(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャップ体の内周面には、前記容器本体の外周面に当接可能なリブが、容器軸周りに沿う周方向に間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の塗布容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の塗布容器では、容器本体を手で把持して被塗布部に内容物を塗布する。このため、手の熱が容器本体内の空気や内容物に伝わり、容器本体内が昇温することで圧力が高まる場合がある。容器本体内の圧力が高まると、塗布体が吐出孔内に部分的に埋没した際に、不意に大量の内容物が吐出されてしまう場合があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、内容物を塗布する際に容器本体を把持する必要がなく、容器本体の内圧が上昇するのを抑制できる塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の塗布容器は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、前記容器本体内に連通する吐出孔が形成されるとともに、前記吐出孔に出没可能に挿通された塗布体を備える塗布栓と、前記容器本体若しくは前記塗布栓に着脱可能に装着され、前記吐出孔および前記塗布体を開放可能に覆う有頂筒状のキャップ体と、を備える塗布容器であって、前記キャップ体は、前記容器本体の底部に着脱可能に形成されるとともに、前記キャップ体の内面に、前記容器本体の底部の下面に当接可能な当接部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の塗布容器によれば、キャップ体を容器本体若しくは塗布栓から外した後に、キャップ体の開口部内に容器本体の底部を進入させることでキャップ体を容器本体の底部に装着すると、当接部が容器本体の底部の下面に当接するため、キャップ体と容器本体との位置関係が安定し、キャップ体を把持したときに容器本体がぐらつくのを抑えることができる。これにより、キャップ体を把持して被塗布部に内容物を塗布する際の操作性を良くすることができる。そして、キャップ体を把持することにより、容器本体を把持する場合と比較して、手の熱が容器本体に伝わりにくく、容器本体の内圧が上昇するのを抑制することができる。従って、被塗布部に内容物を塗布する際に、容器本体の内圧の上昇によって不意に大量の内容物が吐出孔から吐出されるのを抑えることができる。
特に本発明は、揮発性の高い内容物を塗布する場合であって、しかも少量の内容物を塗布する場合に好適である。
【0008】
ここで、前記キャップ体の内周面には、前記容器本体の外周面に当接可能なリブが、容器軸周りに沿う周方向に間隔をあけて複数形成されていてもよい。
【0009】
この場合、キャップ体を容器本体の底部に装着した際に、複数のリブが容器本体の外周面に当接することで、キャップ体と容器本体の外周面との接触面積を抑制することが可能となり、仮にキャップ体のうち容器本体を覆う部分を把持したとしても、キャップ体を把持した手の熱がキャップ体から容器本体に伝わるのを抑制することができる。
【0010】
また、前記キャップ体は、前記容器本体若しくは前記塗布栓に着脱可能に装着され、前記吐出孔および前記塗布体を開放可能に覆う有頂筒状のキャップ本体と、前記キャップ本体に容器軸方向にスライド移動可能に装着された可動筒体と、を備え、前記可動筒体は、前記容器本体を径方向の外側から把持不能に囲う待機位置と、前記容器本体を把持可能に外側に露呈させる操作位置と、の間を容器軸方向にスライド移動可能に配設されていてもよい。
【0011】
この場合、可動筒体が前記待機位置に位置している場合には、容器本体が可動筒体によって径方向の外側から把持不能に囲われるため、キャップ体および容器本体を各別に同時に把持しにくくなる。これにより、キャップ体および容器本体を相対的に移動させることが困難となり、キャップ体を容器本体若しくは塗布栓から取り外しにくくすることができる。一方、可動筒体が前記操作位置に位置している場合には、容器本体が把持可能に外側に露呈されているので、キャップ体および容器本体を各別に同時に把持しやすくなる。これにより、キャップ体および容器本体を容易に相対的に移動させることが可能となり、キャップ体を容器本体若しくは塗布栓から容易に取り外すことができる。
