特許第6768402号(P6768402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768402
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】復水器
(51)【国際特許分類】
   F28B 1/02 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
   F28B1/02
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-154540(P2016-154540)
(22)【出願日】2016年8月5日
(65)【公開番号】特開2018-21736(P2018-21736A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年2月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】名古 宏平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】根本 晃
(72)【発明者】
【氏名】津田 将太
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭46−014489(JP,B1)
【文献】 実開昭55−054777(JP,U)
【文献】 特開昭60−014096(JP,A)
【文献】 実開平03−038560(JP,U)
【文献】 特許第3735464(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン排気蒸気を内側に流れる流体で熱交換して凝縮する冷却管束と、
前記冷却管束を介して凝縮したドレンを貯留するホットウェルと、
前記冷却管束における前記流体の入口側である前記冷却管束の低温側の下方に設けられ、前記冷却管束の低温側を介して凝縮して前記ホットウェルに貯留する前の低温側ドレンの一部を回収する低温側ドレン回収トレーと、
前記低温側ドレン回収トレーにおける、同一の前記冷却管束における前記流体の出口側である前記冷却管束の高温側を向く側板に接続され、前記回収した低温側ドレンを前記冷却管束の高温側の下方の周囲に散水する連絡管とを備え復水器。
【請求項2】
タービン排気蒸気を内側に流れる流体で熱交換して凝縮し、内側に流れる流体の流れが対向流となるように複数群で構成される冷却管束と、
前記冷却管束を介して凝縮したドレンを貯留するホットウェルと、
前記冷却管束における前記流体の入口側である、前記冷却管束の低温側の下方から、前記冷却管束に隣接する異なる第2の冷却管束における前記流体の出口側である、前記第2の冷却管束の高温側の下方に渡って設けられ、前記冷却管束の低温側を介して凝縮して前記ホットウェルに貯留する前の低温側ドレンの一部を回収し、前記回収した低温側ドレンが前記第2の冷却管束の高温側に散水されるように側板を設けた低温側ドレン回収トレーとを備え復水器。
【請求項3】
タービン排気蒸気を内側に流れる流体で熱交換して凝縮し、内側に流れる流体の流れが対向流となるように複数群で構成される冷却管束と、
前記冷却管束を介して凝縮したドレンを貯留するホットウェルと、
前記冷却管束における前記流体の入口側である前記冷却管束の低温側の下方に設けられ、前記冷却管束の低温側を介して凝縮して前記ホットウェルに貯留する前の低温側ドレンの一部を回収する低温側ドレン回収トレーと、
前記低温側ドレン回収トレーにおける、前記冷却管束に隣接する異なる第2の冷却管束における前記流体の出口側である、前記第2の冷却管束の高温側を向く側板に接続され、前記回収した低温側ドレンを前記第2の冷却管束の高温側の下方の周囲に散水する連絡管とを備え復水器。
【請求項4】
前記低温側ドレン回収トレーの底板に前記冷却管束の軸直方向に沿って設置される仕切板をさらに備え請求項またはに記載の復水器。
【請求項5】
前記低温側ドレン回収トレーの底板の少なくとも一部を多孔板とし請求項1乃至4のいずれか1項に記載の復水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、復水に関する。
【背景技術】
【0002】
復水器とは、蒸気タービンからタービン排気口を通って流入した排気蒸気を熱交換により凝縮させ、ホットウェルに貯留させる熱交換器である。復水器の冷却管束の上段から中段で凝縮されたドレンが冷却管束内における降下に伴い過冷却されると、復水器から冷却水側に放出される熱量が増してプラント効率が低下することから、ドレンの過冷却を低減することが求められている。
【0003】
