特許第6768618号(P6768618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6768618アレイアンテナ装置およびアレイアンテナ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6768618
(24)【登録日】2020年9月25日
(45)【発行日】2020年10月14日
(54)【発明の名称】アレイアンテナ装置およびアレイアンテナ処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/02 20060101AFI20201005BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20201005BHJP
   G01S 13/46 20060101ALI20201005BHJP
【FI】
   G01S7/02 210
   G01S7/40 121
   G01S13/46
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-179431(P2017-179431)
(22)【出願日】2017年9月19日
(65)【公開番号】特開2019-56569(P2019-56569A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2019年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩司
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−041792(JP,A)
【文献】 特開平11−094936(JP,A)
【文献】 特表2005−538666(JP,A)
【文献】 特開2001−094454(JP,A)
【文献】 特開2004−304508(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0238695(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00− 7/42
G01S 13/00−13/95
H01Q 3/00− 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナと、複数の前記アンテナにより受信された信号を処理する受信器と、前記受信器により処理された信号についてA/D変換を行うA/D変換器と、を含む複数の受信装置と、
所定の校正信号が前記受信器により処理された後に前記A/D変換器によりA/D変換された結果の信号に基づいて、複数の前記受信装置における処理の遅延差に関する情報を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記情報に基づいて、前記受信装置に含まれる前記A/D変換器により行われるA/D変換のタイミングを補正するタイミング補正部と、
を備えるアレイアンテナ装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記情報として、前記信号の位相差に関する情報を検出する、
請求項1に記載のアレイアンテナ装置。
【請求項3】
前記遅延差は、群遅延量の差を含む、
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のアレイアンテナ装置。
【請求項4】
複数のアンテナと、複数の前記アンテナにより受信された信号を処理する受信器と、前記受信器により処理された信号についてA/D変換を行うA/D変換器と、を含む複数の受信装置について、
検出部が、所定の校正信号が前記受信器により処理された後に前記A/D変換器によりA/D変換された結果の信号に基づいて、複数の前記受信装置における処理の遅延差に関する情報を検出し、
タイミング補正部が、前記検出部により検出された前記情報に基づいて、前記受信装置に含まれる前記A/D変換器により行われるA/D変換のタイミングを補正する、
アレイアンテナ処理方法。
【請求項5】
前記検出部が、前記情報として、前記信号の位相差に関する情報を検出する、
請求項4に記載のアレイアンテナ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アレイアンテナ装置およびアレイアンテナ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送信装置と複数の受信装置との間で同期を取る場合がある。例えば、基準クロックを持つ基準信号発生部に相当する局が、基準クロックに基づく時刻(基準信号)の情報を載せた同期フレームを各受信装置に送信することで、タイミング同期を実現することが行われる。
【0003】
このようなタイミング同期が実現されないと、送信装置と複数の受信装置との間で品質の良い通信を行うことができない場合があった。
一例として、レーダー装置では、このようなタイミング同期が実現されないと、各受信装置においてレンジ(例えば、距離のレンジ)のずれが発生する場合があった。
【0004】
