(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、沸騰水型原子炉とは、再循環ポンプを備え減速材としての冷却水を原子炉圧力容器外へ通流し再び原子炉圧力容器内のダウンカマへ流入させることで冷却水を循環させる通常の沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor:BWR)、及び、再循環ポンプに替えてインターナルポンプを備え、冷却材を原子炉圧力容器内で循環させる改良型沸騰水型原子炉(Advanced Boiling Water Reactor:ABWR)を含む。なお、冷却材として、例えば、水、純水、重水あるいはホウ酸水等が用いられる。以下では、冷却材を冷却水と称し、沸騰水型原子炉(BWR)へ本発明に係る炉心を適用した場合を一例として説明する。
【0010】
図11は、本発明の一実施形態に係る沸騰水型原子炉(BWR)の全体概略構成図である。
図11に示すように、後述する本発明に係る炉心に装荷される燃料集合体の燃料配置が適用される沸騰水型原子炉10は、原子炉圧力容器11内に円筒状の炉心シュラウド16が設けられ、炉心シュラウド16内に、複数体の燃料集合体が装荷された炉心12が設置されている。また,原子炉圧力容器11内には、炉心12を覆うシュラウドヘッド20、シュラウドヘッド20に取り付けられ上方へと延伸する気水分離器18、及び気水分離器18の上方に配される蒸気乾燥器19が設けられている。
上部格子板14が、シュラウドヘッド20の下方で炉心シュラウド16内に配され、炉心シュラウド16に取り付けられて炉心12の上端部に位置している。炉心支持板13が、炉心12の下端部に位置して炉心シュラウド16内に配され、炉心シュラウド16に設置されている。また、複数の燃料支持金具15が炉心支持板13に設置されている。
【0011】
また、原子炉圧力容器11内には、燃料集合体の核反応を制御するため、炉心12へ複数の横断面十字状の制御棒(図示せず)を挿入可能とする制御棒案内管22が設けられている。原子炉圧力容器11の底部である下鏡24より下方に設置された制御棒駆動機構ハウジング(図示せず)内に制御棒駆動機構23を備え、制御棒(図示せず)は制御棒駆動機構23に連結されている。
円筒状の炉心シュラウド16と原子炉圧力容器11の内面との間に、環状のダウンカマ17が形成されている。ダウンカマ17内にジェットポンプ21が設置されている。原子炉圧力容器11に設けられる再循環系は、再循環系配管27及び再循環系配管27に接続された再循環ポンプ28を有する。ジェットポンプ21から吐出された冷却水は、下部プレナム29を経て炉心12に供給される。冷却水は、炉心12を通過する際に加熱されて水および蒸気を含む気液二相流となる。気水分離器18は気液二相流を蒸気と水に分離する。分離された蒸気は、更に蒸気乾燥器19で湿分を除去されて主蒸気配管25に導かれる。この蒸気は、蒸気タービン(図示せず)に導かれ、蒸気タービンを回転させる。蒸気タービンに連結された発電機(図示せず)が回転し、電力が発生する。蒸気タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて水となる。この凝縮水は、給水として給水配管26により原子炉圧力容器11内に供給される。気水分離器18および蒸気乾燥器19で分離された水は、落下して冷却水としてダウンカマ17内に達する。このように、ジェットポンプ21、再循環系配管27、及び再循環系配管27に接続された再循環ポンプ28からなる再循環系は、炉心12で発生する熱を効率良く冷却するため、冷却水を炉心12へ強制循環させる。
【0012】
従来型の沸騰水型原子炉(BWR)の運転方法では、サイクル末期において炉心の余剰反応度がゼロとなるように、新燃料集合体の体数と炉内の燃料配置(燃料集合体の炉心への装荷位置)は決められている。また、新燃料集合体に混入されている可燃性毒物、例えばガドリニア(Gd)などは、1サイクルの運転で燃え尽きるようにその量が決められているため、炉心のサイクル末期において炉心に装荷されている燃料集合体の無限増倍率は燃焼度に対して単調に減少する。すなわち、燃料集合体の無限増倍率は炉内滞在サイクル数に比例する。新燃料集合体を装荷することなく、余剰反応度を確保するためには、炉心に装荷されている燃料集合体のうち、炉内滞在サイクル数の短い燃料集合体を中性子インポータンスの高い、炉心横断面積の約半分の面積となる、炉心外接円半径(炉心最外周に装荷される燃料集合体に外接する外接円の半径)の70%の円の内側である内側炉心領域に集めることが望ましい。
【0013】
発明者らは、さらに検討を重ねた結果、以下の式(1)にて表されるパラメータXで定まる炉心の燃料装荷の条件を見出した。
X=Ta/Tb ・・・(1)
Ta:燃料交換を行った場合のT、
Tb:燃料交換を行わない場合のT、
T:内側炉心領域に装荷されている最も装荷期間の短い燃料集合体のtの平均値、
t:(ΣTs+0.5×ΣTx)/(4+0.5×4)
Ts=炉心横断面内において、最も装荷期間の短い燃料集合体に横に隣接及び縦に隣接する燃料集合体の炉内滞在サイクル数、
Tx=炉心横断面内において、最も装荷期間の短い燃料集合体に斜め隣接する燃料集合体の炉内滞在サイクル数、
Tとは、ある燃料配置において、最も反応度が高い最も装荷期間が短い燃料集合体に、炉心横断面内において、横に隣接及び縦に隣接並びに斜め隣接している燃料集合体の炉内滞在サイクル数の加重平均を取った値であり、装荷期間が短い燃料集合体が炉心内に集中して装荷されているかの程度を示す指標となる。なお、ここで、炉心横断面内において横に隣接及び縦に隣接するとは、換言すれば、燃料集合体を構成する横断面正方形状のチャンネルボックスの4つの側面に隣接することを意味する。
