(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、放水路トンネル21のメンテナンスを行うための各工程を示す図である。
図1(a)は、放水口1および放水路トンネル21を使用している状態を示す図、
図1(b)は、放水路トンネル21から抜水している状態を示す図、
図1(c)は、放水路トンネル21をドライアップした状態を示す図、
図1(d)は、放水路トンネル21に注水している状態を示す図である。
【0023】
図2は、放水口1の構造を示す図である。
図2(a)は、蓋11を設置していない放水口1を上方から見た図である。
図2(b)は、蓋11を設置していない放水口1の断面斜視図であり、
図2(a)の矢印E−Eによる断面を示す図である。
図2(c)は、蓋11の斜視図である。
図2(d)は、切欠き部用キャップ67の平面図である。
【0024】
図3は、放水口1における蓋11の付け替え方法を示す図である。
図3(a)および
図3(b)は、蓋11を頂版3に固定した状態を示す図である。
図3(b)の上段は、
図3(a)の矢印F1−F1による断面を示す図、下段は、
図3(a)の矢印F2−F2による断面を示す図である。
図3(c)および
図3(d)は、蓋11の頂版3への固定を解除した状態を示す図である。
図3(d)の上段は、
図3(c)の矢印F3−F3による断面を示す図、下段は、
図3(c)の矢印F4−F4による断面を示す図である。
図3(e)および
図3(f)は、蓋11を底版5に固定した状態を示す図である。
図3(e)は、
図3(f)の矢印F6−F6による断面を示す図であり、
図3(f)は、
図3(e)の矢印F5−F5による断面を示す図である。
【0025】
(放水口1および放水路トンネル21の構造)
図1に示すように、放水口1は、頂版開口部29を有する頂版3、底版開口部31を有する底版5、頂版3と底版5との間に設けられた筒状の側壁7、側壁7に設けられた複数のノズル9、頂版開口部29と底版開口部31とに付け替え可能な蓋11等からなる。頂版開口部29、底版開口部31、蓋11は、円形である。放水口1は、水底23に設置される。
【0026】
図1(a)に示すように、放水路トンネル21は、水底23の地盤25中に埋設され、上端の開口部が水底23に位置する。放水路トンネル21は、上端付近の外周面に円筒状のブラケット19が設けられる。ブラケット19は、上面69で放水口1の底版5の下面4を支持する。底版5の底版開口部31は、放水路トンネル21に連通している。
【0027】
図1(b)に示すように、頂版3は、頂版開口部29の内周面33に、第1の凸部35が設けられる。
図2(a)に示すように、凸部35には、頂版開口部29の周方向に所定の間隔をおいて、切欠き部43が設けられる。
図2(b)に示すように、凸部35は、頂版3の厚み37の下半部39のみに設けられる。凸部35には、鉛直方向の孔41が設けられる。
【0028】
図1(a)に示すように、底版5は、底版開口部31の内周面45に、凸部47が設けられる。
図2(b)に示すように、凸部47は、底版5の厚み51の下半部53のみに設けられる。凸部47には、鉛直方向の孔49が設けられる。底版5の下面4を支持するブラケット19は、上面69に、ゴム製等のリング状の止水材71が設けられる。
【0029】
図2(c)に示すように、蓋11は、外周面55に、頂版3に設けられる第1の凸部35と重ね合わせて接合するための第2の凸部57が設けられる。凸部57には、蓋11の周方向に所定の間隔をおいて、切欠き部63が設けられる。凸部57は、蓋11の厚み59の上半部61のみに設けられる。凸部57には、鉛直方向の孔65が設けられる。
【0030】
図1、
図2(c)に示すように、蓋11は、中央付近に給排気口13が設けられる。給排気口13には、給排気管15が取り付けられる。給排気管15には、給排気バルブ17が設けられる。
【0031】
図2(c)に示す、凸部57を含めた蓋11の径14は、
図2(a)に示す、頂版3の頂版開口部29の内周面33の径28よりもやや小さいが、ほぼ同一である。
図2(c)に示す、蓋11の外周面55に設けられた凸部57および切欠き部63とからなる凹凸と、
図2(a)に示す、頂版3の頂版開口部29の内周面33に設けられた凸部35および切欠き部43とからなる凹凸とは、互いに嵌め合う構造である。蓋11に設けられる凸部57は、頂版3に設けられる切欠き部43を通るような大きさであり、頂版3に設けられる凸部35は、蓋11に設けられる切欠き部63を通るような大きさである。
【0032】
図2(d)に示すように、切欠き部用キャップ67は、蓋11の切欠き部63の数と同じ数の部材からなる。切欠き部用キャップ67は、蓋11の切欠き部63に対応する形状である。切欠き部用キャップ67は、ゴム製等とする。
【0033】
(放水口1における蓋11の付け替え方法)
放水口1の頂版3の頂版開口部29を蓋11で塞ぐ際には、
図3(b)の上段図に示すように、頂版3に設けられた第1の凸部35の上に、蓋11に設けられた第2の凸部57を重ね合わせる。そして、
図3(a)に示すように、凸部57の孔65と凸部35の孔41(
図2(a))とを連通させてボルト89を挿通し、凸部57を凸部35に固定する。
【0034】
頂版3の凸部35に蓋11の凸部57を重ね合わせると、
図3(a)および
図3(b)の下段図に示すように、頂版3の凸部35に設けられた切欠き部43と、蓋11の凸部57に設けられた切欠き部63とが連通する。連通する切欠き部43および切欠き部63には、切欠き部用キャップ67を設置し、頂版開口部29を塞ぐ。
【0035】
