特許第6768504号(P6768504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6768504MGLU5受容体のネガティブアロステリック調節因子の多型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768504
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】MGLU5受容体のネガティブアロステリック調節因子の多型
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20201005BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20201005BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   C07D471/04 108E
   C07D471/04CSP
   A61K31/444
   A61P1/04
   A61P1/14
   A61P3/04
   A61P25/00
   A61P25/00 101
   A61P25/04
   A61P25/14
   A61P25/16
   A61P25/18
   A61P25/22
   A61P25/24
   A61P25/32
   A61P25/36
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-516897(P2016-516897)
(86)(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公表番号】特表2016-531860(P2016-531860A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】EP2014070492
(87)【国際公開番号】WO2015044270
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年9月15日
【審判番号】不服2019-5168(P2019-5168/J1)
【審判請求日】2019年4月18日
(31)【優先権主張番号】1317022.0
(32)【優先日】2013年9月25日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516084804
【氏名又は名称】アデックス ファーマ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Addex Pharma S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】ベアトリス ボネ
(72)【発明者】
【氏名】ソニア マリア ポリ
【合議体】
【審判長】 村上 騎見高
【審判官】 瀬良 聡機
【審判官】 安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−502674(JP,A)
【文献】 Jean−Philippe Rocher 外9名,Current Topics in Medicinal Chemistry,2011,11,p.680−695
【文献】 P.Heinrich Stahl 外1名編,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,WILEY−VCH,2002年,p.192−220
【文献】 橋田 充 編,経口投与製剤の設計と評価,1995年2月10日,p.76−79
【文献】 C.G.WERMUTH編,最新創薬化学 下巻,株式会社テクノミック,1999年,p.347−365
【文献】 平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック,2008年,p.57−58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAPLUS STN
REGISTRY STN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CuKα放射線を用いて得られた、2θ(2シータ(度))=8.4,10.2,12.5,15.7,16.8,18.6,20.5,21.3,28.1,29.4におけるX線回折ピークを有する、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の結晶
【請求項2】
以下の図1に記載されるX線粉末回折パターンを示す、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の結晶。
図1
【請求項3】
3059,2937,2233,1592,1564,1537,1515,1477,1429,1317,1262,1168,1162,1117,863,819,772,691にピークを有する赤外線スペクトルを示す、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の結晶
【請求項4】
CuKα放射線を用いて得られた、2θ(2シータ(度))=8.5,10.0,12.5,15.8,17.1,18.2,18.7,19.4,20.2,20.8,25.7,27.6におけるX線回折ピークを有する、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の結晶
【請求項5】
以下の図3に記載されるX線粉末回折パターンを示す、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の結晶。
図3
【請求項6】
a)6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンのリン酸との塩形成と、続く自発沈殿、及びエタノール:水(80:20)中でのステップa)の生成物の再結晶化のステップを含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の結晶の製造方法
【請求項7】
a)6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンのリン酸との塩形成と、続く自発沈殿、及び水:アセトン(80:20)中でのステップa)の生成物の再結晶化のステップを含む、請求項4または請求項5に記載の結晶の製造方法。
【請求項8】
治療的有効量の請求項1〜のいずれか一項に記載の結晶、又は請求項1〜のいずれか一項に記載の結晶のうちの2つの組み合わせと、少なくとも1種の薬学的に許容され得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含有する医薬組成物。