以上により、キャップ体を取り外す際の動作を、可動筒体を操作位置にスライド移動させた上でキャップ体を容器本体若しくは塗布栓に対して移動させる2段階の動作とし、CR(Child Resistance)機構を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内容物を塗布する際に、容器本体を把持する必要がなく、容器本体の内圧が上昇するのを抑制できる塗布容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る塗布容器の構成を、
図1、
図2を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる塗布容器1は、
図1に示すように、内容物が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2内に連通する吐出孔3aが形成されるとともに、吐出孔3aに出没可能に挿通された塗布体4を備える塗布栓3と、容器本体2若しくは塗布栓3に着脱可能に装着され、吐出孔3aおよび塗布体4を開放可能に覆う有頂筒状のキャップ体5と、を備える。
【0015】
ここで本実施形態では、容器本体2および塗布栓3は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、容器軸Oに沿う方向を容器軸O方向といい、容器軸O方向に沿って容器本体2から塗布栓3に向かう方向を上方、その逆方向を下方という。また、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0016】
(塗布栓および塗布体)
塗布栓3は、有頂円筒状の先端筒部11、円筒状の中間筒部12、および円筒状の基端筒部13が、上方から下方に向けてこの順に連設されて構成されており、これら先端筒部11、中間筒部12、および基端筒部13はそれぞれ、容器軸Oと同軸に配設されている。
先端筒部11の頂壁部11aの径方向中央部には、先述の吐出孔3aが形成されている。吐出孔3aは頂壁部11aを容器軸O方向に貫通している。先端筒部11の内周面における上端部には、頂壁部11aから下方に向けて延びる複数の縦リブ11cが周方向に間隔を空けて複数形成されている。
複数の縦リブ11cの下端部には、径方向内側から外側に向かうに従って漸次下方に向けて延在する第1筒傾斜面11bが形成されている。先端筒部11のうち第1筒傾斜面11bより下方の部分の内径は、容器軸O方向の全域にわたってほぼ同一となっている。
【0017】
中間筒部12の上端部における内周面には、下方に向かうに従って漸次拡径する第2筒傾斜面12aが形成されている。中間筒部12の下端部には、容器軸O方向に延在しかつ径方向内側に向けて突出する複数のリブ12bが周方向に間隔をあけて形成されている。中間筒部12の下端には、径方向外側に向けて突出するフランジ部12cが形成されている。フランジ部12cは、容器本体2の口部2cの上端開口縁に載置されている。
基端筒部13は、容器本体2の口部2c内に嵌合されている。これにより、基端筒部13は、容器本体2に固定されている。
【0018】
塗布体4は、円柱状の本体部21と、本体部21の下方に配設された圧縮バネ状の付勢部22と、付勢部22の下端に配設された環状の固定リング27と、を備えており、塗布栓3内に収納されている。なお、本体部21、付勢部22、および固定リング27は、一体に形成されていてもよく、別体として形成されてもよい。
【0019】
本体部21は、吐出孔3a内に挿通されている。本体部21の外周面と吐出孔3aの内周面との間には、内容物が流通可能な隙間が形成されている。
本体部21の上端には、上方に向かうに従い漸次縮径する塗布傾斜面21aが形成されている。塗布傾斜面21aは、塗布栓3の先端筒部11から上方に向けて突出している。
本体部21の外周面には、容器軸O方向に延びる複数の縦リブ21bが周方向に間隔を空けて複数形成されている。複数の縦リブ21bは、本体部21の容器軸O方向における中央部から下端にかけて形成されている。複数の縦リブ21bは、先端筒部11と径方向で対向している。本体部21のうち塗布栓3から上方に突出する部分の長さは、吐出孔3aの容器軸O方向の長さおよび縦リブ21bと先端筒部11とが径方向で対向する部分の容器軸O方向の長さよりも短い。複数の縦リブ21bの外周面と先端筒部11との間には、内容物が流通可能な隙間が形成されている。なお、縦リブ21bの本数や大きさを調整することで、内容物が流通する縦リブ21bと先端筒部11との間の隙間の大きさを調整してもよい。例えば、気化しやすい内容物を吐出させる場合には、この隙間を狭めることで、内容物が大量に吐出されるのを抑制することができる。
