(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両が所定の方向に走行する有料道路において前記所定の方向で上流から下流にかけて複数設けられた通信装置と、前記有料道路の前記上流から前記下流にかけて複数設けられた入口および出口のそれぞれに設置された情報処理装置と、を備えた走行経路把握システムであって、
前記通信装置は、
前記有料道路を走行している車両のうち、前記通信装置から所定の範囲内を走行した車両を特定可能な車両識別情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記車両識別情報を、当該通信装置より前記下流に設けられた情報処理装置であって、自装置からの送信先として予め対応付けられている前記情報処理装置へ送信する送信部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
一または複数の前記通信装置から、前記車両識別情報を受信する第1の受信部と、
自装置よりも前記上流に設けられた上流側情報処理装置に対して、前記第1の受信部が受信した前記車両識別情報に対応付けられた前記車両が走行した経路を示す経路履歴情報を要求する要求部と、
前記上流側情報処理装置から、前記要求に応じた経路履歴情報を受信する第2の受信部と、
前記上流側情報処理装置から送信された前記経路履歴情報に、前記通信装置が設けられた前記経路を示す情報を追加して、記憶部に登録する登録部と、
を備えた走行経路把握システム。
前記要求部は、前記上流側情報処理装置のうち、自装置に最も近い第1の上流側情報処理装置に対して、前記第1の受信部が受信した前記車両識別情報に対応付けられた前記経路履歴情報を要求し、前記車両識別情報に対応付けられた前記経路履歴情報が、前記第1の上流側情報処理装置に記憶されていない場合、前記第1の上流側情報処理装置よりもさらに前記上流に設けられた第2の上流側情報処理装置に対して、前記経路履歴情報を要求する、
請求項2に記載の走行経路把握システム。
車両が所定の方向に走行する有料道路の上流から下流にかけて複数設けられた入口および出口のそれぞれに設置された情報処理装置で実行される走行経路把握方法であって、
前記有料道路の前記上流から前記下流にかけて設けられた一または複数の通信装置から、前記有料道路を走行する前記車両を特定可能な車両識別情報を受信する受信ステップと、
自装置よりも前記上流に設けられた上流側情報処理装置に対して、前記受信ステップで受信した前記車両識別情報に対応付けられた前記車両が走行した経路を示す経路履歴情報を要求する要求ステップと、
前記上流側情報処理装置から送信された前記経路履歴情報に、前記通信装置が設けられた前記経路を示す情報を追加して、記憶部に登録する登録ステップと、
を含む走行経路把握方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態1)
本実施形態の走行経路把握システムでは、有料道路のETCゲートに設けられた複数の情報処理装置間で経路履歴情報の受け渡しを行う。具体的には、情報処理装置が、車両の走行する所定の方向に沿って、次の情報処理装置へ車両の経路履歴情報を順次引き継ぐことにより、当該車両の走行経路を把握することができる。また、本実施形態の走行経路把握システムでは、情報処理装置は、経路履歴情報を他の情報処理装置に送信した後は、自装置内の当該経路履歴情報を削除する。
【0009】
図1は、本実施形態にかかる走行経路把握システム100の全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、走行経路把握システム100は、ITSスポット10a1,10a2,10b,10c1,10c2,10dと、入口ETCゲート30と、出口ETCゲート35a,35b,35cと、情報処理装置20a〜20dとを備える。
【0010】
また、本実施形態の走行経路把握システム100が適用される道路は、例えば、車両が所定の方向に走行する有料道路である。つまり、
図1は、有料道路の、車両が所定の方向(例えば、
図1の左から右へ向かう方向)に走行する車線における走行経路把握システム100の構成の一例を示すものであり、反対車線側には、また別の走行経路把握システム100が適用されるものとする。所定の方向は、例えば、高速道路の上り方向や下り方向があるが、有料道路に沿って車両が進行する方向であれば良い。
【0011】
また、
図1には、有料道路上を走行する車両1a〜1dが示されている。以下、各車両を特に区別しない場合は、単に車両1という。各車両1には、DSRC(Dedicated Short Range Communication)用車載器およびETC用車載器が搭載されている。
【0012】
本実施形態では、車両1を特定可能な車両識別情報として、車両1に搭載されたETC用車載器またはDSRC用車載器の車載器IDを用いる例について説明する。なお、本実施形態では、車載器IDを用いるが、車両を識別する情報であれば、どのような情報でも良い。
【0013】
また、本実施形態の走行経路把握システム100が適用される有料道路には、車両1が走行する所定の方向(例えば、上り方向又は下り方向)の上流から下流にかけて、入口および出口がそれぞれ複数設けられている。
【0014】
入口ETCゲート30は、有料道路の入口に設けられた、車両1に搭載されたETC用車載器と無線通信可能な装置である。本実施形態の入口ETCゲート30は、車両1が入口を通過する際に、車両1の車載器IDを取得(受信)する。
【0015】
また、出口ETCゲート35a,35b,35cは、有料道路の出口に設けられた、車両1に搭載されたETC用車載器と無線通信可能な装置である。以下、出口ETCゲート35a,35b,35cを特に区別しない場合は、単に出口ETCゲート35という。本実施形態の出口ETCゲート35は、車両1が出口を通過する際に、車両1の車載器IDを取得(受信)する。入口ETCゲート30および出口ETCゲート35は、本実施形態におけるゲート装置の一例である。
【0016】
情報処理装置20a〜20dは、入口ETCゲート30または出口ETCゲート35に対応付けられ、有料道路の入口および出口のそれぞれに設置される。以下、情報処理装置20a〜20dを特に区別しない場合は、単に情報処理装置20という。情報処理装置20は、CPUと、ROMやRAMなどの記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0017】
