(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平行2線式の誘導線における第1の誘導線と第2の誘導線のそれぞれに予め設定された間隔毎に介在され、当該誘導線を外部からの制御信号に応じて切り離す切り離し部と、前記切り離し部により切り離された誘導線の一端と他端とを各々導出する導出部と、を有する誘導線分岐器と、
前記第1の誘導線と前記第2の誘導線とにそれぞれ介在した各誘導線分岐器の切り離し部に対してユーザ操作に応じて前記制御信号を出力する制御信号出力部と、前記各誘導線分岐器の導出部により導出された前記各誘導線の一端間または他端間にユーザ操作に応じて電圧を印加する電圧印加部と、を有する第1の操作器と、
前記第1の誘導線と前記第2の誘導線とにそれぞれ介在した各誘導線分岐器の切り離し部に対してユーザ操作に応じて前記制御信号を出力する制御信号出力部と、前記各誘導線分岐器の導出部により導出された前記各誘導線の一端間または他端間の電圧または電流を検出する検出部と、を有する第2の操作器と、
を備えたトンネル内ラジオ再放送設備における誘導線断検出装置。
前記第1の操作器と前記第2の操作器は、何れも、前記各誘導線分岐器の切り離し部と当該各誘導線分岐器の導出部により導出された各誘導線の一端または他端に接続するための接続部を有する、請求項1または請求項2に記載のトンネル内ラジオ再放送設備における誘導線断検出装置。
前記第1の誘導線と前記第2の誘導線とにそれぞれ介在した各誘導線分岐器に対応する場所に設けられ、当該各誘導線分岐器と前記第1の操作器または前記第2の操作器との接続を中継する中継器を備え、前記接続部は、ユーザ操作に応じて当該中継器に接続される、請求項3に記載のトンネル内ラジオ再放送設備における誘導線断検出装置。
平行2線式の誘導線における第1の誘導線と第2の誘導線のそれぞれに予め設定された間隔毎に、当該誘導線を外部からの制御信号に応じて切り離す切り離し部と、前記切り離し部により切り離された誘導線の一端と他端とを各々導出する導出部と、を有する誘導線分岐器を介在すること、
前記第1の誘導線と前記第2の誘導線とにそれぞれ介在した各誘導線分岐器の切り離し部に対してユーザ操作に応じて前記制御信号を出力すると共に、前記各誘導線分岐器の導出部により導出された前記各誘導線の一端間または他端間にユーザ操作に応じて電圧を印加すること、
前記第1の誘導線と前記第2の誘導線とにそれぞれ介在した各誘導線分岐器の切り離し部に対してユーザ操作に応じて前記制御信号を出力すると共に、前記各誘導線分岐器の導出部により導出された前記各誘導線の一端間または他端間の電圧または電流を検出すること、
からなるトンネル内ラジオ再放送設備における誘導線断検出方法。
前記各誘導線の一端間または他端間にユーザ操作に応じて電圧を印加することと、前記各誘導線の一端間または他端間の電圧または電流を検出することとは、何れも、携行可能な機器により行なう、請求項5に記載のトンネル内ラジオ再放送設備における誘導線断検出方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両等が通行するトンネルには、トンネル内ラジオ再放送設備が設けられている。
【0003】
このトンネル内ラジオ再放送設備は、トンネル外部のトンネル電気室等に設置したラジオ受信装置で受信したラジオ放送を、トンネル内の壁面に敷設したアンテナ(誘導線)から再送信することで、放送局からの電波が直接届き難いあるいは届かないトンネル内であってもラジオ放送を容易に受信可能にするものである。
【0004】
また、このトンネル内ラジオ再放送設備は、トンネル内及びその出入り口付近での事故、火災等の緊急事態発生に伴う緊急時において、そのラジオ放送から切り替えて障害の発生や避難誘導等を知らせるための緊急時割込み放送を行なうことで、防災上も重要な役割を担っている。
【0005】