装荷期間が短い燃料集合体が集中して装荷されていると余剰反応度の利得は大きくなるが、出力ピーキングが厳しくなる。パラメータXは、燃料交換を行った場合のT(Ta)と燃料交換を行わない場合のT(Tb)の比であり、燃料交換によって、どの程度、装荷期間が短い燃料集合体が炉心内側領域に装荷されることとなったかの程度を示す指標となる。
【0014】
図7は、最も装荷期間の短い燃料集合体に隣接する燃料集合体の炉心滞在期間で表現されるパラメータX(Ta/Tb)と余剰反応度の関係を示す図であり、
図8は、最も装荷期間の短い燃料集合体に隣接する燃料集合体の炉心滞在期間で表現されるパラメータX(Ta/Tb)と出力ピーキングの関係を示す図である。
図7に示すように、パラメータX(Ta/Tb)が1.0以下であれば、余剰反応度の利得を得ることができる。パラメータX(Ta/Tb)を可能な限り下げると、余剰反応度の利得を得ることができる反面、出力ピーキングが厳しくなる。
図8に示すとおり、パラメータX(Ta/Tb)が0.8を下回ると出力ピーキングが安全上の制限を越えてしまい安全に運転することができなくなる。以上から、パラメータX(Ta/Tb)を0.8以上1.0以下とすることが好ましい事がわかる。更に
図7に示すように、沸騰水型原子炉(BWR)の出力を下げることにより、余剰反応度を得るコーストダウン運転よりも大きな余剰反応度の利得効果を得ることができるため、パラメータX(Ta/Tb)を0.9以下とすることが望ましい。
以上の検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の一実施例に係る実施例1の沸騰水型原子炉の炉心12の横断面であって、1/4炉心の燃料配置図であり、
図2は、
図1に示す燃料配置における内側炉心領域のtを示す図である。また、
図3は、新燃料集合体を装荷する運転サイクルの沸騰水型原子炉の平衡炉心の横断面図であって、1/4炉心の燃料配置図であり、
図4は、
図3に示す燃料配置における内側炉心領域のtを示す図である。説明の便宜上、
図1から
図4に示す1/4炉心に座標軸(X軸、Y軸)を付している。
先ず、
図1と
図3の関係について説明する。炉心12に新燃料集合体(1サイクル目燃料集合体)が装荷された
図3の平衡炉心である炉心12(1/4炉心)の燃料配置において、1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、すなわち、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、燃料交換を行った後の炉心12の燃料配置が
図1に示す燃料配置となる。従って、
図2に示す1/4炉心に装荷される燃料集合体は炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、燃料交換を行った後の内側炉心領域に装荷される燃料集合体毎のtの値を示している。ここで、内側炉心領域とは、
図2において一点鎖線にて囲まれた領域であり、炉心外接円半径(炉心12の最外周に装荷される燃料集合体に外接する外接円の半径)の70%の円の内側の領域である。また、炉心外接円半径の70%の円の外側を外側炉心領域とする。
【0016】
また、
図1及び
図3において、炉心12に装荷される各燃料集合体に付された番号は、燃料集合体の炉内滞在サイクル数を表している。例えば、
図3において、座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体には、新たに炉心12に装荷された新燃料集合体(1サイクル目燃料集合体)であることを示す「1」を付している。また、同様に、座標(8,9)の位置に装荷されている燃料集合体は、1サイクル燃焼後(1サイクル運転後)の燃料集合体(2サイクル目燃料集合体)であることを示す「2」を、座標(9,8)の位置に装荷されている燃料集合体は、3サイクル燃焼後(3サイクル運転後)の燃料集合体(3サイクル目燃料集合体)であることを示す「3」を付している。同様に、4サイクル燃焼後(4サイクル運転後)の燃料集合体には、4サイクル目燃料集合体を示す「4」を、5サイクル燃焼後(5サイクル運転後)の燃料集合体には、5サイクル目燃料集合体を示す「5」を付している。
なお、上述のように、
図1においては、
図3に示す平衡炉心である炉心12(1/4炉心)の燃料配置において、1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、燃料交換を行った後の炉心12の燃料配置であることから、2サイクル目燃料集合体から6サイクル目燃料集合体であることを示す「2」から「6」が各燃料集合体に付されている。
【0017】
図3に示す沸騰水型原子炉の炉心12は、所定の期間運転(1サイクル運転)された後の燃料交換時において、新たに新燃料集合体を装荷することなく、
図1に示す沸騰水型原子炉の炉心12の燃料配置となるよう、炉心12内に装荷されている燃料集合体の配置位置のみを変更する。次に、
図2において、内側炉心領域に装荷される燃料集合体の「t」の値について説明する。一例として、座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、以下のように求まる。