また、情報処理装置20は、上流および下流に位置する他の情報処理装置20との間で、相互に通信可能に不図示のネットワークにより接続されている。
【0018】
ITSスポット10a1,10a2,10b,10c1,10c2,10dは、有料道路において、車両1が走行する所定の方向の上流から下流にかけて複数設けられる。以下、ITSスポット10a1,10a2,10b,10c1,10c2,10dを特に区別しない場合は、単にITSスポット10という。ITSスポット10は、本実施形態における通信装置の一例である。
【0019】
ITSスポット10は、車両1に搭載されたDSRC用車載器との間で双方向の無線通信をすることにより、車両1の運転者に対して、多様な情報サービスを行う。例えば、ITSスポット10からの提供される情報サービスにより、車両1の運転者は、適切なルートを選択するためのダイナミックルートガイダンスや、安全運転支援等のサービスの提供を受けることができる。
【0020】
また、本実施形態の各ITSスポット10は、いずれかの情報処理装置20に対応付けられ、不図示のネットワークにより通信可能に接続している。ITSスポット10が対応付けられる情報処理装置20は、ITSスポット10よりも下流側に位置する入口ETCゲート30または出口ETCゲート35に対応付けられて設置されている。換言すれば、各ITSスポット10は、自装置よりも下流側に位置する情報処理装置20によって管理されている。また、情報処理装置20が管理するITSスポット10が設置された経路は、当該情報処理装置20が管轄する経路ともいう。
【0021】
本実施形態のITSスポット10は、有料道路上を走行する車両1がITSスポット10の無線通信可能な範囲内に入ると、車両1のDSRC用車載器との間で無線通信を行い、車載器IDを取得する。ITSスポット10は、取得した車載器IDを、自装置が対応付けられた情報処理装置20に送信する。
【0022】
1つのITSスポット10が車載器IDを送信する先は、1つの情報処理装置20であるが、各情報処理装置20はそれぞれ複数のITSスポット10から車載器IDを受信しても良い。例えば、
図1では、ITSスポット10a1およびITSスポット10a2は、情報処理装置20aに対応付けられ、車両1bの車載器IDを情報処理装置20aに送信する。
【0023】
本実施形態の走行経路把握システム100では、車両1が有料道路に進入してから退出するまでの各地点において、入口ETCゲート30、ITSスポット10、出口ETCゲート35が車両1の車載器IDを取得し、各情報処理装置20が当該車両1が各地点を通過した情報を次の情報処理装置20へ順次受け渡すことによって、車両1の走行経路が把握される。
【0024】
例えば、入口ETCゲート30の情報処理装置20dが、所定の車載器IDを取得した場合に、当該車載器IDで示される車両1の経路履歴情報を生成する。そして、情報処理装置20dが生成した車両1の経路履歴情報が、情報処理装置20aに受け渡された後、当該情報処理装置20aが、車両1が経路40を走行した情報(換言すれば、情報処理装置20dと情報処理装置20aとの間の経路40上に設けられたITSスポット10a1,10a2で当該車両1を検出したことを示す情報)を、車両1の経路履歴情報に追加する。そして、情報処理装置20aが、車両1の経路履歴情報を、情報処理装置20bに受け渡す。そして、情報処理装置20bは、車両1が経路41を走行した情報を、車両1の経路履歴情報に追加する。これにより、車両1の経路履歴情報として、経路40と経路41を走行した情報が含まれることになる。このような処理を繰り返していくことで、車両1の走行経路を把握できる。
【0025】
以下、本実施形態のITSスポット10および情報処理装置20について詳細を説明する。
図2は、本実施形態にかかるITSスポット10および情報処理装置20の機能的構成の一例を示す図である。
図2に示すように、ITSスポット10は、取得部101と、送信部102とを備える。
【0026】
取得部101は、有料道路を走行している車両1のうち、自装置(ITSスポット10)と無線通信可能な範囲内を走行している車両1と通信を行い、車載器IDを取得する。より詳細には、取得部101は、車両1に搭載されたDSRC用車載器との間で無線通信を行って、車載器IDを取得する。ITSスポット10が無線通信可能な範囲内は、本実施形態における所定の範囲内の一例である。
【0027】
送信部102は、取得部101が取得した車載器IDを、自装置(ITSスポット10)より下流に設けられた情報処理装置20であって、自装置からの送信先として対応付けられた情報処理装置20に送信する。本実施形態においては、各ITSスポット10には、下流側に位置する情報処理装置20のうち、最も近くに設けられた情報処理装置20が送信先として対応付けられる。
【0028】
図2に示すように、情報処理装置20は、ITS受信部201と、ETC受信部202と、要求部203と、受信部204と、登録部205と、要求受付部206と、送信部207と、算出部208と、記憶部250とを備える。
【0029】
記憶部250は、例えばHDD等である。
図2に示すように、記憶部250は、経路履歴データベース(DB)50と、経路別料金データベース(DB)51とを記憶する。
【0030】
経路履歴データベース50は、車載器IDと、車両1が通過した経路名(地点名)と、受信時刻(通過時刻)とを対応付けて保存する。また、経路履歴データベース50に保存された1件の車載器IDごとの情報を、経路履歴情報という。
【0031】
経路名は、当該車両1の車載器IDを取得した入口ETCゲート30または各ITSスポット10が設置された経路を示す情報の一例である。例えば、経路名は、車両1が通過した入口名や、車両1を検出したITSスポット10が設置された位置の名称であるが、車両1の走行経路を特定できる情報であれば良く、これらに限定されるものではない。
【0032】
また、受信時刻は、情報処理装置20が、入口ETCゲート30または各ITSスポット10から、車載器IDを受信した時刻である。
【0033】
経路別料金データベース51は、車両1が有料道路を走行したときに生じる料金を算出するために用いられるデータベースである。本実施形態の経路別料金データベース51には、車両1が走行した経路別に、異なる料金を設定可能である。また、経路別料金データベース51には、車種や通行時間帯等に応じてさらに異なる料金が設定されても良い。
