特許第6768455号(P6768455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768455
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】送りユニット及び製管機
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/32 20060101AFI20201005BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   B29C63/32
   F16L1/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-218308(P2016-218308)
(22)【出願日】2016年11月8日
(65)【公開番号】特開2018-75749(P2018-75749A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】507157676
【氏名又は名称】株式会社クボタ建設
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松本 真浩
(72)【発明者】
【氏名】篠原 賢俊
(72)【発明者】
【氏名】三山 和孝
【審査官】 正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−525526(JP,A)
【文献】 特開2013−199097(JP,A)
【文献】 特開2012−245618(JP,A)
【文献】 特開2006−035596(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/013636(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00−63/48
F16L 1/00
F16L 55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも進行方向前方から供給される管更生部材を管きょの壁面に沿って移動する嵌合ローラにより前記壁面に押圧して管状体を形成する製管機に備えられる送りユニットであって、
前記嵌合ローラを有する嵌合ユニットより前記進行方向前方において、前記管きょの軸心に沿った回転軸心を有するシャフトに支持されたアーム体と、
前記アーム体に設けられ、前記管更生部材を前記アーム体の回転方向の後ろ斜め外方向に送り出す送り機構と、
前記アーム体を伸縮させることによって前記送り機構を前記壁面に沿って移動させる移動機構と、が備えられ、
前記管更生部材を前記嵌合ローラの進路前方の前記壁面に送り出すように構成され
前記移動機構に、前記壁面又は前記壁面に螺旋状に巻き立てられた前記管更生部材の表面を走行する走行機構が備えられ、
前記走行機構に、前記送り機構による前記管更生部材の送り出し方向の下流側に前輪及び後輪が備えられている送りユニット。
【請求項2】
前記移動機構に
記走行機構を前記壁面又は前記表面へと付勢する付勢機構が備えられている請求項1に記載の送りユニット。
【請求項3】
前記前輪の直径は、前記後輪の直径よりも大きい請求項に記載の送りユニット。
【請求項4】
少なくとも進行方向前方から供給される管更生部材を管きょの壁面に沿って移動する嵌合ローラにより前記壁面に押圧して管状体を形成する製管機であって、請求項1からのいずれか一項に記載の送りユニットが備えられている製管機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも進行方向前方から供給される管更生部材を管きょの壁面に沿って移動する嵌合ローラにより前記壁面に押圧して管状体を形成する製管機に備えられる送りユニット等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、硬質塩化ビニル等の合成樹脂からなる管更生部材であるストリップとジョイナーとを老朽化した管きょに送り込み、製管機を用いてストリップを管きょの壁面に螺旋状に巻き立てながら、ジョイナーによって隣り合うストリップどうしを接合して、管きょの壁面に管状体を形成する管きょの製管工法が知られている。
【0003】
製管機として、特許文献1に、車体に、操作ユニット、走行ユニット、及び旋回ユニット等が備えられた製管機が開示されている。
【0004】
旋回ユニットは、車体の進行方向前方に向けて延びる回転軸心まわりに回転する回転軸を備えている。回転軸に複数のアームが備えられ、各アームに案内ユニット、送りユニット、及び嵌合ユニットが車体の進行方向前方からこの順に備えられている。
