特許第6768411号(P6768411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768411
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】基板検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20201005BHJP
【FI】
   G01R1/073 D
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-165231(P2016-165231)
(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公開番号】特開2018-31711(P2018-31711A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 恒明
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 万亀夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 健司
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−297242(JP,A)
【文献】 特開2013−068510(JP,A)
【文献】 特開2015−021726(JP,A)
【文献】 特開2008−078227(JP,A)
【文献】 特開平10−319076(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0010099(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06−1/073
G01R 31/28
H01L 21/64−21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板における対応する検査箇所に先端部を接触させる複数のプローブが配設されたプローブユニット、当該プローブユニットを移動させる移動機構、前記複数のプローブのうちから選択されたプローブを介して当該プローブの前記先端部と接触する前記検査箇所についての電気的特性を測定する測定部、並びに前記移動機構に対する移動制御処理および前記測定された電気的特性に基づく前記検査箇所に対する検査処理を実行する処理部を備えている基板検査装置であって、
前記プローブユニットにおける前記複数のプローブの配置面の画像を撮像画像として撮像可能な撮像部と、
前記配置面における前記複数のプローブの配置位置を示す位置情報が記憶された記憶部と、
表示部と、
操作部とを備え、
前記処理部は、前記検査処理の非実行時において、前記記憶部から読み出した前記位置情報に基づいて前記配置面における前記複数のプローブの配置位置を示すプローブ配置画像を前記表示部の画面上に表示させると共に、当該プローブ配置画像中の特定の座標を前記操作部から入力したときに、当該特定の座標を含む予め決められた範囲内の前記配置面の前記撮像画像を前記撮像部に撮像させ、かつ当該撮像画像を前記プローブ配置画像と共に前記画面上に表示させるプローブ撮像処理を実行し、複数の前記基板に対して実行した前記検査処理の結果に基づいて、前記複数のプローブのうちの前記検査処理の結果が高い確率で異常となる検査箇所に使用されるプローブを不具合が発生している可能性のある特定プローブとして特定する特定処理を実行し、前記プローブ撮像処理において、当該特定プローブの配置位置を他のプローブの配置位置と区別し得る態様で前記プローブ配置画像を表示させる基板検査装置。
【請求項2】
前記撮像部は、前記配置面の一部を拡大して撮像するカメラで構成され、
前記撮像部を移動させる撮像部移動機構を備え、
前記処理部は、前記プローブ撮像処理において、前記特定の座標に基づいて前記撮像部移動機構に対する移動制御を実行することにより、前記予め決められた範囲の撮像位置に前記撮像部を移動させて撮像させる請求項1記載の基板検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプローブが配設されたプローブユニットを有する基板検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板検査装置として、下記の特許文献1において本願出願人が提案した基板検査装置が既に知られている。この基板検査装置は、プローブユニット、プローブユニットを移動させる移動機構、載置台、測定部、検査部、記憶部および処理部を備えて、基板を検査可能に構成されている。