(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768510
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】薬物詰め替えアプリケータシステムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20201005BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20201005BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
A61M5/142 524
A61M5/168 500
A61M5/168 516
A61M5/172
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-539292(P2016-539292)
(86)(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公表番号】特表2017-500118(P2017-500118A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】US2014071917
(87)【国際公開番号】WO2015100248
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年12月15日
(31)【優先権主張番号】61/920,195
(32)【優先日】2013年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510295077
【氏名又は名称】ミニパンプス, エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】515307799
【氏名又は名称】ダン, アンドリュー
(73)【特許権者】
【識別番号】516174172
【氏名又は名称】ウラザキ, アンドリュー
(73)【特許権者】
【識別番号】516174105
【氏名又は名称】ワン, ビン
(73)【特許権者】
【識別番号】515191291
【氏名又は名称】チャン, フーカン
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ダン, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウラザキ, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ビン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, フーカン
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス, アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ミナイエ, ペドラム
(72)【発明者】
【氏名】ソー, トゥン ミン
(72)【発明者】
【氏名】シー, ジェイソン
【審査官】
鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0276974(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0116666(US,A1)
【文献】
特表2009−535155(JP,A)
【文献】
特表2011−519695(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0234433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/168
A61M 5/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留部を詰め替えるための装置であって、前記装置は、
複数の貯留部と、
複数の貯留部流体チャネルであって、各貯留部流体チャネルは、前記複数の貯留部のうちのそれぞれの1つに接続されている、複数の貯留部流体チャネルと、
前記貯留部流体チャネルに流体的に接続されている出口流体チャネルと、
前記貯留部流体チャネルと前記出口流体チャネルとを流体的に密閉するための複数の弁であって、各弁は、クラッキング圧力を有する、複数の弁と、
前記貯留部流体チャネル内および前記出口流体チャネル内の圧力を監視するための少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの作動機構と、
前記出口流体チャネルと流体連通している管腔を有する針であって、前記針は、埋め込み可能な医療デバイスの薬物送達ポート内への挿入のために構成されている、針と、
ステップのシーケンスを含むプロトコルに従って少なくとも1つのポンプと前記複数の弁のうちのいくつかとを作動させるように構成されている制御器であって、それによって、流体経路が、洗浄および充填シーケンスにおいて、前記複数の貯留部のうちの異なる貯留部と前記針との間で開放され、前記ステップの各々は、前記監視された圧力に従って実行される、制御器と
を備えている、装置。
【請求項2】
前記制御器は、前記センサによる前記監視された圧力の検出時、前記シーケンスにおけるステップを実行するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記弁のうちの少なくとも一部は、能動弁である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記弁のうちの少なくとも一部は、受動弁である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つのフローセンサをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つのバイオセンサをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記制御器は、前記針に接続されている埋め込み可能なデバイスに対して損傷を与える圧力より下に前記出口管腔を通る圧力を維持するように前記ポンプを制御するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記制御器は、前記針に接続されている埋め込み可能なデバイスに材料を放出させる圧力より下に前記出口管腔を通る圧力を維持するように前記ポンプを制御するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記制御器は、前記ポンプを制御することにより、充填ステップまたは吸引ステップ中、前記出口流体チャネルにおける逆止め弁のクラッキング圧力より上に前記出口管腔を通る圧力を維持するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記制御器は、(i)複数の予め設定された圧力値とそれらの間の予め設定されたインターバル値とを格納するためのメモリを備えており、(ii)前記少なくとも1つの圧力センサを監視し、予め設定されたインターバル値の後の予め設定された圧力値の検出時、プロトコルステップを開始または終了するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
圧力以外のパラメータのための少なくとも1つのセンサをさらに備えており、前記制御器は、(i)圧力値を含む予め設定されたパラメータ値の一時的なプロファイルを格納するためのメモリを備えており、(ii)前記センサを監視し、前記格納されたプロファイルからの逸脱の検出時に、エラー状況を報告するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記パラメータ値は、検出された流量、累積フロー、圧力勾配変化、特定の圧力の持続、または、特定の圧力の範囲内でのプラトーのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