図1において、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に横に隣接する燃料集合体は、座標(8,10)の位置に装荷されている5サイクル目燃料集合体と座標(10,10)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体である。また、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に縦に隣接する燃料集合体は、座標(9,9)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体と座標(9,11)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体である。
また、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に斜め隣接する燃料集合体は、座標(8,9)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体、座標(10,9)の位置に装荷されている2サイクル目燃料集合体、座標(8,11)の位置装荷されている3サイクル目燃料集合体、及び座標(10,11)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体である。
従って、上述の式(1)におけるΣTs及びΣTxは、それぞれ
ΣTs=5(8,10)+4(10,10)+4(9,9)+4(9,11)
=17
ΣTx=3(8,9)+2(10,9)+3(8,11)+3(10,11)
=11 となる。
t=(ΣTs+0.5×ΣTx)/(4+0.5×4)=(17+0.5×11)/6
=3.75となり、
図2に示される座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、「3.8」となる。内側炉心領域に装荷されている他の2サイクル目燃料集合体(最も装荷期間の短い燃料集合体)についても同様に求まり、
図2に示す通りとなる。
また、
図2において、炉心12(1/4炉心)における内側炉心領域に装荷されている2サイクル目燃料集合体の体数は24体であり、
図2に示される内側炉心領域に装荷されている最も装荷期間の短い燃料集合体の「t」の平均値:Σt/24=3.870=3.9であり、Ta=3.9となる。
【0018】
一方、
図4において、内側炉心領域に装荷される燃料集合体の「t」の値について説明する。一例として、座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、以下のように求まる。
図3において、1サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に横に隣接する燃料集合体は、座標(8,10)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体と座標(10,10)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体である。また、1サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に縦に隣接する燃料集合体は、座標(9,9)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体と座標(9,11)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体である。
また、1サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に斜め隣接する燃料集合体は、座標(8,9)の位置に装荷されている2サイクル目燃料集合体、座標(10,9)の位置に装荷されている1サイクル目燃料集合体、座標(8,11)の位置装荷されている2サイクル目燃料集合体、及び座標(10,11)の位置に装荷されている2サイクル目燃料集合体である。
従って、上述の式(1)におけるΣTs及びΣTxは、それぞれ
ΣTs=4(8,10)+3(10,10)+3(9,9)+3(9,11)
=13
ΣTx=2(8,9)+1(10,9)+2(8,11)+2(10,11)
=7 となる。
t=(ΣTs+0.5×ΣTx)/(4+0.5×4)=(13+0.5×7)/6
=2.75となり、
図4に示される座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、「2.8」となる。内側炉心領域に装荷されている他の1サイクル目燃料集合体(最も装荷期間の短い燃料集合体)についても同様に求まり、
図4に示す通りとなる。
また、
図4において、炉心12(1/4炉心)における内側炉心領域に装荷されている1サイクル目燃料集合体の体数は24体であり、
図4に示される内側炉心領域に装荷されている最も装荷期間の短い燃料集合体の「t」の平均値:Σt/24=3.025=3.0であり、Tb=4.0(
図4に示す「t」の平均値+1)となる。ここで、
図4に示す「t」の平均値+1をTbとする理由について説明する。
図4に示される内側炉心領域に装荷されている各燃料集合体の「t」の値は、
図3に示す炉心12の内側炉心領域に装荷されている燃料集合体の「t」の値、すなわち、燃焼前の
図3に示す「t」の値である。よって、
図4に示す燃料配置の状態で燃料交換することなく1サイクル運転終了(1サイクル燃焼)後は、各燃料集合体のサイクル数は1だけ加算されることになることから、
図4に示す「t」の平均値に1を加算した値が、燃料交換を行わなかった場合のT、すなわちTbとなる。
【0019】
本実施例ではTa=3.9(
図2の「t」の平均値)、Tb=4.0(
図4の「t」の平均値+1)であるため、X=0.98であり、0.8以上1.0以下を満たしている。すなわち、本実施例では、
