(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術にかかる表示装置では、1画面分の表示を行う時間(フレーム期間)は一定であったため、想定される垂直ライン数に基づいて、フレーム期間に対する発光期間の比であるオンデューティが定められていた。そして、表示装置は、当該オンデューティに基づいた発光を行うように、予め定められた発光タイミングおよび消光タイミングで表示を行うように、映像信号および同期信号により制御されていた。
【0007】
しかし、フレーム期間はGPUが処理する内容次第で変動するものであるため、GPUの処理能力等により、フレーム期間が大きく変動する場合がある。フレーム期間が変動すると、フレーム期間に対する発光期間の比であるオンデューティも変動する。これにより、予め定められた発光タイミングと実際の表示タイミングとが一致せず、画面に細かいちらつきが表示されるフリッカー現象が生じるという課題があった。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、フリッカー現象を抑制することができる表示パネルの制御装置、表示装置および表示パネルの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる表示パネルの制御装置の一態様は、発光素子を有する画素回路が複数個行列状に配置された表示パネルの表示を制御する制御装置であって、外部から受信した映像信号を一時的に保持するデータ保持部と、外部から受信した垂直同期信号または前記映像信号の開始タイミングに基づいて、前記映像信号を前記データ保持部から前記表示パネルへ供給する同期制御部と、前記発光素子の発光輝度および発光タイミングを制御する発光制御部と、前記データ保持部から読み出された前記映像信号の映像表示を行うときの、前記発光素子の発光輝度を調整する輝度調整部とを備え、前記発光制御部は、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときの1フレーム期間における前記発光素子の総発光量が、あらかじめ定められた最低垂直ライン数の映像表示を行うときの1フレーム期間における前記発光素子の総発光量と等しくなるように、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときの前記発光素子の発光輝度を調整する輝度調整パラメータを導出し、前記輝度調整部は、前記輝度調整パラメータに基づいて、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときの前記発光素子の発光輝度を調整する。
【0010】
これにより、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間における総発光量が最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間の総発光量と等しくなるように輝度調整パラメータが導出されるので、当該輝度調整パラメータを用いて発光輝度の調整を行うことにより、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間における総発光量と最低垂直ライン数Vの映像表示を行う場合の1フレーム期間の総発光量とを等しくすることができる。これにより、制御装置は、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、表示パネルに発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0011】
また、前記発光制御部は、前記輝度調整パラメータとして、前記最低垂直ライン数の前記現フレームの垂直ライン数に対する比を算出し、前記輝度調整部は、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときに、前記データ保持部から読み出された前記映像信号に前記輝度調整パラメータを演算することで、前記発光素子の発光輝度を調整してもよい。
【0012】
これにより、制御装置は、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数との比を輝度調整パラメータとして算出し、最低垂直ライン数の表示を行うときの発光素子の発光輝度に、当該輝度調整パラメータを乗算して重み付けをすることができる。これにより、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の総発光量と現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の総発光量とを等しくすることができる。したがって、制御装置は、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、表示パネルに発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0013】
また、前記輝度調整パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数をV
nowとすると、V
min/V
nowで表されてもよい。
【0014】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が通知された場合に、制御装置は、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数とにより輝度調整パラメータを容易に算出することができる。これにより、制御装置は、発光素子の発光輝度を簡便に調整し、表示パネルに発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0015】
また、前記輝度調整パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数の前記最低垂直ライン数に対する差分をV
diffとすると、1−V
diff/(V
min+V
diff)で表されてもよい。
【0016】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が供給されなくても、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数との差分が供給されれば、制御装置は、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光素子の発光輝度を調整することができる。
【0017】
また、前記発光制御部は、前記最低垂直ライン数と前記現フレームの垂直ライン数とからあらかじめ算出された前記輝度調整パラメータを記憶している記憶部を備え、前記発光制御部は、前記記憶部から、前記最低垂直ライン数および前記現フレームの垂直ライン数に対応する前記輝度調整パラメータを選択し、前記輝度調整部は、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときに、前記データ保持部から読み出された前記映像信号に、前記発光制御部により選択された前記輝度調整パラメータを演算することで、前記発光素子の発光輝度を調整してもよい。
【0018】
これにより、制御装置は、既に演算された輝度調整パラメータから最適な輝度調整パラメータを選択して、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光素子の発光輝度を容易に調整することができる。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明にかかる表示装置の一態様は、発光素子を有する画素回路が複数個行列状に配置されたパネル部と、前記パネル部に表示される映像信号を前記画素回路に供給するソース駆動回路と、前記パネル部に表示される前記映像信号の表示タイミングを制御する同期信号を、前記画素回路に供給するゲート駆動回路と、前記ゲート駆動回路および前記ソース駆動回路を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、外部から受信した映像信号を一時的に保持するデータ保持部と、外部から受信した垂直同期信号または前記映像信号の開始タイミングに基づいて、前記映像信号を前記データ保持部から前記パネル部へ供給する同期制御部と、前記発光素子の発光輝度および発光タイミングを制御する発光制御部と、前記データ保持部から読み出された前記映像信号の映像表示を行うときの、前記発光素子の発光輝度を調整する輝度調整部とを備え、前記発光制御部は、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときの1フレーム期間における前記発光素子の総発光量が、あらかじめ定められた最低垂直ライン数の映像表示を行うときの1フレーム期間における前記発光素子の総発光量と等しくなるように、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときの前記発光素子の発光輝度を調整する輝度調整パラメータを導出し、前記輝度調整部は、前記輝度調整パラメータに基づいて、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときの前記発光素子の発光輝度を調整する。