薬物チャンバを有する埋め込み可能なデバイスを詰め替える方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのポンプと、複数の貯留部と、複数の貯留部流体チャネルと、複数の弁と、前記貯留部流体チャネルに流体的に接続されている出口流体チャネルと、前記出口流体チャネルと流体連通している管腔を有する針とを備えている詰め替え装置を提供するステップであって、各貯留部流体チャネルは、前記複数の貯留部のうちのそれぞれの1つに接続されており、前記複数の弁は、前記貯留部流体チャネルと前記出口流体チャネルとを流体的に密閉するためのものであり、各弁は、クラッキング圧力を有する、ステップと、
前記貯留部流体チャネル内および前記出口流体チャネル内の圧力を監視するステップと、
前記埋め込み可能なデバイスの薬物送達ポート内へ前記針を挿入するステップと、
ステップのシーケンスを含むプロトコルに従って少なくとも1つの前記ポンプと前記複数の弁のうちのいくつかとを作動させるステップであって、それによって、流体経路が、洗浄および充填シーケンスにおいて、前記複数の貯留部のうちの異なる貯留部と前記針との間で開放され、前記ステップの各々は、前記監視された圧力に従って実行される、ステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記洗浄および充填シーケンスは、(i)許容最大圧力を超えない圧力において前記複数の貯留部のうちの第1の貯留部からの第1の流体を前記針を介して前記埋め込み可能なデバイスの薬物チャンバに入らせることと、(ii)前記薬物チャンバから前記第1の流体を取り除くことと、(iii)前記許容最大圧力を超えない圧力において、薬物を含む液体を入らせることとによって、前記薬物チャンバを洗い流すことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記許容最大圧力は、前記埋め込み可能なデバイスに対して損傷を与える圧力より小さい、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記許容最大圧力は、前記埋め込み可能なデバイスを通るフローを生じさせる圧力より小さい、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
圧力以外の少なくとも1つのパラメータを監視するステップと、格納されたトリガ値と一致するパラメータ値の検出時、前記シーケンスにおけるステップを開始または終了するステップとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記トリガ値は、検出された流量、累積フロー、圧力勾配変化、特定の圧力の持続、または、特定の圧力の範囲内でのプラトーのうちの少なくとも1つを含むか、またはこれらのうちの少なくとも1つから成る、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
圧力に加えて、圧力以外の少なくとも1つのパラメータを監視することをさらに含み、
圧力値を含む予め設定されたパラメータ値の一時的なプロファイルを格納するステップと、
前記監視されたパラメータに基づいて、前記格納されたプロファイルからの逸脱の検出時、エラー状況を報告するステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本願は、2013年12月23日に出願された米国仮特許出願第61/920,195号に対する優先権と、この出願の利益とを主張し、この出願の開示全体が、参照により、本明細書に援用される。
【0002】
(背景)
医療処置は、患者の身体の特定の部分への治療薬(すなわち、薬品、薬物など)の投与を要求する場合がある。患者が、より長生きし、慢性的な病気および/または衰弱させる病気と診断されると、さらに一層のタンパク質治療、小分子薬物および他の薬を標的の解剖学的領域に置く必要性が増大するばかりである。しかしながら、いくつかの病は、現在利用可能な治療を用いて処置すること、および/または、到達困難な解剖学的領域への薬物の投与を要求することが困難である。それらの治療の多くは、集中した標的領域処置から利益を得て、これは、全身性副作用を低減させる。さらに、特定の薬物(例えば、タンパク質治療)は、高価であり、バイアル毎に数千ドルの費用がかかる。これらに理由により、標的薬物送達への新規の改善されたアプローチが常に求められている。
【0003】
詰め替え可能な薬物貯留部を有する埋め込み可能な薬物送達デバイスが、従来の薬物送達モダリティに関連付けられる問題の多くに対処し、それらの問題を克服する。それらの埋め込み可能な薬物送達デバイスは、概して、特定の標的への薬剤溶液の制御された送達を容易にする。薬物貯留部の内容物が激減すると、臨床医は、原位置において(すなわち、デバイスが患者の身体内に埋め込まれたままで)貯留部を詰め替え得る。
【0004】
様々な大きさ、詰め替え要件および埋め込み位置の埋め込み可能なデバイスが利用可能となるので、詰め替えプロセスは、次第に難しくなる。しかしながら、詰め替えシステムそのものおよび関連付けられるプロセスは、根本的に改善されてこなかった。現在の詰め替えシステムは、詰め替えシステム全体を通して開放位置から閉鎖位置まで推移するように手動でまたは電子的に作動させられる注射器、複数の三方向弁、ピンチ弁などの複雑なシステムを使用し得る。これらのシステムは、学習曲線と、ヒューマンエラーまたはプログラミングエラーする傾向がある複数のステップとを有する。加えて、詰め替えが手動で行われる場合、不適切なまたは最適でない針挿入が、薬物送達デバイスへの損傷、患者の更なる不快感、または患者に対する悪影響を引き起こし得る。
【0005】
それゆえ、手順を単純化して潜在的なエラーを低減させる方法が高く望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
様々な実施形態において、本発明は、詰め替え針と、貯留部と、公知のクラッキング圧力の受動逆止め弁のシステムと、薬物ポンプデバイスを詰め替えるために使用される圧力作動ポンプと、システム全体を通した様々なセンサとを組み込んでいる詰め替えシステムに関連する。システムの一部を自動化することによって、本発明の実装は、臨床医が、詰め替えシーケンスの各ステップを作動させることから気をそらすことなく、全ての詰め替え手順に集中することを可能にする。
【0007】
様々な実施形態において、本発明は、薬物送達デバイスのための詰め替えシステムを提供する。例えば、本発明は、充填ポートを有する薬物貯留部を含む埋め込まれた詰め替え可能な薬物ポンプデバイスを詰め替えるためのシステムとして実装され得る。システムは、薬物ポンプデバイスの充填ポート内への挿入のための、かつ1つ以上の流体容器に流体的に接続可能な針と、流体容器(単数または複数)と詰め替えられるデバイス内の薬物貯留部との間で針を通して流体フローを起こすための1つ以上のポンプと、複数の逆止め弁と、ポンプ(単数または複数)の動作を制御するためのプロセッサを含む電子回路と、詰め替えシステムと埋め込まれた薬物ポンプデバイスとの間の無線データ交換を容易にするための無線通信モジュールとを含み得る。システムは、流体容器(単数または複数)を針に流体的に接続するためのチューブをさらに含み得る。この詰め替えシステムは、外部から設置されている皮下ポンプ(例えば、装着可能なインスリンポンプまたはペインポンプ)を詰め替えるためにも使用され得る。
【0008】
