特許第6768551号(P6768551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6768551ボルトおよびナットを封止し、遮断するための嫌気性硬化性配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768551
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】ボルトおよびナットを封止し、遮断するための嫌気性硬化性配合物
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/18 20060101AFI20201005BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20201005BHJP
   C08K 5/01 20060101ALI20201005BHJP
   C08L 89/00 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   B01J13/18
   C08K3/36
   C08K5/01
   C08L89/00
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-28112(P2017-28112)
(22)【出願日】2017年2月17日
(62)【分割の表示】特願2015-512137(P2015-512137)の分割
【原出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2017-131885(P2017-131885A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年2月17日
【審判番号】不服2019-14209(P2019-14209/J1)
【審判請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】514293352
【氏名又は名称】テクノロジック スリー エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】Tecnologic 3 S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ガスパレ アイタ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ ジュニア カラッソ
【合議体】
【審判長】 天野 斉
【審判官】 瀬下 浩一
【審判官】 木村 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4093556(US,A)
【文献】 特開昭63−197540(JP,A)
【文献】 特開2004−10529(JP,A)
【文献】 特開2002−233748(JP,A)
【文献】 特開2000−177251(JP,A)
【文献】 特開2002−86926(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0277060(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0242764(US,A1)
【文献】 特開平4−358533(JP,A)
【文献】 特開2007−31559(JP,A)
【文献】 特開7−126589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02 - 13/22
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 -101/14
B41M 5/124- 5/165
G03C 3/00
G03F 7/004- 7/04 , 7/06 , 7/075- 7/115, 7/16 - 7/18
C09J 1/00 - 5/10 , 9/00 -201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチン水溶液を調製し、水溶液のpHを4〜7に調節し、ゼラチン水溶液に重合促進剤としてのフェロセンを入れ、ゼラチンを硬化させるための薬剤および凝固防止材料を加え、水系部分から固体部分を分離し、固体部分を水で洗浄し、最終生成物を乾燥させることによることを特徴とする、