【0020】
これにより、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間における総発光量が最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間の総発光量と等しくなるように輝度調整パラメータが導出されるので、当該輝度調整パラメータを用いて発光輝度の調整を行うことにより、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間における総発光量と最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間の総発光量とを等しくすることができる。これにより、表示装置は、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、フリッカー現象を抑制することができる。
【0021】
また、前記発光制御部は、前記輝度調整パラメータとして、前記最低垂直ライン数の前記現フレームの垂直ライン数に対する比を算出し、前記輝度調整部は、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときに、前記データ保持部から読み出された前記映像信号に前記輝度調整パラメータを演算することで、前記発光素子の発光輝度を調整してもよい。
【0022】
これにより、表示装置は、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数との比を輝度調整パラメータとして算出し、最低垂直ライン数の表示を行うときの発光素子の発光輝度に、当該輝度調整パラメータを乗算して重み付けをすることができる。これにより、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の総発光量と現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の総発光量とを等しくすることができる。したがって、表示装置は、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、フリッカー現象が発生するのを抑制することができる。
【0023】
また、前記輝度調整パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数をV
nowとすると、V
min/V
nowで表されてもよい。
【0024】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が通知された場合に、制御装置は、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数とにより輝度調整パラメータを容易に算出することができる。これにより、表示装置は、発光素子の発光輝度を簡便に調整し、フリッカー現象が発生するのを抑制することができる。
【0025】
また、前記輝度調整パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数の前記最低垂直ライン数に対する差分をV
diffとすると、1−V
diff/(V
min+V
diff)で表されてもよい。
【0026】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が供給されなくても、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数との差分が供給されれば、表示装置は、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光素子の発光輝度を調整することができる。
【0027】
また、前記発光制御部は、前記最低垂直ライン数と前記現フレームの垂直ライン数とからあらかじめ算出された前記輝度調整パラメータを記憶している記憶部を備え、前記発光制御部は、前記記憶部から、前記最低垂直ライン数および前記現フレームの垂直ライン数に対応する前記輝度調整パラメータを選択し、前記輝度調整部は、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときに、前記データ保持部から読み出された前記映像信号に、前記発光制御部により選択された前記輝度調整パラメータを演算することで、前記発光素子の発光輝度を調整してもよい。
【0028】
これにより、表示装置は、既に演算された輝度調整パラメータから最適な輝度調整パラメータを選択して、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光素子の発光輝度を容易に調整することができる。
【0029】
また、上記目的を達成するために、本発明にかかる表示パネルの駆動方法の一態様は、発光素子を有する画素回路が複数個行列状に配置された表示パネルの駆動方法であって、垂直同期信号を受信または映像信号の開始タイミングを検出したときにフレーム期間を開始し、前記フレーム期間は、前記フレーム期間の開始後前記映像信号が前記画素回路へ供給され終わるまでの映像期間と、前記映像期間の終了後、次の前記垂直同期信号を受信または前記映像信号の開始タイミングを検出するまでの延長期間とからなり、前記垂直同期信号を受信または映像期間信号の開始タイミングを検出した後に通知された現フレームの垂直ライン数に基づいて、発光制御部において、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときの前記発光素子の発光輝度を調整する輝度調整パラメータを導出するパラメータ導出工程と、前記垂直同期信号を受信または映像期間信号の開始タイミングを検出した後所定期間内に前記画素回路を初期化する初期化工程と、前記垂直同期信号を受信または映像期間信号の開始タイミングを検出した後、前記映像信号をデータ保持部に一時的に保持する書き込み工程と、輝度調整部により、前記データ保持部から読み出された前記映像信号に前記輝度調整パラメータが演算されることで、前記発光素子の発光輝度を調整する輝度調整工程と、前記初期化後であって前記映像期間中に、前記発光素子を前記輝度調整された発光輝度で発光させることにより前記映像信号を表示させる映像表示工程とを含み、前記パラメータ導出工程において、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときの1フレーム期間における前記発光素子の総発光量が、あらかじめ定められた最低垂直ライン数の映像表示を行うときの1フレーム期間における前記発光素子の総発光量と等しくなるように、前記輝度調整パラメータが導出される。
【0030】
これにより、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間における総発光量が最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間の総発光量と等しくなるように輝度調整パラメータが導出されるので、当該輝度調整パラメータを用いて発光輝度の調整を行うことにより、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間における総発光量と最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の1フレーム期間の総発光量とを等しくすることができる。これにより、表示パネルにおいて、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、フリッカー現象を抑制することができる。
【0031】
また、前記パラメータ導出工程において、前記発光制御部により、前記輝度調整パラメータとして前記最低垂直ライン数の前記現フレームの垂直ライン数に対する比が算出され、前記輝度調整工程において、前記輝度調整部により、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときに、前記データ保持部から読み出された前記映像信号に前記輝度調整パラメータが演算されることで、前記発光素子の発光輝度が調整されてもよい。
【0032】
これにより、表示パネルにおいて、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数との比を輝度調整パラメータとして算出し、最低垂直ライン数の表示を行うときの発光素子の発光輝度に、当該輝度調整パラメータを乗算して重み付けをすることができる。これにより、最低垂直ライン数の映像表示を行う場合の総発光量と現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の総発光量とを等しくすることができる。したがって、表示パネルにおいて、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、フリッカー現象が発生するのを抑制することができる。