図3に示す平衡炉心の燃料配置から、1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、燃料交換を行う構成とすることで、新燃料集合体の装荷無しで、炉心に余剰反応度を確保して炉心を運転することができる。
【0020】
以上の通り本実施例によれば、廃炉前の運転サイクルで、新燃料集合体を装荷することなく運転可能とし得る沸騰水型原子炉の炉心を実現できる。
また、本実施例によれば、廃炉前の運転サイクルで、新燃料集合体を装荷することなく、炉心に余剰反応度を確保して炉心を運転することが可能となる。
【実施例2】
【0021】
図5は、本発明の他の実施例に係る実施例2の沸騰水型原子炉の炉心12の横断面であって、1/4炉心の燃料配置図であり、
図6は、
図5に示す燃料配置における内側炉心領域のtを示す図である。本実施例では、上述の
図3の平衡炉心である炉心12(1/4炉心)の燃料配置において、1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、特に、内側炉心領域に炉心12内装荷期間の短い燃料集合体を装荷し、炉心12内装荷期間の長い燃料集合体を外側炉心領域に装荷する構成とした点が実施例1と異なる。その他は、実施例1と同様である。
【0022】
図5においては、上述の
図3に示す平衡炉心である炉心12(1/4炉心)の燃料配置において、1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、燃料交換を行った後の炉心12の燃料配置であることから、2サイクル目燃料集合体から6サイクル目燃料集合体であることを示す「2」から「6」が各燃料集合体に付されている。
【0023】
図3に示す沸騰水型原子炉の炉心12は、所定の期間運転(1サイクル運転)された後の燃料交換時において、新たに新燃料集合体を装荷することなく、
図5に示す沸騰水型原子炉の炉心12の燃料配置となるよう、炉心12内に装荷されている燃料集合体の配置位置のみを変更する。次に、
図6において、内側炉心領域に装荷される燃料集合体の「t」の値について説明する。一例として、座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、以下のように求まる。
図5において、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に横に隣接する燃料集合体は、座標(8,10)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体と座標(10,10)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体である。また、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に縦に隣接する燃料集合体は、座標(9,9)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体と座標(9,11)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体である。
また、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に斜め隣接する燃料集合体は、座標(8,9)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体、座標(10,9)の位置に装荷されている2サイクル目燃料集合体、座標(8,11)の位置装荷されている3サイクル目燃料集合体、及び座標(10,11)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体である。
従って、上述の式(1)におけるΣTs及びΣTxは、それぞれ
ΣTs=4(8,10)+4(10,10)+4(9,9)+4(9,11)
=16
ΣTx=3(8,9)+2(10,9)+3(8,11)+3(10,11)
=11 となる。
t=(ΣTs+0.5×ΣTx)/(4+0.5×4)=(16+0.5×11)/6
=3.58となり、
図6に示される座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、「3.6」となる。内側炉心領域に装荷されている他の2サイクル目燃料集合体(最も装荷期間の短い燃料集合体)についても同様に求まり、
図6に示す通りとなる。
また、
図6において、炉心12(1/4炉心)における内側炉心領域に装荷されている2サイクル目燃料集合体の体数は24体であり、
図6に示される内側炉心領域に装荷されている最も装荷期間の短い燃料集合体の「t」の平均値:Σt/24=3.25=3.3であり、Ta=3.3となる。
【0024】
一方、
図4において、内側炉心領域に装荷される燃料集合体の「t」の値について説明する。一例として、座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、以下のように求まる。
図3において、1サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に横に隣接する燃料集合体は、座標(8,10)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体と座標(10,10)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体である。また、1サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に縦に隣接する燃料集合体は、座標(9,9)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体と座標(9,11)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体である。