このため、送信装置と複数の受信装置との間でタイミング補正を行ってタイミング同期を取る手法が使用されるが、複数の受信装置における群遅延量などの遅延量に差があるときにはタイミング補正を精度良く行うことができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−109357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、複数の受信装置における遅延量に差があるときにおいても、タイミング補正を精度良く行うことができるアレイアンテナ装置およびアレイアンテナ処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のアレイアンテナ装置は、複数の受信装置と、検出部と、タイミング補正部とを持つ。前記受信装置は、複数のアンテナと、受信器と、A/D変換器とを持つ。前記受信器は、複数の前記アンテナにより受信された信号を処理する。前記A/D変換器は、前記受信器により処理された信号についてA/D変換を行う。前記検出部は、所定の校正信号が前記受信器により処理された後に前記A/D変換器によりA/D変換された結果の信号に基づいて、複数の前記受信装置における処理の遅延差に関する情報を検出する。前記タイミング補正部は、前記検出部により検出された前記情報に基づいて、前記受信装置に含まれる前記A/D変換器により行われるA/D変換のタイミングを補正する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のアレイアンテナ装置を示す図。
図2】実施形態のアレイアンテナ装置の受信部を示す図。
図3】実施形態のA/D変換器におけるA/D変換の補正後のタイミングを示す図。
図4】変形例に係るアレイアンテナ装置を示す図。
図5】他の変形例に係るアレイアンテナ装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態のアレイアンテナ装置およびアレイアンテナ処理方法を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、実施形態のアレイアンテナ装置1を示す図である。
アレイアンテナ装置1は、1個の送信装置11と、n(本実施形態では、nは2以上の整数を表す。)個の受信装置21−1〜21−nを備える。ここで、nは、様々な値であってもよい。
送信装置11は、M(本実施形態では、Mは2以上の整数を表す。)個のアンテナ41−1〜41−Mを備える。なお、アンテナは、空中線と呼ばれてもよい。
受信装置21−1は、L(本実施形態では、Lは2以上の整数を表す。)個のアンテナ51−1〜51−Lを備える。
ここで、MとLは、それぞれ、様々な値であってもよい。また、MとLは、同じ値であってもよく、あるいは、異なる値であってもよい。
【0011】
受信装置21−2〜21−nは、それぞれ、複数のアンテナを備える。
また、受信装置21−1および各受信装置21−2〜21−nは、例えば、同じ数のアンテナ(L個のアンテナ)を備えてもよく、あるいは、異なる数のアンテナを備えるものが含まれてもよい。
【0012】
ここで、各受信装置21−1〜21−nは、複数のアンテナ(受信装置21−1の場合にはアンテナ51−1〜51−L)からなるアレイアンテナを使用して無線信号を受信するアレイアンテナ受信装置である。これらn個の受信装置21−1〜21−nは、別々に備えられていたが、多数のアンテナを有するアレイアンテナ装置を実現するために、ひとまとめにされている。このような多数のアンテナを有するアレイアンテナ装置として、図1の例では、すべての受信装置21−1〜21−nが有するアンテナの数を総和した結果の数のアンテナを有するアレイアンテナ装置が実現される。
なお、このような多数のアンテナを有するアレイアンテナ装置を1個の装置で構成することも可能ではあるが、構成の自由度あるいは汎用性が低下する場合もある。このため、本実施形態では、複数(本実施形態では、n個)の別個の受信装置21−1〜21−nを組み合わせることで、総じて、1個のアレイアンテナ受信装置として使用する。
また、本実施形態では、n個の受信装置21−1〜21−nに対して、1個の送信装置11が共用されている。
【0013】
このように、本実施形態では、複数の受信装置21−1〜21−nを集合させて使用することで、個別の受信装置(受信装置21−1〜21−nのそれぞれ)を使用する場合と比べて、アレイアンテナのアンテナ数を大きくすることができる。
それぞれの受信装置21−1〜21−nは、移動させることが可能な装置であってもよく、あるいは、固定的に設置される装置であってもよい。
一例として、移動させることが可能な複数の受信装置(例えば、レーダーを構成する装置)が別々に使用されていたが、これらを集合させて1個のアレイアンテナ装置(例えば、レーダー)として動作させる場合があり得る。
他の例として、既に地上などにアレイアンテナ装置(例えば、レーダー)が設けられているときに、当該アレイアンテナ装置の付近に新たに1個以上の受信装置を建設して、これらのすべてを合わせて、当該アレイアンテナ装置よりもアンテナ数が多い1個のアレイアンテナ装置(例えば、レーダー)として動作させることが必要な場合があり得る。
【0014】