【0034】
ITS受信部201は、ITSスポット10から、車載器IDを受信する。また、ITS受信部201は、受信した車載器IDで経路履歴データベース50を検索することによって、受信した車載器IDが、既に受信済みであるか否かを判断する。ITS受信部201は、本実施形態における第1の受信部の一例である。
【0035】
ETC受信部202は、入口ETCゲート30および出口ETCゲート35から、入口または出口を通過した車両1の車載器IDを受信する。
【0036】
要求部203は、自装置よりも上流に設けられた他の情報処理装置20のうち、自装置に最も近い情報処理装置20に対して、ITS受信部201が受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求(問い合わせ)する。また、要求部203は、ITS受信部201が同じ車載器IDを複数回受信した場合、初回の受信時にのみ経路履歴情報の要求を行う。また、本実施形態においては、上流に設けられた情報処理装置20を上流側情報処理装置、下流に設けられた情報処理装置20を下流側情報処理装置ともいう。
【0037】
要求部203が要求を送信する先である上流側情報処理装置は、予め定められる。例えば、上流側情報処理装置は、要求先として記憶部250に記憶されても良い。
【0038】
受信部204は、情報処理装置20から、要求部203が要求した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を受信する。受信部204は、本実施形態における第2の受信部の一例である。
【0039】
登録部205は、ETC受信部202が、入口ETCゲート30から車載器IDを受信した場合に、当該車載器IDに対応する経路履歴情報を生成して、経路履歴データベース50に登録する。
【0040】
また、登録部205は、ITS受信部201がITSスポット10から車載器IDを受信した場合、受信部204が上流側情報処理装置から受信した経路履歴情報に、自装置が管轄する経路名(車載器IDを受信したITSスポット10が設置されている経路名)と、ITSスポット10から車載器IDを受信した受信時刻とを追加して、経路履歴データベース50に登録する。
【0041】
要求受付部206は、自装置よりも下流に設けられた他の情報処理装置20から、車両1の車載器IDに対応付けられた経路履歴情報の要求を受け付ける。
【0042】
送信部207は、要求受付部206が(車載器IDと共に)要求を受け付けた場合に、経路履歴データベース50から、車載器IDと対応付けられた経路履歴情報を読み出し、要求された経路履歴情報として、要求元である下流に設けられた他の情報処理装置20に送信する。また、送信部207は、下流に設けられた他の情報処理装置20に送信した経路履歴情報を、経路履歴データベース50から削除する。
【0043】
算出部208は、ETC受信部202が出口ETCゲート35から車載器IDを受信した場合に、当該車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を、経路履歴データベース50から読み出す。算出部208は、当該車載器IDに対応付けられた経路履歴情報から、車両1の走行経路を特定する。そして、算出部208は、経路別料金データベース51を用いて、車両1の走行経路に応じた通行料金を算出する。
【0044】
次に、以上のように構成された本実施形態の走行経路把握システム100で実行される経路履歴情報の生成処理について、
図3,4を用いて説明する。
【0045】
図3は、本実施形態にかかる経路履歴情報の生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、入口ETCゲート30に接続する情報処理装置20で実行される。また、このフローチャートの処理は、例えば、情報処理装置20が起動している間は、繰り返し実行されるものとする。
【0046】
また、
図4は、本実施形態にかかる有料道路の入口における経路履歴情報の生成を説明する図である。
【0047】
まず、情報処理装置20dのETC受信部202は、入口ETCゲート30から車載器IDを受信したか否かを判断する(S1)。車載器IDを受信していない場合(S1“No”)、ETC受信部202はS1の処理を繰り返し、入口ETCゲート30からの送信を待機する。
【0048】
一方、
図4に示すように、車両1が入口Dを通って有料道路に進入すると、入口ETCゲート30は、車両1から車載器IDを取得する。そして、入口ETCゲート30は、取得した車載器IDを情報処理装置20dに送信(通知)する。この場合、
図3に示すように、情報処理装置20dのETC受信部202は、入口ETCゲート30から車載器IDを受信する(S1“Yes”)。
【0049】
そして、情報処理装置20dの登録部205は、車載器IDと、車載器IDの受信時刻と、入口名(経路名)とを対応付けて経路履歴情報を生成する(S2)。
図4に示される例では、車載器ID“AAAA”の経路履歴情報401が生成されたものとする。
【0050】
登録部205は、生成した経路履歴情報を、経路履歴データベース50に登録(保存)する(S3)。
【0051】
次に、本実施形態の走行経路把握システム100で実行される経路履歴情報の引き継ぎ処理について、
図5,6を用いて説明する。
【0052】
図5は、本実施形態にかかる経路履歴情報の引き継ぎ処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、情報処理装置20が起動している間は、繰り返し実行されるものとする。
【0053】
また、
図6は、本実施形態にかかるITSスポット10および情報処理装置20による情報の送受信を説明する図である。
図5の上流側情報処理装置は、
図6の情報処理装置20dに相当し、下流側情報処理装置は、情報処理装置20aに相当する。
【0054】
情報処理装置20a(下流側情報処理装置)のITS受信部201は、自装置が管理するITSスポット10a1またはITSスポット10a2から車載器IDを受信したか否かを判断する(S11)。車載器IDを受信していない場合(S11“No”)、ITS受信部201はS11の処理を繰り返し、ITSスポット10a1,10a2からの送信を待機する。