【請求項9】
mGlu受容体が関与する疾患の治療又は予防の方法に使用される請求項8に記載の医薬組成物であって、前記疾患が:てんかん、虚血、神経因性若しくは炎症性疼痛、精神障害等の精神疾患、嗜癖、耐性若しくは依存症から選択される中枢神経系疾患、鬱病及び不安神経症等の感情障害、注意欠陥/多動障害、双極性障害、運動障害、神経保護、偏頭痛、神経変性、神経毒性、パーキンソン病、PD−LID、ジストニア、記憶障害、アルツハイマー病、認知症、振戦せん妄含む神経疾患、注意障害、摂食障害、気分障害、認知障害、パーソナリティ障害、行動障害、アルコール、ニコチン、コカイン、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、鎮痛薬、オピエート若しくは他の物質の耐性若しくは依存症を含む薬物乱用関連疾患、過食症、拒食症、ギャンブル依存症、セックス依存症、強迫性障害、パニック症、恐怖症、外傷後ストレス障害、全般性不安障害、季節性感情障害、急性ストレス障害、脆弱X症候群等の遺伝性疾患、自閉症、胃食道逆流症(GERD)を含む肥満症及び胃腸疾患、下部食道括約筋疾病若しくは疾患、胃腸運動の疾病、大腸炎、クローン病又は過敏性腸症候群(IBS)からなる群から選択される、医薬組成物。
【請求項10】
ジストニアの治療又は予防の方法に使用される請求項8の医薬組成物。
【請求項11】
パーキンソン病L−DOPA誘導ジスキネジアの治療又は予防の方法に使用される請求項8の医薬組成物。
【請求項12】
運動障害の治療又は予防の方法に使用される請求項8の医薬組成物。
【請求項13】
自閉症の治療又は予防の方法に使用される請求項8の医薬組成物。
【請求項14】
脆弱Xの治療又は予防の方法に使用される請求項8の医薬組成物。
【請求項15】
不安神経症の治療又は予防の方法に使用される請求項8の医薬組成物。
【請求項16】
鬱病の治療又は予防の方法に使用される請求項8の医薬組成物。
【請求項17】
疼痛の治療又は予防の方法に使用される請求項8の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の結晶質形態及び非晶質形態と、該塩のこれらの固体形態の製造方法とに関する。本発明の化合物は、中枢神経系疾患、及びmGlu受容体により調節される他の疾患の治療又は予防に有用な、mGlu受容体の調節因子である。本発明は、医薬組成物、医薬の製造におけるそれらの化合物の使用、並びにmGlu受容体が関係するそれらの疾病の予防及び治療のためのそれらの化合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンは、代謝型グルタミン酸受容体5(mGluR)のネガティブアロステリック調節因子として、特許文献1(実施例74)に記載されている。この化合物は、下記の構造を有する:
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第05123703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩が、対応する遊離塩基と比較して、驚くほど遥かに高い溶解度特性を有するとの発見に基づくものである。遊離塩基は、関連する全ての生理学的pHにおいて0.5mg/mLの水性溶解度を有する一方、一リン酸塩は21.0〜32.5mg/mLの水性溶解度を有する。それ故、一リン酸塩の少なくとも40倍の溶解度の増大は、活性化合物の薬理学的特性を大いに改善するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本発明は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩に関する。
【0006】
別の態様において、本発明は、2つの区別される結晶質形態、それぞれ、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型I及び多型IIに関する。
【0007】
更なる別の態様において、本発明は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の非晶質形態に関する。
【0008】
前述した塩、並びにその結晶質形態及び非晶質形態は、X線粉末回折パターン、赤外線スペクトル、融解挙動、又はガラス転移温度により特徴付けることができる、物理的及び化学的特性によって区別することができる。
【0009】
別の態様において、本発明は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型I及び多型IIを調製するプロセスを提供する。
【0010】
本発明は、治療的有効量の、結晶質形態又は非晶質形態における6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩を、該塩のための薬学的に許容され得る1種以上の担体、希釈剤又は賦形剤と共に含有する医薬組成物も含む。
【0011】
本発明によれば、上述した6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の結晶質形態又は非晶質形態は、mGlu受容体に基づく疾患の制御又は予防に有用な医薬の調製に使用することができる。
【0012】
用語の定義
本明細書で使用される用語「非晶質」は、結晶質ではなく、X線回折、並びに、偏光顕微鏡を用いた観察、及び示差走査熱量測定(DSC)を含むがこれらに限定されない他の手段によって確認され得る物理的状態を示す。より詳細には、本発明による非晶質塩は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩のいずれの結晶質形態も本質的に含まないことが好ましい。
【0013】
「薬学的に許容され得る」は、薬学的に許容され得る材料が投与される対象に対して実質的に非毒性であることを意味する。
【0014】
「治療的有効量」は、疾病の症状を予防し、緩和し若しくは回復させ、又は、治療されている対象の生存時間を延長させるのに有効な量を意味する。
【0015】
「IR」は、赤外線(InfraRed)の頭文字として本明細書で使用される。
「NMR」は、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)の頭文字として本明細書で使用される。
「XRPD」は、X線粉末回折(X−Ray Powder Diffraction)の頭文字として本明細書で使用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型Iの代表的なロットのXRPDパターンを示す。
