい。中間部分MOは、第1開口O1及び第2開口O2よりも小さい。第2開口O2は、第3開口O3及び第4開口O4よりも大きい。したがって、中間部分MOの幅をWMとすると、WM<W1<W4<W3<W2が成立する。各開口O1〜O4,WMの面積も同様の順序となる。なお、第2開口O2は、第3開口O3或いは第4開口O4より小さくてもよい。また、中間部分MOは、第1開口O1と同じか、或いは大きくてもよい。
【0035】
貫通孔VAは、第1開口O1から中間部分MOまでの第1部分VA1と、中間部分MOから第2開口O2までの第2部分VA2と、を有している。第1部分VA1は、中間部分MOから第1開口O1に向かうに連れて幅が拡大する形状を有している。第2部分VA2は、中間部分MOから第2開口O2に向かうに連れて幅が拡大する形状を有している。第1部分VA1は、断面視において内面F1が直線状で且つ第3方向Zに対して傾いたテーパー状である。一方で、第2部分VA2は、断面視において内面F1が曲線状であり、全体として、底部に第1部分VA1が接続されたボウル状である。なお、第1部分VA1において内面F1は曲線状であってもよい。また、第2部分VA2において内面F1は直線状であってもよい。
【0036】
第2導電層L2は、第2部分VA2において内面F1を覆っている。さらに、接続部材Cは、第1部分VA1において内面F1を覆い、第2部分VA2において第2導電層L2を覆っている。接続部材Cは第2導電層L2の上面LT2を覆っていないが、
図1の例と同様に覆っていてもよい。
【0037】
図5乃至
図7は、接続用孔Vの他の構成例を示す断面図である。
図5の構成例は、貫通孔VAの周囲において、接続部材Cが第2ガラス基板20の第2面20Bを覆い、第2導電層L2が接続部材Cの上を覆っている点で
図1に示す構成例と相違している。
図6及び
図7の構成例は、貫通孔VAにおいて、接続部材Cが内面F1を覆い、第2導電層L2が接続部材Cの上を覆っている点で、それぞれ
図3及び
図4に示す構成例と相違している。すなわち、
図6及び
図7の構成例では、貫通孔VAの内部において、接続部材Cが第2導電層L2と内面F1との間に形成されている。
【0038】
図5乃至
図7の構成例において、保護層PTは、第1保護層PT1と第2保護層PT2とに分かれることなく、第2導電層L2及び接続部材Cを連続的に覆っている。また、これら構成例においては、保護層PTが貫通孔VAの内部に窪んでいるが、保護層PTは平坦であってもよい。
【0039】
図8は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。ここでは、表示装置DSPの一例として、センサSSを搭載した液晶表示装置について説明する。
表示装置DSPは、表示パネルPNL、ICチップI1、配線基板SUB3などを備えている。表示パネルPNLは、液晶表示パネルであり、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、シールSEと、表示機能層(後述する液晶層LC)と、を備えている。第2基板SUB2は、第1基板SUB1に対向している。シールSEは、
図8において右上がりの斜線で示した部分に相当し、第1基板SUB1と第2基板SUB2とを貼り合せている。
【0040】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DA、及び、表示領域DAを囲む額縁状の非表示領域NDAを備えている。表示領域DAは、例えば第1領域に相当し、シールSEによって囲まれた内側に位置している。非表示領域NDAは、例えば表示領域DA(第1領域)と隣り合う第2領域に相当する。シールSEは、非表示領域NDAに位置している。
【0041】
ICチップI1は、配線基板SUB3に実装されている。なお、図示した例に限らず、ICチップI1は、第2基板SUB2よりも外側に延出した第1基板SUB1に実装されていてもよいし、配線基板SUB3に接続される外部回路基板に実装されていてもよい。ICチップI1は、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバDDを内蔵している。例えば、ディスプレイドライバDDは、後述する信号線駆動回路SD、走査線駆動回路GD、及び、共通電極駆動回路CDの少なくとも一部を含む。また、図示した例では、ICチップI1は、タッチパネルコントローラとして機能する検出回路RCを内蔵している。なお、検出回路RCは、ICチップI1とは異なる他のICチップに内蔵されてもよい。
【0042】