セルフロッキング嫌気性硬化剤に使用するのに適した、重合促進剤をマイクロカプセル化するための方法。
【請求項2】
硬化剤はグルタルアルデヒドであり、凝固防止材料はシリカであることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セルフロッキング嫌気性硬化剤を調製するための、請求項1または2に記載の方法により得られるマイクロカプセル化された重合促進剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系エマルション中のアクリル樹脂に由来する嫌気性硬化性/架橋性配合物に関する。これらの配合物の組成に基づき、特に、ネジ、ナット、ボルトおよびネジキャップまたは封止キャップの接続のための封止剤および/または遮断剤として使用するのに適するようにするために、反応生成物の特徴を調整することが可能である。
【背景技術】
【0002】
ナットおよびボルトを封止し、遮断するために使用するのに適した種々の配合物が市販されている。これらの既知の特許刊行物のいくつかを以下に簡単に記載する。
【0003】
国際特許公開第WO 00/01767号は、ネジに対してナットを封止し、セルフロッキングするための組成物に関する。この組成物は、
(a)組成物全体の4重量%〜15重量%の量で存在する少なくとも1種類の重合可能な(メタ)アクリルモノマーと、
(b)水(反応性モノマー)に可溶性または分散性の結合剤と、
(c)有効な量のマイクロカプセルの形態の遊離ラジカル重合開始剤(過酸化ベンゾイル)とのエマルションまたは水性分散物である。
【0004】
重合開始剤(例えば、ヒドロキノン)を添加し、ポリマー組成物に安定性を与える。わずかなフェロセンを含有する組成物(例えば、有機金属化合物)に重合促進剤を加えてもよい。塩基性溶液を添加することによってpHを制御する。この組成物は、熱によって生じる熟成に対し高い耐性を示し、銅および青銅の表面で非常に安定である。
【0005】
米国特許第4,417,028号は、重合可能なモノマー、結合系および重合開始剤および促進剤(フェロセン)を含む接着剤コーティング組成物を記載する。この組成物で用いられる重合可能なモノマーは、アクリル酸の多官能エステルおよび一官能エステルの混合物として記載される(ウレタンアクリレート;ヒドロキシプロピルメタクリレート;ヒドロキシエチルメタクリレートを含む)。結合系は、無水物と、アリーレン、アルキレン、アルコキシレン、アリールアルキレンなどから選択される化合物とのコポリマーを含む。好ましい結合剤は、エチレン/無水マレイン酸である。これらの結合剤は、安定な懸濁物または分散物を形成し、無水物の環の加水分解によって、基材にあらかじめ塗布された膜の付着性にも貢献する。基材にあらかじめ塗布された組成物の最適な付着性を得るために、塩基(NH4OH、NaOH)を用い、組成物のpHを制御する。組成物は、長い貯蔵寿命を有し、熱による熟成への耐性が優れ、ボルトとネジの間の大きなセルフロッキング性を与える。
【0006】
米国特許第4,546,125号は、優れた強度および付着速度を有する接着性硬化性組成物を記載する。この組成物は、0.5重量%より多い水に溶解可能な、少なくとも10重量%の嫌気下で重合可能なモノマー;o−安息香酸スルホンアミド(重合促進剤);耐熱性を高めるためのヘテロ環三級アミンおよび/または芳香族アミン;ラジカル重合開始剤および水を含有する嫌気下で重合可能なモノマーを含む。ウレタンポリ(メタ)アクリレートは、重合可能なモノマーとして記載される。
【0007】
US 4,048,259号は、嫌気性条件で硬化する接着性封止組成物を記載する。この組成物は、重合可能なアクリルエステル、過酸化物重合開始剤およびアクリル酸エステルを含む。この組成物は、安定化剤(ヒドロキノン)、促進剤(脂肪族または芳香族の四級アミン)、増粘剤、染料およびフィラー(CaCO3、TiO2および可溶性染料)を含有していてもよい。組成物中で使用可能な増粘剤は、ポリ(アルキル)アクリレートおよびメタクリレートである。この組成物は、非腐食性接着剤混合物であり、非常に強い固定を与える。
【0008】