複数の縦リブ21bの上端部には、下方に向かうに従って漸次拡径する第1栓傾斜面21cが形成されている。この第1栓傾斜面21cは、第1筒傾斜面11bと容器軸O方向で対向している。第1栓傾斜面21cは、第1筒傾斜面11bに接していてもよく、第1筒傾斜面11bとの間に隙間が設けられていてもよい。
【0020】
本体部21の下方には、下方に向かうに従い漸次拡径する第2栓傾斜面11dが形成されている。第2栓傾斜面11dおよび第2筒傾斜面12aの容器軸Oに対する傾斜角度は、第1栓傾斜面21cおよび第1筒傾斜面11bの傾斜角度と同等となっている。また、縦断面視において、第2栓傾斜面11dおよび第2筒傾斜面12aの長さは、第1栓傾斜面21cおよび第1筒傾斜面11bの長さよりも長い。第2栓傾斜面11dは、第2筒傾斜面12aに密に接触している。
【0021】
付勢部22は、例えば樹脂材料などで形成されたバネであり、上端が本体部21の下端に固定されるとともに、下端が固定リング27を介して基端筒部13内に固定されている。付勢部22は、本体部21を常時上方付勢しており、外力が加わっていない状態では、本体部21の上端を塗布栓3から上方に突出させるとともに、塗布栓3の第2筒傾斜面12aと本体部21の第2栓傾斜面11dとを接触させることにより、吐出孔3aへの流路を遮断している。
なお、付勢部22は、金属製のコイルスプリングなどであってもよい。
【0022】
(容器本体)
容器本体2内には、例えば揮発性の高い薬液などの内容物が収容されている。容器本体2は、上から下に向けて順に、上方に向けて開口する口部2cと、口部2cよりも外径および内径が大きい胴部2aと、下面の径方向中央部が上方に向けて凹む底部2gと、が連設された2段の有底筒状に形成されている。
口部2cの上端部には、径方向外側に向けて突出する環状のフランジ部2fが形成されている。口部2cの外周面には、雄ネジ部2eと、雄ネジ部2eより下方に配設された環状の突出部2dと、が形成されている。
胴部2aは、部分的にキャップ体5に覆われている。胴部2aのうち、キャップ体5に覆われていない部分(以下、操作部2bという)は、操作部2bの上側の部分より内径および外径が大きい。
なお、底部2gの下面は平坦であってもよい。
【0023】
(キャップ体)
キャップ体5は、頂壁5aと、頂壁5aの外周縁から下方に向けて延びる把持筒部5bと、把持筒部5bの下端部から径方向外側に向けて突出する環状の段部5eと、段部5eから下方に向けて延びる装着筒部5fと、を備えている。容器軸O方向において、把持筒部5bの長さは、装着筒部5fの長さよりも長い。
【0024】
頂壁5aの下面には、下方に向けて延びる内筒部5hおよび外筒部5iが形成されている。外筒部5iは内筒部5hの径方向外側に形成されている。内筒部5hおよび外筒部5iは、塗布体4のうち塗布栓3から上方に突出している部分を囲繞している。
把持筒部5bの下端開口縁(以下、当接部Pという)は、後述するようにキャップ体5を上下反転させて容器本体2の底部2gに装着した際、底部2gの下面の外周縁部に当接可能に形成されている。当接部Pは、キャップ体5の内面に形成されている。把持筒部5bは、容器軸O方向の全長にわたって内径が同等に形成された上筒部5jと、上筒部5jの下方に形成され、上筒部5jよりも内径が大きい下筒部5kとを有する。
【0025】
上筒部5jの下端開口縁には、下方に向けて突出する環状突部5cが形成されている。環状突部5cの下端は、フランジ部12cの上面に当接若しくは近接している。下筒部5kの内周面には、容器本体2の雄ネジ部2eに螺着される雌ネジ部5dが形成されている。下筒部5kの外周面は外側に向けて凸に湾曲するとともに、下方に向かうに従い漸次拡径している。
【0026】
段部5eの外周面は、下方に向かうに従い漸次縮径するとともに、径方向内側に向けて凸に湾曲している。キャップ体5を把持する際、段部5eに指をあてることで把持しやすくなっている。
装着筒部5fの内周面には、容器軸O方向に延びる複数の断熱リブ(リブ)5gが周方向に間隔をあけて形成されている。各断熱リブ5gの下端部には、下方に向かうに従い漸次径方向外側に向かって延び、かつ径方向内側に向けて凸の曲面が形成されている。各断熱リブ5gは、後述するようにキャップ体5を上下反転させて容器本体2の底部2gに装着した際、容器本体2の操作部2bの外周面に当接可能に形成されている。なお、複数の断熱リブ5gの径方向内側の端面により定義される内径は、容器本体2の操作部2bの外径よりも小さい。