表示パネルPNLは、例えば、第1基板SUB1の下方からの光を選択的に透過させることで画像を表示する透過表示機能を備えた透過型、第2基板SUB2の上方からの光を選択的に反射させることで画像を表示する反射表示機能を備えた反射型、あるいは、透過表示機能及び反射表示機能を備えた半透過型のいずれであってもよい。
【0043】
センサSSは、表示装置DSPへの被検出物の接触あるいは接近を検出するためのセンシングを行うものである。センサSSは、複数の検出電極Rx(Rx1、Rx2,Rx3,Rx4…)を備えている。検出電極Rxは、第2基板SUB2に設けられており、上記の第2導電層L2に相当する。これらの検出電極Rxは、それぞれ第1方向Xに延出し、第2方向Yに間隔をあけて並んでいる。
図8では、検出電極Rxとして、検出電極Rx1乃至Rx4が示されているが、ここでは、検出電極Rx1に着目してその構造例について説明する。
【0044】
すなわち、検出電極Rx1は、検出部RSと、端子部RT1と、接続部CNとを備えている。
検出部RSは、表示領域DAに位置し、第1方向Xに延出している。検出電極Rx1においては、主として検出部RSがセンシングに利用される。図示した例では、検出部RSは、帯状に形成されているが、より具体的には、
図12を参照して説明するように微細な金属細線の集合体によって形成されている。また、1つの検出電極Rx1は、2本の検出部RSを備えているが、3本以上の検出部RSを備えてもよいし、1本の検出部RSを備えてもよい。
端子部RT1は、非表示領域NDAの第1方向Xに沿った一端側に位置し、検出部RSに繋がっている。接続部CNは、非表示領域NDAの第1方向Xに沿った他端側に位置し、複数の検出部RSを互いに接続している。
図8において、一端側とは表示領域DAよりも左側に相当し、他端側とは表示領域DAよりも右側に相当する。端子部RT1の一部は、平面視でシールSEと重なる位置に形成されている。
【0045】
第1基板SUB1は、上記の第1導電層L1に相当するパッドP1及び配線WL1を備えている。パッドP1及び配線WL1は、非表示領域NDAの一端側に位置し、平面視でシールSEと重なっている。パッドP1は、平面視で端子部RT1と重なる位置に形成されている。また、パッドP1は、一例では、台形状に形成されているが、他の多角形状や、円形状や楕円形状に形成されてもよい。配線WL1は、パッドP1に接続され、第2方向Yに沿って延出し、配線基板SUB3を介してICチップI1の検出回路RCと電気的に接続されている。
【0046】
接続用孔V1(貫通孔VA,VB)は、平面視において端子部RT1及びパッドP1と重なる位置に形成されている。図示した例では、接続用孔V1は、平面視で円形であるが、これに限らず楕円形などの他の形状であってもよい。
図1などを参照して説明したように、接続用孔V1には、接続部材Cが設けられている。これにより、端子部RT1とパッドP1とが電気的に接続される。つまり、第2基板SUB2に設けられた検出電極Rx1は、第1基板SUB1に接続された配線基板SUB3を介して検出回路RCと電気的に接続される。検出回路RCは、検出電極Rxから出力されたセンサ信号を読み取り、被検出物の接触あるいは接近の有無や、被検出物の位置座標などを検出する。
【0047】
図示した例では、奇数番目の検出電極Rx1、Rx3…の各々の端子部RT1、RT3…、パッドP1、P3…、配線WL1、WL3…、接続用孔V1、V3…は、いずれも非表示領域NDAの一端側に位置している。また、偶数番目の検出電極Rx2、Rx4…の各々の端子部RT2、RT4…、パッドP2、P4…、配線WL2、WL4…、接続用孔V2、V4…は、いずれも非表示領域NDAの他端側に位置している。このようなレイアウトによれば、非表示領域NDAにおける一端側の幅と他端側の幅とを均一化することができ、狭額縁化に好適である。
【0048】
図示したように、パッドP3がパッドP1よりも配線基板SUB3に近接するレイアウトでは、配線WL1は、パッドP3の内側(つまり、表示領域DAに近接する側)を迂回し、パッドP3と配線基板SUB3との間で配線WL3の内側に並んで配置されている。同様に、配線WL2は、パッドP4の内側を迂回し、パッドP4と配線基板SUB3との間で配線WL4の内側に並んで配置されている。
【0049】
図9は、
図8に示す表示パネルPNLの基本構成及び等価回路を示す図である。