【0005】
案内ユニットは、車体の進行方向前方から供給されてくるストリップを送りユニットへと案内する。
【0006】
送りユニットは、モータによって駆動可能な複数のローラを備え、該ローラによって案内ユニットから案内されるストリップを引き込み、管きょの壁面へ送り出す。これによりストリップは管きょの壁面に螺旋状に巻き立てられる。
【0007】
嵌合ユニットが備えられているアームに、シリンダが内蔵され、シリンダによってアームが伸長することにより、嵌合ユニットは管きょの壁面の方向へ付勢される。嵌合ユニットにローラが設けられており、ストリップに備えられた嵌合溝に、該ローラによってジョイナーの嵌合溝を押圧して嵌合していく。このようにして、管きょの壁面に管状体が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−199097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、ストリップは送りユニットによって管きょの壁面へ送り出されるのであるが、以下の問題がある。
【0010】
管きょの断面形状が円形であるときは、対向する壁面間の距離がほぼ一定であることから、送りユニットから管きょの壁面までの距離がほぼ一定に保たれるため、ストリップはほぼ一定の力で管きょの壁面に押し付けられ、安定的に巻き立てられる。またその作業も比較的容易である。
【0011】
しかし、管きょの断面形状が矩形や馬蹄形のように対向する壁面間の最長距離と最短距離とが大きく異なる形状である場合は、送りユニットから管きょの壁面までの距離がアームの回転に応じて変化する。特に、送りユニットから管きょの壁面までの距離が長い箇所においてストリップの管きょの壁面に対する押し付けが弱まり、又は送り出されたストリップが管きょの壁面に達するまでに撓み、ストリップを適切に巻き立てることができず、完成した管状体の品質が悪くなる虞があった。
【0012】
また、管きょの断面形状が矩形や馬蹄形のような、角部を有する管きょである場合に、送りユニットによって管きょの壁面に沿ってストリップを巻き立てるためには、角部においては角部でない部分よりも、ストリップをより多く送りだす必要がある。そのためには、送りユニットの送り速度や、アームの回転速度や、製管機の走行速度等を微調節する煩雑な作業が必要であった。
【0013】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、対向する壁面間の最長距離と最短距離とが大きく異なる管きょであっても、管きょの壁面の全周にわたって管更生部材を適切かつ容易に巻き立てることができる送りユニット及び該送りユニットが備えられている製管機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するための、本発明に係る送りユニットの特徴構成は、少なくとも進行方向前方から供給される管更生部材を管きょの壁面に沿って移動する嵌合ローラにより前記壁面に押圧して管状体を形成する製管機に備えられる送りユニットであって、前記嵌合ローラを有する嵌合ユニットより前記進行方向前方において、前記管きょの軸心に沿った回転軸心を有するシャフトに支持されたアーム体と、前記アーム体に設けられ、前記管更生部材を前記アーム体の回転方向の後ろ斜め外方向に送り出す送り機構と、前記アーム体を伸縮させることによって前記送り機構を前記壁面に沿って移動させる移動機構と、が備えられ、前記管更生部材を前記嵌合ローラの進路前方の前記管きょの壁面に送り出すように構成されている点にある。
【0015】
上述の構成によると、矩形や馬蹄形の管きょのように、対向する壁面間の最長距離と最短距離とが大きく異なる管きょであっても、アーム体を伸縮させることによって送り機構は常に壁面から適度に離間した位置から管更生部材を送り出し、管きょの壁面の全周にわたって管更生部材を適切かつ容易に巻き立てることができるため、管状体の品質を向上させることができる。なお、適度に離間した位置とは、管更生部材の剛性に応じて決まる位置であり、管更生部材の剛性が低いと壁面から近く、剛性が高いと壁面から遠くなる。
【0016】
本発明においては、前記移動機構に、前記壁面又は前記壁面に螺旋状に巻き立てられた前記管更生部材の表面を走行する走行機構と、前記走行機構を前記壁面又は前記表面へと付勢する付勢機構と、が備えられていると好適である。
【0017】
上述の構成によると、付勢機構によって走行機構を管きょの壁面又は管更生部材の表面に押し付けながら走行させるという簡単な構成でありながら、送り機構の壁面からの距離を保つことができる。
【0018】
本発明においては、前記走行機構に、前記送り機構による前記管更生部材の送り出し方向の下流側に前輪及び後輪が備えられていると好適である。