このため、前記トンネル内ラジオ再放送設備は、常に正常に機能していることが重要になるが、その中でも前記トンネル内の壁面に敷設したアンテナ(誘導線)は、温度、湿度、ガス、塵埃等、環境の変化を受けて劣化し易いばかりでなく、物理的な衝撃も受けることがあり、断線することがある。前記アンテナ(誘導線)が断線すると、ラジオ再放送が正常に機能しなくなり、前記緊急割込み放送もできない状態となってしまう。
【0006】
前記トンネル内ラジオ再放送設備において、AMラジオ再放送のためのアンテナ(誘導線)は、一般にその放送信号を給電する整合器と終端抵抗器との間でループ状になる平行2線式の誘導線として敷設されている。従来、前記終端抵抗器を介してループ状になる誘導線の一端と他端との間に電圧を印加し、その電圧、電流が正常に検出されるか否かにより、誘導線断が無いか有るかを監視することが考えられている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態のトンネル内ラジオ再放送設備における誘導線断検出装置およびその検出方法を、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施形態の誘導線断検出装置の設置対象となるトンネル内ラジオ再放送設備の全体の構成を示す概念図である。
【0017】
このトンネル内ラジオ再放送設備は、トンネルTLの例えば出入口付近の外部に設置されたトンネル電気室に、ラジオ再放送装置10を設けて構成される。このラジオ再放送装置10には、受信装置20、AM再放送装置30、FM再放送装置40が備えられる。
【0018】
また、前記トンネルTL内の壁面には、AMラジオ再放送用のアンテナとして機能する誘導線52と、FMラジオ再放送用のアンテナとして機能するLCX(漏洩同軸ケーブル)53が、当該トンネルTLの車両移動方向に対応した長さ方向に敷設される。
【0019】
前記誘導線52は、前記AM再放送装置30から同軸のアプローチケーブルCAを介してAM再放送信号が給電される整合器51Mと終端抵抗器51Rとの間を平行2線式でループ状にして敷設される。
【0020】
また、前記LCX(漏洩同軸ケーブル)53も前記FM再放送装置40から同軸のアプローチケーブルCFを介してFM放送信号が給電される給電点と終端抵抗器53Rとの間に敷設される。
【0021】
前記受信装置20は、AM受信アンテナAT1が接続されたAM受信部21とFM受信アンテナAT2が接続されたFM受信部22を有する。前記AM受信部21で受信したAMラジオ放送信号は、検波復調後、音声信号(AF)として前記AM再放送装置30へ送出される。また、前記FM受信部22で受信したFMラジオ放送信号は、中間周波数信号(IF)として前記FM再放送装置40へ送出される。
【0022】
前記AM再放送装置30は、前記AM受信部21で受信した各AMラジオ放送局の放送信号を各々の周波数で再送信すると共に、管理事務所60からの制御に従い緊急割込み放送を行なうもので、放送切換部31、AM送信部32、出力混合部33、誘導線断検知部34、メモリ再生部35、操作制御部36、伝送制御部37を有する。
【0023】
前記放送切換部31は、AM受信部21により受信されたAMラジオ放送の再放送信号と後述のメモリ再生部35、または管理事務所60からの緊急割込み放送信号との切換えを行ないAM送信部32に分配する。
【0024】
前記AM送信部32は、前記放送切換部31により分配されたAMラジオ放送の再放送信号または緊急割込み信号を指定の周波数に変換して電力増幅し出力混合部33に出力する。
【0025】
前記出力混合部33は、前記AM送信部32から入力されるAMラジオ放送の再放送信号または緊急割込み信号の各送信信号を混合し前記トンネルTL内の誘導線(アンテナ)52の整合器51Mに給電する。
【0026】
前記誘導線断検知部34は、前記トンネルTL内の誘導線(アンテナ)52の断線異常を検知するもので、断線異常時には異常出力を前記操作制御部36へ送出する。
【0027】
前記メモリ再生部35は、前記緊急割込み信号等の割込み放送音声信号を再生するもので、当該音声信号の音声データは予めデジタル方式の記録媒体に別途録音されている。
【0028】