本実施形態では、アレイアンテナ装置1は、対象物を検知するレーダーに使用されている。この場合、アレイアンテナ装置1では、送信装置11がアンテナ41−1〜41−Mを使用して信号を無線により送信し、当該信号が対象物によって反射された信号を複数の受信装置21−1〜21−nがアンテナ(アンテナ51−1〜51−Lなど)を使用して受信し、受信された信号に基づいて当該対象物を検知する。この検知では、例えば、対象物が存在する位置(距離あるいは角度など)が検出される。
なお、レーダーとしては、任意のレーダーが用いられてもよく、例えば、地上に設置されて、空中を飛行する飛行機などを対象物として検知するレーダーなどが用いられてもよい。
【0015】
なお、本実施形態では、アレイアンテナ装置1は、送信装置11と、n個の受信装置21−1〜21−nを含むが、他の構成例として、送信装置11を含まなくてもよい。
本実施形態では、アレイアンテナ装置1に含まれるn個の受信装置21−1〜21−nの部分を受信部101と呼んで説明する。受信部101には、n個の受信装置21−1〜21−n以外の構成部も含まれ得る。なお、アレイアンテナ装置1に送信装置11が含まれない場合には、アレイアンテナ装置1と受信部101とは同じである。
【0016】
図2は、実施形態のアレイアンテナ装置1の受信部101を示す図である。
受信部101は、基準信号生成部111と、分配回路112と、検出部113と、n個の受信装置21−1〜21−nを備える。
検出部113は、カウンタ131と、タイミング補正値生成部132と、校正信号発生部133を備える。検出部113は、タイミングの計測(検出)などを行う。
なお、図2では、各受信装置21−1〜21−nに備えられた複数のアンテナ(アンテナ51−1〜51−Lなど)については、図示を省略してある。
【0017】
本実施形態では、各受信装置21−1〜21−nは、同様な構成部を備える。
各受信装置21−p(pは1〜nの範囲の各整数を表す)は、タイミング補正部211−pと、サンプリングクロック生成部212−pと、受信器213−pと、A/D(Analog to Digital)変換器214−pを備える。
【0018】
また、図2には、基準トリガa1、a2、a3、基準信号b1、b2,b3、サンプリングクロックc1、タイミング信号d1、タイミング補正値e1、受信RF(Radio Frequency)信号f1、校正信号g1、受信IF(Intermediate Frequency)信号h1、校正IF信号i1、デジタル信号j1といった各信号を示してある。
なお、これら各信号の符号としては、説明の便宜上、n個の受信装置21−1〜21−nにおいて共通の符号としてある。
また、基準トリガa1、基準トリガa2、基準トリガa3については、同じ役割を持つ信号であるが、出力元の構成部ごとに、異なる符号を付してある。
また、基準信号a1、基準信号a2、基準信号a3については、同じ役割を持つ信号であるが、出力元の構成部ごとに、異なる符号を付してある。
【0019】
ここで、基準信号生成部111と、分配回路112と、検出部113は、それぞれ、例えば、n個の受信装置21−1〜21−nとは別体で備えられてもよく、あるいは、n個の受信装置21−1〜21−nのうちのいずれか1個に備えられてもよく、あるいは、n個の受信装置21−1〜21−nのうちのいずれか2個以上に備えられてもよい。
【0020】
受信部101において行われる処理の一例を示す。
なお、本実施形態では、n個の受信装置21−1〜21−nは、同様な処理を行うため、1個の受信装置21−1により行われる処理を例として説明する。他の受信装置21−2〜21−nにより行われる処理についても同様である。
【0021】
基準信号生成部111は、基準トリガa1と基準信号b1を生成して、生成された基準トリガa1と基準信号b1を分配回路112に出力する。
ここで、基準トリガa1は、基準となるトリガの信号であり、例えば、所定の期間の周期を有するパルス波などの信号である。当該所定の期間としては、任意の期間が用いられてもよく、例えば、1秒などの期間が用いられてもよい。
また、基準信号b1は、基準となる信号であり、例えば、所定の周波数を有する正弦波などの信号である。当該所定の周波数としては、任意の周波数が用いられてもよく、例えば、10MHzあるいは100MHzなどが用いられてもよい。基準信号生成部111は、例えば、水晶発振器を備えて、当該水晶発振器による発振信号を用いて基準信号b1を生成してもよい。
【0022】
分配回路112は、基準信号生成部111から入力された基準トリガa1をn個の信号に分配して、分配されたそれぞれの基準トリガa2をそれぞれの受信装置21−1〜21−nのタイミング補正部211−1〜211−nに出力する。ここで、基準トリガa2は、基準トリガa1が分配された信号であり、基準トリガa1と実質的には同じである。
また、分配回路112は、基準信号生成部111から入力された基準信号b1をn個の信号に分配して、分配されたそれぞれの基準信号b2をそれぞれの受信装置21−1〜21−nのタイミング補正部211−1〜211−nに出力する。ここで、基準信号b2は、基準信号b1が分配された信号であり、基準信号b1と実質的には同じである。
【0023】
タイミング補正部211−1は、タイミング補正値生成部132から入力されたタイミング補正値e1に基づいて、分配回路112から入力された基準トリガa2のタイミングを補正して、補正後の基準トリガa3をA/D変換器214−1に出力する。本実施形態では、タイミング補正部211−1は、タイミング補正値e1に基づいて基準トリガa2のタイミングをずらした信号を、補正後の基準トリガa3とする。