US 4,007,322号は、1種類以上の酸化されていないアクリルモノマー、重合開始剤(有機過酸化物)、重合開始剤(ヒドロキノン)および重合促進剤(安息香酸スルホンアミド)を含む嫌気性封止性組成物を記載する。重合開始剤は、空気と接触する場合に長い貯蔵寿命を有する組成物を与える。表面がいずれも金属ではない場合、接触表面の少なくとも1つをプライマーで前処理しなければならない。
【0009】
US 3,855,040号は、迅速に重合し、アクリル酸エステルのモノマー、重合開始剤(有機過酸化物)、強酸および活性化剤(わずかなフェロセンを含有する)を含有する嫌気性組成物に関する。硬化速度を制御するために活性化剤が選択される。
【0010】
US 3,970,505号は、アクリル酸エステルの多官能モノマー、過酸化物重合開始剤、置換チオ尿素および酸置換基を含有する嫌気性組成物を記載する。この組成物は、迅速に硬化し、同時に、良好な機械特性(例えば、固体性、可とう性および封止性)を維持する。使用するモノマーは、接着剤の特徴と、長時間続く封止剤を与える。ポリアクリルエステルの例は、ジエチレングリコールジメタクリレートおよびテトラエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ジグリセロールジアクリレートなどである。
【0011】
US 4,410,644号は、重合可能なアクリル酸エステルモノマー、重合開始剤(過酸化水素)、重合阻害剤(キノン)、有機スルホンアミド型促進剤、増粘剤(ポリグリコール)、着色剤、粘度制御剤(=レオロジー調整剤)、例えば、シリカフューム;摩耗防止剤[(金属と接触する部品間の摩擦によって生じる金属摩耗に対する)、すなわち、摩滅防止剤、例えば、テトラフルオロエチレン]および少なくとも1種類の可塑剤(グリセリド)を含む嫌気性封止組成物を記載する。
【0012】
これら既知のすべての配合物は、望ましい物理的特徴、機械的特徴および化学的特徴を有する硬化した反応生成物を得るための異なる種類の添加剤、重合開始剤および促進剤と組み合わせた(メタ)アクリレート化合物に由来する。それにもかかわらず、プライマーおよび重合阻害剤を用いずに広範囲の硬化強度を必要とする用途を満足することができ、当該既知の技術分野のものよりも優れた物理的特徴、機械的特徴および化学的特徴を有する嫌気性硬化性/架橋性配合物が必要である。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、比較的短い時間で硬化/架橋する水系エマルションの嫌気下で重合可能なおよび硬化性/架橋性配合物、改良された遮断力(改良された分離によってあらわされる)、改良された耐油性および高い耐熱性を示す反応生成物を提供する。
【0014】
本発明の配合物は、ペースト形態であり、ネジのネジ山およびボルトに簡単に塗布することができ、封止効果および遮断効果を保証し、これらの配合物は、プライマーおよび重合阻害剤の使用を必要としない。
【0015】
本発明の一態様は、重合可能であり、嫌気性条件で硬化性であり、特に、当該既知の分野の生成物を使用して得ることができる結果に対し、改良された封止力を与えるために、ネジのネジ山およびボルトに適用するのに有用な新しい配合物を含む。前記配合物は、少なくとも1種類のアクリル樹脂およびフェノキシ−ポリエトキシサルフェートを、当該既知の分野で一般的に使用される他の添加剤と組み合わせて含む。この配合物は、以下、本発明では「封止配合物」と呼ばれる。
【0016】
本発明の別の態様は、重合可能であり、嫌気性条件で硬化性であり、当該既知の分野の製品に用いて得ることができる結果に対し、改良された遮断力を与えるために、ネジおよびボルトのネジ山に適用するのに特に有用な新しい配合物を含む。前記配合物は、少なくとも1種類のジメタクリレート、アクリル樹脂、重合および硬化開始剤、促進剤、および当該既知の分野で一般的に使用される他の添加剤を含む。阻害剤と促進剤は、マイクロカプセル化された形態で用いられる。この配合物は、本発明では「セルフロッキング配合物」と呼ばれる。
【0017】
これらの配合物の反応生成物は、意図した種類の用途にしたがって、多かれ少なかれ強く、多かれ少なかれ迅速であり得る必要なボルトの封止および遮断作用を行うことができる。
【0018】
この配合物は、従来技術で既知の装置を用いることによって、ネジのネジ山の内側に配置され、その後、乾燥器で乾燥させ、その間にナットが締め付けられ、重合が始まることによって、上の結果を与える反応生成物が生じる。