【0033】
また、前記輝度調整パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数をV
nowとすると、V
min/V
nowで表されてもよい。
【0034】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が通知された場合に、制御装置は、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数とにより輝度調整パラメータを容易に算出することができる。これにより、表示パネルにおいて、発光素子の発光輝度が簡便に調整されるので、フリッカー現象が発生するのを抑制することができる。
【0035】
また、前記輝度調整パラメータは、前記最低垂直ライン数をV
min、前記現フレームの垂直ライン数の前記最低垂直ライン数に対する差分をV
diffとすると、1−V
diff/(V
min+V
diff)で表されてもよい。
【0036】
これにより、外部から発光制御部に現フレームの垂直ライン数が供給されなくても、最低垂直ライン数と現フレームの垂直ライン数との差分が供給されれば、表示パネルにおいて、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光素子の発光輝度を調整することができる。
【0037】
また、前記パラメータ導出工程において、前記輝度調整パラメータは、前記最低垂直ライン数と前記現フレームの垂直ライン数とからあらかじめ算出された前記輝度調整パラメータを記憶している記憶部から選択され、前記輝度調整工程において、前記輝度調整部により、前記現フレームの垂直ライン数の映像表示を行うときに、前記データ保持部から読み出された前記映像信号に、発光制御部により選択された前記輝度調整パラメータが演算されることで、前記発光素子の発光輝度が調整されてもよい。
【0038】
これにより、表示パネルにおいて、既に演算された輝度調整パラメータから最適な輝度調整パラメータを選択して、現フレームの垂直ライン数の映像表示を行う場合の発光素子の発光輝度を容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明にかかる表示パネルの制御装置、表示装置および表示装置の駆動方法によれば、フリッカー現象を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、接続形態、ステップおよびステップの順序などは一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0042】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0043】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1について、
図1〜
図7を用いて説明する。本実施の形態では、表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminessence:EL)素子を用いた表示装置1を例として説明する。
【0044】
[1.表示装置の構成]
はじめに、表示装置1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る表示装置1の構成例を示す概略図である。
図2は、本実施の形態に係る画素回路30の構成を示す回路図である。
図3は、本実施の形態に係る表示装置1の構成を示すブロック図である。
【0045】
図1に示すように、表示装置1は、表示パネル10と、制御装置20とで構成されている。表示パネル10は、パネル部12と、ゲート駆動回路14と、ソース駆動回路16と、走査線40と、信号線42とを有している。パネル部12と、ゲート駆動回路14と、ソース駆動回路16と、走査線40と、信号線42とは、例えば、パネル基板12aに実装されている。
【0046】
パネル部12は、パネル基板12aと、パネル基板12a上に行列状に配置された複数の画素回路30と、走査線40と、信号線42とを有している。より詳細には、パネル部12は、行状の走査線40と、列状の信号線42と、両者が交差する部分に配置された発光素子32を有する画素回路30とを有している。パネル基板12aは、例えば、ガラスまたはアクリル等の樹脂により形成されている。
【0047】
複数の画素回路30は、例えば、半導体プロセスによってパネル基板12aに形成されている。複数の画素回路30は、例えばN行M列に配置されている。N、Mは、表示画面のサイズおよび解像度により異なる。例えば、HD(High Definition)と呼ばれる解像度で、行内にRGB3原色に対応する画素回路30が隣接する場合、Nは少なくとも1080行であり、Mは少なくとも1920×3列である。各画素回路30は、有機EL素子を発光素子として有し、RGB三原色のいずれかの色の発光画素を構成する。
【0048】
図2に示すように、画素回路30は、発光素子32と、駆動トランジスタ33と、選択トランジスタ35と、スイッチトランジスタ34、36および37と、画素容量38とを有している。なお、画素回路30の構成および動作については、後に詳述する。
【0049】
走査線40は、行列状に配列された複数の画素回路30に行ごとに配線されている。走査線40の一端は、ゲート駆動回路14の各段の出力端に接続されている。
【0050】
信号線42は、行列状に配列された複数の画素回路30に列ごとに配線されている。信号線42の一端は、ソース駆動回路16の各段の出力端に接続されている。
【0051】
ゲート駆動回路14は、行駆動回路とも呼ばれ、画素回路30の行単位にゲート駆動信号を走査する駆動回路である。ゲート駆動信号とは、画素回路30内の駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ34、36および37のゲートに入力されて各トランジスタのオンおよびオフを制御する信号である。ゲート駆動回路14は、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ34、36および37を制御する信号として、例えば制御信号WS、消光信号EN、制御信号REFおよび制御信号INIを出力する。また、ゲート駆動回路14は、
図1に示すように、パネル部12の短辺の一辺に配置されている。
【0052】
ゲート駆動回路14は、例えばシフトレジスタ等によって構成されている。ゲート駆動回路14は、制御装置20から映像期間信号DEが与えられることにより、同じく制御装置20から与えられる垂直同期信号VSに同期してゲート駆動信号を出力し、走査線40を駆動する。これにより、フレーム毎に画素回路30が線順次選択され、映像信号に応じた輝度で各画素回路30の発光素子32が発光する。
【0053】
なお、ゲート駆動回路14は、
図1に示すように、パネル部12の短辺の一辺に配置されてもよいし、パネル部12の対向する短辺の二辺に配置されてもよい。ゲート駆動回路14がパネル部12の対向する二辺に配置されることにより、パネル部12に配置された複数の画素回路30に同じゲート駆動信号を同じタイミングで供給することができる。これにより、例えばパネル部12が大型である場合には、各走査線40の配線容量による信号劣化を抑制することができる。
【0054】
ソース駆動回路16は、列駆動回路とも呼ばれ、制御装置20からフレーム単位で供給される映像信号を各画素回路30に供給する駆動回路である。ソース駆動回路16は、パネル部12の長辺の一辺に配置されている。
【0055】
ソース駆動回路16は、信号線42を通して、画素回路30の各々に対して映像信号に基づく輝度情報を電流値または電圧値の形で書き込む、電流書き込み型または電圧書き込み型の駆動回路である。本実施の形態に係るソース駆動回路16は、例えば電圧書き込み型の駆動回路を使用している。ソース駆動回路16は、制御装置20から入力される映像信号に基づいて、信号線42にそれぞれの画素回路30に設けられた発光素子32の明るさを表す電圧を供給する。
【0056】
制御装置20からソース駆動回路16に入力される映像信号は、例えば、RGB三原色の色毎のデジタルシリアルデータ(映像信号R、G、B)である。ソース駆動回路16に入力された映像信号R、G、Bは、ソース駆動回路16の内部で行単位のパラレルデータに変換される。さらに、行単位のパラレルデータは、ソース駆動回路16の内部で行単位のアナログデータに変換され、信号線42に出力される。信号線42に出力された電圧は、ゲート駆動回路14の走査において選択された行に属する画素回路30の画素容量38に書き込まれる。つまり、信号線42に出力された電圧に対応する電荷が、画素容量38に蓄積される。
【0057】
なお、ソース駆動回路16は、
図1に示すように、パネル部12の長辺の一辺に配置されてもよいし、パネル部12の対向する長辺の二辺に配置されてもよい。これにより、例えばパネル部12が大型の場合には、同列の各画素回路30に同じタイミングで電圧を出力することができる。