また、タイミング補正部211−1は、分配回路112から入力された基準信号b2を、基準信号b3としてサンプリングクロック生成部212−1に出力する。なお、基準信号b2と基準信号b3とは、実質的に同じ信号であり、全く同じ信号であってもよい。
【0024】
ここで、本実施形態では、タイミング補正値e1は、0以上の遅延時間(あるいは、0以上の進み時間であってもよい)の情報である。タイミング補正部211−1は、タイミング補正値e1により表される遅延時間(または、進み時間)の分、基準トリガa2のタイミングをずらした信号を、補正後の基準トリガa3とする。なお、遅延時間の場合には基準トリガa2のタイミングを遅延させる処理が行われ、進み時間の場合には基準トリガa2のタイミングを進ませる処理が行われる。
【0025】
タイミング補正部211−1において複数の信号のタイミングを調整する手法としては、任意の手法が用いられてもよい。
一例として、タイミング補正部211−1は、ディレイラインを備え、遅延させることが必要な信号を、遅延させる時間に相当する長さのディレイラインを通過させることで、複数の信号のタイミングを調整する手法が用いられてもよい。
なお、ディレイラインが用いられる場合、所定の信号のタイミングを進ませるときには、他の信号のタイミングを遅延させることで、当該所定の信号のタイミングを進ませる。
【0026】
サンプリングクロック生成部212−1は、タイミング補正部211−1から入力された基準信号b3に基づいてサンプリングクロックc1を生成し、生成されたサンプリングクロックc1をA/D変換器214−1に出力する。
ここで、サンプリングクロック生成部212−1は、例えば、位相同期回路(PLL:Phase Locked Loop)を備え、当該PLLによって基準信号b3をサンプリングクロックc1へ変換することで、当該サンプリングクロックc1を生成する。
【0027】
受信器213−1には、それぞれのアンテナ(ここでは、受信装置21−1に備えられたL個のアンテナ51−1〜51−L)により受信された信号が、受信RF信号f1として入力される。本実施形態では、受信RF信号f1は、アンテナと同数(受信装置21−1については、L個)のRF信号を表わしている。
【0028】
受信器213−1は、入力された受信RF信号f1に基づいて、当該受信RF信号f1をRF信号からIF信号へ周波数変換する処理を含む所定の受信処理を行い、受信IF信号h1を生成し、生成された受信IF信号h1をA/D変換器214−1に出力する。本実施形態では、受信IF信号h1は、受信RF信号f1から得られる信号であり、アンテナと同数(受信装置21−1については、L個)の信号を表わしている。
また、受信器213−1は、入力された校正信号g1に基づいて、当該校正信号g1をRF信号からIF信号へ周波数変換する処理を含む所定の受信処理を行い、校正IF信号i1を生成し、生成された校正IF信号i1をA/D変換器214−1に出力する。
【0029】
本実施形態では、受信RF信号f1と校正信号g1は、同じ周波数(あるいは、同程度の周波数)を有するRF信号である。また、受信IF信号h1と校正IF信号i1は、同じ周波数(あるいは、同程度の周波数)を有するIF信号である。
本実施形態では、受信器213−1において、受信RF信号f1に対して行う所定の受信処理と、校正信号g1に対して行う所定の受信処理とは、同じ処理である。
なお、所定の受信処理としては、任意の処理が用いられてもよい。
【0030】
ここで、それぞれの受信器213−1〜213−nでは、信号を処理する回路(受信処理を行う回路)によって、群遅延が発生する。群遅延が発生する主な原因となる回路はフィルタであり、本実施形態では、それぞれの受信器213−1〜213−nにフィルタが備えられている。
本実施形態では、それぞれの受信器213−1〜213−nにおいて、受信処理によって受信IF信号h1に発生する群遅延の量と、受信処理によって校正IF信号i1に発生する群遅延の量とは、同じ(あるいは、同程度)であるとする。
【0031】
また、それぞれの受信器213−1〜213−nでは、回路を構成する部品の種類が異なること、あるいは、回路を構成する部品の種類は同じであっても個体差があることなどによって、群遅延量が異なり得る。
特に、本実施形態では、別個な複数の受信装置21−1〜21−nを組み合わせる構成であるため、各受信装置21−1〜21−nにおける受信器213−1〜213−nの性能が異なる場合があり、各受信装置21−1〜21−nにおける遅延量(本実施形態では、群遅延量)が異なることが発生する場合がある。
【0032】
また、本実施形態では、それぞれの受信器213−1〜213−nは、複数の信号の入出力に対応可能なように複数の入出力端(複数のチャネルの入出力端)を備えており、当該入出力端の数の方がアンテナの数(受信RF信号f1に含まれる信号の数)よりも少ないとしている。そして、本実施形態では、これら複数の入出力端のうちで受信RF信号f1の入出力に使用されていない入出力端(本実施形態では、1個の入出力端)が、校正信号g1の入出力に使用されている。
【0033】