【0055】
車載器IDを受信した場合(S11“Yes”)、ITS受信部201は、受信した車載器IDで経路履歴データベース50を検索することによって、受信した車載器IDが、既に受信済みであるか否かを判断する(S12)。受信した車載器IDが、受信済みではない場合(S12“No”)、要求部203は、有料道路の上流側に位置する情報処理装置20のうち、自装置に最も近い情報処理装置20である情報処理装置20d(上流側情報処理装置)に、受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求(問い合わせ)する(S13)。
【0056】
情報処理装置20dの要求受付部206は、情報処理装置20aから経路履歴情報の要求(問い合わせ)を受け付けたか否かを判断する(S21)。経路履歴情報の要求を受け付けていない場合(S21“No”)、要求受付部206はS21の処理を繰り返し、経路履歴情報の要求を待機する。
【0057】
要求受付部206が経路履歴情報の要求を受け付けた場合(S21“Yes”)、送信部207は、要求された車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を、経路履歴データベース50から検索する(S22)。
【0058】
要求された車載器IDに対応付けられた経路履歴情報が経路履歴データベース50にある場合(S23“Yes”)、送信部207は、当該経路履歴情報を要求元である情報処理装置20aに送信する(S24)。また、送信部207は、情報処理装置20aに送信した経路履歴情報を経路履歴データベース50から削除する(S25)。
【0059】
また、要求された車載器IDに対応付けられた経路履歴情報が経路履歴データベース50にない場合(S23“No”)、送信部207は、情報処理装置20aへの送信を行わず、処理を終了する。あるいは、送信部207は、該当の経路履歴情報が無い旨の通知を、情報処理装置20aへ送信しても良い。
【0060】
情報処理装置20aの処理に戻り、情報処理装置20aの受信部204は、情報処理装置20dから送信された経路履歴情報を受信する(S14)。
【0061】
情報処理装置20aの登録部205は、受信した経路履歴情報に、自装置が管理するITSスポット10a1が設置された経路名(経路A)と、ITSスポット10a1から車載器IDを受信した受信時刻とを追加する(S15)。例えば、
図6に示される経路履歴情報601に含まれている“X月X日Y時Z分:経路A”が追加された情報602とする。
【0062】
登録部205は、経路名と受信時刻とを追加した経路履歴情報を、自装置の経路履歴データベース50に登録する(S16)。このように下流側情報処理装置が、上流側情報処理装置から経路履歴情報を取得し、情報を追加して登録することを、本実施形態においては、経路履歴情報を引き継ぐ、という。
【0063】
また、S12の処理で、受信した車載器IDが、既に受信済みである場合(S12“Yes”)、当該フローチャートの処理は終了する。例えば、
図6の例では、ITSスポット10a1が送信した車両1の車載器IDが情報処理装置20aの経路履歴データベース50に登録された後に、ITSスポット10a2が同じ車両1の車載器IDを情報処理装置20aに送信した場合、情報処理装置20aは情報処理装置20dへの経路履歴情報の要求は行わない。
【0064】
次に、本実施形態の走行経路把握システム100で実行される料金算出処理について、
図7,8を用いて説明する。
【0065】
図7は、本実施形態にかかる料金算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
また、
図8は、本実施形態にかかる有料道路の出口における情報の送受信を説明する図である。
【0066】
図8では、車両1は、ITSスポット10bが設置された経路(経路B)を走行した後に、出口ETCゲート35dが設置された出口から有料道路を退出する。車両1がITSスポット10bによって検出され、車載器IDが取得された段階で、情報処理装置20bには車両1の車載器IDが送信されている。また、情報処理装置20bは、
図5,6で説明した手順に沿って、車両1の車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を情報処理装置20aから取得し、経路Bの走行履歴と受信時刻とを追加して、経路履歴データベース50に登録済みである。
【0067】
このような状態で、車両1が出口ETCゲート35dに到達すると、出口ETCゲート35dは車両1の車載器IDを取得し、取得した車載器IDを情報処理装置20bへ送信する。
【0068】
情報処理装置20bのETC受信部202は、出口ETCゲート35dから、車載器IDを受信したか否かを判断する(S31)。車載器IDを受信していない場合(S31“No”)、ETC受信部202はS31の処理を繰り返し、出口ETCゲート35dからの送信を待機する。
【0069】
ETC受信部202が車載器IDを受信した場合(S31“Yes”)、算出部208は、当該車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を、経路履歴データベース50から読み出す(S32)。そして、算出部208は、読み出した経路履歴情報から、車両1の走行経路を特定し、経路別料金データベース51を用いて、車両1の走行経路に応じた通行料金を算出する(S33)。
【0070】
また、上述した例では、1対1の関係で配置された上流側情報処理装置と下流側情報処理装置とが経路履歴情報を送受信していたが、情報処理装置20間の関係は、これに限定されるものではない。例えば、複数の経路が1本に合流する地点においては、合流後の経路に設置された下流側情報処理装置にとって、経路履歴情報の要求先となる上流側情報処理装置は複数存在する。
【0071】
図9は、本実施形態にかかる経路が合流する場合における経路履歴情報の送受信について説明する図である。
図9に示す例では、車両1はITSスポット10eが設置された経路を走行した後、ITSスポット10gが設置された経路を走行している。また、ITSスポット10gが設置された経路には、ITSスポット10eが設置された経路の他に、ITSスポット10fが設置された経路が合流している。
【0072】