そのため従来の復水器では、冷却管束で凝縮されたドレンを管束下部に設置された散水箱で回収した後、脱気トレーを通じて再熱脱気させながらホットウェルに落下させる再熱脱気装置を有する構造がとられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3735464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した従来の復水器では、冷却管束に対する冷却水出口(高温側)と冷却水入口(低温側)との温度差が大きい場合には、冷却水入口側で凝縮した過冷却ドレンが、その下方に設置された脱気トレーを大流量で流れ、このドレンは十分な再熱効果が得られる前にホットウェルヘ流入してしまい、ドレンの過冷却状態が解消されないという課題があった。
【0006】
さらに、従来の復水器と比較し、冷却管束の低温側での蒸気凝縮量が多くなることから、冷却管束の低温側へ流入する排気蒸気の流速が増加するので、復水器の内部構造の振動および侵食等の悪影響についても懸念されている。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、復水器冷却水の温度差に起因する、低温側ドレンの過冷却を抑制することが可能な復水を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態における復水器は、タービン排気蒸気を内側に流れる流体で熱交換して凝縮する冷却管束と、前記冷却管束を介して凝縮したドレンを貯留するホットウェルと、前記冷却管束における前記流体の入口側である前記冷却管束の低温側の下方に設けられ、前記冷却管束の低温側を介して凝縮して前記ホットウェルに貯留する前の低温側ドレンの一部を回収する低温側ドレン回収トレーと、前記低温側ドレン回収トレーにおける、同一の前記冷却管束における前記流体の出口側である前記冷却管束の高温側を向く側板に接続され、前記回収した低温側ドレンを前記冷却管束の高温側の下方の周囲に散水する連絡管とを有する。
実施形態における復水器は、タービン排気蒸気を内側に流れる流体で熱交換して凝縮し、内側に流れる流体の流れが対向流となるように複数群で構成される冷却管束と、前記冷却管束を介して凝縮したドレンを貯留するホットウェルと、前記冷却管束における前記流体の入口側である、前記冷却管束の低温側の下方から、前記冷却管束に隣接する異なる第2の冷却管束における前記流体の出口側である、前記第2の冷却管束の高温側の下方に渡って設けられ、前記冷却管束の低温側を介して凝縮して前記ホットウェルに貯留する前の低温側ドレンの一部を回収し、前記回収した低温側ドレンが前記第2の冷却管束の高温側に散水されるように側板を設けた低温側ドレン回収トレーとを有する。
実施形態における復水器は、タービン排気蒸気を内側に流れる流体で熱交換して凝縮し、内側に流れる流体の流れが対向流となるように複数群で構成される冷却管束と、前記冷却管束を介して凝縮したドレンを貯留するホットウェルと、前記冷却管束における前記流体の入口側である前記冷却管束の低温側の下方に設けられ、前記冷却管束の低温側を介して凝縮して前記ホットウェルに貯留する前の低温側ドレンの一部を回収する低温側ドレン回収トレーと、前記低温側ドレン回収トレーにおける、前記冷却管束に隣接する異なる第2の冷却管束における前記流体の出口側である、前記第2の冷却管束の高温側を向く側板に接続され、前記回収した低温側ドレンを前記第2の冷却管束の高温側の下方の周囲に散水する連絡管とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、復水器冷却水の温度差に起因する、低温側ドレンの過冷却を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態における復水器の正面図。
図2】第1の実施形態における復水器の正面図。
図3】第1の実施形態における復水器の低温側ドレン回収トレーの構造の一例を示す図。
図4】第1の実施形態における復水器の低温側ドレン回収トレーの構造の一例を示す図。
図5】第1の実施形態における復水器の低温側ドレン回収トレーの構造の一例を示す図。
図6】第1の実施形態における復水器の低温側ドレン回収トレーの構造の一例を示す図。
図7】第2の実施形態における復水器の側面図。
図8】第2の実施形態における復水器の上面図。
図9】第3の実施形態における復水器の側面図。
図10】第3の実施形態における復水器の上面図。
図11】第3の実施形態における復水器の低温側ドレン回収トレーに設けられる連絡管の一例を示す図。
図12】第4の実施形態における復水器の正面図。
図13】第4の実施形態における復水器の上面図。