A/D変換器214−1は、タイミング補正部211−1から入力された基準トリガa3と、サンプリングクロック生成部212−1から入力されたサンプリングクロックc1に基づいて、受信器213−1から入力された受信IF信号h1についてA/D変換を行い、当該A/D変換により得られたデジタル信号j1を出力する。本実施形態では、デジタル信号j1は、受信IF信号h1から得られる信号であり、アンテナと同数(受信装置21−1については、L個)の信号を表わしている。
また、A/D変換器214−1は、タイミング補正部211−1から入力された基準トリガa3と、サンプリングクロック生成部212−1から入力されたサンプリングクロックc1に基づいて、受信器213−1から入力された校正IF信号i1についてA/D変換を行い、当該A/D変換により得られたタイミング信号d1をカウンタ131に出力する。
【0034】
ここで、A/D変換器214−1では、サンプリングクロックc1はサンプリングを行うタイミングとして用いられ、基準トリガa3はサンプリングを行うタイミングを示す指標として用いられる。そして、本実施形態では、A/D変換器214−1は、受信IF信号h1と校正IF信号i1について、A/D変換のタイミングとして同じタイミングを使用する。
なお、A/D変換器214−1から出力されるデジタル信号j1およびタイミング信号d1は、それぞれ、同相成分(I成分)と直交成分(Q成分)を有するデジタル信号である。
【0035】
ここで、1個の受信装置21−1における構成部(タイミング補正部211−1、サンプリングクロック生成部212−1、受信器213−1、A/D変換器214−1)の処理について説明したが、他の受信装置21−2〜21−nにおける構成部(タイミング補正部211−2〜211−n、サンプリングクロック生成部212−2〜212−n、受信器213−2〜213−n、A/D変換器214−2〜214−n)の処理についても同様である。
【0036】
また、n個の受信装置21−1〜21−nにより得られたデジタル信号j1は、すべての受信装置21−1〜21−nに備えられたアンテナの総数分のデジタル信号を含んでおり、受信部101に備えられた所定の処理部(図示せず)によって処理される。当該所定の処理部は、例えば、すべての受信装置21−1〜21−nに備えられたアンテナの総数分のアンテナを有するアレイアンテナを使用しているとみなして、受信信号であるデジタル信号j1の合成などを行うことができ、その結果に基づいてレーダー検知における様々な処理を行うことができる。
なお、当該所定の処理部は、任意のところに備えられてもよく、例えば、受信部101において、n個の受信装置21−1〜21−nとは別体で備えられてもよく、あるいは、n個の受信装置21−1〜21−nのうちのいずれか1個に備えられてもよく、あるいは、n個の受信装置21−1〜21−nのうちのいずれか2個以上に備えられてもよい。
【0037】
カウンタ131には、n個の受信装置21−1〜21−nに備えられたA/D変換器214−1〜214−nからタイミング信号d1(つまり、n個のタイミング信号d1)が入力される。
カウンタ131は、複数の信号のタイミング差を検出する機能を有する。本実施形態では、カウンタ131は、入力されたn個のタイミング信号d1のうちの1個のタイミング信号d1を基準として、当該基準信以外の各タイミング信号d1について当該基準に対する位相差を検出する。
一例として、受信装置21−1におけるタイミング信号d1を基準とする場合、カウンタ131は、他の各受信装置21−2〜21−nにおけるタイミング信号d1について当該基準のタイミング信号d1(受信装置21−1におけるタイミング信号d1)との位相差を検出する。
【0038】
そして、カウンタ131は、位相差の検出結果として、(n−1)個の位相差の検出結果の情報をタイミング補正値生成部132に出力する。
また、本実施形態では、カウンタ131は、基準となる受信装置については、位相差の検出結果として、ゼロ(0)の情報をタイミング補正値生成部132に出力する。
このように、本実施形態では、カウンタ131は、位相差の検出結果として、各受信装置21−1〜21−nに対応するn個の位相差の検出結果の情報をタイミング補正値生成部132に出力する。
【0039】
ここで、基準以外の受信装置(一例として、受信装置21−2〜21−n)について、受信器(一例として、受信器213−2〜213−n)における群速度が同じものについては、検出される位相差が同じになる。
また、本実施形態では、群遅延を例として説明するが、群遅延以外の任意の遅延によっても影響される場合には、当該遅延も考慮されてもよい。
また、本実施形態では、受信器213−1〜213−nにおける信号の遅延(本実施形態では、群遅延)を例として説明するが、他の構成部における信号の遅延によっても影響される場合には、当該遅延も考慮されてもよい。
【0040】
なお、タイミング信号d1の基準とする受信装置(受信装置21−1〜21−nのうちのいずれか)としては、任意の受信装置に設定されてもよい。
また、タイミング信号d1の基準とする受信装置(受信装置21−1〜21−nのうちのいずれか)は、例えば、あらかじめ定められた所定の条件に基づいて、カウンタ131などにおいて決定されてもよい。一例として、当該所定の条件として、A/D変換器214−1〜214−nからカウンタ131に出力されるタイミング信号d1(同じ校正信号の部分から生成されたタイミング信号d1)について、最も早くカウンタ131に到達したタイミング信号d1(つまり、最も遅延が小さいタイミング信号d1)を基準とする、という条件が用いられてもよい。