【0019】
上述の構成によると、走行機構が、アーム体の回転に伴って、ある壁面又は表面に対して、まず前輪が接地し、ついで後輪も接地し、そのあと前輪が離間し、そして後輪も離間するのに応じて、ある壁面又は表面に対する管更生部材の送り出し角度を適切な状態に変化させることができる。
【0020】
本発明においては、前記前輪の直径は、前記後輪の直径よりも大きいと好適である。
【0021】
上述の構成によると、前輪が大きいため、走行機構は、壁面又は表面に対して安定して接地することができる。
【0022】
上述の目的を達成するための、本発明に係る製管機の特徴構成は、少なくとも進行方向前方から供給される管更生部材を管きょの壁面に沿って移動する嵌合ローラにより前記壁面に押圧して管状体を形成する製管機であって、上述の特徴構成を備えた送りユニットが備えられている点にある。
【0023】
上述の構成によると、矩形や馬蹄形の管きょのように、対向する壁面間の最長距離と最短距離とが大きく異なる管きょであっても、送り機構は常に壁面に近いところから管更生部材を送り出し、管きょの全周にわたって管更生部材を適切かつ容易に巻き立てることができるため、管状体の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】製管機の概略側面図である。
図2】送りユニットの正面図である。
図3】送りユニットの要部拡大図である。
図4】送りユニットの要部拡大図である。
図5】送り機構が底面中央付近にあるときの説明図である。
図6】送り機構が底面右方にあるときの説明図である。
図7】送り機構が底面と右面の角部付近にあるときの説明図である。
図8】送り機構が右面中央付近にあるときの説明図である。
図9】送り機構が右面と天面の角部付近にあるときの説明図である。
図10】送り機構が天面右方にあるときの説明図である。
図11】送り機構が天面中央付近にあるときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分又は対応する部分に同一符号を付してある。
【0026】
図1に示すように、本発明に係る製管機10は、断面形状が矩形の管きょP内に配置され、マンホール(図示せず)を介して地上から送り込まれたストリップ1と、長尺の嵌合部材の一例であるジョイナー2と、から管状体3を形成するために用いられる。
【0027】
使用前のストリップ1及びジョイナー2は、前記マンホールの周辺の地上にそれぞれ円状に巻かれた状態で保管され、使用時に引き出され管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられる。本実施形態においては、ストリップ1及びジョイナー2は、製管機10の進行方向前方から供給される。
【0028】
ストリップ1及びジョイナー2は、さまざまな環境の変化に対応できる十分な強度を備えた材料、たとえば硬質塩化ビニル等の合成樹脂で形成されている。ストリップ1の両側縁に全長にわたって嵌合溝が形成され、ジョイナー2の両側縁にも、隣り合うストリップ1の嵌合溝に嵌合する嵌合溝が形成されている。
【0029】
製管機10によって、管きょPの壁面にストリップ1を螺旋状に巻き立て、隣り合うストリップ1の嵌合溝に、ジョイナー2の嵌合溝を嵌合することにより、隣り合うストリップ1がジョイナー2によって嵌合され、管状体3が形成される。なお、本実施形態においては、管きょPは矩形の断面形状を有し、管きょPの天面や角部に、あらかじめスペーサSが配置され、このスペーサSを介して管きょPの壁面と、管状体3との空隙に充填材を注入することによって、管きょPと管状体3が一体化される。
【0030】
製管機10は、管きょP内を管軸方向に走行可能な車体11に、駆動ユニット12や旋回ユニット13等を備えている。車体11は、たとえばステンレス鋼製のフレーム体に車輪が備えられ、管きょPの管軸に沿って移動可能となっている。なお、車体11の上方や側面に向けて補助輪14が延設されている。補助輪14は管きょPの壁面に形成された管状体3の天面や側面に当接して、車体11の円滑な走行を補助する。
【0031】
駆動ユニット12は、モータや変速機等を備えている。旋回ユニット13は、駆動ユニット12の動力に基づいて、車体11から進行方向前方へ向けて延出したシャフト15を回転させるユニットである。
【0032】
シャフト15に、送りユニット30や嵌合ユニット20、21が備えられている。図2に示すように、シャフト15の回転によって、送りユニット30及び嵌合ユニット20、21はシャフト15の軸心まわりに回転させられる。本実施形態においては、図2に示すように、送りユニット30及び嵌合ユニット20、21は、製管機10の正面から見て反時計まわりに旋回するように構成されている。