【0019】
これらの配合物の反応生成物は、振動、熱および攻撃的な化学物質に対して優れた耐性があることを特徴とする。これらの反応生成物は、特に、ネジのネジ山および機械デバイスを封止し、遮断し、緩みおよび漏れを防ぐために用いられる。
【0020】
(発明の詳細な開示)
封止配合物は、4〜8重量%のアクリル樹脂と、40〜70重量%のフェノキシ−ポリエトキシサルフェートとを含有する。好ましくは、本発明で用いられるフェノキシ−ポリエトキシサルフェートは、40〜45%の濃度のノニルフェノキシポリエトキシ分枝鎖アンモニウムサルフェートと、0.1〜0.2%のアンモニア水溶液との水系混合物である。
【0021】
封止配合物は、20〜35重量%の量で水を含有する。封止配合物に、例えば、可塑剤、染料、フィラー、腐食抑制剤などの他の添加剤を加えることが可能である。
【0022】
以下は、本発明の封止配合物の一例である。
脱イオン水 20〜35重量%
ブチルグリコール 4〜7重量%
顔料 0.1〜0.2重量%
二酸化チタン 2〜3重量%
アンモニア28% 0.1〜0.6重量%
アクリル樹脂 4〜8重量%
(水系エマルション中の硬化したコポリマー)
Teflon(登録商標)(粉末状) 9〜16重量%
ノニルフェノキシ−ポリエトキシサルフェート 40〜70重量%
(水系エマルション状態)
安息香酸アンモニウム 0.5〜0.9重量%
本発明において重量%であらわされる量は、配合物の合計重量を指す。
【0023】
セルフロッキング配合物は、ジメタクリレートを30〜60重量%の量で含有する。ジメタクリレートの一部をジウレタンジメタクリレートと置き換えることができ、この場合、セルフロッキング配合物は、好ましくは、ジメタクリレートを15〜30重量%の量で含有し、一方、ジウレタンジメタクリレートを15〜30重量%の量で使用する。
【0024】
セルフロッキング配合物は、さらに、5〜9重量%のアクリル樹脂と、2〜4重量%の阻害剤と、0.3〜1.5重量%の促進剤とを含有する。阻害剤および促進剤は、両方ともマイクロカプセル化された形態で用いられる。
【0025】
以下は、本発明のセルフロッキング配合物の一例である。
脱イオン水 40〜60重量%
安息香酸アンモニウム 0.5〜2重量%
リン酸アンモニウム 0.05〜0.2重量%
二酸化チタン 1〜2重量%
アンモニア28% 0.3〜0.7重量%
ジメタクリレート 19〜27重量%
(ビスフェノールAエトキシレートジメタクリレート)
ジウレタンジメタクリレート 18〜28重量%
アクリル樹脂 5〜9重量%
(水系エマルション中の硬化したコポリマー)
顔料 0.3〜0.9重量%
タルク 0.4〜1重量%
過酸化ベンゾイル 2〜4重量%
マイクロカプセル化されたフェロセン 0.4〜1.4重量%
重量%であらわされる量は、配合物の合計重量を指す。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、封止配合物およびセルフブロッキング配合物のpHは、5〜10、さらに好ましくは、6〜8の範囲に維持される。
【0027】
本発明の配合物に、有効な量の有機塩基または無機塩基を組み込むことによってpHを調節することができ、これらの塩基は、アクリル樹脂とジメタクリレートの重合を妨害しない。好ましくは、NH4OHまたはNaOHを加えることによってpHを調節し、封止配合物およびセルフブロッキング配合物の良好な硬化特徴を得る。
【0028】
本発明の配合物で使用可能なアクリル樹脂は、ACRYSOL(登録商標)ASE、20、60および75、好ましくは、ACRYSOL(登録商標)ASE 60から選択される硬化したコポリマーの水系エマルションである。
【0029】
本発明のセルフロッキング配合物で使用可能なジメタクリレートは、ビスフェノールAエトキシレートジメタクリレートである。
【0030】
本発明の封止配合物は、触媒を含有しないため、ボルトの固定操作は、重合開始剤と促進剤を組み込んだセルフロッキング配合物ほど強くない。
【0031】
封止配合物は、アクリル樹脂をフェノキシポリエトキシサルフェートと組み合わせて使用し、その存在は、反応生成物の性能に驚くべき影響を有していた。フェノキシポリエトキシサルフェートを本発明の封止配合物に入れると、反応生成物に、化学薬剤に対するかなりの耐性および安定性を与え、同時に、封止力も向上する。