図5の経路履歴情報の引き継ぎ処理のフローチャートで説明したように、情報処理装置20gは、ITSスポット10gから車両1の車載器IDを受信した場合に、上流側情報処理装置に、受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。
【0073】
図9に示すように、合流後の経路に設置された情報処理装置20gは、合流前の経路に設置された情報処理装置20eと、情報処理装置20fとの両方に対して、受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。
【0074】
情報処理装置20eの経路履歴データベース50には、情報処理装置20gから要求された車載器IDに対応付けられた経路履歴情報が記憶されている。このため、情報処理装置20eの送信部207は、要求された車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を、情報処理装置20gに送信する。
【0075】
一方、車両1はITSスポット10fが設置された経路を走行していないため、情報処理装置20fの経路履歴データベース50には、情報処理装置20gから要求された車載器IDに対応付けられた経路履歴情報が記憶されていない。このため、情報処理装置20fの送信部207は、情報処理装置20gへの送信を行わない。あるいは、送信部207は、該当の経路履歴情報が無い旨を、情報処理装置20gへ送信しても良い。
【0076】
このように、本実施形態の走行経路把握システム100では、ITSスポット10が、有料道路を走行している車両1のうち、無線通信可能な範囲内を走行した車両1の車載器IDを、下流に設けられ、自装置からの送信先として予め対応付けられている情報処理装置20へ送信する。また、情報処理装置20が、自装置よりも上流に設けられた上流側情報処理装置から、ITSスポット10から受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を受信し、受信した経路履歴情報に自装置が管轄する経路名を追加して登録する。このため、本実施形態の走行経路把握システム100によれば、各車両1の移動と共に情報処理装置20間で経路履歴情報が引き継ぎおよび更新され、常に最新の経路が経路履歴情報に反映されるため、車両1ごとの走行経路を把握するための処理負荷および処理時間を低減することができる。
【0077】
より詳細には、本実施形態の走行経路把握システム100によれば、各ITSスポット10から無線通信可能な範囲内を走行した車両1の車載器IDを取得することにより、車両1が当該ITSスポット10が設置された経路を走行したことが把握できるため、GPS電波による詳細な走行位置の記録等がなくとも、車両1が走行した経路を把握することができる。このため、本実施形態の走行経路把握システム100によれば、GPS電波から把握された走行位置の記録等から有料道路上における車両1の走行経路を把握するためのマップマッチング等の補正処理等を行わなくとも良く、処理負荷および処理時間を低減することができる。
【0078】
また、本実施形態の走行経路把握システム100では、ITSスポット10から受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を上流側情報処理装置に要求するため、自装置が管轄する経路を走行した車両1の経路履歴情報のみが処理対象となり、通信容量および記憶容量を低減することができる。
【0079】
また、本実施形態の走行経路把握システム100では、ITSスポット10は取得した車載器IDを情報処理装置20に送信するため、車両1が走行した経路の履歴等を取得する必要がなく、ITSスポット10が取得する情報量および送信する情報量を低減することができる。
【0080】
また、本実施形態の走行経路把握システム100では、車両1の経路履歴情報は情報処理装置20に記憶されるため、車両1のDSRC用車載器またはETC用車載器に車両1の経路履歴情報を保存しなくとも良く、車載器側が記憶するデータ量を低減することができる。
【0081】
さらに、本実施形態の走行経路把握システム100では、情報処理装置20は、下流側情報処理装置から、車載器IDに対応付けられた経路履歴情報の要求を受け付けた場合に、要求された経路履歴情報を下流側情報処理装置に送信する。このため、本実施形態の走行経路把握システム100によれば、情報処理装置20間で送受信するデータ量を低減することができる。
【0082】
さらに、本実施形態の走行経路把握システム100では、情報処理装置20は、入口ETCゲート30から車載器IDを通知された場合に、当該車載器IDに対応する経路履歴情報を生成して経路履歴データベース50に登録する。つまり、本実施形態においては、各車両1ごとに経路履歴情報が生成されるため、情報処理装置20は、車両1の経路履歴情報を特定するための処理負荷を低減することができる。
【0083】
さらに、本実施形態の走行経路把握システム100では、情報処理装置20は、出口ETCゲート35から車載器IDを通知された場合に、当該車載器IDに対応付けられ経路履歴情報から車両1の走行経路を特定し、走行経路に応じた通行料金を算出する。このため、本実施形態の走行経路把握システム100によれば、処理負荷を低減すると共に、経路別の通行料金を車両1に対して課金することができる。
【0084】
さらに、本実施形態の走行経路把握システム100では、情報処理装置20は、下流側情報処理装置に送信した経路履歴情報を、経路履歴データベース50から削除する。このため、本実施形態の走行経路把握システム100によれば、経路履歴データベース50に保存するデータ量の増大を抑制することができる。
【0085】
(実施形態2)
実施形態1の走行経路把握システム100では、情報処理装置20は、上流側で自装置に最も近い他の情報処理装置20に対して、車載器IDに対応付けられた経路履歴情報の要求をしていた。本実施形態においては、情報処理装置20は、上流側の最も近い他の情報処理装置20が車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を記憶していない場合、さらに上流の他の情報処理装置20に対して、経路履歴情報を要求する。
【0086】
本実施形態の走行経路把握システム100の全体構成は、
図1で説明した実施形態1の構成と同様である。
【0087】