前記操作制御部36は、管理事務所60からの割込み制御に従った割込み放送制御機能ならびに各種の監視機能を有するもので、通常時はラジオ再放送を行ない、緊急時は割込み放送を行なう。また、各送信部32,43による出力の音声モニタや誘導線断検知部34により検知された断線異常等の故障表示を前記管理事務所60にて行わせる。
【0029】
前記伝送制御部37は、前記管理事務所60からの指令に従いラジオ再放送設備の監視制御を行なう。
【0030】
前記FM再放送装置40は、前記FM受信部22で受信した各FMラジオ放送局の放送信号を各々の周波数で再送信すると共に、管理事務所60からの制御に従い緊急割込み放送を行なうもので、FM変調部41、FM放送切換部42、FM送信部43、FM出力混合部44を有する。
【0031】
図2は、前記トンネル内ラジオ再放送設備においてトンネルTL内に設置されたAMラジオ再放送用の誘導線52と当該誘導線52に設けられる誘導線断検出装置の構成を示す概念図である。
【0032】
前述したように、前記AM再放送装置30のアンテナとして機能する誘導線52は、再放送信号の給電点となる整合器51Mと終端抵抗器51Rとの間で、平行2線式に、当該整合器51Mから終端抵抗器51Rの一端へ向かう下り誘導線52aと同終端抵抗器51Rの他端から整合器51Mへ戻る上り誘導線52bとしてループ状に敷設される。
【0033】
そして、前記整合器51Mから終端抵抗器51Rに至る下りと上りの各誘導線52a,52bには、一定間隔(例えば200m)毎に誘導線分岐器70が介在される。
【0034】
図3は、前記トンネルTL内の誘導線52に介在される誘導線分岐器70の構成を示す概略図である。
【0035】
前記誘導線分岐器70は、当該誘導線分岐器70を介在した誘導線52(52a/52b)の前記整合器51M側の一方と前記終端抵抗器51R側の他方とを切り離す切り離しスイッチ71を備える。この切り離しスイッチ71は、後述の断線区間検出器(1)80(
図4参照)または断線区間検出器(2)90からのユーザ操作に応じた分岐器制御信号に応じて切り離し動作する。
【0036】
また、前記誘導線分岐器70は、前記誘導線52(52a/52b)を切り離した後の前記整合器51M側の一方を分岐して導出する一方の分岐ケーブル72と前記終端抵抗器51R側の他方を分岐して導出する他方の分岐ケーブル72Rとを備える。これらの分岐ケーブル72L,72Rには、前記断線区間検出器(1)80(
図4参照)または前記断線区間検出器(2)90(
図5参照)が接続される。
【0037】
具体的には、前記各誘導線52(下り誘導線52a/上り誘導線52b)にそれぞれ一定間隔毎に設けた誘導線分岐器70の整合器51M側を上段とし、終端抵抗器51R側を下段として定義する。そして、下り誘導線52a及び上り誘導線52b共に前記整合器51M側からn段目の誘導線分岐器70,70とn+1段目の誘導線分岐器70,70との間を断線検出対象区間と仮定した場合、当該断線検出対象区間の上段側の各誘導線分岐器70,70それぞれにおける他方の分岐ケーブル72R,72R間に前記前記断線区間検出器(1)80(
図4参照)(または前記断線区間検出器(2)90(
図5参照))を接続し、また当該断線検出対象区間の下段側の各誘導線分岐器70,70それぞれにおける一方の分岐ケーブル72L,72L間に前記断線区間検出器(2)90(
図5参照)(または前記断線区間検出器(1)80(
図4参照))を接続する。
【0038】
図4は、前記誘導線分岐器70により切り離された断線検出対象区間側の分岐ケーブル72R(または72L)に接続される断線区間検出器(1)80の構成を示す概略図である。
【0039】
この断線区間検出器(1)80は、前記誘導線52a,52bにおける断線検出対象区間の一端側(または他端側)の各誘導線分岐器70,70それぞれにおける他方の分岐ケーブル72R,72R間(または一方の分岐ケーブル72L,72L間)に所定の電圧を印加するための電圧印加スイッチ81と直流電源82からなる電圧印加回路83を備え、当該電圧印加回路83は断線確認ボタン85のユーザ操作に応じてON/OFF動作する。また、前記断線区間検出器(1)80は、前記誘導線52a,52bにおける断線検出対象区間の一端側(または他端側)の各誘導線分岐器70,70それぞれにおける切り離しスイッチ71,71に分岐器制御信号を出力するための分岐制御出力部84を備え、当該分岐制御出力部84は分岐器制御ボタン86のユーザ操作に応じて分岐制御信号を出力する。