【0058】
[2.画素回路の構成]
画素回路30は、
図2に示すように、発光素子32と、駆動トランジスタ33と、選択トランジスタ35と、スイッチトランジスタ34、36および37と、画素容量38とを有している。
【0059】
発光素子32は、例えばアノードおよびカソードを備えたダイオード形の有機EL素子である。なお、発光素子32は有機EL素子に限らず、他の発光素子であってもよい。例えば、発光素子32は、一般的に電流駆動で発光する全ての素子を含む。
【0060】
発光素子32は、例えば透明導電膜で構成される複数の第一電極層と、第一電極層上に正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層をこの順に堆積した有機層と、有機層の上に金属膜で構成される第二電極層とを有している。なお、
図2では、発光素子32はシンボルとして模式的に表示している。発光素子32の第一電極層と第二電極層との間に直流電圧が印加されると、発光層において電子と正孔とが再結合する。これにより、発光素子32は、駆動トランジスタ33から供給される、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光する。
【0061】
駆動トランジスタ33は、発光素子32を発光駆動する能動素子である。駆動トランジスタ33は、オン状態となることで、ゲート−ソース間電圧に応じたドレイン−ソース間電流を発光素子32に供給する。
【0062】
スイッチトランジスタ34は、走査線40から供給される消光信号ENに応じてオン状態またはオフ状態となる。スイッチトランジスタ34は、オン状態となることで駆動トランジスタ33を電源Vccに接続し、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流を発光素子32に供給する。
【0063】
選択トランジスタ35は、走査線40から供給される制御信号WSに応じてオン状態となり、信号線42から供給される映像信号の信号電位に応じた電荷を画素容量38に蓄積する。
【0064】
スイッチトランジスタ36は、走査線40から供給される制御信号REFに応じてオン状態となり、駆動トランジスタ33のソースを基準電圧Vrefに設定する。
【0065】
スイッチトランジスタ37は、走査線40から供給される制御信号INIに応じてオン状態となり、駆動トランジスタ33のソースを基準電圧Viniに設定する。
【0066】
画素容量38は、蓄積された電荷による信号電位に応じて、駆動トランジスタ33のゲートに電圧を印加する。
【0067】
なお、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ36およびスイッチトランジスタ37は、例えばNチャネル型のポリシリコンTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)で構成されている。また、スイッチトランジスタ34は、例えばPチャネル型のポリシリコンTFTで構成されている。なお、各トランジスタの導電型は上記したものに限られず、Nチャネル型とPチャネル型のTFTを適宜混在させてもよい。また、各トランジスタは、ポリシリコンTFTに限らず、アモルファスシリコンTFT等で構成されていてもよい。
【0068】
ここで、画素回路30の動作について説明する。フレーム期間が始まる直前では、全ての制御信号WS、REF、INIおよび消光信号ENがローレベルとなっている。この状態では、Nチャネル型のトランジスタである選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ36、スイッチトランジスタ37はオフ状態となっている。一方、Pチャネル型のトランジスタであるスイッチトランジスタ34は、オン状態となっている。
【0069】
したがって、駆動トランジスタ33は、オン状態のスイッチトランジスタ34を介して電源Vccに接続される。これにより、駆動トランジスタ33は、駆動トランジスタ33のゲート−ソース間電圧に応じて、ドレイン−ソース間電流を発光素子32に供給する。このとき、発光素子32は発光している。
【0070】
フレーム期間の開始時には、消光信号ENがローレベルからハイレベルに切り替わる。これにより、スイッチトランジスタ34がオフ状態となり、駆動トランジスタ33は電源Vccから切り離される。したがって、発光素子32の発光は停止し、消光期間となる。また、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ36、スイッチトランジスタ37、スイッチトランジスタ34の全てがオフ状態となる。
【0071】
初期化期間では、まず、基準電圧Vrefは、制御信号REFがハイレベルになったときに駆動トランジスタ33がオフ状態になる電圧に変更されている。次に、制御信号REFがハイレベルになり、スイッチトランジスタ36がオン状態になる。これにより、駆動トランジスタ33のゲートは、基準電圧Vrefに接続され、駆動トランジスタ33はオフ状態になる。駆動トランジスタ33がオフ状態になると、制御信号REFは再びローレベルになりスイッチトランジスタ36はオフ状態になる。さらに、基準電圧Vrefは元の電圧に戻る。
【0072】
次に、制御信号INIがハイレベルになり、スイッチトランジスタ37がオン状態となる。これにより、駆動トランジスタ33のソースは基準電圧Viniに初期化される。続いて、制御信号REFがハイレベルになると、スイッチトランジスタ36がオン状態となる。これにより、駆動トランジスタ33のゲートが基準電圧Vrefに初期化される。この結果、駆動トランジスタ33のゲートは基準電圧Vrefに接続され、ソースは基準電圧Viniに接続される。
【0073】
ここで、基準電圧Vref、基準電圧Viniおよび駆動トランジスタ33の閾値電圧Vthの関係は、Vref−Vini>Vthとすることが好ましい。これにより、この後に駆動トランジスタ33の閾値電圧Vthの補正を行うことができる。また、発光素子32の閾値電圧を基準電圧Viniより大きくすることにより、発光素子32にはマイナスバイアスが印加され、発光素子32はいわゆる逆バイアス状態となる。
【0074】
初期化期間が終了すると、駆動トランジスタ33の閾値電圧Vthが検出され、必要に応じて閾値電圧Vthの補正が行われる(Vth補正期間)。制御信号INIがローレベルになった後、消光信号ENがローレベルになる。これにより、スイッチトランジスタ37がオフ状態となり、スイッチトランジスタ34はオン状態となる。これにより、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流が画素容量38に流れ込み、閾値電圧Vthの補正が行われる。
【0075】
このとき、駆動トランジスタ33のゲートは、基準電圧Vrefに保持されており、駆動トランジスタ33がカットオフするまで、駆動トランジスタ33には駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流が流れる。駆動トランジスタ33がカットオフすると、駆動トランジスタ33のソースの電位はVref−Vthとなる。
【0076】
続いて、消光信号ENが再びハイレベルになり、スイッチトランジスタ34がオフ状態となる。さらに、制御信号REFがローレベルになり、スイッチトランジスタ36がオフ状態となる。これにより、画素容量38に閾値電圧Vthが保持される。
【0077】
その後、消光信号ENが再びローレベルからハイレベルとなり、制御信号REFがハイレベルからローレベルになる。続けて、制御信号WSがローレベルからハイレベルになる。これにより、映像信号の信号電位が画素容量38に書き込まれる。さらに、消光信号ENがハイレベルからローレベルになる。これにより、発光素子32の発光が開始する。
【0078】
以上のフレーム期間を繰り返すことで、映像信号の信号電位に応じて行列状に配置された発光素子32が順次発光し、パネル部12に映像が表示される。
【0079】
[3.制御装置の構成]
次に、制御装置20の構成について説明する。
【0080】
制御装置20は、表示パネル10の外部に配置される外部システム回路基板(図示せず)上に形成されている。制御装置20は、例えばTCON(Timing Controller)としての機能を有し、表示装置1の全体の動作を制御する。具体的には、制御装置20は、外部から供給される垂直同期信号VS、水平同期信号HS、映像期間信号DEにしたがって、ゲート駆動回路14に対して走査を指示する。また、制御装置20は、ソース駆動回路16に対して、映像信号R、G、Bのデジタルシリアルデータを供給する。
【0081】
図3に示すように、制御装置20は、データ保持部26と、同期制御部28と、発光制御部50と、輝度調整部60とを有している。なお、制御装置20は、外部から供給される信号を受信してデータ保持部26、同期制御部28および発光制御部50へ供給するレシーバー(図示せず)を備えていてもよい。
【0082】