蓋11を頂版開口部29から底版開口部31に付け替える際には、
図3(a)および
図3(b)に示す状態から、凸部57を凸部35に固定するためのボルト89を、連通する孔65および孔41(
図2(a))から取り外す。同時に、切欠き部用キャップ67を、切欠き部43および切欠き部63から取り外し、開口部を確保する。
【0036】
そして、クレーン台船等を用いて蓋11を吊り、蓋11を
図3(a)に示す矢印Gの方向に所定の角度だけ回転させて、
図3(c)に示すように、蓋11の凸部57と頂版3の凸部35とが重ならないように、蓋11を配置する。このとき、
図3(d)の上段図に示すように、頂版3の凸部35は、蓋11の凸部57に設けられた切欠き部63の下方に位置する。また、
図3(d)の下段図に示すように、蓋11の凸部57は、頂版3の凸部35に設けられた切欠き部43の上方に位置する。
【0037】
その後、蓋11の凸部57が頂版3の凸部35に設けられた切欠き部43を通り、頂版3の凸部35が蓋11の凸部57に設けられた切欠き部63を通るようにして、蓋11を頂版開口部29の位置から底版開口部31の位置まで吊り下げる。
【0038】
放水口1の底版5の底版開口部31を蓋11で塞ぐ際には、
図3(f)に示すように、底版5に設けられた凸部47の上に、蓋11に設けられた凸部57を重ね合わせる。そして、
図3(e)に示すように、凸部57の孔65と凸部47の孔49(
図2(b))とを連通させてボルト89を挿通し、凸部57を凸部47に固定して、底版開口部31を塞ぐ。
【0039】
底版開口部31を蓋11で塞ぐと、
図2(b)に示すブラケット19の上面69に設置された止水材71が、
図3(f)に示す蓋11の下面12とブラケット19の上面69との間に挟まれ、止水効果が得られる。凸部57に設けられた切欠き部63には、
図2(d)に示す切欠き部用キャップ67を設置する。
【0040】
蓋11を底版開口部31から頂版開口部29に付け替える際には、
図3(e)および
図3(f)に示す状態から、凸部57を凸部47に固定するためのボルト89を、連通する孔65および孔49(
図2(b))から取り外す。同時に、切欠き部用キャップ67を切欠き部63から取り外し、開口部を確保する。
【0041】
そして、クレーン台船等を用いて蓋11を吊り、
図3(c)および
図3(d)に示すように、蓋11の凸部57が頂版3の凸部35に設けられた切欠き部43を通り、頂版3の凸部35が蓋11の凸部57に設けられた切欠き部63を通るようにして、蓋11を底版開口部31の位置から頂版開口部29の位置まで吊り上げる。
【0042】
その後、蓋11を所定の角度だけ回転させて、
図3(a)および
図3(b)に示すように、頂版3の凸部35と蓋11の凸部57とを重ね合わせてボルト89で固定するとともに、切欠き部43および切欠き部63からなる開口部に切欠き部用キャップ67を設置して、頂版開口部29を塞ぐ。
【0043】
(放水路トンネル21のメンテナンス方法)
図1(a)に示すように、放水口1および放水路トンネル21を使用している状態においては、放水口1の頂版3の頂版開口部29に蓋11が設置されている。蓋11は、
図3(a)および
図3(b)に示すように、頂版3に固定されて頂版開口部29を塞ぐ。放水路トンネル21や放水口1の内部には水27が満たされ、必要に応じてノズル9から水27が放出される。
【0044】
放水路トンネル21のメンテナンスを行う場合、
図1(a)に示す状態から、上述した手順で蓋11を頂版3の頂版開口部29から底版の底版開口部31に付け替えて、底版開口部31を蓋11で塞ぐ。
【0045】
その後、
図1(b)に示すように、蓋11の給排気管15を水面上まで延長する。そして、給排気バルブ17を開放し、矢印Aに示すように、水面上から給排気管15および給排気口13を介して放水路トンネル21内に給気しつつ、陸上のポンプを稼働させて、矢印Bに示すように、放水路トンネル21の内部から水27を抜水する。放水路トンネル21の抜水が完了したら、給排気バルブ17を閉鎖する。
【0046】
抜水が完了し、
図1(c)に示すように放水路トンネル21の内部がドライアップされた状態となったら、放水路トンネル21の内部のメンテナンスを気中作業にて行う。
【0047】
メンテナンスの終了後、
図1(d)に示すように、給排気バルブ17を開放し、矢印Cに示すように、放水路トンネル21内から給排気口13および給排気管15を介して水面上に排気しつつ、矢印Dに示すように、放水路トンネル21の内部に水27を注水する。放水路トンネル21の注水が完了したら、給排気バルブ17を閉鎖する。
【0048】
注水の完了後、上述した手順で、蓋11を底版5の底版開口部31から頂版3の頂版開口部29付け替えて、頂版開口部29を蓋11で塞ぎ、
図1(a)に示す状態に戻す。
【0049】
このように、第1の実施の形態では、頂版開口部29と底版開口部31とに付け替え可能な蓋11を用いて底版開口部31を塞いだ後、放水路トンネル21の内部を抜水してメンテナンスを行う。これにより、放水路トンネル21と放水口1とが連通する位置で止水を行って放水路トンネル21の全域をドライアップすることができるため、放水路トンネル21の全域の点検および補修を気中作業によって容易に行うことができる。
【0050】
第1の実施の形態では、頂版開口部29の頂版蓋と底版開口部31の止水蓋とを1つの蓋11で兼用するため、止水蓋を陸上から運搬したり、陸上に止水蓋専用の保管場所を確保したりする必要がなくなる。さらに、放水口1に施す重防食塗装や電気防食により、放水口1と同時に蓋11の防食を実施できる。
【0051】