また、プローブユニットは、複数のプローブ、支持部および電極板を備えて構成されている。各プローブは、検査の際に基板における導体パターン等の導体部に接触させて電気信号の入出力を行うために用いられ、導電性を有する金属材料によって弾性変形可能な断面円形の棒状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−21726号公報(第5−6頁、第1−5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の基板検査装置には、以下のような改善すべき課題が存在している。すなわち、この種の基板検査装置では、基板に対する検査の結果に疑義が生じた場合(例えば、基板における複数の検査箇所のうちの特定の検査箇所についての検査結果が安定しない場合や、特定の検査箇所についての検査結果が高い頻度で不良との検査結果となる場合)には、この特定の検査箇所の検査に使用するプローブに不具合が生じている可能性があることから、プローブユニットを移動機構から取り外して検査のための作業場所に搬送すると共に、高倍率カメラで該当するプローブを拡大してプローブの状態を確認している。
【0005】
しかしながら、この基板検査装置には、プローブの検査の度にプローブユニットを移動機構から取り外す必要があることから、プローブの検査作業に手間がかかるという改善すべき課題が存在している。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、プローブユニットを取り外すことなくプローブの検査を実施し得る基板検査装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の基板検査装置は、検査対象の基板における対応する検査箇所に先端部を接触させる複数のプローブが配設されたプローブユニット、当該プローブユニットを移動させる移動機構、前記複数のプローブのうちから選択されたプローブを介して当該プローブの前記先端部と接触する前記検査箇所についての電気的特性を測定する測定部、並びに前記移動機構に対する移動制御処理および前記測定された電気的特性に基づく前記検査箇所に対する検査処理を実行する処理部を備えている基板検査装置であって、前記プローブユニットにおける前記複数のプローブの配置面の画像を撮像画像として撮像可能な撮像部と、前記配置面における前記複数のプローブの配置位置を示す位置情報が記憶された記憶部と、表示部と、操作部とを備え、前記処理部は、前記検査処理の非実行時において、前記記憶部から読み出した前記位置情報に基づいて前記配置面における前記複数のプローブの配置位置を示すプローブ配置画像を前記表示部の画面上に表示させると共に、当該プローブ配置画像中の特定の座標を前記操作部から入力したときに、当該特定の座標を含む予め決められた範囲内の前記配置面の前記撮像画像を前記撮像部に撮像させ、かつ当該撮像画像を前記プローブ配置画像と共に前記画面上に表示させるプローブ撮像処理を実行し、複数の前記基板に対して実行した前記検査処理の結果に基づいて、前記複数のプローブのうちの前記検査処理の結果が高い確率で異常となる検査箇所に使用されるプローブを不具合が発生している可能性のある特定プローブとして特定する特定処理を実行し、前記プローブ撮像処理において、当該特定プローブの配置位置を他のプローブの配置位置と区別し得る態様で前記プローブ配置画像を表示させる
【0008】
また、請求項2記載の基板検査装置は、請求項1記載の基板検査装置において、前記撮像部は、前記配置面の一部を拡大して撮像するカメラで構成され、前記撮像部を移動させる撮像部移動機構を備え、前記処理部は、前記プローブ撮像処理において、前記特定の座標に基づいて前記撮像部移動機構に対する移動制御を実行することにより、前記予め決められた範囲の撮像位置に前記撮像部を移動させて撮像させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の基板検査装置では、処理部がプローブ撮像処理を実行して、記憶部に記憶されている位置情報に基づいて配置面における複数のプローブの配置位置を示すプローブ配置画像を表示部の画面上に表示させると共に、プローブ配置画像中の特定の座標を操作部から入力したときに、この特定の座標を含む予め決められた範囲内の配置面の画像を撮像部に撮像させ、かつこの撮像された画像をプローブ配置画像と共に画面上に表示させる。
【0011】