データ保持部26は、映像信号R、G、Bを一時的に保持するバッファである。データ保持部26は、例えば100ラインのラインバッファを有している。データ保持部26は、外部から受信した一ラインごとの映像信号R、G、Bを順に保持し、所定のタイミングで輝度調整部60に出力する。
【0083】
同期制御部28は、映像信号R、G、Bがパネル部12に表示されるタイミングを制御する制御部である。同期制御部28は、外部から垂直同期信号VS、水平同期信号HSおよび映像期間信号DEを受信し、ゲート駆動回路14およびソース駆動回路16に出力する。また、同期制御部28は、発光制御部50が各発光素子32を所望のタイミングで発光または消光させるように、発光制御部50に同期制御信号を出力する。
【0084】
発光制御部50は、映像信号R、G、Bが所望のタイミングおよび所望の輝度でパネル部12に表示されるように、ゲート駆動回路14およびソース駆動回路16を制御する制御部である。
図3に示すように、発光制御部50は、シーケンサ51と、輝度演算部52とを備えている。
【0085】
シーケンサ51は、例えば、外部から供給される垂直同期信号VS、水平同期信号HSおよび映像期間信号DEに基づいて、映像信号R、G、Bの表示タイミングを制御するシーケンスを生成する。シーケンサ51は、同期制御部28から供給された同期制御信号により、外部から受信した映像期間、発光素子32が消光している消光期間および発光素子32が発光している発光期間をカウントするタイマー(図示せず)を有していてもよい。シーケンサ51は、映像期間信号DEに応じて1フレーム内における発光期間と消光期間とのデューティ(オンデューティ)を設定してもよい。
【0086】
発光制御部50は、シーケンサ51で生成されたシーケンスに基づいて消光信号ENを生成し、ゲート駆動回路14に供給する。これにより、ゲート駆動回路14は、画素回路30のスイッチトランジスタ34に消光信号ENの供給または供給の停止を行い、各発光素子32の発光および消光を制御する。なお、シーケンサ51で生成されるシーケンス(タイミングチャート)については、後に詳述する。
【0087】
輝度演算部52は、発光素子32の発光輝度を調整するための輝度調整パラメータを算出する演算部である。輝度演算部52は、各フレームにおける発光素子32の発光輝度の総量が一定となるように、輝度調整パラメータを算出する。具体的には、輝度演算部52は、外部から供給される、1フレームの描画に要する最低垂直ライン数V
minおよび現フレームの垂直ライン数V
nowに基づいて、現フレームでの発光素子32の輝度を調整するための輝度調整パラメータを算出する。発光制御部50は、輝度演算部52で算出された輝度調整パラメータを輝度調整部60に供給する。なお、輝度調整パラメータの具体的な算出については、後に詳述する。
【0088】
輝度調整部60は、発光制御部50から供給された輝度調整パラメータに基づいて、データ保持部26に一時的に保持された映像信号R、G、Bの輝度を調整して、ソース駆動回路16に出力する。例えば、輝度調整部60は、データ保持部26から供給された映像信号R、G、Bの輝度に上述した輝度調整パラメータを乗算することで、映像信号R、G、Bの輝度を調整する。なお、輝度調整部60は、データ保持部26から供給された映像信号R、G、Bの輝度に輝度調整パラメータを乗算することにかぎらず、加算、減算等の他の演算により映像信号R、G、Bの輝度を調整してもよい。
【0089】
[4.制御装置の動作]
ここで、本実施の形態に係る制御装置20の動作について説明する。
【0090】
本実施の形態に係る表示装置1は、例えば、有機EL発光パネルのプログレッシブ駆動方式により駆動される。詳細には、制御装置20は、複数の画素回路30が行列状に配置されたパネル部12に対して、初期化動作、書き込み動作、および発光動作を行順次に実行させるように制御を行う。すなわち、制御装置20の制御により、パネル部12の第1行目から最終行目まで、初期化動作、書き込み動作、および発光動作が順に行われる。この期間をフレーム期間と呼ぶ。なお、フレーム期間には、初期化動作、書き込み動作、および発光動作以外に、駆動トランジスタ33の閾値電圧Vthの検出動作等が含まれていてもよい。
【0091】
以下、本実施の形態に係る制御装置20の基本的な動作について説明する。
図4は、本実施の形態に係る制御装置20の1フレーム期間の動作を示すフローチャートである。
図5は、本実施の形態に係る制御装置20の動作の概略を示すタイミングチャートである。なお、
図5では、パネル部12の1ライン分の画素回路30の動作を示している。
【0092】
以下の例では、オンデューティが90%である場合の動作について説明する。以下の例では、映像期間は100パルスの水平同期信号の期間、消光期間(初期化期間)は10パルスの水平同期信号の期間、発光期間は90パルスの水平同期信号の期間である。
【0093】
図4および
図5に示すように、制御装置20において、映像期間は、垂直同期信号VSが供給されることにより開始される(ステップS10)。垂直同期信号VSは、外部から制御装置20の同期制御部28に供給される。同期制御部28に供給された垂直同期信号VSは、同期制御部28から発光制御部50に出力される。
【0094】
また、発光制御部50には、外部から、各フレーム期間に含まれる垂直ライン数が通知される(ステップS11)。垂直ライン数は、垂直同期信号VSが同期制御部28に供給された直後に発光制御部50に通知される。通知される垂直ライン数は、1フレームの描画に要する最低垂直ライン数V
minと、現フレームの垂直ライン数V
nowである。最低垂直ライン数V
minは、例えば、FHD解像度であれば1080ライン、4KUHD解像度であれば2160ラインである。最低垂直ライン数V
minは、各フレームで共通している。
【0095】
次に、発光素子32を発光させるときの輝度調整のための輝度調整パラメータが導出される(パラメータ導出工程)(ステップS12)。後述するように、輝度調整パラメータは、通知された1フレームの描画に要する最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとから導出される。導出された輝度調整パラメータは、輝度調整部60に出力される。そして、後述するステップS17〜S21において、輝度調整部60は、データ保持部26から出力された映像信号R、G、Bをソース駆動回路16に供給するときに、最低垂直ライン数V
minを表示する場合の発光素子32の発光輝度に輝度調整パラメータを乗算する。なお、輝度調整パラメータの導出については、後に詳述する。
【0096】
次に、同期制御部28から垂直同期信号VSが出力され、発光制御部50が垂直同期信号VSを受信すると、発光制御部50からゲート駆動回路14に消光信号ENが供給される。消光信号ENは、ゲート駆動回路14から画素回路30のスイッチトランジスタ34のゲートに供給される。これにより、スイッチトランジスタ34はオフ状態となり、発光素子32は消光状態となる。続いて、初期化期間が開始される(ステップS13)。なお、初期化期間の開始タイミングは、発光制御部50が垂直同期信号VSを受信したときに限らず、発光制御部50が映像期間信号DEの入力が開始されるタイミングを検出したときであってもよい。
【0097】
初期化期間には、ゲート駆動回路14からパネル部12の各画素回路30に初期化のためのゲート信号が供給される。これにより、上述したように画素回路30の各トランジスタが動作し、画素回路30の初期化が行われる(初期化工程)。初期化期間では、発光素子32は消光状態となっているが、後述する
図7に示すように、ゲート信号の供給が停止されて初期化期間が終了した後次の垂直同期信号VSが供給されるまでの所定期間、発光素子32を消光状態としてもよい。
【0098】
また、制御装置20の同期制御部28には、外部から映像期間信号DEが供給される(ステップS14)。なお、映像期間信号DEの供給は、初期化期間中であってもよいし、初期化期間終了後であってもよい。ここでは、映像期間信号DEは初期化期間中に供給されるものとする。
【0099】
同期制御部28に映像期間信号DEが供給されると、映像信号の書き込みが開始される(ステップS15)。ソース駆動回路16から出力される映像信号は、映像期間信号DEが入力されると、一時的にデータ保持部26に書き込まれる(書き込み工程)。映像信号の書き込みは、映像期間信号DEが供給される期間中継続される。なお、書き込み工程が開始されるタイミングは、同期制御部28に映像期間信号DEの入力が開始されるタイミングを検出したときに限らず、発光制御部50が垂直同期信号VSを受信したときであってもよい。
【0100】
初期化開始から所定期間が経過し、1ライン分の画素回路30が初期化されると、初期化期間が終了する(ステップS16)。なお、初期化期間は、初期化の際の消光期間があらかじめ設定された期間に達した時に終了するとしてもよい。
【0101】