【0041】
なお、本実施形態では、360度(=2π)以上の位相差は発生しないとみなしているが、2π以上の位相差が発生する状況に適用されてもよい。
【0042】
タイミング補正値生成部132は、カウンタ131から入力された位相差の検出結果(各受信装置21−1〜21−nに対応する位相差の検出結果)に基づいて、各受信装置21−1〜21−nにおけるタイミング補正値e1を生成し、生成された各受信装置21−1〜21−nにおけるタイミング補正値e1を当該各受信装置21−1〜21−nに出力する。
ここで、本実施形態では、各受信装置21−1〜21−nにおけるタイミング補正値e1として、各受信装置21−1〜21−nについて検出された位相差の情報を時間差の情報へ変換した情報が用いられる。
【0043】
例えば、基準となるタイミング信号d1と比べて遅い他のタイミング信号d1については、時間差の情報として、位相差の分だけ遅延させる遅延時間の情報がタイミング補正値e1として用いられる。
また、基準となるタイミング信号d1と比べて早い他のタイミング信号d1については、時間差の情報として、位相差の分だけ進ませる進み時間の情報がタイミング補正値e1として用いられる。
【0044】
ここで、一例として、最も早いタイミング信号d1を基準とする場合には、基準とするタイミング信号d1については、位相差はゼロ(0)であり、タイミング補正値e1はゼロ(0)である。また、基準以外のタイミング信号d1については、基準とするタイミング信号d1と比べて、位相差が0より大きく、タイミング補正値e1は0より大きい遅延時間の情報となる。なお、この例では、1個のタイミング信号d1が他のタイミング信号d1よりも早くて基準とされる場合を示した。
【0045】
校正信号発生部133は、所定の校正信号g1を発生させ、発生された校正信号g1をそれぞれの受信装置21−1〜21−nに備えられた受信器213−1〜213−nに出力する。
ここで、本実施形態では、校正信号g1としては、受信RF信号f1の周波数と同じ周波数を有する信号が用いられる。校正信号g1の波形としては、任意の波形が用いられてもよく、例えば、正弦波のように連続波であってもよく、あるいは、パルス波のように不連続波であってもよい。なお、校正信号g1の周波数と受信RF信号f1の周波数とは、例えば、検出部113におけるタイミングのずれ(位相差)の計測(検出)の精度が実用上で有効であれば、多少異なってもよい。
また、他の例として、校正信号g1として、送信装置11から送信される信号あるいは当該信号が任意に処理された信号が用いられてもよい。
【0046】
図3は、実施形態のA/D変換器214−1〜214−nにおけるA/D変換の補正後のタイミングを示す図である。
図3に示されたグラフでは、横軸に時間t0〜t11を表わしており、縦軸にn個の受信装置21−1〜21−nのそれぞれについてタイミング信号311−1〜311−n(校正信号g1に基づくタイミング信号d1)の時間範囲および基準トリガa3に応じたタイミングT1〜Tnを示してある。なお、図3では、3個の受信装置(受信装置21−1、受信装置21−2、受信装置21−n)について例示してあり、他の受信装置については図示を省略してある。
【0047】
タイミング信号311−1〜311−nの時間範囲は、当該タイミング信号311−1〜311−nに対応するデジタル信号j1についてA/D変換を行う時間範囲を表す。これらの時間範囲は、必ずしも、タイミング信号d1あるいはデジタル信号j1の区切りの時間範囲を表すものではなく、説明の便宜上のものであり、各受信装置21−1〜21−nにおけるタイミングのずれを説明するためのものである。つまり、図3において、タイミング信号311−1〜311−nの時間範囲のずれは、各受信装置21−1〜21−nにおけるデジタル信号j1の時間のずれを表わしている。
【0048】
ここで、時間t0〜t11は、一定の間隔を有する時間を表わしている。当該時間t0〜t11は、各A/D変換器214−1〜214−nに入力されるサンプリングクロックc1に基づくタイミングであり、基準信号b3に基づくタイミングである。当該タイミングは、すべての受信装置21−1〜21−nについて共通のタイミングである。
また、基準トリガa3に応じたタイミングT1〜Tnは、各A/D変換器214−1〜214−nに入力される基準トリガa1に応じたタイミングである。当該タイミングは、各受信装置21−1〜21−nごとに異なり得るタイミングである。
【0049】
本実施形態では、各A/D変換器214−1〜214−nは、入力された基準トリガa3に応じたタイミングT1〜Tnで、A/D変換におけるサンプリングを開始する。基準トリガa3に応じたタイミングT1〜Tnとしては、例えば、サンプリングクロックc1に基づく時間t0〜t11のなかで、タイミング信号311−1〜311−nの時間範囲が開始した後に最初に発生するサンプリングクロックc1に基づく時間t0〜t11のタイミングが用いられている。
本実施形態では、このような補正後の基準トリガa3のタイミングが実現されるように、タイミング補正値生成部132によるタイミング補正値の生成と、タイミング補正部211−1〜211−nによるタイミング補正が行われる。例えば、タイミング補正部211−1〜211−nは、入力された基準信号b2に基づいて、当該基準信号b2のタイミングに合った補正後の基準トリガa3を生成してもよい。