【0033】
製管機10は、送りユニット30及び嵌合ユニット20、21をシャフト15のまわりに旋回させながら、管きょPの管軸方向に沿って走行する。したがって、送りユニット30及び嵌合ユニット20、21は管きょPの内部を螺旋状に進行する。
【0034】
送りユニット30は、後述する送り機構32によってストリップ1を引き込み、嵌合ユニット20が備える嵌合ローラ22の進路前方の管きょPの壁面に沿うように所定の角度で送り出すユニットである。送りユニット30は嵌合ユニット20に対して、製管機10を正面から見て、シャフト15の回転方向前方に一定の角度をなしている。なお、角度については、管きょPの形状やストリップ1の剛性に応じて適度に調節される。なお、管きょPの壁面に沿うとは、管きょPの壁面に沿うことに加え、管きょPに配置したスペーサSの表面に沿うことも含む。
【0035】
嵌合ユニット20は、送りユニット30によって嵌合ローラ22の進路前方の管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられた隣り合うストリップ1に対してジョイナー2を嵌合させるユニットである。
【0036】
嵌合ユニット20の嵌合ローラ22は、シャフト15に支持されたアーム体24の先端に備えられている。アーム体24に複動型のエアシリンダ機構が内蔵され、図示しないエアコンプレッサからチューブを介して供給される空気の圧力によって伸縮が可能に構成されている。該エアシリンダ機構によるアーム体24の伸長により嵌合ローラ22は、壁面方向に付勢される。
【0037】
嵌合ユニット21は嵌合ローラ23を備え、嵌合ユニット20によってストリップ1に嵌合されたジョイナー2を嵌合ローラ23によって再度押圧するユニットである。これにより、ジョイナー2は確実にストリップ1に嵌合される。
【0038】
嵌合ユニット21の嵌合ローラ23は、シャフト15に支持されたアーム体25の先端に備えられている。アーム体25に複動型のエアシリンダ機構が内蔵され、図示しないエアコンプレッサから供給される空気の圧力によって伸縮が可能に構成されている。該エアシリンダ機構によるアーム体25の伸長により嵌合ローラ23は、壁面方向に付勢される。
【0039】
なお、アーム体24、25は、製管機10を正面から見て180度の角度をもって配設されている。アーム体24に配設された嵌合ローラ22は、アーム体25に配設された嵌合ローラ23よりに、管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の半巻き分に相当する距離だけ進行方向前方に配置されている。
【0040】
上記のように嵌合ユニット20、21によって、ストリップ1とジョイナー2とを嵌合することで、管きょP内にストリップ1とジョイナー2から成る管状体3が形成される。
【0041】
以下に、送りユニット30について詳述する。
図3及び図4に示すように、送りユニット30は、嵌合ユニット20よりも進行方向前方において、シャフト15に支持されたアーム体31に設けられ、ストリップ1を引き込み、送り出す送り機構32と、管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行する走行機構33と、が備えられている。
【0042】
送り機構32に、ストリップ1の表裏を挟む一対の送りローラ34、35と、送りローラ34を回転させる駆動モータ36と、駆動モータ36の動力を送りローラ34及び送りローラ35に伝達する伝達機構37等が設けられている。
【0043】
送りローラ34、35は、ストリップ1の引き込み及び送り出しをするために、ストリップ1を挟める距離だけの隙間を有するように配置されている。送りローラ34、35は、それぞれ軸受によって軸部が軸支され、軸部は一方の端部において、伝達機構37を構成するギヤどうしがかみ合わされている。この構成により、送りローラ34、35は互いに逆方向に回転する。
【0044】
送りローラ34、35に対するストリップ1の引き込み、及び送りローラ34、35からのストリップ1の送り出し方向を安定させるために、送りローラ34、35の前後に送りローラ34、35の回転軸心と直交する回転軸心を有する複数のガイドローラ38が備えられている。ストリップ1は、ガイドローラ38によって送りローラ34、35に対しての幅方向位置がガイドされる。
【0045】
送り機構32は、ストリップ1をアーム体31の回転方向の後ろ斜め外方向に送り出すように設置されており、この設置角度は管きょPの形状やストリップ1の剛性に応じて適度に調節される。
【0046】