第1の実施の形態では、頂版3の内周面33に設けられた凸部35に切欠き部43を設け、蓋11の凸部57を切欠き部43に通すことにより、頂版開口部29を介して蓋11を放水口1から容易に出し入れすることができる。
【0052】
なお、第1の実施の形態では、底版開口部31に蓋11を設置した際にボルト89で凸部57と凸部47とを固定し、切欠き部63に切欠き部用キャップ67を設置したが、ボルト89および切欠き部用キャップ67の設置は必須ではない。
【0053】
また、蓋11を頂版開口部29と底版開口部31との間で付け替える際に、クレーン台船等を用いて蓋11を吊ったが、クレーン台船の代わりにフロータを用いて蓋11を上下移動させてもよい。
【0054】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図4は、放水口1aの構造を示す図である。
図4(a)は、蓋11aを設置していない放水口1aを上方から見た図である。
図4(b)は、蓋11aを設置していない放水口1aの断面斜視図であり、
図4(a)の矢印G−Gによる断面を示す図である。
図4(c)は、蓋11aを上方から見た平面図である。
図4(d)は、蓋11aの垂直断面図である。
図4(e)は、切欠き部用キャップ67aの平面図である。
【0055】
図5は、放水口1aにおける蓋11aの付け替え方法を示す図である。
図5(a)および
図5(b)は、蓋11aを頂版3aに固定した状態を示す図である。
図5(b)の上段は、
図5(a)の矢印H1−H1による断面を示す図、下段は、
図5(a)の矢印H2−H2による断面を示す図である。
図5(c)および
図5(d)は、蓋11aを頂版開口部29aに通している状態を示す図である。
図5(d)は、
図5(c)の矢印H3−H3による断面斜視図である。
図5(e)および
図5(f)は、蓋11aを底版5aに固定した状態を示す図である。
図5(e)は、
図5(f)の矢印H5−H5による断面を示す図、
図5(f)は、
図5(e)の矢印H4−H4による断面を示す図である。
【0056】
(放水口1aおよび放水路トンネル21の構造)
図4、
図5に示すように、放水口1aは、第1の実施の形態の放水口1とほぼ同様の構成であるが、頂版3の代わりに、頂版開口部29aを有する頂版3aが設けられる。また、底版5の代わりに、底版開口部31aを有する底版5aが設けられる。さらに、蓋11の代わりに、頂版開口部29aと底版開口部31aとに付け替え可能な蓋11aが設けられる。頂版開口部29a、底版開口部31a、蓋11aは、円形である。放水口1aは、水底に設置される。
【0057】
放水路トンネル21は、第1の実施の形態の放水路トンネル21と同様の構成である。
図4(b)に示すように、放水路トンネル21に設けられたブラケット19は、上面69で放水口1aの底版5aの下面4aを支持する。底版5aの底版開口部31aは、放水路トンネル21に連通している。
【0058】
図4(a)に示すように、頂版3aは、頂版開口部29aの内周面33aに、第1の凸部35aが設けられる。凸部35aには、2か所の切欠き部43aが設けられる。2か所の切欠き部43aは、180度離して設けられる。切欠き部43aは、内周面30が、頂版開口部29aの内周面33aよりも径方向外側に位置するように形成される。
図4(b)に示すように、凸部35aは、頂版3aの厚み37aの下半部39aのみに設けられる。凸部35aには、鉛直方向の孔41aが設けられる。
【0059】
図4(b)に示すように、底版5aは、底版開口部31aの内周面45aに、凸部47aが設けられる。凸部47aは、底版5aの厚み51aの下半部53aのみに設けられる。凸部47aには、鉛直方向の孔49aが設けられる。底版5aの下面4aを支持するブラケット19は、上面69に、ゴム製等のリング状の止水材71が設けられる。
【0060】
図4(c)、
図4(d)に示すように、蓋11aは、外周面55aに、頂版3aに設けられる第1の凸部35aと重ね合わせて接合するための第2の凸部57aが設けられる。凸部57aは、蓋11aの厚み59aの上半部61aのみに設けられる。凸部57aには、鉛直方向の孔65aが設けられる。
【0061】
また、蓋11aは、中央付近に給排気口13が設けられる。給排気口13には、給排気管15が取り付けられる。給排気管15には、給排気バルブ17が設けられる。
【0062】
図4(d)に示す、凸部57aを含めた蓋11aの径14aは、
図4(a)に示す、頂版3aの頂版開口部29aの径28aよりやや小さいが、ほぼ同一である。
【0063】
図4(e)に示すように、切欠き部用キャップ67aは、2つの部材からなる。切欠き部用キャップ67aは、
図5(a)に示すように頂版開口部29aに蓋11aを設置した状態で、蓋11aの凸部57aの外周面56と切欠き部43aの内周面30との間の空間を埋めるような形状とする。切欠き部用キャップ67aは、ゴム製等とする。
【0064】
(放水口1aにおける蓋11aの付け替え方法)
放水口1aの頂版3aの頂版開口部29aを蓋11aで塞ぐ際には、
図5(b)の上段図に示すように、頂版3aに設けられた第1の凸部35aの上に、蓋11aに設けられた第2の凸部57aを重ね合わせる。そして、
図5(a)に示すように、凸部57aの孔65aと凸部35aの孔41a(
図5(d))とを連通させてボルト89を挿通し、凸部57aを凸部35aに固定する。
【0065】
頂版3aの凸部35aに蓋11aの凸部57aを重ね合わせると、
図5(a)に示すように、頂版3aの凸部35aに設けられた切欠き部43aによって、切欠き部43aの内周面30と蓋11aの凸部57aの外周面56との間に隙間が生じる。