【0050】
図3の例では、受信装置21−1におけるタイミング信号311−1が基準となっている。受信装置21−1については、タイミング信号311−1の時間範囲は、時間t1と時間t2との間の時間に開始して、時間t7と時間t8との間の時間に終了している。そして、時間t2のタイミングが基準トリガa3に応じたタイミングT1となっている。
図3の例では、受信装置21−2におけるタイミング信号311−2は、基準のタイミング信号311−1と比べて、遅延している。受信装置21−2については、タイミング信号311−2の時間範囲は、時間t4と時間t5との間の時間に開始して、時間t10と時間t11との間の時間に終了している。そして、時間t5のタイミングが基準トリガa3に応じたタイミングT2となっている。
図3の例では、受信装置21−nにおけるタイミング信号311−nは、基準のタイミング信号311−1と比べて、遅延している。受信装置21−nについては、タイミング信号311−nの時間範囲は、時間t3と時間t4との間の時間に開始して、時間t9と時間t10との間の時間に終了している。そして、時間t4のタイミングが基準トリガa3に応じたタイミングTnとなっている。
【0051】
上記実施形態によれば、アレイアンテナ装置1において、複数の受信装置21−1〜21−nを備えた。それぞれの受信装置21−1〜21−nは、複数のアンテナと、複数のアンテナにより受信された信号を処理する受信器213−1〜213−nと、受信器213−1〜213−nにより処理された信号についてA/D変換を行うA/D変換器214−1〜214−nと、を含む。また、アレイアンテナ装置1において、複数の受信装置21−1〜21−nにおける処理の遅延差に関する情報を検出する検出部113と、検出部113により検出された情報に基づいて、受信装置21−1〜21−nに含まれるA/D変換器214−1〜214−nにより行われるA/D変換のタイミングを補正するタイミング補正部211−1〜211−nと、を備えた。
これにより、アレイアンテナ装置1では、複数の受信装置21−1〜21−nを組み合わせて、これら複数の受信装置21−1〜21−nに備えられたすべてのアンテナをアレイアンテナとして使用する場合に、それぞれの受信装置21−1〜21−nにおける遅延量の差を補正して、タイミングの同期を取ることができ、タイミングのずれによって生じるアンテナ性能の劣化を防止することができる。
【0052】
上記実施形態によれば、アレイアンテナ装置1において、検出部113は、所定の校正信号g1が受信器213−1〜213−nにより処理された後にA/D変換器214−1〜214−nによりA/D変換された結果の信号に基づいて、信号の位相差に関する情報を検出する。
これにより、アレイアンテナ装置1では、信号の位相差に関する情報に基づいて、それぞれの受信装置21−1〜21−nにおける遅延量の差を補正して、タイミングの同期を取ることができる。
【0053】
上記実施形態によれば、アレイアンテナ装置1において、遅延差は、群遅延量の差を含む。
これにより、アレイアンテナ装置1では、それぞれの受信装置21−1〜21−nにおける群遅延量の差を補正して、タイミングの同期を取ることができる。
また、上記実施形態によれば、アレイアンテナ装置1において行われる処理の方法(アレイアンテナ処理方法)を実現することができる。
【0054】
図4は、変形例に係るアレイアンテナ装置401を示す図である。
図4に示される構成が、図1に示される構成の代わりに用いられてもよい。
アレイアンテナ装置401は、n個の送信装置411−1〜411−nと、n個の受信装置421−1〜421−nと、n個のアレイアンテナ部431−1〜431−nを備える。
図4の例では、1個の送信装置411−p(pは1〜nの範囲の各整数を表す)と、1個の受信装置421−pと、1個のアレイアンテナ部431−pとが組み合わされ、このような組み合わせがn個ある。そして、それぞれの組み合わせにおいて、送信装置411−pおよび受信装置421−pは、アレイアンテナ部431−pを共用する。それぞれの組み合わせにおいて、送信装置411−pはアレイアンテナ部431−pを使用して信号を無線により送信し、当該信号が対象物によって反射された信号を受信装置421−pはアレイアンテナ部431−pを使用して受信する。そして、アレイアンテナ装置401において、例えば、n個の受信装置421−1〜421−nにより取得された受信信号(例えば、A/D変換後のデジタル信号)をすべてのアンテナについて合成することで、当該対象物の検知を行う。
【0055】
なお、各送信装置411−1〜411−nの構成および動作としては、同じであってもよく、あるいは、異なるものがあってもよい。
また、各受信装置421−1〜421−nの構成および動作としては、同じであってもよく、あるいは、異なるものがあってもよい。
また、各アレイアンテナ部431−1〜431−nの構成および動作としては、同じであってもよく、あるいは、異なるものがあってもよい。例えば、各アレイアンテナ部431−1〜431−nが有するアンテナの数としては、同じであってもよく、あるいは、異なるものがあってもよい。
なお、本変形例では、アレイアンテナ装置401は、n個の送信装置411−1〜411−nと、n個の受信装置421−1〜421−nを含むが、他の構成例として、n個の送信装置411−1〜411−nのうちの1個以上を含まなくてもよい。