図10は、本実施形態にかかるITSスポット10および情報処理装置20の機能的構成の一例を示す図である。本実施形態のITSスポット10は、実施形態1と同様の機能を備える。
【0088】
本実施形態の情報処理装置20は、ITS受信部201と、ETC受信部202と、要求部1203と、受信部204と、登録部205と、要求受付部206と、送信部1207と、算出部208と、削除部209と、記憶部250とを備える。
【0089】
本実施形態の記憶部250は、実施形態1と同様に経路履歴データベース50と、経路別料金データベース51とを記憶する。また、本実施形態のITS受信部201と、ETC受信部202と、受信部204と、登録部205と、要求受付部206と、算出部208とは、実施形態1と同様の機能を備える。
【0090】
本実施形態の要求部1203は、実施形態1の機能を備えた上で、さらに、段階的により上流の他の情報処理装置20に対して、ITS受信部201が受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。
【0091】
より詳細には、要求部1203は、まず、上流側情報処理装置のうち、自装置に最も近い上流側情報処理装置(第1の上流側情報処理装置)に対して、ITS受信部201が受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。そして、受信部204が、第1の上流側情報処理装置から要求部1203が要求した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を受信しない場合(あるいは、要求部1203が要求した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報が無い旨の通知を受信した場合)、要求部1203は、第1の上流側情報処理装置よりもさらに上流に設けられた上流側情報処理装置(第2の上流側情報処理装置)に対して、ITS受信部201が受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。
【0092】
第1の上流側情報処理装置および第2の上流側情報処理装置は、予め定められ、例えば記憶部250に要求先として保存されても良い。また、要求部1203は、第2の上流側情報処理装置に該当の経路履歴情報がない場合、第2の上流側情報処理装置よりもさらに上流に位置する他の情報処理装置20に対して、経路履歴情報を要求しても良い。要求部1203が何段階上流の他の情報処理装置20まで遡って要求を行うかは、予め定められ、記憶部250に記憶されても良い。
【0093】
本実施形態の情報処理装置20は、このような構成を備えることにより、例えば、第1の上流側情報処理装置の不具合によって経路履歴データベース50に経路履歴情報が正常に記憶されなかった場合や、通信の不具合等により情報の送受信にエラーが発生した場合等においても、経路履歴情報を受信することができる。
【0094】
また、送信部1207は、実施形態1と同様に、要求受付部206が、車両1の車載器IDに対応付けられた経路履歴情報の要求を受け付けた場合に、要求された経路履歴情報を、要求元である下流に設けられた他の情報処理装置20に送信する。また、本実施形態の送信部1207は、下流側情報処理装置から要求された経路履歴情報を送信した後も、当該経路履歴情報を経路履歴データベース50から削除しない。このため、さらに下流の他の情報処理装置20から同じ車載器IDに対応付けられた経路履歴情報が要求された場合にも、当該経路履歴情報を送信することができる。
【0095】
削除部209は、車載器IDの受信から所定の期間が経過した経路履歴情報を、経路履歴データベース50から削除する。本実施形態における所定の期間は、例えば1日とするがこれに限定されるものではない。また、削除部209は、例えば1日ごとに経路履歴情報の削除を実行するが、実行タイミングはこれに限定されるものではない。
【0096】
このように、本実施形態の走行経路把握システム100によれば、車載器IDに対応付けられた経路履歴情報が、第1の上流側情報処理装置に記憶されていない場合、第1の上流側情報処理装置よりもさらに上流に設けられた第2の上流側情報処理装置に対して、経路履歴情報を要求するため、実施形態1の効果に加えて、さらに信頼性を高めることができる。
【0097】
(実施形態3)
実施形態1の走行経路把握システム100では、情報処理装置20と他の情報処理装置20との間には、1以上のITSスポット10が設置されていた。本実施形態においては、情報処理装置20と他の情報処理装置20との間に、必ずしもITSスポット10が設置されなくとも良い。
【0098】
図11は、本実施形態にかかる走行経路把握システム100の全体構成の一例を示す図である。
図11に示すITSスポット10hは、情報処理装置20hが管理するITSスポットである。また、ITSスポット10jは、情報処理装置20jが管理するITSスポットである。
【0099】
また、
図11に示すように、情報処理装置20hと情報処理装置20iとの間の区間には、ITSスポット10が設置されていない。
【0100】
ITSスポット10h,10jおよび情報処理装置20h〜20jのハードウェア構成は、実施形態1のITSスポット10および情報処理装置20と同様である。また、
図11に示す出口ETCゲート35h〜35jは、実施形態1と同様の機能を備える。
【0101】
情報処理装置20iは、ITSスポット10と対応付けられていないため、車両1が出口ETCゲート35iに到達しない限りは、車両1の存在を認識していない。このため、例えば、車両1が出口ETCゲート35iを通らずに、ITSスポット10jの無線通信可能な範囲内に入り、情報処理装置20jが車載器IDを受信した場合、情報処理装置20jは、情報処理装置20iからは経路履歴情報を得られない。
【0102】
そこで、本実施形態においては、情報処理装置20jは、情報処理装置20hに対して、出口ETCゲート35jから受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。情報処理装置20jにとって、情報処理装置20hは、自装置よりも上流側に位置し、かつ、ITSスポット10と対応付けられた情報処理装置20のうち、最も近くに位置する他の情報処理装置20である。
【0103】