【0027】
次に、以上のような構成の塗布容器1を用いた内容物の吐出方法について説明する。
【0028】
塗布容器1を使用する場合、容器本体2の操作部2bを把持し、キャップ体5を容器本体2に対して容器軸O周りに回転させる。これにより、容器本体2の雄ネジ部2eとキャップ体5の雌ネジ部5dとが螺合して、キャップ体5が容器本体2から取り外される。
次に、
図2に示すように、キャップ体5を上下反転させ、容器本体2を底部2g側からキャップ体5の装着筒部5f内に進入させる。これにより、キャップ体5の当接部Pが容器本体2の底部2gの下面の外周縁部に当接し、キャップ体5の容器本体2に対する容器軸O方向の位置が定まり、底部2gの下面とキャップ体5の内面とが空間Sを形成する。このとき、キャップ体5の内周面に形成された断熱リブ5gが容器本体2の操作部2bの外周面に当接する。なお、複数の断熱リブ5gの径方向内側の端面により定義される内径は、容器本体2の操作部2bの外径よりも小さいため、複数の断熱リブ5gは操作部2bに押し付けられて、キャップ体5と容器本体2との間に摩擦力が発生する。
【0029】
次に、キャップ体5の把持筒部5bを掴み、塗布容器1を倒立姿勢とすると、塗布栓3内には、容器本体2内の内容物が進入する。このとき、付勢部22が本体部21を付勢して、塗布栓3の第2筒傾斜面12aと本体部21の第2栓傾斜面11dとを接触させているので、吐出孔3aへの流路が遮断されている。そのため、塗布栓3内に進入した内容物は、外部に流出しない。
なお、先述の通りキャップ体5と容器本体2との間に摩擦力が発生しているため、キャップ体5を把持して塗布容器1を倒立姿勢としたときに、容器本体2がキャップ体5から不意に脱落するのが防止される。
【0030】
塗布栓3内に内容物が進入した後、キャップ体5を把持した状態で塗布体4を被塗布部に押し当てる。これにより、塗布体4の本体部21は、付勢部22の付勢力に抗して、吐出孔3aから没するように塗布栓3の内側へ移動する。そして、本体部21の第2栓傾斜面11dが塗布栓3の第2筒傾斜面12aから離間し、この隙間を通して内容物が吐出孔3aに向かい、吐出孔3aから内容物を吐出させることができる。なお、塗布容器1を倒立姿勢とせず他の姿勢で液体を吐出させてもよい。
なお、本実施形態の塗布容器1は、例えば指先の爪を被塗布部とし、爪水虫用の水虫薬を内容物として塗布する場合に利用できる。水虫薬は揮発性を有する場合があるが、本実施形態の塗布容器1は、揮発性を有する内容物の場合であっても不意に大量の内容物が吐出されるのを効果的に抑制できるため、水虫薬を塗布する塗布容器として好適に利用できる。また、これに限らず内容物には、被塗布部に塗布する育毛剤やマニキュアやマスカラなどの化粧料、薬剤や洗浄剤などを用いてもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の塗布容器1によれば、キャップ体5を容器本体2から外した後に、キャップ体5の装着筒部5fの開口部内に容器本体2の底部2gを進入させることで、キャップ体5を容器本体2の底部2gに装着すると、当接部Pが容器本体2の底部2gの下面の外周縁部に当接するため、キャップ体5と容器本体2との容器軸O方向の位置関係が安定し、キャップ体5を把持したときに容器本体2がぐらつくのを抑えることができる。これにより、キャップ体5を把持して被塗布部に内容物を塗布する際の操作性を良くすることができる。そして、キャップ体5を把持することにより、容器本体2を把持する場合と比較して、手の熱が容器本体2に伝わりにくく、容器本体2の内圧が上昇するのを抑制することができる。従って、被塗布部に内容物を塗布する際に、容器本体2の内圧の上昇によって不意に大量の内容物が吐出孔3aから吐出されるのを抑えることができる。
特に本実施形態の塗布容器1は、揮発性の高い内容物を塗布する場合であって、しかも少量の内容物を塗布する場合に好適である。
【0032】
また、キャップ体5の装着筒部5fの内周面に、容器本体2の外周面に当接可能な断熱リブ5gが周方向に間隔をあけて複数形成されているため、キャップ体5を容器本体2の底部2gに装着した際に、キャップ体5と容器本体2の外周面との接触面積を抑制することが可能となり、キャップ体5を把持した手の熱がキャップ体5から容器本体2に伝わるのを、より確実に抑制することができる。
【0033】
また、容器軸O方向において、把持筒部5bの長さが装着筒部5fの長さよりも長いため、把持筒部5b内に大きな空間が確保される。これにより、把持筒部5b内の空気が手の熱によって温まりにくくなり、手の熱が把持筒部5b内の空気を介して容器本体2の内容物に伝わるのをより確実に抑止することができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について