初期化期間が終了すると、データ保持部26から映像信号の読み出しが開始される(読み出し工程)。また、ゲート駆動回路14から画素回路30への消光信号ENの供給が停止される。したがって、スイッチトランジスタ34のゲートへの消光信号ENの供給が停止され、スイッチトランジスタ34はオン状態となる。これにより、発光素子32の発光が開始される(ステップS17)。
【0102】
発光素子32は、データ保持部26から読み出された映像信号に応じて、発光する。このとき、データ保持部26から読み出された映像信号は、輝度調整部60において輝度調整パラメータが演算され、各画素回路30の発光素子32から発光されるときの発光輝度が調整される(輝度調整工程)。発光輝度が調整された映像信号は、ソース駆動回路16に供給される。ソース駆動回路16は、供給された映像信号に基づいて、パネル部12の各画素回路30の発光素子32を発光させる。これにより、パネル部12に映像信号が表示される(映像表示工程)。
【0103】
また、映像期間信号DEの供給が停止すると、データ保持部26への映像信号の書き込みは終了する(ステップS18)。
【0104】
ここで、外部から通知された現フレームの垂直ライン数分の発光素子32の発光が終了していない場合には、(ステップS19においてNo)、発光素子32の発光は継続される(ステップS20)。
【0105】
また、外部から通知された現フレームの垂直ライン数分の発光素子32の発光が終了すると(ステップS19においてYes)、再びゲート駆動回路14から画素回路30へ消光信号ENが供給される。これにより、1フレーム期間における発光素子32の発光は終了する(ステップS21)。
【0106】
なお、上述したように、映像期間は100パルスの水平同期信号の期間、消光期間(初期化期間)は10パルスの水平同期信号の期間、発光期間は90パルスの水平同期信号の期間とすることに限らず、映像期間、消光期間および発光期間は適宜変更してもよい。
【0107】
[5.輝度調整パラメータの演算]
ここで、本実施の形態に係る制御装置20の動作の特徴および輝度調整パラメータの演算について説明する。
図6は、本実施の形態に係る制御装置20の動作の特徴を説明するための図であり、(a)は最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合、(b)は現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合を示している。
図7は、本実施の形態に係る制御装置20の発光輝度を説明するための図であり、(a)は最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合、(b)は現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合を示している。なお、
図6および
図7では、パネル部12の1ライン分の画素回路30の動作を示している。
【0108】
本実施の形態に係る制御装置20では、現フレームの垂直ライン数V
nowは、最低垂直ライン数V
minよりも多いものとする。例えば、上述したように、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合には、映像期間は100パルスの水平同期信号の期間、消光期間(初期化期間)は10パルスの水平同期信号の期間、発光期間は90パルスの水平同期信号の期間とする。また、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合には、発光期間は10パルスの水平同期期間分延長され、映像期間は110パルスの水平同期信号の期間、消光期間(初期化期間)は10パルスの水平同期信号の期間、発光期間は100パルスの水平同期信号の期間とする。
【0109】
本実施の形態に係る制御装置20は、外部から通知された現フレームの垂直ライン数V
nowに応じて、当該フレームにおける発光素子32の発光輝度を調整することが特徴である。
【0110】
図6の(a)および(b)に示すように、制御装置20によると、1フレーム期間において、初期化が行われた後所定の輝度で映像表示が行われる。ここで、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合、現フレームの垂直ライン数V
nowは最低垂直ライン数V
minよりも多いため、映像表示を行う期間は、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合に比べて、増加した垂直ライン数の表示に要する時間分だけ延長される。そのため、現フレームの垂直ライン数V
nowの表示を行うときに、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合と同一の発光輝度で発光素子32を発光させると、1フレーム期間における総発光量が増加し、フリッカーが発生する原因となる。
【0111】
そこで、本実施の形態に係る制御装置20では、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間における総発光量が最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間の総発光量と等しくなるように、発光輝度の調整を行う。
【0112】
具体的には、最低垂直ライン数V
minの表示を行うときの発光素子32の発光輝度Y
minに、輝度調整パラメータを乗算して重み付けをする。そして、重み付けがされた発光輝度Y
nowにより、発光素子32を発光させる。つまり、輝度調整パラメータをP
1とすると、
Y
now=P
1×Y
min ・・・(式1)
により、発光素子32の発光輝度の調整を行う。
【0113】
ここで、
図7の(a)および(b)に示すように、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合と現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合とでは、初期化期間X
1および初期化の際の消光期間X
2はそれぞれ同一の長さであるため、最低垂直ライン数V
minの発光期間と現フレームの垂直ライン数V
nowの発光期間との差分は、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの差分V
diffと等しい。したがって、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の総発光量と現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の総発光量とを等しくするには、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間における発光素子32の発光輝度を、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの比に応じて小さくする必要がある。
【0114】
つまり、輝度調整パラメータP
1は、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間と現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間との比とすることができる。より簡単には、輝度調整パラメータP
1は、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの比により、輝度演算部52において、
P
1=V
now/V
min ・・・(式2)
と演算することができる。したがって、輝度調整部60は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間における発光素子32の発光輝度Y
nowを、
Y
now=V
now/V
min×Y
min ・・・(式3)
と調整することができる。
【0115】
具体的には、本実施の形態における制御装置20では、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の映像期間は100パルスの水平同期信号の期間、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の映像期間は110パルスの水平同期信号の期間であるので、輝度調整パラメータP
1は、輝度演算部52において、P
1=100/110=0.909と演算される。これにより、輝度調整部60において、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間における発光素子32の発光輝度Y
nowは、Y
now=0.909×Y
minにより調整される。
【0116】
以上により、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の総発光量と現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の総発光量とを等しくすることができる。
【0117】
[6.効果等]