したがって、この基板検査装置によれば、操作者は、プローブユニットを移動機構から取り外すことなく、このプローブユニットの配置面における所望の位置に配置されているプローブについての検査を、画面に表示されている撮像された画像に基づいて実施することができるため、プローブの検査作業にかかる手間を大幅に省くことができる。また、この基板検査装置によれば、処理部が記憶部に記憶されている位置情報に基づいてプローブ配置画像を表示部の画面上に表示させるため、例えば、上記の予め決められた範囲を撮像する撮像部とは別に、この撮像部で撮像される画像よりも広い領域(例えば、配置面の全体)の画像(プローブ配置画像の代替の画像)を撮像するための撮像部およびその移動機構を設ける構成と比較して、基板検査装置の構成を大幅に簡略化することができる。
また、この基板検査装置では、プローブ撮像処理の実行時に、複数の基板についての検査処理を既に実行している場合、つまり複数の基板についての検査結果が記憶部に記憶されている場合に、処理部が、プローブ撮像処理の前処理として、この検査結果に基づいて複数のプローブのうちの検査処理の結果が高い確率で異常となる検査箇所に使用されるプローブを不具合が発生している可能性のあるプローブ(特定プローブ)を特定する特定処理を実行し、プローブ撮像処理において、この特定プローブの配置位置(を示す画像)を他のプローブの配置位置(を示す画像)と区別し得る態様でプローブ配置画像を生成して表示させる。
したがって、この基板検査装置によれば、作業者は、画面に表示されているプローブ配置画像を見るだけで、不具合の発生している可能性の高いプローブ(特定プローブ)を特定することができる。このため、作業者は、操作部を操作して直ちにこの特定プローブについての座標(特定の座標)を処理部に出力して、この特定プローブを含む画像を画面上に素早く表示させることができることから、この特定プローブについての検査をより短時間に実施することができる。
【0012】
また、請求項2記載の基板検査装置によれば、撮像部が配置面の一部を拡大して撮像するカメラで構成されているため、例えば、撮像部を通常倍率のカメラで構成すると共にこのカメラで撮像した画像中における特定の座標を含む予め決められた範囲の画像を切り出して表示させる(拡大表示させる)構成とは異なり、特定の座標を含む予め決められた範囲の画像をより鮮明な状態で表示部の画面上に表示させることができる結果、プローブの検査作業をより正確に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
図2】プローブ21の平面図である。
図3】支持板41側(配置面としての当接面41a側)から見たプローブユニット2の斜視図である。
図4】基端部側支持部32に固定されたスペーサ33に対して先端部側支持部31が最も離間した状態(相互間に隙間G1が生じた状態)でのプローブユニット2および載置台4の正面図である。
図5】基端部側支持部32に固定されたスペーサ33に先端部側支持部31が当接した状態(隙間G1がゼロになっている状態)でのプローブユニット2および載置台4の正面図である。
図6】プローブユニット2におけるプローブ21の支持構造を説明するための図4における紙面と平行な平面に沿って切断したプローブユニット2の部分断面図である。
図7】プローブユニット2におけるプローブ21の支持構造を説明するための図5における紙面と平行な平面に沿って切断したプローブユニット2の断面図である。
図8】基板検査装置1の動作を説明するための表示部11における画面11aの表示状態図である。
図9】基板検査装置1の動作を説明するための表示部11における画面11aの他の表示状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、基板検査装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
最初に、基板検査装置の一例としての基板検査装置1の構成について説明する。図1に示す基板検査装置1は、プローブユニット2、移動機構3、載置台4、測定部5、撮像部6、撮像部移動機構7、記憶部8、処理部9、操作部10および表示部11を備えて、基板100を検査可能に構成されている。
【0018】
プローブユニット2は、一例として、上記した従来の基板検査装置(特許文献1に開示の基板検査装置)のプローブユニットと同等にしてジグ型に構成されて、図3図7に示すように、複数のプローブ21、支持部22および電極板23を備えている。
【0019】