図5(a)および
図5(b)の下段図に示すように、切欠き部43aによって生じるこの隙間には、切欠き部用キャップ67aを設置し、頂版開口部29aを塞ぐ。
【0066】
蓋11を頂版開口部29aから底版開口部31aに付け替える際には、
図5(a)および
図5(b)に示す状態から、凸部57aを凸部35aに固定するためのボルト89を、連通する孔65aおよび孔41a(
図5(d))から取り外す。同時に、切欠き部用キャップ67aを切欠き部43aから取り外し、開口部を確保する。
【0067】
そして、クレーン台船等を用いて蓋11aを吊り、蓋11aを
図5(c)および
図5(d)に示すように傾けて、頂版3aの凸部35aに設けられた切欠き部43aに通す。その後、放水口1a内で蓋11aを水平に戻し、蓋11aを底版開口部31aまで吊り下げる。
【0068】
放水口1aの底版5aの底版開口部31aを蓋11aで塞ぐ際には、
図5(f)に示すように、底版5aに設けられた凸部47aの上に、蓋11aに設けられた凸部57aを重ね合わせる。そして、
図5(e)に示すように、凸部57aの孔65aと凸部47aの孔49a(
図5(d))とを連通させてボルト89を挿通し、凸部57aを凸部47aに固定して底版開口部31aを塞ぐ。
【0069】
底版開口部31aを蓋11aで塞ぐと、
図5(d)に示すブラケット19の上面69に設置された止水材71が、
図5(f)に示す蓋11aの下面12aとブラケット19の上面69との間に挟まれ、止水効果が得られる。
【0070】
蓋11aを底版開口部31aから頂版開口部29aに付け替える際には、
図5(e)に示す状態から、凸部57aを凸部47aに固定するためのボルト89を、連通する孔65aおよび孔49a(
図5(d))から取り外す。
【0071】
そして、クレーン台船等を用いて蓋11aを吊り、
図5(c)および
図5(d)に示すように、蓋11aを傾けて、頂版3aの凸部35aに設けられた切欠き部43aに通して吊り上げる。
【0072】
その後、放水口1a上で蓋11aを水平に戻し、
図5(a)および
図5(b)に示すように、蓋11aを頂版開口部29aに設置し、頂版3aの凸部35aの上に蓋11aの凸部57aを重ね合わせてボルト89で固定するとともに、切欠き部43aによって生じる隙間に切欠き部用キャップ67aを設置して、頂版開口部29aを塞ぐ。
【0073】
(放水路トンネル21のメンテナンス方法)
放水口1aおよび放水路トンネル21を使用している状態においては、
図5(a)および
図5(b)に示すように、放水口1aの頂版3aの頂版開口部29aに蓋11aが設置されている。蓋11aは、頂版3aに固定され、頂版開口部29aを塞ぐ。放水路トンネル21や放水口1aの内部には水が満たされ、必要に応じてノズル9から水が放出される。
【0074】
放水路トンネル21のメンテナンスを行う場合、
図5(a)および
図5(b)に示す状態から、上述した手順で、蓋11aを頂版3aの頂版開口部29aから底版5aの底版開口部31aに付け替えて、
図5(e)および
図5(f)に示すように、蓋11aで底版開口部31aを塞ぐ。
【0075】
その後、第1の実施の形態と同様にして、放水路トンネル21の内部から水を抜水し、放水路トンネル21の内部をドライアップした状態にする。そして、放水路トンネル21の内部のメンテナンスを気中作業にて行う。メンテナンスの終了後、第1の実施の形態と同様にして、放水路トンネル21の内部に水を注水する。
【0076】
注水の完了後、
図5(e)および
図5(f)に示す状態から、上述した手順で、蓋11aを底版5aの底版開口部31aから頂版3aの頂版開口部29aに付け替えて、頂版開口部29aを蓋11aで塞ぎ、
図5(a)および
図5(b)に示す状態に戻す。
【0077】
このように、第2の実施の形態では、頂版開口部29aと底版開口部31aとに付け替え可能な蓋11aを用いて底版開口部31aを塞いだ後、放水路トンネル21の内部を抜水してメンテナンスを行う。これにより、放水路トンネル21と放水口1aとが連通する位置で止水を行って放水路トンネル21の全域をドライアップすることができるため、放水路トンネル21の全域の点検および補修を気中作業によって容易に行うことができる。
【0078】
第2の実施の形態においても、頂版開口部29aの頂版蓋と底版開口部31aの止水蓋とを1つの蓋11aで兼用するため、止水蓋を陸上から運搬したり、陸上に止水蓋専用の保管場所を確保したりする必要がなくなる。さらに、放水口1aに施す重防食塗装や電気防食により、放水口1aと同時に蓋11aの防食を実施できる。
【0079】
第2の実施の形態では、頂版3aの内周面33aに設けられた凸部35aに切欠き部43aを設け、蓋11aを傾けて切欠き部43aに通すことにより、頂版開口部29aを介して、蓋11aを放水口1aから容易に出し入れすることができる。
【0080】
なお、第2の実施の形態では、底版開口部31aに蓋11aを設置した際にボルト89で凸部57aと凸部47aとを固定したが、ボルト89の設置は必須ではない。
【0081】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図6は、放水口1bにおける蓋11bの付け替え方法を示す図である。
図6(a)は、蓋11bを設置していない放水口1bを上方から見た図、
図6(b)は、蓋11bを頂版3bに固定した状態での断面斜視図である。
図6(b)は、
図6(a)の矢印J1−J1に示す位置での断面斜視図である。
図6(c)および
図6(d)は、蓋11bを頂版開口部29bに通している状態を示す図である。