送りユニット30によるストリップ1の送り出し速さは、製管機10の走行速度も考慮して、隣り合うストリップ1の嵌合溝が所定の間隔をあけて、具体的にはジョイナー2の幅に対応する間隔をあけて、管きょPの壁面に沿って螺旋状に巻き立てられるように設定されている。
【0047】
走行機構33に、送り機構32によるストリップ1の送り出し方向の下流側に前輪39及び後輪40が備えられている。前輪39及び後輪40の設置角度は、管きょPの形状やストリップ1の剛性に応じて適度に調節される。
【0048】
前輪39及び後輪40は、ステンレス鋼製のホイールと、樹脂製のタイヤとから構成される。前輪39及び後輪40は、それぞれのホイールが送り機構32の、製管機10の進行方向後方の側面に取り付けられたステンレス鋼製のステー41に軸支されている。前輪39の直径は、後輪40の直径よりも大きい。
【0049】
アーム体31に付勢機構としての、複動型のエアシリンダ機構が内蔵され、図示しないエアコンプレッサから供給される空気の圧力によって伸縮が可能に構成されている。該エアシリンダ機構によるアーム体31の伸長により、走行機構33の前輪39や後輪40が管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面に向けて付勢される。なお、アーム体31は、前輪39や後輪40が管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面から受ける反力によって、前記エアシリンダ機構のロッド及びピストンが、該エアシリンダ機構に供給される空気の圧力に抗してシリンダに引退する態様で短縮される。
【0050】
したがって、送り機構32は、走行機構33の少なくとも前輪39又は後輪40のいずれかが管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面に沿って走行する態様で、常に管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面に沿って移動させられる。つまり、少なくとも前輪39又は後輪40が、管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行することによって、送り機構32は壁面に沿って移動する。走行機構33及び前記エアシリンダ機構によって送り機構32を壁面に沿って移動させる移動機構が構成される。
【0051】
アーム体31は、それぞれ有底筒状であるとともにテレスコピックに構成されたステンレス鋼製の固定ケース31aと移動ケース31bとから構成されている。固定ケース31aの内面に前記エアシリンダ機構のシリンダが固定され、移動ケース31bの内面に前記エアシリンダ機構のロッドが固定される。移動ケース31bは、前記シリンダの外面と固定ケース31aの内面との隙間を、前記ロッドの進退に伴って移動可能に配置される。固定ケース31aは、シャフト15に支持部42を介して取り付けられる。なお、固定ケース31aは、アーム体31の長手方向に沿って支持部42への取り付け位置が調節可能に構成されている。
【0052】
図5から図11に基づいて、上述のように構成された送りユニット30によって、ストリップ1を底面から天面にかけて管きょPの壁面に巻き立てる様子を説明する。なお、天面から底面にかけては同様である。
【0053】
図5に示すように、送り機構32が、製管機10を正面から見て、管きょPの底面中央付近にあるときは、走行機構33の前輪39が管きょPの壁面のうち底壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行する。送り出されたストリップ1は、嵌合ローラ22の進路前方の底壁面に巻き立てられる。
【0054】
シャフト15が回転し、図6に示すように、送り機構32が、製管機10を正面から見て、管きょPの底面右方に移動したとき、走行機構33の後輪40が管きょPの壁面のうち底壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行する。送り出されたストリップ1は、嵌合ローラ22の進路前方の底壁面に巻き立てられる。
【0055】
シャフト15が回転し、図7に示すように、送り機構32が、製管機10を正面から見て、管きょPの底面と右面の角部付近に移動したとき、走行機構33の後輪40が管きょPの壁面のうち角壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行する。送り出されたストリップ1は、嵌合ローラ22の進路前方の底壁面に巻き立てられる。
【0056】
シャフト15が回転し、図8に示すように、送り機構32が、製管機10を正面から見て、管きょPの右面中央付近に移動したとき、走行機構33の前輪39が管きょPの壁面のうち側壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行する。送り出されたストリップ1は、嵌合ローラ22の進路前方の角壁面に巻き立てられる。