プローブ21は、検査の際に基板100における導体パターン等の導体部に接触させて電気信号の入出力を行うために用いられ、一例として、導電性を有する金属材料によって弾性変形可能な断面円形の棒状に形成されている(図2参照)。また、プローブ21の中間部21aの周面には、絶縁性を有するコーティング材料で形成された絶縁層が形成されている。このため、中間部21aは、同図に示すように、その直径L2が先端部21bの直径L1および基端部21cの直径L3よりも大径となっている。つまり、プローブ21は、先端部21bおよび基端部21cが中間部21aよりも小径に形成されている。
【0020】
支持部22は、図3図7に示すように、先端部側支持部31、基端部側支持部32およびスペーサ33を備えて、プローブ21を支持可能に構成されている。
【0021】
先端部側支持部31は、プローブ21の先端部21b側を支持する部材であって、支持板41,42を備えて構成されている。
【0022】
支持板41は、一例として、非導電性を有する樹脂材料によって板状に形成されている。また、支持板41には、図3,6,7に示すように、平面視円形の複数(プローブ21の数と同数)の支持孔51が形成されている。支持孔51は、プローブ21の先端部21bを挿通させて先端部21bを支持するための孔であって、直径がプローブ21の先端部21bの直径L1よりもやや大径で、かつプローブ21の中間部21aの直径L2よりもやや小径に形成されて、中間部21aを挿通させずに、先端部21bのみを挿通させることが可能となっている。
【0023】
支持板42は、支持板41と同じ材料(この例では、非導電性を有する樹脂材料)によって板状に形成されている。また、支持板42には、平面視円形の複数(プローブ21の数と同数)の支持孔52(図6,7参照)が形成されている。支持孔52は、プローブ21の先端部21bを挿通させて先端部21bを支持するための孔であって、直径が支持板41の支持孔51の直径と同じ直径に形成されて、中間部21aを挿通させずに、先端部21bのみを挿通させることが可能となっている。
【0024】
基端部側支持部32は、プローブ21の基端部21c側を支持する部材であって、図6,7に示すように、支持板43,44を備えて構成されている。
【0025】
支持板43は、一例として、非導電性を有する樹脂材料によって板状に形成されている。また、支持板43には、図6,7に示すように、平面視円形の複数(プローブ21の数と同数)の支持孔53が形成されている。支持孔53は、プローブ21の基端部21cを挿通させて基端部21cを支持するための孔であり、かつプローブ21の交換の際に電極板23を外した状態においてプローブ21を挿通させるための孔でもあって、その直径がプローブ21の中間部21aの直径L2よりもやや大径に形成されて、中間部21aを挿通させることが可能となっている。
【0026】
支持板44は、支持板43と同じ材料(この例では、非導電性を有する樹脂材料)によって板状に形成されている。また、支持板44には、図6,7に示すように、平面視円形の複数(プローブ21の数と同数)の支持孔54が形成されている。支持孔54は、プローブ21の基端部21cを挿通させて基端部21cを支持するための孔であり、かつプローブ21の交換の際にプローブ21を挿通させるための孔でもあって、その直径が支持板43の支持孔53の直径と同じ直径に形成されて、中間部21aを挿通させることが可能となっている。
【0027】
スペーサ33は、先端部側支持部31と基端部側支持部32との間(具体的には支持板42と支持板43との間)に、支持板43に固定された状態で配設されている。また、スペーサ33は、図示はしないが、支持板42における支持孔52の形成領域および支持板43における支持孔53の形成領域(いずれも、図3に示す支持板41における支持孔51の形成領域と同じ形状で、かつ同じ大きさの形成領域(本例では一例として平面視長方形の形成領域))を囲む、つまり、図6,7に示すように、先端部側支持部31と基端部側支持部32との間に支持された複数のプローブ21を囲む平面視コ字状(またはロ字状)に形成されている。
【0028】
電極板23は、図3図7に示すように、非導電性を有する樹脂材料等によって板状に形成されている。また、電極板23には、図6,7に示すように、各プローブ21の各基端部21cにそれぞれ接触して測定部5(外部装置の一例)との間における電気信号の入出力を行うための複数の電極81が嵌め込まれており、これらの各電極81には、不図示のケーブルがそれぞれ接続されている。
【0029】
このプローブユニット2では、図3,4,5に示すように、支持板41,42が、互いに当接し、かつすべての支持孔51が対応する支持孔52と連通する状態で、不図示の固定ピンによって固定されている。また、電極板23、各支持板44,43およびスペーサ33も、この順に積層された状態で、かつ支持板43のすべて支持孔53が対応する支持板44の支持孔54と連通する状態で、不図示の固定ピンによって固定されている。