図6(d)は、
図6(c)の矢印J2−J2による断面を示す図である。
図6(e)および
図6(f)は、蓋11bを底版5bに固定した状態を示す図である。
図6(e)は、
図6(f)の矢印J4−J4による断面を示す図であり、
図6(f)は、
図6(e)の矢印J3−J3による断面を示す図である。
【0082】
(放水口1bおよび放水路トンネル21の構造)
図6に示すように、放水口1bは、第1の実施の形態の放水口1とほぼ同様の構成であるが、頂版3の代わりに、頂版開口部29bを有する頂版3bが設けられる。また、底版5の代わりに、底版開口部31bを有する底版5bが設けられる。さらに、蓋11の代わりに、頂版開口部29bと底版開口部31bとに付け替え可能な蓋11bが設けられる。頂版開口部29b、底版開口部31b、蓋11bは、楕円形である。放水口1bは、第1の実施の形態の放水口1と同様に、水底に設置される。
【0083】
放水路トンネル21は、第1の実施の形態の放水路トンネル21とほぼ同様の構成であるが、上端付近の外周面に筒状のブラケット19bが設けられる。
図6(b)に示すように、ブラケット19bの外径は、底版開口部31bに合わせた略楕円形である。ブラケット19bは、上面69bで放水口1bの底版5bの下面4bを支持する。底版5bの底版開口部31bは、放水路トンネル21に連通している。
【0084】
図6(a)に示すように、頂版3bは、頂版開口部29bの内周面33bに、第1の凸部35bが設けられる。凸部35bは、頂版3bの厚みの下半部のみに設けられる。凸部35bには、鉛直方向の孔41bが設けられる。
【0085】
図6(b)、
図6(d)に示すように、底版5bは、底版開口部31bの内周面45bに、凸部47bが設けられる。凸部47bは、底版5bの厚みの下半部のみに設けられる。凸部47bには、鉛直方向の孔49bが設けられる。底版5bの下面4bを支持するブラケット19bは、上面69bに、ゴム製等のリング状の止水材71bが設けられる。
【0086】
図6(b)、
図6(c)に示すように、蓋11bは、外周面55bに、頂版3bに設けられる第1の凸部35bと重ね合わせて接合するための第2の凸部57bが設けられる。凸部57bは、蓋11bの厚みの上半部のみに設けられる。凸部57bには、鉛直方向の孔65bが設けられる。
【0087】
また、蓋11bは、中央付近に給排気口13が設けられる。給排気口13には、給排気管15が取り付けられる。給排気管15には、給排気バルブ17が設けられる。
【0088】
凸部57bを含めた蓋11bの長径および短径は、頂版開口部29bの内周面33bの長径および短径よりやや小さいが、ほぼ同一である。また、
図6に示す例では、凸部57bを含めた蓋11bの短径79(
図6(d))が、頂版3bに設けられた凸部35bの内周面75の長径73(
図6(a))より小さい。
【0089】
(放水口1bにおける蓋11bの付け替え方法)
放水口1bの頂版3bの頂版開口部29bを蓋11bで塞ぐ際には、
図6(b)に示すように、頂版3bに設けられた第1の凸部35bの上に、蓋11bに設けられた第2の凸部57bを重ね合わせる。そして、凸部57bの孔65bと凸部35bの孔41b(
図6(a))とを連通させてボルト89を挿通し、凸部57bを凸部35bに固定する。
【0090】
蓋11bを頂版開口部29bから底版開口部31bに付け替える際には、
図6(b)に示す状態から、凸部57bを凸部35bに固定するためのボルト89を、連通する孔65bおよび孔41b(
図6(a))から取り外す。
【0091】
そして、クレーン台船等を用いて蓋11bを吊り、蓋11bを、
図6(c)および
図6(d)に示すようにほぼ垂直に傾けるとともに、凸部57bを含む蓋11bの短径79の方向が凸部35bを含む頂版3bの内周面75の長径73(
図6(a))の方向となるように約90度回転させて、蓋11bを頂版開口部29bに通す。その後、放水口1b内で蓋11bを水平に戻して回転させ、蓋11bを底版開口部31bまで吊り下げる。
【0092】
放水口1bの底版5bの底版開口部31bを蓋11bで塞ぐ際には、
図6(f)に示すように、底版5bに設けられた凸部47bの上に、蓋11bに設けられた凸部57bを重ね合わせる。そして、
図6(e)に示すように、凸部57bの孔65bと凸部47bの孔49b(
図6(b))とを連通させてボルト89を挿通し、凸部57bを凸部47bに固定する。
【0093】
底版開口部31bを蓋11bで塞ぐと、
図6(b)に示すブラケット19bの上面69bに設置された止水材71bが、
図6(f)に示す蓋11bの下面12bとブラケット19bの上面69bとの間に挟まれ、止水効果が得られる。
【0094】
蓋11bを底版開口部31bから頂版開口部29bに付け替える際には、
図6(e)および
図6(f)に示す状態から、凸部57bを凸部47bに固定するためのボルト89を、連通する孔65bおよび孔49b(
図6(b))から取り外す。
【0095】
そして、クレーン台船等を用いて蓋11bを吊り、
図6(c)および
図6(d)に示すように、蓋11bを傾けて回転させ、頂版開口部29bに通して吊り上げる。その後、放水口1b上で蓋11bを水平に戻して回転させ、
図6(b)に示すように、蓋11bを頂版開口部29bに設置し、頂版3bの凸部35bの上に蓋11bの凸部57bを重ね合わせてボルト89で固定して、頂版開口部29bを塞ぐ。
【0096】
(放水路トンネル21のメンテナンス方法)
放水口1bおよび放水路トンネル21を使用している状態においては、