本発明の実施形態は、詰め替えプロセスのステップの数と後続の合計時間とを低減させる複数のはめ込まれた安全装置を有する部分的にまたは完全に自動化されたシステムを提供する。能動的な機械的安全装置は、エラーを防ぎ、様々な構造的特徴および構成が、チューブセットにおけるデッドスペースを最小化し得、それによって、投与中の薬物廃物を低減または除去する。いくつかの実施形態において、圧力および/または他のパラメータが監視されており、予め設定された値の検出が、詰め替えプロセスの1つ以上(または全部)の開始および完了をもたらす。
【0009】
本発明は、詰め替えシステムを単純化し、多くの利点を提供する。詰め替えシステム全体を通して開放位置から閉鎖位置まで手動でまたは電子的に変化させられる注射器、三方向弁、ピンチ弁などの複雑なシステムを使用する現在の詰め替えシステムと違って、本発明の実施形態は、詰め替えシステムを部分的にまたは完全に自動化するために詰め替えシステム全体を通して要求される既知の圧力に依存する。
【0010】
従って、第1の局面において、本発明の実施形態は、貯留部を詰め替えるための装置を特徴づけ、装置は、複数の貯留部と、複数の貯留部流体チャネルと、出口流体チャネルと、貯留部流体チャネルおよび出口流体チャネルを流体的に密閉するための複数の弁と、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの作動機構と、針と、制御器とを含むかまたはそれらから基本的に成る。複数の貯留部流体チャネルの各々は、複数の貯留部のうちの1つに関連付けられている。出口流体チャネルは、貯留部流体チャネルに流体的に接続されている。複数の弁の各々は、クラッキング圧力を有する。少なくとも1つのセンサは、貯留部流体チャネル内および出口流体チャネル内の圧力を監視する。針は、出口流体チャネルと流体連通している管腔を有し、針は、埋め込み可能な医療デバイスの薬物送達ポート内への挿入のために構成されている。制御器は、ステップのシーケンスを含むかまたはステップのシーケンスから基本的に成るプロトコルに従って、少なくとも1つの前記ポンプと、複数の弁のうちのいくつかとを作動させ、それによって、流体経路が、洗浄および充填シーケンスにおいて、複数の貯留部のうちの異なる貯留部と針との間で開放され、ステップの各々は、予期される圧力レベルに関連付けられている。
【0011】
本発明の実施形態は、様々な組み合わせのいずれにおいても以下のうちの1つ以上を含み得る。制御器は、センサを介した予期された圧力レベルの検出時にシーケンスにおけるステップを実行するように構成されている。弁の少なくとも一部は、能動弁であり得る。弁の少なくとも一部は、受動弁であり得る。装置は、少なくとも1つのフローセンサおよび/または少なくとも1つのバイオセンサを含み得る。制御器は、針に接続されている埋め込み可能なデバイス(例えば、埋め込み可能な医療デバイス)に対して損傷を与える圧力より下に出口管腔を通る圧力を維持するようにポンプを制御するように構成され得る。制御器は、針に接続されている埋め込み可能なデバイス(例えば、埋め込み可能な医療デバイス)に材料を放出させる圧力より下に出口管腔を通る圧力を維持するようにポンプを制御するように構成され得る。制御器は、ポンプを制御することにより、充填ステップまたは吸引ステップ中、充填ステップまたは吸引ステップ中に動作可能に使用される流体ラインにおける逆止め弁のクラッキング圧力より上に出口管腔を通る圧力を維持するように構成され得る。制御器は、複数の予期される圧力レベルとそれらの間の予期されるインターバルとを格納するためのメモリを含み得る。制御器は、少なくとも1つのセンサを監視し、予期されるインターバルの後の予期される圧力レベルの検出時に、プロトコルステップを開始または終了するように構成され得る。装置は、圧力以外のパラメータのための少なくとも1つのセンサを含み得、制御器は、(i)圧力値を含む予期されるパラメータ値の一時的なプロファイルを格納するためのメモリを含み得、(ii)センサを監視し、格納されたプロファイルからの逸脱の検出時に、エラー状況を報告するように構成され得る。パラメータ値は、検出された流量、累積フロー、圧力勾配変化、特定の圧力の持続、および/または、特定の圧力の範囲内でのプラトーを含み得るか、またはそれらから基本的に成り得る。
【0012】
第2の局面において、本発明の実施形態は、薬物チャンバを有する埋め込み可能なデバイスを詰め替える方法を特徴づける。詰め替え装置が提供される。詰め替え装置は、少なくとも1つのポンプと、複数の貯留部と、複数の貯留部流体チャネルと、複数の弁と、貯留部流体チャネルに流体的に接続されている出口流体チャネルと、出口流体チャネルと流体連通している管腔を有する針とを含むかまたはそれらから基本的に成り、各貯留部流体チャネルは、複数の貯留部のうちの1つに関連付けられており、複数の弁は、貯留部流体チャネルと出口流体チャネルとを流体的に密閉するためのものであり、各弁は、クラッキング圧力を有する。圧力レベルは、監視されている。針は、埋め込み可能なデバイスの薬物送達ポート内へ挿入される。少なくとも1つの前記ポンプおよび複数の弁のうちのいくつかは、ステップのシーケンスを含むかまたはステップのシーケンスから基本的に成るプロトコルに従って作動させられ、それによって、流体経路が、洗浄および充填シーケンスにおいて、複数の貯留部のうちの異なる貯留部と針との間で開放され、ステップの各々は、予期される圧力レベルに関連付けられている。
【0013】
本発明の実施形態は、様々な組み合わせのいずれにおいても以下のうちの1つ以上を含み得る。洗浄および充填シーケンスは、(i)許容最大圧力を超えない圧力において複数の貯留部のうちの第1の貯留部からの第1の流体を針を介して薬物チャンバに入らせることと、(ii)薬物チャンバから第1の流体を取り除くことと、(iii)許容最大圧力を超えない圧力において、薬物を含む液体を入らせることとによって、埋め込み可能なデバイスの薬物チャンバを洗い流すことを含み得るか、またはそれから基本的に成り得る。許容最大圧力は、埋め込み可能なデバイスに対して損傷を与える圧力未満であり得る。許容最大圧力は、埋め込み可能なデバイスを通るフローを起こす圧力未満であり得る。圧力以外の少なくとも1つのパラメータ値は、監視され得、格納されたトリガ値に合ったパラメータ値の検出時に、シーケンスにおけるステップが開始または終端させられ得る。トリガ値は、検出された流量、累積フロー、圧力勾配変化、特定の圧力の持続、および/または、特定の圧力の範囲内でのプラトーを含み得るか、またはこれらから基本的に成り得る。圧力以外のまたは圧力に加えて少なくとも1つのパラメータが監視され得る。圧力値を含む予期されるパラメータ値の一時的なプロファイルが格納され得る。監視されたパラメータに基づいて、格納されたプロファイルからの逸脱の検出時に、エラー状況が報告され得る。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
貯留部を詰め替えるための装置であって、前記装置は、
複数の貯留部と、
複数の貯留部流体チャネルであって、各貯留部流体チャネルは、前記複数の貯留部のうちの1つに関連付けられている、複数の貯留部流体チャネルと、
前記貯留部流体チャネルに流体的に接続されている出口流体チャネルと、
前記貯留部流体チャネルと前記出口流体チャネルとを流体的に密閉するための複数の弁であって、各弁は、クラッキング圧力を有する、複数の弁と、
前記貯留部流体チャネル内および前記出口流体チャネル内の圧力を監視するための少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの作動機構と、
前記出口流体チャネルと流体連通している管腔を有する針であって、前記針は、埋め込み可能な医療デバイスの薬物送達ポート内への挿入のための構成されている、針と、
ステップのシーケンスを含むプロトコルに従って少なくとも1つのポンプと前記複数の弁のうちのいくつかとを作動させるための制御器であって、それによって、流体経路が、洗浄および充填シーケンスにおいて、前記複数の貯留部のうちの異なる貯留部と前記針との間で開放され、前記ステップの各々は、予期される圧力レベルに関連付けられている、制御器と
を備えている、装置。
(項目2)