図14】第5の実施形態における復水器の正面図。
図15】第5の実施形態における復水器の上面図。
図16】第6の実施形態における復水器の低温側ドレン回収トレーに設けられる仕切板の一例を示す図。
図17】第7の実施形態における復水器の正面図。
図18】第7の実施形態における復水器の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
[構成]
図1は、第1の実施形態における復水器の正面図である。図2は、第1の実施形態における復水器の上面図である。図2は、図1のA方向からみた上面図である。
図1、2に示すように、蒸気タービン発電プラントにおける復水器1は、低圧タービン排気口2と、タービン排気蒸気を内側に流れる流体、例えば海水で熱交換して凝縮させる冷却管束3と、この冷却管束3内を流れる流体を導入させるために復水器胴外面に設置される水室4と、冷却管束3を介して凝縮したドレン(凝縮水)を一時的に貯留するホットウェル5とを備える。
図1、2に示すように、復水器1は、平面形状がほぼ矩形をした容器を有し、この容器の上部に、軸を水平にした図示しない蒸気タービンが低圧タービン排気口2を介して設置される。
【0012】
復水器1内の下部には、複数の冷却管がタービンの軸と平行に格子状に配列され、その集合体により冷却管束3を構成している。この冷却管束3の一端には、冷却水入口8(冷却管束3への冷却水の入口)を含む水室4が連通し、他端には冷却水出口9(冷却管束3からの冷却水の入口)を含む水室4が連通する。冷却管束3における冷却水入口8側は冷却管束低温側3aとなり、冷却管束3における冷却水出口9側は冷却管束高温側3bとなる。
【0013】
図2に示すように、低圧タービン排気口2から流入する排気蒸気7を凝縮させることを目的として、冷却管束3は、管内流が対向流となるように複数群で構成される。図2に示した例では、理解を容易とするために、冷却管束低温側3aと冷却管束高温側3bの位置関係が逆になるように、1つ目の冷却管束3と2つ目の冷却管束3とが隣接して設置される例を示す。つまり、1つ目の冷却管束3における冷却管束低温側3aは、この1つ目の冷却管束3に隣接する2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3bと隣接する。
【0014】
上記のような復水器1において、蒸気タービンからの蒸気流は、低圧タービン排気口2より内部に流入され、排気蒸気7として冷却管束3に向かって下降する。
この下降した排気蒸気7は、冷却管束3と接し、この冷却管束3中の冷却管の中を通水される冷却水との間で熱交換を行う。冷却管束3中では、排気蒸気7は冷却管との接触によりその潜熱を奪われて凝縮され、ドレンが発生する。冷却管束低温側3aから下降するドレンは低温側ドレン10であり、冷却管束高温側3bから下降するドレンは高温側ドレン11である。
【0015】
これらのドレンは、冷却管束3中の冷却管の表面に沿って下降しながら蒸気流による加熱と冷却水による冷却を繰り返しながら滴下し、ホットウェル5に貯留された後、復水となる。
【0016】
本実施形態では、冷却管束3における冷却管束低温側3aの下方かつホットウェル5の上方に低温側ドレン回収トレー6が設置される。この低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束低温側3aから下降してホットウェル5に貯留する前の低温側ドレン10の一部を回収し、この低温側ドレン10を冷却管束3の冷却管束低温側3aの下方(本来の降水位置)以外に散水させる構造を有する。
【0017】
低温側ドレン回収トレー6における、低温側ドレン10を散水させる構造の例を説明する。図3図4図5図6は、第1の実施形態における復水器の低温側ドレン回収トレーの構造の一例を示す図である。
図3に示した例では、低温側ドレン回収トレー6における、四方のうち低温側ドレン10の散水目標方向に対応する側板は設置されない。ここでは、散水目標方向は、冷却管束3の冷却管束低温側3aの下方に対して斜め下の方向を指す。以下の図4、5、6に示す例でも同様である。
【0018】
図4で示した例では、低温側ドレン回収トレー6における低温側ドレン10の散水目標方向に対応する側板の高さは、散水目標方向以外の方向に対応する側板の高さより低い。
図5に示した例では、低温側ドレン回収トレー6における低温側ドレン10の散水目標方向に対応する側板に切欠きが設けられ、この切り欠かれた部分の高さは、散水目標方向以外の方向に対応する側板の高さより低い。
【0019】
図6に示した例では、低温側ドレン回収トレー6における低温側ドレン10の散水目標方向に対応する側板に任意数量の貫通穴が設けられ、この穴から低温側ドレン10が散水される。