このように、本実施の形態に係る制御装置20および表示装置1によると、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間における総発光量が最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間の総発光量と等しくなるように、発光輝度の調整を行う。このとき、輝度調整パラメータP
1を、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの比よりP
1=V
min/V
nowとして、最低垂直ライン数V
minの表示を行うときの発光素子32の発光輝度Y
minに、輝度調整パラメータP
1を乗算して重み付けをする。これにより、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の総発光量と現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の総発光量とを等しくすることができる。したがって、制御装置20の制御による表示装置1では、GPUの処理能力等によりフレーム期間が変動しても、フリッカー現象を抑制することができる。
【0118】
なお、上述した実施の形態では、輝度調整パラメータP
1は、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間と現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間との比としたが、例えば、1フレーム期間から消光期間X
2を除いた、最低垂直ライン数V
minのときの発光期間と現フレームの垂直ライン数V
nowのときの発光期間との比としてもよい。
【0119】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態に係る制御装置20が実施の形態1に係る制御装置20と異なる点は、輝度演算部52において、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの差分V
diffを用いて輝度調整パラメータの演算が行われる点である。
【0120】
上述したように、実施の形態1に係る制御装置20の輝度演算部52では、(式2)に示したように、輝度調整パラメータP
1は、P
1=V
min/V
nowで表される。
【0121】
ここで、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの差分V
diffは、V
diff=V
now−V
minと表すことができる。すなわち、現フレームの垂直ライン数V
nowは、V
now=V
min+V
diffと表すことができる。これを用いて、輝度演算部52において輝度調整パラメータP
2を演算すると、輝度調整パラメータP
2は、
P
2=V
min/(V
min+V
diff)
=1−V
diff/(V
min+V
diff) ・・・(式4)
とすることができる。したがって、輝度調整部60は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間における発光素子32の発光輝度Y
nowを、
Y
now=V
min/(V
min+V
diff)×Y
min
={1−V
diff/(V
min+V
diff)}×Y
min
=Y
min−V
diff/(V
min+V
diff)×Y
min・・・(式5)
と調整することができる。
【0122】
これにより、外部から発光制御部50に現フレームの垂直ライン数V
nowが供給されなくても、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの差分V
diffが供給されれば、制御装置20は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の発光素子32の発光輝度Y
nowを調整することができる。
【0123】
具体的には、本実施の形態における制御装置20では、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の映像期間と最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の映像期間との差分V
diffは10パルスの水平同期信号の期間であるので、輝度調整部60において、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間における発光素子32の発光輝度Y
nowは、Y
now=Y
min−10/110×Y
min=Y
min−0.091×Y
minと調整される。
【0124】
このように、本実施の形態にかかる制御装置20では、外部から発光制御部50に現フレームの垂直ライン数V
nowが供給されなくても、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの差分V
diffが供給されれば、制御装置20は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の発光素子32の発光輝度Y
nowを調整することができる。
【0125】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について、
図8および
図9を用いて説明する。
図8は、本実施の形態に係る表示装置1aの構成を示すブロック図である。
図9は、本実施の形態に係る表示装置1aが有する発光輝度テーブルの一例を示す図である。
【0126】
本実施の形態に係る表示装置が実施の形態1に係る表示装置1と異なる点は、制御装置が備える発光制御部が、あらかじめ輝度調整パラメータが記憶されている発光輝度テーブルに基づいて発光輝度を制御する点である。
【0127】
図8に示すように、本実施の形態にかかる表示装置1aにおいて、制御装置20aは発光制御部50aを備えている。発光制御部50aは、シーケンサ51と、記憶部54とを備えている。なお、シーケンサ51は、実施の形態1に示したシーケンサ51と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0128】
記憶部54は、発光素子32の発光を制御するための制御パラメータおよび制御プログラム等が記憶されたメモリである。記憶部54は、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の発光素子32の発光輝度Y
nowを制御するときに発光制御部50aにより参照される発光輝度テーブル70を有している。
図9に示すように、発光輝度テーブル70には、最低垂直ライン数V
min、現フレームの垂直ライン数V
now、および、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffの組み合わせが記憶されている。また、当該組み合わせとともに、あらかじめ演算された各組み合わせに対する輝度調整パラメータが記憶されている。
【0129】
発光制御部50aは、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowに対応する輝度調整パラメータを発光輝度テーブル70から選択し、輝度調整部60に出力する。輝度調整部60は、発光制御部50aから供給された輝度調整パラメータにより、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の発光素子32の発光輝度Y
nowを調整する。
【0130】
これにより、制御装置20aは、既に演算された輝度調整パラメータから最適な輝度調整パラメータを選択して、現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の発光素子32の発光輝度Y
nowを容易に調整することができる。
【0131】
なお、発光制御部50aは、発光輝度テーブル70から最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowに対応する輝度調整パラメータを選択してもよいし、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffに対応する輝度調整パラメータを選択してもよい。発光制御部50aは、外部から現フレームの垂直ライン数V
nowが通知されたときには最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowに対応する輝度調整パラメータを選択し、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffが通知されたときには、当該差分V
diffに対応する輝度調整パラメータを選択してもよい。
【0132】
また、発光輝度テーブル70には、
図9に示したように、最低垂直ライン数V
min、現フレームの垂直ライン数V