前記制御器は、前記センサによる前記予期される圧力レベルの検出時、前記シーケンスにおけるステップを実行するように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記弁のうちの少なくとも一部は、能動弁である、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記弁のうちの少なくとも一部は、受動弁である、項目1に記載の装置。
(項目5)
少なくとも1つのフローセンサをさらに備えている、項目1に記載の装置。
(項目6)
少なくとも1つのバイオセンサをさらに備えている、項目1に記載の装置。
(項目7)
前記制御器は、前記針に接続されている埋め込み可能なデバイスに対して損傷を与える圧力より下に前記出口管腔を通る圧力を維持するように前記ポンプを制御するように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目8)
前記制御器は、前記針に接続されている埋め込み可能なデバイスに材料を放出させる圧力より下に前記出口管腔を通る圧力を維持するように前記ポンプを制御するように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目9)
前記制御器は、前記ポンプを制御することにより、充填ステップまたは吸引ステップ中、前記充填ステップまたは吸引ステップ中に動作可能に使用される前記流体ラインにおける逆止め弁のクラッキング圧力より上に前記出口管腔を通る圧力を維持するように構成されている、項目7に記載の装置。
(項目10)
前記制御器は、(i)複数の予期される圧力レベルとそれらの間の予期されるインターバルとを格納するためのメモリを備えており、(ii)前記少なくとも1つのセンサを監視し、予期されるインターバルの後の予期される圧力レベルの検出時、プロトコルステップを開始または終了するように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目11)
圧力以外のパラメータのための少なくとも1つのセンサをさらに備えており、前記制御器は、(i)圧力値を含む予期されるパラメータ値の一時的なプロファイルを格納するためのメモリを備えており、(ii)前記センサを監視し、前記格納されたプロファイルからの逸脱の検出時に、エラー状況を報告するように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目12)
前記パラメータ値は、検出された流量、累積フロー、圧力勾配変化、特定の圧力の持続、または、特定の圧力の範囲内でのプラトーのうちの少なくとも1つを含む、項目11に記載の装置。
(項目13)
薬物チャンバを有する埋め込み可能なデバイスを詰め替える方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのポンプと、複数の貯留部と、複数の貯留部流体チャネルと、複数の弁と、前記貯留部流体チャネルに流体的に接続されている出口流体チャネルと、前記出口流体チャネルと流体連通している管腔を有する針とを備えている詰め替え装置を提供するステップであって、各貯留部流体チャネルは、前記複数の貯留部のうちの1つに関連付けられており、前記複数の弁は、前記貯留部流体チャネルと前記出口流体チャネルとを流体的に密閉するためのものであり、各弁は、クラッキング圧力を有する、ステップと、
圧力レベルを監視するステップと、
前記埋め込み可能なデバイスの薬物送達ポート内へ前記針を挿入するステップと、
ステップのシーケンスを含むプロトコルに従って少なくとも1つの前記ポンプと前記複数の弁のうちのいくつかとを作動させるステップであって、それによって、流体経路が、洗浄および充填シーケンスにおいて、前記複数の貯留部のうちの異なる貯留部と前記針との間で開放され、前記ステップの各々は、予期される圧力レベルに関連付けられている、ステップと
を含む、方法。
(項目14)
前記洗浄および充填シーケンスは、(i)許容最大圧力を超えない圧力において前記複数の貯留部のうちの第1の貯留部からの第1の流体を前記針を介して薬物チャンバに入らせることと、(ii)前記薬物チャンバから前記第1の流体を取り除くことと、(iii)前記許容最大圧力を超えない圧力において、薬物を含む液体を入らせることとによって、前記埋め込み可能なデバイスの前記薬物チャンバを洗い流すことを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記許容最大圧力は、前記埋め込み可能なデバイスに対して損傷を与える圧力より小さい、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記許容最大圧力は、前記埋め込み可能なデバイスを通るフローを生じさせる圧力より小さい、項目14に記載の方法。
(項目17)
圧力以外の少なくとも1つのパラメータ値を監視するステップと、格納されたトリガ値と一致するパラメータ値の検出時、前記シーケンスにおけるステップを開始または終了するステップとをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目18)
前記トリガ値は、検出された流量、累積フロー、圧力勾配変化、特定の圧力の持続、または、特定の圧力の範囲内でのプラトーのうちの少なくとも1つを含むか、またはこれらのうちの少なくとも1つから成る、項目17に記載の方法。
(項目19)
圧力以外のまたは圧力に加えて少なくとも1つのパラメータを監視することをさらに含み、
圧力値を含む予期されるパラメータ値の一時的なプロファイルを格納するステップと、
前記監視されたパラメータに基づいて、前記格納されたプロファイルからの逸脱の検出時、エラー状況を報告するステップと
をさらに含む、項目13に記載の方法。
【0014】
用語「実質的に」または「おおよそ」は、(例えば、重量または体積が)±10%を意味し、いくつかの実施形態において、±5%を意味する。本明細書全体を通して、「1つの例(one example)」「一例(an example)」「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」に対する言及は、その例と関係して記載されている特定の特徴、構造または特性が本技術の少なくとも1つの例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した様々な場所におけるフレーズ「1つの例において(in one example)」「一例において(in an example)」「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」の存在は、必ずしも、全てが同じ例に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップまたは特性は、本技術の1つ以上の例において任意の適した態様で組み合わせられ得る。本明細書に提供されている表題は、単なる便宜上のものであり、主張される技術の範囲または意味を限定または解釈するように意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
前述は、特に図面と併せられるときに、本発明の以下の詳細な説明からより簡単に理解される。
【0016】
【
図1A】
図1Aは、本発明の様々な実施形態に従った手持ち詰め替えツールの斜視図である。
【0017】
【0018】
【
図2】
図2は、本発明の様々な実施形態に従った薬物ポンプデバイスおよび詰め替えシステムのブロック図であり、システムの様々な構成要素間の通信リンクを示している。
【0019】
【
図3】
図3は、本発明の様々な実施形態に従ったモジュラーユニットの斜視図である。
【0020】
【
図4】
図4〜
図6は、本発明の様々な実施形態に従った配管図である。
【
図5】
図4〜
図6は、本発明の様々な実施形態に従った配管図である。
【
図6】
図4〜
図6は、本発明の様々な実施形態に従った配管図である。