また、情報処理装置20iにとっても、情報処理装置20hは、自装置よりも上流側に位置し、かつ、ITSスポット10と対応付けられた情報処理装置20のうち、最も近くに位置する他の情報処理装置20である。このため、情報処理装置20iも、情報処理装置20hに対して、出口ETCゲート35iから受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。
【0104】
図12は、本実施形態にかかるITSスポット10および情報処理装置20の機能的構成の一例を示す図である。本実施形態のITSスポット10は、実施形態1と同様の機能を備える。
【0105】
本実施形態の情報処理装置20は、ITS受信部201と、ETC受信部202と、要求部2203と、受信部204と、登録部205と、要求受付部1206と、送信部1207と、算出部208と、記憶部250とを備える。
【0106】
本実施形態の記憶部250は、実施形態1と同様に経路履歴データベース50と、経路別料金データベース51とを記憶する。また、本実施形態のITS受信部201と、ETC受信部202と、受信部204と、登録部205と、算出部208とは、実施形態1と同様の機能を備える。
【0107】
本実施形態の要求部2203は、実施形態1の機能を備えた上で、自装置よりも上流側に位置し、かつ、ITSスポット10と対応付けられた情報処理装置20のうち、最も近くに位置する他の情報処理装置20に対して、出口ETCゲート35またはITSスポット10から受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。各情報処理装置20が経路履歴情報を要求する先は、予め定められ、例えば記憶部250に記憶されても良い。
【0108】
また、本実施形態の要求部2203は、要求を送信する際に、経路履歴情報の要求元である自装置を特定するための識別情報を要求先である上流側情報処理装置へ送信する。
【0109】
本実施形態の要求受付部1206は、実施形態1の機能を備えた上で、経路履歴情報の要求元である下流側情報処理装置を特定する識別情報を取得(受信)する。例えば、
図11に示す情報処理装置20hの要求受付部1206は、各車載器IDについて、下流側情報処理装置である情報処理装置20iまたは情報処理装置20jのいずれか一方から、要求を受け付ける。
【0110】
図12に戻り、本実施形態の送信部1207は、実施形態1の機能を備えた上で、識別情報により特定された経路履歴情報の要求元である情報処理装置20に対して、要求された経路履歴情報を送信する。なお、本実施形態では識別情報を送信するとしたが、経路履歴情報の要求元である情報処理装置20を特定する手法は、これに限定されるものではない。
【0111】
本実施形態の走行経路把握システム100では、各情報処理装置20が、自装置よりも上流側に位置し、かつ、ITSスポット10と対応付けられた情報処理装置20に対して、経路履歴情報を要求する。このため、本実施形態の走行経路把握システム100によれば、実施形態1の効果を備えた上で、各情報処理装置20の間にITSスポット10が設置されていない区間が存在しても、車両1の走行経路を容易に特定することができる。
【0112】
(実施形態4)
実施形態3の走行経路把握システム100では、各情報処理装置20が、自装置よりも上流側に位置し、かつ、ITSスポット10と対応付けられた情報処理装置20に対して、経路履歴情報を要求していた。本実施形態では、ITSスポット10が設置されない区間が存在する場合に適用することができる走行経路把握システム100の他の構成について説明する。
【0113】
図13は、本実施形態にかかる走行経路把握システム100の全体構成の一例を示す図である。
図13に示すITSスポット10kは、情報処理装置20kが管理するITSスポットである。また、ITSスポット10lは、情報処理装置20lと情報処理装置20mとの両方に管理されるITSスポットである。
【0114】
また、
図13に示すように、情報処理装置20lと情報処理装置20mとの間の区間には、ITSスポット10が設置されていない。ITSスポット10k,10lおよび情報処理装置20k〜20mのハードウェア構成は、実施形態1のITSスポット10および情報処理装置20と同様である。また、
図13に示す出口ETCゲート35k〜35mは、実施形態1と同様の機能を備える。
【0115】
本実施形態においては、ITSスポット10lは、車両1の車載器IDを、情報処理装置20lと情報処理装置20mとの両方に送信する。換言すれば、ITSスポット10lには、自装置よりも下流側に設けられた複数の情報処理装置20が車載器IDの送信先として対応付けられている。
【0116】
また、ITSスポット10lから車載器IDを受信した情報処理装置20lと情報処理装置20mとは、それぞれ、情報処理装置20kに対して、受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。
【0117】
図14は、本実施形態にかかるITSスポット10および情報処理装置20の機能的構成の一例を示す図である。
【0118】
本実施形態のITSスポット10は、取得部101と、送信部1102とを備える。取得部101は、実施形態1と同様の機能を備える。
【0119】
本実施形態の送信部1102は、取得部101が取得した車載器IDを、当該ITSスポット10よりも下流に設けられた情報処理装置20であって、当該ITSスポット10からの送信先として予め対応付けられた1または複数の情報処理装置20に送信する。
【0120】
また、本実施形態の情報処理装置20は、ITS受信部201と、ETC受信部202と、要求部3203と、受信部204と、登録部205と、要求受付部1206と、送信部2207と、算出部208と、削除部1209と、記憶部1250とを備える。
【0121】
本実施形態のITS受信部201と、ETC受信部202と、受信部204と、登録部205と、要求受付部1206と、算出部208とは、実施形態1と同様の機能を備える。
【0122】
また、本実施形態の記憶部1250は、経路履歴データベース1050と、経路別料金データベース51とを記憶する。経路別料金データベース51は、実施形態1と同様である。
【0123】
本実施形態の経路履歴データベース1050は、実施形態1の内容に加えてさらに、各車載器IDに対応付けられた経路履歴情報が、下流側情報処理装置に送信された回数(送信回数)を記憶する。