また、1サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に斜め隣接する燃料集合体は、座標(8,9)の位置に装荷されている2サイクル目燃料集合体、座標(10,9)の位置に装荷されている1サイクル目燃料集合体、座標(8,11)の位置装荷されている2サイクル目燃料集合体、及び座標(10,11)の位置に装荷されている2サイクル目燃料集合体である。
従って、上述の式(1)におけるΣTs及びΣTxは、それぞれ
ΣTs=4(8,10)+3(10,10)+3(9,9)+3(9,11)
=13
ΣTx=2(8,9)+1(10,9)+2(8,11)+2(10,11)
=7 となる。
t=(ΣTs+0.5×ΣTx)/(4+0.5×4)=(13+0.5×7)/6
=2.75となり、
図4に示される座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、「2.8」となる。内側炉心領域に装荷されている他の1サイクル目燃料集合体(最も装荷期間の短い燃料集合体)についても同様に求まり、
図4に示す通りとなる。
また、
図4において、炉心12(1/4炉心)における内側炉心領域に装荷されている1サイクル目燃料集合体の体数は24体であり、
図4に示される内側炉心領域に装荷されている最も装荷期間の短い燃料集合体の「t」の平均値:Σt/24=3.025=3.0であり、Tb=4.0(
図4に示す「t」の平均値+1)となる。
【0025】
本実施例ではTa=3.3(
図6の「t」の平均値)、Tb=4.0(
図4の「t」の平均値+1)であるため、X=0.83であり、0.8以上0.9以下を満たしている。すなわち、本実施例では、
図3に示す平衡炉心の燃料配置から、1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、特に、内側炉心領域に炉心12内装荷期間の短い燃料集合体を装荷し、炉心12内装荷期間の長い燃料集合体を外側炉心領域に装荷する燃料交換を行う構成とすることで、新燃料の装荷無しで、
図7に示したようにコーストダウン運転よりも大きな余剰反応度の利得効果を得ることが可能となり、実施例1よりも長期の間、炉心に余剰反応度を確保して炉心を運転することができる。
【0026】
以上の通り本実施例によれば、実施例1の効果に加え、更に長期間にわたり炉心に余剰反応度を確保して炉心を運転することが可能となる。
【実施例3】
【0027】
図9は、本発明の他の実施例に係る実施例3の沸騰水型原子炉の炉心12の横断面であって、1/4炉心の燃料配置図であり、
図10は、
図9に示す燃料配置における内側炉心領域のtを示す図である。本実施例では、上述の
図3の平衡炉心である炉心12(1/4炉心)の燃料配置において、1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、特に、内側炉心領域に炉心12内装荷期間の短い燃料集合体を装荷し、炉心12内装荷期間の長い燃料集合体を外側炉心領域に装荷し上述の実施例2の
図5示した燃料配置とした後、更に、もう1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、特に、内側炉心領域に炉心12内装荷期間の短い燃料集合体を装荷する構成とした点が実施例1と異なる。
【0028】
本実施例では、上述の
図3に示す沸騰水型原子炉の炉心12は、所定の期間運転(1サイクル運転)された後の燃料交換時において、新たに新燃料集合体を装荷することなく、
図5に示す沸騰水型原子炉の炉心12の燃料配置となるよう、炉心12内に装荷されている燃料集合体の配置位置のみを変更した後、更にもう1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)において、新たに新燃料集合体を装荷することなく、
図9に示す沸騰水型原子炉の炉心12の燃料配置となるよう、炉心12内に装荷されている燃料集合体の配置位置のみを変更する。次に、
図10において、内側炉心領域に装荷される燃料集合体の「t」の値について説明する。一例として、座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、以下のように求まる。
図9において、3サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に横に隣接する燃料集合体は、座標(8,10)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体と座標(10,10)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体である。また、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に縦に隣接する燃料集合体は、座標(9,9)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体と座標(9,11)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体である。