図2図2は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型Iの代表的なロットのIRスペクトルを示す。
図3図3は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型IIの代表的なロットのXRPDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献1に記載されているように調製することができる。特許文献1には、前記の化合物の作製及び使用方法が記載されている。
【0018】
上記に既に述べたように、本発明は、新規な6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩、並びに結晶質形態及び非晶質形態に関する。
【0019】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンは、調製方法に応じて一リン酸塩として単離することができ、そのような塩は、固体として予想外に、また卓越した溶解度を有し、医薬品として十分に機能することが見出されている。
【0020】
本発明の更なる態様は、本明細書でそれぞれ多型I及びIIとして識別される、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の2つの異なる結晶形態の同定である。
【0021】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンのメタノール中でのリン酸との塩形成と、続く自発沈殿とにより調製されてもよい。
【0022】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の「多型I」として記載される第1の多型は、無溶媒結晶質形態であり、本明細書に記載されるプロセスによって製造することができる。
【0023】
従って、本発明の一態様は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型Iの調製プロセスを提供する。
【0024】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型Iは、エタノール:水(80:20)、メタノール、イソプロピルアルコール:水(80:20)、アセトニトリル:水(80:20)、メタノール:ジオキサン(80:20)、メタノール:メチルエチルケトン(80:20又は60:40)、メタノール:アセトニトリル(60:40)、2−ブタノン及び水:ジオキサン(10:90)を含むがこれらに限定されない溶媒中で一リン酸塩を再結晶化させることにより得ることができる。
【0025】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型Iは、CuKα放射線を用いて得られた、2θ(2シータ(度))=8.4,10.2,12.5,15.7,16.8,18.6,20.5,21.3,28.1,29.4におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3つのピークにより特徴付けることができる。
【0026】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型Iは、図1に示されるX線粉末回折パターンにより特徴付けることもできる。
【0027】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型Iは、3059,2937,2233,1592,1564,1537,1515,1477,1429,1317,1262,1168,1162,1117,863,819,772,691に鋭いバンドを有する赤外線スペクトルにより特徴付けることもできる。
【0028】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型Iは、図2に示される赤外線スペクトルにより特徴付けることもできる。
【0029】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の「多型II」として記載される第2の多型は、無溶媒結晶質形態であり、本明細書に記載されるプロセスによって製造することができる。
【0030】
従って、本発明の一態様は、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型IIの調製プロセスを提供する。
【0031】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型IIは、エタノール:水(60:40又は20:80)、メタノール:水(20:80)、プロパノール:水(40:60又は20:80)、アセトニトリル:水(60:40又は40:60又は20:80)、アセトン:水(20:80)又はTHF:水(20:80)を含むがこれらに限定されない溶媒中で一リン酸塩を再結晶化させることにより得ることができる。
【0032】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型IIは、CuKα放射線を用いて得られた、2θ(2シータ(度))=8.5,10.0,12.5,15.8,17.1,18.2,18.7,19.4,20.2,20.8,25.7,27.6におけるX線回折ピークから選択される少なくとも3つのピークにより特徴付けることができる。
【0033】
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型IIは、図3に示されるX線粉末回折パターンにより特徴付けることもできる。
【0034】
本発明の更なる態様は、本明細書に記載した多型のうちの2つの組み合わせを提供する。
【0035】
本発明によれば、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の結晶質形態又は非晶質形態は、mGlu受容体が関与する疾患の治療又は予防に有用な医薬の調製に使用することができる。そのような疾患としては:てんかん、虚血、神経因性若しくは炎症性疼痛、精神障害等の精神疾患、嗜癖、耐性若しくは依存症から選択される中枢神経系疾患、鬱病及び不安神経症等の感情障害、注意欠陥/多動障害、双極性障害、運動障害、神経保護、偏頭痛、神経変性、神経毒性、パーキンソン病、PD−LID、ジストニア、記憶障害、アルツハイマー病、認知症、振戦せん妄等の神経疾患、注意障害、摂食障害、気分障害、認知障害、パーソナリティ障害、行動障害、アルコール、ニコチン、コカイン、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、鎮痛薬、オピエート若しくは他の物質の耐性若しくは依存症を含む薬物乱用関連疾患、過食症、拒食症、ギャンブル依存症、セックス依存症、強迫性障害、パニック症、恐怖症、外傷後ストレス障害、全般性不安障害、季節性感情障害、急性ストレス障害、脆弱X症候群等の遺伝性疾患、自閉症、肥満症及び胃腸疾患、例えば胃食道逆流症(GERD)、下部食道括約筋疾病若しくは疾患、胃腸運動の疾病、大腸炎、クローン病又は過敏性腸症候群(IBS)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