表示パネルPNLは、表示領域DAにおいて、複数の画素PXを備えている。ここで、画素とは、画素信号に応じて個別に制御することができる最小単位を示し、例えば、後述する走査線と信号線とが交差する位置に配置されたスイッチング素子を含む領域に存在する。複数の画素PXは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配置されている。また、表示パネルPNLは、表示領域DAにおいて、複数本の走査線G(G1〜Gn)、複数本の信号線S(S1〜Sm)、共通電極CEなどを備えている。走査線Gは、各々第1方向Xに延出し、第2方向Yに並んでいる。信号線Sは、各々第2方向Yに延出し、第1方向Xに並んでいる。なお、走査線G及び信号線Sは、必ずしも直線的に延出していなくてもよく、それらの一部が屈曲していてもよい。共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置されている。走査線G、信号線S、及び、共通電極CEは、それぞれ非表示領域NDAに引き出されている。非表示領域NDAにおいて、走査線Gは走査線駆動回路GDに接続され、信号線Sは信号線駆動回路SDに接続され、共通電極CEは共通電極駆動回路CDに接続されている。信号線駆動回路SD、走査線駆動回路GD、及び、共通電極駆動回路CDは、第1基板SUB1上に形成されてもよいし、これらの一部或いは全部が
図8に示したICチップI1に内蔵されてもよい。
【0050】
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。より具体的には、スイッチング素子SWは、ゲート電極WG、ソース電極WS、及び、ドレイン電極WDを備えている。ゲート電極WGは、走査線Gと電気的に接続されている。図示した例では、信号線Sと電気的に接続された電極をソース電極WSと称し、画素電極PEと電気的に接続された電極をドレイン電極WDと称する。
【0051】
走査線Gは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。画素電極PEの各々は、共通電極CEと対向し、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって液晶層LCを駆動している。保持容量CSは、例えば、共通電極CEと画素電極PEとの間に形成される。
【0052】
図10は、
図8に示す表示パネルPNLの一部の構造を示す断面図である。ここでは、表示装置DSPを第1方向Xに沿って切断した断面図を示す。
図示した表示パネルPNLは、主として基板主面にほぼ平行な横電界を利用する表示モードに対応した構成を有している。なお、表示パネルPNLは、基板主面に対して垂直な縦電界や、基板主面に対して斜め方向の電界、或いは、それらを組み合わせて利用する表示モードに対応した構成を有していてもよい。横電界を利用する表示モードでは、例えば第1基板SUB1及び第2基板SUB2のいずれか一方に画素電極PE及び共通電極CEの双方が備えられた構成が適用可能である。縦電界や斜め電界を利用する表示モードでは、例えば、第1基板SUB1に画素電極PE及び共通電極CEのいずれか一方が備えられ、第2基板SUB2に画素電極PE及び共通電極CEのいずれか他方が備えられた構成が適用可能である。なお、ここでの基板主面とは、X−Y平面と平行な面である。
【0053】
第1基板SUB1は、第1ガラス基板10、信号線S、共通電極CE、金属層M、画素電極PE、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第1配向膜AL1などを備えている。なお、ここでは、スイッチング素子や走査線、これらの間に介在する各種絶縁膜等の図示を省略している。
【0054】
第1絶縁膜11は、第1ガラス基板10の上に位置している。図示しない走査線やスイッチング素子の半導体層は、第1ガラス基板10と第1絶縁膜11の間に位置している。信号線Sは、第1絶縁膜11の上に位置している。第2絶縁膜12は、信号線S、及び、第1絶縁膜11の上に位置している。共通電極CEは、第2絶縁膜12の上に位置している。金属層Mは、信号線Sの直上において共通電極CEに接触している。図示した例では、金属層Mは、共通電極CEの上に位置しているが、共通電極CEと第2絶縁膜12との間に位置してもよい。第3絶縁膜13は、共通電極CE、及び、金属層Mの上に位置している。画素電極PEは、第3絶縁膜13の上に位置している。画素電極PEは、第3絶縁膜13を介して共通電極CEと対向している。また、画素電極PEは、共通電極CEと対向する位置にスリットSLを有している。第1配向膜AL1は、画素電極PE及び第3絶縁膜13を覆っている。
【0055】