【0056】
図5は、他の変形例に係るアレイアンテナ装置501を示す図である。
図5に示される構成が、図1に示される構成の代わりに用いられてもよい。
アレイアンテナ装置501は、1個の送信装置511と、n個の受信装置521−1〜521−nと、n個のアレイアンテナ部531−1〜531−nを備える。
図5の例では、1個の受信装置521−p(pは1〜nの範囲の各整数を表す)と、1個のアレイアンテナ部531−pとが組み合わされ、このような組み合わせがn個ある。
また、送信装置511は、すべてのアレイアンテナ部531−1〜531−nを受信装置521−1〜521−nと共用する。
そして、送信装置511は、n個のアレイアンテナ部531−1〜531−nを使用して信号を無線により送信する。それぞれの組み合わせにおいて、当該信号が対象物によって反射された信号を受信装置521−pはアレイアンテナ部531−pを使用して受信する。そして、アレイアンテナ装置501において、例えば、n個の受信装置521−1〜521−nにより取得された受信信号(例えば、A/D変換後のデジタル信号)をすべてのアンテナについて合成することで、当該対象物の検知を行う。
【0057】
なお、各受信装置521−1〜521−nの構成および動作としては、同じであってもよく、あるいは、異なるものがあってもよい。
また、各アレイアンテナ部531−1〜531−nの構成および動作としては、同じであってもよく、あるいは、異なるものがあってもよい。例えば、各アレイアンテナ部531−1〜531−nが有するアンテナの数としては、同じであってもよく、あるいは、異なるものがあってもよい。
なお、本変形例では、アレイアンテナ装置501は、送信装置511と、n個の受信装置521−1〜521−nを含むが、他の構成例として、送信装置511を含まなくてもよい。
【0058】
ここで、図1に示される送信装置11、図4に示される送信装置411−1〜411−n、あるいは、図5に示される送信装置511では、例えば、アレイアンテナの代わりに、単数のアンテナ(1個のアンテナ)を使用して信号を無線により送信してもよい。
【0059】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、アレイアンテナ装置1において、複数の受信装置21−1〜21−nを備え、それぞれの受信装置21−1〜21−nは、複数のアンテナと、複数のアンテナにより受信された信号を処理する受信器213−1〜213−nと、受信器213−1〜213−nにより処理された信号についてA/D変換を行うA/D変換器214−1〜214−nと、を含み、そして、アレイアンテナ装置1において、複数の受信装置21−1〜21−nにおける処理の遅延差に関する情報を検出する検出部113と、検出部113により検出された情報に基づいて、受信装置21−1〜21−nに含まれるA/D変換器214−1〜214−nにより行われるA/D変換のタイミングを補正するタイミング補正部211−1〜211−nと、を備えたことにより、複数の受信装置21−1〜21−nにおける遅延量に差があるときにおいても、タイミング補正を精度良く行うことができる。
【0060】
以上に示した実施形態に係る各装置(例えば、アレイアンテナ装置1、401、501を構成する送信装置11、411−1〜411−n、511あるいは受信装置21−1〜21−n、421−1〜421−n、521−1〜521−nなど)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行うことができる。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0061】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバあるいはクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
このように、各機能部は、ソフトウェア機能部であってもよく、または、LSI等のハードウェア機能部であってもよい。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1、401、501…アレイアンテナ装置、11、411−1〜411−n、511…送信装置、21−1〜21−n、421−1〜421−n、521−1〜521−n…受信装置、41−1〜41−M、51−1〜51−L…アンテナ、101…受信部、111…基準信号生成部、112…分配回路、113…検出部、131…カウンタ、132…タイミング補正値生成部、133…校正信号発生部、211−1〜211−n…タイミング補正部、212−1〜212−n…サンプリングクロック生成部、213−1〜213−n…受信器、214−1〜214−n…A/D変換器、311−1〜311−n、d1…タイミング信号、431−1〜431−n、531−1〜531−n…アレイアンテナ部、T1〜Tn…基準トリガに応じたタイミング、t0〜t11…時間、a1〜a3…基準トリガ、b1〜b3…基準信号、c1…サンプリングクロック、e1…タイミング補正値、f1…受信RF信号、g1…校正信号、h1…受信IF信号、i1…校正IF信号、j1…デジタル信号
図1
図2
図3
図4
図5