図3〜
図5を用いて説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態では、キャップ体7が、容器本体2に着脱可能に装着され、吐出孔3aおよび塗布体4を開放可能に覆う有頂筒状のキャップ本体8と、キャップ本体8に容器軸O方向にスライド移動可能に装着された可動筒体9と、を備えている点が第1実施形態と異なる。
【0035】
図3に示すように、キャップ本体8は、上方に向けて凸に湾曲した頂壁8aと、頂壁8aから下方に向けて延びる内筒部8h、外筒部8i、および周壁8bを備えている。周壁8bの下端開口縁(以下、当接部Pという)は、後述するようにキャップ体7を上下反転させて容器本体2の底部2gに装着した際、底部2gの下面の外周縁部に当接可能に形成されている。
外筒部8iは内筒部8hの径方向外側に形成されている。内筒部8hおよび外筒部8iは、塗布体4のうち塗布栓3から上方に突出している部分を囲繞している。周壁8bの内周面には、縦リブ8pが周方向に間隔を空けて複数形成されている。縦リブ8pの下端面は、上方に向けて凸に湾曲している。このため、縦リブ8pの径方向内側の下端部8cは下方に向けて突出している。この下端部8cは、塗布栓3のフランジ部12cに当接若しくは近接している。
【0036】
キャップ本体8の周壁8bの内周面のうち、縦リブ8pより下方に位置する部分には、容器本体2の雄ネジ部2eと螺合する雌ネジ部8dが形成されている。
周壁8bの外周面には、容器軸O方向に延びる内側ガイドリブ(ローレット)8qが周方向に間隔を空けて複数形成されている。内側ガイドリブ8qは、キャップ本体8の頂壁8aから周壁8bの容器軸O方向中央部にかけて形成されている。
周壁8bの外周面における内側ガイドリブ8qの下方の部分には、径方向外側に向けて突出する係止部8rが形成されている。周壁8bの外周面のうち、係止部8rより下方に位置する部分には、径方向外側に向けて突出する2つの被嵌合部8m、8nが容器軸O方向に間隔を空けて配設されている。
【0037】
可動筒体9は、容器本体2の操作部2bを径方向外側から囲っている。可動筒体9の内周面には、内側ガイドリブ8qと係合して可動筒体9とキャップ本体8とを周方向に供廻りさせる外側ガイドリブ(ローレット)9aが形成されている。外側ガイドリブ9aは、複数の内側ガイドリブ8q同士の間に配設されている。外側ガイドリブ9aは、可動筒体9の上端部から容器軸O方向の中央部にかけて形成されている。可動筒体9は、外側ガイドリブ9aが複数の内側ガイドリブ8q同士の間に位置する状態で、キャップ本体8に対して容器軸O方向にスライド移動可能である。
可動筒体9の内周面における外側ガイドリブ9aの下方の部分には、径方向内側に向けて突出する嵌合部9bが形成されている。嵌合部9bが被嵌合部8m、8nの間にアンダーカット嵌合されることにより、可動筒体9のキャップ本体8に対する容器軸O方向の位置が定まる。なお、嵌合部9bはキャップ本体8の被嵌合部8mおよび係止部8rを容器軸O方向に乗り越え可能に形成されている。
【0038】
可動筒体9の内周面における嵌合部9bの下方には、容器軸O方向に延びる断熱リブ9gが周方向に間隔を空けて複数形成されている。各断熱リブ9gの径方向内側の下端部には、下方に向かうに従い漸次径方向外側に向かって延び、かつ径方向内側に向けて凸の曲面が形成されている。各断熱リブ9gは、後述するようにキャップ体7を上下反転させて容器本体2の底部2gに装着した際、容器本体2の操作部2bの外周面に当接可能に形成されている。なお、複数の各断熱リブ9gの径方向内側の端面により定義される内径は、容器本体2の操作部2bの外径よりも小さい。
【0039】
次に、本実施形態の塗布容器1の作用について説明する。
【0040】
可動筒体9が
図3に示す待機位置にある場合は、容器本体2の操作部2bが可動筒体9によって径方向の外側から把持不能に囲われるため、キャップ体7および容器本体2を各別に同時に把持しにくくなる。これにより、キャップ体7および容器本体2を相対的に移動させることが困難となり、キャップ体7を容器本体2から取り外しにくくすることができる。