【0030】
また、プローブユニット2では、図4に示すように、先端部側支持部31は、スペーサ33の下面に立設された複数の棒状部材(プランジャ)34を介してスペーサ33に、基端部側支持部32(具体的にはスペーサ33)に対して接離動自在に取り付けられている。また、プローブユニット2は、図4,6に示す基端部側支持部32に固定されたスペーサ33に対して先端部側支持部31が最も離間した状態(先端部側支持部31を構成する支持板41が基板100と接触していない状態(以下、「非接触状態」ともいう))において、スペーサ33(の下面)と先端部側支持部31の支持板42との間に所定の距離の隙間G1が生じる状態となるように構成されている。また、プローブユニット2は、図5,7に示すスペーサ33に対して先端部側支持部31が最も接近した状態(支持板41が基板100と接触し、かつスペーサ33によって基板100に押圧されている状態(以下、「押圧状態」ともいう))において、隙間G1が消失してスペーサ33と先端部側支持部31の支持板42とが当接する状態となるように構成されている。
【0031】
また、プローブユニット2では、図4,6に示す非接触状態から図5,7に示す押圧状態に移行する期間、および押圧状態から非接触状態に移行する期間において、各プローブ21は、先端部21bが支持孔51,52に挿通され、基端部21cが支持孔53,54に挿通され、中間部21aにおける支持孔52の端部が支持板42における支持孔52の口縁と当接し、かつ基端部21cが電極板23の電極81と当接した状態で、先端部側支持部31と基端部側支持部32との間に支持されている。
【0032】
また、このプローブユニット2では、図7に示す押圧状態において、支持板42と支持板43との間の距離が短縮される分(隙間G1の分)だけプローブ21の中間部21aが湾曲し、その際に生じるプローブ21の弾性力によって先端部21bが基板100に対して確実に接触する。
【0033】
移動機構3は、処理部9の制御に従い、載置台4(載置台4に載置されている基板100)に対して近接する向きおよび離間する向きにプローブユニット2を移動させるプロービングを実行する。載置台4は、基板100を載置可能に構成されると共に、載置された基板100を固定可能に構成されている。測定部5は、電極板23に配設された各電極81と不図示のケーブルを介して接続されて、プローブ21、電極81およびケーブルを介して入力する電気信号に基づき、基板100における検査箇所(例えば、複数のプローブ21のうちから処理部9によって選択された一対のプローブ21の先端部21b間に位置する検査箇所)についての電気的特性(例えば、抵抗値や容量値やインダクタンス値など)を測定して処理部9に出力する測定処理を実行する。
【0034】
撮像部6は、例えば、カメラを備えて構成されて、処理部9の制御に従い、プローブユニット2における複数のプローブ21の配置面(本例では、各プローブ21の先端部21bが挿通されている支持孔51が形成された支持板41における基板100との当接面41a)の画像を撮像可能に構成されている。本例では一例として、撮像部6は、高倍率カメラで構成されて、当接面41aの全体の画像ではなく、当接面41aの一部の画像(例えば、支持孔51を数個分だけ含む狭い範囲(以下、「狭範囲」ともいう)の画像:予め決められた範囲)を撮像する(つまり、当接面41aの一部を拡大して撮像する)。また、撮像部6は、撮像した画像を示す画像データDimを処理部9に出力する。
【0035】
撮像部移動機構7は、処理部9の制御に従い、図1に示すように、支持板41における基板100との当接面41aと平行な仮想平面PL1上において撮像部6を移動させる。記憶部8には、当接面41aにおける複数のプローブ21の配置位置を示す位置情報Dp(支持板41における複数の支持孔51の位置情報でもある)や処理部9についての動作プログラムが予め記憶されている。また、記憶部8には、処理部9の制御に従い、測定部5によって測定された抵抗値や、処理部9によって行われた検査の結果などが記憶される。
【0036】
処理部9は、例えばコンピュータで構成されて、基板検査装置1を構成する各部(移動機構3、撮像部6および撮像部移動機構7など)に対する制御を実行する。また、処理部9は、測定部5で測定された基板100における予め規定された複数の検査箇所についての電気的特性に基づく各検査箇所に対する検査処理、および表示部11の後述する画面11a上にプローブ配置画像IM1および撮像画像IM2(図8,9参照)を表示させるプローブ撮像処理を実行する。
【0037】