【0020】
[作用]
低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束低温側3aで凝縮された低温側ドレン10の一部を回収し、この回収した低温側ドレン10を、本来の降水位置、つまり低温側ドレン回収トレー6を設置しない場合の、冷却管束低温側3aの下方の降水位置とは異なる位置に散水させる。
【0021】
[効果]
第1の実施形態では、冷却管束低温側3aで発生した低温側ドレン10の一部を本来の降水位置とは異なる位置に散水させることで、本来の降水位置での低温側ドレン10が大流量であることに起因する再熱蒸気量不足を解消させ、ドレン過冷却を抑制することが可能となる。
【0022】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。尚、以下の各実施形態における復水器の基本的な構成は、第1の実施形態と同じである。そこで、以下の各実施形態において同じ機能を有する構成部品に対して各図中において、同じ符号を付し、詳細な説明は第1の実施形態の記載および図面を参酌することとする。
【0023】
[構成]
図7は、第2の実施形態における復水器の側面図である。図8は、第2の実施形態における復水器の上面図である。図8は、図7のB方向からみた上面図である。
第2の実施形態では、低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束3の下方かつ、この冷却管束3の長手方向に沿って、冷却管束3における冷却管束低温側3aの端部から冷却管束高温側3bに渡る。この低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束低温側3aの下方の全体をふさぐように配置され、冷却管束高温側3bの下方の一部をふさぐように配置される。
【0024】
第1の実施形態と比較して、第2の実施形態における低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束高温側3bへ向かって延長された構造となっている。ただし、低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束高温側3bの端部およびその付近までは延長されない。
【0025】
また、低温側ドレン回収トレー6には、四方のうち冷却管束高温側3bを向く方向に対応する側面に、図5、6、7、8で示すような散水構造を有し、その他の方向に対応する側面には散水構造を有しないように側板が設けられる。
【0026】
[作用]
低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束低温側3aで凝縮された低温側ドレン10の一部を回収し、この低温側ドレン10を、同一の冷却管束3内の冷却管束高温側3bの周囲の下方で散水させる。
【0027】
[効果]
第2の実施形態では、冷却管束低温側3aで発生した低温側ドレン10の一部を、低温側ドレン回収トレー6を通じて同一の冷却管束3の冷却管束高温側3bの下方へ分配することで、第1の実施形態と同様に、冷却管束低温側3aの下方での低温側ドレン10の大流量に起因する再熱蒸気量不足を解消させ、第1の実施形態のようにドレン過冷却を抑制することが可能である。
【0028】
また、第2の実施形態では、上記の効果に加え、低温側ドレン回収トレー6を通じて冷却管束高温側3bの下方ヘ分配した低温側ドレン10と、同一の冷却管束3の冷却管束高温側3bの下方ヘ降水してホットウェル5に貯留する前の高温側ドレン11との混合により生じる混合ドレン12を再熱させるように、排気蒸気7が冷却管束高温側3bの下方へ流入する。よって、復水器全体の排気蒸気流速のアンバランスを解消し、冷却管束低温側3aの周辺での高流速を解消することが可能である。
【0029】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
[構成]
図9は、第3の実施形態における復水器の側面図である。図10は、第3の実施形態における復水器の上面図である。図10は、図9のC方向からみた上面図である。図11は、第3の実施形態における復水器の低温側ドレン回収トレーに設けられる連絡管の一例を示す図である。
第3の実施形態では、冷却管束低温側3aの下方に、図11で示すような、先端に散水構造を有する任意数量の連絡管13を、同一の冷却管束3内の冷却管束高温側3bの方向を向く側板に接続した低温側ドレン回収トレー6が設置される。
つまり、第1の実施形態と比較して、第3の実施形態では、低温側ドレン回収トレー6に連絡管13が取り付けられた構造となっている。
【0030】
[作用]