好ましい一実施形態において、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型は、ジストニアの治療又は予防に使用することができる。
【0037】
好ましい一実施形態において、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型は、パーキンソン病L−DOPA誘導ジスキネジアの治療又は予防に使用することができる。
【0038】
好ましい一実施形態において、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型は、運動障害の治療又は予防に使用することができる。
【0039】
好ましい一実施形態において、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型は、自閉症の治療又は予防に使用することができる。
【0040】
好ましい一実施形態において、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型は、脆弱Xの治療又は予防に使用することができる。
【0041】
好ましい一実施形態において、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型は、不安の治療又は予防に使用することができる。
【0042】
好ましい一実施形態において、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型は、鬱の治療又は予防に使用することができる。
【0043】
好ましい一実施形態において、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型は、疼痛の治療又は予防に使用することができる。
【0044】
哺乳動物患者における治療のための使用において、本明細書に定義した6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型又は非晶質形態は、医薬組成物の形態で、摂取、経口、筋内、皮下、局所、鼻腔内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、くも膜下腔内、脳室内経路を含む任意の経路により、また関節内への注射により投与することができる。
【0045】
本発明の特定の実施形態において、投与の経路は、摂取によるもの、又は経口、静脈内若しくは筋内経路によるものであってもよい。
【0046】
本明細書に定義した6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型又は非晶質塩から医薬組成物を調製するために、不活性の、薬学的に許容され得る担体は、固体又は液体のいずれであってもよい。固体形態の製剤としては、散剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル剤、カシェ剤及び坐剤が挙げられる。
【0047】
固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤又は錠剤崩壊剤としても作用し得る1種以上の物質であってもよく;固体担体はまた、封入材であってもよい。
【0048】
散剤では、担体は微粉化固体であり、散剤は、微粉化された6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の非晶質塩又は多型との混合物である。錠剤では、活性構成成分は、必要な結合特性を有する担体と好適な割合で混合され、所望の形状及び大きさに圧縮される。
【0049】
坐剤組成物の調製のためには、最初に脂肪酸グリセリド及びココアバターの混合物等の低融点ワックスを融解し、その中に活性成分を、例えば撹拌により分散する。次いで、この均質な融解混合物を好適な大きさの型内に配置し、冷まし及び凝固させる。
【0050】
好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖、糖、ペクチン、デキストリン、澱粉、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター等である。
【0051】
錠剤、散剤、カシェ剤及びカプセル剤は、摂取による経口投与に好適な固体剤形として使用することができる。
【0052】
液体形態の組成物としては、液剤、懸濁剤及び乳剤が挙げられる。例えば、活性化合物の無菌水又はプロピレングリコール水溶液は、非経口投与に好適な液体製剤であり得る。液体組成物はまた、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液に配合されてもよい。
【0053】
経口投与用の水溶液は、活性構成成分を水に溶解し、所望により好適な着色剤、香味剤、安定剤及び増粘剤を添加することにより調製されてもよい。経口使用のための水性懸濁液は、天然合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び当業者に既知の他の懸濁化剤等の粘着性材料と共に微粉化構成成分を水中に分散することにより作製されてもよい。
【0054】
投与モードに応じて、医薬組成物は、0.05%〜99%(重量パーセント)、より好ましくは0.10〜50重量%の、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の非晶質塩又は多型を含むことが好ましいであろう。全ての重量百分率は、総組成物に基づくものである。
【0055】
本発明による6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型又は非晶質塩が投与される投与量は、広い範囲内で変動してもよく、勿論、それぞれの特定の場合における個々の必要量に調整される必要があるであろう。
【0056】
本発明の範囲内には、医薬の製造のための6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型又は非晶質形態の使用が含まれる。
【0057】