【0021】
【
図7】
図7は、代表的な吸引および充填シーケンスの圧力‐時間プロファイルを示すグラフである。
【0022】
【
図8】
図8は、異なる充填および真空圧力を使用した、
図7に示されている基礎の曲線プロファイルの保持を描いている。
【0023】
【
図9】
図9は、本発明の複数の実施形態に従った、詰め替えサイクルのための基礎の決定ツリーを示すフローチャートである。
【0024】
【
図10】
図10は、
図7に示されているグラフを生成した吸引および充填シーケンスを示しているフローチャートである。
【0025】
【
図11】
図11は、妨害された針を示す状況を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、概して、詰め替え可能薬物貯留部を有する埋め込み可能な薬物ポンプデバイス(例えば、眼の薬物ポンプ、埋め込み可能なインスリンポンプ、内耳ポンプ、および脳ポンプ)についての詰め替えシステムに関連する。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、詰め替えシステムは、複数の構成要素により実現され得、複数の構成要素のうちの1つは、ハンドピース100である。より詳細に後述されるように、ポンプ、制御回路、ならびに、弁およびセンサのうちのいくつかは、再使用可能なベースユニットに組み込まれ、ベースユニットからの1対の流体チャネルが、ハンドピース100の遠位端部に入る;ハンドピースは、取り外し可能な(取り替え可能な)詰め替え針102において終端し、詰め替え針102は、好ましくは、小口径針である。ハンドピース100は、人間工学的ハンドル部分105を含み、人間工学的ハンドル部分105は、臨床医が、原位置において、埋め込まれたデバイスを詰め替えることを可能にする。好ましい実施形態において、同じ針102が、薬物貯留部内への針挿入頻度と、患者および臨床医の関連付けられるストレスと、詰め替えポートの摩耗とを最小化させるために、詰め替えプロセスの間中ずっと、使用される。以下に説明されるように、複数の流体(一緒に投与されるべき複数の別個に格納された薬物)が、薬物ポンプデバイス内へ注入されるべきであるとしても、単一の針挿入が十分である。したがって、針102は、連続して、異なる流体容器に接続される。
【0027】
ハンドピース100は、望ましくは、重量のバランスがとれており、流体の移動が視覚的に確認されることが可能なようにはめ込み式透明窓を有し得る。安全を目的として、ハンドピース100は、はめ込み式のユーザ作動の引っ込み可能な針‐格納スロットを有し得、それにより、詰め替えツールが使用状態ではないときに針102を隠して格納する。ある実施形態において、
図1Bの断面図に最良に見られるように、ハンドピース100は、1対の逆止め弁110、112と、薬物貯留部115とを含み得る。逆止め弁110、112のうちの一方または両方は、能動的にまたは受動的に、流体の充填および抽出のプロセスを調整するのに役に立つ。図示されている実施形態において、弁110は、二方向逆止め弁であり、弁112は、一方向逆止め弁である。弁110は、流体ライン120に流体的に結合され、弁112は、流体ライン122に流体的に結合される。ハンドピース100は、1つ以上のモダリティを含み得、それにより、詰め替えられるべきデバイスの詰め替えポートを検出することをアシストする。そのようなモダリティは、圧力センサ、光源、容量感知チップならびに圧電要素チップ、および/または磁気構造体ならびにホール効果構造体を含み得、これらは、詰め替えプロセス全体を通して、追加のフィードバックをユーザに提供し得る。
【0028】
図2は、本発明を実現する代表的な詰め替えシステムの動作環境および概略のシステム構成を図示している。論じられるように、例えば、米国出願第13/632,722号において、詰め替え可能薬物ポンプデバイス200は、薬物貯留部と、ポンプチャンバと、デバイス200を動作させるための制御回路とを含み得、この出願の開示全体は、参照により、本明細書に援用される。貯留部からの薬物は、カニューレを介して解剖学的部位へ送達され、貯留部は、充填ポートを介してハンドピース100の針102によって詰め替えられ得る。後述されるように、詰め替えシステムの様々な動作構成要素が、ベースユニット210内に収納され、ベースユニット210は、薬物詰め替え貯留部215と、廃物貯留部217と、すすぎ流体用貯留部220とを含む。ポンピングユニット222が、1つ以上のポンプ(例えば、1つ以上の空気圧式空気ポンプ、真空ポンプ、組合せ二重ダイヤフラムポンプ、または適した圧力差を作り出すための、当該技術分野において公知の任意の他のポンプ構成)を含む。さらに、無菌フィルタおよび空隙を使用することによって任意の流体とポンプそのものとの間に無菌バリアを作り出すことは、医学産業において周知であり、かつ常識である。これは、ポンピングユニット222がモジュール式かつ再使用可能であることを可能にする。ポンピングユニット222は、詰め替えプロセスの要件(例えば、流体、流体チャネル、ポンプ作動要件の数)に従った2つ以上のポンプを備え得る。
【0029】
様々な実施形態において、これらのポンピングユニットは、マイクロプロセッサを含む電子的制御回路225内で動作するソフトウェアによって調整される。しかしながら、臨床医は、前の段階が終了した後に機械的アクチュエータを使用して詰め替え手順の各段階を手動で開始することを選び得る。アクチュエータは、ハンドピース100内に内蔵され得るが、いくつかのボタンまたはスイッチは、別個に(例えば、フットペダルに)位置し得る。薬物送達デバイスが1つ以上のセンサ(フロー、圧力、生物学的など)を含む場合、ポンピングユニット222は、テレメトリまたは他の電子的通信方法を通してデバイス200と能動的に通信し得、それにより、成功した詰め替え、および詰め替えプロセス中の事故のない薬物送達を確実にする。そのような通信プロトコルは、詰め替え中、薬物送達デバイス上での診断チェックをするために使用され得る。詰め替えプロセス中、正確であるべき既知の流量および/または圧力の読み込みは、デバイス200からのセンサ読み込みと比較され得、それにより、既知の投与プロファイルを介してフローセンサおよび/または感知された圧力変動を介して圧力センサを較正する。そのような診断プロトコルおよび再較正プロトコルは、デバイス200の寿命の間中、薬物送達の正確さを改善させる。
【0030】
したがって、ベースユニット210の制御回路225は、(送信器と、関連する回路とを含む)通信モジュールまたはテレメトリモジュール230を含み得、通信モジュールまたはテレメトリモジュール230は、制御回路225とは別個に(例えば、手持ちテレメトリ棒232内に)提供され、これは、臨床医が、都合良く、埋め込まれたポンプデバイス200の近辺に棒232を持ってくることを可能にする。棒は、ベースユニット210に束ねられ得るか、または、別個の無線接続を介してベースユニット210と通信し得る。採用される場合、棒232は、デバイス200を調査するために使用され得、棒232は、双方向データ交換および/または電力伝達を可能にする。調査は、例えば、デバイス200を詰め替えモードに切り替えることを伴い得、詰め替えモードにおいて、デバイスの内部作動(電気分解、電子浸透、圧電作動など)がオフにされ、情報(例えば、詰め替え薬物名(例えば、取り外し可能な薬物貯留部215に関連付けられておりかつ読取器238によって読み取られるID))、濃度および量がデバイス200に伝送され得る。調査ステップは、認証プロトコルも含み得、これにより、薬物の承認なしの使用を防ぎ、かつ、埋め込みのソフトウェア保護を確実にする。
【0031】