操作部10は、例えば、表示部11の画面11a(図8,9参照)に配設された不図示のタッチパネルや、マウスなどの入力装置で構成されて、図8,9に示すように画面11a上に規定された配置画像表示領域AR1内の特定の座標CO(例えば、操作部10に対する操作に応じて配置画像表示領域AR1内において移動するポインタPT(この例では一例として十字状のポインタ)で示される座標(2次元座標))を処理部9に出力する。なお、配置画像表示領域AR1内には、図8,9に示すように、処理部9により、プローブ配置画像IM1(位置情報Dpに基づいて規定される当接面41aにおける複数のプローブ21の配置位置を示す画像)が予め規定された位置に表示される。したがって、上記の座標COは、プローブ配置画像IM1内のポインタPTの座標ともいえる。また、操作部10は、処理部9に対して検査処理およびプローブ撮像処理のうちのいずれを実行させるかを指示するための不図示の指示キーを備えている。
【0038】
表示部11は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)などの表示装置で構成されて、処理部9の制御に従い、画面11a上に予め規定された配置画像表示領域AR1内にプローブ配置画像IM1やポインタPTを表示させる(図8,9参照)と共に、撮像画像表示領域AR2内に撮像画像IM2を表示させる。
【0039】
次に、基板検査装置1の検査処理での動作、およびプローブ撮像処理での動作について、図面を参照して説明する。
【0040】
まず、検査処理での動作について説明する。なお、図1に示すように、支持板41が載置台4と対向する状態でプローブユニット2が移動機構3に固定され、かつ検査対象の基板100が載置台4の載置面上に載置されているものとする。
【0041】
この状態において、操作部10の指示キーに対する操作が行われて、操作部10から処理部9に対して検査処理を実行させる指示が出力されたときには、処理部9は検査処理を実行する。この検査処理では、処理部9は、まず、撮像部移動機構7を制御して、撮像部6を待避位置(仮想平面PL1上におけるプローブユニット2と干渉しない位置)に移動させる。次いで、処理部9は、移動機構3を制御して、プローブユニット2を、図1,4に示す位置から基板100(載置台4の載置面)に対して近接する向き(図1における下向き)に移動(降下)させて、図5,7に示す押圧状態に移行させ、その後、プローブユニット2の移動(降下)を停止させる。これにより、プローブユニット2では、各プローブ21の先端部21bが基板100に接触する。
【0042】
続いて、処理部9は、検査処理を実行する。この検査処理では、処理部9は、動作プログラムに基づき、基板100に規定された複数の検査箇所を予め規定された順に1つずつ特定すると共に、この特定した1つの検査箇所の検査に使用されるプローブ21を一対特定する。また、処理部9は、測定部5に対して、この特定した一対のプローブ21を介してこの1つの検査箇所についての電気的特性を測定させる。また、処理部9は、測定部5で測定された電気的特性に基づいて、この1つの検査箇所についての検査(例えば、測定された電気的測定が正常を示す基準範囲に含まれているか否かに基づく正常・異常を判別する検査)を実行する。また、処理部9は、この検査結果を、現在の1つの検査箇所についての識別情報に関連付けて記憶部8に記憶させる。したがって、処理部9がこの検査処理を実行することにより、1つの基板100に規定された複数の検査箇所についての検査結果が、各検査箇所についての識別情報に関連付けられて記憶部8に記憶される。
【0043】
これにより、基板検査装置1を用いて複数の基板100(同一の仕様の基板)についての検査が行われた際には、基板検査装置1の記憶部8には、基板100に規定された複数の検査箇所についての基板100毎の検査結果が、各検査箇所についての識別情報に関連付けられて記憶される。
【0044】
また、この基板検査装置1では、検査処理の非実行時において、操作部10の指示キーに対する操作が行われて、操作部10から処理部9に対してプローブ撮像処理を実行させる指示が出力されたときには、処理部9はプローブ撮像処理を実行する。このプローブ撮像処理では、処理部9は、まず、移動機構3を制御して、図1,4に示す位置にプローブユニット2を移動させて停止させる。
【0045】
次いで、処理部9は、記憶部8に記憶されている位置情報Dpに基づいて、当接面41aにおける複数のプローブ21の配置位置を示す画像(当接面41aを正面視したときのプローブ21の配置位置を示す画像と同等の画像)であるプローブ配置画像IM1を生成して、図8に示すように表示部11の画面11a上に規定された配置画像表示領域AR1内に表示させる。この場合、処理部9は、例えば、単色(背景色と区別し得る色)で、かつ同じ平面形状(例えば円形)のドットが各プローブ21の配置位置に配置された画像をプローブ配置画像IM1として生成する。