走査線、信号線S、及び、金属層Mは、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウムなどの金属材料によって形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。共通電極CE及び画素電極PEは、ITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成されている。第1絶縁膜11及び第3絶縁膜13は無機絶縁膜であり、第2絶縁膜12は有機絶縁膜である。
【0056】
なお、第1基板SUB1の構成は、図示した例に限らず、画素電極PEが第2絶縁膜12と第3絶縁膜13との間に位置し、共通電極CEが第3絶縁膜13と第1配向膜AL1との間に位置していてもよい。このような場合、画素電極PEはスリットを有していない平板状に形成され、共通電極CEは画素電極PEと対向するスリットを有する。また、画素電極PE及び共通電極CEの双方が櫛歯状に形成され、互いに噛み合うように配置されてもよい。
【0057】
第2基板SUB2は、第2ガラス基板20、遮光層BM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2などを備えている。
遮光層BM及びカラーフィルタCFは、第2ガラス基板20の第1基板SUB1と対向する側に位置している。遮光層BMは、各画素を区画し、信号線Sの直上に位置している。カラーフィルタCFは、画素電極PEと対向し、その一部が遮光層BMに重なっている。カラーフィルタCFは、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタなどを含む。オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。
【0058】
なお、カラーフィルタCFは、第1基板SUB1に配置されてもよい。カラーフィルタCFは、4色以上のカラーフィルタを含んでいてもよい。白色を表示する画素には、白色のカラーフィルタが配置されてもよいし、無着色の樹脂材料が配置されてもよいし、カラーフィルタを配置せずにオーバーコート層OCを配置してもよい。
【0059】
検出電極Rxは、第2ガラス基板20の第2面20Bに位置している。検出電極Rxは、上記の通り、第2導電層L2に相当し、金属を含む導電層、ITOやIZO等の透明な導電材料によって形成されてもよいし、金属を含む導電層の上に透明導電層が積層されてもよいし、導電性の有機材料や、微細な導電性物質の分散体などによって形成されてもよい。
【0060】
第1偏光板PL1を含む第1光学素子OD1は、第1ガラス基板10と照明装置BLとの間に位置している。第2偏光板PL2を含む第2光学素子OD2は、検出電極Rxの上に位置している。第1光学素子OD1及び第2光学素子OD2は、必要に応じて位相差板を含んでもよい。
【0061】
次に、本実施形態の表示装置DSPに搭載されるセンサSSの一構成例について説明する。以下に説明するセンサSSは、例えば相互容量方式の静電容量型であり、誘電体を介して対向する一対の電極間の静電容量の変化に基づいて、被検出物の接触あるいは接近を検出するものである。
【0062】
図11は、センサSSの構成例を示す平面図である。
図示した構成例では、センサSSは、センサ駆動電極Tx、及び、検出電極Rxを備えている。センサ駆動電極Txは、右下がりの斜線で示した部分に相当し、第1基板SUB1に設けられている。また、検出電極Rxは、右上がりの斜線で示した部分に相当し、第2基板SUB2に設けられている。センサ駆動電極Tx及び検出電極Rxは、X−Y平面において、互いに交差している。検出電極Rxは、第3方向Zにおいて、センサ駆動電極Txと対向している。
【0063】
センサ駆動電極Tx及び検出電極Rxは、表示領域DAに位置し、それらの一部が非表示領域NDAに延在している。図示した例では、センサ駆動電極Txは、それぞれ第2方向Yに延出した帯状の形状を有し、第1方向Xに間隔を置いて並んでいる。検出電極Rxは、それぞれ第1方向Xに延出し、第2方向Yに間隔を置いて並んでいる。検出電極Rxは、
図8を参照して説明したように、第1基板SUB1に設けられたパッドに接続され、配線を介して検出回路RCと電気的に接続されている。センサ駆動電極Txの各々は、配線WRを介して共通電極駆動回路CDと電気的に接続されている。なお、センサ駆動電極Tx及び検出電極Rxの個数やサイズ、形状は特に限定されるものではなく種々変更可能である。
【0064】
センサ駆動電極Txは、上記の共通電極CEを含み、画素電極PEとの間で電界を発生させる機能を有するとともに、検出電極Rxとの間で容量を発生させることで被検出物の位置を検出するための機能を有している。
【0065】