第2の実施形態と同様に、低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束低温側3aで凝縮された低温側ドレン10の一部を回収し、この低温側ドレン10を、同一の冷却管束3内の冷却管束高温側3bの周囲の下方で散水させる。
【0031】
[効果]
第3の実施形態では、低温側ドレン回収トレー6に連絡管13を取り付けた構造としているので、冷却管束3内の冷却管束高温側3bの周囲の下方で散水するために、第2の実施形態のように低温側ドレン回収トレー6自体を冷却管束高温側3bへ向かって延長する必要がなくなるので、低温側ドレン回収トレー6を小型化することができる。
【0032】
また、連絡管13を用いた場合、第2の実施形態のように低温側ドレン回収トレー6を冷却管束高温側3bに設ける場合と比較して、排気蒸気7の流れの阻害を低減できるので、第2の実施形態と比較して排気蒸気7の圧力損失を低減することができる。
また、第3の実施形態では、第2の実施形態で述べたようにドレン過冷却を抑制し、復水器全体の排気蒸気流速のアンバランスを解消し、冷却管束低温側3a周辺での高流速を解消することが可能である。
【0033】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
[構成]
図12は、第4の実施形態における復水器の正面図である。図13は、第4の実施形態における復水器の上面図である。図13は、図12のD方向からみた上面図である。
第4の実施形態では、低温側ドレン回収トレー6は、管内流が対向流となるように複数群で構成される冷却管束3のうち、1つ目の冷却管束3の冷却管束低温側3aの下方から、この1つ目の冷却管束3に隣接する2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3bの下方に渡る構造を有する。
【0034】
この低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束低温側3aの下方の全体および冷却管束高温側3bの下方の全体をふさぐように配置される。
また、低温側ドレン回収トレー6には、四方のうち上記の2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3bの方向に対応する側面に図5、6、7、8で示すような散水構造を有し、その他の方向に対応する側面には散水構造を有しないように側板が設けられる。
【0035】
[作用]
第4の実施形態では、低温側ドレン回収トレー6は、1つ目の冷却管束3の冷却管束低温側3aで凝縮された低温側ドレン10の一部を回収し、この低温側ドレン10を、1つ目の冷却管束3に隣接する、2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3bの周囲の下方で散水させる。
【0036】
[効果]
第4の実施形態では、1つ目の冷却管束3の冷却管束低温側3aで発生した低温側ドレン10の一部を、この1つ目の冷却管束3に隣接する、2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3b下方へ、低温側ドレン回収トレー6を通じて分配することで、冷却管束低温側3aの下方での低温側ドレン10の大流量に起因する再熱蒸気量不足を解消させ、第2および第3の実施形態と同様に、ドレン過冷却を抑制することが可能である。
また、2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3bの下方ヘ分配した低温側ドレン10とこの冷却管束高温側3bから降下する高温側ドレン11との混合により生じる混合ドレン12を再熱させるように、排気蒸気7は、2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3bの下方へ流入する。よって、第2および第3の実施形態と同様に、復水器全体の排気蒸気流速のアンバランスおよび冷却管束低温側3a周辺での高流速を解消することが可能である。
【0037】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。この第5の実施形態は、第4の実施形態がもつ特徴と第3の実施形態がもつ特徴とを併せもつものに相当する。
[構成]
図14は、第5の実施形態における復水器の正面図である。図15は、第5の実施形態における復水器の上面図である。図15は、図14のE方向からみた上面図である。