now、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffおよび輝度調整パラメータの4つのパラメータの全てが記憶されていなくてもよい。例えば、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffと輝度調整パラメータの3つのパラメータが記憶されているとしてもよい。
【0133】
また、記憶部54は、最低垂直ライン数V
minごとに異なる発光輝度テーブルを有していてもよいし、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowの差分V
diffの値ごとに異なる発光輝度テーブルを有していてもよい。
【0134】
また、発光輝度テーブル70の発光輝度パラメータは、適宜変更されてもよい。
【0135】
また、発光制御部50aは、輝度演算部52に代えて記憶部54を備えていてもよいし、輝度演算部52と記憶部54の両方を備えていてもよい。この場合、発光制御部50aは、前回の発光輝度の調整で演算された最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowに対する輝度調整パラメータを発光輝度テーブル70に新たに記憶し、次回の発光輝度の調整のときに当該発光輝度テーブル70から輝度調整パラメータを選択してもよい。
【0136】
(変形例1)
次に、実施の形態1〜3の変形例1について、
図10を用いて説明する。
図10は、本変形例に係る画素回路130の構成を示す回路図である。本変形例にかかる画素回路130が実施の形態に示した画素回路30と異なる点は、スイッチトランジスタ34および36を備えていない点である。
【0137】
図10に示すように、画素回路130は、発光素子32と、駆動トランジスタ33と、選択トランジスタ35と、スイッチトランジスタ37と、画素容量38とを有している。発光素子32、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ37、画素容量38の構成は、実施の形態1に示した画素回路30の発光素子32、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ37、画素容量38と同様である。
【0138】
ここで、画素回路130は、スイッチトランジスタ34を備えていないので、発光素子32の発光は、消光信号ENにより一括で行われず、スイッチトランジスタ37により行われる。
【0139】
このとき、ゲート駆動回路14からスイッチトランジスタ37のゲートに制御信号AZが印加され、スイッチトランジスタ37がオン状態になると、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流は、スイッチトランジスタ37へ流れ、発光素子32には流れない。よって、発光素子32は消光する。また、スイッチトランジスタ37のゲートへの制御信号AZの印加が停止され、スイッチトランジスタ37がオフ状態になると、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流は発光素子32に流れる。これにより、発光素子32は発光する。
【0140】
また、画素回路130は、スイッチトランジスタ36を備えていないので、初期化動作は、スイッチトランジスタ35により行われる。
【0141】
このような構成を有する画素回路130を備える表示パネルであっても、実施の形態に示した表示装置1と同様、フリッカー現象を抑制することができる。
【0142】
(変形例2)
次に、実施の形態1〜3の変形例2について、
図11を用いて説明する。
図11は、本変形例に係る画素回路230の構成を示す回路図である。本変形例にかかる画素回路230が実施の形態に示した画素回路30と異なる点は、スイッチトランジスタ34を備えていない点である。
【0143】
図11に示すように、画素回路230は、発光素子32と、駆動トランジスタ33と、選択トランジスタ35と、スイッチトランジスタ36および37と、画素容量38とを有している。発光素子32、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ36および37、画素容量38の構成は、実施の形態1に示した画素回路30の発光素子32、駆動トランジスタ33、選択トランジスタ35、スイッチトランジスタ37、画素容量38と同様である。
【0144】
ここで、画素回路230は、スイッチトランジスタ34を備えていないので、発光素子32の発光は、消光信号ENにより一括で行われず、スイッチトランジスタ37により行われる。
【0145】
このとき、ゲート駆動回路14からスイッチトランジスタ37のゲートに制御信号INIが印加され、スイッチトランジスタ37がオン状態になると、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流は、スイッチトランジスタ37へ流れ、発光素子32には流れない。よって、発光素子32は消光する。また、スイッチトランジスタ37のゲートへの制御信号INIの印加が停止され、スイッチトランジスタ37がオフ状態になると、駆動トランジスタ33のドレイン−ソース間電流は発光素子32に流れる。これにより、発光素子32は発光する。
【0146】
このような構成を有する画素回路230を備える表示パネルであっても、実施の形態に示した表示装置1と同様、フリッカー現象を抑制することができる。
【0147】
(その他の実施の形態)
なお、本発明は、上述した実施の形態および変形例に記載した構成に限定されるものではなく、適宜変更を加えてもよい。
【0148】
例えば、輝度調整パラメータは、最低垂直ライン数V
minの映像表示を行う場合の1フレーム期間と現フレームの垂直ライン数V
nowの映像表示を行う場合の1フレーム期間との比としてもよいし、最低垂直ライン数V
minのときの発光期間と現フレームの垂直ライン数V
nowのときの発光期間との比としてもよい。
【0149】
また、発光素子の発光輝度の調整は、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowを用いて調整してもよいし、最低垂直ライン数V
minと現フレームの垂直ライン数V
nowとの差分V
diffを用いて調整してもよい。
【0150】
また、輝度調整パラメータは、演算により求めてもよいし、あらかじめ発光輝度が演算され記憶された発光輝度テーブルから選択してもよい。
【0151】
また、上述した実施の形態および変形例において、ゲート駆動回路は、パネル部の短辺の一辺に配置されてもよいしパネル部の対向する短辺の二辺に配置されてもよい。同様に、ソース駆動回路は、パネル部の長辺の一辺に配置されてもよいしパネル部の対向する長辺の二辺に配置されてもよい。
【0152】
また、制御装置におけるフレーム期間の開始は、垂直同期信号VSの供給にもとづいてもよいし、映像同期信号DEの入力開始タイミング、すなわち、それ以降に入力される映像同期信号DEの入力が開始されるタイミングを基準にしてもよい。
【0153】
また、発光期間の終了すなわちフレーム期間の終了の条件は、上述したように、通知された垂直ライン数の発光を終えたタイミングであってもよいし、垂直同期信号VSが入力されたタイミングまたは映像同期信号DEの入力開始タイミングであってもよい。
【0154】
また、データ保持部は、上述したように、ラインバッファであってもよいし、他のバッファまたは記憶装置等であってもよい。
【0155】
また、発光素子は、有機EL素子に限らず、LED等の他の発光素子であってもよい。発光素子のオンデューティは90%に限らず、適宜変更してもよい。
【0156】
また、発光素子の発光および消光の制御信号には、消光を指示する消光信号ENを用いてもよいし、各トランジスタの特性に応じて、発光を指示する発光信号を用いてもよい。また、消光信号ENに代えて、制御信号AZまたはINIを用いてもよい。
【0157】
また、表示装置において、画素回路の構成は、上述した実施の形態および変形例に示した構成に限らず、変更してもよい。例えば、駆動トランジスタ、選択トランジスタおよび画素容量を備える構成であれば、他のスイッチトランジスタの配置は適宜変更してもよい。また、画素回路に設けられる複数のトランジスタは、ポリシリコンTFTであってもよいし、アモルファスシリコンTFT等他のトランジスタで構成されていてもよい。また、トランジスタの導電型はNチャネル型であってもよいしPチャネル型であってもよいし、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0158】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上述の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上述の実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。例えば、本発明にかかる制御装置を備えた表示装置の一例として、
図12に示すような薄型フラットテレビシステム100、表示パネルが搭載されたゲーム機、PC用モニタシステムも本発明に含まれる。