共通電極駆動回路CDは、表示領域DAに画像を表示する表示駆動時に、共通電極CEを含むセンサ駆動電極Txに対してコモン駆動信号を供給する。また、共通電極駆動回路CDは、センシングを行うセンシング駆動時に、センサ駆動電極Txに対してセンサ駆動信号を供給する。検出電極Rxは、センサ駆動電極Txへのセンサ駆動信号の供給に伴って、センシングに必要なセンサ信号(つまり、センサ駆動電極Txと検出電極Rxとの間の電極間容量の変化に基づいた信号)を出力する。検出電極Rxから出力された検出信号は、
図8に示す検出回路RCに入力される。
【0066】
なお、上記した各構成例におけるセンサSSは、一対の電極間の静電容量(上記の例ではセンサ駆動電極Txと検出電極Rxとの間の静電容量)の変化に基づいて被検出物を検出する相互容量方式に限らず、検出電極Rx自体の容量の変化に基づいて被検出物を検出する自己容量方式であってもよい。
【0067】
図12は、
図8に示す検出電極Rx1の検出部RSの構成例を示す図である。
図12(A)に示す例では、検出部RSは、メッシュ状の金属細線MSによって形成されている。金属細線MSは、端子部RT1に繋がっている。
図12(B)に示す例では、検出部RSは、波状の金属細線MWによって形成されている。図示した例では、金属細線MWは、鋸歯状であるが、正弦波状などの他の形状であってもよい。金属細線MWは、端子部RT1に繋がっている。
端子部RT1は、例えば検出部RSと同一材料によって形成されている。端子部RT1には、正円形の接続用孔V1が形成されている。
【0068】
図13は、
図8に示す接続用孔V1を含むA−B線で切断した表示装置DSPの一構成例を示す断面図である。ここでは、説明に必要な主要部のみを図示している。また、接続用孔V1には、
図3に示す構成を適用しているが、
図1、
図4乃至
図7に示す各構成を適用してもよい。
第1基板SUB1は、第1ガラス基板10、第1導電層L1に相当するパッドP1、第2絶縁膜12などを備えている。第1ガラス基板10とパッドP1との間、及び、第1ガラス基板10と第2絶縁膜12との間には、
図10に示す第1絶縁膜11や、他の絶縁膜や他の導電層が配置されてもよい。第2基板SUB2は、第2ガラス基板20、第2導電層L2に相当する検出電極Rx1、遮光層BM、オーバーコート層OCなどを備えている。
【0069】
シールSEは、第2絶縁膜12とオーバーコート層OCとの間に位置している。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に位置している。なお、図示しないが、第2絶縁膜12とシールSEとの間には、
図10に示す金属層M、第3絶縁膜13、第1配向膜AL1が介在してもよい。また、オーバーコート層OCとシールSEとの間には、
図10に示す第2配向膜AL2が介在してもよい。
【0070】
シールSE、第2絶縁膜12、遮光層BM、及びオーバーコート層OCは、上述の絶縁層IL(有機絶縁層)を構成する。絶縁層ILは、第1配向膜AL1や第2配向膜AL2などの他の層をさらに含んでもよい。また、絶縁層ILは、シールSE、第2絶縁膜12、遮光層BM、及びオーバーコート層OCのいずれかを含まなくてもよい。一例として、絶縁層ILは、シールSEのみで構成することもできる。
【0071】
接続用孔V1は、第2ガラス基板20を貫通する貫通孔VAと、絶縁層ILを貫通する貫通孔VBとを含む。貫通孔VBは、絶縁層ILを構成するシールSE、第2絶縁膜12、遮光層BM、及びオーバーコート層OCを貫通している。接続部材Cは、パッドP1と検出電極Rxとを電気的に接続している。検出電極Rx1の少なくとも検出部RS及び端子部RT1の一部は、第1保護層PT1によって覆われている。接続部材Cは、第2保護層PT2によって覆われている。
【0072】
第1保護層PT1及び第2保護層PT2を含む保護層PTの上に、第2光学素子OD2が配置されている。さらに、第2光学素子OD2の上に、接着層ADを介してカバーガラス30(カバー部材)が貼り付けられている。非表示領域NDAにおいて、カバーガラス30の表示パネルPNLの側の面には、加飾層31(遮光層)が形成されている。加飾層31は、表示領域DAには形成されていない。カバーガラス30を設けることで、接続用孔V1による凹凸が表示装置DSPの外面に生じない。また、加飾層31により、接続用孔V1が外部から視認されることもない。
【0073】