【0057】
シャフト15が回転し、図9に示すように、送り機構32が、製管機10を正面から見て、管きょPの右面と天面の角部付近に移動したとき、走行機構33の前輪39が管きょPの壁面のうち角壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行する。送り出されたストリップ1は、嵌合ローラ22の進路前方の側壁面に巻き立てられる。
【0058】
シャフト15が回転し、図10に示すように、送り機構32が、製管機10を正面から見て、管きょPの天面右方に移動したとき、走行機構33の前輪39が管きょPの壁面のうち天壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行する。送り出されたストリップ1は、嵌合ローラ22の進路前方の側壁面に巻き立てられる。
【0059】
シャフト15が回転し、図11に示すように、送り機構32が、製管機10を正面から見て、管きょPの天面中央付近に移動したとき、走行機構33の前輪39が管きょPの壁面のうち天壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行する。送り出されたストリップ1は、嵌合ローラ22の進路前方の天壁面に巻き立てられる。
【0060】
送りユニット30は、上述の構成により、壁面に対して常にほぼ一定の距離を保持して摺動しながらストリップ1を送り出し、送り出されたストリップ1は、管きょのPの壁面にしっかりと押し付けられるため、壁面からの浮きが最小限に抑えられる。この状態のストリップ1に対して嵌合ローラ22によってジョイナー2を嵌合させる。したがって、対向する壁面間の最長距離と最短距離とが大きく異なる管きょPであっても、送り機構32は常に壁面に近いところからストリップ1を送り出すため、管きょPの全周にわたってストリップ1を適切かつ容易に巻き立てることができる。
【0061】
上述した実施形態においては、前輪39及び後輪40は、ステー41が送り機構32の、製管機10の進行方向後方の側面に取り付けられていることにより、管きょPの壁面に螺旋状に巻き立てられたストリップ1の表面を走行したが、前輪39及び後輪40は、ステー41が送り機構32の、製管機10の進行方向前方の側面に取り付けられることによって、まだストリップ1が巻き立てられていない管きょPの壁面を走行するように構成されていてもよい。
【0062】
上述した実施形態においては、送り機構32は、アーム体31に内蔵されたエアシリンダ機構によってストリップ1の表面に付勢される構成について説明したが、送り機構32は、アーム体31に内蔵された油圧シリンダ機構によってストリップ1の表面に付勢される構成であってもよいし、アーム体31に内蔵された圧縮コイルばねのような弾性体によってストリップ1の表面に付勢される構成であってもよい。
【0063】
上述した実施形態では、ストリップ1及びジョイナー2は車体11の進行方向前方から供給される構成について説明したが、ストリップ1のみが車体11の進行方向前方から供給され、ジョイナー2は車体11の進行方向後方から供給される構成であってもよい。
【0064】
また、ストリップ1及びジョイナー2は作業員によって人力で送りユニット30に送られてもよいし、送りユニット30の前方に備えられた案内ユニットによって送られてもよい。
【0065】
上述の実施形態では、管更生部材がストリップ1とジョイナー2で構成される場合について説明したが、管更生部材はストリップ1のみで構成されていてもよい。この場合ストリップ1の一方の端縁に嵌合溝が備えられ、他方の端縁に嵌合溝と嵌合する嵌合溝が備えられる。
【0066】
上述の実施形態では、管きょPが矩形の断面形状を有する場合を例に説明したが、管きょPの断面形状は矩形に限らず、円形であってもよいし、非円形、たとえば馬蹄形であってもよい。
【0067】
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 :ストリップ(管更生部材)
2 :ジョイナー
3 :管状体
10 :製管機
15 :シャフト
20 :嵌合ユニット
21 :嵌合ユニット
22 :嵌合ローラ
23 :嵌合ローラ
24 :アーム体
25 :アーム体
30 :送りユニット
31 :アーム体(移動機構)
32 :送り機構
33 :走行機構(移動機構)
34 :送りローラ
35 :送りローラ
39 :前輪
40 :後輪
図1
図2
図3
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