【0040】
前記断線区間検出器(1)80の電圧印加スイッチ81がON動作することにより直流電源82の電圧が印加される2本の電圧印加線と、前記分岐制御出力部84から出力される分岐制御信号の信号線とは、3芯の検出プラグ(1)87として導出され、前記各誘導線52a,52bに一定間隔毎に介在された誘導線分岐器70,70の他方の分岐ケーブル72R,72R(または一方の分岐ケーブル72L,72L)と切り離しスイッチ71,71とに容易に接続を図るための後述する中継器100(
図6参照)に接続される。
【0041】
図5は、前記誘導線分岐器70により切り離された断線検出対象区間側の分岐ケーブル72L(または72R)に接続される断線区間検出器(2)90の構成を示す概略図である。
【0042】
この断線区間検出器(2)90は、前記誘導線52a,52bにおける断線検出対象区間の他端側(または一端側)の各誘導線分岐器70,70それぞれにおける一方の分岐ケーブル72L,72L間(または他方の分岐ケーブル72R,72R間)に印加された電圧が掛かる抵抗91と当該抵抗91に流れる電流により点灯するLED92からなる電流検出回路93を備える。また、前記断線区間検出器(2)90は、前記断線区間検出器(1)80と同様に、前記誘導線52a,52bにおける断線検出対象区間の他端側(または一端側)の各誘導線分岐器70,70それぞれにおける切り離しスイッチ71,71に分岐器制御信号を出力するための分岐制御出力部94を備え、当該分岐制御出力部94は分岐器制御ボタン95のユーザ操作に応じて分岐制御信号を出力する。
【0043】
前記断線区間検出器(2)90の電流検出回路93に導通する2本の電流検出線と、前記分岐制御出力部94から出力される分岐制御信号の信号線とは、前記断線区間検出器(1)80の場合と同様に3芯の検出プラグ(2)96として導出され、前記各誘導線52a,52bに一定間隔毎に介在された誘導線分岐器70,70の一方の分岐ケーブル72L,72L(または他方の分岐ケーブル72R,72R)と切り離しスイッチ71,71とに容易に接続を図るための後述する中継器100(
図6参照)に接続される。
【0044】
図6は、前記誘導線断検出装置により誘導線断検出を行なう実施例を示す概略図である。
【0045】
前記誘導線(アンテナ)52(52a,52b)は、前記トンネルTL内の天井壁面等の高所に敷設されているため、当該誘導線52a,52bに介在した誘導線分岐器70,70に対して前記断線区間検出器(1)80と断線区間検出器(2)90とを接続するための中継器100を設ける。この中継器100は、例えば前記誘導線分岐器70,70が設けられる位置に対応するところのトンネルTL内の側壁面に架設され、高さ的にはユーザ(保守作業員)による直接の作業が容易な地上高120cm程度の高さに設けられる。
【0046】
前記中継器100は、前記各誘導線52a,52bに介在した誘導線分岐器70,70それぞれの一方の分岐ケーブル72L,72Lと各切り離しスイッチ71,71の制御線に導通する3端子の左ソケット101L、および当該誘導線分岐器70,70それぞれの他方の分岐ケーブル72R,72Rと各切り離しスイッチ71,71の制御線に導通する3端子の右ソケット101Rを有する。
【0047】
前記中継器100の各ソケット101L,101Rは、何れも、前記断線区間検出器(1)80の検出プラグ(1)87、前記断線区間検出器(2)90の検出プラグ(2)96を接続可能にして構成される。
【0048】
次に、このように構成されたトンネル内ラジオ再放送設備における誘導線断検出装置を用いた誘導線断箇所検出作業を説明する。
【0049】