以上のようなセンサSSを備える表示装置DSPによれば、第2基板SUB2に設けられた検出電極Rxは、接続用孔Vに設けられた接続部材Cにより、第1基板SUB1に設けられたパッドPと接続されている。このため、検出電極Rxと検出回路RCとを接続するための配線基板を第2基板SUB2に実装する必要がなくなる。つまり、第1基板SUB1に実装された配線基板SUB3は、表示パネルPNLに画像を表示するのに必要な信号を伝送するための伝送路を形成するとともに、検出電極Rxと検出回路RCとの間で信号を伝送するための伝送路を形成する。したがって、配線基板SUB3の他に別個の配線基板を必要とする構成例と比較して、配線基板の個数を削減することができ、コストを削減することができる。また、第2基板SUB2に配線基板を接続するためのスペースが不要となるため、表示パネルPNLの非表示領域、特に、配線基板SUB3が実装される端辺の幅を縮小することができる。これにより、狭額縁化及び低コスト化が可能となる。
【0074】
次に、
図13に示す表示装置DSPの製造方法の一例について、
図14乃至
図23を用いて説明する。
先ず、
図10に示す各要素などが形成された第1基板SUB1と第2基板SUB2とを用意する。そして、
図14に示すように、第2基板SUB2において接続用孔V1を形成する位置に凹部TRを形成する。凹部TRは、オーバーコート層OCと、遮光層BMとを貫通し、第2ガラス基板20にも及んでいるが、第2ガラス基板20を貫通していない。例えば、凹部TRは、オーバーコート層OCにおける開口から第2ガラス基板20における先端に向かうに連れて先細る円錐形状である。
【0075】
このような凹部TRは、例えばレーザー光LZ1をオーバーコート層OCの側から照射することで形成できる。レーザー光源としては、例えば炭酸ガスレーザー装置などが適用可能であるが、ガラス材料及び有機系材料に穴あけ加工ができるものであればよく、エキシマレーザー装置なども適用可能である。レーザー光LZ1のX−Y平面における強度プロファイルは、例えば
図23(A)に示すように、中心に近い位置ほど高くなる形状(ガウシアン型)を有している。
【0076】
続いて、第1基板SUB1又は第2基板SUB2に基板の端辺に沿ってシールSEを形成し、このシールSEの内側に液晶材料を滴下して、第1基板SUB1と第2基板SUB2とを貼り合せる。これにより、
図15に示すように、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に液晶層LCが形成された表示パネルPNLを得ることができる。なお、凹部TRにはシールSEの一部が入り込む。
【0077】
続いて、フッ化水素酸(HF)などのエッチング液を用いて第1ガラス基板10及び第2ガラス基板20を薄板化する。
図16乃至
図18は、この薄板化の過程を示している。
図16の状態では、凹部TRの先端が第2面20Bに到達するまで第2ガラス基板20が薄板化されている。
図17の状態では、凹部TRが第2面20Bに開口して、貫通孔VAが形成されている。凹部TRの近傍ではエッチング液と第2ガラス基板20との接触面積が多くなるので侵食が進行し易い。これにより、貫通孔VAは、第1面20Aの側の第1部分VA1と、第2面20Bの側のボウル状の第2部分VA2とを含む形状となる。さらに薄板化を進めると、
図18に示すように第1部分VA1が消失して、全体としてボウル状の貫通孔VAが形成される。
なお、レーザー光LZ1により凹部TRを形成した際などに、第2ガラス基板20の第2面20Bの近傍に微細な亀裂が生じたとしても、薄板化によって当該亀裂を除去することができる。したがって、薄板化によって表示パネルPNLの厚さを低減できるとともに、上記亀裂に起因した強度低下を防ぐことができる。
【0078】
薄板化の後、
図19に示すように、遮光層BM、オーバーコート層OC、シールSE、及び第2絶縁膜12を貫通する貫通孔VBを形成する。この貫通孔VBは、例えば貫通孔VAを通じてレーザー光LZ2を照射することで形成できる。レーザー光LZ2のX−Y平面における強度プロファイルは、例えば
図23(B)に示すように、強度が概ね平坦な形状(トップ・ハット型)を有している。レーザー光LZ2の強度は、全体的にレーザー光LZ1の中心部分の強度よりも低く、少なくともパッドP1(第1導電層L1)の温度が融点まで上昇しない程度である。したがって、レーザー光LZ2によってはパッドP1に貫通孔が形成されない。
【0079】
このようにレーザー光LZ2を用いて貫通孔VBを形成する際には、遮光層BM、オーバーコート層OC、シールSE、第2絶縁膜12、或いは第2ガラス基板20の溶融に伴う残渣が生じ得る。このような残渣を除去するために、例えばマイクロ波プラズマなどを用いたデスミア処理を施すことが好ましい。レーザー光LZ2の照射やデスミア処理を経て形成される貫通孔VBにおいては、
図19に示すように、第1導電層L1の側の第3開口O3が、第2ガラス基板20の側の第4開口O4よりも大きくなる。
【0080】
続いて、