【0124】
また、本実施形態の要求部3203は、実施形態1の機能を備えた上で、自装置よりも上流側に位置し、かつ、自装置が対応付けられたITSスポット10とは異なるITSスポット10と対応付けられた情報処理装置20のうち、最も近くに位置する他の情報処理装置20に対して、出口ETCゲート35またはITSスポット10から受信した車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を要求する。各情報処理装置20が経路履歴情報を要求する先は、予め定められ、例えば記憶部250に記憶されても良い。
【0125】
また、本実施形態の要求受付部1206は、実施形態3と同様に、経路履歴情報の要求元である下流側情報処理装置を特定する識別情報を取得する。
【0126】
また、本実施形態の送信部2207は、実施形態1の機能を備えた上で、識別情報により特定された経路履歴情報の要求元である情報処理装置20に対して、要求された経路履歴情報を送信する。また、本実施形態の送信部2207は、経路履歴情報を送信した場合に、車載器IDごとの送信回数を経路履歴データベース1050に登録する。送信部2207は、同じ車載器IDに対応付けられた経路履歴情報を送信する度に、送信回数を加算して更新する。また、本実施形態の送信部2207は、経路履歴情報を送信しても、経路履歴データベース1050から当該経路履歴情報を削除しない。
【0127】
本実施形態の削除部1209は、経路履歴データベース1050に含まれる車載器IDに対応付けられた経路履歴情報のうち、送信回数が所定の閾値に達したものを削除する。所定の閾値は、例えば、当該情報処理装置20に対して経路履歴情報を要求する下流側情報処理装置の件数である。所定の閾値は、記憶部1250に記憶されても良い。
【0128】
例えば、
図13に示す例では、情報処理装置20kは、2台の下流側情報処理装置(情報処理装置20l,情報処理装置20m)に経路履歴情報を送信する。このような場合、2台の情報処理装置20に対して送信部2207が経路履歴情報を送信した後に、削除部1209は、経路履歴情報を削除する。
【0129】
さらに、本実施形態の削除部1209は、送信回数が所定の閾値に達しなくとも、車載器IDの受信から所定の期間が経過した場合は、当該経路履歴情報を、経路履歴データベース1050から削除する。本実施形態における所定の期間は、例えば1日とするがこれに限定されるものではない。
【0130】
例えば、
図13に示す例では、車両1が出口ETCゲート35mを通過して有料道路から退出した場合、情報処理装置20lの経路履歴データベース1050に記憶された車両1の車載器IDに対応付けられた経路履歴情報は、後続の処理で使用されることなく残ってしまう。このような場合に、削除部1209が車載器IDの受信から所定の期間が経過した経路履歴情報を削除することにより、データ容量の増大を抑制することができる。
【0131】
本実施形態の走行経路把握システム100では、ITSスポット10が1または複数の情報処理装置20に車載器IDを送信することにより、各情報処理装置20の間にITSスポット10が設置されていない区間が存在しても、車両1の走行経路を容易に特定することができる。
【0132】
なお、上述の各実施形態の走行経路把握システム100では、車両識別情報として車載器IDが用いられているが、車両識別情報はこれに限定されるものではない。また、上述の各実施形態の走行経路把握システム100では、通信装置としてITSスポット10が用いられているが、これに限定されるものではない。
【0133】
例えば、車両識別情報として、車両1のナンバープレートに記載されたナンバーを用いても良い。当該構成を採用する場合、通信装置は、有料道路を走行する車両1のナンバープレートを撮像する撮像装置を備え、撮像画像を情報処理装置20に送信可能な装置であれば良い。また、この場合、情報処理装置20は、撮像画像から車両1のナンバーを認識する画像処理を行う構成をさらに備える。
【0134】
また、車両識別情報としてのID等を記憶したRFID(Radio Frequency Identification)タグを車両1に設置し、通信装置としてRFID受信機を用いても良い。一般に、RFIDタグは大量の情報を記録することは困難であるが、上述の各実施形態の走行経路把握システム100では、車両1の車載器等に経路履歴情報を記録しないため、RFIDタグ等を適用可能である。
【0135】
また、上述の各実施形態の走行経路把握システム100では、入口ETCゲート30または出口ETCゲート35に対応付けられた情報処理装置20は1台であるが、各情報処理装置20の設置台数はこれに限定されるものではない。例えば、各情報処理装置20が2重化され、入口ETCゲート30または出口ETCゲート35ごとに2台ずつ設置されても良い。また、各情報処理装置20間を接続するネットワークも、それぞれ2重化されても良い。
【0136】
以上説明したとおり、実施形態1から実施形態4の走行経路把握システム100によれば、車両1の走行経路を把握するための処理負荷および処理時間を低減することができる。
【0137】
上述の各実施形態の情報処理装置20で実行される各種のプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0138】
また、本実施形態の情報処理装置20で実行される各種のプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の情報処理装置20で実行される各種のプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、本実施形態の情報処理装置20で実行される各種のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成しても良い。
【0139】
本実施形態の情報処理装置20で実行される各種のプログラムは、上述した各部(ITS受信部、ETC受信部、要求部、受信部、登録部、要求受付部、送信部、算出部、削除部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされITS受信部、ETC受信部、要求部、受信部、登録部、要求受付部、送信部、算出部、削除部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。