この誘導線断箇所検出作業は、先ず、前記AM再放送装置30が備える誘導線断検知部34により前記誘導線(アンテナ)52の何れかの場所での断線異常が検知されることにより、当該断線異常の異常出力が前記管理事務所60にてモニタされた場合に、2人1組になった保守作業員が前記断線区間検出器(1)80と断線区間検出器(2)90とを各々で携行して行う。
【0050】
また、この誘導線断箇所検出作業は、前記各誘導線52a,52bに一定間隔毎に介在した上段側の各誘導線分岐器70,70と下段側の各誘導線分岐器70,70とにより切り離される当該各誘導線52a,52bの区間を断線検出対象区間とし、例えば前記整合器51Mのある上段側から終端抵抗器51Rのある下段側へ順番に行う。
【0051】
図6に示すように、前記2人1組になった保守作業員の一人が前記断線区間検出器(1)80の検出プラグ(1)87を前記断線検出対象区間における上段側の中継器100の右ソケット101Rに差し込んで接続する。また、前記2人1組になった保守作業員のもう一人が前記断線区間検出器(2)90の検出プラグ(2)96を当該断線検出対象区間における下段側の中継器100の左ソケット101Lに差し込んで接続する。
【0052】
こうすることにより、前記断線区間検出器(1)80の2本の電圧印加線と分岐制御信号の信号線とが、前記断線検出対象区間における上段側の各誘導線分岐器70,70の他方の分岐ケーブル72R,72Rと切り離しスイッチ71,71の制御線とに接続される。また、前記断線区間検出器(2)90の2本の電流検出線と分岐制御信号の信号線とが、当該断線検出対象区間における下段側の各誘導線分岐器70,70の一方の分岐ケーブル72L,72Lと切り離しスイッチ71,71の制御線とに接続される。
【0053】
図7は、前記誘導線断検出装置を用いた誘導線断箇所検出作業(手法)の流れを示すフローチャートである。
【0054】
前記2人の保守作業員が直接あるいは無線等により連絡を取り合い、前記各断線区間検出器(1)80,(2)90それぞれの分岐器制御ボタン86,95を押す(ステップS1)。
【0055】
すると、前記断線検出対象区間における上段側の各誘導線分岐器70,70の各切り離しスイッチ71,71と下段側の各誘導線分岐器70,70の各切り離しスイッチ71,71とが共に動作し、当該断線検出対象区間の各誘導線52a,52bがその前段と後段の各誘導線52a,52bから切り離される(ステップS2)。
【0056】
そして、前記断線区間検出器(1)80の断線確認ボタン85を押すと、その直流電源82の電圧が前記断線検出対象区間における各誘導線52a,52bの一端に印加され、当該各誘導線52a,52bの他端から前記断線区間検出器(2)90の電流検出回路93に掛けられる(ステップS3)。
【0057】
ここで、前記断線検出対象区間の各誘導線52a,52bに断線が無い場合には(ステップS4(No))、前記断線区間検出器(2)90における電流検出回路93のLED92が点灯し(ステップS5A)、当該区間に断線が無いと判定できる(ステップS6A)。
【0058】
一方、前記断線検出対象区間の各誘導線52a,52bに断線EM(
図2参照)が有る場合には(ステップS4(Yes))、前記断線区間検出器(2)90における電流検出回路93のLED92は消灯したまま点灯せず(ステップS5B)、当該区間に断線が有ると判定できる(ステップS6B)。
【0059】
したがって、前記構成のトンネル内ラジオ再放送設備における誘導線断検出装置によれば、トンネルTL内の整合器51Mと終端抵抗器51Rとの間に平行2線式のループ状に敷設された下りと上りの各誘導線52a,52bに対して、それぞれ一定間隔毎に誘導線分岐器70,70を介在し、当該各誘導線分岐器70,70から前段と後段の各誘導線52a,52bを切り離し可能にする。
【0060】
そして、前記整合器51M側からn個目の各誘導線分岐器70,70とn+1個目の各誘導線分岐器70,70との間の各誘導線52a,52bを断線検出対象区間とし、当該区間の一端側の各誘導線分岐器70,70にユーザ操作に応じて切り離しの制御信号を出力し、当該区間の各誘導線52a,52bの一端にユーザ操作に応じて電圧を印加する断線区間検出器(1)80を用意する。また、前記断線検出対象区間の他端側の各誘導線分岐器70,70にユーザ操作に応じて切り離しの制御信号を出力し、当該区間の各誘導線52a,52bの他端から導出される前記電圧により点灯するLED92を備えた断線区間検出器(2)90を用意する。