図20に示すように、第2ガラス基板20の第2面20Bの上に検出電極Rx1(第2導電層L2)を形成する。さらに、この検出電極Rx1の上から第1保護層PT1を形成する。第1保護層PT1は、貫通孔VA及び貫通孔VBの内部にも形成され得るが、
図20の状態ではエッチングなどのプロセスを経て除去されている。したがって、貫通孔VAの内部において、検出電極Rx1は露出している。なお、検出電極Rx1は貫通孔VAの内部の全部を覆うように形成されていてもよいし、内部の一部を覆うように形成されていてもよい。
【0081】
続いて、
図21に示すように、接続部材Cを形成する。このプロセスでは、例えば真空環境下において、溶剤を含む接続部材Cを接続用孔V1に注入し、接続用孔V1の内部を満たす。その後、溶剤を除去することにより接続部材Cの体積が減少し、パッドP1、検出電極Rx1、及び貫通孔VBの内面F2などを覆うとともに中空部分を有した接続部材Cが形成される。
【0082】
続いて、
図22に示すように、接続部材Cを覆う第2保護層PT2を形成する。これにより、
図13に示す表示パネルPNLが完成する。さらに、この表示パネルPNLに第1光学素子OD1、第2光学素子OD2、カバーガラス30、及び照明装置BLなどを固定することにより、表示装置DSPが完成する。
以上、接続用孔V1に着目して製造方法を説明したが、他の接続用孔Vについても同じプロセスで形成される。一般に、表示パネルPNLは、例えば、大サイズのマザーガラス(第1ガラス基板10)に複数の第1基板SUB1を形成し、同じく大サイズのマザーガラス(第2ガラス基板20)に複数の第2基板SUB2を形成し、これらを貼り合せた後に個々の表示パネルPNLの形状に切断することで製造される。上述の製造方法は、このような表示パネルPNLの製造工程に適用することが可能である。
【0083】
なお、第2ガラス基板20の薄板化を例えば
図17の状態で止めた場合には、
図4に示すように貫通孔VAが第1部分VA1と第2部分VA2とを含む接続用孔Vを有した表示装置DSPを製造することができる。また、第2ガラス基板20の薄板化を
図17の状態よりも早く止めた場合には、
図1に示すように第1開口O1が第2開口O2よりも大きい貫通孔VAを含む接続用孔Vを有した表示装置DSPを製造することができる。
【0084】
次に、
図13に示す接続用孔V1が
図6に示す構成を備える場合を想定して、表示装置DSPの製造方法の他の例を説明する。
接続用孔V1を形成するプロセスは、先の例の
図14乃至
図19と同様である。本例では、
図19と同様の接続用孔V1を形成した後、
図24に示すように、接続用孔V1の内部に接続部材Cを形成する。
【0085】
その後、
図25に示すように、第2ガラス基板20の第2面20Bに検出電極Rx1(第2導電層L2)を形成する。検出電極Rx1は、貫通孔VAの内部にも形成され、接続部材Cの一部を覆う。続いて、
図26に示すように、検出電極Rx1及び接続部材Cを覆う保護層PTを形成する。
【0086】
先の製造方法においては、第1保護層PT1を各接続用孔Vの位置で除去したり、第2保護層PT2を各接続用孔Vに対して個々に形成したりする必要があった。しかしながら、
図24乃至
図26の製造方法においては、各接続用孔Vを覆う保護層PTを一括して形成すればよいので、プロセス数を低減できる。さらに、上述のようにマザーガラスを用いた製造工程においては複数の表示パネルPNLの保護層PTを1つのプロセスで容易に形成できるため特に有利であり、マザーガラスの大型化にも寄与し得る。
【0087】
なお、
図24乃至
図26の製造方法を用いる場合において、第2ガラス基板20の薄板化を例えば
図17の状態で止めた場合には、
図7に示すように貫通孔VAが第1部分VA1と第2部分VA2とを含む接続用孔Vを有した表示装置DSPを製造することができる。また、第2ガラス基板20の薄板化を
図17の状態よりも早く止めた場合には、
図5に示すように第1開口O1が第2開口O2よりも大きい貫通孔VAを含む接続用孔Vを有した表示装置DSPを製造することができる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、狭額縁化及び低コスト化が可能な表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【0089】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0090】
本明細書にて開示した構成から得られる表示装置の一例を以下に付記する。
(1)
第1導電層を含む第1基板と、