図6(b)に示すように、放水口1bの頂版3bの頂版開口部29bに蓋11bが設置されている。蓋11bは、頂版3bに固定され、頂版開口部29bを塞ぐ。放水路トンネル21や放水口1bの内部には水が満たされ、必要に応じてノズル9から水が放出される。
【0097】
放水路トンネル21のメンテナンスを行う場合、
図6(b)に示す状態から、上述した手順で、蓋11bを頂版3bの頂版開口部29bから底版5bの底版開口部31bに付け替えて、
図6(e)および
図6(f)に示すように、蓋11bで底版開口部31bを塞ぐ。
【0098】
その後、第1の実施の形態と同様にして、放水路トンネル21の内部から水を抜水し、放水路トンネル21の内部をドライアップした状態にする。そして、放水路トンネル21の内部のメンテナンスを気中作業にて行う。メンテナンスの終了後、第1の実施の形態と同様にして、放水路トンネル21の内部に水を注水する。
【0099】
注水の完了後、
図6(e)および
図6(f)に示す状態から、上述した手順で、蓋11bを、底版5bの底版開口部31bから頂版3bの頂版開口部29bに付け替えて、
図6(b)に示すように、蓋11bで頂版開口部29bを塞ぐ。
【0100】
このように、第3の実施の形態では、頂版開口部29bと底版開口部31bとに付け替え可能な蓋11bを用いて底版開口部31bを塞いだ後、放水路トンネル21の内部を抜水してメンテナンスを行う。これにより、放水路トンネル21と放水口1とが連通する位置で止水を行って放水路トンネル21の全域をドライアップすることができるため、放水路トンネル21の全域の点検および補修を気中作業によって容易に行うことができる。
【0101】
第3の実施の形態においても、頂版開口部29bの頂版蓋と底版開口部31bの止水蓋とを1つの蓋11bで兼用するため、止水蓋を陸上から運搬したり、陸上に止水蓋専用の保管場所を確保したりする必要がなくなる。さらに、放水口1bに施す重防食塗装や電気防食により、放水口1bと同時に蓋11bの防食を実施できる。
【0102】
第3の実施の形態では、頂版開口部29bおよび蓋11bを楕円形とし、蓋11bをほぼ垂直に傾けて回転させて頂版開口部29bに通すことにより、頂版開口部29bを介して、蓋11bを放水口1bから容易に出し入れすることができる。
【0103】
なお、第3の実施の形態では、底版開口部31bに蓋11bを設置した際にボルト89で凸部57bと凸部47bとを固定したが、ボルト89の設置は必須ではない。
【0104】
また、第3の実施の形態では、凸部57bを含めた蓋11bの短径79(
図6(d))を、頂版3bに設けられた凸部35bの内周面75の長径73(
図6(a))より小さいものとし、蓋11bを頂版開口部29bに通す際に、蓋11bをほぼ垂直に傾けて約90度回転させたが、短径79と長径73との関係はこの限りではない。頂版開口部29bを通す際の蓋11bの傾き加減や回転角度は、頂版開口部29bと蓋11bの形状に応じて調整すればよい。
【0105】
次に、第4の実施の形態について説明する。
図7は、放水口1cにおける蓋11cの付け替え方法を示す図である。
図7(a)は、放水口1bを上方から見た図であり、蓋11cを半分だけ図示している。
図7(b)は、蓋11bを頂版3bに固定した状態での断面斜視図である。
図7(b)は、
図7(a)の矢印K1−K1に示す位置での断面斜視図である。
図7(c)は、治具81の左半部の垂直断面図である。
図7(d)および
図7(e)は、蓋11cを頂版開口部29cに通している状態を示す図である。
図7(e)は、
図7(d)の矢印K2−K2による断面を示す図である。
図7(f)および
図7(g)は、蓋11cを底版5cに固定した状態を示す図である。
図7(f)は、
図7(g)の矢印K4−K4による断面を示す図であり、
図7(g)は、
図7(f)の矢印K3−K3による断面を示す図である。
【0106】
(放水口1cおよび放水路トンネル21の構造)
図7に示すように、放水口1cは、第1の実施の形態の放水口1とほぼ同様の構成であるが、頂版3の代わりに、頂版開口部29cを有する頂版3cが設けられる。また、底版5の代わりに、底版開口部31cを有する底版5cが設けられる。さらに、蓋11の代わりに、頂版開口部29cと底版開口部31cとに付け替え可能な蓋11cが設けられる。頂版開口部29c、底版開口部31c、蓋11cは、円形である。放水口1cは、第1の実施の形態の放水口1と同様に、水底に設置される。
【0107】
放水路トンネル21は、第1の実施の形態の放水路トンネル21と同様の構成である。放水路トンネル21に設けられたブラケット19は、
図7(b)に示すように、上面69で放水口1cの底版5cの下面4cを支持する。底版5cの底版開口部31cは、放水路トンネル21に連通している。
【0108】
図7(a)、
図7(b)に示すように、頂版3cの頂版開口部29cの内周面33cには、治具81が設置される。
【0109】
図7(a)から
図7(c)に示すように、治具81は、筒状部材91、鍔状部材93、鍔状部材95、ヒンジ部87からなる。筒状部材91は、頂版開口部29cの内周面33cに沿って配置される。鍔状部材93は、筒状部材91の外周側に張り出して設けられた環状の部材であり、筒状部材91の上端に一体化される。鍔状部材93は、頂版3cの上面85に沿って配置される。鍔状部材95は、筒状部材91の内周側に張り出して設けられ、筒状部材91の下端に一体化される。鍔状部材95は、蓋11cと重ね合わせて接合するための部材であり、鉛直方向の孔83が設けられる。鍔状部材95は、2ケ所に、筒状部材91の下端にヒンジ部87によって一体化された鍔状部材95aを有する。
図7(c)の右側図や