【0046】
続いて、処理部9は、操作部10から出力される座標COを取得すると共に、この座標COで示される配置画像表示領域AR1内の位置にポインタPTを表示させる。また、処理部9は、現実の当接面41aにおけるこの座標COで示される撮像中心位置と撮像部6を構成するカメラの光軸とが一致するように、撮像部移動機構7を制御して撮像部6を仮想平面PL1上において移動させる。撮像部6は、この光軸を中心とする当接面41aにおける上記した狭範囲(本例では一例として、図8,9において破線で示すようなプローブ21を数本程度含むぐらいの狭範囲であって、方形の範囲(円形の範囲などでもよい))に含まれる画像をリアルタイムで撮像して、この画像を示す画像データDimを処理部9に出力する。
【0047】
処理部9は、この座標COに基づく撮像部6の移動を実行しつつ、撮像部6から出力される画像データDimを例えば一定の周期で取得すると共に、この画像データDimで示される上記の当接面41aにおける狭範囲の画像を、図8に示すように、表示部11の画面11a上に規定された撮像画像表示領域AR2内に、撮像画像IM2として更新表示させる。この撮像画像IM2は、上記のように、撮像部6によって撮像された当接面41aの一部の画像だけ含む狭範囲の画像であるため、当接面41aのこの一部を拡大した拡大画像となっている。
【0048】
これにより、基板検査装置1の操作者は、プローブユニット2に配置された複数のプローブ21のうちの所望のプローブ21についての検査を実施する際には、プローブユニット2を移動機構3に取り付けたままの状態において、表示部11の画面11aにおける配置画像表示領域AR1内に表示されているプローブ配置画像IM1およびポインタPTを見ながら操作部10を操作して、プローブ配置画像IM1での上記の所望のプローブ21の配置位置にポインタPTを移動させる。この場合、この基板検査装置1では、現実の当接面41aにおけるプローブ21の配置領域(支持孔51の形成領域)内のこの所望のプローブ21の配置位置を含むその近傍の拡大画像(撮像部6によって撮像された撮像画像IM2)が、画面11aの撮像画像表示領域AR2内にリアルタイムで表示される。操作者は、この撮像画像表示領域AR2内に表示されている拡大画像に基づいて、この所望のプローブ21に対する検査を実行する。このプローブ21に対する検査とは、例えば、プローブ21の先端部21bの異常な摩耗や、プローブ21の中間部21aの変形などの不具合の発生に起因して、支持孔51内からのプローブ21の先端部21bの突出量が他のプローブ21の先端部21bの突出量と比較して減少しているか否か、またこの先端部21bの端面の形状に異常が生じているか否かを視覚によって判別する検査である。
【0049】
このように、この基板検査装置1では、処理部9は、検査処理の非実行時において、記憶部8から読み出した位置情報Dpに基づいて当接面41a(配置面)における複数のプローブ21の配置位置を示すプローブ配置画像IM1を表示部11の画面11a上に表示させると共に、プローブ配置画像IM1中の特定の座標であるポインタPTの座標COを操作部10から入力したときに、この特定の座標COを含む狭範囲内の当接面41aの画像である撮像画像IM2を撮像部6に撮像させ、かつこの撮像画像IM2をプローブ配置画像IM1と共に画面11a上に表示させるプローブ撮像処理を実行する。
【0050】
したがって、この基板検査装置1によれば、操作者は、プローブユニット2を移動機構3から取り外すことなく、このプローブユニット2の当接面41aにおけるプローブ21の配置領域内の所望の位置に配置されているプローブ21についての検査を、画面11aに表示される撮像画像IM2に基づいて実施することができるため、プローブ21の検査作業にかかる手間を大幅に省くことができる。また、この基板検査装置1によれば、処理部9が上記のようにプローブ撮像処理において記憶部8から読み出した位置情報Dpに基づいてプローブ配置画像IM1を表示部11の画面11a上に表示させるため、例えば、撮像画像IM2を撮像する撮像部6とは別に、この撮像画像IM2よりも広い領域(例えば、当接面41aの全体領域)の画像(プローブ配置画像IM1の代替の画像)を撮像するための撮像部およびその移動機構を設ける構成と比較して、基板検査装置1の構成を大幅に簡略化することができる。
【0051】