薬物ポンプデバイス200と交換されたデータは、ローカルサーバ240に格納され、ローカルサーバ240は、ベースユニット210と一体化されているか、またはベースユニット210に接続されている。代替的には、通信モジュール230は、ベースユニット210が、例えば遠隔でインターネットを介して、外部サーバ245と通信することを許可し得る。例えば、ベースユニット210は、Wi−Fi、Zigbee(登録商標)、または、携帯サービスまたは他の無線性能に常にアクティブにされている携帯電話チップ(GSM(登録商標)、CDMA)を有し得る。これは、患者および薬物のデータが詰め替えシステムの外側で(「クラウドにおいて」)格納されることを可能にし、更なるレベルの保護と動作柔軟性とを提供し得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、テレメトリモジュール252を備えている特別なメガネ250が、デバイス200のバッテリーを再充電するために使用される。そのような眼鏡は、例えば、2009年5月8日に出願された米国第12/463,251号に記載されており、この出願の開示全体が、参照により、本明細書に援用される。詰め替えシステムのこの眼鏡250およびベースユニット210は、相互に接続されるか、または共通のコンソールに接続され、薬物ポンプデバイス200との無線データ交換は、別個のテレメトリ棒232ではなく眼鏡を介して起こり得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、1つ以上のセンサが、連続した監視と段階完了の決定とのために詰め替えシステムに計画的に設置される。1つの実施形態において、後述されるように、針先端102における圧力センサ260が、デバイス200の薬物貯留部内の圧力を決定するため、および、詰め替えプロセスの各ステップの開始および完了をもたらすために、主に使用される。圧力センサ260は、受動逆止め弁と組み合わせて、プロセスを完全に自動化するために使用され得る。針先端102における圧力センサ260は、デバイス200の充填ポート内への詰め替え針102の不適切な挿入(例えば、隔壁の途中)も検出し得る。圧力センサは、薬物貯留部215内および廃物貯留部217内に配され得、それにより、システム内での起こり得る閉塞を検出し、詰め替えプロセスのシャットダウンをもたらす。いくつかの実施形態において、圧力センサは、ポンピングユニット222と貯留部215、217との間の流路内に位置し、それにより、流路漏れなどの欠陥を検出する。
【0034】
フローセンサは、薬物の詰め替えおよび廃物の抽出のフローを監視するために、流路の周りまたはインラインに設置され得る。いくつかの実装において、これらのフローセンサは、流体フローの方向および/または液体流量に従って異なる向きを有する可撓なフラップなどの単なる構造的構成要素である。これは、フローを視覚的に確かめることを提供する。他の実施形態において、フローセンサは、飛行時間、熱的効果、化学的濃度、および/または圧力を利用し、それにより、正確な連続した流量測定を提供し、正確な連続した流量測定から、洗浄液の挿入、洗浄液の抽出および薬物の詰め替えの合計量が計算されることが可能である。送達および抽出される流体の量を計測する他の方法も使用され得る。
【0035】
埋め込み可能デバイスは、組織の内部成長および起こり得る感染に対して脆弱である。従って、詰め替え針102は、(260においても指し示されている)バイオセンサを含み得、それにより、特定の状況(例えば、炎症バイオマーカー、細菌感染など)を検出する。加えて、廃物貯留部217が別個でありかつ取り外し可能である場合、追加のテストが、外部装置(例えば、ラボアッセイおよび質量分析計)を使用して、抽出された廃物流体に対して行われ得る。
【0036】
代表的なモジュラーユニット300が
図3に示されている。貯留部に加えて、モジュラーユニット300は、窓などの特徴を含み得、詰め替えプロセス中、そこを通して、廃物の抽出および薬物の詰め替えが可視化されることが可能である。廃物貯留部217は、液体の導入が貯留部に特徴的な(例えば、有害な)カラーリングを与えるようにコーティングされ得る。各貯留部は、異なるタイプの接続も有し得、その結果、貯留部は、誤って置き換えられない。モジュラーユニット300はまた、構造的特徴(例えば、チュービング管理および安全針の格納)と、(注射器を用いて薬物貯留部215を充填する必要性を除去する)貯留部として役立ち得る標準的な薬物バイアルを収容するスロットとを有し得る。モジュラーユニット300は、臨床医が窓を通して詰め替えプロセスの進行を視覚的に監視し得るように、無菌野に設置され得る。詰め替え要件(詰め替え薬物の量、洗浄サイクルの数など)に応じて、モジュラーユニット300は、ハンドピース100内に内蔵され得る。
【0037】
モジュラーユニット300は、複数の薬物貯留部を組み込み得る。1つの実施形態において、モジュラーユニット300は、2つの薬物貯留部215と、追加の混合貯留部(示されていない)とを含む。例えば、ある薬物貯留部からの非活性薬物と第2の薬物貯留部からの活性化剤とが、混合貯留部へ送られ、そこで、薬物が活性化され、注入の用意ができる。平行なステップあるいは連続的なステップにおいてまたは任意の組み合わせにおいて作動させられる複数の貯留部を組み込む他の構成も可能である。いくつかのそのような実施形態において、電子的レギュレータおよび/または能動弁が、ある期間において流路を選択的に閉鎖するために、利用され得る。モジュラーユニット300は、薬物を身体の温度まで温めるための加熱要素も含み、それにより、薬物の導入中の温度差による患者の不快感を低減させる。
【0038】
本明細書に従った詰め替えシステムの代表的な流体の配置が
図4〜
図6に示されている。
図4に描かれている実施形態において、ポンピングユニット222は、流体ライン412を介して廃物貯留部217から材料を取り出すための真空ポンプ410と、流体ライン417を介して針102を通して薬物貯留部215から液体薬物を運ぶポンプ415とを有する。ポンプ415は、標準的な機械的ポンプ(例えば、ギア、ダイヤフラム、蠕動型など)であり得る。1対の電子的レギュレータ420、422は、ポンプ410、415の動作を制御し、1対の電子的レギュレータ420、422は、それら自体、
図2に示されている電子制御回路225の制御下にある。1対のソレノイド弁430、432も、レギュレータ420、422および/または制御回路225の制御下であり、1対のソレノイド弁430、432は、流体ライン412、417が大気へ通気されることを可能にする。流体の配置は、1対のインライン無菌フィルタ440、442も含む。上述されたように、図示されている様々な構成要素は、ハンドピース100、ベースユニット210およびモジュラーユニット300において所望されるものであり得る。薬物貯留部215は、無菌フィルタ453を通過した後に二方向逆止め弁110を介して注射器450によって充填される。
【0039】
図5は、追加の薬物貯留部215’と、関連付けられる構成要素(すなわち、逆止め弁110’、無菌フィルタ442’、453’、および注射器450’)とを含む代替的な流体の配置を図示している。これらの構成要素は、第3の流体ライン417’を介してポンプ415に流体的に接続される。ポンプ415は、拡張されたソレノイド弁432を用いてライン417、417’のうちの一方を介するフローと通気するフローとを交互に制御し、その結果、貯留部215、215’のうちのどちらかにおける薬物が針102を通して選択的に放出される。
【0040】
図6は、すすぎ液貯留部220を含む流体の配置を図示している。配管は、
図5に示されている配管と同一であり、すすぎ液貯留部220からの出力フローは、ポンプ415の制御下である。
【0041】
詰め替えシステムは、デッドスペースを最小化する特徴を含み得、それによって、詰め替えプロセスに必要とされる薬物の量を低減させる。これは、手順ごとの総費用を低減させる。1つの実施形態において、薬物詰め替え貯留部215は、ハンドピース100内に設置され、その結果、薬物は、針の先端102と貯留部215との間のチューブにおいて無駄にされない。この構成は、詰め替え量が、詰め替えハンドピース100を保持して適切に使用するユーザの能力を妨害しない場合に、有益である。別の構成において、モジュラーユニットは、無菌野に設置され、モジュラーユニットは、薬物貯留部215と、廃物貯留部217とを含み、それによって、無菌野の外側でのポンピングユニットにおける薬物貯留部の設置と比較して、流体を含むチューブの長さを低減させる。