図7(g)に示すように、鍔状部材95aは、ヒンジ部87によって回転して下方に開く。
【0110】
図7(b)に示すように、底版5cの下面4cを支持するブラケット19は、上面69に、ゴム製等のリング状の止水材71が設けられる。
【0111】
図7(a)、
図7(b)に示すように、蓋11cは、外周付近に鉛直方向の孔65cが設けられる。蓋11cの径は、治具81の筒状部材91の内周面の径よりやや小さいが、ほぼ同一である。
【0112】
また、蓋11cは、中央付近に給排気口13が設けられる。給排気口13には、給排気管15が取り付けられる。給排気管15には、給排気バルブ17が設けられる。
【0113】
(放水口1cにおける蓋11cの付け替え方法)
放水口1cの頂版3cの頂版開口部29cを蓋11cで塞ぐ際には、
図7(a)、
図7(b)に示すように、頂版開口部29cに設置された治具81の鍔状部材95の上に、蓋11cを重ね合わせる。そして、蓋11cの孔65cと鍔状部材95の孔83とを連通させてボルト89を挿通し、蓋11cを鍔状部材95に固定して、頂版開口部29cを塞ぐ。
【0114】
蓋11cを頂版開口部29cから底版開口部31cに付け替える際には、
図7(a)、
図7(b)に示す状態から、蓋11cを鍔状部材95に固定するためのボルト89を、連通する孔65cおよび孔83から取り外す。
【0115】
そして、クレーン台船等を用いて蓋11cを吊り、
図7(d)および
図7(e)に示すように、治具81の鍔状部材95aを下方に開くとともに、11cを傾けて、蓋11cを頂版開口部29cに通す。その後、放水口1c内で蓋11cを水平に戻して回転させ、蓋11cを底版開口部31cまで吊り下げる。
【0116】
放水口1cの底版5cの底版開口部31cを蓋11cで塞ぐ際には、
図7(f)および
図7(g)に示すように、底版5cに設けられた底版開口部31cに、蓋11cを嵌めこむ。底版開口部31cの内周面45cに凸部を設けてもよい。
【0117】
底版開口部31cを蓋11cで塞ぐと、
図7(b)に示すブラケット19の上面69に設置された止水材71が、
図7(g)に示すように蓋11cの下面12cとブラケット19の上面69との間に挟まれ、止水効果が得られる。
【0118】
蓋11cを底版開口部31cから頂版開口部29cに付け替える際には、
図7(f)および
図7(g)に示す状態から、クレーン台船等を用いて蓋11cを吊り、
図7(d)および
図7(e)に示すように、蓋11cを傾けて回転させて、治具81の鍔状部材95aを開いた状態で頂版開口部29cに通して吊り上げる。その後、開いた鍔状部材95aを水平に戻すとともに、放水口1c上で蓋11cを水平に戻し、
図7(a)および
図7(b)に示すように、蓋11cと鍔状部材95とをボルト89で固定して、頂版開口部29cを塞ぐ。
【0119】
(放水路トンネル21のメンテナンス方法)
放水口1cおよび放水路トンネル21を使用している状態においては、
図7(a)および
図7(b)に示すように、放水口1cの頂版3cの頂版開口部29cに蓋11cが設置されている。蓋11cは、頂版3cに固定され、頂版開口部29cを塞ぐ。放水路トンネル21や放水口1cの内部には水が満たされ、必要に応じてノズル9から水が放出される。
【0120】
放水路トンネル21のメンテナンスを行う場合、
図7(a)および
図7(b)に示す状態から、上述した手順で、蓋11cを頂版3cの頂版開口部29cから底版5cの底版開口部31cに付け替えて、
図7(f)および
図7(g)に示すように、蓋11cで底版開口部31cを塞ぐ。
【0121】
その後、第1の実施の形態と同様にして、放水路トンネル21の内部から水を抜水し、放水路トンネル21の内部をドライアップした状態にする。そして、放水路トンネル21の内部のメンテナンスを気中作業にて行う。メンテナンスの終了後、第1の実施の形態と同様にして、放水路トンネル21の内部に水を注水する。
【0122】
注水の完了後、
図7(f)および
図7(g)に示す状態から、上述した手順で、蓋11cを底版5cの底版開口部31cから頂版3cの頂版開口部29cに付け替えて、7(a)および
図7(b)に示すように、蓋11cで頂版開口部29cを塞ぐ。
【0123】
このように、第4の実施の形態では、頂版開口部29cと底版開口部31cとに付け替え可能な蓋11cを用いて底版開口部31cを塞いだ後、放水路トンネル21の内部を抜水してメンテナンスを行う。これにより、放水路トンネル21と放水口1とが連通する位置で止水を行って放水路トンネル21の全域をドライアップすることができるため、放水路トンネル21の全域の点検および補修を気中作業によって容易に行うことができる。
【0124】
第4の実施の形態においても、頂版開口部29cの頂版蓋と底版開口部31cの止水蓋とを1つの蓋11cで兼用するため、止水蓋を陸上から運搬したり、陸上に止水蓋専用の保管場所を確保したりする必要がなくなる。さらに、放水口1cに施す重防食塗装や電気防食により、放水口1cと同時に蓋11cの防食を実施できる。
【0125】
第4の実施の形態では、頂版開口部29cに設置した治具81の鍔状部材95aを下方に開き、蓋11cを傾けて治具81の筒状部材91に通すことにより、頂版開口部29cを介して、蓋11cを放水口1cから容易に出し入れすることができる。
【0126】