【0032】
さらに、驚くべきことに、このようにして配合されたシーラントは、塗布する前に、金属およりプラスチック表面に対するプライマーを用いた前処理を必要としない。前記前処理は、塗布される部品に対し、当該既知の分野の他の製品を固定するために必須である。
【0033】
本発明のセルフロッキング配合物は、重合開始剤および促進剤をマイクロカプセル化された形態で含有し、ナットを、セルフロッキング配合物であらかじめ処理したネジに対して締め付けると活性化する。重合および硬化が嫌気性条件で始まり、化学反応によって、すぐにナットとネジとの間に遮断効果が生じる。
【0034】
当該既知の技術とは異なり、本発明のセルフロッキング配合物は、一級ラジカルよび二級ラジカルだけではなく、ポリマーの成長の原因となるものも不活性化するために短いポリマー鎖を生成する重合開始剤を含有しない。短い鎖は、重合阻害剤の作用に起因して生成し、得られる「糊付け」硬化は低く、従って、ボルトの遮断力が弱い。さらに、阻害剤が存在しないことは、ネジの上に配置された生成物の重合が、ボルトが締め付けられる前に起こることを意味する。この「早い重合」という現象は、反応生成物の遮断能力に悪い影響を与える。この欠点を避けるために、本発明のセルフロッキング配合物は、一方では、重合阻害剤が存在しないことを特徴とし、他方では、マイクロカプセル化された重合促進剤が存在することを特徴とする。フェロセンは、好ましくは、本発明の重合促進剤として用いられる。
【0035】
さらに、驚くべきことに、この様式で構成された遮断配合物は、塗布前に、表面に対するプライマーを用いた前処理を必要とせず、一方、前記前処理は、塗布される部品に対し、当該既知の分野の他の製品を固定するために必須である。
【0036】
フェロセンは、ボルトが締め付けられる前に、重合開始剤との反応を防ぐ保護材料の膜による革新的な方法によってコーティングされる。ボルトが締め付けられると、本発明によれば、摩擦の結果、保護膜が壊れるため、重合のためのフェロセンを提供する。
【0037】
本発明の重合促進剤をコーティングするために用いられる方法は、ゼラチン水溶液を調製する工程と、水溶液のpHを4〜7に調節する工程と、ゼラチン水溶液に促進剤を入れる工程と、促進剤をコーティングする膜の硬化剤および凝固防止材料を加える工程と、水系部分から固体部分を分離する工程と、固体部分を水で洗浄する工程と、最終生成物を乾燥させる工程とを含む。
【0038】
有利には、重合促進剤はフェロセンであり、硬化剤はグルタルアルデヒドであり、凝固防止材料はシリカ(SiO2)である。
【0039】
本発明の配合物にマイクロカプセル化された重合促進剤を使用すると、上述の悪い影響を伴う重合安定化剤および阻害剤を使用しなくてすみ、遮断特徴を変えることなく長期間にわたって生成物を保護することができる。
【0040】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しつつ、非限定的な例として与えられる以下の記載から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、製品Multicor(媒剤であるエンジン潤滑油)のIRスペクトルである。
図2図2は、本発明の封止配合物で処理した、油に浸したネジと油に浸されていないネジの2つの重なりあったIRスペクトルを示す。
図3図3は、製品Torma Prot(媒剤であるエンジン潤滑油)のIRスペクトルである。
図4図4は、本発明の封止配合物で処理した、油に浸したネジと油に浸されていないネジの2つの重なりあったIRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次いで、2種類の異なる媒剤であるエンジン潤滑油:MulticorおよびTormaProtに、処理したネジを浸すことによって、封止配合物について耐油性を試験した。
【0043】
封止配合物の調製方法および耐油性および分離力の試験結果を以下の例で与え、これらの例は、単に、本発明の非限定的な例によって記載される。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