【0042】
上述された薬物詰め替えシステムは、貯留部からの材料を充填するか、貯留部からの材料で洗い流すか、または貯留部から材料を抽出するために使用され得る。ここで、そのシステムを使用するための技術が論じられる。
【0043】
準備段階
図4〜
図6を参照すると、準備段階が無菌野内で行われ、薬品を用いて注射器450を充填することから始まる。空気が注射器450から一掃され、次いで、注射器450が、固定接続(例えば、ルアーロック接続)を介して詰め替えハンドピース100またはモジュラーユニット300に接続される。注射器の内容物は、無菌バリア453を通して、二方向弁110を通して、詰め替え薬物貯留部215内へ送られる。ソレノイド弁432は、最初は大気に開放しており、受動二方向逆止め弁110は、薬物貯留部に開放している。それゆえ、注射器450からの薬物は、薬物貯留部215に入るようにのみ付勢される。このステップは、隣接する貯留部215’において必要な任意の追加の薬物または洗浄液について反復され得る。二方向逆止め弁110、110’は、間違った針の接続を妨げるために異なる直径を有し得る。代替的には、薬品バイアルが、注射器450の必要性を除去するためにモジュラーユニット300内へ一体化される取り替え可能な構成要素であり得る。
【0044】
薬物詰め替えステップ(吸引および詰め替えのサイクル)
図2を参照すると、薬物詰め替えは、医療デバイス200の詰め替えポート内への針102の挿入によって始められ得る。デバイス200の薬物貯留部との流体接続を達成するための(視覚的に確認されるように、かつ/または、圧力センサにより取得される圧力読取値によって)詰め替えポートの隔壁を通した適切な挿入を確認すると、詰め替えプロセスが開始される。正しい挿入は、様々な圧力変動を生成し、詰め替えシステム内の圧力センサとポンプ内の圧力センサとによって報告される圧力変化を相互に関連付けることによってテストされ得る。後続のステップは、現在のステップの終了と後続のステップの開始とをもたらす特定の圧力閾値に関連付けられる。これは、(
図6を加えて参照して)
図7に図示されている。初期時間t
0において、システムの圧力は、満杯または部分的に満杯の貯留部に関連付けられておりかつ701において指し示される安定状態レベルであり、真空ポンプ410が起動させられ、ソレノイド弁432が、針102を介してポンプ410とデバイス200の薬物貯留部との間の流体連通を開放するように動作させられる。(貯留部内で測定されて詰め替えシステムに報告されるような、または、針102において測定されるような)薬物貯留部内の圧力が702において指し示されるレベルに到達していると、薬物貯留部は空であり、吸引が完了する。短いインターバルが経過し、703において指し示されている時間において、弁430、432は、流体ライン417’(および針102)を介してポンプ415とデバイス200の薬物貯留部との間の流体連通を開放するように動作させられる。受入貯留部が貯留部220からの洗浄液体で充填されるにつれて受入貯留部内の圧力が上昇し、その圧力が、704において指し示されるレベルに到達すると、その貯留部は、再度満杯である。吸引ステップが、洗浄液体の貯留部を一掃するために繰り返され、別の洗浄サイクル(充填の後に真空)が行われる。第2の洗浄サイクルの後の短いインターバルの後に、圧力および時間は、706において指し示される値に到達し、貯留部は、薬物で充填される。すなわち、弁430、432は、流体ライン417(および針102)を介してポンプ415とデバイス200の薬物貯留部との間の流体連通を開放するように動作させられ、受入貯留部が貯留部215からの薬物で充填されるにつれて受入貯留部内の圧力が上昇する。次いで、圧力が、満杯の貯留部に関連付けられておりかつ707において指し示される安定状態レベルまで下がる。
図8に図示されているように、これらの曲線プロファイル(圧力‐時間の関係)は、保持される基礎の圧力‐時間プロファイルを用いて様々な充填圧力および真空圧力において複製可能である。
図9は、フローチャート形態における手順のステップを図示している。
【0045】
従って、
図7に示されている圧力‐時間プロファイルは、通常の吸引および詰め替えのシーケンスについてのテンプレートとして使用され得る。詰め替えシステム制御部225(
図2)は、特定のパラメータ(例えば、関連する時間、持続値ならびに/あるいは圧力値、閾値、曲線応答、漸近線、変曲点、または他の検出可能な曲線特性)の値を認識し、これらに基づいて詰め替えプロセスの各ステップを開始または終了させるようにプログラムされている。いくつかの実施形態において、これらのトリガ値は、製造および較正の後に、不揮発性メモリ内(例えば、回路225内)に永久的に格納される。他の実施形態において、その値は、(例えば、オペレータとのダイアログを介して)例えば制御器による使用および自己査定に基づいて、改変され得る−すなわち、制御器は、テスト手順を開始し、格納されているトリガ値を確認して各ステップの適切な完了を確かめ得、必要に応じて、テストの結果に基づいてこれらの値を改変する。これは、制御システムが反復使用のために設計されている実施形態において特に有益であり、値は、徐々にドリフトし得る。
【0046】
トリガ値は、検出された圧力、流量、累積フロー、圧力勾配変化、特定の圧力の持続、以前測定された値に対する変化の時間、特定の圧力の範囲内でのプラトーのうちの1つ以上であり得る。例えば、挿入ステップ、洗浄ステップおよび充填ステップは、そのシーケンスにおけるステップの終了を合図する特定の圧力閾値を有し得る。
【0047】
図6を参照すると、二方向逆止め弁110、110’を含む流体ライン417、417’を介して、流体ラインにおけるこの二方向逆止め弁110、110’および任意の他の弁を開放するため、および、医療デバイス200の薬物詰め替え部分に存在し得る任意の圧力を克服するために要求される圧力より大きい圧力において、洗浄液または新しい薬物が流される。充填圧力は、デバイス200の完全性を損なうレベル、または、デバイス200の薬物送達部分に関連付けられている任意の逆止め弁を開放させるレベルより下に維持される。充填圧力は、医療デバイス200がいつも薬物を標的組織領域へポンプ送給するカニューレ、カテーテルまたはチューブに関連付けられている任意の逆止め弁のクラッキング圧力未満でもある。これは、患者への薬物または洗浄液の任意の不注意の解放を防ぐ。洗浄サイクルは、薬物チャンバだけではなく、(例えば、カニューレの一部としてのチャンバ壁と同高に造られた)その中に埋められた任意のフィルタリング機構も清潔にし得る。これは、薬物の擬集体形成、くず、または他の材料が患者内へ解放されるのを防ぐ一方で、フィルタに捕捉された材料が洗浄サイクル中に取り除かれるかまたは取り出されることが可能である。薬物貯留部壁の複数の領域に部分的に作りつけられた冗長フィルタを含む他のフィルタ構成は、本明細書に記載されているように洗浄から利益を得ることがある。
【0048】
デバイス200の薬物チャンバが洗浄液で充填されると、真空が、一方向弁112を含む流体ライン412を通して引かれる。ライン412内の圧力は、一方向弁112のクラッキング圧力より大きいが、医療デバイス200、または、医療デバイス200の中にあるかあるいは医療デバイス200に流体接続されている任意の逆止め弁ならびに/あるいはチューブセットの完全性を損なうレベルより下に維持される。このステップは、以前のステップにおいて導入された洗浄液と、医療デバイス200内に含まれる任意の残りの薬物とを引き出す。
【0049】