キャップ体7を取り外す場合には、まず可動筒体9をキャップ本体8に対して上方に移動させる。このとき、可動筒体9の嵌合部9bが被嵌合部8mを上方に乗り越えて、アンダーカット嵌合が解除される。さらに可動筒体9をキャップ本体8に対して上方に移動させると、嵌合部9bが係止部8rを上方に乗り越えることで、嵌合部9bが係止部8rに係止されて、可動筒体9のキャップ本体8に対する下方への移動が規制される。このとき、
図4に示すように、可動筒体9は容器本体2の操作部2bを把持可能に外側に露呈させる操作位置に位置する。
【0041】
可動筒体9が操作位置に位置している場合には、容器本体2の操作部2bが外側に露呈されているので、キャップ体7および容器本体2を各別に同時に把持しやすくなる。この状態で、可動筒体9を容器本体2に対して容器軸O周りに回転させると、内側ガイドリブ8qと外側ガイドリブ9aとが係合して、可動筒体9とキャップ本体8とが周方向に供廻りする。これにより、キャップ本体8の雌ネジ部8dと、容器本体2の雄ネジ部2eとが螺合して、キャップ体7が容器本体2から取り外される。
【0042】
次に、キャップ体7を上下反転させて、容器本体2を底部2g側から可動筒体9内に進入させる。これにより、キャップ本体8の当接部Pが容器本体2の底部2gの下面の外周縁部に当接し、キャップ本体8の容器本体2に対する容器軸O方向の位置が定まる。さらに可動筒体9を容器本体2に対して押し込むと、この押し込む力によって嵌合部9bが係止部8rを乗り越えて、嵌合部9bと係止部8rとの係止が解除される。これにより、可動筒体9がキャップ本体8に対して容器軸O方向に移動可能となる。さらに可動筒体9を押し込むと、嵌合部9bが被嵌合部8mを乗り越えて再びアンダーカット嵌合され、可動筒体9のキャップ本体8に対する容器軸O方向の移動が規制される(
図5参照)。このとき、可動筒体9は、容器本体2の胴部2aの全体を径方向外側から囲うとともに、可動筒体9の内周面に形成された断熱リブ9gが操作部2bの外周面に当接する。また、容器本体2の底部2gの下面とキャップ本体8の内面とにより空間Sが形成される。なお、複数の断熱リブ9gの径方向内側の端面により定義される内径は、容器本体2の操作部2bの外径よりも小さいため、複数の断熱リブ9gは操作部2bに押し付けられて、可動筒体9と容器本体2との間に摩擦力が発生する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の塗布容器1によれば、可動筒体9が、容器本体2の操作部2bを径方向の外側から囲う待機位置と、操作部2bを外側に露呈させる操作位置と、の間を容器軸O方向にスライド移動可能に配設されている。これにより、キャップ体7を取り外す際の動作を、可動筒体9を操作位置にスライド移動させた上でキャップ体7を容器本体2に対して回転させる2段階の動作とし、CR機構を容易に実現することができる。
【0044】
また、キャップ体7が容器本体2の底部2gに装着されており、かつ可動筒体9が待機位置に位置している場合、可動筒体9が容器本体2の胴部2aの全体を径方向の外側から囲うため、手が容器本体2の胴部2aに直接触れるのが抑えられて、容器本体2が温められるのをより確実に抑えることができる。
【0045】
また、可動筒体9の内周面には、キャップ本体8に形成された内側ガイドリブ8qと係合して可動筒体9とキャップ本体8とを周方向に供廻りさせる外側ガイドリブ9aが形成されているため、キャップ本体8の外側に配設された可動筒体9を容器本体2に対して容器軸O周りに回転させることで、キャップ本体8と容器本体2との螺着を容易に解除することができる。
【0046】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0047】
例えば、前記実施形態では、キャップ体5、7は容器本体2に螺着されていたが、本発明はこれに限られず、キャップ体5、7が塗布栓3に螺着される構成を採用してもよい。この場合、塗布栓3の外周面に、キャップ体5、7の雌ネジ部と螺合する雄ネジ部が形成されていてもよい。
あるいは、キャップ体5、7が容器本体2若しくは塗布栓3に螺着ではなくスナップフィットなどにより着脱可能に装着されていてもよい。この場合には、例えば容器本体2の操作部2bおよびキャップ体5、7を把持し、両者を容器軸O方向に相対的に移動させることでスナップフィットによる係止が解除される構成を採用してもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、断熱リブ5g、9gが形成されたキャップ体5、7を用いたが、これらの断熱リブ5g、9gを有さないキャップ体5、7を採用してもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。