本発明の範囲内には、てんかん、虚血、神経因性若しくは炎症性疼痛、精神障害等の精神疾患、嗜癖、耐性若しくは依存症から選択される中枢神経系疾患、鬱病及び不安神経症等の感情障害、注意欠陥/多動障害、双極性障害、運動障害、神経保護、偏頭痛、神経変性、神経毒性、パーキンソン病、PD−LID、ジストニア、記憶障害、アルツハイマー病、認知症、振戦せん妄等の神経疾患、注意障害、摂食障害、気分障害、認知障害、パーソナリティ障害、行動障害、アルコール、ニコチン、コカイン、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、鎮痛薬、オピエート若しくは他の物質の耐性若しくは依存症を含む薬物乱用関連疾患、過食症、拒食症、ギャンブル依存症、セックス依存症、強迫性障害、パニック症、恐怖症、外傷後ストレス障害、全般性不安障害、季節性感情障害、急性ストレス障害、脆弱X症候群等の遺伝性疾患、自閉症、肥満症及び胃腸疾患、例えば胃食道逆流症(GERD)、下部食道括約筋疾病若しくは疾患、胃腸運動の疾病、大腸炎、クローン病又は過敏性腸症候群(IBS)の治療のための医薬の製造のための6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型又は非晶質形態の使用も含まれる。
【0058】
本発明の更なる態様は、上述した任意の病状に苦しむ患者の治療のための方法であり、該方法により、有効量の、本明細書に定義した多型又は非晶質形態が、そのような治療を必要とする患者に投与される。
【0059】
加えて、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型又は非晶質形態のうちの少なくとも1つを、薬学的に許容され得る担体に関連して含有する医薬組成物が提供される。
【0060】
治療、特に本明細書に言及した病状の治療のための、本明細書に定義した多型のうちの少なくとも1つを、薬学的に許容され得る担体に関連して含有する医薬組成物が提供される。
【0061】
更に、本明細書に言及した任意の病状における使用のための、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の多型又は非晶質形態のうちの少なくとも1つを、薬学的に許容され得る担体に関連して含有する医薬組成物が提供される。
【0062】
実験方法
X線粉末回折(XRPD)
Philips PW3710回折計(波長α:1.5406Å、波長α:1.54439Å、Cu源、電圧45kV、フィラメント放出30mA)を使用して、X線粉末回折パターンを収集した。サンプルを5〜50°2θにて、2.5s/ステップ時間数で走査した。
【0063】
示差走査熱量測定(DSC)
Pyris Diamond DSC(PerkinElmer)を使用して、示差走査熱量測定を行なった。サンプル(約1〜3mg)をアルミニウムサンプルパン内に秤量し、DSCに移動した。ヘリウムを用いて機器を流速20mL/分でパージし、10℃/分の加熱速度を用いて30℃〜250℃でデータを収集した。
【0064】
実施例
本発明の化合物が調製、精製及び分析され得る方法を記載し、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない以下の実施例によって、本発明を更により詳細に記載する。
【0065】
実施例1:6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩形態の調製
51.0mgの6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンを、2.0mLのメタノール(192.2μmol)に溶解した。2.5mLの0.1Mリン酸溶液(0.25mmolのHPO)を6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンのメタノール溶液に、持続的な撹拌の下で加えた。透明な溶液が得られ、これは次いで6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩形態の沈殿を原因として乳状の液体に変化した。次いで、塩を沈下させ、上澄み液をデカントした。沈殿を窒素流下で乾燥した後、メタノールで洗浄した。次いで、6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩の乾燥固体を得た。
【0066】
MS m/z ES=266.2;H−NMR(500MHz、DMSO−d)δ:10.15(3H、br s),8.79−8.75(1H、m),8.51(1H、d),7.86(1H、s),7.76(1H、t),7.59(1H、dd),7.43(1H、d),7.36−7.29(2H、m),3.02(2H、t),2.88(2H、t);13C−NMR(125.76MHz、DMSO−d)δ:18.49,27.40,80.79,89.89,111.51,113.18,113.51,116.11,116.31,116.45,116.52,122.86,126.84,136.51,141.65,142.73,145.79,145.80,149.74,151.38,153.22;IR(cm−1):3102,3060,2937,2915,2688,2233,1592,1565,1537,1515,1477,1262,1169,819,772,752。
【0067】
実施例2:6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型−Iの調製
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジンの一リン酸塩(9.5mg、26μmol)を、連続的な撹拌と穏やかな暖め(30〜35℃)によって200mLのエタノール:水(80:20)の混合物に溶解した後、濾過して透明な溶液を得た。次いで、これを放置して5〜6℃で結晶化させた。結晶化した固体を濾過して取り出した後、真空下で乾燥して表題の化合物(7.0mg、74%)を得た。
【0068】
実施例3:6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩の多型−IIの調製
6−フルオロ−2−[4−(ピリジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン一リン酸塩(10.0g、27.3mmol)を200mLの水:アセトン(80:20)の混合物に溶解し、透明な溶液が得られるまで40℃で1時間撹拌したままにした。次いで、この溶液を4〜6℃に保って結晶化させた。結晶が沈殿した後、上澄みをデカントし、最後に結晶を真空下で12時間乾燥して表題の化合物を得た。
図1
図2
図3