【0061】
前記断線区間検出器(1)80により前記断線検出対象区間の各誘導線52a,52bの一端から電圧を印加した際に、前記断線区間検出器(2)90のLED92が点灯する場合は該当区間の誘導線52a,52bに断線は無いと判定でき、同LED92が点灯しない場合は該当区間の誘導線52a,52bに断線が有ると判定できる。
【0062】
これにより、前記AM再放送装置30が備える誘導線断検知部34により前記誘導線(アンテナ)52の何れかの場所での断線異常が検知された場合には、前記断線区間検出器(1)80と断線区間検出器(2)90とを使用して、前記誘導線分岐器70,70により一定間隔毎に切り離しが可能な前記断線検出対象区間の断線の有無を順次確認して行くことで、当該誘導線52(52a,52b)の何処で断線しているかを容易に特定できる。
【0063】
よって、前記トンネル内ラジオ再放送設備において、誘導線52(52a,52b)に断線がある場合に、その断線箇所を特定するための保守作業員による調査時間を大幅に短縮することが可能になる。
【0064】
また、前記構成の誘導線断検出装置によれば、前記誘導線52(52a,52b)に介在した各誘導線分岐器70,70に対して前記断線区間検出器(1)80または断線区間検出器(2)90を接続するための中継器100を用意し、当該中継器100を、前記各誘導線分岐器70,70に対応するところのトンネルTL内側壁面の地上高120cm程度の高さ(地上の保守作業員から直接届く高さ)に架設した。
【0065】
これにより、前記誘導線52(52a,52b)がトンネルTL内の天井壁面等、地上の保守作業員から直接届かない高所に敷設されている場合でも、高所作業車等の利用により車両通行止めにする必要はなく、前記誘導線52(52a,52b)の何処で断線しているかを容易に特定できる。
【0066】
さらに、前記構成の誘導線断検出装置によれば、前記断線区間検出器(1)80と前記中継器100との接続は、当該断線区間検出器(1)80の検出プラグ(1)87を中継器100の右ソケット101R(または左ソケット101L)に差し込むことで容易に接続できる。また同様に、前記断線区間検出器(2)90と前記中継器100との接続も、当該断線区間検出器(2)90の検出プラグ(2)96を中継器100の左ソケット101L(または右ソケット101R)に差し込むことで容易に接続できる。
【0067】
なお、前記実施例では、前記誘導線52a,52bにおける断線検出対象区間の一端に断線区間検出器(1)80を接続して電圧を印加し、当該断線検出対象区間の他端に断線区間検出器(2)90を接続して断線検出(電流検出)する場合について説明したが、これとは逆に、前記断線検出対象区間の他端に断線区間検出器(1)80を接続し、当該断線検出対象区間の一端に断線区間検出器(2)90を接続して断線検出(電流検出)してもよいのは勿論である。
【0068】
本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0069】
10…ラジオ再放送装置、20…受信装置、30…AM再放送装置、
34…誘導線断検知部、TL…トンネル、51M…整合器、51R…抵抗器、
52…誘導線(アンテナ)、52a…下り誘導線、52b…上り誘導線、
60…管理事務所、70…誘導線分岐器、71…切り離しスイッチ、
72L…一方の分岐ケーブル、72R…他方の分岐ケーブル、
80…断線区間検出器(1)、81…電圧印加スイッチ、82…直流電源、
83…電圧印加回路、84…分岐制御出力部、85…断線確認ボタン、
86…分岐器制御ボタン、87…検出プラグ(1)、90…断線区間検出器(2)、
91…抵抗、92…LED、93…電流検出回路、94…分岐制御出力部、
95…分岐器制御ボタン、96…検出プラグ(2)、100…中継器、
101L…左ソケット、101R…右ソケット。