前記第1導電層と対向し且つ前記第1導電層から離間した第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有するガラス基板と、前記第2面の側に配置された第2導電層と、を含み、前記第1面と前記第2面との間を貫通する第1貫通孔を有する第2基板と、
前記第1導電層と前記ガラス基板との間に配置され、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔を有する絶縁層と、
前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を通って前記第1導電層と前記第2導電層とを電気的に接続する接続部材と、
を備え、
前記第1貫通孔は、前記第1面の側の第1開口と、前記第2面の側の第2開口とを有し、
前記第2貫通孔は、前記第1導電層の側の第3開口と、前記ガラス基板の側の第4開口とを有し、
前記第3開口は、前記第1開口よりも大きい、
電子機器。
(2)
前記第2貫通孔は、断面視において、前記第4開口から前記第3開口に向かうに連れて幅が拡大する形状を有する、
上記(1)に記載の電子機器。
(3)
前記第1導電層は、前記第3開口を塞ぐ平坦な領域を有し、
前記接続部材は、前記領域に接触している、
上記(1)又は(2)に記載の電子機器。
(4)
前記絶縁層は、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合せるシールを含む、
上記(1)乃至(3)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(5)
前記第4開口は、前記第1開口よりも大きい、
上記(1)乃至(4)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(6)
前記第1貫通孔は、断面視において、前記第1開口から前記第2開口に向かうに連れて幅が拡大する形状を有する、
上記(1)乃至(5)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(7)
前記第1貫通孔は、前記第1開口と前記第2開口との間に位置する中間部分を有し、断面視において、前記第1開口から前記中間部分に向かうに連れて幅が縮小するとともに前記中間部分から前記第2開口に向かうに連れて幅が拡大する形状を有する、
上記(1)乃至(5)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(8)
前記接続部材は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の内面を覆っている、
上記(1)乃至(7)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(9)
前記接続部材は、前記第1貫通孔の内部において、前記第2導電層と前記第1貫通孔の内面との間に形成されている、
上記(1)乃至(8)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(10)
前記第2導電層は、前記第1貫通孔の内部において、前記接続部材と前記第1貫通孔の内面との間に形成されている、
上記(1)乃至(7)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(11)
前記第2導電層及び前記接続部材を覆う保護層をさらに備える、
上記(1)乃至(10)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(12)
前記保護層は、前記第2導電層を覆う第1保護層と、前記接続部材を覆う第2保護層と、を含む、
上記(11)に記載の電子機器。
(13)
前記第2保護層は、前記第2貫通孔の内部を満たしている、
上記(12)に記載の電子機器。
(14)
前記第2導電層は、第1領域に接触或いは接近する物体を検出する検出部と、前記第1領域と隣り合う第2領域に配置され、且つ前記検出部に繋がる端子部と、を備え、
前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔は、平面視において前記端子部と重なる位置に設けられている、
上記(1)乃至(13)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(15)
前記第1導電層と電気的に接続され、前記第2導電層から出力されたセンサ信号を読み取る検出回路を備える、
上記(14)に記載の電子機器。
(16)
前記第1基板は、前記第2導電層と対向する駆動電極を備える、
上記(14)又は(15)に記載の電子機器。