充填サイクル中、二方向逆止め弁110を含む流体ライン417を介して、流体ラインにおけるこの二方向逆止め弁110および任意の他の弁を開放するため、および、医療デバイス200の薬物詰め替え部分に存在し得る任意の内部圧力を克服するために要求される圧力より大きい圧力において、新しい薬物がポンプ送給される。充填圧力は、デバイス200の完全性を損なうレベル、または、デバイス200の薬物送達部分に関連付けられている任意の逆止め弁を開放させるレベルより下に維持される。充填圧力は、医療デバイス200がいつも薬物を標的組織領域へ流すカニューレ、カテーテルまたはチューブに関連付けられている任意の逆止め弁のクラッキング圧力未満でもある。これは、詰め替えプロセス中の患者への不注意の薬物の解放を防ぐ。しかしながら、薬物貯留部を充填させると、臨床医は、投薬を提供することを選び得る。バッテリー電力および薬物貯留部のスペースを節約するために、臨床医の分別において、詰め替え圧力は、医療デバイス200がいつも薬物を標的組織領域へ流すカニューレ、カテーテルまたはチューブに関連付けられている任意の逆止め弁のクラッキング圧力を克服するまで上昇することを可能にされ得る。これは、臨床医が、注射器または別のカニューレを介して標的組織領域への別の通路を作り出すことなく、詰め替え時に薬品の投薬を提供することを可能にする。この投薬は、正確には、詰め替えシステムの計測性能を使用して測定される。
【0050】
詰め替えが完了すると、針102は、デバイス200詰め替えポートから取り除かれる。実施形態に応じて、詰め替えシステムの様々な部分が使い捨てであり得る。繋ぎ止められた型において、ハンドピース100全体およびチューブは、ベースユニットから取り除かれて使い捨てられ得る。代替的には、ハンドピース100が、はめ込みポンピング機構を有するポータブルユニットである場合、ユニット全体が使い捨てであり得る。
【0051】
図10は、
図7に示されているような圧力読取値および標的プロファイルに基づいた吸引のために使用される例示的な圧力比較決定ツリーを図示している。そのプロセスは、1000において始まり、第1のステップ1010において、(制御回路225に実装されている)中断タイマーをアクティブにする。0.25秒の遅れの後、ステップ1030において、針102の先端における出口圧力P
outletが、測定され、予期されるエラーおよび/または容認可能な逸脱度について計算するために選択されたポンプ410の真空評価(P
VSource)、逆止め弁110のクラッキング圧力(P
VCheckValve)、および許容誤差値(+/−)の合計と比較される。比較された値が等しくない場合(ステップ1030)、中断値が到達されなかった場合にはアクションは全くとられないが、十分な時間が経過した場合には(ステップ1040)、出口圧力がゼロでないことを確実にするために出口圧力がチェックされる(ステップ1050)。出口圧力がゼロでない場合、エラーが登録され(ステップ1060)、出口圧力がゼロである場合、システムは、針102が薬物詰め替えポート内へ適切に挿入されなかったことを報告する(ステップ1070)。他方で、ステップ1030において比較された値が等しく、かつ、発生した薬物チャンバの完璧な脱水のために十分な時間が過ぎ去った場合(ステップ1080)、針は、正確かつ完璧な吸引を妨げている不正確な挿入に因り妨害されるにちがいない(ステップ1090)。しかし、中断タイマーが過ぎ去る前に値が等しい場合、吸引プロセスの完了を合図するP
outletにおける変化が存在する。決定ツリーの最終結果は、
図7に示されている点701〜点703の適切な横断の確認である。同様の決定ツリーが、詰め替えシステムの後続のステップのために使用される。
【0052】
エラー決定の別のモードが
図11に図示されている。図示されている圧力プロファイルは、
図7および
図8に描かれている圧力プロファイルに類似しているが、エラー(すなわち、妨害された針102)を検出可能に指し示す方法において違っている。
図7に示されている通常のプロファイルにおいて、圧力が、点703と点704との間で一時的にプラトーになり、このプラトーは、貯留部が満杯であるときに発生する。プラトーがないことは、増大した圧力が、充填している貯留部に因るものではなく、針102における妨害物に因るものであることを指し示す。この状況は、そのプロファイルと、プラトーを有するテンプレートプロファイルとの比較によってコンピュータ的に検出される。定義された制限内の予期された値からの逸脱が、エラーを指し示さないこともあるが、予期された特徴のないことは、エラー状況を指し示す可能性がはるかにより高い。
【0053】
電気分解詰め替えステップ
電気分解作動機構を利用する薬物ポンプの実施形態において、電解液も、好ましくは、最適な効率の維持を確実にするために、定期的に置き換えられる。電解液は、その中で関連付けられる電気分解用電極の活性化時に液体状態から気体状態への部分段階変化を少なくとも受ける任意の溶液であり得る。電気分解用電極の非活性化時(例えば、触媒(例えば、白金)の存在下において)、発生した気体は、液体内に再び溶解する。電解液は、基本的には、食塩水、硫化マグネシウムを含む溶液、硫化ナトリウムを含む溶液、または、当該技術分野において公知の任意の他の電気分解形成物から成り得る。
【0054】
電気分解および再結合の反復サイクルの後、再結合は不完全となり、一部の気体は再び溶解していない。結果として、電解液は、その元の液体のみの体積に戻らず、それによって、電気分解チャンバが動作している任意の隣接する薬物チャンバの有効な容積が低減する。さらに、1つ以上の電気分解気体(例えば、水素ガス、酸素ガスなど)が充満し得、元とは異なる気体の比率をもたらす。これは、効率的ではない電気分解プロセスをもたらし得、同じ体積の気体を作り出すためのより多くの電力と、より長い電気分解気体生成時間とを要求する。
【0055】
様々な実施形態において、本明細書において記載された詰め替えシステムは、デバイス200の電気分解チャンバを詰め替えるために使用され得る。
図2を参照すると、ハンドピース100は、電気分解チャンバの詰め替えポート内に針102を挿入するために使用される。次に、テレメトリ棒232は、デバイス200を調査するため、および、双方向データ交換および/または電力伝達を容易にするために採用される。通信モジュール230は、デバイス200の内部電力源を使用して、または、無線テレメトリを通して電力を供給することによって、デバイスポンプの電気分解システムをアクティブにするために使用される。電気分解用電極は、電気分解チャンバ内で所定の量の気体を作り出すために駆動され、この気体の少なくとも一部は、(患者への薬物の送達を引き起こすことなく)挿入される針102を通して漏れ出ることが可能である(薬物チャンバは、予防措置として電気分解詰め替えの前に空にされ得る)。例えば、ポンプ410は、所定の真空を作り出すように動作せられ得、それにより、電気分解気体の除去を容易にし、気体除去時間を短くする。所定の真空は、真空圧力を継続的に監視し、調整することによって、詰め替えシステムによって十分に制御され、それにより、デバイス200に対する任意の損傷を防ぐ。針102の継続した適切な動作および正確な挿入は、様々な圧力変動を生成し、詰め替えシステム内の圧力センサとデバイス200の電気分解チャンバ内の圧力センサとから取得された圧力変化を相互に関連付けることによって、継続的にまたは断続的に、テストされる。最後に、詰め替えシステムは、排出された電気分解気体を同等量の新鮮な電気分解液体に置き換えるために使用される。すすぎサイクルは、随意に採用され得る。
【0056】
本発明のある実施形態を記載してきたように、本明細書に開示される概念を組み込む他の実施形態が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく使用され得ることは、当業者に明らかである。例えば、1つの特定のデバイスのタイプおよび構成に対して記載された特徴は、他のタイプのデバイスまたは代替的なデバイス構成にも実装され得る。従って、記載された実施形態は、限定的ではなく単なる例示として全ての局面において考慮されるべきである。