また、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に斜め隣接する燃料集合体は、座標(8,9)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体、座標(10,9)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体、座標(8,11)の位置装荷されている3サイクル目燃料集合体、及び座標(10,11)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体である。
従って、上述の式(1)におけるΣTs及びΣTxは、それぞれ
ΣTs=4(8,10)+4(10,10)+4(9,9)+4(9,11)
=16
ΣTx=3(8,9)+3(10,9)+3(8,11)+3(10,11)
=12 となる。
t=(ΣTs+0.5×ΣTx)/(4+0.5×4)=(16+0.5×12)/6
=3.67となり、
図10に示される座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、「3.7」となる。内側炉心領域に装荷されている他の3サイクル目燃料集合体(最も装荷期間の短い燃料集合体)についても同様に求まり、
図10に示す通りとなる。
また、
図10において、炉心12(1/4炉心)における内側炉心領域に装荷されている2サイクル目燃料集合体の体数は42体であり、
図10に示される内側炉心領域に装荷されている最も装荷期間の短い燃料集合体の「t」の平均値:Σt/42=3.802=3.8であり、Ta=3.8となる。
【0029】
一方、次に、
図6において、内側炉心領域に装荷される燃料集合体の「t」の値について説明する。一例として、座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、以下のように求まる。
図5において、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に横に隣接する燃料集合体は、座標(8,10)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体と座標(10,10)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体である。また、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に縦に隣接する燃料集合体は、座標(9,9)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体と座標(9,11)の位置に装荷されている4サイクル目燃料集合体である。
また、2サイクル目燃料集合体である座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体に斜め隣接する燃料集合体は、座標(8,9)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体、座標(10,9)の位置に装荷されている2サイクル目燃料集合体、座標(8,11)の位置装荷されている3サイクル目燃料集合体、及び座標(10,11)の位置に装荷されている3サイクル目燃料集合体である。
従って、上述の式(1)におけるΣTs及びΣTxは、それぞれ
ΣTs=4(8,10)+4(10,10)+4(9,9)+4(9,11)
=16
ΣTx=3(8,9)+2(10,9)+3(8,11)+3(10,11)
=11 となる。
t=(ΣTs+0.5×ΣTx)/(4+0.5×4)=(16+0.5×11)/6
=3.58となり、
図6に示される座標(9,10)の位置に装荷されている燃料集合体の「t」の値は、「3.6」となる。内側炉心領域に装荷されている他の2サイクル目燃料集合体(最も装荷期間の短い燃料集合体)についても同様に求まり、
図6に示す通りとなる。
また、
図6において、炉心12(1/4炉心)における内側炉心領域に装荷されている2サイクル目燃料集合体の体数は24体であり、
図6に示される内側炉心領域に装荷されている最も装荷期間の短い燃料集合体の「t」の平均値:Σt/24=3.25=3.3であり、Tb=4.3となる(
図6に示す「t」の平均値+1)となる。
【0030】
本実施例ではTa=3.8(
図10の「t」の平均値)、Tb=4.3(
図6の「t」の平均値+1)であるため、X=0.88であり、0.8以上0.9以下を満たしている。すなわち、本実施例では、上述の
図3の平衡炉心である炉心12(1/4炉心)の燃料配置において、1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、特に、内側炉心領域に炉心12内装荷期間の短い燃料集合体を装荷し、炉心12内装荷期間の長い燃料集合体を外側炉心領域に装荷し上述の実施例2の
図5示した燃料配置とした後、更に、もう1サイクル運転後(1サイクル燃焼後)に、炉心12より燃料集合体を取り出し炉心外から新燃料集合体を装荷することなく、炉心12に装荷される複数体の燃料集合体の配置位置のみを変更することで、特に、内側炉心領域に炉心12内装荷期間の短い燃料集合体を装荷する構成とすることで、上述の実施例1における沸騰水型原子炉の炉心12から更に、1サイクル運転を継続することができる。
【0031】
以上の通り本実施例によれば、実施例1の効果に加え、更に1サイクル運転を継続することができ、長期間にわたり炉心に余剰反応度を確保して炉心を運転することが可能となる。
【0032】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。