第5の実施形態では、管内流が対向流となるように複数群で構成される冷却管束3のうち、1つ目の冷却管束3の冷却管束低温側3aの下方に、第3の実施形態で説明した図11に示すような、先端に散水構造を有する任意数量の連絡管13を、この冷却管束3に隣接する、2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3bの方向を向く側板に接続した低温側ドレン回収トレー6が設置される。
【0038】
[作用]
第5の実施形態では、第4の実施形態と同様に、低温側ドレン回収トレー6は、1つ目の冷却管束3の冷却管束低温側3aで凝縮された低温側ドレン10の一部を回収し、この低温側ドレン10を、1つ目の冷却管束3に隣接する2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3bの周囲の下方で散水させる。
【0039】
[効果]
第5の実施形態では、連絡管13を使用することによって、第3の実施形態と同様に、低温側ドレン回収トレー6を小型化することができる。
また、この連絡管13は、第4の実施形態のように低温側ドレン回収トレー6を2つ目の冷却管束3の冷却管束高温側3bに設ける場合と比較して、排気蒸気7の流れを阻害しないので、第4の実施形態と比較して、また、第3の実施形態と同様に、排気蒸気流の圧力損失を低減することができる。
【0040】
また、第5の実施形態では、第2ないし第4の実施形態と同様に、ドレン過冷却を抑制し、復水器全体の排気蒸気流速のアンバランスを解消し、冷却管束低温側3aの周辺での高流速を解消することが可能である。
【0041】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
[構成]
図16は、第6の実施形態における復水器の低温側ドレン回収トレーに設けられる仕切板の一例を示す図である。
この第6の実施形態では、第4、5の実施形態で説明した低温側ドレン回収トレー6について、図16に示すように、回収した低温側ドレン10を仕切るための仕切板14を冷却管束3の軸直方向に任意数量だけ設置する。図16に示した例では、連絡管13の数と仕切板14で仕切られたエリアの数が同じであるが、これらが同じでなくともよく、例えば、仕切板14で仕切られた1つのエリアと2つの連絡管13とを繋げる構成としてもよい。
【0042】
[作用]
低温側ドレン回収トレー6は、冷却管束低温側3aで凝縮された低温側ドレン10を回収し、仕切板14で仕切られた低温側ドレン10を、第4および第5の実施形態のように隣接する他の冷却管束3内の冷却管束高温側3bの下方で散水させる。
【0043】
[効果]
第6の実施形態では、冷却管軸直方向に設置された仕切板14を有する低温側ドレン回収トレー6は、冷却位置によって温度が異なるドレンを混合することなく回収し、この回収したドレンを冷却管束高温側3bの下方で散水することで、第4および第5の実施形態で得られる、冷却水過冷却の抑制効果および排気蒸気のアンバランス解消効果を向上させることが可能である。
【0044】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。
[構成]
図17は、第7の実施形態における復水器の正面図である。図18は、第7の実施形態における復水器の上面図である。図18は、図16のF方向からみた上面図である。
第7の実施形態では、低温側ドレン回収トレー6の底板の一部あるいは全体を多孔板15として、穴径を調整することで任意位置での散水量を設定し、散水した飽和水の加熱を促進させる構造を有する。図17、18に示した例は、第4の実施形態で説明した復水器において、低温側ドレン回収トレー6の底板の一部を多孔板15とした例である
[作用]
第7の実施形態では、低温側ドレン回収トレー6における、冷却管束3の下部に位置せず、排気蒸気7がドレンの再熱を行うことができない箇所に位置する底板あるいは側板、もしくはその双方の一部あるいは全体を多孔板15とする。
また、この多孔板15から低温側ドレン10を降水させるように多孔板15における穴の位置および穴径を設定する。これにより、第1ないし第6の実施形態で説明した復水器と比較し、散水した飽和水の排気蒸気7による加熱を促進させることができる。
【0045】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…復水器、2…低圧タービン排気口、3…冷却管束、3a…冷却管束低温側、3b…冷却管束高温側、4…水室、5…ホットウェル、6…低温側ドレン回収トレー、7…排気蒸気、8…冷却水入口、9…冷却水出口、10…低温側ドレン、11…高温側ドレン、12…混合ドレン、13…連絡管、14…仕切板、15…多孔板。
図1
図2
図3
図4
図5
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図17
図18