なお、第1から第4の実施の形態では、頂版開口部に設置した蓋を取り外して底版開口部に設置し、放水路トンネル内から抜水してメンテナンスを行った後、放水路トンネルに注水し、底版開口部に設置した蓋を取り外して頂版開口部に設置したが、本発明の取放水路トンネル内のメンテナンス方法は、この全ての工程を含まない場合もある。既設の蓋が劣化したために新設の蓋に交換する場合には、頂版開口部に設置した既設の蓋を取り外して撤去した後、新設の蓋を底版開口部に設置し、放水路トンネル内から抜水してメンテナンスを行い、放水路トンネルに注水し、底版開口部に設置した蓋を取り外して頂版開口部に設置する。
【0127】
本発明の取放水路トンネル内のメンテナンス方法は、他の放水口に連結された放水路トンネルのメンテナンスにも適用できる。
図8は、放水口1dを有する放水路トンネル21の例を示す図である。
図8(a)は、蓋11dを頂版開口部29dに設置した状態の放水口1dの垂直断面図、
図8(b)は、蓋11dを頂版開口部29dから底版開口部31dに吊り下げている状態の放水口1dの垂直断面図、
図8(c)は、蓋11dを底版開口部31dに設置した状態の放水口1dの垂直断面図である。
【0128】
図8に示す放水口1dは、第1の実施の形態の放水口1とほぼ同様の構成であるが、頂版3の代わりに、頂版開口部29bを有する頂版3bが設けられる。また、底版5の代わりに、底版開口部31bを有する底版5bが設けられる。さらに、蓋11の代わりに、頂版開口部29bと底版開口部31bとに付け替え可能な蓋11bが設けられる。頂版開口部29b、底版開口部31b、蓋11bは、円形である。
【0129】
図8(c)に示すように、頂版3dは、頂版開口部29dの内周面33dに、第1の凸部35dが設けられる。凸部35dは、頂版3dの厚みの下半部のみに設けられる。
図8(a)に示すように、底版5dは、底版開口部31dの内周面45dに、凸部47dが設けられる。凸部47dは、底版5dの厚みの下半部のみに設けられる。
【0130】
図8(b)に示すように、蓋11dは、外周面55dに、頂版3dに設けられる第1の凸部35dと重ね合わせて接合するための第2の凸部57dが設けられる。凸部57dは、蓋11bの厚みの上半部のみに設けられる。凸部57dを含めた蓋11dの水平状態での径は、頂版開口部29dの内周面33dの径よりやや小さいが、ほぼ同一である。
【0131】
放水口1dの頂版3dの頂版開口部29dを蓋11dで塞ぐ際には、
図8(a)に示すように、頂版3dに設けられた第1の凸部35dの上に、蓋11dに設けられた第2の凸部57dを重ね合わせる。そして、図示しない孔およびボルトを用いて凸部57dを凸部35dに固定する。
【0132】
蓋11dを頂版開口部29dから底版開口部31dに付け替える際には、
図8(a)に示す状態から、凸部57dを凸部35dに固定するための図示しないボルトを取り外し、クレーン台船等を用いて蓋11dを吊る。蓋11dは、
図8(b)に示すように、吊り下げると平面視での径が狭まるため、蓋11dを吊った状態で頂版開口部29dに通し、矢印Lに示すように底版開口部31bまで吊り下げる。
【0133】
放水口1dの底版5dの底版開口部31dを蓋11dで塞ぐ際には、
図8(c)に示すように、底版5dに設けられた凸部47dの上に、蓋11dに設けられた凸部57dを重ね合わせる。そして、図示しない孔およびボルトを用いて凸部57dを凸部47dに固定する。
【0134】
底版開口部31dを蓋11dで塞ぐと、
図8(c)に示すように、ブラケット19の上面69に設置された図示しない止水材が、蓋11dの下面12bとブラケット19の上面69との間に挟まれ、止水効果が得られる。
【0135】
蓋11dを底版開口部31dから頂版開口部29dに付け替える際には、
図8(c)に示す状態から、凸部57dを凸部47dに固定するための図示しないボルト89を取り外し、クレーン台船等を用いて蓋11dを吊る。そして、
図8(b)に示すように、平面視での径が狭まった状態の蓋11dを吊り上げて頂版開口部29dに通し、頂版3dの凸部35dと蓋11dの凸部57dとを重ね合わせて図示しない孔およびボルトを用いて固定し、頂版開口部29dを塞ぐ。
【0136】
図8に示す放水口1dにおいても、頂版開口部29dを介して、蓋11dを放水口1dから容易に出し入れすることができる。また、頂版開口部29dの頂版蓋と底版開口部31dの止水蓋とを1つの蓋11dで兼用し、蓋11dで底版開口部31cを塞いだ後、放水路トンネル21の内部を抜水してメンテナンスを行うことにより、第1から第4の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0137】
第1から第3の実施の形態や
図8に示す例では、頂版の厚みの下半部に第1の凸部を設け、蓋の厚みの上半部に第2の凸部を設けて、第1の凸部と第2の凸部とを重ねて固定したが、頂版の厚みの上半部に第1の凸部を設け、蓋の厚みの下半部に第2の凸部を設けて、第1の凸部と第2の凸部とを重ねて固定してもよい。また、蓋の凸部と頂版の凸部とを固定する手段は、孔とボルト89に限らない。
【0138】
第1から第4の実施の形態や
図8に示す例では、蓋に設けられた給排気口13に給排気バルブ17を有する給排気管15を設置し、給排気の際に給排気管15を水上まで延長したが、給排気口13にあらかじめ給排気管15や給排気バルブ17を設置する必要はない。給排気の際に、給排気バルブ17や給排気管15を給排気口13に設置してもよい。
【0139】
第1から第4の実施の形態では、放水口の下方に放水路トンネル21が連結された例を用いて説明したが、本発明の取放水路トンネルのメンテナンス方法は、取水口の下方に取水路トンネルが連結された例にも適用できる。また、本発明の取放水口は、取水口にも適用できる。
【0140】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。