また、この基板検査装置1では、撮像部6は通常倍率のカメラでもよいが、本例では特に高倍率カメラで構成され、処理部9は、プローブ撮像処理において、特定の座標COに基づいて撮像部移動機構7に対する移動制御を実行することにより、この特定の座標COを含む狭範囲の撮像位置(狭範囲を撮像し得る撮像位置)に撮像部6を移動させて撮像させる。したがって、この基板検査装置1によれば、例えば、撮像部6を通常倍率のカメラで構成すると共にこのカメラで撮像した画像中におけるこの特定の座標COを含む狭範囲の画像を切り出して撮像画像IM2として表示させる(拡大表示させる)構成とは異なり、撮像画像IM2をより鮮明な状態で表示部11の画面11a上に表示させることができる結果、プローブ21の検査作業をより正確に実施することができる。
【0052】
なお、基板検査装置1は、上記の構成に限定されない。例えば、撮像部6を通常倍率のカメラで構成して、このカメラで撮像した画像中におけるこの特定の座標COを含む狭範囲の画像を切り出して撮像画像IM2として拡大表示させる構成でも検査の精度が確保し得るときには、通常倍率のカメラで撮像部6を構成してもよいのは勿論である。また、例えば、この基板検査装置1では、プローブ撮像処理の実行時に、複数の基板100についての検査処理を既に実行している場合、つまり複数の基板100についての検査結果が記憶部8に記憶されている場合がある。この場合には、処理部9が、プローブ撮像処理の前処理として、この検査結果に基づいて複数のプローブ21のうちの不具合が発生している可能性のあるプローブ21(特定プローブともいう)を特定する特定処理を実行し、プローブ撮像処理において、この特定プローブ21の配置位置(を示す画像)を他のプローブ21の配置位置(を示す画像)と区別し得る態様でプローブ配置画像IM1を生成して表示させることもできる。
【0053】
例えば、実際の基板100については、検査処理においてそのすべての検査箇所の検査結果が正常となり得るように製造される。このため、実際の基板100の検査においては、殆どの基板100についてはすべての検査箇所が正常であるとの検査結果となり、異常であるとの検査結果となる基板100は僅かであり、また異常となる検査箇所も一定ではないのが通常である。しかしながら、特定のプローブ21に不具合(例えば、他のプローブ21と比較して先端部21bの摩耗が著しいなどの不具合)が発生したときには、このプローブ21を使用して検査した特定の検査箇所についての検査結果が高い確率で異常となる。したがって、処理部9は、特定処理において、記憶部8から読み出した複数の基板100についての検査結果を調べて、このように検査結果が高い確率で異常となる検査箇所を検出できたときには、この検査箇所の検査に使用されるプローブ21(通常では一対のプローブ21)を上記の特定プローブ21として特定して、他のプローブ21と区別し得る態様でプローブ配置画像IM1を生成して画面11a上に表示させる。なお、区別し得る態様としては、特定プローブ21の配置位置を示す画像(本例では上記したように、単色かつ円形のドット)を他のプローブの配置位置を示す画像の色と異なる色とする態様や、特定プローブ21の位置を識別し得るマークを特定プローブ21の画像にのみ付す態様(例えば、図9に示すように、四角形の枠状のマークMを特定プローブ21の画像(ドット)にのみ付す(マークMで囲む)態様)など、種々の態様を採用することができる。
【0054】
この構成を採用した基板検査装置1によれば、作業者は、画面11aに表示されているプローブ配置画像IM1を見るだけで、不具合の発生している可能性の高いプローブ21を特定することができる。このため、この基板検査装置1によれば、作業者は、操作部10を操作して直ちにこの特定プローブ21にポインタPTを移動させて、この特定プローブ21を含む撮像画像IM2を画面11a上に素早く表示させることができることから、この特定プローブ21についての検査をより短時間に実施することができる。
【0055】
また、プローブユニットについては、上記した構成のプローブユニット2に限定されるものではなく、例えば、図示はしないが、複数の針状のプローブが基板との当接面に露出した状態で複数起立した状態で配設されているジグ型の構成のプローブユニットであってもよい等、種々の公知の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 基板検査装置
2 プローブユニット
3 移動機構
5 測定部
6 撮像部
8 記憶部
9 処理部
10 操作部
11 表示部
11a 画面
21 プローブ
100 基板
Dp 位置情報
IM1 プローブ配置画像
IM2 撮像画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9