攪拌しつつ、30gの脱イオン水、4gのブチルグリコール、0.1gの顔料Unisperse(登録商標)ブルーID 30466565および0.2gのアンモニア水溶液28%をターボミキサーに加え、pH6.5で混合物を得る。この化合物を1400rpmの速度で混合し、次いで、この混合物に、2gの二酸化チタン、0.7gの安息香酸アンモニウムおよび4gのアクリル樹脂ACRYSOL(登録商標)ASE 60を攪拌しつつ加える。得られた混合物を0.6barの減圧下に置き、5分間攪拌を維持する。次いで、この混合物を大気圧にし、60gのフェノキシ−ポリエトキシサルフェートを加えつつ、攪拌しつつ16gのTeflon(登録商標)を加える。得られた混合物を0.8barで25分間、攪拌を維持する。
【0045】
最適な特徴(例えば、粘度および封止特性)を有する最終生成物を得るために、反応時間および反応圧力を実施例のように維持しなければならない。
【0046】
この実施例で得られる生成物は、実施例1の生成物で処理された表面を有するネジを浸した後、耐油性試験を受ける。Multicor製品(媒剤であるエンジン潤滑油)のIRスペクトルを記録し、図1に示すIRスペクトルを得る。ネジの外側表面を、実施例1で得られる生成物で処理し、ネジをMulticor製品に浸す。記録したIRスペクトルを、図2で比較して示し、油に浸したネジ1と油に浸していないネジ2の表面の2つのIRスペクトルの重なり合いを強調する。結論として、図2の2つのIRスペクトルは、関連する違いを示さず、単に、油に浸されたサンプルのいくつかの吸収バンドがわずかに増大していることがわかり、このことは、封止生成物中に存在するベンゾエート表面に対する移動に起因するだろう。新しい吸収バンドは存在せず、したがって、実施例1の生成物で処理されたネジを油に浸した後の封止生成物になんら変換は生じなかった。
【0047】
Torma Protという名称で販売される別の種類の媒剤であるエンジン潤滑油を用い、同じ試験を繰り返した。
【0048】
Torma Prot油のIRスペクトルを図3に示し、一方、図4は、実施例1の封止生成物で処理し、油に浸したネジ1及び油に浸していないネジ2の外側表面のIRスペクトルを示す。浸したネジおよび浸していないネジの表面のIRスペクトルは、関連する違いを示さない。わずかな増大は、油に浸されたサンプルのいくつかの吸収バンドにおいて、シーラントに存在するベンゾエートの表面に対する移動に起因することを注記しておく。新しい吸収バンドは存在せず、したがって、Torma Prot油に浸した後にシーラント生成物では封止生成物になんら化学的な変換は生じなかった。
【0049】
(実施例2)
55gの脱イオン水をターボミキサーに入れ、攪拌しつつ、0.6gの顔料UNISPERSE(登録商標)RED ID 1996500、0.4gのアンモニア水溶液28%、2gの二酸化チタン、0.8gのタルク、1gの安息香酸アンモニウム、0.1gのリン酸アンモニウム、6gのアクリル樹脂ACRYSOL(登録商標)ASE 60および18gのビスフェノールAエトキシレートジメタクリレートを加えた。混合物のpHは6.5である。得られる混合物の温度を周囲温度にして、混合物を0.6barの減圧に置き、減圧下、5分間攪拌を維持する。次いで、混合物の圧力を周囲圧力にし、21gのビスフェノールAエトキシレートジメタクリレートを加える。得られる混合物を0.8barの減圧に置き、20分間攪拌を維持する。このようにして得られた生成物に、3gのマイクロカプセル化された過酸化ベンゾイルおよび0.9gのマイクロカプセル化されたフェロセンを加え、混合物を5分間攪拌する。
【0050】
過酸化ベンゾイル開始剤は、従来技術で既知の方法にしたがってマイクロカプセル化され、一方、フェロセン促進剤は、以下の方法によってカプセル化される。
【0051】
80gの脱イオン水を上のミキサーに加え、0.2gのヘキサメタリン酸ナトリウムおよび4gのゼラチンを攪拌しつつ加える。ゼラチンを入れ終えたら、攪拌を数分間維持し、混合物を30分放置する。攪拌しつつ、混合物の温度を45〜70℃にして、水酸化ナトリウムを加え、混合物を43℃まで冷却し、0.2gの酢酸を加え、最後に、15gのフェロセンを加える。混合物の温度を周囲温度に冷却する。次いで、得られた生成物の温度をすぐに10〜18℃まで下げ、2gのグルタルアルデヒドおよび1gのシリカ(SiO2)を加える。
【0052】
得られた生成物が沈殿し、次いで、水溶液を除去し、固体部分を脱イオン水で洗浄する。この操作を3回繰り返す。次いで、得られた生成物を濾過し、40℃の乾燥器に48時間入れる。最終生成物は、マイクロカプセル化されたフェロセンである。
【0053】
驚くべきことに、このようにして配合した生成物は、使用中の製品よりもかなり高い分離値を有し、その値は、非常に均一である。DIN 267/27標準にしたがってM10ネジで測定した分離値を以下の表1に与える。
【表1】
【0054】
(実施例3)
55gの脱イオン水をターボミキサーに入れ、次いで、攪拌しつつ、0.6gの顔料UNISPERSE(登録商標)GREEN ID 30267548、0.4gのアンモニア水溶液28%、1gの二酸化チタン、1gの安息香酸アンモニウム、0.1gのリン酸アンモニウムおよび7gのACRYSOL(登録商標)ASE 60(アクリル樹脂として使用する)を加える。得られた混合物の温度を周囲温度にし、混合物を0.6barの減圧に置く。混合物の攪拌を、減圧下5分間維持する。混合物を周囲圧力にして、25gのビスフェノールAエトキシレートジメタクリレートを加える。0.8barの減圧下に置き、20分間攪拌を維持する。
【0055】
このようにして得られた生成物に、2gのマイクロカプセル化された過酸化ベンゾイルおよび0.4gのマイクロカプセル化されたフェロセンを加える。この混合物を5分間攪拌する。
【0056】
驚くべきことに、このようにして配合された生成物は、非常に均一な分離値を示す。DIN 267/27標準にしたがってM10ネジで測定した分離値を以下の表2に与える。
【表2】
【0057】
(付記)
「付記1」
(a)少なくとも1種類のアクリル樹脂と、
(b)フェノキシ−ポリエトキシサルフェートとの水系エマルションを含む、
嫌気性硬化性配合物。
「付記2」
アクリル樹脂が、硬化したコポリマーの水系エマルションであることを特徴とする、
「付記1」に記載の配合物。
「付記3」
フェノキシ−ポリエトキシサルフェートが、ノニルフェノキシポリエトキシ分枝鎖アンモニウムサルフェートとアンモニア水溶液とを含有する水系混合物であることを特徴とする、
「付記1」または「付記2」に記載の配合物。
「付記4」
アクリル樹脂は、ACRYSOL(登録商標)ASE、20、60および75から選択されることを特徴とする、
「付記1」から「付記3」のいずれかに記載の配合物。
「付記5」
(a)少なくとも1種類のジメタクリレートと、
(b)少なくとも1種類のアクリル樹脂と、
(c)マイクロカプセル化された重合開始剤と、
(d)マイクロカプセル化された重合促進剤と
の水系エマルションを含む、
嫌気性硬化性配合物。
「付記6」
ジウレタンジメタクリレートを含むことを特徴とする、
「付記5」に記載の配合物。
「付記7」
アクリル樹脂が、硬化したコポリマーの水系エマルションであることを特徴とする、
「付記5」または「付記6」に記載の配合物。
「付記8」
ジメタクリレートが、ビスフェノールAエトキシレートジメタクリレートであることを特徴とする、
「付記5」に記載の配合物。
「付記9」
重合促進剤が、マイクロカプセル化されたフェロセンであることを特徴とする、
「付記5」に記載の配合物。
「付記10」
NH4OHおよびNaOHから選択される無機塩基を用い、pHが5〜10の範囲に調節されていることを特徴とする、
「付記1」1または「付記5」に記載の配合物。
「付記11」
ネジのネジ山、ボルトおよびネジキャップまたは封止キャップに対する封止剤としての「付記1」に記載の配合物の使用。
「付記12」
ネジのネジ山、ボルトおよびネジキャップまたは封止キャップに対するセルフロッキング剤としての「付記5」に記載の配合物の使用。
「付記13」
ゼラチン水溶液を調製し、水溶液のpHを4〜7に調節し、ゼラチン水溶液に重合促進剤を入れ、ゼラチンを硬化させるための薬剤および凝固防止材料を加え、水系部分から固体部分を分離し、固体部分を水で洗浄し、最終生成物を乾燥させることによることを特徴とする、
重合促進剤をマイクロカプセル化するための方法。
「付記14」
重合促進剤はフェロセンであり、硬化剤はグルタルアルデヒドであり、凝固防止材料はシリカであることを特徴とする、
「付記13」に記載の方法。
「付記15」
ネジのネジ山、ボルトおよびネジキャップまたは封止キャップの表面をプライマーで前処理しないことを特徴とする、
「付記11」または「付記12」に記載の配合物の使用。
図1
図2
図3
図4